JPH05241268A - 光学記録媒体及びその使用方法 - Google Patents

光学記録媒体及びその使用方法

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JPH05241268A
JPH05241268A JP4044288A JP4428892A JPH05241268A JP H05241268 A JPH05241268 A JP H05241268A JP 4044288 A JP4044288 A JP 4044288A JP 4428892 A JP4428892 A JP 4428892A JP H05241268 A JPH05241268 A JP H05241268A
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Taku Hashida
卓 橋田
Yoshio Kishimoto
良雄 岸本
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無色異性体と着色異性体の2状態を有するフ
ォトクロミック化合物と、長波長異性体と短波長異性体
の2状態を有する双安定物質とを少なくとも含む組成物
とることにより再生時の記録情報の破壊が小さい光学記
録媒体とする。 【構成】 双安定物質の長波長異性体の吸収帯と、フォ
トクロミック化合物の着色異性体の蛍光帯との波長の重
なりを大きくする。再生時には光照射(6)によって双
安定物質に異性化反応(8)を起こさせて長波長異性体
にする。次に可視光照射(2)をして、その透過光を検
知することで再生を行なう。光照射(2)によって生じ
るフォトクロミック化合物の着色異性体から進行するフ
ォトクロミック反応(4)は進行せず、再生時の劣化、
すなわち読みだし破壊(再生時に起こる記録反応)を防
ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフォトクロミック化合物
を用いた書き換え可能な光学記録媒体とその記録、消
去、再生などの使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、波長の異なる2種類の光源によ
り、可逆的な色の変化を生ずる材料としてフォトクロミ
ック材料が知られている。
【0003】これを光記録材料として用いる場合、一般
にフォトクロミック化合物の長波長に吸収を有する異性
体(可視域に吸収を持ち着色していることが多い。以後
着色異性体と呼ぶ。)からなる記録層に、その着色異性
体の吸収する可視レ−ザを照射し、消色させて記録を行
なう。この時、着色異性体は、光反応により短波長に吸
収を有する異性体(可視域に吸収を持たず無色であるこ
とが多い。以後、無色異性体と呼ぶ。)に変換される。
また、紫外レ−ザを照射し、無色異性体を着色異性体に
戻すことで消去を行なう。
【0004】再生は可視レ−ザを記録時より弱い強度で
照射し、前記の着色異性体に対応する波長の透過光を検
知して行なう事が提案されている。また、フォトクロミ
ック反応を示さない有機色素を用いた追記型の光学記録
媒体でも、再生は、可視または赤外レ−ザを弱い強度で
照射して、透過光または反射光の検知によって行われ
る。しかし、再生時の光照射によって、化合物の変成が
少しずつ進行するため、多数回の再生の後には記録状態
が破壊されてしまう。そこで、例えば特開昭60−15
9087号公報等のように、この変性を抑えるために、
その原因になる励起種を消光する消光剤を添加すること
が行なわれている。
【0005】また、書換え可能光学記録に応用が可能な
フォトクロミック材料においても、記録、消去に対応す
る光照射によって起こる化合物の変性を抑え、記録消去
のサイクル特性を向上させるために、例えば特開昭64
−74285号公報等のように、化合物の変性を引き起
こす励起状態を消光する消光剤の添加が試みられてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
様にフォトクロミック化合物からなる記録媒体に、フォ
トクロミック化合物の着色異性体の吸収する弱いパワ−
の可視レ−ザを照射して再生を行なう場合、何回も再生
を行なう間に記録情報が破壊されてしまうという問題が
ある。これは、再生時に照射される光で着色異性体が励
起され、この励起状態から記録時と同じフォトクロミッ
ク反応(着色異性体から無色異性体へのフォトクロミッ
ク反応)が進行し、検出する透過光量が変化するためで
ある。結果として、わずかの回数しか再生が出来ないと
いう課題があった。
