JPH05245950A - 凹凸模様転写用合成樹脂製シート - Google Patents

凹凸模様転写用合成樹脂製シート

Info

Publication number
JPH05245950A
JPH05245950A JP4185528A JP18552892A JPH05245950A JP H05245950 A JPH05245950 A JP H05245950A JP 4185528 A JP4185528 A JP 4185528A JP 18552892 A JP18552892 A JP 18552892A JP H05245950 A JPH05245950 A JP H05245950A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
pattern
synthetic resin
resin sheet
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4185528A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0825229B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Kinugasa
敏之 衣笠
Tamio Furuya
民雄 古屋
Yoshiki Ishige
芳樹 石毛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP4185528A priority Critical patent/JPH0825229B2/ja
Publication of JPH05245950A publication Critical patent/JPH05245950A/ja
Publication of JPH0825229B2 publication Critical patent/JPH0825229B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電鋳により製造された模様型の皮革しぼ模様
を合成樹脂シート表面に精度よく忠実に転写できるよう
にする。 【構成】 芯材を、それの接着剤塗布面を外側に向けて
押圧型に設置する工程と、皮革しぼ模様を持つシート重
合面と該重合面全体に亘り均一に分布する無数の微細連
続気孔とを有するように電鋳により製造されたポーラス
な模様型に、加熱状態の合成樹脂シートを押圧型により
押圧して重合する工程と、前記微細連続気孔を通じ合成
樹脂シートに真空吸引作用を与えて該シートをシート重
合面に密着させることにより該シート表面に皮革しぼ模
様を転写する工程と;前記微細連続気孔を通じ合成樹脂
シートにブロー圧をかけて該シートをシート重合面から
離型すると共に芯材に押圧して両者を一体に接合する工
程とが順次に行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂シートおよび芯
材よりなり、またそのシート表面に皮革しぼ模様を有す
るしぼ付積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種しぼ付積層体を製造する場
合は、予め凹凸模様を形成された合成樹脂シートを加熱
軟化し、また一対の押圧型の一方に芯材をその接着剤塗
布面を外側にむけて設置し、次いで芯材に前記合成樹脂
シートを重合して両押圧型によりそのシートおよび芯材
を圧着するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
法によると、両押圧型における凹凸嵌合部の口縁で合成
樹脂シートが引き伸ばされると、その引き伸ばされた部
分の凹凸模様が流れてぼけるといった問題がある。
【0004】また合成樹脂シートの凹凸模様は、エッチ
ング処理により得られた彫刻ロール等を用いて形成され
たものであるから比較的単純な連続模様に限られてしま
い、牛革等の皮革しぼ模様を備えた合成樹脂シート、し
たがってしぼ付積層体を得ることはできない。
【0005】そこで合成樹脂シートの表面に皮革しぼ模
様を付けるために、例えば小川喜代一編「プラスチック
金型便覧」の第760 〜766 頁(株式会社誠文堂新光社が
昭和40年9月に発行)に開示されるような、電鋳によ
り形成された模様型を用いることが考えられるが、従来
の電鋳による模様型はポーラス体ではなく、その模様型
の成形面には真空吸引孔が開設されてはいない。そのた
め、その成形面に皮革しぼ模様のような複雑で微細な模
様を電鋳により形成したとしても、該成形面に樹脂シー
トの表面を各部万遍なく強力に密着させることはでき
ず、その模様を忠実には転写し得ないという問題があ
る。尚、この問題を解決するために電鋳により形成され
た模様型に、樹脂成形分野における従前の真空引き技術
(その真空吸引孔の開口部直径は小さいものでも0.3
mm程度であった)を単純に適用して真空吸引孔を形成し
た場合には、皮革しぼ模様のような複雑で微細な模様を
転写すべくシートを強力に電鋳型に真空吸引させた際
に、しぼ付と同時に、比較的大きな真空吸引孔もそのま
ま転写されてしまい、高品質で商品価値の高いしぼ付シ
ートが得られなくなる、といった別の問題がある。
【0006】また、合成樹脂シートの表面にしぼ模様を
付けるために、例えば特開昭53−22567号公報に
開示される如く、金属溶射法により製作されたポーラス
な模様型を使用するようにしたものも既に提案されてい
るが、この提案のものでは、模様型の形成に金属溶射技
術を採用したことに伴い、次の(1)〜(3)のような
諸問題があるため、この模様型を用いては合成樹脂シー
トの表面に牛革等の肌模様のように複雑な皮革しぼ模様
を精度よく忠実に転写することはできない。 (1) 模様型の溶射層は、機械的な投錨効果で付着する、
酸化物含有の溶射金属粒子の堆積集合体より構成されて
いるため、自動車のインパネ等に対応した大型で複雑な
形状の模様型では必要とする機械的強度(特に耐衝撃
性)や剛性が得られない。特にシート表面を緻密にする
