JPH0524124A - ポリイミド樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

ポリイミド樹脂成形体およびその製造方法

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JPH0524124A
JPH0524124A JP3179871A JP17987191A JPH0524124A JP H0524124 A JPH0524124 A JP H0524124A JP 3179871 A JP3179871 A JP 3179871A JP 17987191 A JP17987191 A JP 17987191A JP H0524124 A JPH0524124 A JP H0524124A
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JP
Japan
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polyimide resin
molded body
thermosetting
thermoplastic
thermoplastic polyimide
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JP3179871A
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Koji Kawase
晃司 川瀬
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Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱硬化性ポリイミド樹脂が本来有している耐
熱性などの特性を低下させることなく脆さが改善され、
耐衝撃性、可とう性および靭性に優れたポリイミド樹脂
成形体を得る。 【構成】 空隙を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形体
と、この成形体の空隙に充填された熱硬化性ポリイミド
樹脂層とからなるポリイミド樹脂成形体。このようなポ
リイミド樹脂成形体は、熱可塑性ポリイミド樹脂により
空隙を有する成形体を形成し、この成形体の空隙に熱硬
化性ポリイミド樹脂を充填して硬化させることにより製
造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は脆さが改善され、耐衝撃
性、可とう性および靭性に優れたポリイミド樹脂成形
体、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は優れた機械的特性、電
気的特性を有し、かつ耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性など
にも優れているため、電気、電子機器、車輌、航空機な
ど、過酷な条件下で高い信頼性を有する材料を必要とす
る分野において利用されている。
【0003】しかしポリイミド樹脂は高機能を有する反
面、一般に成形加工性に乏しく、なかでも芳香族テトラ
カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとから得られる縮合
型ポリイミド樹脂は中間にポリアミド酸の脱水閉環の工
程を伴うため、フィルムを製造することは容易である
が、成形体を製造するためには特殊な方法を採らざるを
得ず、それが普及を妨げる結果となっている。
【0004】成形加工性を改良したポリイミド樹脂とし
ていくつかのものが提案されている。1つは、分子中に
メタ型構造を導入するなどして熱可塑性にしたものであ
る。このような熱可塑性ポリイミド樹脂としては、ビス
フェノール骨格を導入したポリエーテルイミドが射出成
形も可能なポリイミド樹脂として既によく知られ利用さ
れている。
【0005】しかし、このような熱可塑性ポリイミド樹
脂は、成形加工性に優れ、伸び率が数%から数10%に
なるなど、従来のポリイミド樹脂に比べ、可とう性に優
れているが、耐熱性に劣るという問題点がある。
【0006】成形加工性を改良した他のポリイミド樹脂
としては、ビスマレイミド化合物、アセチレン末端ポリ
イミドプレポリマー、ナジック酸末端ポリイミドプレポ
リマーなどの反応性多重結合化合物とジアミン、ジイソ
