JPH05245373A - カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法 - Google Patents

カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法

Info

Publication number
JPH05245373A
JPH05245373A JP4224983A JP22498392A JPH05245373A JP H05245373 A JPH05245373 A JP H05245373A JP 4224983 A JP4224983 A JP 4224983A JP 22498392 A JP22498392 A JP 22498392A JP H05245373 A JPH05245373 A JP H05245373A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
component
group
compound
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4224983A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3276413B2 (ja
Inventor
Hiroshi Kimura
洋 木村
Keiichi Den
慶一 伝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP22498392A priority Critical patent/JP3276413B2/ja
Publication of JPH05245373A publication Critical patent/JPH05245373A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3276413B2 publication Critical patent/JP3276413B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】(イ)〜(ニ)から選ばれる少なくとも一種以
上の触媒成分を、(a)〜(d)から選ばれる少なくと
も一つの物性を有し、かつ灰分含量が15重量%以下の
活性炭及び/又はカーボンブラックからなる担体に担持
させた触媒の存在下、1級水酸基と2級水酸基とをそれ
ぞれ1個以上有する多価アルコールを接触酸化すること
を特徴とするカルボニル基及び/又はカルボキシル基を
有する化合物の製造方法。 【効果】安価な原料から有用なカルボニル基及び/又は
カルボキシル基を有する化合物を高濃度にかつ高収率に
製造することができる。特に、固定床反応装置を利用す
ることにより、多価アルコール水溶液の濃度が20重量
%以上という高濃度系での反応が可能となり、得られる
化合物の濃度が飛躍的に向上し、更に触媒分離工程の省
略等、高生産性プロセスが可能となり、その波及効果は
大である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生理活性物質やアミノ酸
の中間原料として重要なカルボニル基及び/又はカルボ
キシル基を有する化合物の製造方法に関する。さらに詳
しくは、カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有す
る化合物を安価な多価アルコールから効率良く製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】カル
ボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物であ
るジヒドロキシアセトン(又はその2量体)、ヒドロキ
シピルビン酸、ヒドロキシアセトン、ピルビン酸、グリ
セルアルデヒド(又はその2量体)、オキシマロン酸、
グリセリン酸及び乳酸等は、生理活性物質やアミノ酸を
製造する際の中間体として極めて重要である。これらの
中間体はその基本骨格から、1級水酸基と2級水酸基を
有するグリセリンや1,2−プロピレングリコール、も
しくはそれらの誘導体からの誘導が考えられる。
【0003】従来よりグリセリンを酸化して、グリセリ
ン酸化物に誘導するための種々の方法が提案されてい
る。例えば、J.Org.Chem..52,2318(1987) によると、グ
リセリン酸はグリセリンの硝酸酸化もしくは水銀酸化に
よる方法が記載されているが、公害、排水処理の観点か
ら好ましい方法ではない。また英国特許第1051614 号に
よれば電解酸化によるグリセルアルデヒドの製造方法が
記載されているが、原料グリセリンが希薄濃度であり実
用的適用は困難である。また、特開昭 62-210994号公
報、特開平2-286089号公報及びJournal of American Ch
emical Society,59,301(1937) には、グリセリンの2級
水酸基が酸化されたジヒドロキシアセトンをアセトバク
ター(Acetobacter Sp.)を用いる酵素反応によって製造
する方法が記載されている。さらに、特開平1-207255号
公報にはグリセリンを有機溶媒中で過酢酸酸化すること
によりジヒドロキシアセトンを化学合成する方法も提案
されている。
【0004】しかしながら、前述の微生物を用いた方法
及び化学合成法のいずれも反応時の原料グリセリン濃度
が5〜15重量%と低く、その結果得られるジヒドロキ
シアセトンの濃度が低いこと等から、実用上の問題が多
い。また、ピルビン酸は乳酸の気相酸化反応によって製
造されているが、これらの酸化生成物又はその2量体は
熱的に不安定であり、pHによっても容易に異性化する
ため、温和な条件下で反応条件を厳密に管理して合成す
る必要がある。しかし、温和な条件下での反応は長時間
を要するという欠点がある。また、原料多価アルコール
の分子会合による反応疎外を緩和するためにも低濃度で
反応を行う必要があり、生産性の点でも満足のいくもの
ではなく、工業的に有利な方法ではない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、接触酸化
法により多価アルコールから効率よく対応するカルボニ
ル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を製造す
ることのできる高生産性プロセスを開発すべく、副反応
物の生成が少なく高収率で得られること、高濃度で得ら
れること、反応速度が高いこと等を目的として鋭意研究
した結果、特定の触媒成分、触媒担体を用いることによ
り、これらの課題を達成出来ることに成功し本発明を完
成させた。
【0006】即ち、本発明の要旨は、 (1)下記の(イ)〜(ニ)から選ばれる少なくとも一
種以上の触媒成分を、下記の(a)〜(d)から選ばれ
る少なくとも一つの物性を有し、かつ灰分含量が15重
量%以下の活性炭及び/又はカーボンブラックからなる
担体に担持させた触媒の存在下、1級水酸基と2級水酸
基とをそれぞれ1個以上有する多価アルコールを接触酸
化することを特徴とするカルボニル基及び/又はカルボ
キシル基を有する化合物の製造方法、 触媒成分: (イ)白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニ
ウム、金、銀および銅からなる群から選ばれる1種以上
の元素(以下、触媒第1成分と称する)単独 (ロ)上記触媒第1成分と、スズ、鉛、アンチモン、ビ
スマス、セレン及びテルルからなる群から選ばれる1種
以上の元素(以下、触媒第2成分と称する)との組み合
わせ (ハ)上記触媒第1成分と、希土類元素からなる群から
選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第3成分と称す
る)との組み合わせ (ニ)上記触媒第1成分、触媒第2成分及び触媒第3成
分との組み合わせ 担体の物性: (a)活性炭及び/又はカーボンブラックの比表面積が
500m2 /g以上 (b)活性炭及び/又はカーボンブラックの嵩密度が8
00g/リットル以下 (c)活性炭及び/又はカーボンブラックの細孔容積が
0.3ml/g以上 (d)活性炭及び/又はカーボンブラックの平均細孔直
径が20nm以下 (2)前記の(イ)〜(ニ)から選ばれる少なくとも一
種以上の触媒成分を担体に担持させた触媒の存在下、1
級水酸基と2級水酸基とをそれぞれ1個以上有する多価
アルコールを酸素と該多価アルコールとのモル比が0.
