JPH05244614A - 偏向ヨーク装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡単な手段によりコンバージェンス性能を短時
間で制御できるようにする。 【構成】コア５のネック側端面近傍に略Ｌ字形状の磁性
片７ａ、７ｂを左右１組配設する。磁性片７ａ、７ｂ
は、一面がコア端面と平行であり、他の一面が略管軸と
平行になっていてコイルセパレータ８のコア保持部８ａ
に配設される。また偏向ヨーク製造時には、コア保持部
８ａは、磁性片７ａ、７ｂを管軸と直角方向に移動でき
るように保持することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はカラーテレビジョン受
像機等のように陰極線管（ＣＲＴ）を用いたディスプレ
イ装置に使用される偏向ヨーク装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３（Ａ）には、従来のセミトロイダル
形偏向ヨークを示している。コイルセパレータと呼ばれ
る絶縁枠１の内側には１組のくら形水平偏向コイル２が
組み込まれ、外側にはコア３に巻回した１組の垂直偏向
コイル４が配設されている。一般に、水平偏向コイル２
及び垂直偏向コイル４は、コイルセパレータ１によって
位置決めがなされ、最終的には接着剤等により固定一体
化される。図３（Ｂ）は、垂直偏向コイル４の配設状態
を示す側面図である。コイルセパレータ１のネック側支
持部１ａ及びフロント側支持部１ｂにて、コア３のＺ軸
（管軸）方向の位置決めをしている。

【０００３】上記のような偏向ヨークにおいて、例えば
設計的に完成していたというものについて、性能改善の
必要性が生じた場合には、コスト的な制約等でなかなか
困難なところがある。一例を上げると、コンバージェン
スのトリレンマ特性がある。トリレンマとは、図３
（Ｃ）に示すミスコンバージェンスＸH 、ＹH 、ＰＱV
の関連を表したもので、次式で表す。トリレンマＴ＝Ｘ
H −ＹH ＋ＰＱV なお、図３（Ｃ）の丸印とクロス印
は、赤（Ｒ）と青（Ｂ）の電子ビーム走査軌跡である。

【０００４】一般に、トリレンマＴは、零に近い方がよ
いとされているが、何等かの原因で例えばＣＲＴの内容
変更等でトリレンマＴがマイナスになって改善の必要が
生じたとする。この解決策としては、水平偏向コイルの
巻線分布の変更やコア位置の変更等、いくつかの方法が
考えられるが、他の特性、例えば偏向歪み等が絡んでい
るような場合には非常に困難であり、セパレータ等の変
更があったりして設計検討期間やコスト面に問題があ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の
方法によれば、例えばコンバージェンスのトリレンマ特
性を変更するような場合、設計検討期間が長くなった
り、また、コイルセパレータの変更が伴う場合にはコス
ト高になってしまう。そこでこの発明は、簡単な手段に
よりコンバージェンス性能を短時間で制御できる偏向ヨ
ーク装置を提供することができる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、フェライト
コアのネック側端面近傍に略Ｌ字形状の磁性片を左右１
組配設する。磁性片は、一面がコア端面と平行であり、
他の一面が略管軸と平行になっていてコイルセパレータ
のコア保持部に配設される。また磁性片は、偏向ヨーク
製造時には、管軸と直角方向には移動できる構造になっ
ている。

【０００７】

【作用】磁性片によりバレル形の垂直偏向磁界が強調さ
れるため、ＹH は負（−）になり、したがってこの分だ
けトリレンマＴは正（＋）になる。また磁性片と電子ビ
ームとの近付き具合により、ミスコンバージェンスＹV
が変化するので、偏向ヨーク製造時にこのＹV の調整を
することができる。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。

【０００９】図１（Ａ）（Ｂ）、（Ｃ）はこの発明の一
実施例を示している。コア５に１組の垂直偏向コイル６
が巻回され、コア５のネック側（小径側）端部に近接し
た部所には、左右（Ｘ軸上）で１対の磁性片７ａ、７ｂ
が配設されている。この磁性片７ａ、７Ｂは、平板を略
Ｌ字形に折り曲げた形状のものであり、一面がコア５の
端面と平行であり、他の一面は管軸（Ｚ軸）と略平行に
なっている。