シアネートなどとの反応を利用する熱硬化性ポリイミド
樹脂がある。これらの樹脂は比較的低温で溶融し、速や
かに硬化するため成形が容易であり、また硬化反応が付
加反応であるため副反応生成物がなく、ボイドのない成
形体が容易に得られる。これらの中で芳香族ビスマレイ
ミドと芳香族ジアミンのモノマーまたはプレポリマーと
を利用するポリアミノビスマレイミド樹脂(特公昭46
−23250号、特公昭52−5959号)はよく知ら
れており、熱硬化性ポリイミド樹脂として最も一般的で
ある。
【0007】しかし、このような熱硬化性ポリイミド樹
脂は架橋密度が高くなることから脆くなり、耐衝撃性お
よび可とう性に劣るという問題点がある。そして上記熱
可塑性ポリイミド樹脂および熱硬化性ポリイミド樹脂を
単に混合したものを使用しても、それぞれの欠点は改善
されない。
【0008】このような問題点を解決するため、各種の
繊維を強化材とした複合材料が提案されているが、その
特性は改良されるものの、繊維と樹脂の含浸、繊維の配
向と物性の関係などに選択性があり困難な面が多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱硬
化性ポリイミド樹脂が本来有している耐熱性などの特性
を低下させることなく、脆さが改善され、耐衝撃性、可
とう性および靭性に優れたポリイミド樹脂成形体を提供
することである。本発明の他の目的は、上記特性を有す
る成形体を簡単に製造できるポリイミド樹脂成形体の製
造方法を提案することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は次のポリイミド
樹脂成形体およびその製造方法である。 (1)空隙を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形体と、
前記熱可塑性ポリイミド樹脂成形体の空隙に充填された
熱硬化性ポリイミド樹脂層とからなることを特徴とする
ポリイミド樹脂成形体。 (2)熱可塑性ポリイミド樹脂がポリエーテルイミド樹
脂である上記(1)記載のポリイミド樹脂成形体。 (3)熱硬化性ポリイミド樹脂がポリアミノビスマレイ
ミド樹脂である上記(1)または(2)記載のポリイミ
ド樹脂成形体。 (4)熱可塑性ポリイミド樹脂により空隙を有する成形
体を形成する工程と、前記成形体の空隙に熱硬化性ポリ
イミド樹脂を充填して硬化させ、熱硬化性ポリイミド樹
脂層を形成する工程とからなることを特徴とするポリイ
ミド樹脂成形体の製造方法。 (5)熱可塑性ポリイミド樹脂がポリエーテルイミド樹
脂である上記(4)記載の製造方法。 (6)熱硬化性ポリイミド樹脂がポリアミノビスマレイ
ミド樹脂である上記(4)または(5)記載の製造方
法。
【0011】本発明で使用することができる熱可塑性ポ
リイミド樹脂としては特に制限はなく、どのような熱可
塑性ポリイミド樹脂でも使用でき、例えばベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸無水物とジアミノベンゾフェノンと
からなるポリイミド樹脂、ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸無水物とジアミノジフェニルスルホンとからなるポ
リイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などがあげられ
る。これらの中では、ポリエーテルイミド樹脂が好まし
い。
【0012】本発明で使用することができる熱硬化性ポ
リイミド樹脂としては特に制限はなく、どのような熱硬
化性ポリイミド樹脂でも使用でき、例えばポリアミノビ
スマレイミド型、ナジック酸末端ビスマレイミド型、ア
セチレン末端ポリイミド樹脂などがあげられる。これら
の中ではポリアミノビスマレイミド樹脂が好ましい。
【0013】また熱可塑性ポリイミド樹脂と熱硬化性ポ
リイミド樹脂との組合せとしては、ポリエーテルイミド
樹脂とポリアミノビスマレイミド樹脂との組合せが好ま
しい。両樹脂を組合せることにより、ポリアミノビスマ
レイミド樹脂が本来有している耐熱性などの特性を低下
させることなく、脆さが改善され、これにより耐熱性、
耐衝撃性、可とう性および靭性などに優れたポリアミノ
ビスマレイミド樹脂成形体を得ることができる。
【0014】本発明のポリイミド樹脂成形体には、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂などの他の熱硬化性樹脂を本