1:1〜100:1となるように酸素もしくは酸素含有
ガスを流通させて接触酸化するに際して、反応塔内に固
定化された触媒上に液相と気相を連続的に流通させる固
定床反応装置を使用することを特徴とするカルボニル基
及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法に
関する。
【0007】本発明で使用する触媒成分としては、前記
のように (イ)白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニ
ウム、金、銀および銅からなる群から選ばれる1種以上
の元素(以下、触媒第1成分と称する)単独、(ロ)上
記触媒第1成分と、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、
セレン及びテルルからなる群から選ばれる1種以上の元
素(以下、触媒第2成分と称する)との組み合わせ、
(ハ)上記触媒第1成分と、希土類元素からなる群から
選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第3成分と称す
る)との組み合わせ、(ニ)上記触媒第1成分、触媒第
2成分及び触媒第3成分との組み合わせ、の4つの群よ
り選ばれる1種であり、本発明を実施するにあたっては
多価アルコールの被酸化部位が1級水酸基か2級水酸基
かによって、上記触媒成分の組み合わせ(イ)〜(ニ)
を適当に選択するのが好ましい。即ち、多価アルコール
の主に1級水酸基を酸化してカルボキシル基に変換する
場合には(イ)もしくは(ハ)が好ましいが、酸素によ
る触媒被毒が顕著な場合には(ロ)もしくは(ニ)を用
いてもよい。一方、多価アルコールの主に2級水酸基を
酸化する場合には(ロ)もしくは(ニ)が好ましい。
【0008】また、なかでも触媒第1成分としては、特
に白金、パラジウム、銀、金、銅が有効であり、又、第
2成分としては鉛、ビスマス、セレン、テルルが有効で
ある。又、第3成分としてはセリウムとランタンが有効
である。更に触媒成分として、各群から選ばれる元素は
それぞれ一種である必要はなく、複数個併用することに
よって複合機能を発現できることがある。
【0009】本発明で使用する担持触媒の担体として
は、通常の担体、例えば、活性炭、カーボンブラック、
シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、ゼオライト、モ
レキュラーシーブ、石綿等が挙げられ特に限定されるも
のではないが、なかでも活性炭とカーボンブラックが有
効である。また、これらは単独で又は2種以上を混合し
て使用される。活性炭とカーボンブラックを使用する場
合、その性状は、下記(a)〜(d)から選ばれる少な
くとも一つの物性を有し、かつ灰分含量が15重量%以
下であることが好ましい。15重量%より大きい場合に
は触媒活性が低下することがあり、好ましくは5重量%
以下、更に好ましくは2重量%以下である。しかし、灰
分含量が低値でも灰分中に鉄、ニッケル、コバルト、ク
ロム、マンガン等の重金属を含有するものは出来るだけ
最大限に低減するのが好ましい。これはこれらの重金属
の混入により、多価アルコールの接触酸化において触媒
活性の低下、選択性の低下といった重大な影響を与える
場合があるからである。
【0010】担体として活性炭及び/又はカーボンブラ
ックを使用する場合に要求される物性は、以下の通りで
ある。 (a)活性炭及び/又はカーボンブラックの比表面積が
500m2 /g以上 (b)活性炭及び/又はカーボンブラックの嵩密度が8
00g/リットル以下 (c)活性炭及び/又はカーボンブラックの細孔容積が
0.3ml/g以上 (d)活性炭及び/又はカーボンブラックの平均細孔直
径が20nm以下
【0011】即ち、担体の比表面積は触媒成分の高分散
性に多大な影響を与えるため、500m2 /g以上必要
であり、これ未満では本発明の反応を効率よく進めるこ
とができない。好ましくは800m2 /g以上、更に好
ましくは1000m2 /g以上であり、特に好ましくは
1200m2 /g以上である。担体の嵩密度は極めて重
要な項目で800g/リットル以下が必要であり、これ
より大きい場合には触媒成分単位重量当たりの反応効率
が大きく低下する。好ましくは600g/リットル以
下、更に好ましくは400g/リットル以下、特に好ま
しくは200g/リットル以下である。担体の細孔容積
は0.3ml/g以上必要であり、これ未満では本発明
の反応は効率よく進行しない。好ましくは0.6ml/
g以上、更に好ましくは0.9ml/g以上、特に好ま
しくは1.1ml/g以上である。担体の平均細孔直径
は20nm以下が必要であり、これより大きい場合には
触媒活性が大きく低下する。好ましくは10nm以下、
更に好ましくは6nm以下、特に好ましくは4nm以下
である。なお、本発明において活性炭とカーボンブラッ
クを使用する場合、その性状は、前記の(a)〜(d)
から選ばれる少なくとも一つの物性を有していることが
必要であり、必ずしも全ての物性の要件を満足する必要
はない。しかし、好ましくは、これらの物性の要件をで
きるだけ多く満足するものを使用するのがより効果的で
ある。
【0012】本発明で使用する触媒担体としての活性炭
は、ヤシ殻、木質系、石炭系、ビート炭系もしくは石油
ピッチ系等のいずれの原料に由来するものでもよいが、
特に強熱残分もしくは灰分含量の低いヤシ殻系や石油ピ
ッチ系が有効である。また、活性炭は水蒸気賦活もしく
は薬品賦活のいずれの方法で賦活したものでもよいが、
賦活効果の高い薬品賦活の方が担体として有効な場合が
ある。本発明で使用する触媒担体としての活性炭は市販
のものをそのまま使用することも出来るが、適当な前処
理、例えば酸処理等により細孔分布を調整したり灰分を
低減した後に使用してもよい。本発明で使用する市販の
粒状及び粉末活性炭としては一般の水処理用及び水溶性
の食品精製用のものが主に使用され、例えば、武田薬品
製の粒状白鷺シリーズ(WH、Sx、KL) 及びカルボラフィ
ンを代表とする粉末活性炭、ノリット社製の粒状活性炭
(ROX、RAX 、DARCO 、C 、ELORIT等) 及び粉末品の(AZ
O、PN、ZN等) 、呉羽化学製ビーズ状成形活性炭(BAC)
が挙げられる。また、市販のカーボンブラックも本発明
の反応を実施する際の触媒担体として有効であり、例え
ば、キャブラック社製のカーボンブラックが挙げられ
る。しかし、本発明に用いられる活性炭及びカーボンブ
ラックは特にこれらの活性炭及びカーボンブラックに限
定されるものではない。
【0013】本発明に用いられる担持触媒は、上記触媒
成分を常法に従って上記担体に、各触媒成分を同時又は
段階的に担持させることにより得られ、これを種々の還
元剤で活性化して、多価アルコールの酸化反応に使用す
る。例えば活性炭担体の場合には、粒状活性炭に常法に
従って、上記(イ)〜(ニ)のいずれかより成る触媒成
分を担持させて成る触媒組成物を、適当な還元剤、例え
ば、ホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウ
ム、水素またはメチルアルコール等で還元処理を施すこ
とによって得られる。また、上記触媒成分(イ)のかわ
りに市販の白金カーボン触媒やパラジウムカーボン触媒
も使用出来る。さらに、市販の白金カーボン触媒やパラ
ジウムカーボン触媒を(ロ)〜(ニ)の触媒第1成分と
して使用し、これに触媒第2成分及び/又は触媒第3成
分を担持させても本発明における触媒を調製することが
出来る。
【0014】本発明で使用する多価アルコールとして
は、1級水酸基と2級水酸基とをそれぞれ1個以上有す
るものであれば特に限定されるものではなく、例えばグ
リセリン、置換グリセリン、1,2−プロピレングリコ
ール、置換1,2−プロピレングリコール、グルコー
ス、置換グルコース、ソルビトール等が挙げられる。こ
こで置換とは、炭素数1〜18のアルキル基又はアルケ
ニル基、アミノ基、ニトロ基、芳香族残基等の置換化合
物を意味する。また、本発明の方法で得られるカルボニ
ル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物として
は、原料となる多価アルコールの1級水酸基及び/又は
2級水酸基が酸化されて得られるものであり、例えばジ
ヒドロキシアセトン、ヒドロキシアセトン、ヒドロキシ
ピルビン酸、グリセルアルデヒド、グリセリン酸、ピル
ビン酸、オキシマロン酸、又は乳酸等が挙げられる。
【0015】ここで、1級水酸基及び2級水酸基とを有
する多価アルコールとしてグリセリン又は1,2−プロ
ピレングリコールを用いた場合の酸化経路について、図
面を用いて以下に説明する。
【0016】グリセリンの酸化経路:グリセリンの酸化
は図1に示すように、初めに2級水酸基が酸化される
か、又は1級水酸基が酸化されるかにより、ジヒドロキ
シアセトン経由のルートとグリセルアルデヒド経由のル
ートの2つに分かれる。即ち、このルートは以下の5つ
の過程からなっている。 グリセリンの酸化によるジヒドロキシアセトンの生
成。 ジヒドロキシアセトンの酸化によるヒドロキシピル
ビン酸の生成。 グリセリンの酸化によるグリセルアルデヒドの生
成。 グリセルアルデヒドの酸化によるグリセリン酸の生
成。 グリセリン酸の酸化によるヒドロキシピルビン酸の
生成。 グリセリン酸の酸化によるオキシマロン酸の生成。 ここで本発明の生成物であるグリセルアルデヒドとジヒ
ドロキシアセトンは、それぞれ2量体としてのグリセル
アルデヒド2量体、ジヒドロキシアセトン2量体との平
衡混合物として存在しているため、濃度調整もしくはp
H調整等によって単量体の方へ平衡をずらすことが出来
る。
【0017】1,2−プロピレングリコールの酸化経
路:1,2−プロピレングリコールの酸化も、図2に示
すように、最初に2級水酸基が酸化されるか、又は1級
水酸基が酸化されるかにより、ヒドロキシアセトン経由
のルートと、乳酸経由のルートの2つに分かれる。即
ち、このルートは以下の4つの過程からなっている。 1,2−プロピレングリコールの酸化によるヒドロ
キシアセトンの生成。 ヒドロキシアセトンの酸化によるピルビン酸の生
成。 1,2−プロピレングリコールの酸化による乳酸の
生成。 乳酸の酸化によるピルビン酸の生成。
【0018】次に本発明の製造方法においては、酸化さ
れる化合物と得られる目的の化合物により好適な反応条
件を種々の態様に分けることができる。 (1)まず、第1の態様として、本発明における触媒を
使用してグリセリンからジヒドロキシアセトン、又は
1,2−プロピレングリコールからヒドロキシアセトン
を製造する場合である。この場合、反応温度は出来るだ
け低い方がよく、−20〜60℃、好ましくは−10〜
60℃、さらに好ましくは0〜40℃が良い。反応温度
が60℃を越すと1級水酸基の酸化が促進されジヒドロ
キシアセトンおよびヒドロキシアセトンの収率が低下す
る。また反応温度が−20℃より低いと反応速度が激減
し実用的ではない。また、酸化反応は酸性雰囲気下で実
施するのがよく、pHを7〜1好ましくは6〜2、さら
に好ましくは4〜2に維持するのが良い。pHの調整
は、一部並発反応により生成するカルボキシル基により
酸性を保持してもよいし、酸を添加してもよい。多価ア
ルコールに対する酸素のモル比は酸素:多価アルコール
で0.1:1〜100:1が良いが、0.25:1〜3
0:1が好ましく、更に好ましくは0.5:1〜10:
1が良い。触媒としては、本発明における触媒(ロ)又
は(ニ)の使用が好ましいが、酸素のモル比が過大にな
ると触媒の選択性が変化する場合がある。
【0019】(2)第2の態様として、本発明の触媒を
使用してグリセリンからグリセルアルデヒドを経由して
グリセリン酸、オキシマロン酸、又は1,2−プロピレ
ングリコールから乳酸を製造する場合である。この場
合、反応温度は0〜80℃、好ましくは30〜60℃、
さらに好ましくは30〜50℃が良い。1級水酸基をカ
ルボキシル基に酸化する場合、酸化反応を塩基性雰囲気
下で実施するのが反応速度と収率の点から好ましいた
め、アルカリ添加のもとに反応を行う。しかし、塩基性
雰囲気下での酸化反応は、これらのカルボキシル基を有
する化合物のアルカリ金属塩を生成するため、カルボキ
シル基を有する化合物そのものを得るためには中和工程
が必要となる。また、触媒として白金以外の金属を触媒
元素として使用する場合は、塩基性雰囲気下でなければ
酸化反応が進行しにくいため、pH7.5〜13に調整
するのがよい。白金以外の触媒の中ではパラジウムが好
ましい。一方、白金を触媒元素として使用する場合は、
酸性雰囲気下でも反応が進行するという特徴を有してお
り、この場合はアルカリ添加の必要がないためカルボキ
シル基を有する化合物そのものを製造することが出来
る。白金の場合もpH8以上の塩基性雰囲気で酸化する
方が反応速度は大であるが、白金は塩基性雰囲気下では
溶出しやすい。従って、白金を触媒元素とする場合、p
Hは7.5〜1、好ましくは6〜2、更に好ましくは4
〜2に維持するのが良い。多価アルコールに対する酸素
のモル比は酸素:多価アルコールで、0.1:1〜10
0:1が良いが、0.5:1〜20:1が好ましく、更
に好ましくは1:1〜5:1が良い。触媒としては本発
明における触媒(イ)が好ましく、さらに希土類元素含
有の触媒(ハ)を使用することにより反応速度を向上さ
せることが出来る。また、酸素による触媒被毒が顕著な
場合には触媒(ニ)の使用が好ましい。
【0020】(3)第3の態様として、本発明における
触媒を使用して、前述の方法でグリセリンからの酸化反
応によって得られたグリセリン酸またはジヒドロキシア
セトンを経てヒドロキシピルビン酸を製造する場合、反
応温度は30〜60℃が好ましい。pHは3〜6が好ま
しい。多価アルコールに対する酸素モル比は酸素:多価
アルコールで、0.5:1〜10:1が好ましい。触媒
としては本発明における触媒(ロ)または(ニ)が好ま
しい。
【0021】(4)第4の態様として、本発明における
触媒を使用してグリセリンからグリセルアルデヒドを製
造する場合、グリセルアルデヒドはグリセリン酸に容易
に酸化されるため、反応温度は0〜40℃が好ましく、
pHは2〜6、多価アルコールに対する酸素モル比は酸
