JP3500772B2 - タンパク質バイオセンサおよびそれを用いる測定方法 - Google Patents

タンパク質バイオセンサおよびそれを用いる測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タンパク質バイオセン
サおよびそれを用いる測定方法に関する。更に詳しく
は、尿中タンパク質量の測定などに好適に用いられるタ
ンパク質バイオセンサおよびそれを用いる測定方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来用いられているタンパク質センサ
は、作用極および対極が共にバルク状で、また参照極に
はガラス筒を用いた飽和甘こう電極として用いられてお
り、大型化するのを避けることができない。更に、ガラ
スから構成されている参照極は脆く、またそれの製作は
煩雑なものであった。そして、これらの3極を使用し
て、バッチ方式あるいはFIA方式(フロー・インジェ
クション・アナリシス方式)でタンパク質量を測定しよ
うとすると、操作上の構成が煩雑で、扱い難いといった
欠点もみられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構成
が簡単であり、そのため小型化が可能であって、製作性
および操作性の点でも容易なタンパク質バイオセンサを
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
絶縁性基板上に作用極、対極および参照極を設けたバイ
オセンサにおいて、作用極リード電極上にはニッケル
膜を、また参照極リード電極上には銀/塩化銀電極をそ
れぞれ設けたタンパク質バイオセンサによって達成され
る。
【0005】図1は、本発明に係るタンパク質バイオセ
ンサの一態様の平面図であり、絶縁性基板1上には作用
極リード電極2、対極3および参照極リード電極4がそ
れぞれ設けられている。そして、作用極リード電極2上
にはニッケル薄膜5が、また参照極リード電極4上には
銀/塩化銀電極6が設けられている。ここで、リード電
極というのは、ニッケル薄膜を形成させたものが作用極
として作用し、また銀/塩化銀電極を形成させたものが
参照極として作用するので、これらを形成させるための
電極部分を指している。
【0006】かかる構成を有するタンパク質バイオセン
サの製作に際しては、まず絶縁性基板1上に作用極リー
ド電極2、対極3および参照極リード電極4をそれぞれ
形成させた後、ニッケル薄膜5および銀/塩化銀電極6
の形成が任意の順序で行われる。
【0007】絶縁性基板としては、ガラス、セラミック
ス、プラスチック等の板状体あるいはフィルム状乃至シ
ート状のものなどが用いられる。このような絶縁性基板
上への作用極リード電極、対極および参照極リード電極
の形成は、いずれも白金、カーボン、銀、金等の電極形
成材料を用いての一般的な薄膜形成方法によって行われ
る。
【0008】作用極リード電極2上には、ニッケル薄膜
5が、スパッタリング法、蒸着法、スクリーン印刷法、
メッキ法などによって、一般に約1000〜10000Å、好ま
しくは約1000〜6000Åの膜厚で形成される。
【0009】また、参照極リード電極4上には、参照極
としての銀/塩化銀電極6の形成が行われる。銀/塩化銀
電極の形成は、まず参照極リード電極上にスクリーン印
刷法、蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによっ
て銀電極を形成させた後、その銀電極部分を塩酸水溶液
中に浸漬して定電流電解を行い、表面部分を塩化銀化さ
せるという通常の方法によって行われる。
【0010】その後、ニッケル薄膜5を形成させていな
い作用極リード電極2の大部分、先端部を除く対極3の
大部分および銀/塩化銀電極6の一部または全部を除く
参照極リード電極4の大部分は、シリコーン樹脂、ポリ
イミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁膜7によって被覆さ
れる。
【0011】かかる構成のタンパク質バイオセンサを用
いてのタンパク質量の測定は、次のような機構によって
行われる。
【0012】作用極感応部のニッケルが強アルカリ溶液
と接触すると、そこに水酸化ニッケルNi(OH)2が生成す
