JPH0663544A - 油分含有水の処理方法および装置 - Google Patents

油分含有水の処理方法および装置

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JPH0663544A
JPH0663544A JP22178492A JP22178492A JPH0663544A JP H0663544 A JPH0663544 A JP H0663544A JP 22178492 A JP22178492 A JP 22178492A JP 22178492 A JP22178492 A JP 22178492A JP H0663544 A JPH0663544 A JP H0663544A
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JP
Japan
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oil
water
fatty acid
insoluble salt
solid
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Application number
JP22178492A
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English (en)
Inventor
Tetsuro Fukase
哲朗 深瀬
Koichi Nakamura
孝一 中村
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Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
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Publication date
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  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Removal Of Floating Material (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 油分含有水中の油分を濃縮性、脱水性、分離
性に優れた油スラッジまたはスカムとして簡単に効率よ
く分離する。 【構成】 凝集処理槽1において油分含有水を凝集処理
し、固液分離槽2において固液分離した油分を、酵素分
解槽3においてリパーゼを添加して脂肪酸に分解し、反
応槽4において陽イオンと反応させて脂肪酸の水不溶性
塩を形成する。この不溶性塩を前記凝集処理槽1に添加
し、油分を吸着させた状態で凝集させ、油分含有水中の
油分を分離する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油分を脂肪酸の水不溶性
塩に吸着させて分離する油分含有水の処理方法および装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】油分含有水中の油分は水と分離してお
り、そのままでは生物処理しにくいため、オイルトラッ
プや加圧浮上等の前処理によって除去されることが多
い。このうち加圧浮上を行う場合、油を吸着させるため
に、硫酸バンド、塩化アルミニウム等の無機凝集剤を添
加して凝集を行っている。ところが、このような無機凝
集剤は油分の吸着効率が悪く、大量の凝集剤の添加を必
要とするとともに、得られる油スカムの含水率が高く、
このため油スカムの体積が増え、これを産業廃棄物とし
て処理する際のコスト増大を招くという問題点がある。
また、油スカムを脱水後焼却しようとする場合でも、凝
集剤を含む油スカムの水分含量を下げることが難しいた
め、処理コストが高くつくという問題点がある。さらに
凝集剤に油分が付着したスカムは粘質で取扱が難しいと
いう問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、油分含有水中の油分を濃縮性、
脱水性、分離性に優れた油スラッジまたはスカムとして
簡単に効率よく分離することができる油分含有水の処理
方法および装置を提案することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は次の油分含有水
の処理方法および装置である。 (1)油分含有水中の油分を酵素分解して得られる脂肪
酸の水不溶性塩を、油分含有水に添加して油分を吸着さ
せた後、固液分離することを特徴とする油分含有水の処
理方法。 (2)(a)油分含有水を凝集処理する凝集処理装置
と、(b)この凝集処理装置の凝集処理液を固液分離す
る固液分離装置と、(c)この固液分離装置で分離され