素:多価アルコールで、0.25:1〜2:1が好まし
い。使用する触媒としては(イ)が好ましい。
【0022】本発明で使用する多価アルコールの酸化反
応において、1級水酸基の酸化と2級水酸基の酸化は基
本的に並発反応となる。従って本発明においては、1級
水酸基の酸化に由来するカルボキシル基が生成するた
め、アルカリを添加しない限り、反応液は酸性側に推移
する。しかしながら、前述の如く本発明における触媒
(イ)〜(ニ)を適切に選択し、さらにpH、温度、原
料多価アルコールに対する酸素のモル比等の反応条件を
最適な範囲に維持することにより、1級及び2級水酸基
の酸化に対する選択性を制御することが可能となる。即
ち、多価アルコールの主に1級水酸基を酸化してカルボ
キシル基に変換する場合には、前記のように(イ)もし
くは(ハ)が好ましく、主に2級水酸基を酸化する場合
には(ロ)もしくは(ニ)が好適に使用される。その結
果、特定のカルボニル基及び/又はカルボキシル基を有
する化合物を効率的に製造することができる。
【0023】また、グリセリン又は、1,2−プロピレ
ングリコールを原料とする場合、上述のごとくカルボニ
ル基及び/又はカルボキシル基を有する種々の化合物が
逐次反応によって得られる。従って、特定のカルボニル
基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を製造する
場合は、逐次反応において実験的に求めた所望の化合物
濃度が最大になる反応条件で反応を行えばよい。しかし
ながら、逐次反応であることから得られた酸化反応物は
所望の化合物を含む混合物となるため、特に前記のよう
に得られる化合物に応じて高転化率の達成できる触媒を
選択するのが好ましい。また、得られた酸化反応物は混
合物であることから、分離精製を行うことが必要とな
る。分離精製は常法により容易に行うことができ、例え
ばクロマト分離等の方法により、目的のカルボニル基及
び/又はカルボキシル基を有する化合物を得ることが出
来る。なお、本発明は原料として1級水酸基と2級水酸
基とをそれぞれ1個以上有する多価アルコールを使用す
るものであるが、前記のように逐次反応の過程において
得られた1級水酸基及び/又は2級水酸基を有する中間
体、あるいは他の方法により得られた同様の中間体に対
しても、本発明の方法を同様に適用することにより目的
のカルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合
物を得ることが出来る。
【0024】本発明において使用する酸化剤としては、
酸素もしくは酸素含有ガスが使用される。例えば、空気
もしくは任意の組成の酸素と窒素の混合ガスを使用する
ことが出来るが、空気を使用するのが経済的である。本
発明の反応は回分式、連続式、いずれにも適用すること
が出来る。また反応器の形式は攪拌槽式、インジェクタ
ー式、流動床式、固定床式等を用いることが出来る。触
媒の形態は特に限定されず、粉末状、粒状、成形品等を
反応器の形式に応じて使用すればよい。固定床式反応器
の場合は、粒状又は成形品の形態の触媒を用いる。
【0025】以下、固定床反応装置によるカルボニル基
及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法に
ついて詳細に説明する。本発明の反応で製造されるカル
ボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物は生
理活性物質やアミノ酸を製造する際の中間体としても極
めて重要であり、これを出発原料としてさらに異なる反
応を適用する場合、触媒分離工程が必要となる。特に生
産量が大なる場合には触媒分離工程はプロセス的にも負
荷が大であるため、固定床反応装置の適用は触媒分離工
程の省略、高濃度原料を使用しての反応等、生産性の点
で多大なメリットをもたらす。例えば本発明で製造する
カルボニル基を有する化合物の一つであるジヒドロキシ
アセトンは1896年に初めて発酵法により合成されて
以来、現在でも発酵法によって製造されており、菌体分
離、原料低濃度での長時間反応をしいられ、生産効率の
向上が大きな問題となっている。かかる問題の解決のた
めにも本発明の反応を固定床反応装置を用いて実施する
ことは多大なメリットをもたらすものである。即ち、本
発明においては、種々の触媒担体を使用して固定床反応
装置用の粒状触媒を調製し、これを充填した固定床反応
装置を用いて、多価アルコールを接触酸化してカルボニ
ル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を製造す
ることにより、本発明の目的である原料多価アルコール
の(1)高濃度水溶液系(20重量%以上)での反応、
(2)高転化率の達成、および(3)酸化生成物からの
触媒分離工程の省略等に成功するとともに、回分反応器
における攪拌等によって引き起こされる触媒の物理的破
損に由来する触媒劣化を回避して耐久性を大きく向上さ
せることが出来た。
【0026】本発明においては、例えばグリセリンの5
0重量%水溶液を本発明者等が開発した触媒成分(ロ)
もしくは(ニ)を担持させた担持触媒を充填した固定床
反応装置を用いて酸性下に空気もしくは酸素を用いて触
媒酸化すると80モル%程度の収率で生理活性物質やア
ミノ酸の中間原料として重要なジヒドロキシアセトンを
製造することが出来る。ジヒドロキシアセトンは従来は
生産性の低い発酵法により生産されていたが、接触酸化
によるジヒドロキシアセトンの製造方法は世界で初めて
の極めて価値の高い製造法である。また、同じ触媒の存
在下、1,2−プロピレングリコールの50重量%水溶
液を同様に反応させると、80モル%程度の収率でアミ
ノ酸の中間原料となるヒドロキシアセトンを製造するこ
とが出来る。更に、50重量%グリセリン水溶液を酸性
下に触媒成分(イ)もしくは(ハ)を担持させた担持触
媒を充填した固定床反応装置を用いて接触酸化すると、
重要な中間体であるグリセリン酸が80%以上の収率で
得られ、更に酸化反応を行うことによりオキシマロン酸
が高収率で得られる。このように、多価アルコールとし
てのグリセリンや1,2−プロピレングリコールを50
重量%水溶液という高濃度下で液相接触酸化反応に適用
した例はかつてなく、固定床反応装置を利用する高濃度
触媒系での接触酸化ならではの特徴である。
【0027】また、本発明の特徴は、原料多価アルコー
ルの高濃度下で酸化反応を実施できるのみならず、触媒
成分(イ)〜(ニ)を適宜適用して反応条件を選択する
ことにより、驚くべきことにカルボニル基及び/又はカ
ルボキシル基を有する化合物の選択率が飛躍的に向上す
ること、および触媒分離工程を省略できること等から、
本発明の方法は、安価な多価アルコールから高付加価値
の生理活性物質やアミノ酸の中間原料として重要なカル
ボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を製
造するための極めて優れた製造方法である。
【0028】本発明の方法を固定床反応装置を使用して
実施するにあたっては、公知の固定床反応装置を使用す
