JPH05245479A

JPH05245479A - 油脂含有排水の処理方法

Info

Publication number: JPH05245479A
Application number: JP4048507A
Authority: JP
Inventors: Tetsuro Fukase; 哲朗深瀬; Koichi Nakamura; 孝一中村; Reiko Ito; 礼子伊藤; Tatsushi Kuramae; 達志倉前
Original assignee: Kurita Water Industries Ltd
Current assignee: Kurita Water Industries Ltd
Priority date: 1992-03-05
Filing date: 1992-03-05
Publication date: 1993-09-24

Abstract

(57)【要約】【目的】動植物油脂含有排水等の油脂含有排水を効率
的に処理して、取り扱い性、濃縮性に優れたフロスない
しスラッジを得る。【構成】油脂含有排水をリパーゼと接触させた後、凝
集分離する。或いは、油脂含有排水を凝集分離して、リ
パーゼと接触させた後、固液分離する。【効果】凝集剤として使用されるＡｌ，Ｆｅ等の金属
塩と、リパーゼ処理による油脂の分解で生成する脂肪酸
とが反応して、腐敗し難く、圧密性、濃縮性、取り扱い
性に優れたスラッジが生成する。油脂含有排水中の油脂
を効率的に分解処理して、粘性が低く、取り扱い性に優
れ、圧密性、濃縮性、分離性に優れたフロスなしスラッ
ジを得ると共に、高水質の処理水を高い回収率で得るこ
とが可能とされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は油脂含有排水の処理方法
に係り、特に、油脂を含有する排水から油脂を分解して
除去する方法において、その分解除去効率を高めると共
に、取り扱い性に優れた、フロスないしスラッジを得る
ことができる油脂含有排水の処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、油脂含有排水の処理法として、オ
イルトラップ等により予め油脂を除去した後、活性汚泥
法などの生物処理を行なう方法がある。また、油脂含有
排水を凝集、加圧浮上分離により処理する方法もある。

【０００３】更に、これらの方法とは別に、特開昭５０
−１２９７８９号には、固定化リパーゼを用いて油脂含
有排水中の油脂を酵素により分解する方法が提案されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の油脂含有排
水の処理方法のうち、オイルトラップ等により油脂を除
去する方法では、油脂の分離を十分に行なうことができ
ない。このため、後続の生物処理工程において油脂が浮
上したり、或いは油脂が微生物菌体、フロックもしくは
生物膜などに付着して、酸素、基質もしくは栄養物など
の浸透が悪化し、これにより処理効率が低下して、油脂
以外のＢＯＤ成分（有機性物質）の処理も十分に行なえ
なくなるという問題点がある。また、オイルトラップ等
のメンテナンスに手間がかかり、コスト高になるほか、
浮上スカムの処理が必要となり、さらにエマルション状
態の油脂は分離できないなどの問題点もある。

【０００５】また、凝集、加圧浮上分離による方法で
は、粘性が高く、濃縮性が悪い上に、腐敗し易いフロス
やスラッジが多量に発生するため、後処理が容易ではな
いという欠点がある。

【０００６】更に、特開昭５０−１２９７８９号に記載
の方法では、初期には一時的に処理水中の油分は低下す
るが、その後は油脂の分解生成物である脂肪酸やグリセ
リンが処理水中に流出する。このうち脂肪酸は油分とし
て検出されるため、処理水中の油分の低下は期待できな
い。この方法において初期に油分が低下するのは、分解
生成物が一時的に不溶性塩となって、固定化リパーゼの
充填層に捕捉されるためであり、これが充填層の目詰ま
りの原因となって、処理効率を低下させるなどの問題点
がある。

【０００７】本発明は上記従来の問題点を解決し、動植
物油脂含有排水等の油脂含有排水を効率的に処理して、
取り扱い性、濃縮性に優れたフロスないしスラッジを得
ると共に、高水質の処理水を高い分離、回収率にて得る
ことを可能とする油脂含有排水の処理方法を提供するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の油脂含有排水
の処理方法は、油脂含有排水をリパーゼと接触させた
後、凝集分離することを特徴とする。

【０００９】請求項２の油脂含有排水の処理方法は、油
脂含有排水を凝集分離して得られた油分を、リパーゼと
接触させた後、固液分離することを特徴とする。

【００１０】以下に本発明を詳細に説明する。本発明で
処理の対象となる排水は、油脂を含有する排水であり、
特に油脂として動植物油脂を含有する排水が処理に適し
ている。この油脂含有排水には、油脂以外のＢＯＤ成
分、及び、アンモニア性窒素、有機性窒素等の窒素化合
物などの不純物が含有されていても良い。このような油
脂含有排水としては、例えば厨房排水、食用油製造工場
排水、食肉加工工場排水、菓子類製造工場排水などが挙
げられる。