発明の目的を損なわない範囲で熱硬化性ポリイミド樹脂
および熱可塑性ポリイミド樹脂のいずれか一方または両
方に配合することができる。またグラファイト、二硫化
モリブデン、タルク、ポリテトラフロロエチレン樹脂、
アルミナ、炭酸カルシウム、マイカなどの充填剤も本発
明の目的を損なわない範囲で熱硬化性ポリイミド樹脂ま
たは熱可塑性ポリイミド樹脂に配合することができる。
【0015】空隙を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形
体は、強化材として使用されるものである。この熱可塑
性ポリイミド樹脂成形体の空隙はできるだけ小さくて密
であることが好ましい。
【0016】熱可塑性ポリイミド樹脂成形体の形状は、
その空隙に熱硬化性ポリイミド樹脂を充填することがで
きる形状であれば特に限定されず、例えば熱可塑性ポリ
イミド樹脂の顆粒同志が接触部分で融着している多孔性
の板状のもの、長尺状の熱可塑性ポリイミド樹脂成形物
が組合されて接触部分で融着している格子状のものなど
があげられる。
【0017】本発明のポリイミド樹脂成形体は、上記の
ような熱可塑性ポリイミド樹脂成形体と、この熱可塑性
ポリイミド樹脂成形体の空隙に充填された熱硬化性ポリ
イミド樹脂層とからなるものである。熱硬化性ポリイミ
ド樹脂層は、熱可塑性ポリイミド樹脂成形体の空隙に隙
間なく熱硬化性ポリイミド樹脂が充填されているのが好
ましい。また熱硬化性ポリイミド樹脂層は、熱可塑性ポ
リイミド樹脂成形体の周囲を覆うように形成されている
のが好ましい。
【0018】本発明のポリイミド樹脂成形体は、空隙を
有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形体を強化材とし、空
隙に熱硬化性ポリイミド樹脂層を形成することにより、
熱硬化性ポリイミド樹脂の特性、例えば耐熱性に、熱可
塑性ポリイミド樹脂の特性、例えば耐衝撃性、可とう性
などが付与され、これにより、耐熱性を低下させること
なく、脆さが改善され、耐衝撃性、可とう性に優れたポ
リイミド樹脂成形体が得られる。この場合、熱可塑性ポ
リイミド樹脂と熱硬化性ポリイミド樹脂は、同種の樹脂
であるから、相容性に優れ、このためそれぞれの層の接
着強度は大きく、層分離は発生しない。
【0019】本発明のポリイミド樹脂成形体中の熱可塑
性ポリイミド樹脂:熱硬化性ポリイミド樹脂の重量比は
1:10〜5:1、好ましくは1:5〜2:1が望まし
い。
【0020】本発明のポリイミド樹脂成形体は、熱可塑
性ポリイミド樹脂により空隙を有する成形体を形成し、
この成形体の空隙に熱硬化性ポリイミド樹脂を充填して
硬化させ、熱硬化性ポリイミド樹脂層を形成することに
より製造することができる。
【0021】空隙を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形
体を成形するには、例えば顆粒状の熱可塑性ポリイミド
樹脂をこの樹脂の熱変形温度より少し高い温度で、特に
加圧することなく短時間加熱して顆粒同士の接触部分を
溶融させた後、冷却して融着させることにより、多孔性
の熱可塑性ポリイミド樹脂成形体を製造することができ
る。また熱可塑性ポリイミド樹脂を押出成形により長尺
状に成形した後、この長尺状の成形物を交差するように
組合せ、この樹脂の熱変形温度より少し高い温度で、特
に加圧することなく短時間加熱して成形物の接触部分を
溶融させた後、冷却して融着させることにより、格子状
の熱可塑性ポリイミド樹脂成形体を製造することができ
る。
【0022】熱可塑性ポリイミド樹脂成形体の空隙に熱
硬化性ポリイミド樹脂を充填するには、例えば振動など
の方法により熱可塑性ポリイミド樹脂成形体の空隙中に
熱硬化性ポリイミド樹脂を詰めた後、金型中で加圧下に
加熱して熱硬化性ポリイミド樹脂を溶融させる方法など
が採用できる。この時熱硬化性ポリイミド樹脂の充填と
ともに成形も行う。このような方法によれば、熱硬化性
ポリイミド樹脂は硬化前の溶融時に空隙内を流れて空隙
に充填され、熱可塑性ポリイミド樹脂と強固に融着して
熱硬化性ポリイミド樹脂層を形成する。加圧、加熱条件
は使用する熱硬化性ポリイミド樹脂にもよるが、通常圧
力が100〜400kg/m2、好ましくは250〜3
50kg/m2、温度が100〜300℃、好ましくは