た油分の一部または全部を酵素分解する酵素分解装置
と、(d)この酵素分解装置の分解液の一部または全部
を、脂肪酸の水不溶性塩を生成する陽イオンと反応させ
て、水不溶性塩を生成させる反応装置と、(e)この反
応装置内に生成した脂肪酸の水不溶性塩を、前記凝集処
理装置に添加して油分を吸着させる添加装置とを具備す
ることを特徴とする油分含有水の処理装置(以下、第1
の処理装置という)。 (3)(a)油分含有水を凝集処理する凝集処理装置
と、(b)この凝集処理装置の凝集処理液を固液分離す
る固液分離装置と、(f)この固液分離装置で分離され
た油分を、脂肪酸の水不溶性塩を生成する陽イオンの存
在下に酵素分解する酵素分解装置と、(g)この酵素分
解装置で生成した脂肪酸の水不溶性塩を前記凝集処理装
置に添加して油分を吸着させる添加装置とを具備するこ
とを特徴とする油分含有水の処理装置(以下、第2の処
理装置という)。
【0005】本発明の処理方法において処理の対象とな
る油分含有水は、油分を含有する水であれば特に制限さ
れない。吸着分離の対象となる油分の種類は制限され
ず、動植物、鉱物等を起源とする油脂などがあげられる
が、特に動植物油の吸着分離に適している。また吸着分
離の対象となる油分の形状も制限されず、固体状、液
状、エマルション状等の油分が吸着分離できる。分離す
る油分の存在形態も制限されず、固体表面等に付着した
油分なども吸着分離の対象となるが、油分が水中に分散
ないし浮遊している油分が吸着分離の対象として好まし
い。処理の対象となる油分含有水の具体的なものとして
は、厨房排水、鉄鋼排水等があげられる。
【0006】本発明の処理方法で使用する脂肪酸の水不
溶性塩(以下、単に脂肪酸不溶性塩という)は、油分含
有水中の油分をリパーゼ等の油分分解酵素で分解して脂
肪酸を生成し、この脂肪酸を水不溶性塩としたものであ
る。この場合、油分含有水中の油分を凝集分離等により
分離して酵素分解するのが好ましいが、場合によっては
油分含有水をそのまま酵素分解してもよい。本発明で用
いる脂肪酸不溶性塩としては、予め調製されたものを使
用することもできるが、油分含有水の処理過程において
一度分離された油分を原料として用い、これから調製さ
れた脂肪酸不溶性塩を油分含有水に添加するのが好まし
い。
【0007】油分分解酵素としては、油分を分解し、脂
肪酸を遊離するものであれば制限なく使用でき、例えば
動物の消化液、消化器官;アスペルギルス属、ペニシリ
ウム属、リゾプス属、ゲオトリクム属等の糸状菌;シュ
ードモナス属等の細菌;酵母などから得られるリパーゼ
等が使用できる。さらに精製品の他に、酵素抽出物
(液)等を使用することもできる。
【0008】酵素処理は、油分と酵素とを接触させるこ
とにより行われるが、油分含有水から分離したスラッジ
またはスカムに酵素を添加し、撹拌混合しながら行うの
が好ましい。酵素処理の条件は、使用した酵素の最適p
Hおよび最適温度で行うのが好ましいが、これに限定さ
れない。また酵素の添加量および反応時間は、油分含有
量および他の処理条件を考慮して、油分が十分に分解さ
れるように適宜選択する。酵素の添加量は、通常100
〜10万ユニット/lが好ましい。なお酵素の1ユニッ
トは1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離させる酵素
量である。
【0009】例えば、酵素としてシュードモナス s
p.KWI−56菌株(微工研菌寄第9659号の微生
物受託番号で寄託されており、その菌学的性質等につい
ては特開平1−112979号に記載されている)から
生産されたリパーゼを使用した場合の処理条件は、pH
5以上、好ましくはpH6〜8、添加量100〜10万
ユニット/l、好ましくは1000〜10万ユニット/
l、反応時間1〜48時間、好ましくは1〜24時間が
望ましい。
【0010】酵素処理により、通常油分は炭素数10〜
24の飽和または不飽和脂肪酸とグリセリンとに、場合
によってはモノグリセリドまたはジグリセリド等の部分
エステルに加水分解される。油分が牛脂、豚脂、サラダ
油等の通常の動植物油脂である場合にはステアリン酸、
オレイン酸等の炭素数16〜18の飽和または不飽和脂
肪酸が主に生成する。
【0011】このようにして生成する脂肪酸から脂肪酸
不溶性塩を形成するには、酵素処理後に脂肪酸不溶性塩
を生成する陽イオンを添加して反応させる方法(以下、
第1の調製方法という)、脂肪酸不溶性塩を生成する陽
イオンの存在下に酵素処理を行う方法(以下、第2の調
製方法という)等があげられる。
【0012】脂肪酸不溶性塩を生成する陽イオンとして
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、アルミニウ
ム等の金属イオンまたはアンモニウムイオン等があげら
れ、特に塩基を使用すると、同時に中和も行われるので
