JPH05232006A - 複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサー - Google Patents

複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサー

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JPH05232006A
JPH05232006A JP32840991A JP32840991A JPH05232006A JP H05232006 A JPH05232006 A JP H05232006A JP 32840991 A JP32840991 A JP 32840991A JP 32840991 A JP32840991 A JP 32840991A JP H05232006 A JPH05232006 A JP H05232006A
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piezoelectric crystal
olfactory
biosensor
odor
frequency
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JP32840991A
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Sosei Go
宗 正 呉
Seika O
西 華 王
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KEION KOKUSAI JITSUGYO YUGENKOSHI
KEION KOKUSAI JITSUGYO YUUGENK
KEION KOKUSAI JITSUGYO YUUGENKOUSHI
Original Assignee
KEION KOKUSAI JITSUGYO YUGENKOSHI
KEION KOKUSAI JITSUGYO YUUGENK
KEION KOKUSAI JITSUGYO YUUGENKOUSHI
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の圧電結晶体に脊椎動物の受容体タンパ
ク質を被膜して、多種類の臭気分子を高い精度で同時に
検知する。 【構成】 脊椎動物の臭覚受容体タンパク質をATカッ
トの圧電結晶体6に塗布して生体電極5を形成し、識別
したい臭気分子Aと受容体タンパク質との結合により質
量負荷作用に基づく圧電結晶体6において振動周波数の
変化を発生させ、この振動周波数の変化を電気信号に変
換して、マイクロプロセッサー11のメモリーにプロフ
ィールパターンのデータとして保存することで、多種類
の臭気分子Aを同時に、かつ高い臭覚精度(10-12
子グラム量以上)で識別することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、臭覚バイオセンサー
に関し、特に、食品の匂いや酒類の品質管理および悪臭
物質や空気汚染の監視、化粧品の品質管理、爆発物、麻
薬または生化学兵器について有毒成分の測定など、多方
面での臭気物質の検知および定量に利用できる、複数配
置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、臭気物質の識別には各種の方法が
利用されてきたが、公知技術は検知精度に劣っていた
り、特定の臭気物質だけを検知したり、あるいは特殊用
途にのみ利用できるものであったりして、使用が限定さ
れていたので甚だ不便であったとともに、人間の臭覚し
きい値が10-6〜10-8分子グラム量であるので、熟練
した職人の臭覚のほうが通常の臭気検知装置より精度が
良かった。つまり、従来技術においては、熟練した職人
の臭覚よりも優れた臭気検知装置、すなわち各種の臭気
物質を高い精度(10-6〜10-8分子量以上)で識別で
きる汎用タイプの臭覚センサーが開発されていなかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする問題点は、複数の臭気分子を高い精度で同時に識
別できなかった点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、複数の臭気
分子を高い精度で同時に識別するという目的を、複数の
圧電結晶体を利用した脊椎動物の受容体タンパク質から
なるバイオ素子とマイクロプロセッサーとを組み合わせ
て、臭気分子の種類と量とを電気信号に変換してディス
プレイに表示するという簡単な構成により、高い精度を
損なうことなく人間の臭覚しきい値の10-6〜10-8
子グラム量を完全にカバーする臭覚精度10-9〜10
-12 分子グラム量を実現した。
【0005】
【作用】1個以上のATカットの圧電結晶体と、脊椎動
物から分離純化した受容体タンパク質(臭覚受容体タン
パク質、神経受容体タンパク質、および抗体等)を上記
圧電結晶体ごとに塗布または固定して臭気分子と結合す
る複数の臭気分子判別バイオ素子と、臭気分子および上
記臭気分子判別バイオ素子を結合して上記圧電結晶体に
発生する応答減衰周波数を電気信号に変換するマイクロ
プロセッサーと、上記マイクロプロセッサーで変換され
た電気信号を表示するディスプレイとから臭覚バイオセ
ンサーを構成して、複数配置の圧電結晶体および臭気分
子判別バイオ素子が臭気分子と結合した時の応答減衰周
波数を、マイクロプロセッサーのメモリーにあらかじめ
プロフィール化されている臭気分子データと比較して、
臭気分子を識別する。
【0006】