べく粒径の細かい金属溶射粒子で溶射層を構成しようと
すると、酸化物の含有量が更に多くなって溶射層の機械
的強度が一層低下する。 (2) 前記溶射層は、金属粒子(溶滴)が素地表面に衝突
して扁平となった溶射粒子が堆積されてポーラスな層状
組織となったものであるから、該溶射層の表面に予定外
の凹凸や孔がランダムに生成され易く、そのため該表面
に無傷で且つ皮しぼ模様等の超精密な模様を再現させる
ことは実質的に困難である。 (3) 前記溶射層は、その溶射条件(例えば材料、粒度、
溶射角度、距離等)により異なり易く、そのためシート
表面にその形状を問わず全面に亘って略均一な孔径で且
つ略等間隔置きに通気孔を開口させるようなことも実質
的に困難であり、そのため、合成樹脂シートに対するし
ぼ付時に各通気孔より真空引きを行うにしてもシート表
面を、成形面全体に亘って適正な吸引力で均等に吸引す
ることはできないので明瞭な模様の転写が困難である。
【0007】本発明は以上の諸事情に鑑み提案されたも
ので、電鋳により、皮革しぼ模様を精密に付したポーラ
スな模様型を製造し、その電鋳工程で得た、開口部直径
が特定寸法の無数の微細連続気孔を利用して、高温加熱
された合成樹脂シートを模様型に強力且つ適正な真空吸
引作用を以て密着させ、これにより皮革しぼ模様を合成
樹脂シートの表面に極めて忠実に転写することができる
ようにし、またその転写工程に引き続いて合成樹脂シー
トと芯材との接合を行い、皮革しぼ模様の流れのない前
記しぼ付積層体を得ることのできる前記製造方法を提供
することを目的とする。
【0008】尚、本出願人は、本発明の実施に際し合成
樹脂シート表面のしぼ付に使用し得るしぼ付型に係る発
明を本願と同日付で特許出願(特公昭63-62379号公報=
特許第1510152 号)している。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、芯材の一面に接着剤を塗布する工程と;前
記芯材を、該芯材の接着剤塗布面を外側に向けて押圧型
に設置する工程と;合成樹脂シートを高温加熱する工程
と;皮革しぼ模様を持つシート重合面と、該シート重合
面全体に亘り均一に分布する開口部の直径が0.03〜
0.05mmの無数の微細連続気孔とを有するように電鋳
により製造され、且つ背面に多数の微小粒状物相互間を
部分的に接合して形成されるバックアップ体を備えた、
ポーラスな模様型に、前記合成樹脂シートを前記押圧型
により押圧して重合する工程と;前記バックアップ体に
おける微小粒状物相互間の空隙より形成された無数の連
続気孔および前記模様型の前記微細連続気孔を通じ前記
合成樹脂シートに真空吸引作用を与えて前記合成樹脂シ
ートを前記シート重合面に密着させることにより該合成
樹脂シート表面に前記皮革しぼ模様を転写する工程と;
前記バックアップ体の前記連続気孔および前記模様型の
前記微細連続気孔を通じ前記合成樹脂シートにブロー圧
をかけて該合成樹脂シートを前記シート重合面から離型
すると共に前記芯材に押圧して両者を一体に接合する工
程と;を順次行うことを特徴とする。
【0010】
【実施例】図1は、合成樹脂シートSと芯材Cとよりな
るしぼ付積層体を得るための製造装置を示し、その製造
装置は昇降自在な第1可動部11 と、その下方に位置す
る昇降自在な第2可動部12 とよりなる。
【0011】第1可動部11 は次のように構成される。
即ち、天壁2を有する箱体3の下向き開口部4は、成形
すべき成形体の形状に合致する形状を持つ模様型5によ
り閉鎖され、その型5の外周縁は当て板6を介して箱体
3のフランジ7に複数のボルト8およびナット9により
固着されている。箱体3の天壁2からは支持板10が吊
下されており、その支持板10の下縁には複数本のアン
グル材11の中間部が図1と直交する平面内において所
定の間隔で溶着され、また各アングル材11の両端部は
箱体3内面に溶着される。模様型5は、各アングル材1
1を貫通して模様型5のねじ筒12に螺着した複数のボ
ルト13を介し各アングル材11に吊持される。フラン
ジ7の内周縁において、それと模様型5間に真空シール
材14が介装される。
【0012】模様型5は図2,3に示すように、ポーラ
スなニッケル電鋳体よりなり、そのシート重合面5aに
は牛革の肌模様を忠実に再現した皮革しぼ模様15が形
成されている。また模様型5に、その厚さ方向に延びる
無数の微細連続気孔16が模様型5全体に亘って均一に
分布するように形成され、それら微細連続気孔16は真
空吸引孔として用いられる。それら微細連続気孔16に
おいて、シート重合面5a全体に亘り均一に分布する開
口部16aは縦および横方向に約0.2mmのピッチで配
列しており、それらの直径は0.03〜0.05mmであ
る。このように微細連続気孔16の開口部16aは極め
て小径であるため皮革しぼ模様15を何等損なうことは
ない。
【0013】模様型5の製造は、牛革より精密模型を作
製する工程、精密模型の牛革しぼ模様面に導電層を形成
する工程、導電層の表面に直径0.2mmのポリスチレン
ビーズを4層に積層し、その上にガラスビーズを網に入
れた浮上り防止体を載せて精密模型をメッキ液層に設置
する工程、最上層のポリスチレンビーズの上部周面が露
出する程度の厚さにメッキ層を形成して相隣るポリスチ
レンビーズ間の空間をニッケルで満たす電鋳工程および
ポリスチレンビーズをニッケル電鋳体より溶出する工程
を順次経て行われる。
【0014】このポリスチレンビーズの溶出により、最
下層のポリスチレンビーズと精密模型上の導電層との接
点に開口部16aが、またニッケル電鋳体内にポリスチ
レンビーズの大きさに相当する空洞16bと相隣るポリ
スチレンビーズ間の接点に相隣る空洞16bの連通孔1
6cが、さらに最外層のポリスチレンビーズの上部周面
が露出していた位置に開口部16dがそれぞれ形成さ
れ、これにより微細連続気孔16が得られる。
【0015】箱体3内において、模様型5の背面に、そ
の模様型5を補強すべく連続気孔を有する微小粒状物製
バックアップ体17が一体に接合される。バックアップ
体17は、模様型5側に配設されてステンレス鋼等の耐
