JPH05237718A - 厚板スリッタの板材蛇行防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 厚板材を長さ方向に剪断して所定の板幅にス
リットする厚板スリッタにおける板材の間欠送給時の蛇
行を防止する装置に関し、ノートリミング材や側面に凸
のあるトリミング板材でも剪断線と平行にガイドでき板
材先端部が出側のピンチロールに噛込む前でも、噛込ん
だ後でも板材の蛇行を防ぎ、省力化とコスト低減を図
る。 【構成】 入側ピンチロール６５によって間欠送給し、
停止した板材５０の上面に、油圧シリンダ２によって電
磁石１を下降当接させ吸着する。次に入側ピンチロール
６５によって板材５０を間欠送給すると共に、フレーム
３、油圧シリンダ２及び電磁石１を出側ピンチロール６
６の板材送給速度と同速度で、上下ナイフ５１，５２の
剪断線と平行に出側へ進行させ、板材５０をガイドして
その蛇行を防止する。板材５０が停止すると電磁石１も
同時に停止して消磁し、上下ナイフ５１，５２により板
材を剪断している間に電磁石１を元の位置まで上昇後退
させる。以後之を繰返す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、厚板材を長さ方向に剪
断して所定の板幅にスリットする厚板スリッタの、板材
の間欠送給時における蛇行を防止する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の厚板材の長さ方向剪断による所定
の板幅形成用厚板スリッタの１例を図４〜図６に示す。

【０００３】図４は従来の厚板スリッタの一例を示す破
断平面図、図５は図４のＶ−Ｖ断面図、図６は従来の厚
板スリッタによって、板材を長さ方向に剪断した状態を
示す平面図である。

【０００４】従来の厚板スリッタは図４及び図５に示す
ように、テーブルローラ６８上の板材５０を入側ピンチ
ロール６５によってハウジング６０内の支持ローラ５
３，５４上に間欠送給し、この板材５０が停止すると、
上ナイフ５１及び上刃フレーム５６を下降し、下刃フレ
ーム５７と共に固設された下ナイフ５２とによって板材
５０を送給方向（長さ方向）に剪断する。

【０００５】上ナイフ５１が下降すると、剪断された板
材５０の一方の下降側が上ナイフ５１と共に下降する。
この板材５０の上ナイフ５１側（下降側）を支持する支
持ローラ５３は、下方から図示しないばね装置によって
付勢されていて、上ナイフ５１及び板材５０の下降側と
共に下降する。

【０００６】上ナイフ５１及び上刃フレーム５６は、軸
受ブロック６２に支承されたクランク軸６１の回転によ
るロッド６４の昇降により、そのガイドローラ５８がガ
イド部材５９にガイドされて昇降する。

【０００７】そして、入側（Ｉ）及び出側（Ｏ）の各ク
ランク軸６１の偏心が互いに内側にずれているので、双
方のロッド６４は等しく昇降せず、上ナイフ５１及び上
刃フレーム５６は昇降の際に揺動する。

【０００８】この剪断が終了すると、板材５０を入側ピ
ンチロール６５によって再度間欠送給し、その先端部を
出側ピンチロール６６に噛込ませ、上記剪断を反複して
板材５０の全長にわたってその板幅方向に所定の板幅で
スリットする。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで前述のような
従来の厚板スリッタでは、図４及び図５に示すような、
板材５０の剪断を開始し、その先端部が出側ピンチロー
ル６６に噛込んでいない状態のときに、板材５０の板幅
方向の位置が特に不安定になり蛇行する。

【００１０】板材５０を板幅方向にガイドするために、
板材の進行方向両側にはサイドガイド６７が設けてある
が、板材５０がトリミング材の場合、その側部切断面に
凸部ができることがあり、この凸部がサイドガイド６７
に衝突して破損するので、板材５０の側部とサイドガイ
ド６７との間に隙間が必要になる。