る。ここで所定の電位が印加されると、 Ni(OH)2 → NiO(OH) となり、生成したNiO(OH)はタンパク質の還元性残基で
あるアミノ基、チオール基、水酸基などと接触すると、
この残基を酸化する。その際、電流が発生するので、発
生した電流の出力を測定することにより、タンパク質量
を測定することができる。 タンパク質還元性残基 + NiO(OH) → Ni(OH)2 + 酸化タンパク質残基 + ne
【0013】このような機構に基づくこのタンパク質バ
イオセンサを用いてのタンパク質量の測定は、バッチ方
式あるいはFIA方式で行われる。測定に際しては、セ
ンサをセルに装着した後測定装置に組み込み、キャリア
に溶解させた測定サンプル中のタンパク質量、例えば尿
中のヒト血清アルブミン量、グロブリン量等に応答する
出力を測定する。測定温度は、一般に室温乃至約100
℃、好ましくは室温乃至約60℃であり、温度を高めるこ
とによって出力を増加せしめることも可能である。
【0014】用いられるキャリアの組成は、約0.1〜10m
MのNiSO4およびアルカリ性を示す量のNaOHまたはKOHを
溶解させた水溶液からなり、そのアルカリ性の程度はセ
ンサ素子の温度によって変化させ得る。
【0015】即ち、作用極リード電極である白金上に設
けられるタンパク質感応性金属薄膜としてのニッケル薄
膜は、例えば0.1mM NiSO4水溶液含有キャリア液中、室
温条件下ではpH12〜13でNiOOH-種を表層に形成させる。
このNiOOH-種がタンパク質を酸化する際酸化電流を流す
が、このpH範囲内でしかNiOOH-種が形成されないため、
タンパク質に対して定量性のある応答が得られないもの
と推測される。
【0016】ニッケル電極上でのNiOOH-は、 という平衡反応で形成するものと考えられ、この反応の
平衡pH値は温度によって低下させることができる。具体
的には、センサ素子を加熱することにより、より低いア
ルカリ側pH値でたん白活性種であるNiOOH-を電極表面に
形成させることができ、それによってタンパク質に対し
て定量性のある応答を確保することができる。
【0017】具体的には、センサの加熱温度を約30〜35
0℃、好ましくは約50〜300℃とすることにより、タンパ
ク質に対して定量性のある応答をpH13より低い側に漸次
拡大し、例えば300℃ではそのpH範囲を13〜9の範囲迄拡
大することができる。
【0018】用いられるキャリア水溶液中には、約1〜2
000mM、好ましくは約10〜500mMの無機塩化物、好ましく
は塩化カリウムまたは塩化ナトリウムを添加しておくこ
とが望ましい。これらの塩化物は、参照極として用いら
れているAgClの平衡をとり、参照極の電位を安定させ、
それの耐久性を高めるというように作用する。
【0019】実際の測定に際してはFIA方式が用いら
れることが多く、具体的には次のような方法での測定が
行われる。その際、測定サンプル中に含まれるタンパク
質以外の成分による出力の排除が行われる。
【0020】(1)サンプル注入部とセンサとの間に分離
用カラムを設置し、この分離用カラムから先に溶出され
るタンパク質成分量に基づく出力を測定する。
【0021】図2は、かかる測定法のフローシートであ
り、ポンプによってチューブ11中を送られてきたキャリ
アに、手動またはポンプを用いた自動吸引式のサンプル
インジェクタ12から測定サンプルが注入され、分離用カ
ラム13から先に溶出されるタンパク質成分の量に基づく
出力をセンサ14によって測定している。
【0022】測定サンプル中に含まれるタンパク質以外
の成分としては、例えば測定物質が尿、血液、発酵培養
液などの場合には、アミノ酸、グルコース、尿素、尿
酸、アンモニア、クレアチニン、アスコルビン酸等の多
種類の電極活物質が含まれており、これらの物質がタン
パク質と共に混在していると、このセンサでの選択的測
定は困難である。
【0023】これらの他の物質の選択的除去のために、
これらを選択的に分離させる分離用カラムが用いられ
る。このような分離用カラムの充填剤としては、混在す
る物質の種類に応じて、デキストランゲル、アクリルア
ミドゲル、ハイドロンゲル、バイコールガラス、ポーラ
スシリカ、スチレンゲル等のゲルクロマトグラフィー用
充填剤;シリカ系イオン交換体、高分子系イオン交換樹
脂等のイオン交換性充填剤;ペリキュラー型、ゲル型、
ポーラス型等の吸着分配用充填剤;シリカゲルやポーラ