【実施例】初めに、この発明の圧電結晶体による測定原
理を説明すると、一般の圧電クリスタル結晶体はクォー
ツ・クリスタル微量天秤として使用する時、その水晶板
は通常2枚の金属電極(例えば金、銀、アルミニウム、
ニッケル、パラジウム)でサンドイッチのように真ん中
に挟みこまれ、電極作用で結晶片の表面に垂直方向へ振
動電場を導入し、この振動電場により結晶体内部に機械
的な振動現象を発生させる。もし、水晶板の厚さが一定
であれば、この種の機械的な振動は一定の周波数で表さ
れ、結晶片の厚さにより、その基本発振周波数が2〜2
0メガヘルツ(MHz)の間となる。このような機械と
電子との2種類の振動の混合により発生する共振周波数
は、下記するような幾つかの要素により決定され、ある
要素は通常の状態では、水晶結晶片の物理的性質、例え
ば厚さ、密度および剪断弾性係数のように、いずれも一
定値となる。ある状態における下記の要素は、気体また
は液体と接触する時の結晶体表面の密度、粘度、結晶体
両面にまたがる圧力差および温度のように、いずれも一
定値となる。そして、結晶体の周波数を変化させる最大
の要素は、電極の質量あるいは電極に外部から付加され
る薄膜の質量変化である。このような質量変化に起因す
る周波数変化が、微量天秤の作動原理である。
【0007】ソールブレイ(Sauerbrey)が1
959年に最初に定義した水晶結晶体上に積層した金属
膜の質量と周波数変化との関係式は、大部分の場合に適
用可能であるが、特に気相での圧電結晶体電極表面の質
量変化と周波数応答との関係は、下記の数式1で表され
る。
【0008】
【数1】△F/F=−△Ms・F/A・σ・N 〔式中、△Fは周波数変化、 F:周波数、 △Ms:薄膜の形で結晶体上を被覆する物質の質量、 A:水晶結晶体の表面面積、 σ:水晶結晶体の密度、 N:周波数定数〕
【0009】この発明で使用する圧電水晶結晶体は、Z
軸(光軸)に対して35°15′角度の傾斜でウエハを
切り出した周波数安定性に優れたATカットなので、周
波数定数Nは0.1679MHz/cm、密度σは2.6
48g/cm3 となり、これらの数値を数式1に代入す
ると、数式2となる。
【0010】
【数2】△F=−2.3×106 ・F2 ・△M/F 〔式中、△F:被覆により生成した周波数変化、 F:水晶結晶体の振動周波数、 △M:被膜質量(g)〕
【0011】従って、数式1,2から被膜質量△Mが増
加すると、周波数の減衰値が増大することが分かる。上
述のように、この発明で使用する圧電水晶結晶体はAT
カットなので、基本振動周波数は5〜15MHzの間とな
り、ソールブレイの関係式から空気中の揮発性臭気分子
に対する測定限度値は10-12 分子グラム量ぐらいにま
で達することが予測できる。
【0012】図1において、この発明の圧電結晶体臭覚
バイオセンサーが気相下の測定で示す典型的な応答曲線
を示すが、図中、ベースライン部分は安定した基本発振
周波数を示し、符号aは気体サンプルの注入開始時間を
示し、測定される気体分子が結晶体表面の被覆材料との
吸着反応を経て、周波数減衰反応を起こす。曲線A,
B,C,Dは、それぞれ異なる吸着反応を示す動態パタ
ーンで、符号bは気体サンプルを移送除去し始める除去
開始時間(t1 )を示し、その後、表面吸着した気体が
脱離現象を起こし始め、結晶体の発振周波数の復元を開
始するが、復元の速度は吸着反応の発生形式に関係が深
い。例えば、物理的な吸着である場合、曲線Dのよう
に、脱離速度も早いが、化学的な吸着である場合、曲線
Cのように、脱離速度がかなり遅くなる。基本発振周波
数を示すベースラインから反応曲線の平らな底部分まで
の差(△F)はソールブレイの関係式により吸着する気
体状の臭気分子が形成する被膜質量(△M)に換算する
ことができる。
【0013】圧電結晶体の表面に塗布または固定する受
容体タンパク質としては、脊椎動物から分離した再生純
化の臭覚受容体タンパク質群または神経受容体タンパク
質あるいは抗体などが利用できるが、中でも脊椎動物の
臭覚繊毛(olfacto−ry cilia)から分
離した分子量が53〜116キロダルトン(KDa)の
膜タンパク質が良好である。
【0014】脊椎動物、例えばウシガエル、イヌ、ブ
タ、ネズミ類、ウサギ等の臭覚上皮組織は、いずれも利
用可能である。その分離方法は、4℃の冷蔵室で生きた
脊椎動物の鼻腔を切開して、臭覚上皮組織を取り出し、
余分なものを除去処理した後、すぐに5〜20%(体積
比V/V)のアルコール、0.1Mの塩化ナトリウム、
2mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、30m
MのTris−HCl(トリ塩化水素)を含み、ペーハ
ー値8.0の緩衝溶液に投入して鼻粘液を除去し、2分
後に5〜20mMのCaCl2 (塩化カルシウム)を含
むリンゲル液に移し、15分間以上軽く攪拌して臭覚繊
毛を細分化する。1000×gの回転速度で5分間だけ
遠心分離して臭覚繊毛を含有する上澄み液(super
nat−ant liquid)を得た後、2層清浄ガ
ーゼで濾過する。濾過液を1000×gの回転速度かつ
4℃の低温で10分間だけ遠心分離して、上層液を取り
除き、この沈澱部分に、0.3%のトリトンX−100
を含みペーハー値7.0である10mMのTris−H
Clの緩衝溶液を使用して、膜タンパク質を溶解させ
る。最後に、1000×gの回転速度かつ4℃の低温で
30分間だけ遠心分離して上層液を取り出す。この上層
液が臭覚受容体含有の粗製エキストラクト(crude
extract)となる。
【0015】上述のように分離した粗製エキストラクト
をウルトラゲルクロマトグラフィーで更に処理する。す