150〜250℃、時間が1〜30分、好ましくは5〜
15分が望ましい。必要であれば、さらにポストキュア
して完全に硬化させる。
【0023】図1は本発明のポリイミド樹脂成形体の一
例を示す平面図、図2はそのA−A断面図、図3はその
一部を拡大して示す模式的断面図である。
【0024】図1〜3の板状のポリイミド樹脂成形体1
は、空隙2を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3
と、この成形体3の空隙2に充填された熱硬化性ポリイ
ミド樹脂層4と、熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3の表
面を覆うように形成された熱硬化性ポリイミド樹脂層5
とからなる。熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3は熱可塑
性ポリイミド樹脂の顆粒6同士が接触部分で融着し、顆
粒6相互間に空隙2(孔)を有する多孔性の板状の形状
をしており、その空隙2に隙間なく熱硬化性ポリイミド
樹脂層4が形成されている。
【0025】このようなポリイミド樹脂成形体1は、次
のような方法で製造することができる。まず熱可塑性ポ
リイミド樹脂の顆粒6を、この熱可塑性ポリイミド樹脂
の熱変形温度より少し高めに設定した図4に示すプレス
成形用金型10の下型11のキャビティ12内に入れ、
次に上型13を載せ、特に加圧することなく短時間加熱
して顆粒6同士の接触部分を溶融させた後、冷却して融
着させ、多孔性の板状の熱可塑性ポリイミド樹脂成形体
3を製造する。
【0026】次にこの熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3
を熱硬化性ポリイミド樹脂の粉体中に入れ、振動を加え
るなどして熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3の空隙2
(孔)に十分に熱硬化性ポリイミド樹脂を詰める。
【0027】次にプレス成形用金型10の下型11のキ
ャビティ12内に熱硬化性ポリイミド樹脂の粉体を敷
き、この上に上記熱硬化性ポリイミド樹脂が詰められた
熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3を置き、さらにこの上
に熱硬化性ポリイミド樹脂の粉体を入れ、上型13を載
せる。そして前記加圧、加熱条件で熱硬化性ポリイミド
樹脂の一部を空隙2(孔)に充填するとともに、硬化さ
せて熱硬化性ポリイミド樹脂層4、5を形成し、ポリイ
ミド樹脂成形体1を得る。
【0028】図5は別のポリイミド樹脂成形体の平面
図、図6はそのB−B断面の一部を拡大して示す模式的
断面図、図7はそのC−C断面の一部を拡大して示す模
式的断面図である。
【0029】図5〜7の板状のポリイミド樹脂成形体1
は、空隙2を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3
と、この成形体3の空隙2に充填された熱硬化性ポリイ
ミド樹脂層4と、熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3の表
面を覆うように形成された熱硬化性ポリイミド樹脂層5
とからなる。熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3は、熱可
塑性ポリイミド樹脂からなる棒状成形物7が交差するよ
うに何段にも組合されて、棒状成形物7同士が接触部分
で融着し、棒状成形物7相互間に空隙2(隙間)を有す
る格子状の形状をしており、その空隙2に隙間なく熱硬
化性ポリイミド樹脂層4が形成されている。
【0030】このようなポリイミド樹脂成形体1は、次
のような方法で製造することができる。まず熱可塑性ポ
リイミド樹脂を押出成形により棒状に成形し、これを適
当な長さに切断して棒状成形物7を得、この棒状成形物
7をプレス成形用金型10の下型11のキャビティ12
内に適当な間隔で敷き、さらにこの棒状成形物7上に交
差するように別の棒状成形物7を適当な間隔で重ね、こ
の操作を繰返して何段にも組合せ、最後に上型13を載
せ、熱可塑性ポリイミド樹脂の熱変形温度より少し高い
温度で、特に加圧することなく短時間加熱して棒状成形
物7の接触部分を溶融させた後、冷却して融着させ、格