スポリマーに特定の酵素や抗体を固定化させたアフィニ
ティクロマトグラフィー用充填剤;表面に同時にしかも
一定の規則性で親油性部分および親水性部分を有するミ
クロドメイン構造を有する充填剤などが用いられる。
【0024】そして、例えば分離用カラムにゲルクロマ
トグラフィー用充填剤を用いた場合には、タンパク質と
それ以外の物質が混在する測定サンプルを分離用カラム
に注入した場合、高分子量を有するタンパク質成分のみ
が先に溶出され、低分子量の他の物質は一旦吸着され、
後に溶出されるので、先に溶出されたものについての出
力をセンサで測定すれば、それがタンパク質量に対応す
ることになる。他の充填剤を用いた場合も、同様であ
る。
【0025】出力は、アルカリ性の程度が高い程高めら
れるが、分離用カラムに充填される充填剤の種類によっ
ては、アルカリ性に耐えられないものもある。あるい
は、センサでの測定液のpHを更に高めることが望まれる
場合もある。このような場合には、例えばpH5〜12の状
態で溶出してきたタンパク質の溶出液に、更にpHの高い
キャリアをポンプを用いてチューブ15からミキシング部
16に送り、混合するようなことも行われ、そのフローシ
ートが図3に示されている。
【0026】(2)タンパク質の分子量以下の分画分子量
を有する分離膜に測定サンプルを通し、分離膜から溶出
されるタンパク質以外の成分に基づく出力を測定し、サ
ンプル全体について測定された出力から前記出力を控除
して、タンパク質量に基づく出力とする。
【0027】図4は、かかる測定法のフローシートであ
り、ポンプによってチューブ11中を送られてきたキャリ
アにサンプルインジェクタ12から測定サンプルが注入さ
れ、バルブ17によって分離膜18に送られた後、バルブ19
によってセンサ14に送られ、まずそこでの出力測定が行
われる。この出力は、タンパク質以外の成分に基づくも
のである。次いで、バルブ17および19を切り換え、分離
膜18を通らず、チューブ20を通った測定サンプルについ
て、センサ14での出力を測定し、この出力から前記出力
を控除することによって、測定サンプル中に含まれるタ
ンパク質量に基づく出力とすることができる。
【0028】分離膜としては、ポリスルホン、銅アンモ
ニアセルロース、脱酢酸セルロースアセテート、アクリ
ロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん
化物、芳香族ポリアミド、カーボネート-エチレンオキ
シド共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、
ポリプロピレン、セラミックス等の平膜状、中空糸状、
チューブ状、スパイラル状などの多孔質体よりなる精密
ロ過膜や限外ロ過膜などが用いられる。これらの分離膜
は、例えば分子量約70000のヒト血清アルブミンを含有
する測定サンプルについていえば、それ以下の分画分子
量、例えば分画分子量約50000のものを用いることによ
り、ヒト血清アルブミンは透過させず、分子量約50000
以下の物質のみを透過させる。
【0029】用いられた分離膜は、多数回の使用により
目詰りを起こすようになるので、その際あるいはそうな
る以前に、ポンプによってチューブ21からの洗浄液、好
ましくはキャリアと同じpHの洗浄液を分離膜18に送り、
チューブ22から排出させる逆洗操作を行うことが好まし
い。
【0030】図5は、測定サンプルの出力からタンパク
質以外の成分に基づく出力を控除することによって、タ
ンパク質量に基づく出力を求めんとする測定法の他の態
様のフローシートである。この態様においては、測定サ
ンプルの出力をセンサ14で測定した後分離膜18を通し、
分離膜18から溶出したタンパク質以外の成分に基づく出
力の測定がセンサ14´で行われ、その出力差がタンパク
質量に基づくものとして求められる。なお、分離膜18の
逆洗操作は、図4の場合と同様に行われる。
【0031】(3)タンパク質の分子量以下の分画分子量
を有する分離膜に測定サンプルを通し、分離膜からタン
パク質以外の成分を溶出させた後、分離膜に保持された
タンパク質を逆洗し、その逆洗溶出液について出力を測
定する。
【0032】図6にフローシートが示されるこの測定法
では、タンパク質の分子量以下の分画分子量を有する分
離膜に測定サンプルを通し、分離膜からタンパク質以外
の成分を溶出させる迄は、前記(2)の測定法と同じ操作