【0007】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、フォトクロミック化合物を用いた書換え可能な光
学記録媒体の再生回数を飛躍的に伸ばす非破壊読み出し
を可能にする記録媒体とその使用方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の光学記録媒体は、無色異性体と着色異性体の2
状態を有するフォトクロミック化合物と、長波長異性体
と短波長異性体の2状態を有する双安定物質とを少なく
とも含む組成物であって、前記双安定物質の長波長異性
体の吸収帯と、前記フォトクロミック化合物の着色異性
体の蛍光帯との波長が重なり合うことを特徴とする。
【0009】前記構成においては、フォトクロミック化
合物と双安定物質の少なくとも一方がスピロピランまた
はチオピランであることが好ましい。また本発明の光学
記録媒体の使用方法は、前記の光学記録媒体を用い、双
安定物質の長波長異性体の吸収波長の光照射を行ない、
前記双安定物質を短波長異性体に変換した後、または前
記光照射と同時に、フォトクロミック化合物の着色異性
体の吸収波長の光照射を行なって無色異性体に変換して
記録することを特徴とする。
【0010】また本発明の光学記録媒体の使用方法は、
前記の光学記録媒体を用い、双安定物質の短波長異性体
の吸収波長の光照射を行い前記双安定物質を長波長異性
体に変換して消光が起こる状態とした後、または前記光
照射と同時にフォトクロミック化合物の着色異性体の吸
収波長の光照射を行なってその透過光を検知し、再生す
ることを特徴とする。
【0011】また本発明の光学記録媒体の使用方法は、
前記の光学記録媒体を用い、双安定物質の短波長異性体
の吸収波長の光照射をして双安定物質を長波長異性体に
変換して消光が起こる状態とした後、または前記光照射
と同時にフォトクロミック化合物の無色異性体の吸収波
長の光照射を行なって前記フォトクロミック化合物の無
色異性体を着色異性体に変換して消去することを特徴と
する。
【0012】
【作用】前記の記録媒体では、情報はフォトクロミック
化合物の安定な2つの状態(着色異性体と無色異性体)
を用いてデジタル記録される。フォトクロミック化合物
の着色異性体が消去状態に相当し、フォトクロミッック
化合物の無色異性体が記録状態に相当する。これは、従
来のフォトクロミック化合物を用いた書き替え可能な光
学記録媒体と同じである。
【0013】また本発明の記録媒体は、光照射によって
消光作用の有無が制御される作用・機能を有する消光剤
を含有している点が従来技術と大きく異なる。すなわ
ち、従来の追記型の光学記録媒体や従来のフォトクロミ
ック化合物を用いた書換え可能型のものも、消光剤を含
有しているが、その作用・機能は常時消光剤として働い
ている、これに対して本発明の消光剤は、光照射によっ
て消光作用の有無が制御される。この制御が必要な理由
は以下の通りである。従来の消光剤の使用目的は、化合
物の変性の防止であったため、常に消光作用を持つ必要
があった。これに対し、本発明の場合には読みだし破壊
の抑制が目的であるから、消光作用は読み出し時にあれ
ば充分であり、記録時にはむしろ不要(有害)である。
つまり、読み出し時には、消光作用によりフォトクロミ
ック反応(記録過程に相当する反応、即ち図1の反応
(4))を抑制して記録情報の破壊を防止する必要があ
るが、記録時には逆に前記のフォトクロミック反応を進
行させて情報の記録を行う必要がある。
【0014】以下で、上で述べた本発明の消光剤(以下
双安定物質と呼ぶ。)について詳しく説明する。前記の
双安定物質はフォトクロミック化合物と同様に、光照射
により吸収波長域が変化する2状態を有する化合物であ
り、そのうち長波長に吸収帯を有する異性体を長波長異
性体、短波長に吸収帯を有する異性体を短波長異性体と
いう。そして、光照射によって異性体の変換を行なうこ
とにより消光剤としての活性が変化する。
【0015】長波長異性体は、光照射により生じたフォ
トクロミック化合物の着色異性体の励起状態を消光す
る。従って、長波長異性体は消光剤として活性化された
状態といえる。前記の消光のために着色異性体の励起状
態は脱励起され、励起状態から起こる着色体から無色体
へのフォトクロミック反応(記録過程に相当する反応、
即ち図1の反応(4))が抑制される。このように、双
安定物質の長波長異性体が効率よくフォトクロミック化
合物の着色異性体の励起状態を消光するのは、フォトク
ロミック化合物の着色異性体の励起状態から双安定物質
の長波長異性体に効率よくエネルギ−移動が起こるため
である。そして、この効率が高いのは、フォトクロミッ
ク化合物の着色異性体の蛍光帯と、双安定物質の長波長
異性体の吸収帯の重なりが大きいからである。