【００１１】一方、本発明で使用するリパーゼとして
は、油脂（グリセリド）を加水分解し、脂肪酸を遊離す
るものであれば良く、特に制限はないが、トリグリセリ
ドをグリセリンと脂肪酸とに完全に分解できるものを使
用するのが好ましい。また、リパーゼの起源も限定され
ず、例えば動物の消化液、消化器官；アスペルギルス
属、ペニシリウム属、リゾプス属、ゲオトリクム属等の
糸状菌；シュードモナス属等の細菌；酵母などから得ら
れるものが使用できる。更に、リパーゼは、精製品の
他、酵素抽出物（液）などを使用することもできる。こ
れらは１種単独で又は２種以上を組合せて使用できる。

【００１２】また、リパーゼは固定化して用いることも
できるが、固定化しない状態で用いることにより、目詰
まり等による障害を避けることができ、処理効率を上げ
ることができる。

【００１３】従って、好ましくは、油脂含有排水又はそ
の凝集分離で得られた油分と、リパーゼを接触させるリ
パーゼ処理は、油脂含有排水又はその凝集分離で得られ
た油分にリパーゼを添加し、撹拌混合しながら行なうの
が好ましい。リパーゼの添加方法及び撹拌方法は、リパ
ーゼにより排水中の油脂が効率的に分解される方法であ
れば良く、どのような方法でも採用することができる。

【００１４】リパーゼ処理の条件は、使用したリパーゼ
の最適ｐＨ及び最適温度で行なうのが好ましいが、これ
に限定されない。また、リパーゼの添加量及び反応時間
（処理時間）は、油脂含有排水又は凝集処理後の油脂含
有排水中の油脂含有量、その他の処理条件を考慮して、
油脂が十分に分解されるように適宜選択するが、通常の
場合、リパーゼの添加量は、被処理油脂含有排水又はそ
の凝集分離で得られた油分に対して１０〜１０００００
ユニット／リットル、好ましくは１０００〜１００００
ユニット／リットル、反応時間は０．２５〜４８時間、
好ましくは６〜２４時間が適当である。特に、油脂含有
排水の凝集分離で得られた油分へのリパーゼ添加量は、
１０〜１００００ユニット／リットルと少なくすること
ができる。なお、リパーゼの１ユニットは１分間に１マ
イクロモルの脂肪酸を遊離させる酵素量である。

【００１５】例えば、リパーゼとしてシュードモナス
ｓｐ．ＫＷＩ−５６菌株（微工研菌寄第９６５９号の微
細物受託番号で寄託されており、その菌学的性質などに
ついては特開平１−１１２９７９号に記載されてい
る。）から生産されたものを使用した場合の好ましい処
理条件は、ｐＨ６．５〜８、温度１５〜４０℃、添加量
１０００〜１００００ユニット／リットル、反応時間１
〜２０時間である。

【００１６】リパーゼ処理により、排水中の油脂は脂肪
酸とグリセリン、場合によってはモノ又はジ等の部分エ
ステルに加水分解される。従って、油脂が牛脂、豚脂、
サラダ油などの通常の動植物油脂である場合には、脂肪
酸としてステアリン酸、オレイン酸などが生成する。こ
れらの脂肪酸及びグリセリンは、中性ないしアルカリ性
領域では、水との親和性が高い。なお、リパーゼはエマ
ルション状態の油脂も分解できるので、リパーゼ処理に
先立って、凝集処理を行なわなくても、容易に油脂を分
解することができる。

【００１７】リパーゼ処理の初期の段階において、一時
的に不溶物が析出して凝集する場合があるが、加水分解
の進行に伴って、これらは再び液中に微細粒子として分
散し、一部は溶解する。そして脂肪酸の遊離に伴って、
液のｐＨは低下する。本発明では、上記のどの段階でリ
パーゼ処理を終了しても良いが、不溶性の生成物が溶解
し、油脂が完全に脂肪酸及びグリセリンに分解するまで
リパーゼ処理を行なうのが好ましい。

【００１８】本発明においては、油脂含有排水をリパー
ゼ処理する前又は後に、凝集分離を行なう。凝集分離
は、油脂含有排水又はリパーゼ処理後の油脂含有排水に
Ａｌ，Ｆｅ等の金属塩、具体的には硫酸バンド、ＰＡ
Ｃ、ポリ鉄、塩化第２鉄等の無機凝集剤を、その最適ｐ
Ｈ条件にて適量添加して行なう。凝集剤の添加量は油脂
含有排水の水質やリパーゼ処理条件等によっても異なる
が、通常の場合、金属換算で５〜５０ｍｇ／リットル程
度が適当である。