が行われ、溶出液はバルブ25およびチューブ26から排出
される。その後、保持されたタンパク質の逆洗が行わ
れ、この際分離膜の目詰り防止の効果も期待される。
【0033】逆洗は、測定サンプル調製に用いられたキ
ャリアと同等あるいはそれ以上のアルカリ側pHを示すキ
ャリアをチューブ23およびバルブ24から分離膜18中に供
給し、その逆洗溶出液はバルブ17からチューブ27に送ら
れ、センサ14でのタンパク質量に基づく出力の測定が行
われる。
【0034】更に、これらのFIA方式において、測定
に先立ってニッケル薄膜をタンパク質水溶液またはアミ
ノ酸水溶液で前処理しておくと、良好な再現性の得られ
ることが判明した。このことに関しては、原理的には次
のようなことが考えられる。タンパク質またはアミノ酸
の活性種であるNiOOHは、Niの表面に積み重なるように
形成されており、中でも最も表面側のNiOOHはその質お
よび量が経時的に変化するものと思われる。そこで、こ
のように不安定なNiOOHを測定開始前に比較的高濃度の
タンパク質水溶液あるいはアミノ酸水溶液と反応させ、
質的および量的に均一なものとすることにより、検量性
や再現性を改善することができたものと考えられる。
【0035】ここで、タンパク質水溶液としては例えば
ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン等が、またア
ミノ酸としては例えばグリシン、ロイシン等が約50〜10
00mg/dl、好ましくは約300〜700mg/dlの高濃度水溶液と
して用いられる。これらの水溶液は、pHを約4〜1
3、好ましくは約5〜8に調整した上で、約5〜500μ
l、好ましくは約50〜200μlが、サンプル測定前のセル
内に注入することによって用いられる。
【0036】
【発明の効果】本発明に係るタンパク質バイオセンサ
は、絶縁性基板上に形成された作用極、対極および参照
極の内の作用極リード電極上に、ニッケル薄膜を形成さ
せるだけであるので、構成が簡単であり、そのため小型
化が可能であって、製作も容易であり、更にバッチ方
式、FIA方式のいずれでも、操作を簡単にしかもタン
パク質の選択的な検出を行うことを可能とする。特に、
FIA方式では、測定に先立って、ニッケル薄膜をタン
パク質またはアミノ酸の水溶液で前処理しておくと、そ
の出力の経時的な変化、ひいては検量性や再現性の低下
を有効に防止することができる。
【0037】また、参照極リード電極上に形成させた銀
/塩化銀電極は、測定サンプルの調製のために用いられ
るキャリア中に塩化カリウム、塩化ナトリウム等の無機
塩化物が添加されているため、AgClの解離平衡が保た
れ、電位が安定化されるため、その耐久性が高められる
という効果が奏せられる。この際に印加される電位は、
約0.01〜0.6V、好ましくは約0.1〜0.5Vである。従っ
て、このタンパク質バイオセンサは、腎臓の機能評価の
指標となるタンパク質量、特に尿タンパク質量の測定に
容易に用いることができ、家庭内でのセルフケア(便器
着用タイプの尿タンパク質センサ用途など)、集団検診
時の尿タンパク質診断、臨床検査などに広く用いること
ができる。
【0038】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0039】実施例1 アルミナ基板(京セラ製品A-493)上に、図1に示される
如き形状の白金対極、白金作用極リード電極および白金
参照極リード電極を、いずれも4000Åの膜厚で蒸着法に
より形成させた。次いで、参照極リード電極上にスクリ
ーン印刷法で銀ペーストを印刷し、焼成して銀電極とし
た。この銀電極部分を0.1M塩酸中に浸漬し、0.6mA/cm2
の電流密度で20分間の定電流電解を行い、参照極リード
電極表面を塩化銀化した。この定電流電解には、ポテン
ショガルバノスタット(北斗電工製HA-501)が用いられ
た。
【0040】その後、メタルマスクでマスキングして、
作用極リード電極の上部に膜厚4000Åのニッケル薄膜
を、スパッタリング法によって形成させた。更に、スク
リーン印刷法によって、所定部位にシリコーン樹脂をス
クリーン印刷し、絶縁膜を形成させた。
【0041】このようにして製作されたセンサをセルに
装着した後、FIA測定装置に組み込み、尿タンパク質
の主成分であるヒト血清アルブミンに対する応答性を測