【0016】これに対し、双安定物質の短波長異性体は
消光物質として活性を失った状態である。この場合は双
安定物質の短波長異性体の吸収帯と、フォトクロミック
化合物の着色異性体の蛍光帯との重なりが小さいため
に、フォトクロミック化合物からのエネルギ−移動が起
こらず、これに伴う脱励起も進行しない。このため、着
色異性体の励起状態から起こる着色異性体から無色異性
体へのフォトクロミック反応(記録過程に相当する反
応、即ち図1の反応(4))は効率よく進行する。
【0017】このように、双安定物質がどちらの異性体
をとるかによって、フォトクロミック化合物の着色異性
体の励起状態から起こるフォトクロミック反応(記録過
程に相当する反応、すなわち図1の反応(4))の進行
を選択的に制御することができる。
【0018】以下、図1のエネルギ−レベルの図に従っ
て本発明の記録媒体への記録、再生方法について説明を
行なう。図1において、(1)はフォトクロミック化合
物の無色異性体の光吸収による基底状態から励起状態へ
の遷移、(2)はフォトクロミック化合物の着色異性体
の光吸収による基底状態から励起状態への遷移、(3)
はフォトクロミック化合物の無色異性体から着色異性体
へのフォトクロミック反応、(4)はフォトクロミック
化合物の着色異性体から無色異性体へのフォトクロミッ
ク反応、(5)は双安定物質の長波長異性体の光吸収に
よる基底状態から励起状態への遷移、(6)は双安定物
質の短波長異性体の光吸収による基底状態から励起状態
への遷移、(7)は双安定物質の長波長異性体から短波
長異性体への異性化反応、(8)は双安定物質の短波長
異性体から長波長異性体への異性化反応、(9)はフォ
トクロミック化合物の着色異性体から双安定物質の長波
長異性体へのエネルギ−移動をそれぞれ示す。そしてフ
ォトクロミック化合物、双安定物質と書かれた上に水平
に引かれた2本の太い実線は、各々下が基底状態のエネ
ルギ−レベル、上が励起状態のエネルギ−レベルを表
す。基底状態から励起状態への上向きの矢印(図1の
(1)、(2)、(5)(6))は光照射時の光吸収に
伴う遷移を表す。また、フォトクロミック化合物の励起
状態から双安定物質の長波長異性体の励起状態への波線
の矢印(図1の(9))は対応するエネルギ−移動を表
す。
【0019】記録時には、まず光照射(図1の(5))
によって双安定物質に異性化反応(図1の(7))を起
こさせて短波長異性体にする事で消光剤として不活性化
する。その後、可視光照射(図1の(2))によりフォ
トクロミック反応(図1の(4)))を起こさせて無色
異性体にする事で記録が達成される。この時、双安定物
質は不活性化されているため、着色異性体の励起状態か
ら双安定物質へのエネルギ−移動(図1の(9))は進
まず、脱励起が起きない。この結果、着色異性体の励起
状態から起こるフォトクロミック反応(図1の
(4)))は抑制されず、効率良く進行し記録がなされ
る。
【0020】再生時には、まず光照射(図1の(6))
によって双安定物質に異性化反応(図1の(8))を起
こさせて長波長異性体にする事で消光剤として活性化す
る。その後、可視光照射(図1の(2))をして、その
透過光を検知することで再生を行なう。光照射(図1の
(6))により双安定物質は消光剤として活性化されて
いるため、着色異性体の励起状態から双安定物質へのエ
ネルギ−移動(図1の(9))が進み、脱励起が起き
る。このため光照射(図1の(2))によって生じるフ
ォトクロミック化合物の着色異性体から進行するフォト
クロミック反応(図1の(4))は進行せず、再生時の
劣化、すなわち読みだし破壊(再生時に起こる記録反
応)を防ぐことができる。
【0021】
【実施例】以下一実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。本発明においては、双安定性物質の長波長
異性体の吸収帯と、フォトクロミック化合物の着色異性
体の蛍光帯との波長の重なりが大きく、かつ、前記の蛍
光帯と吸収帯の重なり以外には、前記4つのいずれの異
性体間においても吸収帯と蛍光帯の重なりが小さく、同
時に、前記フォトクロミック化合物に吸収のない波長域
が少なくとも2箇所あり、その波長域が双安定物質の二
つの前記異性体の吸収帯とそれぞれ一致していること
が、とくに好ましい。本発明の効果を最も効果的に発揮
できるからである。
【0022】次に本発明は再生時の光照射に伴う記録状
態の破壊を抑えて、再生回数を増加させることである。
これに加えて、再生時に検出する記録部と未記録部の透
過光の差を大きくして精度の高い再生を行うには、以下
に述べる消去法を用いることが効果的である。消去時に
は、まず光照射(図1の(6))によって双安定物質に