なわち、ウルトラゲルクロマトグラフィーのACA−3
4コラム内部で、先ず0.1%のトリトンX−100お
よび0.1Mの塩化ナトリウムを含みペーハー値7.2
である50mMのTris−HClの緩衝溶液を、4℃
の低温で0.4〜1.0 ml/minsの流速により
36時間以上洗い落として平衡状態とした後に、サンプ
ル溶液を同一流速でコラム内部に注入する。洗い落とし
液は自動区分補集器(fraction collec
tor)で補集する。そして、分光光度計で254nm
の波長により吸光度を測定し、吸光度がピークとなった
区分補集液を収集して濃縮する。
【0016】このように濃縮したタンパク質は再生して
活性を高める必要があり、その再生方法としては、濃縮
した上記区分サンプルを取り、それぞれ1:1の体積比
で、1.8mg/mlのホスファチジルイノシタル、
0.5mMのEDTA、0.5mMのフェナントロリ
ン、0.1mMのフェニルメチルスルホナール・フッ化
物(PMSF)および12.5mMのMes(緩衝液)
を含みペーハー値7.2である溶液と混合して良くかき
まぜ、1時間以上の室温培養を行う。そして、1:1の
比率 (V/W)でアンバライトXAD−2(アメリカ
・ロム・アンド・ハス社製のイオン交換樹脂)またはバ
イオ・ビーズSM−2(製品名)と良くかきまぜ、1時
間以上の震盪培養して界面活性剤を除去する。以上のス
テップが完了した後に、上澄み液部分を取り出すと、こ
の発明が使用する臭覚受容体タンパク質となる。
【0017】この発明の臭覚受容体、神経受容体タンパ
ク質またはホルモン受容体タンパク質などの生物分子識
別素子は、微量スポイトで直接に結晶体電極の表面へ注
入でき、塗布により均一な薄膜とした後、乾燥器の内部
に保存しておくだけでよい。
【0018】さらに優れた結合となるように、この発明
に基づき、先に圧電結晶体(例えば9〜15MHz、A
Tカット、銀または金で電極形成、電極直径が約4.5
mmのもの)を陽極酸化処理しておくとよい。その処理
方法としては、上記圧電結晶体を白金線使用の陽極、陰
極間におき、適当量の0.5M水酸ナトリウム溶液中で
0.5〜5Vの直流電流を通電するものを上げられる
が、酸化時間および電流の強弱はメッキ膜の厚さにより
決定する。陽極酸化により元々は疏水性であった電極表
面が水酸(−OH)基を帯びた親水性表面に変換された
後、受容体タンパク質をこの親水性表面に固定化する。
固定化の方法は、陽極酸化された圧電結晶体の電極を先
ず溶剤で洗浄し、溶剤が揮発乾燥した後に、結晶体電極
を5〜10%のγ−アミノプロピルトリエトキシル(ま
たは任意のその他の水酸化ケイ素)を含むトルエンまた
はクロロホルムあるいはアセトン等の溶液中に浸漬し
て、12時間以上の還流反応を行う。還流反応が完了し
た後、トルエンで洗浄し、さらにアセトンで洗浄して取
り出し通風乾燥させる。乾燥後の結晶体は、2〜10%
のグルタルデイドを含有する適量の0.1Mリン酸緩衝
溶液(ペーハ値7.0)に浸漬し1時間以上反応させて
から、結晶体を取り出してグルタルデイドの臭いがなく
なるまでリン酸緩衝溶液で洗浄する。上記の処理をした
結晶体を適当量だけ体積調製した臭覚受容体タンパク
質、神経受容体タンパク質、抗体またはホルモン受容体
の0.1Mでペーハー値7.0のリン酸緩衝溶液中に浸
漬し、軽く攪拌しながら1時間以上反応させた後に、取
り出してリン酸緩衝溶液で数回の洗浄を行い、さらにグ
リシン緩衝溶液で洗浄することにより未反応のアルデヒ
ドを抑制する。
【0019】以上の反応過程は下記の化学式1のように
なる。
【0020】
【化1】 以上の方法によれば、圧電電極表面の分子と水酸化ケイ
素とが共有結合となるので、結合性の良いものとなる。
【0021】この発明によれば、外来の臭気分子が結晶
体上の受容体タンパク質と結合した後に、応答周波数の
減衰信号を発生させる。この減衰信号をデータ処理して
プロフィールパターンで表示する。各種の気体分子のプ
ロフィールパターンをプロフィールデータベースとして
集成しマイクロプロセッサーのメモリーに保存する。定
量においては、測定された信号を同様にデータ処理し
て、プロフィールデータベースと比較対照することで、
気体分子の種類および吸着質量を判定できるようにな
る。
【0022】次に、この発明に基づくプロフィールパタ
ーンおよびデータ処理の原理を説明すると、プロフィー
ルパターンの表現は以下の2種類となり、1つは周波数
の減衰値に基づいてモジュール化した後の表現方法、も
う1つは傾斜率値に基づいた表現方法である。
【0023】図2において、先ず周波数の減衰値に基づ
くプロフィール作成方法を説明すると、図2は周波数の
減衰値に基づいてモジュール化した後にプロフィールを
作成するための基準設定グラフを示すもので、このグラ
フは採用する圧電結晶体の個数によって3軸、4軸、5
軸、6軸または7軸のグラフとなる。図2では6軸のプ
ロフィールパターン作成用基準設定グラフを使用する方
法を示し、図中、3本の交差直線が交差する点をゼロ点
として、6本のベクトル軸を60°の等分角度で外向き
に配置している。各ベクトル軸は、それぞれ使用される
被覆として臭覚受容体タンパク質、抗体、神経受容体タ
ンパク質、特定の有機、無機吸着物質を備える圧電結晶
体を示していて、図のようなa,b,c,d,e,f等
の軸で表されるとともに、各結晶体の応答周波数がモジ
ュール化(周波数減衰値△F/被覆質量△Ms)を経て
得られた振幅値となり、この振幅値により各結晶体のベ
クトル軸上の対応点を取り各対応点を結ぶことで6角形
の形状によりプロフィールパターンを作成する。図形処
理時には別に倍率(scale factor)を定め
て、振幅値に倍率をかけてプロフィールパターンが容易
