JPH0523728A - 熱間圧延方法 - Google Patents

熱間圧延方法

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JPH0523728A
JPH0523728A JP19841691A JP19841691A JPH0523728A JP H0523728 A JPH0523728 A JP H0523728A JP 19841691 A JP19841691 A JP 19841691A JP 19841691 A JP19841691 A JP 19841691A JP H0523728 A JPH0523728 A JP H0523728A
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隆嗣 仁藤
Nobuhiro Ito
伸宏 伊藤
Kunio Yoshida
邦雄 吉田
Mikio Soya
幹雄 曽家
Hideo Takegawa
英夫 竹川
Makoto Saeki
真事 佐伯
Ryosuke Oikawa
良介 及川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱間圧延時に被圧延材表面に生成するスケー
ルに起因して、圧延後の鋼板表面に噛み込みスケール疵
が発生することを防止する。 【構成】 加熱炉10で所定温度に加熱した被圧延材S
を粗圧延機12で圧延した後、コイルボックス16で巻
取る。コイルボックス16で巻取った被圧延材を巻戻し
ながら通常のデスケーリング装置20及び高圧デスケー
リング装置44を通過させた後、仕上圧延機14で仕上
圧延を行い、ダウンコイラ24で巻取って製品とする。
高圧デスケーリング装置44では、単位散布面積当たり
の衝突圧が20[g /mm2 ]以上40[g /mm2 ]以下
で、且つ、流量が0.1[l /(min ・mm2 )]以上
0.2[l /(min ・mm2 )]以下の高圧水スプレーを
被圧延材表面に噴射することにより、噛み込みスケール
疵の原因となるスケールを完全に除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延方法、特に、
巻取・巻戻装置を途中に配設した熱間圧延帯鋼製造ライ
ンにて被圧延材を製造する際、表面に疵の無い被圧延材
を製造することができる熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延帯鋼製造ライン(ホットストリ
ップミル)においては、近年、粗圧延機と仕上圧延機と
の間にコイルボックスと呼ばれる巻取・巻戻装置を配設
し、粗圧延機で圧延した厚さ25〜40mmのラフバー
(被圧延材)を当該コイルボックスで一旦巻取った後、
これを巻戻しながら仕上圧延を行うことにより熱間圧延
帯鋼を製造する方法が広く採用されている。
【0003】上記熱間圧延帯鋼製造ラインの一例を図3
に示す。この製造ラインでは、加熱炉10で所定温度に
加熱された被圧延材Pを粗圧延機12により粗圧延した
後、その被圧延材Pを粗圧延機12と仕上圧延機14と
の間に配設されたコイルボックス16で一旦巻取る。次
いで、上記コイルボックス16で巻取った上記被圧延材
Pを巻戻しながら、クロップシャー18及びデスケーリ
ング装置20を通過させた後、上記仕上圧延機14で仕
上圧延を行い、仕上圧延後の被圧延材をホットラン水冷
装置22で冷却し、ダウンコイラ24で巻取り、製品と
している。
【0004】上記コイルボックス16を、図4の拡大図
に基づいて更に説明すると、巻取った被圧延材Pを収納
するボックス26の入口にゲートロール28とエプロン
が、該ボックス26内には上下に位置するベンディング
ロール30、巻取用の第1クレードルロール32及びフ
ォーミングロール34が、更に該ボックス26の後方に
は巻戻用の第2クレードルロール36及びピンチロール
38がそれぞれ配設されている。
【0005】上記コイルボックス16では、粗圧延機1
2で圧延したラフバー(被圧延材)Pを、上記ゲートロ
ール28によりボックス26内に導入し、ベンディング