好ましい。塩基の具体的なものとしては、水酸化カルシ
ウム等があげられる。添加または存在させる脂肪酸不溶
性塩を生成する陽イオンは、脂肪酸不溶性塩が形成され
るのに充分な量を用いる。
【0013】こうして得られる脂肪酸不溶性塩は、親油
基を有する親水性の水不溶性塩となっているため、油分
含有水に添加すると、油分含有水中の油分を効率よく、
容易に吸着して凝集する。従って、脂肪酸不溶性塩を油
分含有水に添加して油分を吸着させた後、固液分離する
ことにより、油分含有水から油分を効率よく吸着除去で
きる。
【0014】油分含有水の油分を吸着させる方法は、ま
ず脂肪酸不溶性塩を油分含有水に添加し、撹拌して油分
と接触させる。これにより、油分は脂肪酸不溶性塩に吸
着される。このとき、油分を吸着した脂肪酸不溶性塩は
水不溶性であるため、油分を吸着した状態で凝集が起こ
る。この場合、凝集剤等は添加しなくてもよい。
【0015】脂肪酸不溶性塩の添加量は排水中の油分1
重量部に対して1〜100重量部、好ましくは3〜10
重量部が望ましい。凝集処理は滞留時間が5分間〜6時
間、好ましくは10分間〜1時間、pHは無調整でもよ
いが、好ましくは5以上で行うのが望ましい。
【0016】このようにして生成したフロックを固液分
離により分離して除去する。固液分離の方法としては、
浮上分離、沈殿分離、遠心分離、濾過等の方法が採用で
きるが、浮上分離、特に加圧浮上分離、沈殿分離または
スクリーン濾過が好ましい。スクリーンは目開50μm
〜1mmのものが好ましい。フロックは濃縮性、脱水
性、分離性に優れているので、容易に分離できる。
【0017】分離した油スラッジまたはスカムは、酵素
処理を用いた前記第1または第2の調製方法による新た
な脂肪酸不溶性塩の調製に供する。ここで得られた脂肪
酸不溶性塩は、油分含有水に添加して油分の吸着を行
う。このように、分離した油スラッジまたはスカムに含
まれる油分を酵素分解して脂肪酸不溶性塩を形成させ、
油分吸着剤として循環することにより、油分を効率よく
除去できる。余剰の油スラッジまたはスカムは廃棄処分
するが、これらは含水率が低く、体積が小さい上に、粘
質でなく、水切れもよくて、取扱が容易であるので、産
業廃棄物として廃棄処理する場合でも、脱水後焼却する
場合でも、処理が容易で、しかもコストを低減すること
ができる。
【0018】本発明の第1の処理装置は、第1の調製方
法により脂肪酸不溶性塩を調製して油分含有水を処理す
る装置であり、第2の処理装置は、第2の調製方法によ
り脂肪酸不溶性塩を調製して油分含有水を処理する装置
である。いずれの装置も新たに形成された脂肪酸不溶性
塩を添加装置(e)、(g)により凝集処理装置(a)
に循環させているので、コンパクトな装置で効率よく油
分を吸着分離することができる。
【0019】
【作用】本発明の第1の処理装置においては、油分含有
水を凝集処理装置(a)において凝集処理し、固液分離
装置(b)において固液分離し、油分をスラッジまたは
スカムとして分離する。分離された油分を酵素分解装置
(c)において酵素分解して脂肪酸を生成させる。生成
した脂肪酸は反応装置(d)において、脂肪酸不溶性塩
を生成する陽イオンと反応させ、脂肪酸不溶性塩を生成
させる。この脂肪酸不溶性塩を添加装置(e)により前
記凝集処理装置(a)に添加して、油分を吸着させた状
態で凝集させる。
【0020】本発明の第2の処理装置においては、第1
の処理装置と同様に、油分含有水を凝集処理装置(a)
において凝集処理し、脂肪酸不溶性塩に油分を吸着さ
せ、固液分離装置(b)において固液分離し、油分をス
ラッジまたはスカムとして分離する。分離された油分を
酵素分解装置(f)において、脂肪酸不溶性塩を生成す
る陽イオンの存在下に酵素で分解して脂肪酸を生成させ
るとともに、脂肪酸不溶性塩を生成させる。この脂肪酸
不溶性塩を添加装置(g)により前記凝集処理装置
(a)に添加して、油分を吸着させた状態で凝集させ
る。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施例を図面について説明す
る。図1は第1の処理装置の実施例を示す系統図であ
り、1は凝集処理槽、2は固液分離槽、3は酵素分解
槽、4は反応槽、5は脂肪酸不溶性塩添加管であって、
それぞれ凝集処理装置(a)、固液分離装置(b)、酵
素分解装置(c)、反応装置(d)、添加装置(e)に
相当する。6は処理水槽である。
【0022】凝集処理槽1は内部に撹拌器11を備えて
おり、原水供給管12、脂肪酸不溶性塩添加管5および
連絡管14が接続し、連絡管14を介して固液分離槽2
に連絡している。
【0023】固液分離槽2は加圧浮上型の固液分離槽で
あって、上部が開放した横型の直方体容器からなり、上
端が水面下にある隔壁21によって浮上室22と分離室
23とに区画されている。浮上室22には邪魔板24を
設けたコーン状の凝集処理液供給部25が設けられてお
