JPH0523317Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案はブロー成形方法による合成樹脂製中
空成形品の製造装置に関する。殊に複雑な形状を
有する合成樹脂のタンクパイプ、ダクト、二重壁
の鞄などの成形品に適する特殊な機能と一般のビ
ン状容器の成形に適する機能とを備えた中空成形
品の製造装置に関する。

〈従来技術とその問題点〉 前記ブロー成形方法による合成樹脂生中空成形
品及び装置の従来技術としては、瓶或はタンク状
の容器に関しては、例えば特公昭45−31397号公
報に記載があり、アタツシユケース或は浴槽など
の二重壁構造の中空成形品に関しては例えば特公
昭49−18748号公報に記載されてあり、更に長尺
物の製造装置も開発されているが、この従来技術
のものは瓶状、タンク状の容器、又は二重壁構造
の中空成形品若しくは長尺物の成形には適してい
るが、二次元または三次元に屈曲したパイプ、ダ
クト、瓶などの中空成形品を製造することは手作
業によるパリソンを屈曲したキヤビテイに案内さ
せる補助作業が必要であつた。

前記汎用機に変わつて最近前記屈曲したパイ
プ、ダクトなどの中空成形品をバリを伴わずに製
造する専用機の発明が有り、その一例である特開
昭55−21239号公報には、押出機のダイヘツドと
型締装置間で移送される下金型が、ターンテーブ
ルに２個設置してあり、このダイヘツドをパリソ
ン押出位置にセツトされた下金型に対してＸ、
Ｙ、Ｚ各軸方向への移動用のモータの駆動制御に
より、前後、左右、上下動可能に装備した製造装
置が記載され開示されているが、この製造装置で
は下金型のターンテーブルの駆動、ダイヘツドの
移動に大きな駆動力が必要であると共に、その移
動機構は製造装置全体を複雑、大型化し、かつダ
イヘツドのパリソン押出用下向きノズルから押出
された溶融パリソンを下金型の二次元または三次
元的に刻設したキヤビテイ内に倣い受入れるに
は、ダイヘツドの移動制御部プログラムを精度の
高いものとせねばならず、製造装置は高価なもの
となる。

一方、前記と相違し押出機のパリソン押出機用
横向きノズルを完全に固定し、下金型を前後、左
右、上下自在に移動させ、パリソンを下金型のキ
ヤビテイに沿い収納する製造装置が、特開昭53−
56262号公報に開示されているが、前記ノズルは
横向きのため、押出された直後の溶融パリソンが
下方へだれ、表裏フイルム同士が吹込み成形以前
に相互に融着してしまう虞れがあると共に、複雑
な形状の金型キヤビテイへのパリソンの倣い開始
を位置決めするのに手間がかかると共に、パリソ
ンをこのキヤビテイに能率良く倣わせ送り込むに
は今一歩の感がある。

更に、この先行技術においては水平な金型内に
溶融状態のパリソンを供給していくため、この金
型キヤビテイに接触する側のパリソン部分が他の
部分よりも早めに硬化し始め、加圧空気吹き込み
によるブロー成形加工時にパリソン全体が一様な
肉厚で膨脹せず成形品に扁肉厚部、扁薄肉部が発
生する。

〈解決しようとする問題点〉 この考案は前記汎用機の機能を保持しつゝ前記
従来の専用機を上回る倣い機能を発揮するブロー
成形方法による合成樹脂製中空成形品の製造装置
を市場に提供することをその目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 この考案は押出機のパリソン押出用下向きノズ
ルを機枠に固定し、更にノズルの下方に荷台が固
定配置してあるとともに、この荷台上面に設けた
軸受で支承された水平な枢軸にパリソン吹込み成
形型の型締装置が回転可能に取付けてあり、この
枢軸の周りで前記ノズル軸線に対して水平位置と
持ち上げ傾斜位置間で前記型締装置を傾動させる
傾動手段が前記荷台に配備してあり、このパリソ
ン吹込み成形型は一対の金型からなり、前記水平
な枢軸は前記成形型の型締方向に対して平面にみ
て直角で、傾斜時下側となる成形型における一方
の金型寄りでこの荷台に設けてあることを特徴と
する合成樹脂製中空成形品の製造装置とする。