食性に優れた無数の鋼球の相隣るもの相互間をエポキシ
樹脂等の熱硬化性合成樹脂により部分接合した第1層1
1 と、その第1層171 に積層されて無数のガラスビ
ーズの相隣るもの相互間を前記同様の熱硬化性合成樹脂
により部分接合した第2層172 とよりなる。
【0016】第1層171 を形成する場合は、図4に示
すように表面に薄い前記熱硬化性合成樹脂よりなる樹脂
層R1 を有する70〜150μの鋼球18を所定量箱体
3内に注入し、その後鋼球18および樹脂層R1 を70
〜80℃に加熱して樹脂層R 1 の相隣る鋼球18間の接
点に位置する部位を接合し、各接合点で囲まれる空隙V
1 を形成するものである。この空隙V1 により第1層1
1 に無数の連続気孔が形成される。この鋼球18相互
間の接合時に第1層171 と模様型5間も前記樹脂層R
1 により接合される。
【0017】また第2層172 を形成する場合は、軽量
化のために凹部17aを形成すべくそれと同形の部材
(図示せず)を箱体3内に吊持し、第1層171 の上に
図5に示すように表面に薄い前記樹脂層R2 を有する4
00〜600μのガラスビーズ19を所定量注入し、そ
の後、ガラスビーズ19および樹脂層R2 を70〜80
℃に加熱して樹脂層R2 の相隣るガラスビーズ19間の
接点に位置する部位を接合し、各接合点で囲まれる空隙
2 を形成するものである。この空隙V2 により第2層
172 に無数の連続気孔が形成される。このガラスビー
ズ19相互間の接合時に第1層171 と第2層172
も前記樹脂層R2 によりそれぞれ接合される。
【0018】支持板10に、複数の貫通孔20が形成さ
れ、これら貫通孔20によりガラスビーズ19の注入時
その流れが支持板10により妨げられないようになって
いる。
【0019】前記のようにバックアップ体17は微小な
鋼球18およびガラスビーズ19より構成されるので、
そのバックアップ体17を模様型5の背面に十分に倣わ
せることが可能であり、これによりポーラスな模様型5
を確実に補強することができる。またバックアップ体1
7に真空吸引孔を加工する必要がないといった利点もあ
る。
【0020】第1層171 に、模様型5を全域に亘り均
等に冷却し得るように冷却管21が蛇行して埋設され
る。この場合第1層171 は鋼球18を主体とするので
熱伝導性が良好であり、したがって模様型5を効率良く
冷却することができる。また冷却管21の蛇行埋設によ
り第1層171 が補強される。
【0021】箱体3内は切換弁22を介して真空ポンプ
231 およびブロア24に接続される。
【0022】第2可動部12 は次のように構成される。
即ち、底壁25を有する箱体26の上向き開口部27
に、模様型5に合致する形状を持った押圧型28が固着
される。押圧型28の上面に芯材Cを嵌め込むための凹
部29が形成され、またその押圧型28にそれを貫通す
るように複数の真空吸引孔30が型全体に略均一に分布
するように形成される。箱体26内は真空ポンプ232
に接続される。
【0023】合成樹脂シートSとしては、ポリ塩化ビニ
ル等よりなるシート単体、またはそのシートを表皮層と
し、これにポリプロピレン発泡シートをクッション層と
して貼合わせた積層シートが用いられる。
【0024】芯材Cは、ABS樹脂等よりなる板に複数
の小径な真空吸引孔31を形成し、この板を押圧型28
の凹部29に合致するように成形したものが用いられ
る。
【0025】次に、しぼ付積層体の製造について説明す
る。先ず芯材Cの表面には接着剤としてホットメルト接
着剤を塗布し、その接着剤を加熱軟化する。
【0026】図1に示すように、第1可動部11 を上昇
させ、また第2可動部12 を下降させて模様型5と押圧
型28を開き、その押圧型28の凹部29に前記芯材C
をその接着剤塗布面を外側に向けて嵌め込んで設置し、
その各真空吸引孔31を押圧型28の各真空吸引孔30
に合致させる。
【0027】表皮層aおよびクッション層bよりなる合
成樹脂シートSを略180℃に高温加熱して軟化させ、
その表皮層aを上にして合成樹脂シートSを第1および
第2可動部11 ,12 間に配設する。
【0028】図6に示すように、第1可動部11 を下降
させ、また第2可動部12 を上昇させて模様型5と押圧
型28間に合成樹脂シートSを挟着する。合成樹脂シー
トSは押圧型28により模様型5のシート重合面5aに
押圧されるので、その面5aに対するなじみ性が良い。
この場合、模様型5はバックアップ体17により補強さ
れているので、合成樹脂シートSの押圧時、模様型5が
変形、破損等をすることがない。
【0029】第1可動部11 の箱体3内を切換弁22を
介して真空ポンプ231 に接続し、その真空ポンプ23
1 によりバックアップ体17の連続気孔および模様型5
の、その全体に亘って均一に分布する無数の微細連続気
孔16を通じて合成樹脂シートSに真空吸引作用を与え
る。合成樹脂シートSはシート重合面5aに押圧型28
により充分になじませられているので、そのシートS
は、直ちにシート重合面5a全体に強く密着し、これに
よりそのシートSの表面に皮革しぼ模様15が正確に、
且つ明瞭に転写され、同時にシートSは模様型5の形状
に成形される。模様型5は冷却管21により冷却されて
いるので、シートSは直ちに冷却され、皮革しぼ模様1
5および形状の崩れが防止される。この場合、各微細連
続気孔16の開口部16aの直径は、前記のように極め
て小径に形成されているので、各開口部16aが合成樹
脂シートSの表面に転写されることはない。またバック
アップ体17の補強作用によって模様型5の変形等が防
止される。さらにシート重合面5a側から真空吸引を行
うので、そのシート重合面5aと合成樹脂シートSとの
間に空気溜りを生じることはない。
【0030】第2可動部12 側の真空ポンプ232 を作
動させて前記シートSより成形された成形体を押圧型2
8および芯材Cの表面に真空吸引すると共に第1可動部
1の箱体3内を切換弁22を介しブロア24側に切り
換えて成形体にブロー圧をかける。
【0031】これにより成形体は模様型5より離型する
と共に芯材Cに密着してそれと一体に接合される。成形