【００１１】また、ノートリミング材の場合は板幅が一
定でなく、板材５０とサイドガイド６７との間に隙間が
できる。

【００１２】従って、サイドガイド６７では、板材５０
の蛇行を完全に防止することができない。

【００１３】板材５０の先端部を出側ピンチロール６６
に噛込ませた場合においては、板材５０の下降側がこの
剪断によって下降したときに、先にスリット済みの下降
側が、後方に引戻されようとするので、その出側ピンチ
ロール６６によって挾持されている部分が、出側ピンチ
ロール６６と滑って後退する。

【００１４】この剪断によって下降した板材５０の一方
の下降側は上ナイフ５１が上昇すると、図示しないばね
装置の付勢力によって支持ローラ５３と共に上昇しよう
とするが、その前方部が出側ピンチロールによって挾持
されているので、ばね装置（図示せず）の付勢力では元
の位置に戻らない。

【００１５】従って、板材５０の下降側は出側ピンチロ
ール６６の後方において、下降分だけのたるみが発生す
る。

【００１６】このため、次の剪断のために、板材５０を
入側ピンチロール６５及び出側ピンチロール６６によっ
て間欠送給したときに、下降側の進行が遅れて、板材５
０が下降側に曲って蛇行し、上方から見た図６に示すよ
うに、板材５０のスリット部７０が鋸歯状になる。

【００１７】従って、このスリット部７０の手入れを要
するので、手入れ要員を必要としてそのコストが上昇
し、また手入れ作業場所が必要になる。

【００１８】本発明は従来装置のもつ上記不具合点を解
消し、板材先端部が出側のピンチロールに噛込む前で
も、噛み込んだ後でも板材の蛇行を防止でき省力化及び
コスト低減を図ることのできる新たな厚板スリッタの板
材蛇行防止装置を提供することを目的としている。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の構成として本発明の厚板スリッタの板材蛇行防止装置
は、板材を間欠送給するピンチロールと、該板材の送給
が停止したときにこの板材を送給方向に剪断する上下ナ
イフとを具備した厚板スリッタにおいて、前記板材を吸
着及び吸着解除する電磁石と、該電磁石を保持して昇降
させる電磁石昇降装置と、この電磁石を前記剪断方向と
平行に移動させる電磁石移動装置とを設けたことを特徴
としている。

【００２０】

【作用】本発明の厚板スリッタの板材蛇行防止装置は、
入側のピンチロールによって間欠送給し停止した板材
に、電磁石昇降装置によって電磁石を下降及び／または
上昇して当接させ、この電磁石を励磁して板材を吸着す
る。

【００２１】次に、入側のピンチロールによって板材を
間欠送給すると共に、電磁石移動装置によって前記電磁
石を、ピンチロールの板材送給速度と同一の速度で、上
下ナイフの剪断線と平行に出側へ進行させ、ノートリミ
ング材の場合でも、側面に凸のあるトリミング材の場合
でも板材を前記剪断線と平行にガイドしてその蛇行を防
止する。

【００２２】なお、ピンチロールと電磁石移動装置の進
行速度同調が困難な場合は、電磁石移動装置の駆動系を
クラッチ等でオフ状態にし、ピンチロールだけで、板材
及び電磁石を進行させることもできる。

【００２３】ピンチロールによる板材の送給が停止する
と、この電磁石の進行を停止して消磁し、上下ナイフに
よって板材を剪断している間に、電磁石昇降装置によっ
て上昇及び／または下降し、電磁石移動装置によって、
入側の元の位置に後退させる。

【００２４】この間欠送給によって板材の先端部が出側
のピンチロールに噛込んだ後でも、電磁石を上記と同様
に移動させ、板材を上下ナイフの剪断線と平行にガイド
してその蛇行を防止することができる。

【００２５】また、電磁石及び電磁石昇降装置、電磁石
移動装置を出側のピンチロールのさらに出側に配設し、
入側のピンチロールを板材の後端が通過する前から電磁
石を板材に当接させて励磁し、板材を前記剪断線と平行
にガイドすることもできる。