ることができるが、なかでも触媒充填塔の充填長(L)
と内径(D)との比L/Dが1以上、好ましくは5以上
の固定床反応装置に、粒径が200メッシュより大であ
る担体に担持させた本発明の担持触媒を充填し、酸素と
多価アルコールとのモル比が0.1:1〜100:1と
なるように反応塔へ多価アルコール水溶液と酸素もしく
は酸素含有ガスを向流または並流で導入する。特に、多
価アルコールと酸素もしくは酸素含有ガスを反応塔塔頂
から導入する下向並流のトリクルベッド方式が有効であ
る。反応塔内は50気圧以下で、好ましくは10気圧以
下、更に好ましくは常圧で連続的に流通させることによ
り酸化生成物は無色透明の水溶液として反応塔出口より
連続的に流出する。多価アルコールの1級水酸基又は2
級水酸基を接触酸化させて、種々のカルボニル基及び/
又はカルボキシル基を有する化合物を製造する際の、p
H、温度、多価アルコールに対する酸素のモル比は、前
記の各態様に応じた反応条件の好ましい範囲を用いれば
よい。また、固定床反応において、固定床反応塔の高さ
方向に取り付けたサンプリング口から得られる反応液、
又は反応塔出口の反応液の測定pHを基にpHを好適な
範囲に制御することができる。
【0029】反応塔塔頂より多価アルコール水溶液を導
入するにあたり液相が反応塔内を片流れする場合、酸化
反応に多大な影響を与えるため必要に応じて反応塔塔頂
および反応塔の複数部位に複数個の小孔から成る液分配
器を使用することが好ましい。更に、多価アルコールの
2級水酸基の酸化を特に酸性下で実施する場合、反応塔
の内壁は耐酸性を有する材質でなければならず、遷移金
属イオンが溶出するものであってはならない。即ち、周
期律表第8属元素である鉄、コバルト、ニッケル、およ
びクロム、マンガン等の金属イオンの反応系への溶出
は、特に多価アルコールの2級水酸基の酸化において触
媒活性に重大な影響を与えることがある。このような場
合には、反応塔内壁をガラス・コーティングしたGL製
反応器の使用が好ましい。多価アルコール水溶液の水溶
液基準の液空間速度Liquid HourlySpace Velocity (LHS
V) は0.01〜5、好ましくは0.01〜1.0に設
定するのが良い。 LHSV= 多価アルコール水溶液供給速度 [リットル/hr]/触媒
充填容積 [リットル]
【0030】また、本発明の反応を攪拌式反応器により
回分反応で行う場合は、温度計、pH計、空気供給口、
排ガス排出口、サンプリング口を備えた反応器に、多価
アルコール水溶液と担持触媒とを仕込み、攪拌下で常圧
で酸素含有ガスを反応液中に供給することにより、多価
アルコールの接触酸化反応を進行せしめることができ
る。反応終了後に、触媒を公知の方法(例えば濾過法)
で分離するとカルボニル基及び/又はカルボキシル基を
有する化合物を含有する水溶液が得られる。
【0031】
【実施例】次に本発明を実施例をもって詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。尚、以下の実施例で使用する触媒は参考例に示す調
製例に準じて調製した。本実施例における生成物の収率
はモル%である。また、実施例1〜14においては、以
下に示す固定床反応法により多価アルコールの連続酸化
反応を行い、実施例15〜19においては、以下に示す
攪拌槽反応法により多価アルコールの回分酸化反応を行
った。
【0032】参考例:触媒調製は通常の方法によって行
う。即ち、市販の木質系の水蒸気賦活粒状活性炭(10
0〜40メッシュ)67gをイオン交換水に浸漬してお
き、これに塩化白金酸5gと塩化ビスマス0.6gを均
一溶解した水溶液を添加し触媒成分を担持させる。35
重量%ホルマリン水溶液で活性化処理を行うことによ
り、含水率約50%の0.6%Bi、3%Pt炭素触媒
が約140g得られた。
【0033】固定床反応法:内径20mm、高さ70c
mのパイレックス製反応器に、本発明による担持触媒を
乾燥品基準で30g充填し(触媒の充填長60cm)、
反応器塔頂より多価アルコールの50重量%水溶液と、
常圧の空気とを下向き並流で一緒に反応器内へ連続的に
供給した。多価アルコール水溶液の液空間速度(LHS
V)は0.08〜0.15hr-1とした。pHは反応器
下部から得られる反応液を測定した。得られたカルボニ
ル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の分析
は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて
行った。HPLCの測定条件を以下に示す。
【0034】・高速液体クロマトグラフィー:D−25
00/L−6000型 日立製作所(株)製 ・ディテクター:L−3300型(RIモニター) ・カラム :C−61OS ・溶離液 :蒸留水 0.5ml/min ・圧力 :15Kgf/cm2 ・温度 :60℃
【0035】攪拌槽反応法:温度制御装置、攪拌機、空
気供給口、排ガス排出口、サンプル取り出し口、および
pH計を備えた1リットルのフラスコに、乾燥品基準で
2.5gの担持触媒と、50℃の10重量%グリセリン
水溶液500gとを仕込んだ。ついで常圧・常温の空気
を毎時6リットルで液中に供給しながら、50℃で6時
間酸化反応を行った。得られた反応液中の担持触媒を濾
過分離した後、カルボニル基及び/又はカルボキシル基
を有する化合物の分析を高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)を用いて行った。HPLCの測定条件は前
記と同様である。
【0036】実施例1 多価アルコールとして50重量%グリセリン水溶液、担
持触媒として、灰分含量が2重量%以下であり、比表面
積が1500、1000、又は700m2 /gの活性炭
に担持させた0.6%ビスマス・3%白金を用いた。反
応温度50℃、酸素:多価アルコールのモル比2:1、
pH4〜2、LHSV0.08hr-1の条件で、前述の
固定床反応法に準拠して連続酸化反応を行った。その結
果を表1に示す。活性炭の比表面積が大である程、ジヒ
ドロキシアセトンの収率が高いことが分かる。
【0037】実施例2 触媒担体として、灰分含量が2重量%以下であり、嵩密
度が170、470、又は650g/リットルの活性炭
を用いた以外は実施例1と同じ条件で酸化反応を行っ
た。その結果、表1に示す如く、嵩密度が500g/リ
ットル以下、特に200g/リットル以下の活性炭が担
体として優れていることが分かった。
【0038】実施例3 触媒担体として、灰分含量が5重量%以下であり、細孔
容積が0.5、0.8、1.1、又は1.3ml/gの
活性炭を用いた以外は実施例1と同じ条件で酸化反応を
行った。その結果、表1に示す如く、細孔容積が0.8
ml/g以上、特に1.3ml/g以上の活性炭が担体
として優れていることが分かった。
【0039】実施例4 触媒担体として、灰分含量が2重量%以下であり、平均
細孔直径が1.8、3.5、又は12nmの活性炭を用
いた以外は実施例1と同じ条件で酸化反応を行った。そ
の結果、表1に示す如く、特に平均細孔直径が4nm以