〈作用〉 前記のように構成した本件考案の製造装置の作
用は次の通りである。

１ 屈曲部を有する合成樹脂製中空成形品を製造
する場合 成形ずべき屈曲した合成樹脂製中空成形品の二
次元又は三次元形状に見合うキヤビテイを有し、
かつ一対の金型からなる割型によつて形成されて
いるパリソン吹込み成形型を水平状態にセツトし
てある前記型締装置に取付ける。次に、油圧シリ
ンダなどの傾動手段を適宜駆動制御し、固定の前
記下向きノズルから前記成形型のキヤビテイより
細径のパリソンを押し出し、このパリソンの下端
を開いている前記成形型における前記上向きに傾
斜された一方の金型のキヤビテイの上部で受取る
位置に一方の金型をセツトする。以後前記パリソ
ンの押出しを継続して行い、順次この溶融状態の
パリソンを一方の金型のキヤビテイに沿いその自
重により縦通しし、遂に前記パリソンの下端が固
定金型のキヤビテイ下端開口から適宜寸法突出し
た状態で、押出機の作動を停止し、前記下向きノ
ズルからのパリソンの押出しを中止する。なお、
傾斜角の調整については成形品の形状が変わる毎
に変えるが、単一の成形品成形用のパリソン押出
中は原則的には変化させない。

次いで、このパリソンを一方の金型のキヤビテ
イに完全に倣わせた傾斜状態にある前記成形型に
おける上側に位置する他方の金型を下側に位置す
る一方の金型に型締装置により合わせ型締めし、
一対の金型の重ね合わせ面に刻設したキヤビテイ
で、成形すべき中空成形品と同一の空間をこれら
一対の金型内に形成すると共に、パリソン上端を
一対の金型の重ね合わせ面で挟着閉止する。この
後、これら金型の重ね合わせ面から突出している
パリソン下端からパリソン内に高圧空気を吹込
み、所望の屈曲部を有する中空成形品をブロー成
形する。この成形後、パリソンを押出機の前記下
向きノズル寄りで切断し、次いで、一対の金型を
開きバリのない前記中空成形品を取り出す。この
取り出す際、型締装置は傾斜したままでも、水平
に戻してもどちらでも良い。

これらの操作すべてを予めプログラムし、記憶
された数値制御装置からの指令により繰返し作動
させても良いし、型締装置の傾斜及び運転開始位
置の決定までは、手動指令によつて行い、その後
は上記と同様に数値制御装置からの指令により繰
返し作動させる。

２ 屈曲部のない合成樹脂製中空成形品を製造す
る場合 屈曲部のない単純な中心軸線が湾曲してない
瓶、タンク状の容器、二重壁構造の中空成形品を
ブロー成形する時には、前記型締装置は前記荷台
に対して水平にセツトされ、前記上下型の重ねあ
わせ面が前記下向きノズルの真下にくるように調
整しセツト固定した状態で型締装置による上下型
の開閉操作により、通常公知の通り円筒容器等を
バリの有無に係らずに吹込み成形を行う。

なお、特公昭49−18748号公報に記載されたよ
うに本体と蓋の深さが異なる二重壁構造のアタツ
シユケースをブロー成形する際には型締装置全体
を所定角傾斜し通常のブロー成形により製造す
る。即ち、扁平チユーブ状態で下側金型上に押し
出し載置されたパリソン内に加圧空気を吹き込み
予備成形した後、或はしないでこれら金型を合わ
せ金型全周でパリソンを閉塞してバリのあるアタ
ツシユケースを成形後、このバリを除去し所望の
製品を得る。

長尺物を製造するときには、前記同様に型締装
置全体を所定角度傾斜し下型でパリソン下端を受
けドローダウンを伴わずに成形を行い、インサー
ト部品付きの中空成形品を製造する際にはインサ
ート部品を傾斜し上向きにセツトされた下側の金
型の上の所定位置に載置してインサート部品付き
の中空成形品の製造を前記傾斜状態での作動同様
に行う。