り、この凝集処理液供給部25に連絡管14および加圧
水管26が接続している。隔壁21の反対側の分離室2
3の端壁27は水面下から外方向に傾斜して上昇しスカ
ム回収部28を構成しており、これに隣接してスカム溜
29が設けられている。
【0024】分離室23の液面付近には、凝集処理液の
流入端側からスカム回収部28側へ向かって下向に傾斜
したスキマー41が設けられており、スカム回収部28
付近では端壁27の上部斜壁に沿って逆方向の上向の傾
斜が与えられている。スキマー41は分離室23の両側
壁に沿って走行する2本の無端チェーン42に複数のス
キマーブレード43を懸垂したチェーンスキマーからな
り、スプロケット44およびガイド45に沿って矢印A
方向に無端走行するように構成されている。このスキマ
ー41は傾斜して設けられているので、その走行中スキ
マーブレード43はスカム回収部28から遠い位置では
液面に浅く突入し、スカム回収部28付近では端壁27
上部の斜壁に沿って上昇するようになっている。
【0025】隔壁21側の分離室23の底部にはスラッ
ジ溜46が設けられ、排泥管47が接続している。分離
室23の底壁はスラッジ溜46に向かって傾斜してい
る。分離室23の端壁27の近くの底壁から若干離れた
位置に集水部48が設けられており、集水管49を介し
て処理水槽6に連絡している。
【0026】処理水槽6は集水管49、処理水管61、
返送水管62およびスカム移送管63が接続し、スカム
移送管63を介して酵素分解槽3に連絡している。返送
水管62には加圧ポンプ64、加圧タンク65および減
圧弁66がこの順序で設けられて加圧水管26に接続
し、凝集処理液供給部25に連絡している。加圧ポンプ
64と加圧タンク65との間の返送水管62には、コン
プレッサー67からの空気管68が接続している。
【0027】酵素分解槽3は内部に撹拌器71を備え、
スカム移送管63、酵素供給管72および連絡管73が
接続し、連絡管73を介して反応槽4に連絡している。
【0028】反応槽4は内部に撹拌器74を備え、連絡
管73、塩基供給管75および脂肪酸不溶性塩添加管5
が接続し、脂肪酸不溶性塩添加管5を介して凝集処理槽
1に連絡している。
【0029】以上のように構成された第1の処理装置に
よる油分含有水の処理方法は、まず原水供給管12から
原水を凝集処理槽1に導入し、脂肪酸不溶性塩添加管5
から脂肪酸不溶性塩を添加し、撹拌器11で撹拌しなが
ら油分を脂肪酸不溶性塩に吸着させて凝集処理する。凝
集処理槽1での滞留時間は5分間〜6時間、好ましくは
10分間〜1時間、pHは無調整でもよいが、好ましく
は5以上が望ましい。このようにしてフロックの生成し
た凝集処理液を連絡管14を介して凝集処理液供給部2
5から固液分離槽2の浮上室22へ送入する。
【0030】一方、処理水槽6から処理水を加圧ポンプ
64で加圧タンク65に送入するとともに、コンプレッ
サー67により空気を送入し、3〜5kg/cm2に保
つことにより加圧タンク65で空気を加圧溶解した加圧
水を生成し、この加圧水を減圧弁66によって減圧し、
加圧水管26を介して凝集処理液供給部25から固液分
離槽2の浮上室22へ送入する。
【0031】このようにして固液分離槽2ではフロック
を生成した凝集処理液と加圧水が混合された状態で凝集
処理液供給部25から浮上室22内に送入されるが、こ
のとき加圧水の減圧によって遊離した微細なコロイド状
の気泡がフロックに付着し、フロックを浮上させる。凝
集処理液供給部25では邪魔板24の作用により、液、
フロックの混合物は均一に上昇し、隔壁21の上端を越
えて分離室23に流入する。
【0032】分離室23では凝集処理液の流入側から端
壁27側に向かって液が流れ、この間気泡の付着したフ
ロックその他の浮上性物質は浮上してスカムとなり、ス
キマー41によってスカム回収部28に掻寄せられ、ス
カム溜29に排出、回収される。浮上性物質の浮上は凝
集処理液の流入端からスカム回収部28に至る分離室2
3の全体域において起こり、ほぼ均一にスカムが発生す
る。そしてスキマー41は走行開始端側から、末端側に
向って傾斜して設けられ、スキマーブレード43はスカ
ム回収部28から遠い位置では浅く突入し、走行ととも
に徐々に深く突入するようになっているので、最初は少
量のスカムを掻取り、進行するに従って掻取量を増やし
ていき、発生したスカムを各位置で均一に掻取ってスカ
ム回収部28からスカム溜29に排出する。
【0033】分離室23全体にスカム発生量が変動する
ときは、スキマー41の位置を上下してスキマーブレー
ド43の突入深さを変化させたり、または走行速度を変
化させることにより、スカムを完全に掻取ることができ
る。また分離室23の場所によってスカム発生量が変わ
るときは、スキマー41の傾斜角度を変化させて掻取量
を調整することができる。スキマー41の傾斜角度は装
置の規模により異なるが、一般的には液面に対して0.