下の活性炭が担体として優れていることが分かった。
【0040】実施例5 触媒担体として、嵩密度が500g/リットル以下で、
灰分含量が13、5、2及び硝酸処理した1重量%の活
性炭を用いた以外は実施例1と同じ条件で酸化反応を行
った。その結果、表1に示す如く、灰分含量が5重量%
以下、特に2重量%以下の活性炭が担体として優れてい
ることが分かった。
【0041】
【表1】
【0042】実施例6 触媒担体として、比表面積が1500m2 /g、細孔容
積が1.3ml/g、嵩密度が170g/リットル、平
均細孔直径が3.5nm、灰分が2重量%の100〜4
0メッシュの粒状活性炭を使用して0.6%ビスマス3
%白金炭素触媒を調製し、2級水酸基を有する多価アル
コールとして、1,2−プロピレングリコールの50%
水溶液を使用し、液空間速度を0.15h-1にする以外
は実施例1と同一条件で酸化反応を行った。その結果、
ヒドロキシアセトンが78モル%の収率で生成した。
【0043】実施例7 実施例6の触媒担体を使用し、触媒成分が白金単独の3
%白金カーボン触媒を調製し、実施例1と同一条件で酸
化反応を行った。その結果、グリセリン酸が85モル%
の収率で得られた。
【0044】実施例8 20%水酸化ナトリウム水溶液をグリセリンのモル供給
速度の15%の供給速度で反応塔中段から連続的に導入
する以外は実施例7と全く同じ条件で酸化反応を行っ
た。定常後の反応塔出口の反応混合物はpH3の無色水
溶液であり、その組成はグリセリン酸、オキシマロン
酸、未反応グリセリンで、それぞれ37モル%、49モ
ル%、14モル%であった。
【0045】実施例9 実施例6と同一の触媒および触媒担体を用い、グリセリ
ンに対する酸素のモル比を0.5、2、5、10、30
と変化させる以外は前記の固定床反応法と同一条件で酸
化反応を行った。その結果を表2に示す。
【0046】実施例10 実施例9において、反応塔出口の反応物のpHを9、
7、5、2になるように調整する以外は、実施例9と同
一条件で酸化反応を行った。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】実施例11 実施例9において、反応温度を−10、0、20、4
0、50、60、80℃に設定する以外は、実施例9と
同一条件で酸化反応を行った。その結果を表3に示す。
【0049】実施例12 実施例9において、触媒担体としてキャブラック社製の
粒状カーボンブラック(灰分含量:0.5重量%、比表
面積:1000m2 /g、嵩密度:300g/リット
ル、細孔容積:0.8ml/g、平均細孔直径:5n
m)を使用する以外は、実施例9と同一条件で酸化反応
を行った。その結果、ジヒドロキシアセトンの収率は7
8%であった。
【0050】実施例13 実施例6において、原料多価アルコールを50%グリセ
リン水溶液、触媒を1%Ce5%Ptとする以外は、実
施例6と同一条件で酸化反応を行った。その結果、グリ
セリン酸が88%の収率で得られた。
【0051】実施例14 実施例6において、原料多価アルコールを50%グリセ
リン水溶液、触媒を1%Ce1%Bi5%Ptとする以
外は、実施例6と同一条件で酸化反応を行った。その結
果、ジヒドロキシアセトンが88%の収率で得られた。
【0052】実施例15 原料多価アルコールを10%グリセリン水溶液、実施例
6の担体を用いた5%Pt炭素触媒を使用し、前記の攪
拌槽反応法に従って酸化反応を行った。その結果、グリ
セリン酸とジヒドロキシアセトンがそれぞれ、33%、
4%の収率で得られた。
【0053】
【表3】
【0054】実施例16 実施例15において、触媒を1%Bi5%Ptにする以
外は、実施例15と同一条件で酸化反応を行った。その
結果、グリセリン酸とジヒドロキシアセトンの収率はそ
れぞれ、5%、25%であった。
【0055】実施例17 実施例15において、触媒を1%Ce5%Ptにする以
外は、実施例15と同一条件で酸化反応を行った。その
結果、グリセリン酸とジヒドロキシアセトンの収率はそ
れぞれ、83%、7%であった。
【0056】実施例18 実施例15において、触媒を1%Ce1%Bi5%Pt
にする以外は、実施例15と同一条件で酸化反応を行っ
た。その結果、グリセリン酸とジヒドロキシアセトンの
収率はそれぞれ、15%、74%であった。
【0057】実施例19 実施例16において、触媒担体を石綿、シリカ、アルミ
ナにすること以外は、実施例16と同一条件で酸化反応
を行った。その結果を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】本発明のカルボニル基及び/又はカルボ
キシル基を有する化合物の製造方法によれば、特定の金
属触媒と担体から成る担持触媒を使用することにより、
安価な原料から有用なカルボニル基及び/又はカルボキ
シル基を有する化合物を高濃度にかつ高収率に製造する
ことができる。特に、固定床反応装置を利用することに
より、多価アルコール水溶液の濃度が20重量%以上と
いう高濃度系での反応が可能となり、得られるカルボニ
ル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の濃度が
飛躍的に向上し、更に触媒分離工程の省略等、高生産性
プロセスが可能となり、その波及効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はグリセリンの酸化経路を示す図である。
【図2】図2は1,2−プロピレングリコールの酸化経
路を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/64 101 X 8017−4G 23/66 X 8017−4G 23/68 X 8017−4G 23/72 X 8017−4G 27/22 X 7038−4G C07B 41/06 C 7419−4H 41/08 7419−4H 61/00 300 C07C 45/37 49/17 A 6917−4H 51/245 7306−4H 59/10 8827−4H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(イ)〜(ニ)から選ばれる少な
    くとも一種以上の触媒成分を、下記の(a)〜(d)か
    ら選ばれる少なくとも一つの物性を有し、かつ灰分含量
    が15重量%以下の活性炭及び/又はカーボンブラック
    からなる担体に担持させた触媒の存在下、1級水酸基と
    2級水酸基とをそれぞれ1個以上有する多価アルコール
    を接触酸化することを特徴とするカルボニル基及び/又
    はカルボキシル基を有する化合物の製造方法。 触媒成分: (イ)白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニ
    ウム、金、銀および銅からなる群から選ばれる1種以上
    の元素(以下、触媒第1成分と称する)単独 (ロ)上記触媒第1成分と、スズ、鉛、アンチモン、ビ
    スマス、セレン及びテルルからなる群から選ばれる1種
    以上の元素(以下、触媒第2成分と称する)との組み合