子状の熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3を製造する。
【0031】次にプレス成形用金型10の下型11のキ
ャビティ12内に熱硬化性ポリイミド樹脂の粉体を敷
き、この上に上記格子状の熱可塑性ポリイミド樹脂成形
体3を置き、さらにこの上に熱硬化性ポリイミド樹脂の
粉体を入れ、上型13を載せる。そして振動を加えるな
どして、熱可塑性ポリイミド樹脂成形体3の空隙2(隙
間)に熱硬化性ポリイミド樹脂を詰めた後、前記加圧、
加熱条件で熱硬化性ポリイミド樹脂の一部を空隙2(隙
間)に充填するとともに、硬化させて熱硬化性ポリイミ
ド樹脂層4、5を形成し、ポリイミド樹脂成形体1を得
る。
【0032】本発明のポリイミド樹脂成形体は、電気や
電子機器、車輌、航空機など、過酷な条件下で高い信頼
性が要求される分野で利用することができる。
【0033】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、熱硬化性
ポリイミド樹脂が本来有している耐熱性などの特性を低
下させることなく脆さが改善され、耐熱性、耐衝撃性、
可とう性および靭性に優れたポリイミド樹脂成形体が得
られる。
【0034】また本発明によれば、熱可塑性ポリイミド
樹脂により空隙を有する成形体を形成する工程と、この
成形体の空隙に熱硬化性ポリイミド樹脂を充填して硬化
させ、熱硬化性ポリイミド樹脂層を形成する工程とから
成形体を製造するようにしたので、上記特性を有するポ
リイミド樹脂成形体を簡単に製造することができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例および比較例において本発明を
さらに具体的に説明するが、これらの実施例は説明の目
的で述べるものであって、本発明に何ら制限を加えるも
のではない。
【0036】実施例1 図4に示すような50×150mm長方形平板を作成す
るプレス成形用金型10を220℃に予熱し、下型11
のキャビティ12内に、熱可塑性ポリイミド樹脂の顆粒
6として、平均粒子径約1.5mmのウルテム1000
(ポリエーテルイミド樹脂、GEプラスチックスジャパ
ン社製、商標)136gを入れ、上型13をセットし
た。これをプレス成形用金型10にて特に加圧すること
なく、5分間熱盤により加熱した。こうしてウルテム1
000の顆粒同志がその接触部分のみで融着した厚さ1
9mmの多孔性の板状の熱可塑性ポリイミド樹脂成形体
3を得た。
【0037】熱硬化性ポリイミド樹脂として、ケルイミ
ド1010(ポリアミノビスマレイミド樹脂、ローヌプ
ーラン社製、商標)の粉体中に上記多孔性の板状の成形
体3を入れ、振動させてこの成形体3の孔に十分ケルイ
ミド1010の粉体を充填した。
【0038】この成形体3を、ケルイミド1010の粉
体を厚さ5mm程度に敷いた前記プレス成形用金型10
の下型11のキャビティ12に入れ、さらにその上に厚
さ5mm程度にケルイミド1010の粉体を上載せし、
上型13を載せた後、200℃、200kg/cm2
15分間プレスすることにより成形体1を得た。この成
形体1を熱風ギアオーブン中で200℃で12時間、さ
らに220℃で12時間ポストキュアし、50×150
×23mmのポリアミノビスマレイミド樹脂成形体1を
得た。この成形体1の物性値を表1に示す。
【0039】実施例2 350℃で溶融させた前記ウルテム1000を直径2m
mの穴の空いたダイスから押出し、棒状成形物7を得
た。これを適宜切断して長さ48mmと148mmの棒
状成形物7の2群を得た。次に前記50×150mmの
プレス成形用金型10の下型11のキャビティ12の5
0mm方向に48mmの棒状成形物7を5mm間隔で敷
き、さらにその上に150mm方向に148mmの棒状
成形物7を5mm間隔で敷いた。以下同様にして各層が
直角に交差する5層の格子を作成し、その上に上型13
を載せ、特に加圧することなく220℃にて5分間加熱
した。このようにして、棒状成形物7が破損することな
く、接触部分で溶融して融着した格子状の熱可塑性ポリ
イミド樹脂成形体3を得た。
【0040】上記格子状の成形体3を前記プレス成形用
金型10の下型11のキャビティ12に入れ、さらにそ
の上に前記ケルイミド1010の粉体140gを入れ、
その上に上型13を載せた。この後、金型10を振動さ
せ、格子の隙間に、粉体を十分に詰めた後、実施例1と
同一条件で成形して成形体1を得た。さらにこの成形体
