JP2915975B2 - 電磁波シールド部材 - Google Patents

電磁波シールド部材

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JP2915975B2
JP2915975B2 JP21401090A JP21401090A JP2915975B2 JP 2915975 B2 JP2915975 B2 JP 2915975B2 JP 21401090 A JP21401090 A JP 21401090A JP 21401090 A JP21401090 A JP 21401090A JP 2915975 B2 JP2915975 B2 JP 2915975B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、特に耐熱性に優れると共に、製造が容易な
電磁波シールド部材に関する。
発明の技術的背景ならびにその間題点 従来から電磁波シールド部材を形成するための樹脂と
してフェノールとホルムアルデヒドとから形成される樹
脂のような熱硬化性樹脂あるいはポリイミド等が使用さ
れている。
しかしながら、このような熱硬化性樹脂を使用する場
合には、未硬化の熱可塑性樹脂を所定の形状に賦形した
後、硬化させる必要があり、従って電磁波シールド部材
の製造工程が煩雑になるとの問題がある。また、ポリイ
ミドは、優れた耐熱性を有しているが、成形性に劣ると
いう問題がある。すなわち、このようなポリイミドを用
い電磁波シールド部材を製造する場合、ポリイミド前駆
体をピロリドンなどの特殊な溶媒に溶解した後、この溶
液を流涎し、次いで溶媒を除去しながら硬化反応を行う
ことが必要であり、電磁波シールド部材の製造が非常に
複雑化するという問題がある。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴なう問題点を解
決しようとするものであって、耐熱性に優れると共に、
容易に製造することができる電磁波シールド部材を提供
することを目的としている。
発明の概要 本発明に係る電磁波シールド部材は、 [A]テレフタル酸成分単位60〜100モル%と、テレフ
タル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜40モル%
および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸
成分単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分単
位、並びに [B]炭素原子数4〜25のアルキル基を有するジアミン
成分単位からなる繰返し単位から構成され、 かつ、融点が280℃以上であり、しかも非晶部のガラ
ス転移温度が110℃以上であるポリアミドから形成され
る樹脂成形体表面に、導電性物質蒸着層および/または
導電性塗料塗布層が設けられていることを特徴としてい
る。
また、本発明に係る電磁波シールド部材は、上記ポリ
アミドにガラス繊維が配合された樹脂組成物により形成
されていることが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド部材は、上記のような特
定の繰返し単位から構成されるポリアミドから形成され
ているため、非常に優れた耐熱性を示すと共に、このよ
うなポリアミドは、熱可塑性であるため、射出成形ある
いは押出し成形などの方法を利用することにより電磁波
シールド部材を容易に製造することができる。
発明の具体的説明 以下、本発明に係る電磁波シールド部材について実施
例を示しながら具体的に説明する。
本発明の電磁波シールド部材は、以下に示すように、
特定のポリアミドからなる樹脂成形体と、この樹脂成形
体の表面に形成された導電性物質蒸着層および/または
導電性塗料塗布層とからなる。そして、ここで使用され
るポリアミドとしては、以下に示すような特定のポリア
ミドを単独で使用することもできるが、ガラス繊維のよ
うな充填材を配合したポリアミド樹脂組成物を使用する
ことが好ましい。
このようなポリアミド樹脂組成物としては、例えば、
ポリアミドをベント付二軸造粒機のような造粒機のホッ
パーから投入して溶融状態にしながら、繊維直径13μm
程度、長さが3mm程度のガラス繊維を溶融状態にあるポ
リアミドと共に混練することにより調製されるポリアミ