に読み取れるようにする。
【0024】図3において、傾斜率値に基づくプロフィ
ール作成方法を説明すると、図3 は傾斜率値(周波数減
衰値△F/被覆質量△Ms)に基づくプロフィールを作
成するための設定基準を示すもので、図中、3本の交差
直線が交差する点をゼロ点として、図のようなa,b,
c,d,e,f軸で表されるような6本のベクトル軸を
60°の等分角度で外向きに配置している。ゼロ点から
50単位のベクトル量で各軸に基準点を取り、各基準点
を結んで正6角形abcdefとし、この正6角形が作
成プロフィールのプロフィール基準(profile
base)となり、この基準点では無吸着または離脱現
象が発生していることを示す。そして、各ベクトル軸上
で基準点から内方向へ吸着(吸着反応時には傾斜率値は
マイナス値)を示し、基準点から外方向へ離脱を示す。
図形処理時には、別に増幅率(amplificati
on factor)を定めて、実験により得られた傾
斜率値に増幅率をかける。従って、図形の増幅率が大き
ければ大きい程、差異性が顕著に現される。
【0025】図4において、この発明にかかわる複数配
置の圧電結晶体臭覚バイオセンサーの基本構成例を示す
と、先ず測定対象となる矢印Aで示す臭気気体を容器1
を介して濾過手段2に吸入し、濾過手段2内部のシリコ
ンゴムで測定対象の臭気気体から水分を除去してから三
方コック4を経て、この発明の圧電結晶体バイオセンサ
ー5に提供する。ここで使用される圧電結晶体6は小円
板形で結晶体の両面に厚さ5〜20Aの金メッキで電極
を形成するとともに、全部で7個が備えられている。臭
気分子が、センサー5内部にある圧電結晶体6表面のタ
ンパク質薄膜と特定または選択性のある吸着反応を生起
して応答周波数を発生し、この応答周波数信号が複数の
振動回路9を経由して、マルチ周波数カウンター10に
送られマイクロプロセッサー11に入力される。マイク
ロプロセッサー11のメモリーには各種臭気分子につい
てプロフィールパターンがデータ保存されており、吸入
する臭気サンプルのプロフィールパターンがディスプレ
イ12により表示できる。また、三方コック4を切り換
えることにより、入口41を入口42に切り換え、比較
用に乾燥無臭の空気を比較吸気手段3から入口42,4
3を経由して圧電結晶体バイオセンサー5内部に導入す
るとともに、比較吸気手段3の内部管状部に設けたシリ
コンゴムおよび活性炭で空気中の水分ならびに臭気を除
去する。7は気体流量計で、8は真空ポンプである。
【0026】図5において、図4で示した圧電結晶体バ
イオセンサー5のハウジング5Aを簡略表示するが、こ
のハウジング5Aは連続式の測定容器を示している。ハ
ウジング5Aは円筒形で、図示から分かるように上部5
1および下部52に分かれ、測定対象となる臭気気体ま
たは比較に使用する乾燥無臭の空気は、いずれも入口5
3を通って図4に示した三方コック4から吸入される。
7個の圧電結晶体6は、リング状に下部52に固定さ
れ、この下部52に設けた気体出口55が図4の気体流
量計7に接続されている。ハウジング5Aの上部は浸透
膜54で仕切られて、気体が入口53から吸入される時
に緩衝区56中で均一に混合した後に浸透膜54を経由
して区域57に送られることで、圧電結晶体6上の受容
体タンパク質に吸着されると同時に2度目の濾過を行え
るように形成している。この浸透膜の厚さは一般に1〜
5μmとするとともに、ハウジング5Aがテフロン(ア
メリカ・デュポン社の登録商標)樹脂製であることが望
ましい。
【0027】図6において、図4,5に示した連続式の
測定容器とは異なる分割式のハウジング5Bは、同様に
上部510と下部52とに分かれて、測定対象となる臭
気気体または比較に使用する乾燥無臭の空気が入口50
3から注射器510で注入される。7個の圧電結晶体6
はリング状に下部52に固定され、この下部52に気体
出口55を設けている。ハウジング5Bの上部501は
リング状のフランジ504で区域506,507を区分
する。この分割式の測定を行う時は測定対象となる臭気
気体を別々に入口503から注射器510で注入する。
【0028】ところで、圧電結晶体バイオセンサーは、
他の方式の化学測定器に比べて高精度であるが、大多数
の化学測定器と同様に干渉を非常に受けやすい。実際の
ところ、ある単一な化合物に対して絶対的な特定を行え
る吸着性の被膜材料を探し出すのは困難であって、通常
は選択的に優劣を決定できるに過ぎない。そこで、この
発明にかかわる複数配置のバイオセンサーは、多数個の
結晶体上に異なる被膜材料を被覆または固定化さ、いず
れも部分的な選択吸着性を有する被膜材料を多元的に複
数配置することで、単一センサーによる検知識別方法に
替え、一つの分析対象物ごとに多元的に吸着反応を発生
させて、指紋を鑑定するのと同様に臭気を検知識別でき
ることを特徴とする。そして、この発明にかかわる複数
配置のバイオセンサーは、単一性または高い選択性を備
える被覆材料で作製された場合は同時に多種成分の検知
識別が行えるとともに、わずかに部分的な選択性を備え
る被覆材料で製造された場合は、識別機能が主要なもの
となる。
【0029】さて、この発明を詳細な実験例により説明
する。実験例1 この実験例1において、ウシガエルの鼻腔から上述した
分離、純化、再組成方法に従って、ウシガエルの臭覚受
容体タンパク質粗製液を得た。この臭覚受容体タンパク
質粗製液をマイクロ凝縮管で分子量が異なる5種類の臭
覚受容体タンパク質を分離するとともに、上記した方法
で別々に圧電結晶体上に塗布して、それぞれF25,F
51,F71,F98,F100とし、かつFrck
(膜脂肪質を表わす)を対照例とした。そして、6種類