〈効果〉 前記のように構成し作用する本件考案において
は、重量のある押出機の前記下向きノズルに対し
て、前記型締装置が前記枢軸周りで前記下向きノ
ズル軸線に対して水平位置と持上げ傾斜位置間で
傾動可能に配備してあるため、パリソンに対する
下側の金型の位置決めを押出機の移動よりは大き
な慣性力を伴わずに精度良く行なうことができ、
かつパリソンの下端を下側の金型のキヤビテイの
上端部内で受け取りその自重を利用してこのキヤ
ビテイに沿い倣い移動しつつ縦通しでき、成形し
た中空成形品に薄肉部が発生する危険はなくな
り、安価な製造装置により、屈曲部を有する所望
形状の中空成形品をブロー成形する方法を採用出
来ると共に、同一の装置を用いて屈曲部のない瓶
状、タンク状の容器アタツシユケース、浴槽など
の二重壁構造の中空成形品などの公知の中空成形
品を公知の方法でブロー成形する方法を採用でき
る。

〈実施例〉 この考案の代表的な実施例を次に説明する。

第１図、第２図において、Ａは押出機Ｂと、可
動金型２５と固定金型２４からなるパリソン吹込
み成形型Ｆ用の型締装置Ｃとその傾動手段の一種
である傾動用油圧シリンダ２０とを主要構成部と
する合成樹脂製中空成形品の製造装置である。

前記押出機Ｂはこの製造装置Ａのベース１０
（機枠の一部）に固定され、パリソン押出用下向
きノズル１１をそのダイヘツド１２に具備してお
り、この押出機Ｂは公知のものである。

前記ベース１０上に前記荷台Ｄが固定装備して
ある。

前記型締装置Ｃは下側の固定金型取付板１７
と、この取付板１７に対して接離可能な上側の可
動金型取付板１８と、この可動金型取付板１８を
金型取付板１７に対して接近離反移動させる型締
用シリンダ装置１９を具備している。

このように構成した型締装置Ｃは前記固定の荷
台Ｄの上面中央に設けた軸受で支承された水平な
枢軸２０により枢着してあつて、前記型締装置Ｃ
は下向きノズル１１の軸線Ｏに対して直角な水平
位置、即ち前記ベース１０に平行な位置と（第２
図実線参照）、持ち上げ傾斜位置（第２図破線参
照）間でこの枢軸２０周りに傾動自在に装備され
ている。

この水平な枢軸２０は前記型締装置Ｃにおける
型締用油圧シリンダ装置１９の型締方向に対して
平面にみて直角で、傾斜時に下側となるこの成形
型Ｆにおける固定金型２４寄りに配置してある。

前記固定金型取付板１７は可動金型取付板１８
に対して若干位置調整可能に装備され、固定金型
２４の前記下向きノズル１１に対する相対位置を
変更可能としてある。

前記型締装置Ｃを水平な枢軸２０周りで傾動さ
せるための前記傾動用油圧シリンダ装置２１のシ
リンダ２１ａは前記荷台Ｄに枢着して連結され、
そのピストンロツド２１ｂ先端は、前記枢軸２０
より前記押出機Ｂと反対側の位置において前記型
締装置Ｃの機枠の一部に枢着されている。

〈実施例の作用〉 次に、前記構成の実施例の作用をその使用方法
と共に説明する。

１ 二次元又は三次元に屈曲する合成樹脂製中空
成形品の製造する場合 先ず、成形すべき屈曲した中空成形の二次元又
は三次元形状に見合うキヤビテイを有しかつ固定
金型２４と可動金型２５からなる割型によつて形
成されているパリソン吹込み成形型Ｆを選択した
場合について説明する。

このパリソン吹込み成形型Ｆを前記型締装置Ｃ
に取付ける。即ち、固定金型２４を前記固定金型
取付板１７に、また可動金型２５を前記可動金型
取付板１８に各々ボルト等により取付ける。

次いで、型締装置Ｃ及びこれに取付けた前記成
形型Ｆを傾動用油圧シリンダ装置２１の作動によ
り水平位置から前記枢軸２０周りで適宜角度、固
定金型２４より可動金型２５が斜め上位に位置す
るように傾動させ、固定の前記下向きノズル１１
から押出されるパリソンＰの下端を開いている前
記成形型Ｆにおける前記上向きに傾斜している固
定金型２４のキヤビテイ上部で受け取る位置に、
前記固定金型２４をセツトする。

以後、前記パリソンＰの押出しを継続して行
い、このパリソンＰを前記金型２４のキヤビテイ
に沿いその自重により縦通しして、遂に前記パリ
ソンＰの下端が固定金型２４のキヤビテイ下端開
口から適宜寸法突出した状態で押出機Ｂの作動を
停止し、前記下向きノズル１１からのパリソンＰ
の押出しを中止する。