異性化反応(図1の(8))を起こさせて長波長異性体
にする事で消光剤として活性化する。その後、紫外光照
射(図1の(1))を行ない、フォトクロミック反応
(図1の(3))を起こさせて着色異性体にすることで
消去を達成する。ここで注意することは、紫外光照射
(図1の(1))中で生成するのは着色異性体と無色異
性体の混合物であり、全てが着色体になるわけではな
い。これは、無色異性体への紫外光照射で生成した着色
異性体が、前述の紫外光を吸収して無色異性体に戻るフ
ォトクロミック反応(図1の(4))も起こっているか
らである。この二つの反応の速度のかねあいで無色異性
体と着色異性体の割合が決まっている。ところが、本発
明の消去法を用いれば、光照射(図1の(6))により
双安定物質は活性化されているため、着色異性体の励起
状態から双安定物質へのエネルギ−移動(図1の
(9))が進み、着色異性体の脱励起が起き、フォトク
ロミック反応(図1の(4))は抑えられる。従って、
この紫外光照射(図1の(1))によって起こるフォト
クロミック反応は着色異性体への反応(図1の(3))
が圧倒的に優勢になる。この結果消去時に生成される着
色異性体の濃度が増し、未記録部の吸収が増加し、再生
時に検出する記録部との透過光量の変化も大きくなる。
この結果、精度のよい再生過程となる。
【0023】フォトクロミック化合物及び双安定物質と
しては、お互いが満たすべき関係として以下のものがあ
る。つまり、フォトクロミック化合物の着色異性体の蛍
光帯と双安定物質の長波長異性体の吸収帯の重なりが大
きいことである。この条件を満たすものであれば特に制
限はなく、スピロピラン系、チオピラン系、ジアリ−ル
エテン系、フルギド系の他にチオインジゴ系、アゾベン
ゼン系、スチルベン系、ビオロゲン系、アジン系、ジチ
ゾン系、フォルムアザン系、サリシリデンアニリン系等
のうちから選択することができる。
【0024】記録層の組成は、フォトクロミック化合物
と双安定物質のみで形成が可能な場合はそれが好ましい
が、良好な製膜が難しい場合は担持剤として適当なマト
リックスを用いることが可能である。マトリックスとし
ては、ポリビニルブチラ−ル、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等の高分子のように
無色なマトリックスであれば特に制限は受けない。ま
た、フォトクロミック化合物と双安定物質が近距離にあ
ってエネルギ−移動の効率が高いことが好ましいので、
担持される化合物に対してマトリックス量は少ないこと
が好ましい。
【0025】以下の実施例では、フォトクロミック化合
物として下記の構造で示されるスピロピラン系化合物
(以下フォトクロミック化合物1と略す)を用い、双安
定物質には下記の構造を持つチオピラン系化合物(以下
光反応性双安定性消光剤1と呼ぶ。)を用いたが、本発
明の光学記録媒体に適応されるフォトクロミック化合物
及び双安定物質に限定されるものではない。
【0026】実施例における基板には、石英を用いた
が、他にポリカ−ボネイト、アクリル、ポリオレフィン
等の高分子材料や、ガラス及び各種金属、CaF2 等の
無機物等を用いることができる。
【0027】また、スピンコ−ト法等の薄膜法を用いて
記録媒体を形成したが、LB法や蒸着法などの他の薄膜
法を用いてもよい。尚、以下に示す実施例で用いた化合
物の構造は、フォトクロミック化合物1は下記式(化
1)、双安定物質1は下記式(化2)に示す通りであ
る。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】(実施例1)フォトクロミック化合物1
は、日本感光色素から購入した。また、双安定物質1の
合成法は特願平2−273939号に記載されており、
これに従って合成した。
【0031】フォトクロミック化合物1と双安定物質1
の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを図2に示す。図2
において、(1)はフォトクロミック化合物1の無色異
性体の吸収スペクトル、(2)は着色異性体の吸収スペ
クトル、(3)は着色異性体の蛍光スペクトルである。
双安定物質1について、(4)は短波長異性体の吸収ス
ペクトル、(5)は長波長異性体の吸収スペクトルはで
ある。フォトクロミック化合物1の無色異性体と双安定
物質1の短波長異性体の蛍光スペクトルは、これらが殆
ど蛍光を出さないために省略してある。また、双安定物
質1の長波長異性体の蛍光帯は図示した領域よりも長波
長側にあるため、これも省略してある。これらをみる
と、フォトクロミック化合物1の着色異性体の蛍光帯
(図2の(3))と双安定物質1の長波長異性体の吸収