【００２６】この場合、入側のピンチロールを板材が通
過し、出側のピンチロールだけで板材を送給しているの
で蛇行が発生し易いが、この蛇行防止に有効である。

【００２７】なお、この場合には、板材停止後剪断の度
毎に電磁石を元の位置に後退させる必要はなく、板材の
全長の剪断完了後に電磁石移動装置によって、元の位置
に戻せばよい。

【００２８】このように本発明によれば、板材の蛇行を
防止できるので板材のスリット部が直線状で平滑になる
ので、その手入れ要員が不要となり、省力化及びコスト
低減を図ることが可能となると共に、手入れのための作
業場所が不要となる。

【００２９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面によって具体
的に説明する。図１は、電磁石がスリッタ内にある場合
の原板スリッタの破断平面図、図２は図１のII−II断面
図、図３は図２のIII −III 断面図である。

【００３０】これらの図において、３は電磁石フレーム
であり、その下面のガイド４は、ハウジング６０内に固
設されたベース１１上のレール９に移動自在に嵌装され
ている。

【００３１】フレーム３の先端部には、電磁石１が、油
圧シリンダ２によって懸吊されている。

【００３２】また、このフレーム３の上面にはモータ７
が装設され、フレーム３の出側（Ｏ）の側面にはピニオ
ン６が回転自在に軸着されていて、このピニオン６はモ
ータ７とベルト８によって連結され、ベース１１上のラ
ック１０と噛合されている。

【００３３】５６は上刃フレームであり、それぞれのロ
ッド６４によってクランク軸６１に懸吊され、ガイドロ
ーラ５８及びハウジング６０に固設されたガイド部材５
９によって板材５０の長さ方向及び板幅方向にガイドさ
れており、同上刃フレーム５６には上ナイフ５１が装着
されている。

【００３４】５７は下刃フレームであり、上刃フレーム
５６の下方に固設され、同下刃フレーム５７には下ナイ
フ５２が装着されている。

【００３５】５３は、上ナイフ５１側の支持ローラであ
り、ばね装置５５によって下方から回転自在に付勢され
ていて、上ナイフ５１及び板材５０の下降側の昇降に従
って昇降するように構成されている。

【００３６】５４は、下ナイフ５２側の支持ローラであ
り、ハウジング６０内に回転自在に装設されている。

【００３７】クランク軸６１は、ハウジング６０内の軸
受ブロック６２に支承され、モータ６３によって回転す
る。

【００３８】図２に示すように、入側（Ｉ）と出側
（Ｏ）のクランク軸６１は、そのクランク部が互いに内
側にずらしてあるので、双方のロッド６４は互いに等し
く昇降せず、上ナイフ５１及び上刃フレーム５６は、板
材５０を剪断する際に、上下方向に揺動する。

【００３９】６５は入側ピンチロール、６６は出側ピン
チロールである。

【００４０】６７は、サイドガイドであり、板材５０の
両側部との間には、隙間が設けてある。

【００４１】次に電磁石１がスリッタ内にある場合の本
装置の作用について説明する。

【００４２】入側ピンチロール６５によってハウジング
６０内に間欠送給し、停止した板材５０の先端部の上面
に、油圧シリンダ２によって電磁石１を下降して当接さ
せ、この電磁石１に励磁して板材５０を吸着する。

【００４３】次に、入側ピンチロール６５によって板材
５０を間欠送給すると共に、モータ７によってピニオン
６を回転し、フレーム３、油圧シリンダ２及び電磁石１
を出側ピンチロール６６の板材５０送給速度と同一の速
度で、上下ナイフ５１，５２の剪断線と平行に出側
（Ｏ）へ進行させ、板材５０をガイドしてその蛇行を防
止する。

【００４４】なお、入側ピンチロール６５とフレーム
３、油圧シリンダ２、電磁石１の送給速度同調が困難な
場合は、モータ７と、ベルト８の間にクラッチを設けて
その駆動系をオフ状態にし、入側ピンチロール６５だけ
で板材５０及び電磁石１等を進行させることもできる。