ロール30、第1クレードルロール32及びフォーミン
グロール34を操作して巻取る。
【0006】次いで、巻取ったラフバーPをトランスフ
ァ用マンドレル40により矢印方向に移動させて上記第
2クレードルロール36上に載置し、ラフバーPを巻戻
しながら仕上圧延機14の方向に送り出す。
【0007】上記コイルボックス16は、以下の(1)
〜(4)の特徴を有しているため、新設ラインはもとよ
り既設ラインに対してもコイルボックス16を採用する
ことが多くなっている。
【0008】(1)ラフバーPを巻取ることにより、該
ラフバーPからの熱放散が防止されるため省エネルギ効
果を発揮する。
【0009】(2)粗圧延機12と仕上圧延機14と
で、圧延方向及び表裏面を逆にすることができるので、
ラフバーPの長手方向における温度差を小さくすること
が可能となり、圧延方向における温度分布を均一化する
ことが可能となる。
【0010】(3)ラフバーPを巻取ることによりスキ
ッドマーク(加熱炉においてスラブをスキッドで支持す
ることにより生じる低温部分、ラフバーで約20℃低
い)における温度差が緩和される。
【0011】(4)新しくホットストリップミルを建設
する場合は、コイルボックスを適用することにより、粗
圧延機〜仕上圧延機間の距離を縮めることができるの
で、設備費を低減できる。
【0012】従来、コイルボックスでは、100〜30
0mpm の速度で厚さ25〜40mmのラフバーを巻取り、
これを再び巻戻して送り出すという動作を行うため、ラ
フバーPが巻取装置あるいは巻戻装置その他の機械装置
と接触したり、ラフバーPの表裏面同士が擦れ合った
り、又はラフバーPの巻取中にスケールが剥れ落ちてラ
フバー間に巻込まれたりして、圧延板の表面に疵がつい
てその表面特性を低下させることが多かった。
【0013】これら表面特性を低下させる原因のうち、
ラフバーPが機械装置と接触することにより生じる表面
疵については、各機械装置を構成するロールの水冷化、
これらロールの肌荒れ防止、エプロン類との接触防止、
各ロールとラフバーとのスピードマッチング制御等によ
り問題の解決が図られている。
【0014】又、ラフバーPの表裏面同士の擦れ合いに
より生じる表面疵も、各ロールとラフバーPとの間の速
度制御、前記図4に示したベンディングロール30にお
けるギャップ設定の適正化等によって巻取形状を安定化
することにより、ほとんど解決されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コイル
ボックスを使用する場合に発生する表面疵で唯一解決さ
れていないものに、噛み込みスケール疵と呼ばれるもの
がある。この噛み込みスケール疵は、ラフバーP上に残
存したスケールが、通常のホットストリップミルに配置
される、前記図3に示したようなデスケーリング装置2
0によっても剥離せず、そのまま仕上圧延機14で圧延
されることになるため、被圧延材の表面に図5に示した
概略スケッチのような疵として残るものである。
【0016】上記噛み込みスケール疵の発生には諸要因
が挙げられるが、該噛み込みスケール疵の発生は熱間圧
延時に被圧延材(鋼板)P上に生成するスケールの物理
化学的特性に起因するところが大きい。
【0017】上記噛み込みスケール疵は、上記図5に示
したようにその大きさが大小様々である。特に、噛み込
みスケール疵が小さい場合には現状の品質要求レベルで
も実用上問題とならないことがあるが、将来の品質の厳
格化を考えると、是非とも解決しておかなければならな
い課題である。
【0018】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、上記被圧延材上に生成するスケール
の特性に基づく噛み込みスケール疵の発生原因を明らか
にし、巻取・巻戻装置を備えた熱間圧延鋼帯製造ライン
により噛み込みスケール疵の無い被圧延材を製造するこ
とができる、熱間圧延方法を提供することを課題とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】第1発明は、粗圧延機で