1を熱風ギアオーブン中で200℃で12時間、さらに
220℃で12時間ポストキュアし、50×150×1
5mmのポリアミノビスマレイミド樹脂成形体1を得
た。この成形体1の物性値を表1に示す。
【0041】比較例1 実施例1で用いたのと同じ金型10に、前記ケルイミド
1010の粉体のみ120gを入れ、200℃、200
kg/cm2で15分間プレスして成形体を得た。この
成形体を熱風ギアオーブン中で200℃で12時間、さ
らに220℃で12時間ポストキュアし、非強化のポリ
アミノビスマレイミド樹脂成形体(50×150×13
mm)を得た。この成形体の物性値を表1に示す。
【0042】
【表1】 *1 JIS K−7113プラスチックの引張試験方
法による(1号試験片) *2 JIS K−7203硬質プラスチックの曲げ試
験方法による *3 JIS K−7110硬質プラスチックのアイゾ
ット衝撃試験方法による(2号A試験片) *4 JIS K−7207硬質プラスチックの荷重た
わみ温度試験方法、A法による
【0043】表1の結果から、実施例のポリイミド樹脂
成形体は比較例のものに比べて引張強度、曲げ強度、曲
げ弾性率、アイゾット衝撃強度がいずれも著しく改善さ
れ、靭性、可とう性および耐衝撃性に優れていることが
わかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリイミド樹脂成形体の一例を示す平
面図である。
【図2】図1の成形体のA−A断面図である。
【図3】図1の成形体のA−A断面の一部を拡大して示
す模式的断面図である。
【図4】本発明のポリイミド樹脂成形体の製造に使用さ
れるプレス成形用金型を示す斜視図である。
【図5】本発明のポリイミド樹脂成形体の別の例を示す
平面図である。
【図6】図5の成形体のB−B断面の一部を拡大して示
す模式的断面図である。
【図7】図5の成形体のC−C断面の一部を拡大して示
す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 ポリイミド樹脂成形体 2 空隙 3 熱可塑性ポリイミド樹脂成形体 4、5 熱硬化性ポリイミド樹脂層 6 顆粒 7 棒状成形物 10 プレス成形用金型 11 下型 12 キャビティ 13 上型

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空隙を有する熱可塑性ポリイミド樹脂成
    形体と、前記熱可塑性ポリイミド樹脂成形体の空隙に充
    填された熱硬化性ポリイミド樹脂層とからなることを特
    徴とするポリイミド樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリイミド樹脂がポリエーテル
    イミド樹脂である請求項1記載のポリイミド樹脂成形
    体。
  3. 【請求項3】 熱硬化性ポリイミド樹脂がポリアミノビ
    スマレイミド樹脂である請求項1または2記載のポリイ
    ミド樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリイミド樹脂により空隙を有
    する成形体を形成する工程と、前記成形体の空隙に熱硬
    化性ポリイミド樹脂を充填して硬化させ、熱硬化性ポリ
    イミド樹脂層を形成する工程とからなることを特徴とす
    るポリイミド樹脂成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリイミド樹脂がポリエーテル
    イミド樹脂である請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱硬化性ポリイミド樹脂がポリアミノビ
    スマレイミド樹脂である請求項4または5記載の製造方
    法。
JP3179871A 1991-07-19 1991-07-19 ポリイミド樹脂成形体およびその製造方法 Pending JPH0524124A (ja)

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JPH11185731A (ja) * 1997-02-05 1999-07-09 Sumitomo Chem Co Ltd リチウム二次電池用正極およびリチウム二次電池
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