の臭気剤、β−イオノン、(±)−リナオール、エチル
・カプロン酸、酢酸イソアミル、n−デシルアルコール
およびn−カプリン酸をそれぞれ1μlずつ取り温度3
0℃で反応させると、表1の通りとなった。
【0030】
【表1】
【0031】これら6種類の臭気剤の振幅値は、プロフ
ィールパターンで表すと、それぞれ図7のa,b,c,
d,e,fのように図示された。
【0032】実験例2 この実験例2では、実験例1と同じウシガエルの臭覚受
容体タンパク質を得るとともに、同様の方法で6個の圧
電結晶体上に塗布して、それぞれF25,F51,F7
1,F98,F100、Frckとした。ただし、この
実験例2では、複雑な気体混合物、例えば、酒類サンプ
ルの上部空間にある気体について試験した。
【0033】酒類サンプルの上部空間(図5の56、図
6の506を参照)にある気体は種類が極めて多く、大
部分はアルコール、エステル、酸、アルデヒドおよびフ
ェノール類などの化合物であるので、このような臭覚受
容体タンパク質上の吸着反応は、実験例1の単一な臭気
の吸着反応とは大きく異なる。従って、この実験例2で
は、先ずF100の臭覚受容体タンパク質を被覆した結
晶体を使用して、それぞれ1μl,2μl,3μl,4
μl,5μlの金門高粱酒(台湾の金門島で生産される
高粱酒 KM1−1)サンプルに対する周波数変化につ
いての実験を行い、その結果を図8に示した。この図8
から分かるように、サンプル量の増加にともなって周波
数変化が増大するが、安定した周波数減衰値(△F)を
得ることができず、3μlのサンプル注入における周波
数変化曲線から1つの折れ曲がり現象(図中、矢印で表
示したところ)が見られ始め、4μlの時に顕著な折れ
曲がり変化があって、この部分において吸着および離脱
現象が発生してことが示されているが、これは酒類サン
プルの上部空間にある気体成分が競合吸着現象を起こし
ていることによっており、いずれも実験開始時から10
0秒ないし200秒の間に顕著なものとなっている。
【0034】それで、各種の酒類サンプルに対して、4
μlのサンプル量で実験を行い、その反応速度の傾斜率
値を実験結果として表2に示した。
【0035】
【表2】 〔表中、EtOH:アルコール KM11:金門高粱酒の第一醗酵の一番搾り KM13:金門高粱酒の第一醗酵の三番搾り KM21:金門高粱酒の第二醗酵の一番搾り KM23:金門高粱酒の第二醗酵の三番搾り KM31:金門高粱酒の第三醗酵の一番搾り KM(O):金門高粱酒の古酒(Oはold) CH11:台湾の嘉義県にある醸造工場の第一醗酵の
一番搾り CH13:台湾の嘉義県にある醸造工場の第一醗酵の
三番搾り CH21:台湾の嘉義県にある醸造工場の第二醗酵の
一番搾り CH23:台湾の嘉義県にある醸造工場の第二醗酵の
三番搾り *:0.01%のエチル・カプロン酸を添加したもの である。〕
【0036】表2中のKM21,KM23およびKM
(O)〔図表中には、KM(old)とも表記〕の傾斜
率に基づいてプロフィールパターンを作成すると、図9
のa,bに示すようになり、増幅率が大きければ大きい
(7倍:15倍)ほど作成プロフィールが明確に区別で
きた。
【0037】周波数の減衰値に基づいたモジュール化処
理または傾斜率値処理の違いにかかわらず、得られた形
状作成プロフィールが整理されなければ、視認による一
目瞭然の理解ができないだけでなく、このプロフィール
パターンを直にマイクロプロセッサーのメモリーに入力
して測定値を識別比較することが困難であるから、一歩
進んだ数値化処理が必要となる。この数値化処理も、こ
の発明の特徴の一つであり、下記の表3は、表2のデー
タからコーディングにより得られた数値表である。表2
中、F25〜Frckのコーディング値は量化された傾
斜値を直接的に四捨五入して整数値としたが、+10ま
たは−10以上の傾斜値は、いずれも+10または−1
0で代入した。
【0038】
【表3】
【0039】次の表4は、平均連鎖分析(Averag
e Linkage Analy−sis)を使用して
SAS統計ソフトにより集団数値分析(cluster
analysis)を実行した結果を示す。
【0040】
【表4】 〔表中、これらの数値は標準化されて平均0、変異1 二乗平均の総合サンプル標準偏差=1 観測間の二乗平均距離=4 である〕
【0041】このような結果から得られた集団和集合
(cluster join)および相似値(simi
larity value)は、図10に示すように、
さらに各種の高粱酒および調製アルコールの階層分類的
な系統樹として作成し、酒類の品質を有効に量化でき
た。
【0042】実験例3 実験例2での品質量化の正確性をテストするために、表
3中の調製アルコール濃度が30%,45%,60%,
70%のサンプルを、アルコール濃度:相似値の回帰分
析し、その結果を下記の表5に示した。
【0043】
【表5】 〔表中、回帰出力は、 定数=−66.326530612 Yの標準誤差= 5.2450170716 R平方= 0.9894272851 観察次数= 4 自由度= 2 Xの係数= 2.3673469388 係数の標準誤差= 0.1730406868 を採用した。〕
【0044】図11において、上記の表5で得られた結
果を酒類のアルコール濃度と相似値との比例関係として
示すと、図示のようになり、この図11から分かるよう
に、アルコール濃度が30%(V/V)から70%の範
囲にある時は、数量値化の後で得た相似値との間に良好
な直線関係が存在するので、この発明の臭覚バイオセン
サーが酒類の品質を数量値化する上で信頼性の高いもの
と判断できる。
【0045】第4実施例 この第4実施例は、この発明の圧電結晶体臭覚バイオセ