圧延した被圧延材を巻取・巻戻装置で巻取った後、該巻
取・巻戻装置から被圧延材を巻戻しながら仕上圧延機で
圧延する熱間圧延方法において、上記仕上圧延機の前段
で単位散布面積当たりの衝突圧が20[g /mm2 ]以上
40[g /mm2 ]以下で、且つ、流量が0.1[l /
(min ・mm2 )]以上0.2[l /(min ・mm2)]以
下の高圧水スプレーを表面に噴射することにより、前記
課題を達成したものである。
【0020】第2発明は、前記熱間圧延方法において、
粗圧延機で圧延した被圧延材を巻取・巻戻装置で巻取っ
た後、該巻取・巻戻装置から被圧延材を巻戻しながら仕
上圧延機で圧延する熱間圧延方法において、上記巻取・
巻戻装置の前段で高圧水スプレーを被圧延材表面に噴射
することにより、同様に前記課題を達成したものであ
る。
【0021】
【作用】先ず、第1発明について説明する。
【0022】本発明者等は、噛み込みスケール疵の発生
状況を詳細に分析し、検討した結果、その発生原因を以
下の(A)〜(C)の各現象の単独あるいは複合された
結果として特定できることを知見した。
【0023】(A)例えば、前記図4に示したベンディ
ングロール30により被圧延材(ラフバー)を曲げる際
や、被圧延材のループを形成する際に離脱するスケール
の剥離の仕方が不均一であるため、一部の剥離しないス
ケールが被圧延材コイルの層間に残存し、その残存スケ
ールが巻取又は巻出(巻戻)中に被圧延材に噛み込まれ
る。
【0024】(B)上記スケールが剥離し、離脱する際
に空中に飛散し、その飛散したスケールが巻取中の被圧
延材上に落下して被圧延材コイルの層間に巻込まれるた
め、その巻取又は巻戻中に被圧延材に噛み込まれる。
【0025】(C)上記(A)の如く、被圧延材からス
ケールが剥離すると、該被圧延材の巻取及び巻戻中にそ
の剥離面に薄いスケールが発生するが、この薄いスケー
ルは、例えば前記図3に示したデスケーリング装置20
による通常のデスケーリング条件では除去できないた
め、この薄いスケールが残存して仕上圧延後に噛み込み
スケール疵となる。
【0026】前記(A)〜(C)に記載したように噛み
込みスケール疵を主として剥離したスケールと、剥離後
に生成した薄いスケールに基づくものとしたのは、スケ
ール疵の発生し難いステンレス鋼等の場合は、噛み込み
スケール疵の発生が著しく少ないからである。
【0027】この事実を具体的な実験結果として示した
のが図6である。即ち、図6は、鋼について、噛み込み
スケール疵の発生率を、スケール発生を抑制するS(イ
オウ)の含有率との関係を示したものであり、図中○印
で示したスプレーの噴射圧が通常の150Kg /cm2
デスケーリング装置を用いた場合の結果からSの含有率
と噛み込みスケール疵との間には強い相関関係があり、
スケールが発生し易い低S含有率の鋼の場合には、噛み
込みスケール疵が発生し易いことが判る。
【0028】従って、スプレーの噴射圧が100〜15
0Kg /cm2 である水ジェットデスケーリング装置で
は、コイルボックスで発生する噛み込みスケール疵の原
因となるスケールを完全に除去することができないとい
うことが判る。特に、前記(C)に記載したような薄い
スケールは剥離し難く、これに更にSの含有率が低い場
合に一段とスケール除去が困難になる。
【0029】第1発明は、巻取・巻戻装置(コイルボッ
クス)から被圧延材を巻戻しながら仕上圧延機で圧延す
る場合、該仕上圧延機の前段で、単位散布面積当たりの
衝突圧が20[g /mm2 ]以上40[g /mm2 ]以下
で、且つ、流量が0.1[l /(min ・mm2 )]以上
0.2[l /(min ・mm2)]以下の高圧水スプレーを
被圧延材表面に噴射してデスケーリングを行うものであ
る。このデスケーリングにおける高圧水のスプレー条件
は、高圧水の噴射時の水圧(噴射圧)を250Kg/cm
2 以上に設定することに相当している。
【0030】上記のように、仕上圧延機の前段で250
Kg /cm2 以上の噴射圧で高圧水を被圧延材に噴射する
ことにより、図6に示したように、コイルボックスに起