【００１９】本発明において、請求項１の油脂含有排水
の処理方法では、油脂含有排水をリパーゼ処理した後、
凝集分離するが、この場合、必要に応じて、リパーゼ処
理に先立ち、油脂含有排水を浮上分離等により濃縮して
も良い。即ち、リパーゼは基質となる油脂の濃度が高い
程、分解に必要な添加量を少なくすることができるた
め、予め油脂含有排水を濃縮した後リパーゼ処理するこ
とにより、リパーゼ使用量を低減することができ、処理
コストの低減が図れる。

【００２０】請求項１の方法において、凝集処理液は、
極めて容易に固液分離することが可能である。

【００２１】また、本発明の請求項２の油脂含有排水の
処理方法では、油脂含有排水を凝集分離して得られた油
分（フロス）をリパーゼ処理するが、この場合、リパー
ゼ処理により、フロスは液状となり、凝集剤を添加する
ことなく容易にスラッジを固液分離することが可能とな
る。

【００２２】なお、請求項２の方法において、リパーゼ
処理後は直接固液分離することが可能であるが、必要に
応じて前記と同様の凝集剤を添加して凝集処理した後固
液分離しても良い。

【００２３】本発明において、リパーゼ処理後の凝集処
理液、又は、凝集処理後のリパーゼ処理液の固液分離方
法としては、特に制限はなく、加圧浮上分離、沈殿分
離、濾過分離等のいずれの方法であっても良いが、最終
的な固液分離手段を遠心分離又はベルトプレス脱水とす
るのがより効果的である。

【００２４】

【作用】本発明における凝集処理とリパーゼ処理との併
用による作用効果の詳細は明らかではないが、凝集剤と
して使用されるＡｌ，Ｆｅ等の金属塩と、リパーゼ処理
による油脂の分解で生成する脂肪酸とが反応して生成す
る不溶性の化合物が、従来法により得られる油分含有凝
集スラッジ等に比べて、腐敗し難く、圧密性、濃縮性、
取り扱い性に優れることによるものと推定される。

【００２５】なお、本発明の方法において、油脂含有排
水中にＢＯＤ成分や窒素化合物等の不純物が含有されて
いる場合であっても、これらは凝集処理により分離除去
される。

【００２６】

【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。実施例１ＢＯＤ５２０ｐｐｍ，ＳＳ２１０ｐｐｍ，ｎ−ヘキ
サン抽出物４５ｐｐｍの厨房排水に、リパーゼ（栗田工
業（株）製、シュードモナスｓｐ．ＫＷＩ−５６菌株
生産、最適ｐＨ５．５〜７．０、最適温度６０〜６５
℃）を１０万ユニット／リットルとなるように添加し、
ｐＨ６．２にて、常温で２０時間ゆっくり撹拌混合し
た。

【００２７】次に、上記リパーゼ処理した厨房排水に、
硫酸バンドをＡｌ換算で３０ｍｇ／リットル添加し、ｐ
Ｈを６．５に調整した後、４ｋｇ／ｃｍ² に加圧した加
圧水と等量混合して浮上分離を行なった。

【００２８】得られた処理水の水質（ＢＯＤ，ＳＳ，ｎ
−ヘキサン抽出物濃度）を表１に示す。また、生成した
フロスの性状、及び、１６時間緩速撹拌した後のＳＳ濃
度の測定結果を表１に示す。

【００２９】比較例２リパーゼ処理を行なわなかったこと以外は実施例１と同
様にして厨房排水の処理を行ない、結果を表１に示し
た。

【００３０】

【表１】

【００３１】実施例２比較例１で得られたフロス（凝集分離により得られた油
分）を、実施例１と同様にして、リパーゼ添加量１万ユ
ニット／リットルで２０時間リパーゼ処理した。このリ
パーゼ処理によりフロスは粘性の低い液体となった。こ
の液をNo. ５Ａの濾紙により濾過し、濾液を分析したと
ころ、ＢＯＤ１６０ｐｐｍ，ｎ−ヘキサン抽出物１０
ｐｐｍ以下であった。なお、この濾液量は濾過前の全液
量の６５％であり、固液分離性が極めて良好であった。

【００３２】比較例２実施例２において、リパーゼを添加しなかったこと以外
は同様にして２０時間緩速撹拌した後、濾過を行なっ
た。その結果、得られた濾液量は濾過前の全液量のわず
か３％であり、固液分離性に著しく劣るものであった。

【００３３】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の油脂含有排
水の処理方法によれば、油脂含有排水中の油脂を効率的
に分解処理して、粘性が低く、取り扱い性に優れ、圧密
性、濃縮性、分離性に優れたフロスなしスラッジを得る
と共に、高水質の処理水を高い回収率で得ることが可能
とされる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者倉前達志東京都新宿区西新宿３丁目４番７号栗田工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】油脂含有排水をリパーゼと接触させた
後、凝集分離することを特徴とする油脂含有排水の処理
方法。
【請求項２】油脂含有排水を凝集分離して得られた油
分を、リパーゼと接触させた後、固液分離することを特
徴とする油脂含有排水の処理方法。