ンサーと人間の臭覚しきい値との関係を明確にするため
のもので、ウシガエルから分離した臭覚受容体タンパク
質の粗製液をβ−イオノン、コマリン(comari
n)、シトラール(citral)、1−オクタノー
ル、イソアミルアセテート、メチルアセテート、ジエチ
ルエーテルのうち5種類の臭気成分に使用して、吸着量
を求めるとともに、下記の数式3
【0046】
【数3】 で当該臭覚受容体タンパク質の薄膜に対する分配係数P
を計算した。
【0047】下記の表6は、吸着量と分配係数とを計算
した結果を示し、圧電結晶体の電極面に吸着する臭気分
子の質量が約10-7分子グラム量から10-9分子グラム
量の間にあることが分かった。また、各臭気分子の被覆
した臭覚受容体タンパク質に対する分配係数Pの対数値
をとるとともに、人間の臭覚しきい値(1mlの空気中
に含まれる分子数)に対する対数値を作図すると、図1
2のようになった。
【0048】
【表5】〔表中、Pzは圧電結晶体を示す〕
【0049】図12において、この発明の圧電結晶体臭
覚バイオセンサーと人間の臭覚しきい値との間には良好
な直線関係があることが分かる。
【0050】第5実施例 この第5実施例は、圧電結晶体の周波数減衰が臭覚受容
体タンパク質と臭気物質との結合によるものであること
を実証するために行ったもので、ウシガエルから分離し
た臭覚受容体タンパク質の粗製液をn−カプリン酸に使
用して、同一の臭覚受容体タンパク質の被覆を有する圧
電結晶体が活性喪失の前後においてn−カプリン酸に対
する応答状況の差異を比較したが、活性喪失処理は圧電
結晶体を105℃の加熱器で1時間だけ加熱乾燥して行
い、その測定結果を図13に示した。
【0051】図13において、矢印bで示したように、
活性喪失の圧電結晶体は、臭気物質との結合力が顕著に
減衰していることが分かり、熱変性によりタンパク質の
活性が破壊されたものと推測できた。
【0052】第6実施例 この第6実施例は、この発明の圧電結晶体臭覚バイオセ
ンサーの測定安定性を測定するためのものであって、臭
覚受容体タンパク質の粗製液を塗布した圧電結晶体に対
して長時間テストを実施したが、先ず1日おきに1回ず
つの測定を12日間に渡って行い、次に3カ月に1回の
測定を継続して2度行って、図14に示した結果を得
た。この図14から分かるように、臭覚受容体タンパク
質で被覆した圧電結晶体は、乾燥器の内部に置かれて1
50日を経ても顕著な感度低下が見られなかった。
【0053】
【発明の効果】以上の説明から分かるように、この発明
の圧電結晶体臭覚バイオセンサーは、高感度で、しかも
各種の臭気分子の応答周波数を数量化してマイクロプロ
セッサーのメモリーに入力するだけで各種の臭気分子を
検知および定量できるものなので、公知の臭気分子測定
用計器が特定の臭気分子だけしか検知できなかったり、
熟練した専門職人の嗅覚に頼っていたりした従来の臭気
に対する鑑定や判別と比較して、利用できる産業分野が
大幅に拡大するとともに、各種の臭気分子に対する迅速
かつ客観的な検知や定量が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の圧電結晶体臭覚バイオセンサーが気
相下の測定で示す典型的な反応曲線を描いたグラフであ
る。
【図2】周波数減衰値モジュール化後のプロフィール作
成に基づく基準設定図である。
【図3】傾斜率値(△F/時間t)のプロフィール作成
に基づく基準設定図である。
【図4】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーの構成例をしめす構成図である。
【図5】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーの連続式測定容器の構造を簡略表示した断面図であ
る。
【図6】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーの分割式測定容器の構造を簡略表示した断面図であ
る。
【図7】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーで実験例1の異なる6種類の臭気剤を測定して得ら
れた各プロフィールパターン(a〜f)である。
【図8】臭覚受容体タンパク質を被膜した圧電結晶体の
異なるサンプル量の高粱酒に対する周波数変化を示すグ
ラフである。
【図9】金門高粱酒の第一醗酵の一番搾り(KM1
1)、金門高粱酒の第一醗酵の三番搾り(KM13)、
金門高粱酒古酒〔KM(Old)〕を傾斜率により異な
る拡大率(a,b)で作成したプロフィールパターンで
ある。
【図10】各種高粱酒および調製アルコールの階層分類
的な系統樹を示すグラフである。
【図11】アルコール濃度および相似値の比例関係を示
すグラフである。
【図12】人間の臭覚しきい値および臭気剤の臭覚バイ
オセンサーに対する分配係数を示すグラフである。
【図13】活性および活性喪失の臭覚受容体タンパク質
のn−カプリン酸に対する反応を比較したグラフであ
る。
【図14】この発明の圧電結晶体臭覚バイオセンサーに
対して長時間テストを実施して測定安定性を示したグラ
フである。
【符号の説明】
1 容器 2 濾過手段 3 送入手段 4 三方コック 5 圧電結晶体バイオセンサー 6 圧電結晶体 7 気体流量計 8 真空ポンプ 9 振動回路 10 マルチ周波数カウンター 11 マイクロプロセッサー 12 ディスプレイ
【表6】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】これら6種類の臭気剤の振幅値は、プロフ
ィールパターンで表すと、それぞれ図7のa,b,c,