帯(図2の(5))の重なりがよく、フォトクロミック
化合物1の着色異性体の励起状態から双安定物質1の長
波長異性体へのエネルギ−移動に伴う脱励起が起こるの
に必要な条件を満たしている。
【0032】フォトクロミック化合物1と、双安定物質
1と、これらを担持するポリマ−としてポリスチレンス
ルホン酸ジオクタデシルジメチルアンモニウムを重量比
で1:1:2の割合で含むクロロホルム溶液を作製し、
これを用いて石英基板上にスピンコ−ト法により記録層
を形成して、記録媒体とした。
【0033】形成された記録媒体中で、フォトクロミッ
ク化合物1は無色異性体になっていた。これは記録状態
に相当する。また、双安定物質1は短波長異性体の状態
になっていた。この状態は、消光剤として不活性な状態
である。
【0034】まず記録を行う前に初期化を行う必要があ
ることから、以下の消去の操作を行った。上記の様に作
製された記録媒体に、420nmの紫外レーザ(図2の
λ3、図1の(6)に対応)を出力エネルギ−20mJ
/cm2 を照射して双安定物質1を長波長異性体にした
後(図1の(8)に対応)、紫外レ−ザ340nmを出
力エネルギ−100mJ/cm2 で照射して(図1の
(1)、図2のλ1 に対応)着色異性体とすることで
(図1の(3)に対応)、消去状態とした。
【0035】次に記録を行った。まず可視レ−ザ680
nmを出力エネルギ−800mJ/cm2 で照射して
(図1の(5)、図2のλ4 に対応)、双安定物質を短
波長異性体にした(図1の(7)に対応)後、可視レ−
ザ540nmを出力エネルギ−200mJ/cm2 で照
射して(図1の(2)、図2のλ2 に対応)、フォトク
ロミック化合物を無色異性体として(図1の(4)に対
応)記録を行った。
【0036】引き続き再生を行った。まず、420nm
の紫外レーザ(図2のλ3 、図1の(6)に対応)を出
力エネルギ−20mJ/cm2 を照射して双安定物質1
を長波長異性体にした後(図1の(7)に対応)、可視
レ−ザ540nmを出力エネルギ−1mJ/cm2 で照
射して(図1の(2)、図2のλ2 に対応)、透過光を
検知して再生を行った。未記録部の透過光量が記録部の
透過光量と判別できなくなるまで430回の再生が可能
であった。
【0037】再生後、消去を初期化と同じ手順で行っ
た。この直後、再生時に検出された透過光強度は初期化
直後と同じであった。 (比較例1)比較のために実施例1と同じ記録媒体に従
来の消去法を用いて初期化を行なった。
【0038】実施例と同様にして作成された記録媒体
に、紫外レ−ザ340nmを出力エネルギ−100mJ
/cm2 で照射して(図1の(1)、図2のλ1 に対
応)着色異性体とすることで(図1の(3)に対応)、
消去状態とした。
【0039】実施例のように、420nmの紫外レ−ザ
によって双安定物質を活性化する場合に比べて、消去の
操作で生成する着色異性体の濃度が減少した。この結
果、実施例と同じ方法で記録を行なった後、再生時に検
出される記録部と未記録部の透過光量の変化も10%減
少した。この結果、再生時のSN比が低下し、再生精度
の低下が生じた。
【0040】(比較例2)比較のために、実施例の記録
媒体を実施例の消去法で初期化したものについて、従来
の記録法で記録を行なった。
【0041】まず、実施例の記録媒体に、実施例の消去
法で初期化を行なった。次に、可視レ−ザ540nmを
出力エネルギ−200mJ/cm2 で照射して(図1の
(2)、図2のλ2 に対応)、フォトクロミック化合物
の一部を無色異性体とした(図1の(4)に対応)。と
ころが、フォトクロミック反応(図1の(4)に対応)
が充分進行せず、再生時に検出された記録部の透過光量
と未記録部の透過光量との差は小さく、記録状態として
検出されなかった。
【0042】(比較例3)比較のために、実施例の記録
媒体を実施例の消去法で初期化、記録したものについ
て、従来の再生法で再生を行なった。
【0043】まず、実施例の記録媒体を実施例の消去方
法で初期化し、実施例の方法で記録を行なった。次に、
可視レ−ザ540nmを実施例と同じ出力エネルギ−1
mJ/cm2 で照射して(図1の(2)、図2のλ2
対応)、透過光を検知して再生を行った。未記録部の吸
収が記録部の吸収と判別できなくなるまで205回の再
生が可能であった。実施例のように、420nmの紫外
レ−ザによって双安定物質を活性化する場合に比べて、
再生時の記録状態の破壊(読み出し破壊)が進行し、可
能な再生回数が低下した。
【0044】以上で述べた、本実施例では消去(初期
化)、再生、記録時の際に、光反応性層安定性消光剤の
吸収波長の光照射に先だって、フォトクロミック化合物