【００４５】板材５０が停止すると、電磁石１も同時に
停止して消磁し、上ナイフ５１及び下ナイフ５２によっ
て板材５０を剪断している間に、油圧シリンダ２によっ
て電磁石１を上昇して板材５０から離し、モータ７を逆
回転して電磁石１を元の位置に後退させる。

【００４６】板材５０の先端部の剪断が終了すると、再
度、入側ピンチロール６５によって板材５０を間欠送給
し、上記と同様の作用で電磁石１によって、上下ナイフ
５１，５２の剪断線と平行にガイドし、板幅方向にスリ
ットされたその先端部を出側ピンチロール６６に噛込ま
せる。

【００４７】そして、上記と同様に電磁石１の往復移動
によって、板材５０を、上下ナイフ５１，５２の剪断線
と平行にガイドして進行させて上下ナイフ５１，５２に
よって剪断し、その蛇行を防止しながら、板幅方向にス
リットする。

【００４８】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のでなく、例えば別の実施例として電磁石１、油圧シリ
ンダ２、フレーム３、及びその往復移動用部材（４，
６，７，８，９，１０）を板材５０のパスラインの下方
に設け、板材５０の上面及び／または下面を電磁石１に
よって吸着してもよい。

【００４９】さらに別の実施例として電磁石１、油圧シ
リンダ２、フレーム３及びその往復移動装置（４，６，
７，８，９，１０，１１）を出側ピンチロール６６のさ
らに出側（Ｏ）に配置する場合もあり、この場合も上記
実施例と同様に作用するものである。

【００５０】この場合、板材５０の停止後剪断の度毎に
電磁石１を元の位置に後退させる必要は無く、板材５０
の全長の剪断完了後に電磁石１を元の位置に後退させれ
ばよい。

【００５１】また油圧シリンダ２の代りにエアシリンダ
又は電動スクリュージャッキ等を用いてもよい。

【００５２】

【発明の効果】以上述べたように本発明の厚板スリッタ
の板材蛇行防止装置によれば、板材をスリットするため
の間欠送給をする際に、板材を電磁石によって吸着し、
板材の送給と同調して上下ナイフの剪断線と平行にガイ
ドして進行させることにより、ノートリミング材及び側
面に凸のあるトリミング材の板材でも、剪断線（進行方
向ライン中心）と平行にガイドできるので、板材先端部
が出側のピンチロールに噛込む前でも、噛込んだ後で
も、板材の蛇行を防止することができる。

【００５３】従って、板材のスリット部が直線状で平滑
になるので、その手入れ要員が不要になり、省力化及び
コスト低減をはかることができ、さらに手入れのための
作業場所が不要になる効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としての電磁石がスリッタ内
にある場合の厚板スリッタの破断平面図である。

【図２】図１のII−II断面図である。

【図３】図２のIII −III 断面図である。

【図４】従来の厚板スリッタの一例を示す破断平面図で
ある。

【図５】図４のＶ−Ｖ断面図である。

【図６】従来の厚板スリッタによって、板材を長さ方向
に剪断した状態を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 電磁石 ２ 油圧シリンダ ３ フレーム ４ ガイド ６ ピニオン ７ モータ ８ ベルト ９ レール １０ ラック １１ ベース ５０ 板材 ５１ 上ナイフ ５２ 下ナイフ ５３，５４ 支持ローラ ６０ ハウジング ６１ クランク軸 ６４ ロッド ６５ 入側ピンチロール ６６ 出側ピンチロール ６７ サイドガイド Ｉ 入側 Ｏ 出側

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板材を間欠送給するピンチロールと、該
   板材の送給が停止したときにこの板材を送給方向に剪断
   する上下ナイフとを具備した厚板スリッタにおいて、前
   記板材を吸着及び吸着解除する電磁石と、該電磁石を保
   持して昇降させる電磁石昇降装置と、前記電磁石を前記
   剪断方向と平行に移動させる電磁石移動装置とを設けて
   成ることを特徴とする厚板スリッタの板材蛇行防止装
   置。