図8のd,e,fのように図示された。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】酒類サンプルの上部空間(図5の56、図
6の506を参照)にある気体は種類が極めて多く、大
部分はアルコール、エステル、酸、アルデヒドおよびフ
ェノール類などの化合物であるので、このような臭覚受
容体タンパク質上の吸着反応は、実験例1の単一な臭気
の吸着反応とは大きく異なる。従って、この実験例2で
は、先ずF100の臭覚受容体タンパク質を被覆した結
晶体を使用して、それぞれ1μl,2μl,3μl,4
μl,5μlの金門高粱酒(台湾の金門島で生産される
高粱酒 KM1−l)サンプルに対する周波数変化につ
いての実験を行い、その結果を図9に示した。この図9
から分かるように、サンプル量の増加にともなって周波
数変化が増大するが、安定した周波数減衰値(ΔF)を
得ることができず、3μlのサンプル注入における周波
数変化曲線から1つの折れ曲がり現象(図中、矢印で表
示したところ)が見られ始め、4μlの時に顕著な折れ
曲がり変化があって、この部分において吸着および離脱
現象が発生してことが示されているが、これは酒類サン
プルの上部空間にある気体成分が競合吸着現象を起こし
ていることによっており、いずれも実験開始時から10
0秒ないし200秒の間に顕著なものとなっている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】表2中のKM21,KM23およびKM
(O)〔図表中には、KM(old)とも表記〕の傾斜
率に基づいてプロフィールパターンを作成すると、図1
0のa,bに示すようになり、増幅率が大きければ大き
い(7倍:15倍)ほど作成プロフィールが明確に区別
できた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】このような結果から得られた集団和集合
(cluster join)および相似値(simi
larity value)は、図11に示すように、
さらに各種の高粱酒および調製アルコールの階層分類的
な系統樹として作成し、酒類の品質を有効に量化でき
た。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】図12において、上記の表5で得られた結
果を酒類のアルコール濃度と相似値との比例関係として
示すと、図示のようになり、この図12から分かるよう
に、アルコール濃度が30%(V/V)から70%の範
囲にある時は、数量値化の後で得た相似値との間に良好
な直線関係が存在するので、この発明の臭覚バイオセン
サーが酒類の品質を数量値化する上で信頼性の高いもの
と判断できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】図13において、この発明の圧電結晶体臭
覚バイオセンサーと人間の臭覚しきい値との間には良好
な直線関係があることが分かる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】第5実施例 この第5実施例は、圧電結晶体の周波数減衰が臭覚受容
体タンパク質と臭気物質との結合によるものであること
を実証するために行ったもので、ウシガエルから分離し
た臭覚受容体タンパク質の粗製液をn−カプリン酸に使
用して、同一の臭覚受容体タンパク質の被覆を有する圧
電結晶体が活性喪失の前後においてn−カプリン酸に対
する応答状況の差異を比較したが、活性喪失処理は圧電
結晶体を105℃の加熱器で1時間だけ加熱乾燥して行
い、その測定結果を図14に示した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】図14において、矢印bで示したように、
活性喪失の圧電結晶体は、臭気物質との結合力が顕著に
減衰していることが分かり、熱変性によりタンパク質の
活性が破壊されたものと推測できた。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】第6実施例 この第6実施例は、この発明の圧電結晶体臭覚バイオセ
ンサーの測定安定性を測定するためのものであって、臭
覚受容体タンパク質の粗製液を塗布した圧電結晶体に対
して長時間テストを実施したが、先ず1日おきに1回ず
つの測定を12日間に渡って行い、次に3カ月に1回の
測定を継続して2度行って、図15に示した結果を得
た。この図15から分かるように、臭覚受容体タンパク
質で被覆した圧電結晶体は、乾燥器の内部に置かれて1
50日を経ても顕著な感度低下が見られなかった。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の圧電結晶体臭覚バイオセンサーが気
相下の測定で示す典型的な反応曲線を描いたグラフであ
る。
【図2】周波数減衰値モジュール化後のプロフィール作
成に基づく基準設定図である。
【図3】傾斜率値(△F/時間t)のプロフィール作成
に基づく基準設定図である。
【図4】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーの構成例をしめす構成図である。
【図5】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーの連続式測定容器の構造を簡略表示した断面図であ
る。
【図6】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーの分割式測定容器の構造を簡略表示した断面図であ
る。