次いで、このパリソンＰを固定金型２４のキヤ
ビテイに完全に倣わせた傾斜状態にある前記成形
型Ｆにおける可動金型２５を締付用油圧シリンダ
装置１９の作動により固定金型２４に合わせ型締
めし、可動金型２５と固定金型２４の重ね合わせ
面に刻設したキヤビテイで成形するべき屈曲した
中空成形品と同一の空間内にこれら金型２４，２
５内に形成するとともにこのパリソンＰの上端を
これら金型２４と２５の重ね合わせ面で挟着閉止
する。

この後、これら金型２４と２５の重ね合わせ面
から突出しているパリソンＰ下端からエアノズル
（図示せず）を介してパリソンＰ内に高圧空気を
吹込み、所望の屈曲部を有する中空成形品をブロ
ー成形する。この成形後、パリソンＰを前記押出
機Ｂの前記下向きノズル１１寄りで切断する。

次いで、可動金型２５を固定金型２４から型締
用油圧シリンダ装置１９の作動により離反させ、
バリのない中空成形品を固定金型２４から取外
す。

２ 屈曲部のない単純な中心軸線が湾曲してない
瓶状、タンク状の容器、及び二重壁構造の中空
成形品をブロー成形する場合 まず、前記型締装置Ｃを前記荷台Ｄに対して水
平にセツトし、前記金型２４，２５の重ね合わせ
面が前記下向きノズル１１の真下に来るように固
定金型２４をセツト固定した後（第２図実線参
照）、型締用油圧シリンダ装置１９の作動により
可動金型２５と固定金型２４を合わせて型締め
し、従来同様に瓶状、タンク状の容器、及び二重
構造の中空成形品をブロー成形する。

なお、特公昭49−18748号公報に記載されたよ
うに本体と蓋の深さが異なる二重壁構造のアタツ
シユケースをブロー成形する際には型締装置Ｃ全
体を所定角度傾斜し通常のブロー成形により製造
する。即ち、扁平チユーブ状態で固定金型２４上
に押出し載置されたパリソンＰ内に加圧空気を吹
き込み予備成形した後、或はしないでこれら金型
２４，２５を合わせ金型全周でパリソンＰを閉塞
してバリのあるアタツシユケースを成形後、この
バリを除去し所望の製品を得る。

長尺物を製造するときには、前記と同様に型締
装置Ｃ全体を所定角度傾斜し固定金型２４上でパ
リソンＰ下端を受けドローダウンを伴わずに成形
を行い、インサート部品付きの中空成形品を製造
する際にはインサート部品を傾斜し上向きにセツ
トされた固定金型２４の上の所定位置に載置して
インサート部品付きの中空成形品の製造を傾斜状
態での作動同様に行う。

〈実施例固有の効果〉 前記型締装置Ｃの駆動源として、油圧シリンダ
装置２１を用いた実施例においては、大きな駆動
力を発揮できる。

また、固定金型取付板１７の位置を可動金型取
付板１８に対し若干位置調整自在としたものにお
いては、固定金型２４の下向きノズル１１に対す
る相対位置を、そのキヤビテイの上端に溶融パリ
ソン下端が適正に位置するように変更調整するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案に係るもので、第１図はこの製造
装置の概略正面図、及び第２図はその概略側面図
である。 図中の主な記号の説明、Ａ……製造装置、Ｂ…
…押出機、Ｃ……型締装置、Ｄ……荷台、Ｆ……
パリソン吹込み成形型、１１……下向きノズル、
２０……水平な枢軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 押出機のパリソン押出用下向きノズルを機枠に
   固定し、更にノズルの下方に荷台が固定配置して
   あるとともに、この荷台上面に設けた軸受で支承
   された水平な枢軸にパリソン吹込み成形型の型締
   装置が回転可能に取付けてあり、この枢軸の周り
   で前記ノズル軸線に対して水平位置と持ち上げ傾
   斜位置間で前記型締装置を傾動させる傾動手段が
   前記荷台に配備してあり、このパリソン吹込み成
   形型は一対の金型からなり、前記水平な枢軸は前
   記成形型の型締方向に対して平面にみて直角で、
   傾斜時下側となる成形型における一方の金型寄り
   でこの荷台に設けてあることを特徴とする合成樹
   脂製中空成形品の製造装置。