体は模様型5に強く密着しているので前記真空吸引作用
およびブロー圧を併用することは、成形体の離型を促進
するために極めて有効な手段である。
【0032】ブロア24を停止し、また第2可動部12
の箱体26内を大気に切換え、その後第1可動部11
上昇させ、また第2可動部12 を下降させて押圧型28
より積層体Lを外す。
【0033】この積層体Lの表面には、牛革の肌模様と
同一の皮革しぼ模様15が流れることなく明瞭に付さ
れ、また合成樹脂シートSよりなる成形体と芯材Cとの
接合強度も大きく、耐久性に優れている。この種しぼ付
積層体Lは、自動車用インストルメントパネル、内装材
等に好適である。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、模様型と
して、皮革しぼ模様をもつシート重合面と、そのシート
重合面全体に亘り均一に分布する開口部の直径が0.0
3〜0.05mmの無数の微細連続気孔とを有するように
電鋳により製造されたポーラスなものを用いるので、そ
の皮革しぼ模様を容易に、且つ忠実に再現して模様型に
具備させることが可能であり、また各開口部の直径を前
記のように特定することによって、合成樹脂シート表面
への各開口部の転写を回避しつゝそのシートにを模様型
のシート重合面側から各部略均等に、しかも適正且つ強
力な吸引力を以て真空吸引することができる。これによ
り、シート重合面および合成樹脂シート間に空気溜りを
生じさせることなく、その合成樹脂シートをシート重合
面に確実に密着させて、前記皮革しぼ模様を合成樹脂シ
ートの表面に明瞭に転写し、また転写工程に引き続いて
合成樹脂シートに芯材を接合して、皮革しぼ模様の流れ
のない高品質なしぼ付積層体を得ることができる。
【0035】また上記微細連続気孔を通じての合成樹脂
シートに対する真空引きにより、そのシートが模様型の
シート重合面に各部万遍なく強力に吸着される結果、該
シートが模様型のシート重合面に於けるしぼ面に強固に
密着し食い込む状態となっても、上記微細連続気孔の各
開口部を通して合成樹脂シートにブロー圧を各部万遍な
く均等に作用させて該シートの模様型からの離型を行う
ようにしているので、その離型を簡単確実に、しかもシ
ート表面を損傷させたり折り皺を生じさせることなく的
確に行うことができ、従って離型の作業性を高めること
ができると共に、しぼ模様の転写精度の一層の向上を図
ることができる。また上記離型時のブロー圧により、合
成樹脂シートを芯材に押圧して該シートと芯材とを確実
に接合することができる。その上、模様型における前記
微細連続気孔を、模様転写時の真空引き用の吸引孔とシ
ート離型時のブロー圧吹出し用の吹出孔とに共用するこ
とができるため、それだけ型構造の簡素化に寄与するこ
とができる。
【0036】またポーラスな模様型を微小粒状物製バッ
クアップ体により確実に補強して、しぼ付積層体製造時
における模様型の変形、損傷等を防止することができ
る。その上、バックアップ体の空隙を利用して連続気孔
を形成するので、そのバックアップ体に真空吸引孔を加
工する必要がない、といった製造装置構成上の利点もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いられる製造装置の断面図
【図2】模様型の部分平面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】バックアップ体における第1層の一部の断面図
【図5】バックアップ体における第2層の一部の断面図
【図6】しぼ付および成形工程を示す前記装置の断面図
【符号の説明】
S 合成樹脂シート
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 凹凸模様転写用合成樹脂製シート
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として自動車のイン
ストルメントパネルその他の内装材に利用可能な合成樹
脂製シート、特に表面に皮革しぼ模様等の微細な凹凸模
様を忠実に転写するのに好適なシートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記合成樹脂製シートに対する凹
凸模様の転写成形を行う場合には、エッチング処理等に
より凹凸模様が付された転写成形面を有するロール又は
板材を模様型として使用し、その模様型の前記転写成形
面に合成樹脂製シートを押し付けるようにしたものが一
般的であるが、このような模様型では梨地等の比較的単
純な連続模様に限られてしまう。
【0003】そこで合成樹脂シートの表面に皮革しぼ模
等の微細な凹凸模様を付けるために、例えば特開昭5
3−22567号公報に開示される如く、金属溶射法に
より製作されたポーラスな模様型を使用するようにした
ものも既に提案されているが、この提案のものでは、模
様型の溶射層が、機械的な投錨効果で付着する酸化物含
有の溶射金属粒子の堆積集合体より構成されているた
め、大型で複雑な形状の模様型では必要とする機械的強
度や剛性が得られず、また溶射条件(例えば材料、粒
度、溶射角度、距離等)によっては略均一な孔径で且つ
略等間隔置きに通気孔を形成し難く、そのため、転写時
に各通気孔を通して真空引きを行うにしてもシート表面
にその全面に亘って明瞭な模様の転写を行うことは困難
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで以上の問題を解
決するために、例えば皮革しぼ模様等の微細な凹凸模様
が形成された転写成形面を有する通気性模様型を電鋳に
より製造して、この模様型と押圧型との間に、ポリ塩化
ビニル等の合成樹脂単体よりなるシートを予め所定温度
(例えば180℃〜200℃)に加熱軟化させた状態で
挟圧し、馴染み性を与えつつ模様型側から真空引きする
ことにより、該軟化状態のシート表面を模様型の前記転
写成形面に強力に食い込ませるようにして密着させ、該
シート表面に前記凹凸模様を忠実に転写させることが考
えられるが、この場合には、シートに対する加熱工程と