定した。測定には、電流検出計(B. A. S. 社製LC-4B)が
用いられた。サンプルは、0.1mM NiSO4および0.1M NaOH
に50mMのKClを加えたpH13.0のキャリアの溶液で調製さ
れた。測定は、次の条件に従って行われた。 サンプルインジェクタとセンサ間の距離:1m センサセル容量:28μl サンプル注入量:100μl 使用チューブ:テフロン製、内径0.8mm、外径1/16イン
チ 流速:1.4ml/分 作用極vs.参照極の印加電圧:0.4V
【0042】ヒト血清アルブミン濃度10mg/dl、50mg/dl
または100mg/dlに対して、図7のグラフに示されるよう
な出力ピークが得られ、タンパク質量の測定が正確に行
えることが分かった。
【0043】実施例2 実施例1で製作されたセルを用い、図2に示されるFI
A方式での測定が、電流検出計(LC-4B)を用いて行われ
た。分離用カラムには、ゲルクロマトグラフィー用充填
剤が、また測定サンプルとしては、濃度10mg/dl、50mg/
dlまたは100mg/dlのヒト血清アルブミンにそれぞれ100m
g/dlのグリシンを混合し、キャリア溶液で調製されたも
のが用いられた。ただし、実施例1と同様組成のキャリ
アは、pH12.0のものが用いられた。測定は、次の条件に
従って行われた。 サンプルインジェクタと分離用カラム間の距離:1m 分離用カラムとセンサ間の距離:1m センサセル容量:28μl サンプル注入量:100μl 使用チューブ:テフロン製、内径0.8mm、外径1/16イン
チ 流速:1.4ml/分 作用極vs.参照極の印加電圧:0.4V
【0044】センサによる出力の測定では、分離用カラ
ムにおける保持時間の異なる2種のピークが認められ
た。この内、先に溶出してきた溶出物がヒト血清アルブ
ミンであって、そのピークをプロットすると図8に示さ
れるような検量線が得られた。
【0045】実施例3 実施例2において、図3に示されるFIA方式での測定
が行われた。即ち、分離用カラムからの先の溶出液(pH1
2.0)にそれよりも強アルカリ性のキャリアがミキシング
部(分離用カラムとミキシング部間距離50cm、ミキシン
グ部とセンサ間距離50cm)で混合され、そのpHを13.0と
した後、センサでの出力測定が行われた。そのピークを
プロットすると、図8に示されるような検量線が得ら
れ、出力の増加が認められた。
【0046】実施例4 実施例1で製作されたセルを用い、図4に示されるFI
A方式での測定が、電流検出計(LC-4B)を用いて行われ
た。分離膜には、分画分子量15000のポリスルホン中空
糸膜が、また測定サンプルとしては、濃度10mg/dl、50m
g/dlまたは100mg/dlのヒト血清アルブミンにそれぞれ10
0mg/dlのグリシンを混合し、キャリア溶液で調製された
ものが用いられた。ただし、実施例1と同様組成のキャ
リアは、pH13.0のものが用いられた。測定条件は、実施
例2と同様である。
【0047】測定に際しては、まず測定サンプルを分離
膜に通し、分離膜からの溶出液(グリシン溶液)について
の出力(出力)を測定した後、分離膜を通さない測定サ
ンプルについての出力(出力)を測定し、その出力差
(出力−出力)をヒト血清アルブミン(HSA)濃度につ
いてプロットすると、図9のグラフに示されるような検
量線が得られた。
【0048】なお、プロットされた出力差は次のデータ
ーから算出された。 測定サンプル 出力(nA) 出力(nA) 出力差(nA) 10mg/dlグリシン 485 488 3 〃 +10mg/dl HSA 488 563 75 〃 +50mg/dl HSA 484 904 420 〃 +100mg/dl HSA 486 1319 833
【0049】実施例5 実施例4において、測定サンプル(ただし、pH7.0のキャ
リア溶液)を分離膜(サンプルインジェクタと分離膜間の
距離1m、分離膜とセンサ間の距離2m)に通し、分膜膜か
らの溶出液を除去した後、pH13.0のキャリアよりなる逆
洗液で分離膜に保持されたタンパク質を逆洗し、その逆
洗溶出液について出力を測定すると、図10のグラフに
示されるような検量線が得られた。
【0050】実施例6 実施例1で製作されたセンサをセルに装着した後、FI
A測定装置に組み込み、タンパク質であるヒト血清アル
ブミンの水溶液に対する応答性を測定した。測定は、0.