    わせ (ハ)上記触媒第1成分と、希土類元素からなる群から
    選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第3成分と称す
    る)との組み合わせ (ニ)上記触媒第1成分、触媒第2成分及び触媒第3成
    分との組み合わせ 担体の物性: (a)活性炭及び/又はカーボンブラックの比表面積が
    500m2 /g以上 (b)活性炭及び/又はカーボンブラックの嵩密度が8
    00g/リットル以下 (c)活性炭及び/又はカーボンブラックの細孔容積が
    0.3ml/g以上 (d)活性炭及び/又はカーボンブラックの平均細孔直
    径が20nm以下
  2. 【請求項2】 下記の(イ)〜(ニ)から選ばれる少な
    くとも一種以上の触媒成分を担体に担持させた触媒の存
    在下、1級水酸基と2級水酸基とをそれぞれ1個以上有
    する多価アルコールを酸素と該多価アルコールとのモル
    比が0.1:1〜100:1となるように酸素もしくは
    酸素含有ガスを流通させて接触酸化するに際して、反応
    塔内に固定化された触媒上に液相と気相を連続的に流通
    させる固定床反応装置を使用することを特徴とするカル
    ボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製
    造方法。 触媒成分: (イ)白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニ
    ウム、金、銀および銅からなる群から選ばれる1種以上
    の元素(以下、触媒第1成分と称する)単独 (ロ)上記触媒第1成分と、スズ、鉛、アンチモン、ビ
    スマス、セレン及びテルルからなる群から選ばれる1種
    以上の元素(以下、触媒第2成分と称する)との組み合
    わせ (ハ)上記触媒第1成分と、希土類元素からなる群から
    選ばれる1種以上の元素(以下、触媒第3成分と称す
    る)との組み合わせ (ニ)上記触媒第1成分、触媒第2成分及び触媒第3成
    分との組み合わせ
  3. 【請求項3】 カルボニル基及び/又はカルボキシル基
    を有する化合物が、ジヒドロキシアセトン又はヒドロキ
    シアセトンであり、接触酸化させる際のpHを7〜1に
    維持することを特徴とする請求項1又は2記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 カルボニル基及び/又はカルボキシル基
    を有する化合物が、ジヒドロキシアセトン又はヒドロキ
    シアセトンであり、接触酸化させる際の酸素と多価アル
    コールとのモル比が0.25:1〜30:1であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 カルボニル基及び/又はカルボキシル基
    を有する化合物が、ジヒドロキシアセトン又はヒドロキ
    シアセトンであり、接触酸化させる際の反応温度が−2
    0〜60℃であることを特徴とする請求項1又は2記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 カルボニル基及び/又はカルボキシル基
    を有する化合物が、グリセリン酸、乳酸、又はオキシマ
    ロン酸であり、接触酸化させる際のpHを担持触媒が白
    金を含有してなる場合は1〜7.5、白金を含有してい
    ない場合は7.5〜13に維持することを特徴とする請
    求項1又は2記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 カルボニル基及び/又はカルボキシル基
    を有する化合物が、グリセリン酸、乳酸、又はオキシマ
    ロン酸であり、接触酸化させる際の酸素と多価アルコー
    ルとのモル比が0.5:1〜20:1であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 カルボニル基及び/又はカルボキシル基
    を有する化合物が、グリセリン酸、乳酸、又はオキシマ
    ロン酸であり、接触酸化させる際の反応温度が0〜80
    ℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 多価アルコールがグリセリン又は1,2
    −プロピレングリコールであることを特徴とする請求項
    1〜8いずれか記載の製造方法。
JP22498392A 1991-08-30 1992-07-30 カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP3276413B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22498392A JP3276413B2 (ja) 1991-08-30 1992-07-30 カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21976091 1991-08-30
JP3-219761 1991-08-30
JP3-219760 1991-08-30
JP21976191 1991-08-30
JP22498392A JP3276413B2 (ja) 1991-08-30 1992-07-30 カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05245373A true JPH05245373A (ja) 1993-09-24
JP3276413B2 JP3276413B2 (ja) 2002-04-22

Family

ID=27330346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22498392A Expired - Fee Related JP3276413B2 (ja) 1991-08-30 1992-07-30 カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3276413B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201144A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Kao Corp カルボキシル基及び/又はカルボニル基を有する化合物の製法
JP2002201155A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Kao Corp カルボキシル基及び/又はカルボニル基を有する化合物の製法
JP2011153104A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Nisshinbo Holdings Inc アルコールの酸化方法