5〜2度である。
【0034】分離室23では重質の濁質は沈降してスラ
ッジ溜46に集められ、排泥管47から排出される。こ
のようにして分離室23の中間の層は液が清澄化され、
集水部48から処理水として取出され、集水管49から
処理水槽6へ送られる。処理水の一部は前記のように加
圧タンクで空気を溶解して固液分離槽2に返送し、フロ
ックの浮上に利用する。残部は処理水管61から排水
し、必要により生物処理等の後処理を行って液中に残留
しているBOD成分等を除去した後放流する。
【0035】スカム溜29に回収されたスカムは、油分
含有水から分離された大量の油分を含んでいる。このス
カムの一部または全部をスカム移送管63から酵素分解
槽3に送入し、酵素供給管72からリパーゼを添加し、
撹拌器71で撹拌しながら脂肪酸とグリセリンとに分解
する。酵素分解槽3での滞留時間は1時間〜48時間、
好ましくは1時間〜24時間、pHは5以上、好ましく
は6〜8が望ましい。スカム移送管63から酵素分解槽
3に送入するスカムの量は、凝集処理槽1に添加する脂
肪酸不溶性塩の生成に必要な量を送入すればよく、余剰
のスカムは引抜きを行って、廃棄処分する。引抜きに際
しては、別途固液分離装置を設けてもよい。
【0036】酵素分解槽3の分解液の一部または全部を
反応槽4に送入し、塩基供給管75から水酸化カルシウ
ムのような脂肪酸を中和して脂肪酸不溶性塩を生成する
塩基を添加し、撹拌器74で撹拌しながら反応させ、脂
肪酸を中和して脂肪酸不溶性塩を形成する。このように
して形成された脂肪酸不溶性塩を脂肪酸不溶性塩添加管
5から凝集処理槽1に添加し、油分を吸着させて凝集処
理を行う。余剰スカムはこのとき引抜いてもよい。
【0037】図2は第2の処理装置の実施例を示す系統
図であり、図1と同一符号は同一または相当部分を示
す。図において、1は凝集処理槽、2aは沈殿槽、3a
は酵素分解槽、5aは脂肪酸不溶性塩添加管であって、
それぞれ凝集処理装置(a)、固液分離装置(b)、酵
素分解装置(f)、添加装置(g)に相当する。
【0038】凝集処理槽1は内部に撹拌器11を備えて
おり、原水供給管12、脂肪酸不溶性塩添加管5aおよ
び連絡管14が接続し、連絡管14を介して沈殿槽2a
に連絡している。
【0039】沈殿槽2aには連絡管14、処理水管61
およびスラッジ移送管81が接続し、スラッジ移送管8
1を介して酵素分解槽3aに連絡している。
【0040】酵素分解槽3aは内部に撹拌器71を備
え、酵素供給管72、塩基供給管75、スラッジ移送管
81および脂肪酸不溶性塩添加管5aが接続し、脂肪酸
不溶性塩添加管5aを介して凝集処理槽1に連絡してい
る。
【0041】以上のように構成された第2の処理装置に
よる油分含有水の処理方法は、まず原水供給管12から
原水を凝集処理槽1に導入し、脂肪酸不溶性塩添加管5
aから脂肪酸不溶性塩を添加し、撹拌器11で撹拌しな
がら油分を脂肪酸不溶性塩に吸着させて凝集させる。こ
のようにしてフロックの生成した凝集処理液を連絡管1
4から沈殿槽2aへ送入する。
【0042】沈殿槽2aではフロックを沈降させ、スラ
ッジと処理水とに固液分離する。処理水は処理水管61
から排水し、必要により生物処理等の後処理を行って液
中に残留しているBOD成分等を除去した後放流する。
【0043】沈殿槽2aで分離したスラッジは大量の油
分を含んでいる。このスラッジをスラッジ移送管81か
ら酵素分解槽3aに送入する。スラッジ移送管81から
酵素分解槽3aに送入するスラッジの量は、凝集処理槽
1に添加する脂肪酸不溶性塩の生成に必要な量を送入す
ればよく、余剰のスラッジは引抜きを行って、廃棄処分
する。
【0044】酵素分解槽3aでは、酵素供給管72から
リパーゼを添加し、また塩基供給管75から水酸化カル
シウムのような脂肪酸を中和して脂肪酸不溶性塩を生成