因する従来存在した噛み込みスケール疵の発生を、低S
含有率の場合でも防止することが可能となり(図中Δ印
で示す)、又、本発明方法と従来の噴射圧150Kg/c
m2 のデスケーリング方法を併用すると、噛み込みスケ
ール疵の発生を更に確実に防止することが可能となる
(図中×印で示す)。
【0031】前述したように、生成スケールの厚さが薄
い場合には、スケールの剥離性が悪くなる。特に、上記
スケールの厚さが10μm 以下の場合は、噴射圧150
Kg/cm2 のデスケーリングでは除去性が極めて悪い。
しかし、噴射圧が250Kg/cm2 のデスケーリングの
場合には、除去性を飛躍的に向上することが可能とな
る。
【0032】因みに、生成スケールの厚さは、次式で与
えられ、この式から1000℃(T=1273°K)の
鋼板がコイルボックスからデスケーリング装置に至るま
でに30秒かかるとすると、該コイルボックスで生じた
該鋼板の剥離面に新たに生成するスケールの厚さは約9
μm となるが、この薄いスケールでも第1発明によれば
確実に除去することができる。
【0033】μ=A exp(−Q/T)・t 1/2 μ:生成スケール厚さ T:絶対温度 t :スケール生成時間 A,Q:係数(実験により求める)
【0034】第1発明では、前述した如く、高圧水スプ
レーの衝突圧Pt を20[g /mm2 ]以上40[g /mm
2 ]以下で、しかも流量Vを0.1[l /(min ・m
m2 )]以上0.2[l /(min ・mm2 )]以下に規制
することが重要である。
【0035】図7は、上記規制理由を説明するためのグ
ラフであり、縦軸がスプレーの衝突圧Pt [g /m
m2 ]、縦軸がスプレー水の流量V[l /(min ・m
m2 )]を表わしている。又、図中、◎印と○印は良品
とし、△印と×印は製品としては問題があるので不良品
とした。
【0036】上記図7は、表1に示す組成の鋼Aからな
るスラブを鋼材として用い、所定の粗圧延工程を経て形
成された鋼板を、F1〜F7の仕上圧延機(図示せず)
により仕上圧延するに際し、該仕上圧延機の直前に設置
した高圧水デスケーリング装置のデスケーリングヘッダ
から噴射するスプレーの鋼板Sに対する衝突圧Pt と、
その流量Vとを変えてデスケーリングを行い、次いで仕
上圧延を行った場合の、熱間圧延後の製品(鋼板S)に
おけるスケール疵の発生程度を調査した結果を示したも
のである。第1表に示した組成の鋼は、特に1次スケー
ルが剥離し難い性質を有している。
【0037】
【表1】
【0038】図7から明らかなように、衝突圧Pt が2
0[g /mm2 ]以上で、且つ流量Vが0.1[l /(mi
n ・mm2 )]以上の領域において、極めて剥離性の悪い
赤スケール(1次スケール、前述した薄いスケールに相
当する)に起因するスケール疵の発生が殆どなく、優れ
たデスケーリング性を示している。
【0039】そして、衝突圧Pt が20[g /mm2 ]の
場合は、流量Vが0.2[l /(min ・mm2 )]でスケ
ール疵が皆無となり、又、流量Vが0.1[l /(min
・mm2 )]の場合は、衝突圧Pt が40[g /mm2 ]で
スケール疵が同様に皆無となる。
【0040】従って、スプレーの衝突圧Pt を40[g
/mm2 ]超にしても、又はスプレーの流量Vを0.2
[l /(min ・mm2 )]超にしても、赤スケールに起因
するスケール疵の防止効果はそれ以上向上せず、かえっ
てデスケーリング設備及びその付帯設備が複雑化、巨大
化し、設備費、稼動費が高価になると共に、メンテナン
ス性も悪化するという不具合が生じる。
【0041】以上より、デスケーリング時におけるスプ
レーの衝突圧Pt は20[g /mm2 ]以上40[g /mm
2 ]以下で、流量Vは0.1[l /(min ・mm2 )]以
上0.2[l /(min ・mm2 )]以下にすることが重要
であることが判る。
【0042】従って、第1発明によれば、例えば、剥離
し難い薄いスケールが原因となって噛み込みスケール疵
が生じるために、コイルボックスの適用が不可能であっ