【００１０】磁性片７ａ、７ｂを配設したことにより、
垂直偏向磁界は矢印の如く磁性片７ｂを通って磁性片７
ａに到達する。このため、磁性片が配設されていないと
きは無効となっていた磁束をも、この磁性片７ａ、７ｂ
が収束させて有効磁界にする。またこの磁性片７ａ、７
ｂは、左右（Ｘ軸上）に存在するため、磁界としてはバ
レル磁界となり、ミスコンバージェンスＹH （Ｙ軸上横
方向ミスコンバージェンス）は、負（−）となる。この
ときＰＱV も若干負となるが、ＹH の変化量の方が大き
く総合的にトリレンマＴ＝ＸH −ＹH ＋ＰＱV は正
（＋）方向に変化することになる。またＹH が負になっ
た分は、例えば垂直偏向コイルの巻線分布等により希望
値に修正をする。トリレンマＴの修正量は、磁性片７
ａ、７ｂの大きさ及び電子ビームとの距離（取り付け位
置）によって可変することができるが、その他の性能
（偏向歪み等）にも若干の影響があるので、それも含め
て磁性片７ａ、７ｂの形状や取り付け位置を決定する方
が好ましい。

【００１１】図２は、上記磁性片７ａ、７ｂの取り付け
位置を非対称（Ａ＜Ｂ）にしたときのミスコンバージェ
ンスへの影響を示した図である。磁性片７ｂが磁性片７
ａより電子ビームに近付いているために電子ビーム
（Ｒ：赤）の方が、電子ビーム（Ｂ：青）より大きな磁
力を請け、画面の上下端では図の如く赤（Ｒ）の方がよ
り外側へ偏向される。

【００１２】一般に、偏向ヨークの製造においては、部
品、巻線及び組み立てのばらつきによりコンバージェン
ス性能もばらつくために上記のような画面上下端の縦方
向ミスコンバージェンスＹV が生じた場合には、磁性片
７ａ、７ｂの取り付け位置を可変することによりミスコ
ンバージェンスＹV を修正することができる。

【００１３】図１（Ｄ）及び（Ｅ）には、磁性片７ａ、
７ｂの具体的取り付け構造の一例を示している。コイル
セパレータ８のコア５のネック側支持部８ａには、突起
８ｂがあり、間隙９に磁性片７ａまたは７ｂのベース７
１を挿入することができる。つまり、コイルセパレータ
８には、コア５のネック側支持部８ａが、管軸から放射
方向へ突出しコア５の端部を管軸方向へずれるのを支持
しているので、これを有効に活用している。ネック側支
持部８ａは、この実施例では都合よく略角筒状である。
そこで先端の開口部から磁性片のベースをスライドさせ
て挿入できるように、ガイド部としての突起８ｂを形成
すればよい。これにより、磁性片７ａ、７ｂは管軸と直
角方向のみ移動が可能となり所定の目的を達成すること
ができる。

【００１４】上記したようにこの実施例によると、１組
の磁性片を配設するだけでコンバージェンス性能のＹH
特性を偏向修正でき、しいてはトリレンマＴを修正する
ことができる。また、ミスコンバージェンスＹV の調整
も可能であり、偏向ヨークとしての性能の向上を簡単に
安価でしかも短時間で実現することができる。また偏向
ヨークの製造面においても有効な手段となる。なお、磁
性片の取り付け構造としては各種の実施例が可能であ
り、上記した構成に限定されるものではない。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明によると、
簡単な手段によりコンバージェンス性能を短時間で制御
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を説明するために側面及び
平面及び断面構造を示す図と要部の斜視図及び構成説明
図。

【図２】この発明の装置の機能を説明するために示した
ビーム軌跡の説明図。

【図３】従来の偏向ヨーク装置の斜視図及び側面図とそ
の性能を説明するために示したビーム軌跡の説明図。

【符号の説明】

５…コア、６…垂直偏向コイル、７ａ、７ｂ…磁性片、
８…コイルセパレータ、８ａ…ネック側支持部、８ｂ…
突起。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １対の水平偏向コイルと、コアに巻回さ
   れた上下１対のトロイダル形垂直偏向コイルと、前記水
   平偏向コイル及びコアを保持するコア保持部を備えた絶
   縁枠とを有した偏向ヨーク装置において、 前記コアのネック側端に近接した左右位置に１対の磁性
   片を配設し、前記磁性片は、略Ｌ字形状を有し、前記絶
   縁枠の前記コア保持部は、前記各磁性片のベースを係合
   させ、かつ管軸と垂直な方向に移動可能な構造としたこ
   とを特徴とする偏向ヨーク装置。