する塩基を添加する。このようにして、塩基の存在下
に、撹拌器71で撹拌しながらリパーゼにより油分を脂
肪酸とグリセリンとに分解するとともに、脂肪酸不溶性
塩を形成する。酵素分解槽3aでの滞留時間は1時間〜
48時間、好ましくは1時間〜24時間、pHは5以
上、好ましくは6〜8が望ましい。このようにして形成
された脂肪酸不溶性塩を脂肪酸不溶性塩添加管5aから
凝集処理槽1に添加し、油分を吸着させて、凝集処理を
行う。余剰のスラッジはこのとき引抜いてもよい。
【0045】試験例1 BOD 520mg/l、SS 210mg/l、n−
ヘキサン抽出物 45mg/lの厨房排水を予め目開
0.5mmのスクリーンで濾過し、図2に示す装置で処
理した。処理量は1 liter/hrとし、1日10
時間運転した。
【0046】凝集処理槽1の滞留時間は1時間、pHは
7とした。沈殿槽2a下部には電磁弁を取付け、1日1
0回目視で確認しながら濃縮スラッジを酵素分解槽3a
に移送した。酵素分解槽3aには予め水酸化カルシウム
(Ca(OH)2)および栗田工業(株)製リパーゼを
添加した。リパーゼの添加量は10000ユニット/l
とした。酵素分解槽3aの滞留時間は24時間、pHは
6.5とした。酵素分解槽3aで生成した沈殿物を、排
水量の10重量%の流量で凝集処理槽1へ添加した。
【0047】なお運転開始時は、水道水に大豆油を5重
量%になるように添加した後、栗田工業(株)製リパー
ゼを10万ユニット/l添加して16時間反応させ、次
に水酸化カルシウムを1重量%添加して沈殿を生成させ
た。この沈殿物で酵素分解槽3aを満たした後、排水量
の10重量%の流量で凝集処理槽1へ添加した。
【0048】運転開始時は、酵素分解槽5aのSS濃度
は9.5重量%であった。10日間の運転期間でSS濃
度はわずかに上昇し、9.8重量%になった。処理水中
のn−ヘキサン抽出物は常に10mg/lであった。
【0049】試験例2 CODcr 2600mg/l、SS 700mg/l、
n−ヘキサン抽出物1400mg/lの鉄鋼排水を、試
験例1と同様の方法で生成した沈殿物の等量と30分間
撹拌混合した後、静置した。5分後、上澄みを捨て、沈
殿物にリパーゼを1万ユニット/lになるように添加
し、室温で16時間撹拌した後、水酸化カルシウムをp
Hが8.5になるまで添加した。この操作を5回繰返し
た。
【0050】5回の処理水はCODcr 1020mg/
l、SS 8mg/l、n−ヘキサン抽出物 20mg
/l以下であった。また沈殿スラッジは目開100メッ
シュのふるいで容易に濾過でき、濾過直後の含水率は6
3重量%であった。
【0051】なお、前記実施例において、凝集処理装置
として凝集処理槽を用いたが、ラインミキサその他の凝
集処理装置であってもよく、これらは固液分離装置と一
体化していてもよい。また固液分離装置も、スクリーン
濾過その他の固液分離装置を用いることができる。さら
に酵素分解装置、反応装置、添加装置も図示のものに限
定されず、他の構造、機構のものでもよく、これらは一
部または全部が一体化していてもよい。
【0052】
【発明の効果】以上の通り、本発明の油分含有水の処理
方法によれば、油分含有水中の油分を酵素分解して得ら
れる脂肪酸不溶性塩を、油分含有水に添加して油分を吸
着させた後、固液分離するようにしたので、油分含有水
中の油分を利用して油分吸着性および凝集性に優れた脂
肪酸不溶性塩を生成させることができ、これにより油分
を濃縮性、脱水性、分離性に優れた油スラッジまたはス
カムとして簡単に効率よく分離することができる。
【0053】また本発明の第1の処理装置によれば、固
液分離装置(b)において分離した油分を酵素分解装置
(c)において酵素により脂肪酸に分解し、反応装置
(d)において脂肪酸不溶性塩を形成し、この脂肪酸不
溶性塩を添加装置(e)により凝集処理装置(a)に添