た鋼種に対してもコイルボックスを適用することが可能
となる。
【0043】又、将来の表面疵に対する品質要求の厳格
化に対応することができるコイルボックスの操業方法を
提供することが可能となる。
【0044】更に、ホットストリップミルを新設する場
合に、コイルボックスを設置して粗圧延機と仕上圧延機
との間の距離を縮めても、他の圧延機に対して鋼種が限
定されることのリスクにより圧延する材料が限定される
こともない。
【0045】次に、第2発明について説明する。
【0046】本発明者等は、前記(A)、(B)の噛み
込みスケール疵の発生原因を除去するために、前記図4
に相当する図8に示したように、ベンディングローラ3
0の直後に噴射圧が30Kg /cm2 程度の簡易型水噴射
ノズル42を設置し、ベンディングロール30で剥離さ
れた飛散スケールが巻取中にラフバー(被圧延材)P上
に落下し、そのコイル層間に入り込まないようにした。
【0047】その結果、大幅に噛み込みスケール疵の発
生を抑制することが可能となったが、前記図6に○印で
示したように、低S含有率の鋼種に対しては完全に噛み
込みスケール疵の発生を防止することは困難であった。
これは剥離性の良いFe S(硫化鉄)の生成が少ないた
めと考えられる。
【0048】第2発明は、コイルボックスの前段で高圧
水を被圧延材に噴射することにより、上記低S含有率の
鋼種に対しても噛み込みスケール疵の発生を確実に防止
したものである。
【0049】この第2発明によれば、コイルボックスで
被圧延材を巻取る直前に高圧水でデスケーリングするこ
とになるため、一度被圧延材表面のスケール層を完全に
除去した後に該被圧延材を巻取ることが可能となり、そ
の結果スケール層に起因する噛み込みスケール疵の発生
を確実に防止することが可能となる。従って、鋼種の制
限を受けることなく、熱間圧延帯鋼製造ライン(ホット
ストリップミル)にコイルボックスを適用することが可
能となる。
【0050】この第2発明では、コイルボックスの直前
に噴射する高圧水の噴射圧は100Kg /cm2 以上であ
ればよい。
【0051】又、一般に被圧延材がコイルボックスから
仕上圧延機に至るまでに1〜3分程度の時間を要するた
め、この間に再びスケールが発生する。このスケールを
除去するために、本発明では仕上圧延機直前においてデ
スケーリングを再度行ってもよい。
【0052】この再度のデスケーリングは、被圧延材に
生じているスケールは表面スケールであるため、噴射圧
は100Kg /cm2 以上、例えば通常の100〜150
Kg/cm2 であればよい。但し、第1発明と同様に25
0Kg /cm2 以上の噴射圧を用いてもよい。
【0053】なお、この場合は被圧延材を2回デスケー
リングすることになるため、被圧延材の温度が低下する
恐れがあるが、1回のデスケーリングによる温度低下は
約30℃であり、コイルボックスを使用することによっ
て得られる温度低下阻止効果に比べればその損失も極め
て少ないため、特に問題とはならない。
【0054】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0055】図1は、第1発明に係る第1実施例の熱間
圧延方法に適用されるホットストリップミルを示す概略
構成図である。
【0056】上記ホットストリップミルは、デスケーリ
ング装置20と仕上圧延機14の間に高圧デスケーリン
グ装置44を配置した以外は、前記図3、図4に示した
ホットストリップミルと実質的に同一である。従って、
共通部分についての説明は省略する。
【0057】本実施例では、粗圧延機12で粗圧延した
ラフバーPをコイルボックス16で巻取り、次いで該ラ
フバーPを巻戻しながら仕上圧延機14の方向に送り出
し、クロップシャー18、デスケーリング装置20及び
高圧デスケーリング装置44を通過させた後に仕上圧延
機14で仕上圧延を行う。
【0058】上記デスケーリング装置20では、ラフバ
ーPに対して従来と同様の噴射圧(100〜150Kg
/cm2 )で高圧水スプレーによるデスケーリングを行
い、次いで、上記高圧デスケーリング装置44では、超