の吸収波長の光照射を行なったが、同時に行なってもよ
い。
【0045】以上の様に、本実施例ではフォトクロミッ
ク化合物と双安定物質を含有する記録媒体を用い、双安
定物質を不活性化した後、記録を行い、双安定物質を活
性化をさせてから再生する事で、感度良く記録を行な
い、再生時の記録情報の破壊を低減して再生回数を増加
させた。また、双安定物質を活性化をさせてから消去す
ることで、フォトクロミック化合物の着色体濃度が高ま
り、精度の高い再生が可能になった。
【0046】これは、双安定物質の状態を変えること
で、記録過程に相当するフォトクロミック反応(着色異
性体から無色異性体への反応。図1の(4)に対応す
る。)の進行を制御できるからである。
【0047】
【発明の効果】本発明の光学記録媒体は、記録層中にフ
ォトクロミック化合物と、双安定物質の両方を含むこと
が特徴で、記録時には双安定物質を短波長異性体にして
消光剤として不活性化してから、フォトクロミック化合
物の着色異性体が吸収する波長の光を照射して記録を行
なう。また、再生時には双安定物質を長波長異性体にし
て消光剤として活性化し、フォトクロミック化合物の着
色異性体が吸収する波長の光を照射して透過光を検知す
ることで再生を行なう。このような記録媒体と記録、再
生方法を用いることによって感度のよい記録と、再生時
に記録状態の破壊(読み出し破壊)を減少させて可能な
再生回数の増加を実現する効果がある。
【0048】本発明の光学記録媒体の消去には、双安定
物質を長波長異性体にして消光剤として活性化してか
ら、フォトクロミック化合物の無色体が吸収する波長の
光を照射して消去を行なう。こうすることで、消去時の
フォトクロミック化合物の着色異性体の濃度を高め、再
生時に検出する記録部と未記録部との透過光量の変化を
大きくして再生時の感度を高くする効果がある。
【0049】以上のように、本発明は新規な記録媒体と
その記録再生及び消去方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のフォトクロミック化合物の
エネルギ−レベルとエネルギ−移動示す図(a)、及び
双安定物質のエネルギ−レベルとエネルギ−移動示す図
(b)。
【図2】本発明の一実施例のフォトクロミック化合物の
吸収強度と蛍光強度のスペクトル図(a)、及び双安定
物質の吸収強度のスペクトル図(b)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無色異性体と着色異性体の2状態を有す
    るフォトクロミック化合物と、長波長異性体と短波長異
    性体の2状態を有する双安定物質とを少なくとも含む組
    成物であって、前記双安定物質の長波長異性体の吸収帯
    と、前記フォトクロミック化合物の着色異性体の蛍光帯
    との波長が重なり合うことを特徴とする光学記録媒体。
  2. 【請求項2】 フォトクロミック化合物と双安定物質の
    少なくとも一方がスピロピランまたはチオピランである
    請求項1記載の光学記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光学記録媒体を用い、双
    安定物質の長波長異性体の吸収波長の光照射を行ない、
    前記双安定物質を短波長異性体に変換した後、または前
    記光照射と同時に、フォトクロミック化合物の着色異性
    体の吸収波長の光照射を行なって無色異性体に変換して
    記録することを特徴とする光学記録媒体の使用方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の光学記録媒体を用い、双
    安定物質の短波長異性体の吸収波長の光照射を行い前記
    双安定物質を長波長異性体に変換して消光が起こる状態
    とした後、または前記光照射と同時にフォトクロミック
    化合物の着色異性体の吸収波長の光照射を行なってその
    透過光を検知し、再生することを特徴とする光学記録媒
    体の使用方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の光学記録媒体を用い、双
    安定物質の短波長異性体の吸収波長の光照射をして双安
    定物質を長波長異性体に変換して消光が起こる状態とし
    た後、または前記光照射と同時にフォトクロミック化合
    物の無色異性体の吸収波長の光照射を行なって前記フォ
    トクロミック化合物の無色異性体を着色異性体に変換し
    て消去することを特徴とする光学記録媒体の使用方法。
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