転写成形工程とに亘る過程で次のような問題がある。
【0005】即ち、加熱工程で適正温度に加熱され適度
に軟化したシートは、次の転写成形工程に移るべく適当
な搬送手段により模様型及び押圧型の対向面間に搬送さ
れるが、その搬送に少なくとも所定時間(例えば10秒
〜20秒)必要とするので、その間に、薄肉で熱容量が
小さい該シート自体の温度が急激に低下し、そのため引
き続く転写成形工程では該シートと転写成形面との馴染
み性が悪くなって転写性が低下する虞れがある。また斯
かる不都合を回避するために加熱工程でシートを前記適
正温度(即ち軟化温度)よりも高くなるよう特別高温に
加熱すると、その高熱のためにシートに局部的な伸びを
生じてその表面つやが悪くなったり或いは物性の低下に
より商品の耐久性が損なわれたりする等の別の不都合が
ある。
【0006】本発明は以上の諸事情に鑑み提案されたも
ので、電鋳により製造された通気性のある模様型を使用
しても微細な凹凸模様を忠実に転写し得る合成樹脂製シ
ートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、微細な凹凸模様が形成された転写成形面を
有して電鋳により製造される、通気性のある模様型と、
その模様型の前記転写成形面に対向する押圧型との間
に、予め加熱軟化した状態で挟圧され且つ該模様型側よ
り真空引きされることにより前記凹凸模様が転写される
ようにした凹凸模様転写用合成樹脂製シートであって、
前記転写成形面とは未接触で前記凹凸模様が未だ転写さ
れていない被転写面を表面に有して熱可塑性合成樹脂よ
り形成される表皮シート部と、この表皮シート部の裏面
に貼り合わされて発泡性合成樹脂より形成されるベース
シート部とより構成されたことを特徴とする。
【0008】
【実施例】図1は、本発明に係る合成樹脂製シートSと
芯材Cとを接合させて成るしぼ付積層体を得るための製
造装置と、この製造装置により加工処理される前の単体
状態の前記合成樹脂製シートS及び芯材Cとを示してい
【0009】その合成樹脂製シートSは、後述する模様
型5の転写成形面5aとは未接触で該転写成形面5aの
模様15が未だ転写されていない被転写面fを有してポ
リ塩化ビニル等の熱可塑性合成樹脂より形成される表皮
シート部aと、この表皮シート部aの裏面に貼り合わさ
れて発泡ポリプロピレン等の発泡性合成樹脂より形成さ
れる、クッション材としてのベースシート部bとを含む
積層シートより構成されている。
【0010】前記製造装置は、昇降自在な第1可動部1
1 と、その下方に位置する昇降自在な第2可動部12
よりなり、その第1可動部11 は次のように構成され
る。即ち、天壁2を有する箱体3の下向き開口部4は、
成形すべき成形体の形状に合致する形状を持つ模様型5
により閉鎖され、その型5の外周縁は当て板6を介して
箱体3のフランジ7に複数のボルト8およびナット9に
より固着されている。箱体3の天壁2からは支持板10
が吊下されており、その支持板10の下縁には複数本の
アングル材11の中間部が図1と直交する平面内におい
て所定の間隔で溶着され、また各アングル材11の両端
部は箱体3内面に溶着される。模様型5は、各アングル
材11を貫通して模様型5のねじ筒12に螺着した複数
のボルト13を介し各アングル材11に吊持される。フ
ランジ7の内周縁において、それと模様型5間に真空シ
ール材14が介装される。
【0011】模様型5は図2,3に示すように、ポーラ
スなニッケル電鋳体よりなり、それの、前記表皮シート
部aに直接密接させるべき転写成形面5aには、牛革の
肌模様を忠実に再現した、微細な凹凸模様としての皮革
しぼ模様15が形成されている。また模様型5に、その
厚さ方向に延びる無数の微細連続気孔16が模様型5全
体に亘って均一に分布するように形成され、それら微細
連続気孔16は真空吸引孔として用いられる。それら微
細連続気孔16において、転写成形面5a全体に亘り均
一に分布する開口部16aは縦および横方向に約0.2
mmのピッチで配列しており、それらの直径は0.03〜
0.05mmである。このように微細連続気孔16の開口
部16aは極めて小径であるため皮革しぼ模様15を何
等損なうことはない。
【0012】模様型5の製造は、牛革より精密模型を作
製する工程、その精密模型の牛革しぼ模様面に導電層を
形成する工程、導電層の表面に直径0.2mmのポリスチ
レンビーズを4層に積層し、その上にガラスビーズを網
に入れた浮上り防止体を載せて精密模型をメッキ液層に
設置する工程、最上層のポリスチレンビーズの上部周面
が露出する程度の厚さにメッキ層を形成して相隣るポリ
スチレンビーズ間の空間をニッケルで満たす電鋳工程お
よびポリスチレンビーズをニッケル電鋳体より溶出する
工程を順次経て行われる。
【0013】このポリスチレンビーズの溶出により、最
下層のポリスチレンビーズと精密模型上の導電層との接
点に開口部16aが、またニッケル電鋳体内にポリスチ
レンビーズの大きさに相当する空洞16bと相隣るポリ
スチレンビーズ間の接点に相隣る空洞16bの連通孔1
6cが、さらに最外層のポリスチレンビーズの上部周面
が露出していた位置に開口部16dがそれぞれ形成さ
れ、これにより微細連続気孔16が得られる。
【0014】箱体3内において、模様型5の背面に、そ
の模様型5を補強すべく連続気孔を有する微小粒状物製
バックアップ体17が一体に接合される。バックアップ
体17は、模様型5側に配設されてステンレス鋼等の耐
食性に優れた無数の鋼球の相隣るもの相互間をエポキシ
樹脂等の熱硬化性合成樹脂により部分接合した第1層1
1 と、その第1層171 に積層されて無数のガラスビ
ーズの相隣るもの相互間を前記同様の熱硬化性合成樹脂
により部分接合した第2層172 とよりなる。
【0015】第1層171 を形成する場合は、図4に示
すように表面に薄い前記熱硬化性合成樹脂よりなる樹脂
層R1 を有する70〜150μの鋼球18を所定量箱体
3内に注入し、その後鋼球18および樹脂層R1 を70
〜80℃に加熱して樹脂層R 1 の相隣る鋼球18間の接
点に位置する部位を接合し、各接合点で囲まれる空隙V
1 を形成するものである。この空隙V1 により第1層1
1 に無数の連続気孔が形成される。この鋼球18相互
間の接合時に第1層171 と模様型5間も前記樹脂層R
1 により接合される。
【0016】また第2層172 を形成する場合は、軽量
化のために凹部17aを形成すべくそれと同形の部材
(図示せず)を箱体3内に吊持し、第1層171 の上に
図5に示すように表面に薄い前記樹脂層R2 を有する4
00〜600μのガラスビーズ19を所定量注入し、そ
の後、ガラスビーズ19および樹脂層R2 を70〜80
℃に加熱して樹脂層R2 の相隣るガラスビーズ19間の
接点に位置する部位を接合し、各接合点で囲まれる空隙
2 を形成するものである。この空隙V2 により第2層
172 に無数の連続気孔が形成される。このガラスビー
ズ19相互間の接合時に第1層171 と第2層172
も前記樹脂層R2 によりそれぞれ接合される。更に前記
支持板10には複数の貫通孔20が形成され、これら貫
通孔20によりガラスビーズ19の注入時その流れが支
持板10により妨げられないようになっている。
【0017】前記のようにバックアップ体17は微小な
鋼球18およびガラスビーズ19より構成されるので、
そのバックアップ体17を模様型5の背面に十分に倣わ
せることが可能であり、これによりポーラスな模様型5
を確実に補強することができる。またバックアップ体1
7に真空吸引孔を加工する必要がないといった利点もあ
る。
【0018】第1層171 には、模様型5を全域に亘り
均等に冷却し得るように冷却管21が蛇行して埋設され
る。この場合第1層171 は鋼球18を主体とするので
熱伝導性が良好であり、したがって模様型5を効率良く
冷却することができる。また冷却管21の蛇行埋設によ
り第1層171 が補強される。
【0019】前記箱体3の内部は切換弁22を介して真
空ポンプ231 およびブロア24に接続される。
【0020】また前記第2可動部12 は次のように構成
される。即ち、底壁25を有する箱体26の上向き開口
部27に、模様型5に合致する形状を持った押圧型28
が固着される。押圧型28の上面に芯材Cを嵌め込むた
めの凹部29が形成され、またその押圧型28にそれを
貫通するように複数の真空吸引孔30が型全体に略均一
に分布するように形成される。箱体26内は真空ポンプ
232 に接続される。
【0021】前記芯材Cとしては、ABS樹脂等よりな
る板に複数の小径な真空吸引孔31と、該孔31に連通
するエア抜き用細溝(図示せず)とをを形成したものが
用いられ、この板は前記押圧型28の凹部29に合致す
るように成形される
【0022】次に、しぼ付積層体の製造について説明す
る。先ず芯材Cの表面には接着剤としてホットメルト接
着剤を塗布、乾燥させ、更に加熱して熱活性化させる。
そして図1に示すように、第1可動部11 を上昇させ、
また第2可動部12 を下降させて模様型5と押圧型28
を開き、その押圧型28の凹部29に前記芯材Cをその
接着剤塗布面を外側に向けて嵌め込んで設置し、その各
真空吸引孔31を押圧型28の各真空吸引孔30に合致
させる。
【0023】一方、表皮シート部a及びベースシート部
bよりなる合成樹脂製シートSを、図示しない加熱装置
により、転写成形に最適温度(図示例では略180℃〜
200℃)に加熱して適度に軟化させる。そしてその加
熱軟化させた状態のシートSを、それの表皮シート部a
の被転写面fが模様型5の転写成形面5aに対向し且つ
ベースシート部bが押圧型28上の前記芯材Cに対向す
るように第1及び第2可動部11 ,12 間の空間まで搬
送して同空間に待機させる。
【0024】しかる後に、図6に示すように第1可動部
1 を下降させ、また第2可動部1 2 を上昇させて模様
型5と押圧型28間に合成樹脂製シートSを挟着する。
この場合、合成樹脂製シートSは押圧型28により模様
型5の転写成形面5aに押圧されるので、前述の如く該
シートSを予め加熱軟化させておく効果と相俟って該転
写成形面5aに対する馴染み性が良く、また模様型5は
バックアップ体17により補強されているので、合成樹
脂製シートSを挟んで押圧型28に強く押されても、変
形、破損等をすることがない。
【0025】次いで第1可動部11 の箱体3内を切換弁
22を介して真空ポンプ231 に接続し、その真空ポン
プ231 によりバックアップ体17の連続気孔および模
様型5の、その全体に亘って均一に分布する無数の微細
連続気孔16を通じて合成樹脂シートSに真空吸引作用
を与える。これにより、加熱軟化状態の合成樹脂製シー
トSの表皮シート部aを転写成形面5aに充分に馴染ま
せることができるから、その表皮シート部aの被転写面
fが直ちに転写成形面5a全体に強く密着し、その結
果、該被転写面fに皮革しぼ模様15が正確且つ明瞭に
転写され、同時にシートSは転写成形面5aに倣った
状に成形される。模様型5は冷却管21により冷却され
ているので、シートSは直ちに冷却され、皮革しぼ模様
15および形状の崩れが防止される。この場合、各微細
連続気孔16の開口部16aの直径は、前記のように極
めて小径に形成されているので、各開口部16aが合成
樹脂シートSの表面に転写されることはない。またバッ
クアップ体17の補強作用によって模様型5の変形等が
防止される。さらに転写成形面5a側から真空吸引を行
うので、その転写成形面5aと合成樹脂シートSとの間
に空気溜りを生じることはない。
【0026】次に第2可動部12 側の真空ポンプ232
を作動させて前記シートSより成形された成形体を押圧
型28および芯材Cの表面に真空吸引すると共に第1可
動部11 の箱体3内を切換弁22を介しブロア24側に
切り換えて成形体にブロー圧をかける。これにより成形
体は模様型5より離型すると共に芯材Cに密着してそれ
と一体に接合される。成形体は模様型5に強く密着して
いるので前記真空吸引作用およびブロー圧を併用するこ
とは、成形体の離型を促進するために極めて有効な手段
である。
【0027】次いでブロア24を停止し、また第2可動
部12 の箱体26内を大気に切換え、その後第1可動部
1 を上昇させ、また第2可動部12 を下降させて押圧
型28より積層体Lを外す。
【0028】以上のようにして得られたしぼ付積層体L
の表面には、牛革の肌模様と同一の皮革しぼ模様15が
流れることなく明瞭に付され、また合成樹脂シートSよ
りなる成形体と芯材Cとの接合強度も大きく、耐久性に
優れている。この種しぼ付積層体Lは、自動車用インス
トルメントパネル、内装材等に好適である。
【0029】ところで、合成樹脂製シートSを前述の如
く転写成形最適温度(図示例では約180℃〜200
℃)に加熱し軟化させるに際しては、薄肉の表皮シート
部aの熱容量が小さく(従って本来的には冷め易く)て
も、ベースシート部bが発泡性合成樹脂より形成されて
いて無数の内部気泡により高い保温断熱効果が得られる
関係で、シートS全体の温度低下を極力抑えることがで
きるため、該シートSを前記転写成形最適温度に加熱し
ても、その加熱後、搬送作業を挟んで転写成形が実際に
開始されるまでの間(少なくとも約10〜20秒要す
る)に表皮シート部aが上記最適温度より急激に温度降
下して転写成形面5aとの馴染み性が悪くなるのを回避
することができ、しかもシートS全体を前記最適温度以
上に特別高温に加熱する必要はないため、その高熱のた
めにシートSに局部的な伸びを生じてその表面つやが悪
くなったり或いは物性の低下により商品の耐久性が損な
われたりするような虞れはなくなる。またそのように加
熱温度を抑え得る効果と、ベースシート部bによって表
皮シート部aの伸びを抑え得る効果とが相俟って、シー
トS全体のドローダウン(垂れ下がり)を効果的に防止
することができるから、そのドローダウンのために転写
成形に支障を来たす虞れもない。
【0030】以上のような合成樹脂製シートSの表皮シ
ート部aとベースシート部bとの積層による相乗効果
は、次の表1に示す実験結果によっても確認された。
【0031】
【表1】 この実験は、合成樹脂製シートをポリ塩化ビニル製の表
皮シート部のみとしたの場合と、同表皮シート部と1
mmの厚みの発泡ポリプロピレン製ベースシート部との
積層体としたの場合と、同表皮シート部と2mmの厚
みの同ベースシート部との積層体としたの場合と、同
表皮シート部と3〜4mmの厚みの同ベースシート部と
の積層体としたの場合とについて、それぞれ加熱温度
を160℃から210℃まで10°刻みで変えた条件で
転写成形を行うようにしたものである。この表1におい
て成形温度とは、転写成形の際の表皮シート部の実際の
温度を、また○印は転写性が良好で実用に十分供し得る
ことを示している。
【0032】この表からも明らかなように、表皮シート
部とベースシート部とを積層させたシートを用いる〜
の場合においては、ベースシート部の保温効果により
成形温度の低下は比較的僅かに抑えられていて、転写性
が良好な○印の範囲が広く確保されている。また、この
場合においてベースシート部が厚ければ厚いほど成形温
度の低下が少ないことや、またシート成形温度が180
℃未満では、表皮シート部の温度低下により転写成形面
5aに対する馴染み性が悪くなり転写性が悪化するため
実用に供し得なくなってしまう(×印参照)ことが判
る。尚、ベースシート部は、それに充分な保温機能が発
揮されるように少なくとも約1mm程度の厚みが必要で
ある。
【0033】一方、の表皮シート部のみの場合には、
シート加熱後、転写成形に至るまでの間に急激な温度低
下がみられ、転写成形最適温度に加熱しても転写不良を
起こし易くなるが、その対策として転写成形最適温度以
上に加熱する(図示例では205℃を越える)と、転写
性は良好であっても、高熱のためにシートに局部的な伸
びを生じてその表面つやが悪くなる上、物性が低下して
商品の耐久性を損なうため、これまた実用に供し得なく
なってしまう(※印参照)ことが判明した。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、微細な凹
凸模様が形成された転写成形面を有して電鋳により製造
される、通気性のある模様型と、その模様型の転写成形
面に対向する押圧型との間に、予め加熱軟化した状態で
挟圧され且つ該模様型側より真空引きされることにより
凹凸模様が転写されるようにした合成樹脂製シートが、
前記転写成形面とは未接触で前記凹凸模様が未だ転写さ
れていない被転写面を表面に有して熱可塑性合成樹脂よ
り形成される表皮シート部と、この表皮シート部の裏面
に貼り合わされて発泡性合成樹脂より形成されるベース
シート部とより構成されるので、その両シート部よりな
る合成樹脂製シートを予め加熱軟化させた状態で挟圧
し、馴染み性を与えつつ模様型側から真空引きすること
により、該軟化状態のシート表面を模様型の前記転写成
形面に強力に食い込ませるようにして密着させ、該シー
ト表面に前記凹凸模様を忠実に転写させることができ
る。また特にシートを加熱するに際しては、薄肉の表皮
シート部の熱容量が小さくても発泡性合成樹脂製ベース
シート部による保温効果でシート全体の温度低下を極力
抑えることができるから、該シートを転写成形に適正な
温度に加熱しても、その加熱後、転写成形が開始される
までの間に表皮シート部が上記適正温度より急激に温度
降下して転写成形面との馴染み性が悪くなる事態を回避
することができて、転写精度の向上に寄与することがで
き、しかもシートを前記適正温度以上に特別高温に加熱
する必要はないため、シートに局部的な伸びを生じてそ
の表面つやが悪くなったり或いは物性の低下により商品
の耐久性が損なわれたりするような虞れはなくなる。ま
たそのように加熱温度を抑え得る効果と、ベースシート
部によって表皮シート部の伸びを抑え得る効果とが相俟
って、シート全体のドローダウン(垂れ下がり)防止に
有効であるから、そのドローダウンのために転写成形に
支障を来たす虞れもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いられる製造装置の断面図
【図2】模様型の部分平面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】バックアップ体における第1層の一部の断面図