高圧の噴射圧(250Kg /cm2 以上)で超高圧スプレ
ーによるデスケーリングを行う。なお、高圧デスケーリ
ング装置44の噴射ノズルを通常のデスケーリング装置
20の噴射ノズルと同一高さに設定すると、フラバーP
に対するスプレー条件を前述した所定の衝突圧及び流量
に調整することもできる。
【0059】本実施例によれば、前記噛み込みスケール
疵の発生原因(A)、(B)の噛み込みスケールは元よ
り、S含有率が低い鋼種に発生した発生原因(C)の薄
いスケールをも完全に除去することができ、仕上圧延鋼
板に対する噛み込みスケール疵の発生を確実に防止する
ことができる。
【0060】従って、全ての鋼種に対して熱間圧延時に
コイルボックスを適用することが可能となり、該コイル
ボックスの持つ利点を完全に享受することが可能とな
る。
【0061】又、従来のデスケーリング装置20と本発
明の高圧デスケーリング装置44とを併設したので、前
記図6に示したように、例えばSの含有率が8%を超え
る鋼種の場合は、通常のデスケーリング装置20のみを
使用し、Sの含有率が8%以下(コイルボックスで噛み
込みスケールが発生し易い)の鋼種の場合に、通常のデ
スケーリング装置20と高圧デスケーリング装置44の
併用又は高圧デスケーリング装置44の単独使用とする
ことも可能となる。このように選択使用が可能となるた
め、電力消費量が大きい高圧デスケーリング装置44を
有効に利用することが可能となる。
【0062】又、予めコンピュータに噛み込みスケール
疵が発生し易い鋼種を要注意鋼種として登録しておくこ
とにより、該要注意鋼種に対しては圧延時に本発明によ
るデスケーリング方法を自動的に適用することもでき
る。
【0063】又、高圧デスケーリング装置44を通常の
デスケーリング装置20の後方に配したので、これら両
者を併用する場合には、通常のデスケーリング装置20
で急冷却してスケールに熱衝撃による歪みを与えること
が可能となり、該スケールにクラックを入れることもで
きるため、これを次の高圧デスケーリング装置44で除
去することにより、一層スケールを除去する効果を向上
させることが可能となる。
【0064】図2は、第2発明に係る第2実施例の熱間
圧延方法に適用するホットストリップミルの要部を拡大
して示す概略構成図である。
【0065】上記ホットストリップミルは、コイルボッ
クス16の直前にデスケーリング装置46を配置した以
外は、前記図3、図4に示したホットストリップミルと
実質的に同一である。従って、同一部分についての説明
は省略する。
【0066】上記デスケーリング装置46には、その入
口に配されたピンチロール48により送られるラフバー
Pに高圧水を噴射するための上下一対のデスケーリング
ノズル50が2箇所に配設され、且つ該デイケーリング
ノズル50から噴射される高圧水を除去するための高圧
水除去用樋52が配設されている。
【0067】本実施例によれば、デスケーリング装置4
6をコイルボックス16の直前に配して、該デスケーリ
ング装置46により発生しているスケールを予め完全に
除去することができるので、コイルボックス16におけ
る巻取操作等でスケールが剥離し、そのスケールが原因
で噛み込みスケール疵が発生することを有効に防止でき
る。
【0068】従って、本実施例によっても、全ての鋼種
に対してコイルボックスを適用することが可能となる。
【0069】以上、本発明を具体的に説明したが、本発
明は、前記実施例に示したものに限られるものでなく、
その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0070】例えば、本発明方法を実施するために使用
するホットストリップミルは、前記実施例に示したもの
に限られるものでない。
【0071】
【発明の効果】以上説明した通り、第1発明によれば、
熱間圧延にコイルボックスを適用することに伴って発生
する噛み込みスケール疵を、鋼種の種類の如何に拘らず
確実に防止することが可能となる。従って、全ての鋼種
の圧延に対してコイルボックスを適用することが可能と
なり、熱間圧延にコイルボックスの利点を活かすことが