1mM NiSO4水溶液および50mMのKClにNaOHを加え、pHを
8,9,10,11,12または13に調節した水溶液よりなるキ
ャリア溶液をサンプルとして、電流検出計(LC-4B)を用
いて、次の測定条件に従って行われた。 サンプルインジェクタとセンサ間の距離:1m センサセル容量:30μl サンプル注入量:10μl 使用チューブ:テフロン製、内径0.8mm、外径1/16イン
チ 流速:1.4ml/分 作用極vs.参照極の印加電圧:0.4V センサ素子温度:25℃、60℃または300℃
【0051】ヒト血清アルブミン濃度10mg/dl、20mg/d
l、50mg/dlまたは100mg/dlに対して、図11(25℃)、図
12(60℃)または図13(300℃)のグラフに示されるよ
うな検量線が得られた。この結果から、センサ温度25℃
ではpH12〜13で、60℃ではpH11〜13で、また300℃ではp
H9〜13で濃度に比例した出力電力が得られ、即ちこのよ
うなpH範囲でタンパク質量の測定が正確に行えることが
分かる。
【0052】実施例7 実施例1で製作されたセンサをセルに装着した後、FI
A測定装置に組み込み、濃度500mg/dlのヒト血清アルブ
ミン水溶液(pH6.0)100μlを、サンプル測定前にセル内
に注入することにより、タンパク質感応性ニッケル薄膜
と接触させた。このヒト血清アルブミン水溶液はチュー
ブ中を流れるキャリア水溶液(0.1mM NiSO4、0.1M NaO
H、50mM KCl;pH 13.0)によって除去される。
【0053】以上のような前処理を行った後、次のよう
な条件下で、pH 6.0の水で調製された各種濃度のヒト血
清アルブミン水溶液に対する応答性を、電流検出計(LC-
4B)を用いて測定を行った。 サンプルインジェクタとセンサ間の距離:1m センサセル容量:50μl サンプル注入量:100μl 使用チューブ:テフロン製、内径0.8mm、外径1/16イン
チ 測定温度:40℃ 流速:1.4ml/分 作用極vs.参照極の印加電圧:0.4V 終夜条件:0.4V 電源 ON、キャリアポンプ OFF
【0054】ヒト血清アルブミン濃度0、10、25、50、7
5または100mg/dlに対しては、図14のグラフに示される
ような検量性(A)が得られた。また、測定初日から30
日後に再び濃度500mg/dlのヒト血清アルブミン水溶液に
よる前処理を行い、(A)と同様に測定を行ったときの
検量性(B)、および(B)の操作後、再度前処理を行
うことなく測定を繰り返して行ったときの検量性(C)
を求めたが、いずれも(A)の測定値と比べて大きな変
化はみられず良好であった。このとき、50mg/dlのヒト
血清アルブミン水溶液に対する応答値の再現性につい
て、下記式を用いて変動係数を求めたところ、2.0%(n=1
0)であった。 変動係数(C.V.値)=標準偏差/平均値 ×100(%) なお、タンパク質感応性ニッケル薄膜を前処理する操作
を行わない場合の変動係数は、6.6%(n=10)であった。
【0055】実施例8 実施例1で製作されたセンサをセルに装着した後、FI
A測定装置に組み込み、濃度500mg/dlのグリシン水溶液
(pH6.0)100μlを用いて、実施例7と同様に前処理およ
び測定を行った。
【0056】検量性は、初期および30日後共に、ヒト血
清アルブミン濃度0〜100mg/dlの範囲で求めた。この結
果から、実施例7と同様に、ヒト血清アルブミン濃度50
mg/dlにおける再現性について検討を行ったところ、変
動係数は2.2%(n=10)であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタンパク質バイオセンサの一態様
の平面図である。
【図2】本発明測定方法の第1の態様のフローシートで
ある。
【図3】第1の測定方法の変形した態様のフローシート
である。
【図4】本発明測定方法の第2の態様のフローシートで
ある。
【図5】第2の測定方法の変形した態様のフローシート
である。
【図6】本発明測定方法の第3の態様のフローシートで
ある。
【図7】実施例1における測定結果を示す検量線グラフ
である。
【図8】実施例2〜3における測定結果を示す検量線グ
ラフである。
【図9】実施例4における測定結果を示す検量線グラフ
である。
【図10】実施例5における測定結果を示す検量線グラ
フである。
【図11】実施例6において、センサ素子温度25℃での
測定結果を示す検量線グラフである。
【図12】実施例6において、センサ素子温度60℃での
測定結果を示す検量線グラフである。