【図7】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーで実験例1の異なる3種類の臭気剤を測定して得ら
れた各プロフィールパターン(a〜c)である。
【図8】この発明にかかわる圧電結晶体臭覚バイオセン
サーで実験例1の異なる3種類の臭気剤を測定して得ら
れた各プロフィールパターン(d〜f)である。
【図9】臭覚受容体タンパク質を被膜した圧電結晶体の
異なるサンプル量の高粱酒に対する周波数変化を示すグ
ラフである。
【図10】金門高粱酒の第一醗酵の一番搾り(KM1
1)、金門高粱酒の第一醗酵の三番搾り(KM13)、
金門高粱酒古酒〔KM(Old)〕を傾斜率により異な
る拡大率(a,b)で作成したプロフィールパターンで
ある。
【図11】各種高粱酒および調製アルコールの階層分類
的な系統樹を示すグラフである。
【図12】アルコール濃度および相似値の比例関係を示
すグラフである。
【図13】人間の臭覚しきい値および臭気剤の臭覚バイ
オセンサーに対する分配係数を示すグラフである。
【図14】活性および活性喪失の臭覚受容体タンパク質
のn−カプリン酸に対する反応を比較したグラフであ
る。
【図15】この発明の圧電結晶体臭覚バイオセンサーに
対して長時間テストを実施して測定安定性を示したグラ
フである。
【符号の説明】 1 容器 2 濾過手段 3 送入手段 4 三方コック 5 圧電結晶体バイオセンサー 6 圧電結晶体 7 気体流量計 8 真空ポンプ 9 振動回路 10 マルチ周波数カウンター 11 マイクロプロセッサー 12 ディスプレイ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個以上のATカットの圧電結晶体と、 脊椎動物から分離純化した臭覚受容体タンパク質、神経
    受容体タンパク質ならびに抗体を含む受容体タンパク質
    を上記圧電結晶体ごとに塗布または固定して臭気分子と
    結合する複数の臭気分子判別バイオ素子と、 臭気分子および上記臭気分子判別バイオ素子を結合して
    上記圧電結晶体に発生する応答減衰周波数を電気信号に
    変換するマイクロプロセッサーと、 上記マイクロプロセッサーで変換された電気信号を表示
    するディスプレイとから構成して臭気分子の検知に使用
    する複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサ
    ー。
  2. 【請求項2】 前記マイクロプロセッサーが、前記圧電
    結晶体に発生する応答減衰周波数を表す電気信号(△
    F)を受信した時に各圧電結晶体上に塗布された受容体
    タンパク質の質量を表す電気信号(△Ms)とにより、
    △F/△Msの関係式で演算処理して対応する座標ベク
    トル信号を算出するとともに、各圧電結晶体ごとの電気
    信号を1つのプロフィール信号として前記ディスプレイ
    に出力かつ当該プロフィール信号を表示させる請求項1
    記載の複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサ
    ー。
  3. 【請求項3】 前記マイクロプロセッサーが、前記圧電
    結晶体に発生する応答減衰周波数を表す電気信号(△
    F)を受信した時に時間(t)とにより、△F/tの関
    係式で演算処理して対応する座標ベクトル信号を算出す
    るとともに、各圧電結晶体ごとの電気信号を1つのプロ
    フィール信号として前記ディスプレイに出力かつ当該プ
    ロフィール信号を表示させる請求項1記載の複数配置の
    圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサー。
  4. 【請求項4】 前記臭気分子判別バイオ素子が、前記圧
    電結晶体に発生する応答減衰周波数を発振する複数の振
    動回路と、これら振動回路からの周波数値をカウントす
    るマルチチャンネルのカウンターとを備えて、マイクロ
    プロセッサーにカウントされた複数の周波数値を入力す
    る請求項1記載の複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バ
    イオセンサー。
  5. 【請求項5】 前記圧電結晶体が、基本周波数を5〜1
    5メガヘルツとすることを特徴とする請求項1記載の複
    数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサー。
  6. 【請求項6】 前記臭気分子判別バイオ素子が、脊椎動
    物から分離した受容体タンパク質であることを特徴とす
    る請求項1記載の複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バ
    イオセンサー。
  7. 【請求項7】 前記臭気分子判別バイオ素子が、ウシガ
    エルから分離した分子量が53〜116キロダルトンの
    臭覚受容体タンパク質であることを特徴とする請求項6
    記載の複数配置の圧電結晶体を備えた臭覚バイオセンサ
    ー。
  8. 【請求項8】 前記圧電結晶体が、小円板形で2平面に
    厚さ5〜20Aの金をメッキして電極としたことを特徴
    とする請求項5記載の複数配置の圧電結晶体を備えた臭
    覚バイオセンサー。
  9. 【請求項9】 前記圧電結晶体が、1〜7個配列される
    ことを特徴とする請求項5記載の複数配置の圧電結晶体
    を備えた臭覚バイオセンサー。
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