可能となる。
【0072】又、第2発明によれば、被圧延材をコイル
ボックスで巻取る際に、該被圧延材の間にスケールが入
り込むことを有効に防止できるため、熱間圧延にコイル
ボックスを適用することに伴う噛み込みスケール疵の発
生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施例に適用するホットストリッ
プミルを示す概略構成図である。
【図2】図2は、第2実施例に適用するホットストリッ
プミルの要部を示す概略構成図である。
【図3】図3は、従来のホットストリップミルを示す概
略構成図である。
【図4】図4は、上記従来のホットストリップミルの要
部を拡大して示す概略構成図である。
【図5】図5は、熱間圧延によって生じる噛み込みスケ
ール疵を示す概略説明図である。
【図6】図6は、鋼におけるSの含有率と噛み込みスケ
ール疵の発生率との関係を示す線図である。
【図7】図7は、第1発明の数値限定の根拠を示すグラ
フである。
【図8】図8は、簡易型水噴射ノズルを適用したコイル
ボックスを示す図4に相当する概略構成図である。
【符号の説明】
10…加熱炉、 12…粗圧延機、 14…仕上圧延機、 16…コイルボックス、 18…クロップシャー、 20、46…デスケーリング装置、 22…ホットラン水冷装置、 24…ダウンコイラ、 26…ボックス、 28…ゲートロール、 30…ベンディングロール、 32…第1クレードルロール、 34…フォーミングロール、 36…第2クレードルロール、 38、48…ピンチロール、 40…トランスファ用マンドレル、 42…簡易型水噴射ノズル、 44…高圧デスケーリング装置、 50…デスケーリングノズル、 52…高圧水除去用樋、 P…被圧延材(ラフバー)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 邦雄 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 曽家 幹雄 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 竹川 英夫 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 佐伯 真事 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 及川 良介 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粗圧延機で圧延した被圧延材を巻取・巻戻
    装置で巻取った後、該巻取・巻戻装置から被圧延材を巻
    戻しながら仕上圧延機で圧延する熱間圧延方法におい
    て、 上記仕上圧延機の前段で単位散布面積当たりの衝突圧が
    20[g /mm2 ]以上40[g /mm2 ]以下で、且つ、
    流量が0.1[l /(min ・mm2 )]以上0.2[l /
    (min ・mm2 )]以下の高圧水スプレーを被圧延材表面
    に噴射することを特徴とする熱間圧延方法。
  2. 【請求項2】粗圧延機で圧延した被圧延材を巻取・巻戻
    装置で巻取った後、該巻取・巻戻装置から被圧延材を巻
    戻しながら仕上圧延機で圧延する熱間圧延方法におい
    て、 上記巻取・巻戻装置の前段で高圧水スプレーを被圧延材
    表面に噴射することを特徴とする熱間圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100783163B1 (ko) * 2006-10-31 2007-12-07 한국단자공업 주식회사 정션박스

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JPH01254302A (ja) * 1987-12-18 1989-10-11 Hitachi Ltd 熱間薄板圧延設備、及び圧延方法

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