ドとガラス繊維とを含むポリアミド樹脂組成物のペレッ
トを使用することが好ましい。
本発明の電磁波シールド部材を構成する樹脂成形体
は、以下に示すような特定のポリアミド樹脂組成物を使
用して、射出成形等の熱可塑性樹脂を用いて成形を行う
際に利用されている成形方法を採用して製造することが
できる。
上記のような本発明の電磁波シールド部材を製造する
際に用いられるポリアミドは、 特定のジカルボン酸成分単位[A]と、 特定の脂肪族ジアミン成分単位[B]とからなる繰り返
し単位から構成されている。
そして、本発明において使用されるポリアミドを構成
する特定のジカルボン酸成分単位[A]は、必須成分と
してテレフタル酸成分単位(a)を有している。このよ
うなテレフタル酸成分単位(a)を有する繰返し単位
は、次式[II−a]で表わすことができる。
ただし、上記式[II−a]において、R1は、炭素原子
数4〜25のアルキレン基を表わす。
この特定のジカルボン酸成分単位は、全部が上記[II
−a]で表される成分単位である必要はなく、上記のよ
うなテレフタル酸成分単位(a)の代わりに他のジカル
ボン酸成分単位を有するものであってもよい。
このようなテレフタル酸成分以外の他のカルボン酸成
分単位には、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位と脂肪族ジカルボン酸成分単位とがある。
テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位の例
としては、イソフタル酸から誘導される成分単位、2−
メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を挙げる
ことができる。本発明のポリアミドがテレフタル酸以外
の芳香族ジカルボン酸成分単位を含む場合、このような
成分単位としては、特にイソフタル酸成分単位が好まし
い。
このようなテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位のうち、本発明において特に好ましいイソフタル
酸成分単位を有する繰返し単位は、次式[II−b]で表
わすことができる。
ただし、上記式[II−b]において、R1は炭素原子数
4〜25のアルキレン基を表わす。
さらに、脂肪族ジカルボン酸成分単位としてはは、炭
素原子数4〜20、好ましくは6〜12のアルキレン基を有
する脂肪族ジカルボン酸から誘導される。このような脂
肪族ジカルボン酸成分単位(c)を誘導するために用い
られる脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸を挙げることがで
きる。
このポリアミドが脂肪族ジカルボン酸成分単位を含む
場合、このような成分単位としては、特にアジピン酸成
分単位が好ましい。
また、ジカルボン酸成分単位[A]を構成する他のジ
カルボン酸成分単位として、脂肪族ジカルボン酸成分単
位(c)を含む繰返し単位を含む繰り返し単位は、次式
[III]で表わすことができる。
ただし、上記式[III]において、R1は、上記と同じ
意味であり、nは4〜20、好ましくは6〜12の整数を表
わす。
上記の上記のようなジカルボン酸成分単位[A]と、
ジアミン成分単位[B]とから、本発明で使用されるポ
リアミドを構成する繰り返し単位は形成されている。
ここでジアミン成分単位[B]は、炭素原子数6〜18
の脂肪族アルキレンジアミンから誘導することができ
る。
このような脂肪族アルキレンジアミン成分の具体例と
しては、 1,4−ジアミノブタン、 1,6−ジアミノヘキサン、 トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、 1,7−ジアミノヘプタン、 1,8−ジアミノオクタン、 1,9−ジアミノノナン、 1,10−ジアミノデカン、 1,11−ジアミノウンデカン および 1,12−ジアミノドデカン を挙げることができる。
特に本発明においてジアミン成分単位としては、直鎖
脂肪族アルキレンジアミンから誘導された成分単位が好
ましく、このような直鎖脂肪族アルキレンジアミンとし
ては、 1,6−ジアミノヘキサン、 1,8−ジアミノオクタン、 1,10−ジアミノデカン、 1,12−ジアミノドデカン、 および、 これらの混合物が好ましい。さらに、これらの中でも1,
