JPH0523817Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、気化器で燃料を供給する車両用エ
ンジンの燃料調節装置に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

車両に搭載するエンジンで、ガソリンを燃料と
するものでは、一般的に気化器で燃料を吸気に霧
化混入してエンジンに供給している。気化器は、
気温が低い冷機始動時には、燃料の気化性が悪く
始動が困難であるので、濃い燃料を供給するスタ
ーター通路を開いて、濃い燃料によつて、始動が
容易にできるようにしている。又、連結した登坂
路の走行で、負荷の増加によつて速度が落ちてく
ると、気化器のスロツトル開度を大きくしても、
エンジン回転が低くなるため、吸気負圧が小さく
なり、空燃比が薄くなつて出力が低下し、登坂性
能が悪くなる不都合がある。

〔考案の目的〕

この考案は、エンジンの温度で自動開閉する気
化器のスターター通路の開閉弁を、登坂時にも自
動的に開くようにして濃い燃料を送つて出力低下
を防ぐことができる車両用エンジンの燃料調節装
置を得ることを目的とする。

〔考案の構成〕

以下、本考案を図面に示す実施例によつて説明
する。

エンジンの吸気孔１に連結する気化器２には、
通常時のメイン通路にバイパスさせて、スタータ
ー通路３が設けてあり、スターターノズル４から
濃い燃料が供給されるようにセツチングしてあ
る。スターター通路３は、上下に摺動するプラン
ジヤー型の開閉弁５で開閉する。開閉弁５は、バ
ネ６で開く方向に付勢させてあり、上端をサーモ
ワツクス７の可動片８に当ててある。サーモワツ
クス７は、エンジンを運転すると高温になるシリ
ンダー９とヒートパイプ１０で連結してある。ヒ
ートパイプ１０は、シリンダー９側が、5°〜10°
程度前下がりになるように配置してある。

〔考案の作用〕

気温が低く、冷えているエンジンを始動すると
きは、サーモワツクス７が縮んでおり、開閉弁５
がバネ６の弾力で開いているので、スターター通
路から濃い燃料が供給され、始動が容易にでき
る。始動後、暖機運転によつて、エンジンが昇温
してくると、シリンダー９の熱がヒートパイプ１
０でサーモワツクス７に伝わり、サーモワツクス
７が膨脹して可動片８が伸び、開閉弁５を押下げ
てスターター通路３を閉じる。そして、気化器２
のメイン通路だけによる平常運転に移る。車両が
登坂に移ると、車両前部が上位置になる前上りの
状況になる。ヒートパイプ１０は、僅かに平常で
前下りにしてあるので、車両が前上りになつて、
水平線が図Ａ線で示すようになるので、サーモワ
ツクス７側の位置がシリンダー９側より下にな
り、ヒートパイプ１０内の熱を運ぶガスの流れが
できなくなる。このため、サーモワツクス７が冷
え、可動片８が縮んで、開閉弁５が開き、スター
ター通路３から濃い燃料が供給される。登坂時の
負荷増加によつて、エンジンの回転が下り、吸気
負圧が少なくなつても、スターター通路３の濃い
燃料で、空燃比が薄くなるのを補正できて、出力
低下が防げる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案は、気化器のス
ターター通路を開閉する開閉弁をサーモワツクス
で開閉すると共に、シリンダーに連結したヒート
パイプの他端をシリンダー後方に配置されるサー
モワツクスに連結し、該ヒートパイプのシリンダ
ー側を車両が傾斜路にないときに前下がりになる
ように配置したので、車両が登坂で前上りになる
と、サーモワツクス側が低くなつて、ヒートパイ
プの熱移動が停止し、スターター通路を開いて、
吸気負圧低下によつて薄くなる空燃比を補正し、
出力低下を防ぐことができる。しかも、サーモワ
ツクスで開閉するスターター通路を利用するの
で、製造コストが高くなることもない。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示す要部縦断側面図で
ある。 ２……気化器、３……スターター通路、５……
開閉弁、７……サーモワツクス、９……シリンダ
ー、１０……ヒートパイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気化器のスターター通路を開閉する開閉弁をサ
   ーモワツクスで開閉すると共に、シリンダーに連
   結したヒートパイプの他端をシリンダー後方に配
   置されるサーモワツクスに連結し、該ヒートパイ
   プをそのシリンダー側を車両が傾斜路にないとき
   に前下がりになるように配置したことを特徴とす
   る車両用エンジンの燃料調節装置。