【図13】実施例6において、センサ素子温度300℃で
の測定結果を示す検量線グラフである。
【図14】実施例7で得られた検量線グラフである。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 作用極リード電極 3 対極 4 参照極リード電極 5 ニッケル薄膜 6 銀/塩化銀電極 12 サンプルインジェクタ 13 分離用カラム 14,14´ センサ 18 分離膜
フロントページの続き (72)発明者 内田 慎一 神奈川県藤沢市辻堂新町4−3−1 エ ヌオ−ケ−株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−242054(JP,A) 特開 平5−203608(JP,A) 特開 昭59−34882(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 - 27/49

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上に作用極、対極および参照
    極を設けたバイオセンサにおいて、作用極リード電極上
    にはニッケル薄膜を、また参照極リード電極上には銀/
    塩化銀電極をそれぞれ設けてなるタンパク質バイオセン
    サ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のタンパク質バイオセンサ
    を用いてタンパク質量を測定するに際し、無機塩化物を
    溶解させたキャリアが用いられることを特徴とするタン
    パク質量の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のタンパク質バイオセンサ
    を用いてタンパク質量を測定するに際し、約30〜350℃
    に加熱されたタンパク質バイオセンサが用いられること
    を特徴とするタンパク質量の測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のタンパク質バイオセンサ
    を用いてタンパク質をフロー・インジェクション・アナ
    リシス方式で測定するに際し、サンプル注入部とセンサ
    との間に分離用カラムを設置し、該分離用カラムから先
    に溶出されるタンパク質成分量に基づく出力を測定する
    ことを特徴とするタンパク質量の測定方法。
  5. 【請求項5】 分離用カラムからの溶出液のpHをよりア
    ルカリ性にした後、タンパク質成分量に基づく出力を測
    定することを特徴とする請求項4記載のタンパク質量の
    測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のタンパク質バイオセンサ
    を用いてタンパク質をフロー・インジェクション・アナ
    リシス方式で測定するに際し、タンパク質の分子量以下
    の分画分子量を有する分離膜に測定サンプルを通し、分
    離膜から溶出されるタンパク質以外の成分に基づく出力
    を測定し、サンプル全体について測定された出力から前
    記出力を控除して、タンパク質量に基づく出力とするこ
    とを特徴とするタンパク質量の測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のタンパク質バイオセンサ
    を用いてタンパク質をフロー・インジェクション・アナ
    リシス方式で測定するに際し、タンパク質の分子量以下
    の分画分子量を有する分離膜に測定サンプルを通し、分
    離膜からタンパク質以外の成分を溶出させた後、分離膜
    に保持されたタンパク質を逆洗し、その逆洗溶出液につ
    いて出力を測定することを特徴とするタンパク質量の測
    定方法。
  8. 【請求項8】 無機塩化物を溶解させたキャリアを用い
    てセンサでの出力測定が行われる請求項4、5、6また
    は7記載のタンパク質量の測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のタンパク質バイオセンサ
    を用いてタンパク質をフロー・インジェクション・アナ
    リシス方式で測定するに際し、測定に先立ってニッケル
    薄膜をタンパク質水溶液またはアミノ酸水溶液で前処理
    することを特徴とするタンパク質量の測定方法。
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