6−ジアミノヘキサンが特に好ましい。
本発明で使用されるポリアミドの全ジカルボン酸成分
(100モル%)中におけるテレフタル酸成分単位(a)
の含有率は60〜100モル%であり、テレフタル酸以外の
芳香族ジカルボン酸成分単位(b)の含有率は0〜40モ
ル%であり、そして、脂肪族ジカルボン酸成分単位
(c)の含有率は0〜40モル%である。
さらに本発明においては、ポリアミドを構成する脂肪
族ジアミン成分単位が炭素原子数4〜20、特に炭素原子
数5〜7の直鎖脂肪族アルキレンジアミン成分単位であ
る場合のように、アルキレンジアミン成分単位のアルキ
ル鎖が短い場合には、テレフタル酸成分単位を含む繰返
し単位が60〜85モル%の量で、またテレフタル酸成分単
位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位を含む繰返し単位
が15〜40モル%の量で、または脂肪族ジカルボン酸成分
単位を含む繰返し単位が15〜40モル%の量で、さらにテ
レフタル酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位
を含む繰返し単位および脂肪族ジカルボン酸成分単位を
含む繰返し単位の合計が15〜40モル%の量で含まれてい
ることが好ましい。
また、ポリアミドを構成する脂肪族ジアミン成分単位
が炭素原子数6〜11、特に炭素原子数6〜10の直鎖脂肪
族アルキレンジアミン成分単位である場合のようにアル
キル鎖が中間的な長さを有する場合には、芳香族ジカル
ボン酸成分単位は、テレフタル酸成分単位を含む繰返し
単位が65〜100モル%の量で、またテレフタル酸成分単
位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位を含む繰返し単位
が35モル%以下の量で、さらに脂肪族ジカルボン酸成分
単位を含む繰返し単位が0〜35モル%の量で含まれてい
ることが好ましい。
さらにまた、ポリアミドを構成する脂肪族ジアミン成
分単位が炭素原子数10〜18の直鎖脂肪族アルキレンジア
ミン成分単位である場合のように比較的長いアルキル鎖
を有する場合には、テレフタル酸成分単位を有する繰返
し単位が75〜100モル%の量で、またテレフタル酸成分
単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位が25モル%以下
の量で、さらに脂肪族ジカルボン酸成分単位を含む繰返
し単位が0〜25モル%の量で含まれていることが好まし
い。
上記のようにしてジアミン成分単位とジカルボン酸成
分単位とのバランスをとることにより、特に耐熱性に優
れた部材を形成することができる。
なお、芳香族ジカルボン酸成分単位として、上記の主
成分単位であるテレフタル酸成分単位、さらにイソフタ
ル酸成分単位に代表されるテレフタル酸以外の二価の芳
香族カルボン酸から誘導される成分単位および上述の脂
肪族ジカルボン酸成分単位の外に、少量のトリメリット
酸、ピロメリット酸等の三塩基性以上の多価カルボン酸
から誘導される成分単位を含む繰返し単位を含有してい
てもよい。本発明で使用されるポリアミド中におけるこ
のような多価カルボン酸から誘導される成分単位を含む
繰返し単位の含有率は、通常は0〜5モル%である。
上記のようなポリアミドについて、濃硫酸中30℃の温
度で測定した極限粘度[η]は、通常は0.5〜3.0dl/g、
好ましくは0.5〜2.8dl/g、特に好ましくは0.6〜2.5dl/g
の範囲にある。
さらに本発明で使用されるポリアミドは、前記式[II
−a]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とする
ポリアミドと、前記式[II−b]表わされる繰返し単位
を主な繰返し単位とするポリアミドと、前記式[III]
で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とするポリア
ミドとからなるポリアミドの混合物であってもよい。
本発明で使用されるポリアミドが混合物である場合、
これらの混合物のうちでも前記式[II−a]で表わされ
る繰返し単位を主な繰返し単位とするポリアミドと、前
記式[II−b]を主な繰返し単位とするポリアミドおよ
び/または[III]を主な繰返し単位とするポリアミド
とからなる組成物であることが好ましい。この場合、式
[II−a]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位と
するポリアミドの含有率は、通常は50重量%以上、好ま
しくは60重量%以上である。
さらにこの場合、前記式[II−b]表わされる繰返し
単位を主な繰返し単位とするポリアミドと、前記式[II
I]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とするポ
リアミドの混合物との配合比率は、重量比で、通常は5
0:50〜100:0、好ましくは60:40〜95:5である。
本発明で使用されるポリアミドは、従来から使用され
ている脂肪族ポリアミドよりも高い融点を示す。すなわ
ち本発明で使用されるポリアミドの融点は280℃以上、
好ましくは290〜340℃である。さらに、本発明で使用さ
れるポリアミドの非晶部におけるガラス転移温度は110
℃以上である。
融点および非晶部のガラス転移温度が上記の範囲内に
あるポリアミドを使用することにより、電磁波シールド
部材が高温に晒される場合であっても、この部材を形成
する樹脂が溶融状態になることがない。さらに上記のよ
うなポリアミドは成形性に優れているため、このポリイ
ミドを用いることにより、容易に樹脂成形体を形成する
ことができる。
さらに、本発明で使用されるポリアミドは、非晶部に
おけるガラス転移温度が110℃以上であるので、高温に
晒された場合であってもクラック等が発生しにくい。
また、本発明で使用されるポリアミドは、特定の構造
を有するため、本質的に高温において高い曲げ弾性率を
有しているのは勿論、従来のポリアミドの問題点とされ
ていた吸水性も低い。
本発明の電磁波シールド部材を形成するフィルムは、
上記のようなポリアミドを通常50重量%以上、好ましく
は70〜100重量%含んでおり、このようなポリアミドを
単独で使用することができるが、さらに他の樹脂を配合
することもできる。ここで使用される樹脂としては、耐
熱性熱可塑性樹脂が好ましい。
このような耐熱性熱可塑性樹脂の例としては、ポリオ
レフィン、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PPE(ポ
リフェニルエーテル)、PES(ポリエーテルフルフォ
ン)、PEI(ポリエーテルイミドおよびLCP(液晶ポリマ
ー)などを挙げることができ、さらにこれらの樹脂の変
性物を挙げることができる。特に本発明においてはポリ
フェニレンスルフィドが好ましい。
このような耐熱性熱可塑性樹脂の樹脂成分中における
含有率は、通常は50重量%未満、好ましくは0〜40重量
%の範囲内にある。
このようなポリアミド(あるいはポリアミド組成物)
およびこのポリアミドと共に使用される樹脂は、従来技
術を利用して製造することができる。
本発明において使用される繊維状の充填材として好適
な例としては、ガラス繊維およびホウ素繊維などの無機
繊維状充填材を挙げることができる。特に本発明におい
ては、ガラス繊維を使用することが好ましい。ガラス繊
維を使用することにより、電磁波シールド部材の引張り
強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性、熱変形温
度などの耐熱特性が向上する。
上記のようなガラス繊維の平均長さは、通常0.1〜20m
m、好ましくは0.3〜6mmの範囲にあり、アスペクト比
が、通常は10〜2000、好ましくは30〜600の範囲にあ
る。平均長さおよびアスペクト比がこのような範囲内に
あるガラス繊維を使用することにより、ポリアミド組成
物の成形性が向上し、かつこのポリアミド組成物から得
られる電磁波シールド部材の熱変形温度などの耐熱特
性、引張り強度、曲げ強度等の機械的特性等が向上す
る。
ガラス繊維は、ポリアミド100重量部に対して、通常2
00重量部以下の量で、好ましくは5〜180重量部の量
で、さらに好ましくは5〜150重量部の量で使用され
る。
ポリアミドに充填材を配合する方法としては、前記ポ
リアミド組成物の各構成成分を溶融状態に維持しなが
ら、前記充填材あるいは必要により他の樹脂を配合して
混練するなどの方法により調製することができる。この
際、押出し機、ニーダーなどのような通常の混練装置を
用いることができる。
上記のようなポリアミドとガラス繊維とを含有するペ
レットを用いてポリアミドからなる樹脂成形体を調製す
る。
上記のようにして調製した組成物を用いて、通常の溶
融成形法、例えば圧縮成形法、射出成形法または押し出
し成形法などを利用することにより、所望の形状の樹脂
成形体を製造する。
例えば、全ジカルボン酸成分単位を100モル%とした
ときに、テレフタル酸成分単位を70モル%、イソフタル
酸成分単位を30モル%の量で含有し、全ジアミン成分単
位の全量がヘキサメチレンジアミン成分単位(即ち100
モル%)であると共に、30℃の濃硫酸中で測定した極限
粘度[η]が1.1dl/gであり、ガラス転移温度が125℃で
あるポリアミドと、このポリアミド60重量部に対して40
重量部のガラス繊維と含むペレットを用いた場合を例に
してポリアミドからなる樹脂成形体の調製例を示す。
上記のようなペレットを、例えばシリンダ温度が330
℃程度に調製された射出成形機に投入して、このペレッ
トを混練しながら溶融状態にする。
この混練に際しては、導電性物質、各種の形状の充填
材あるいは各種安定剤等を配合することもできる。
このようにして押出機内で溶融されたポリアミド樹脂
組成物を所望の形状の金型内に押し出すことにより、所
望の形状の樹脂成形体を調製することができる。そし
て、上記のような組成および特性を有するポリアミド樹
脂を使用する場合には、金型温度は、通常は120℃程度
に加熱される。
この樹脂成形体の形状に特に制限はなく、例えばフィ
ルム状、板状、箱状など種々の形態にすることができ
る。
なお、このポリアミド樹脂組成物には、上記ガラス繊
維のような繊維状の充填材の他に、導電性物質、有機ま
たは無機の充填材、酸化防止剤、赤外線吸収剤、光保護
剤、耐熱安定剤、亜燐酸塩安定剤、過酸化物分解剤、塩
基性補助剤、増核剤、可塑剤、潤滑剤、帯電防止剤、難
燃剤および染料等を配合することができる。例えば、上
記繊維状以外の形状の充填材としては、粉末状、粒状、
板状、針状、クロス状、マット状等の形状を有する種々
の充填材を使用することができる。このような充填材の
例としては、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、二酸
化チタン、タルク、ケイソウ土、クレー、カオリン、ガ
ラス、マイカ、セッコウ、ベンガラ、酸化亜鉛などの粉
状あるいは板状の無機化合物、 ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェ
ニレンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンイソフタ
ルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ジア
ミノジフェニルエーテルとテレフタル酸(イソフタル
酸)との縮合物、パラ(メタ)アミノ安息香酸の縮合物
などの全芳香族ポリアミド、ジアミノジフェニルエーテ
ルと無水トリメリット酸または無水ピロメリット酸との
縮合物などの全芳香族ポリアミドイミド、全芳香族ポリ
エステル、全芳香族ポリイミド、ポリベンツイミダゾー
ル、ポリイミダゾフェナントロリンなどの複素環含有化
合物、ポリテトラフルオロエチレンなどの粉状、板状、
繊維状あるいはクロス状物などの二次加工品などを挙げ
ることができる。
これらの充填材は、2種以上混合して使用することも
できる。また、これらの充填材をシランカップリング剤
あるいはチタンカップリング剤などで処理して使用する
こともできる。なお、このような粉末状の充填材の平均
粒径は、通常0.1〜200、好ましくは1〜100の範囲にあ
る。このような粉末状の充填材は、ポリアミド100重量
部に対して、通常200重量部以下の量で、好ましくは100
重量部以下の量で、特に好ましくは0.5〜50重量部の量
で使用される。
また、上記のようなポリアミド(あるいはポリアミド
組成物)中には、電磁波を効率良く遮蔽するために、導
電性物質が含有されていてもよい。
ここで使用される導電性物質としては、鉄、アルミニ
ウム、銅およびステンレス等の金属、あるいはニッケル
を表面に被覆したグラファイト等を挙げることができ
る。このような導電性物質は、繊維状、束集繊維状ある
いは粉末状などの種々の形態で樹脂中に含有させること
ができる。
本発明の電磁波シールド部材は、上記のようにして形
成された樹脂成形体表面に、導電性物質蒸着層および/
または導電性塗料塗布層を有している。このような導電
性物質蒸着層および/または導電性塗料塗布層を設ける
ことにより、電磁波を有効に遮断することが可能にな
る。
本発明の電磁波シールド部材において、上記のような
ポリアミド樹脂組成物から形成される樹脂成形体の表面
に形成されている導電性層は、導電性物質を金属蒸着す
る方法により形成された層(導電性物質蒸着層)あるい
は導電性物質を含有している導電性塗料を塗布すること
により形成された層(導電性塗料塗布層)である。
導電性物質蒸着層は、導電性物質を高真空下で加熱し
て融解、蒸発させ、その蒸気を上記のようにして成形さ
れた樹脂成形体の表面に凝着させることにより形成する
ことができる。ここで使用することができる導電性物質
の例としては、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、グラ
ファイト等を挙げることができる。これらの導電性物質
は単独で、あるいは組み合わせて使用することができ
る。さらに、このような導電性物質にこの物質の特性を
損なわない範囲内で導電性を有しない物質を配合して蒸
着を行うこともできる。
上記のような蒸着は、例えば、次のようにして行うこ
とができる。まず、蒸着装置の加熱手段に上記のような
導電性物質を含有する蒸着物質を配置する。この蒸着装
置の加熱手段には、通常、蒸着物質を加熱して融解、蒸
発させるためにタングステンフィラメントのような加熱
手段が備えられている。次いで、この蒸着装置に樹脂成
形体を配置して装置を密閉し、装置内が10-4〜10-6mmHg
の範囲内になるまで減圧する。なお、この場合に特に装
置内の空気を他の不活性ガスで置換することを要するも
のではないが、たとえばアルゴンのような不活性ガスで
装置内の空気を置換した後減圧にすることもできる。
こうして装置内を減圧にした後、タングステンフィラ
メントに電流を通じて、導電性物質を加熱融解して、こ
の導電性物質の蒸気を発生させる。このときの導電性物
質の加熱温度および時間は、減圧状態、用いる導電性物
質の種類、形成される導電性物質蒸着層の厚さ等を考慮
して設定することができる。なお、導電性物質の蒸発源
から影になる部分は、蒸着層が形成されにくいので、樹
脂成形体の全面に導電性物質蒸着膜を形成する場合に
は、樹脂成形体を回転させながら蒸着を行うことが好ま
しい。
また、上記のような蒸着法の他に、導電性物質蒸着膜
は、陰極スパッタリング法によっても形成することがで
きる。この陰極スパッタリング法は、導電性物質を陰極
にし、陽極側に配置した樹脂成形体との間に高真空下に
1000〜2000Vの電圧を印加して陰極として配置された導
電性物質の蒸気を発生させ、この蒸気を陽極側に配置さ
れた樹脂成形体の表面に凝着させる方法である。なお、
この陰極スパッタリング法における減圧条件などの諸条
件上記蒸着法の条件に準じて設定することができる。
さらに、導電性物質蒸着層は、上述した導電性物質を
溶射する方法によっても形成することができる。この方
法は、導電性物質を、アークまたは火炎等により加熱し
て溶融状態にし、この溶融金属を圧搾空気等でノズルか
ら噴き出させて樹脂成形体表面に被着させる方法であ
る。
上記のようにして形成された導電性物質蒸着層の厚さ
は、通常は5〜200μm好ましくは20〜100μmの範囲内
にある。
本発明の電磁波シールド部材には、上記のような導電
性蒸着層とは別に、またはこの蒸着膜と共に導電性塗料
塗布層が設けられている。
この導電性塗料塗布層は、樹脂成形体に導電性塗料を
塗布する方法によって形成される。ここで使用される導
電性塗料としては、鉄、アルミニウム、鋼、ニッケルお
よびステンレス等の金属、あるいはニッケル等の導電性
物質を表面に被覆したグラファイトのような導電性物質
と樹脂成分とを含有する塗料を用いることができ、この
ような塗料成分は、有機溶媒中に分散若しくは溶解され
ていてもよいし、また、有機溶媒を実質的に含有しない
粉体であってもよい。
ここで樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、ウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂を使用するこ
ともできるし、また、ポリアミド樹脂、アクリル系樹
脂、酢酸エステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂のような熱
可塑性樹脂を挙げることができる。さらに、アマニ油、
脱水ヒマシ油、マレイン化油のような乾性油なども使用
することができる。特に上記樹脂成形体を調製する際に
用いたポリアミド樹脂を使用することにより樹脂成形体
表面との密着性の良好で、しかも耐熱性の良い導電性塗
料塗布層を形成することができる。また、有機溶媒を使
用する場合において、上記のような樹脂に対する反応性
を実質的に有しておらず、かつ樹脂を良好に溶解もしく
は分散できる溶媒であれば特に制限なく、従来から使用
されている溶媒を使用することができる。導電性塗料中
における有機溶媒の含有率は、塗膜の形成方法などを考
慮して適宜設定することができるが、通常は0〜90重量
部程度である。また、結合剤(樹脂)と導電性物質との
比率は、重量比で、通常は、1:99〜99:1の範囲内にあ
る。
このような導電性塗料が有機溶媒を含有しているもの
である場合には、スプレーガンなどを用いた塗装法、静
電塗装法、ホットプレス塗装法等を利用して塗布するこ
とができる。また、有機溶媒を実質的に含有していない
塗料を用いる場合には、粉体散布法、溶射法、流動浸漬
法、粉体静電スプレー法、電着塗装法等の方法を利用し
て塗布することができる。
上記のようにして形成された導電性塗料塗布層の厚さ
は、通常は5〜200μm、好ましくは20〜100μmの範囲
内にある。
また、本発明の電磁波シールド部材には、上記のよう
な導電性物質蒸着層あるいは導電性塗料塗布層の他に、
あるいはこれらの層の内の少なくとも一方の層と共に、
導電性金属からなるフィルムが貼着されていてもよい。
ここで使用される導電性金属としては、鉄、アルミニウ
ム、銅、ニッケル、金、銀およびステンレス等の金属、
特に延性の優れたアルミニウム、銅等を使用することが
好ましい。このような金属フィルムの貼着には、一般に
金属の接着に使用されている接着剤を使用することがで
きることは勿論、導電性物質を含有している導電性接着
剤を使用することもできる。
上記のようにポリアミドからなる樹脂成形体表面に、
導電性物質蒸着層および/または導電性塗料塗布層を設
けることにより、電磁波を有効にシールドすることがで
きる。
このような電磁波シールド部材は、通常の電磁波シー
ルド部材と同様に使用することができる。
発明の効果 本発明に係る電磁波シールド部材は、特定の芳香族ポ
リアミドを主成分とする樹脂から形成された成形体とこ
の成形体表面に設けられた導電性層とからなり、この特
定の芳香族ポリアミドは非常に優れた耐熱性を有してい
る。従って、本発明の電磁波シールド部材は、非常に良
好な耐熱性を示す。さらに、上記のポリアミドは熱可塑
性樹脂であるため、熱可塑性樹脂に汎用されている成形
方法を利用することにより、本発明の電磁波シールド部
材を容易に製造することができる。
しかもこのポリアミドは融点が280℃以上と高いた
め、例えば電磁波シールド部材を装置に組込む際、ある
いは使用する際の加熱に充分に耐える耐熱性を有してい
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テレフタル酸成分単位60〜100モル%と、
    テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜40
    モル%および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカル
    ボン酸成分単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成
    分単位、並びに炭素原子数4〜25のアルキル基を有する
    ジアミン成分単位からなる繰返し単位から構成され、か
    つ、融点が280℃以上であり、しかも非晶部のガラス転
    移温度が110℃以上であるポリアミドから形成されてい
    る樹脂成形体表面に、導電性物質蒸着層および/または
    導電性塗料塗布層が設けられていることを特徴とする電
    磁波シールド部材。
  2. 【請求項2】上記ポリアミドの30℃濃硫酸中で測定した
    極限粘度が0.5〜3.0dl/gの範囲内にあることを特徴とす
    る請求項第1項に記載の電磁波シールド部材。
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