加するようにしたので、油分含有水から油分をコンパク
トな装置で簡単に効率よく分離することができる。
【0054】さらに本発明の第2の処理装置によれば、
固液分離装置(b)において分離した油分を、脂肪酸不
溶性塩を生成させる陽イオンの存在下に、酵素分解装置
(f)において酵素により分解するとともに脂肪酸不溶
性塩を形成し、この脂肪酸不溶性塩を添加装置(g)に
より凝集処理装置(a)に添加するようにしたので、油
分含有水から油分をさらにコンパクトな装置で簡単に効
率よく分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の処理装置の実施例を示す系統図である。
【図2】第2の処理装置の実施例を示す系統図である。
【符号の説明】
1 凝集処理槽 2 固液分離槽 2a 沈殿槽 3、3a 酵素分解槽 4 反応槽 5、5a 脂肪酸不溶性塩添加管 6 処理水槽 11、71、74 撹拌器 12 原水供給管 14、73 連絡管 21 隔壁 22 浮上室 23 分離室 24 邪魔板 25 凝集処理液供給部 26 加圧水管 27 端壁 28 スカム回収部 29 スカム溜 41 スキマー 42 無端チェーン 43 スキマーブレード 44 スプロケット 45 ガイド 46 スラッジ溜 47 排泥管 48 集水部 49 集水管 61 処理水管 62 返送水管 63 スカム移送管 64 加圧ポンプ 65 加圧タンク 66 減圧弁 67 コンプレッサー 68 空気管 72 酵素供給管 75 塩基供給管 81 スラッジ返送管
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/40 CCK D 7824−4D 1/54 F 7824−4D

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油分含有水中の油分を酵素分解して得ら
    れる脂肪酸の水不溶性塩を、油分含有水に添加して油分
    を吸着させた後、固液分離することを特徴とする油分含
    有水の処理方法。
  2. 【請求項2】 (a)油分含有水を凝集処理する凝集処
    理装置と、 (b)この凝集処理装置の凝集処理液を固液分離する固
    液分離装置と、 (c)この固液分離装置で分離された油分の一部または
    全部を酵素分解する酵素分解装置と、 (d)この酵素分解装置の分解液の一部または全部を、
    脂肪酸の水不溶性塩を生成する陽イオンと反応させて、
    水不溶性塩を生成させる反応装置と、 (e)この反応装置内に生成した脂肪酸の水不溶性塩
    を、前記凝集処理装置に添加して油分を吸着させる添加
    装置とを具備することを特徴とする油分含有水の処理装
    置。
  3. 【請求項3】 (a)油分含有水を凝集処理する凝集処
    理装置と、 (b)この凝集処理装置の凝集処理液を固液分離する固
    液分離装置と、 (f)この固液分離装置で分離された油分を、脂肪酸の
    水不溶性塩を生成する陽イオンの存在下に酵素分解する
    酵素分解装置と、 (g)この酵素分解装置で生成した脂肪酸の水不溶性塩
    を前記凝集処理装置に添加して油分を吸着させる添加装
    置とを具備することを特徴とする油分含有水の処理装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013234983A (ja) * 2012-04-12 2013-11-21 Ylex Co Ltd 放射性物質の除去方法及び除去システム
JP2015077586A (ja) * 2013-10-16 2015-04-23 株式会社サンエイ 加圧浮上式スカム分離処理装置

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