【図5】バックアップ体における第2層の一部の断面図
【図6】しぼ付および成形工程を示す前記装置の断面図
【符号の説明】 S 合成樹脂製シート 表皮シート部 ベースシート部 被転写面 模様型 5a 転写成形面 15 凹凸模様としての皮革しぼ模様 28 押圧型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29L 9:00 4F

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材の一面に接着剤を塗布する工程と;
    前記芯材を、該芯材の接着剤塗布面を外側に向けて押圧
    型に設置する工程と;合成樹脂シートを高温加熱する工
    程と;皮革しぼ模様を持つシート重合面と、該シート重
    合面全体に亘り均一に分布する開口部の直径が0.03
    〜0.05mmの無数の微細連続気孔とを有するように電
    鋳により製造され、且つ背面に多数の微小粒状物相互間
    を部分的に接合して形成されるバックアップ体を備え
    た、ポーラスな模様型に、前記合成樹脂シートを前記押
    圧型により押圧して重合する工程と;前記バックアップ
    体における微小粒状物相互間の空隙より形成された無数
    の連続気孔および前記模様型の前記微細連続気孔を通じ
    前記合成樹脂シートに真空吸引作用を与えて前記合成樹
    脂シートを前記シート重合面に密着させることにより該
    合成樹脂シート表面に前記皮革しぼ模様を転写する工程
    と;前記バックアップ体の前記連続気孔および前記模様
    型の前記微細連続気孔を通じ前記合成樹脂シートにブロ
    ー圧をかけて該合成樹脂シートを前記シート重合面から
    離型すると共に前記芯材に押圧して両者を一体に接合す
    る工程と;を順次行うことを特徴とするしぼ付積層体の
    製造方法。
JP4185528A 1992-07-13 1992-07-13 凹凸模様転写用合成樹脂製シート Expired - Lifetime JPH0825229B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4185528A JPH0825229B2 (ja) 1992-07-13 1992-07-13 凹凸模様転写用合成樹脂製シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4185528A JPH0825229B2 (ja) 1992-07-13 1992-07-13 凹凸模様転写用合成樹脂製シート

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP59219175A Division JPS61104849A (ja) 1984-10-18 1984-10-18 しぼ付積層体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05245950A true JPH05245950A (ja) 1993-09-24
JPH0825229B2 JPH0825229B2 (ja) 1996-03-13

Family

ID=16172382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4185528A Expired - Lifetime JPH0825229B2 (ja) 1992-07-13 1992-07-13 凹凸模様転写用合成樹脂製シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0825229B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0825229B2 (ja) 1996-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4781569A (en) Apparatus for manufacturing embossed articles of synthetic resin
JP3570580B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法
US4714424A (en) Vacuum mold
KR100217975B1 (ko) 다층 성형품의 제조방법
US20070013111A1 (en) Transfer printing method
JPS62138237A (ja) 無応力.エンボス.装飾表面カバ−及びその製造方法
JPH05245950A (ja) 凹凸模様転写用合成樹脂製シート
JPH05301243A (ja) 表皮付き樹脂成形品の製造方法
JP4819987B2 (ja) 積層樹脂成形品およびその製造方法
JPH0464851B2 (ja)
JPS61104820A (ja) 合成樹脂シ−ト用しぼ付型
JPS61272126A (ja) アンダ−カツトを備えたしぼ付合成樹脂成形体の成形方法および成形装置
JPH0468132B2 (ja)
WO1993001929A1 (fr) Procede de fabrication d'une piece moulee stratifiee
JPH0151554B2 (ja)
JP2002219775A (ja) Frp成形体
JPH0564837A (ja) 多層成形品の成形方法
JPH0687131A (ja) 多層成形品の成形方法
JPH04135825A (ja) 成形品への絵付け方法
JPH047941Y2 (ja)
JP2016190440A (ja) 成形品およびその製造方法
JPH0316896B2 (ja)
JPS62259820A (ja) 内装部品の製造方法
JPH10180818A (ja) 射出成形金型及びそれを用いた射出成形方法
JPS63297028A (ja) 合成樹脂積層体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term