US8614349B2 (en) 2004-11-17 2013-12-24 Asahi Kasei Chemicals Corporation Oxidation catalyst and oxidation method
JP2014518540A (ja) * 2010-08-18 2014-07-31 ペトロレオ ブラジレイロ ソシエダ アノニマ − ペトロブラス 乳酸を合成するための触媒による酸化方法
JP2014172874A (ja) * 2013-03-11 2014-09-22 Daicel Corp ケトール化合物の製造方法
JP2016159256A (ja) * 2015-03-04 2016-09-05 株式会社クレハ 触媒複合体
WO2020203289A1 (ja) 2019-03-29 2020-10-08 株式会社Gsユアサ 蓄電素子用非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
JP2021098180A (ja) * 2019-12-24 2021-07-01 国立大学法人大阪大学 触媒およびジヒドロキシアセトンの製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201144A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Kao Corp カルボキシル基及び/又はカルボニル基を有する化合物の製法
JP2002201155A (ja) * 2000-12-28 2002-07-16 Kao Corp カルボキシル基及び/又はカルボニル基を有する化合物の製法
US8614349B2 (en) 2004-11-17 2013-12-24 Asahi Kasei Chemicals Corporation Oxidation catalyst and oxidation method
JP2011153104A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Nisshinbo Holdings Inc アルコールの酸化方法
JP2014518540A (ja) * 2010-08-18 2014-07-31 ペトロレオ ブラジレイロ ソシエダ アノニマ − ペトロブラス 乳酸を合成するための触媒による酸化方法
JP2014172874A (ja) * 2013-03-11 2014-09-22 Daicel Corp ケトール化合物の製造方法
JP2016159256A (ja) * 2015-03-04 2016-09-05 株式会社クレハ 触媒複合体
WO2016140358A1 (ja) * 2015-03-04 2016-09-09 株式会社クレハ 触媒複合体
WO2020203289A1 (ja) 2019-03-29 2020-10-08 株式会社Gsユアサ 蓄電素子用非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
JP2021098180A (ja) * 2019-12-24 2021-07-01 国立大学法人大阪大学 触媒およびジヒドロキシアセトンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3276413B2 (ja) 2002-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0147219B1 (en) Pd/re hydrogenation catalyst and process for making tetrahydrofuran and 1,4-butanediol
US6852877B1 (en) Process for the production of vinyl acetate
US4083809A (en) Hydrogenation catalyst and method of producing same
US4609636A (en) Pd/Re hydrogenation catalyst for making tetrahydrofuran and 1,4-butanediol
US5274187A (en) Process for producing compound having carbonyl and/or carboxyl group
JPH1067701A (ja) マロン酸またはその塩の製造方法
JPS6045938B2 (ja) シュウ酸ジエステルの水素添加触媒の製造法
EP1286945B2 (en) Integrated process for the production of vinyl acetate
JP6718017B2 (ja) 1,3−シクロヘキサンジメタノールの製造方法
JPH05245373A (ja) カルボニル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物の製造方法
US5969194A (en) Process for preparing 1, 6-hexanediol
JPH1072401A (ja) 3−ヒドロキシプロピオン酸またはその塩の製造方法
US6476218B1 (en) Method of preparing a mixture of mannitol and sorbitol by continuous hydrogenation of glucosone
KR0131203B1 (ko) γ-부티로락톤의 제법
JP3285655B2 (ja) タルトロン酸塩の製造方法
JPH10502062A (ja) 1,4−ブタンジオールの製造方法
JP3132532B2 (ja) ラクトンの製造法
US4619947A (en) Chemical process
JPH08151346A (ja) ケトマロン酸の製造方法
CA2416707A1 (en) Continuous process for the production of optically pure (s)-.beta.-hydroxy-.gamma.-butyrolactone
KR100689647B1 (ko) 비닐 아세테이트의 통합된 제조방법
JPS58121239A (ja) カプリル酸の製造方法
US20050027142A1 (en) Method for synthesis of 2,2,6-trimethylcyclohexan-1-one
JP2639576B2 (ja) ジベンゾフラン類の製法
JPS63168404A (ja) 共役ジエンの選択的酸化カルボニル化方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080208

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090208

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100208

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees