JP2008209219A - フィルム電極及び該フィルム電極を用いた低侵襲センサ - Google Patents

フィルム電極及び該フィルム電極を用いた低侵襲センサ Download PDF

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Abstract

【課題】生体内に留置することが可能で、低侵襲で、長期的、連続的に生体内の生体分子濃度を測定可能なセンサを提供する。
【解決手段】各電極が設けられた面を内側に湾曲可能なしたフィルム電極を完成し、さらに該フィルムを用いる低侵襲針型生体内センサの構築に成功し、生体内に長期的に留置しても生体分子を測定可能なセンサの提供を可能にした。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム電極の作製方法及び該フィルム電極の作製方法で得られたフィルム電極を用いた低侵襲センサ特に針型センサに関する。該センサは、針型構造による微小化により、生体内に留置可能であり、低侵襲で、長期的、連続的に生体内の生体分子濃度を測定することができる。
糖尿病は、一旦発症すると現在の医療技術では完治するのは不可能であり、患者は一生の間、自己血糖測定器と呼ばれる採血式の携帯機器で毎日血糖値 (グルコース濃度)を測定し、インスリン量、食事量や運動量をコントロールしなければならない。体に全く傷をつけない非侵襲式の血糖測定器は、米国などを中心に過去30年にわたって研究され、その開発にしのぎを削っているが、いまだに実現されていない。最近では、むしろ生体内に留置したり埋め込んだりして長期的に機能するセンサのほうが、実現可能性が高いと考えられ始めている。
本発明者らは、先に遺伝子組換え細胞を用いた「体液成分検出デバイス及び体液成分検出システム」(特許文献1) を出願している。また、低侵襲センサの先行技術であるミニメドCGMS (MiniMed Continuous Glucose Monitoring System) と呼ばれる携帯式の探針血糖測定器 (メドトロニック社 (Medtronic Inc., 米国) )では、遺伝子組換え細胞やフィルム電極を使用しておらず、センサの長寿命化、及び小型化が十分図られていない。
なお、体内に埋設可能なヘッドをもつセンサ(特許文献2)、白金、銀等を用いる電極(特許文献3)は知られている。
また、フィルム基板を用いたバイオセンサについても知られている(特許文献4、非特許文献1)。特許文献4では、柔軟性を有するフィルム基板を用いる電極式バイオセンサについて開示している。しかし、フィルム電極の作製方法の詳細が記載されていない。また、生体内で長期的に安定的に使用可能であるフィルム基板の作製が困難である状況である。
特開2005-230521 特表2005-525834 特開平6-229970 特開2006-275923 Electrochemistry(電気化学および工業物理化学), 74, 128-130 (2006).
本発明の課題は、生体内に留置することが可能で、低侵襲で、長期的、連続的に生体内の生体分子濃度を測定するために必要な強固な密着性と高い導電性を併せ持つフィルム電極の作製方法を提供することである。さらに、該作製方法から得られたフィルム電極を使用した低侵襲センサも提供しようとするものである。
例えば、蚊が一回に吸う血液量は、多くて3マイクロリットルほどであり、痛みを感じる間もなく血を吸われてしまう。本発明の低侵襲センサは、糖尿病患者の肉体的・精神的な苦痛を和らげるために、蚊の10分の1以下である0.1マイクロリットルの血液があれば血糖値を分析でき、痛みを感じない (低侵襲) 血糖測定器を提供するものである。
本発明者らは、まず生体内留置用センサに用いるフィルム電極の改良を検討した。本発明のフィルム電極は、柔軟性あるフィルムを基板とし、形状変化特に各電極が設けられた面を内側に湾曲可能なフィルム電極の作製に成功した。さらに、該フィルム電極では、金属薄膜層とフィルム電極間は強固な密着性を有し、さらに高い伝導性を併せ持つ。
そして、各電極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極を使用し、分子認識に利用されるタンパク質 (例えば、酵素や抗体、以下、分子認識タンパク質という)又は該タンパク質を生産可能な遺伝子組換体をセンサ本体と半透膜で覆われている反応槽に導入した低侵襲生体内センサの構築に成功し、生体内に長期的に留置しても生体分子を測定可能なセンサの提供を可能にした。
つまり本発明は以下からなる;
「1.フィルム基板上の各電極の構築部以外の部分をマスク処理し、次いでマスク部を含める前記フィルム基板全面に金属薄膜層を蒸着法、スパッタ法、溶射法、電解メッキ法、又は無電解メッキ法で作製し、その後マスク部のマスク部材及びマスク部材上の金属を除去することを含む前記各電極が設けられた面を内側に湾曲可能なフィルム電極の作製方法。
2.マスク処理、マスク部材及びマスク部材上の金属を除去する方法が以下のいずれか1から選択される前項1に記載のフィルム電極の作製方法;
1)ゼログラフィー法によってトナーを前記フィルム基板上に印刷することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に有機溶媒により前記トナーを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法、
2)インクジェット法によって水溶性インクを前記フィルム基板上に印刷することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法、
3)XYプロッターによって水溶性もしくは油性インクを前記フィルム基板上に描画することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水もしくは有機溶媒により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法、
4)昇華転写法によって水溶性もしくは油性インクを前記フィルム基板上に描画することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水もしくは有機溶媒により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法。
3.前記各電極が、作用極及び対極、又は作用極、対極及び参照極である前項1又は2に記載のフィルム電極の作製方法。
4.前記基板に接する面から、Cr、Au、Pt、Agの順に金属薄膜層を積層する前項1〜3のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法。
5.前記フィルム基板を電解質溶液に浸入させ、作用極及び対極に酸化的電流を通電することにより前記作用極及び前記対極の表層のAg層のみを選択的に除去し、前記作用極と前記対極の表面をPt層にする前項4に記載のフィルム電極の作製方法。
6.前記フィルム基板をClイオン含有電解質溶液に浸入させ、参照極に酸化的電流を通電することにより、前記参照極の表面を通電量に応じてAgClにする前項4又は5に記載のフィルム電極の作製方法。
7.前記フィルム基板の表面が凸凹処理加工された基板を用いる前項1〜6のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法。
8.前記フィルム基板が、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン又はフッ素樹脂のいずれか1から選ばれる前項1〜7のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法。
9.前項1〜8のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法から得られたフィルム電極。
10.作用極と対極の表面金属層がPt層である前項9に記載のフィルム電極。
11.前記作用極と前記対極は、前記基板に接する面から、Cr、Au、Ptの順に薄膜層が積層している前項9又は10に記載のフィルム電極。
12.参照極の表面薄膜層がAg/AgCl層である前項9〜11のいずれか1に記載のフィルム電極。
13.前記参照極は、前記基板に接する面から、Cr、Au、Pt、Ag/AgClの順に薄膜層が積層している前項9〜12のいずれか1に記載のフィルム電極。
14.前項9〜13のいずれか1に記載の各電極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極が電極ホルダに挿入されており、前記電極ホルダはセンサ本体に装填されており、さらに、前記センサ本体の端部は透過膜で覆われている針型バイオセンサ。
15.作用極及び対極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極が電極ホルダに挿入されており、前記電極ホルダはセンサ本体に装填されており、さらに、前記センサ本体の端部は透過膜で覆われている針型バイオセンサ。
16.前記センサ本体と前記透析膜で覆われている空間を反応槽とし、該反応槽に分子認識タンパク質が存在し、生体内留置を可能とする前項14又は15に記載の生体内針型バイオセンサ。
17.前記センサ本体と前記透析膜で覆われている空間を反応槽とし、該反応槽に遺伝子組換体が存在し、生体内留置を可能とする前項14又は15に記載の生体内針型バイオセンサ。
18.前記透析膜は、前記遺伝子組換体又は分子認識タンパク質は透過不可能であるが体液成分は透過可能である前項16又は17に記載の生体内針型バイオセンサ。
19.前記分子認識タンパク質が、グルコースオキシダーゼである前項16又は18に記載の生体内グルコース検出針型バイオセンサ。
20.前記遺伝子組換体が、グルコースオキシダーゼ産生細胞である前項17又は18に記載の生体内グルコース検出針型バイオセンサ。
21.検出したデータを外部へ送信する送信手段を有することを特徴とする前項16〜20のいずれか1に記載の生体内バイオセンサ。」
本発明のフィルム電極の作製方法では、容易に柔軟な基板上に密着性を持つ金属薄膜層と高い伝導性を併せ持つフィルム電極を作製することができる。フィルム電極は、薄いフィルムなので、ハサミやカッターなどでの形状加工が容易である。また、各電極が設けられた面を内側に湾曲してフィルム電極を電極ホルダに挿入するので、フィルム電極の表面積を維持しながらセンサ本体を針形状に微小化したセンサを実現できる。
そして、本発明のセンサは下記の特徴を有する。
1)検出に用いられる分子認識タンパク質が電極に固定化されていないので、通常固定化に使用される生体に有害な化学物質を使用する必要が無く、生体安全性が確保される。
2)センサは透過膜でカバーされているので、生体由来のタンパク質の各電極への吸着による感度の低下が回避される。
3)反応槽に遺伝子組換体が存在する場合には、経時的に失活した分子認識タンパク質は、該遺伝子組換体が産生する分子認識タンパク質によって補われるので、センサの長寿命化が実現される。
(フィルム電極の構成)
本発明のフィルム電極10は、図1に示すように柔軟性を有する基板11に、作用極12、対極13又は作用極12、対極13及び参照極14が金属薄膜層により作製されている。さらに、各電極は、端部にパッド121、131、141を有している。さらに、各パットでは、外部に連結可能な配線又は送信可能な手段の連結が可能である。
本発明において柔軟性があるとは、容易に任意の形に変形可能であり、また切断が可能であることを意味し、例えば要時容易に円筒状に曲げうるようなもの、特に各電極が設けられた面を内側に湾曲可能であることが好ましい。
基板の厚さは、0.03〜0.3mmが一般的である。また、基板の大きさは生体内への留置目的を考慮し、小さなものである限り特に限定はされない。好適なフィルム素材は、ポリエチレンテレフタレートシート(PETシート)が例示されるが、生体内で分解しない安定なプラスチックフィルムであり、柔軟性が確保でき、生体内毒性がなく、溶解・溶出性がない限りポリエチレン(ポリエチレンシート)、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、フッ素樹脂等広く利用できる。
また、各電極の形状は、特に限定されるものではなく、棒状、円弧状、又は同心円状等に設計可能である。さらに、各電極の配置は、図1に示されるような配置に限定されない。
金属薄膜層を上記フィルム基板に積層することにより各電極が形成されている。また、各電極を形成する金属薄膜層は、好適には100nm以上であるが特に限定されない。
各電極の表面金属層、さらには各層の金属種は特に限定されない。しかし、本発明では、作用極と対極の表面金属層がPt(白金)層であることが好ましい。さらに、参照極の表面金属層がAg/AgCl(銀/塩化銀)層であることが好ましい。また、屈曲した状態であっても金属薄膜層の高い伝導率を維持するために、好ましくは金属薄膜を構成する多層膜の1つの層には金(Au)を使用する。
また、フィルム基板とクロム(Cr)、クロム(Cr)と金(Au)、金(Au)と白金(Pt)、白金(Pt)と銀(Ag)、金(Au)と銀(Ag)、フィルム基板と白金(Pt)とは、それぞれ強固な密着力を有する。
よって、本発明の好ましい作用極と対極は、基板に接する面から、Cr、Au、Ptの順に金属薄膜層が積層している。さらには、参照極は、基板に接する面から、Cr、Au、Pt、Ag、AgClの順に薄膜層が積層している。
(フィルム電極の作製方法)
本発明のフィルム電極の作製方法の概要は以下の通りである。
図2に示すように、フィルム基板上の各電極の構築部以外の部分をマスク処理し、次いでマスク部を含める前記フィルム基板全面に金属薄膜層を蒸着法、スパッタ法、溶射法、電解メッキ法、又は無電解メッキ法を単独で使用、もしくは併用することによって作製し、その後マスク部のマスク部材及びマスク部材上の金属を除去する。
また、本発明では、マスク処理、マスク部材及びマスク部材上の金属を除去する方法として以下が例示される。
1)ゼログラフィー法によってトナーを前記フィルム基板上に印刷することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に有機溶媒により前記トナーを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法。
なお、ゼログラフィー法は、自体公知のレーザープリンターによって実行可能である。
2)インクジェット法によって水溶性インクを前記フィルム基板上に印刷することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法。
なお、インクジェット法は、自体公知のインクジェットプリンターによって実行可能である。
3)XYプロッターによって水溶性もしくは油性インクを前記フィルム基板上に描画することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水もしくは有機溶媒に前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法。
4)昇華転写法によって水溶性もしくは油性インクを前記フィルム基板上に描画することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水もしくは有機溶媒に前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法。
なお、昇華転写法は、自体公知の昇華転写プリンタによって実行可能である。
上記2)のインクジェットプリンターでは水溶性インクを使用するので、インク溶解には有機溶媒を使用しないので、環境負荷が少ない。
上記マスク処理による印刷又は描画によって、フィルム基板上に各電極構築部位以外の部分にマスクが形成される。ついで、蒸着法、スパッタ法、溶射法、電解メッキ法、又は無電解メッキ法で金属薄膜層を形成させる。本発明では、蒸着法特に真空蒸着法を用いることが好ましい。
なお、所望により、フィルム基板は、ブラスト処理されたものであることがより好適である。これはブラスト加工するとフィルム基板の実行面積が増え、インク、トナー等とフィルム基板との相互作用する機会が増えるためと考えられる。
加えて、表面に凸凹を有する基板であればブラスト処理されてなくても良い。なお、表面に凸凹を有する基板は、凸凹を有する型によるプレス加工、又は微粒子の表面接着により得ることができる。
本発明の好適なフィルム電極では、作用極と対極に白金(Pt)、参照極に銀/塩化銀(Ag/AgCl)を用いる。しかし、白金(Pt)層は、化学反応に対する安定性が良好な貴金属であるが、そのために化学的あるいは電気化学的なエッチング処理により除去することは困難である。そのため、同一の基板上に白金電極と銀電極を形成するためには、いったん白金(Pt)の上に銀(Ag)を積層した後、電気化学的方法により一部の電極の銀(Ag)のみを選択的にエッチングし除去する必要がある。また、AgCl層は、銀(Ag)の表面に対して電気化学処理を施して表面を塩化銀化させることにより、膜厚の制御が容易でかつ下層の銀(Ag)と密着性が高いものを形成することができる。
よって、本発明のフィルム電極の作製方法では、以下の特徴的な各電極の表面層の作製方法を使用する。
(対極・作用極の銀層溶解方法)
図3に示すように、ポテンシオ/ガルバノスタット(1112型,(株)ビー・エー・エス)の参照極端子に銀塩化銀基準電極(市販品)を、対極端子にPt電極(市販品)を接続する。作用極端子には、フィルム電極においてAgを溶解してPt層を最上層表面にしたい作用極、対極へ接続する。
次に、ビーカーに2%希硝酸をおよそ70ml入れ、その中に各電極の先端部分を2cm浸し、ポテンシオ/ガルバノスタットを用いて+1,000 mV,5s印加し、作用極と対極の表面金属層のAg層を溶解させ、Pt層を表面層とする。
その際、電極表面では次式の反応が生じる。
ビーカーでは、AgとHNO3 が反応しAgNO3として溶解し、沈殿する反応が生じる。その後、電極を蒸留水で洗い流し、エタノールを染み込ませたキムワイプで軽く拭き取り電極の洗浄を行った。
(参照極の銀/塩化銀処理方法)
参照極の表面層を銀/塩化銀(AgCl)層にするために、図4に示すように、ポテンシオスタット/ガルバノスタットの対極端子にPt電極(市販品)を接続し、作用極端子にはフィルム電極のAg電極を接続した。そして,100 mM NaCl溶液を入れたビーカーに、各電極の電極先端部分をおよそ2cm 浸し、ポテンシオ/ガルバノスタットで+100μA,5s 通電し,Ag電極を1/3程AgCl処理する。その際の参照極の表面層では次式の反応が生じる。
上記式の反応により、溶液中のClと反応することで参照極のAg層が酸化され、電極表面層にAgCl層を形成できる。その後、電極を蒸留水で洗い流し、エタノールを染み込ませたキムワイプで軽く拭き取り電極の洗浄を行う。
(電極ホルダ)
本発明の電極ホルダは、各電極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極を挿入可能とするチューブ構造特に好ましくは針型チューブ構造である。さらに、フィルム電極の各電極先端部分側の数mm好ましくは約2mmが電極ホルダから突き抜けている。また、各電極のパッド側も電極ホルダから突き抜けている。また、電極ホルダとフィルム電極の隙間からの水漏れを防ぐために、電極ホルダの両入り口とフィルム電極の隙間にシリコン樹脂を充填する。また、当然に、シリコン樹脂の代わりに公知の接着剤等も利用することができる。
これにより、針形状のフィルム電極を有する電極ホルダを作製することができる(図5参照)。なお、本発明の電極ホルダは、各電極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極を挿入しているので、被測定物質の測定に必要なフィルム電極の表面積を維持しながら微小化可能である。
また、電極ホルダは、例えば、医療等の分野で使用されている高分子材料等を広く用いることができる。具体的には、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
(センサ本体)
本発明のセンサ本体は、電極ホルダを装填可能とするチューブ構造特に針型チューブ構造である。さらに、フィルム電極の各電極先端部分はセンサ本体内に位置し、詳しくは電極ホルダの入り口から数mm好ましくは約5mm中に位置する。また、各電極のパッド側のフィルム電極は、センサ本体から突き抜けている。
センサ本体と電極ホルダの隙間からの水漏れを防ぐために、センサ本体の両入り口とフィルム電極の隙間をOリングでシールする。また、シリコン樹脂を充填することにより水漏れを防ぐことができる。また、当然に公知の接着剤等も利用することができる。
さらに、センサ本体の電極先端部分側の端部を透析膜で覆われている。
これにより、電極ホルダが充填されたセンサ本体を作製することができる(図6参照)。
また、センサ本体は、例えば、医療等の分野で使用されている高分子材料等を広く用いることができる。具体的には、ステンレス、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
加えて、検出された電気信号(量又は変化量)のデータを外部へ送信するための手段を有する。
(低侵襲生体内センサ)
本発明の低侵襲生体内センサでは、センサ本体と透析膜で覆われている空間を反応槽とする。この反応槽に、分子認識タンパク質産生遺伝子組換体又は分子認識タンパク質を導入する。なお、遺伝子組換体又は分子認識タンパク質は、緩衝液等に浸水したセンサ本体の電極のパッド側の端部から導入することができる(図7参照)。これにより、分子認識タンパク質を測定中に生体外からセンサに補充する必要がないので、生体内で留置させることができる。加えて、本発明では、電極フィルムを各電極が設けられた面を内側に湾曲した状態で電極ホルダに挿入されているので、被測定物質の測定に必要なフィルム電極の表面積を維持しながらセンサの大きさの微小化を可能とした。よって、本発明の針型センサを生体内に留置しても人体に与える影響は少ない。
本発明の低侵襲生体内センサでは、好適には目的の分子認識タンパク質を産生する遺伝子組換体を反応槽に導入する。該センサが生体内に留置すると、遺伝子組換体は、半透膜を介して分子認識タンパク質を産生するための原料を生体内から取り込むことができる。よって、本発明の低侵襲生体内センサでは、経時的に失活した分子認識タンパク質が、遺伝子組換体が産生する分子認識タンパク質によって補われるので、センサの長寿命化が実現される。さらに、分子認識タンパク質は、従来のセンサとは異なり、電極に固定する必要がない。これにより、高感度の検出が可能となる。
(低侵襲生体内センサの生体内挿入法)
本発明の低侵襲生体内センサは、周知のシリンジを用いて皮下(生体内)に埋め込まれ、留置される。尚、低侵襲生体内センサを留置する場所は、口の中、まぶたの裏等であってもよい。
(分子認識タンパク質)
本発明の分子認識タンパク質は、被測定物質と反応して電気化学的に活性な分子を生成することができるタンパク質特に酵素を意味する。
例えば、生体内のグルコース濃度を測定する場合には、分子認識タンパク質はグルコースオキシダーゼとなる。
また、生体内のコレステロール濃度を測定する場合には、分子認識タンパク質はコレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとなる。
また、生体内の乳酸濃度を測定する場合には、分子認識タンパク質はラクテートオキシダーゼとなる。
(分子認識タンパク質産生遺伝子組換体)
本発明の分子認識タンパク質産生遺伝子組換体は、上記分子認識タンパク質を反応槽内で自立産生する限りは特に限定されず、生体内安全性が確保できる限り、原核細胞又は真核細胞のいずれも利用することができる。さらに、大腸菌、酵母、枯草菌、動物細胞、ヒト自己細胞由来等広く利用できる。好ましくは酵母、最も好ましくはヒト由来の細胞であるが特には限定されない。
特に、グルコースオキシダーゼ産生遺伝子組換菌は、Aspergillus niger 由来の glucose oxidase gene を酵母 Pichia pastoris X-33 に遺伝子組換えして獲得することができる。詳しくは、NSBI(National Center of Biotechnology Information)の識別番号においてX56443対応する微生物を利用することができる。このX56443は、宿主である大腸菌に対して遺伝子の組換えを行い、グルコースオキシダーゼを産生するようにしたものである。
(透過膜)
本発明で使用する透過膜とは、分子認識タンパク質産生遺伝子組換体例えばグルコースオキシダーゼ産生細胞又は分子認識タンパク質例えばグルコースオキシダーゼの透過を許さず、グルコースを含む体液成分は透過可能である様な性質をもつ。
(測定方法)
本発明の低侵襲生体内センサをシリンジにより皮下(生体内)に埋め込み、該センサを生体内で留置する。
被測定物質は半透膜を介して反応槽に流入する。なお、反応槽では、分子認識タンパク質産生遺伝子組換菌が分子認識タンパク質を産生している。ここで、分子認識タンパク質と被測定物質の反応により、電気化学活性種が生成され、引き続き電極表面にて電気化学的酸化反応が起こり、電流が流れる。なお、電気化学反応による電気信号は、作用極、対極(所望により参照極を含む)によって検出される。なお、電気信号量(電流値)は、生体中の被測定物質濃度に比例する。このようにして得られた電気信号量は、各電極のパッドから検出される。
検出された電気信号量のデータを外部へ送信され、生体外において被測定物質の濃度変化を測定することができる。なお該送信は、前記データをリアルタイムで無線通信可能であり、該送信されたデータを受信可能な受信手段を備えて体外モニタ装置を備えた生体成分検出システムも構築可能である。
さらに、前記体外モニタ装置は、受信した前記データを時間データとともに記録するデータ記録手段を有することも可能である。前記体外モニタ装置は、受信した前記データが異常であるか否かを判断する判断手段と、前記データが異常であると判断した場合に報知する報知手段とを備えることも可能である。
また、本発明の低侵襲生体内センサがグルコース検出センサである場合の測定原理を以下に説明する。
本発明の低侵襲生体内センサ(グルコース検出センサ)を生体内に留置すると、生体液に含まれるグルコース(被測定物質)が透過膜を通過してセンサ内に取り込まれる。これにより、グルコースオキシダーゼ又は遺伝子組換体が産生したグルコースオキシダーゼにより下記の化学反応が行われる。
グルコース濃度の測定原理にはアンペロメトリー式を用いており、ポテンショスタットで作用電極と参照電極の電位差を+0.6[V]に設定すると、以下のような反応が行われる。
グルコースの酸化に伴い、グルコース検出センサに到達する過酸化水素濃度が増加すると出力電流が増加する。すなわち、グルコース検出センサからはグルコース濃度に比例した電流が出力される。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)フィルム電極の作製
基板となるPET(polyethylene telephtalate)フィルム(厚さ50nm)上にレーザープリンター(HP Laser Jet 4LJ Pro)を用いて電極以外の部分にマスクをした。次に、電極材質をフィルム全面に電子ビーム蒸着機(ULVAC製 EBX-8C)にて蒸着した。ポリエチレンシートと金属との密着性を向上するためのクロム (Cr) を5nm、その上層に金属薄膜の導電率を向上するための金 (Au)を40nm、その上層に白金 (Pt) 層40nm、最上層に銀(Ag)層を200nm を蒸着した。
(2)対極・作用極の銀層溶解
フィルム基板の電極以外の部分のマスクを剥離するために、100cc程度のガラス瓶にアセトンと上記(1)のフィルム電極を入れた。次に、そのガラス瓶を超音波洗浄器(本多電子製 W-113, MK-II)に入れ、3〜5分程超音波洗浄しマスクした部分を剥がし落とした。水洗浄のあと、エタノールを染み込ませたキムワイプで軽く電極をこすって汚れを取った。次にAg層の溶解を行った。
ポテンシオ/ガルバノスタット(1112型,(株)ビー・エー・エス)の参照極端子に銀塩化銀基準電極(市販品)を、対極端子にPt電極(市販品)を接続した。作用極端子には、フィルム電極においてAgを溶解してPt層を最上層表面にしたい対極、作用極へ接続した。
次に,ビーカーに2%希硝酸をおよそ70ml入れ、その中に電極先端部分を2cm 浸し、ポテンシオ/ガルバノスタットを用いて+1,000mV,5s印加し,最上層のAg層を溶解させPtを表面に出した。その後、電極を蒸留水で洗い流し、エタノールを染み込ませたキムワイプで軽く拭き取り電極の洗浄を行った。
(3)参照極の銀/塩化銀処理
参照極の塩化銀処理を施した。詳しくは、以下の通りである。
ポテンシオスタット/ガルバノスタットの対極端子にPt電極(市販品)を接続し、作用極端子にはフィルム電極のAg電極を接続した。そして、100mM NaCl溶液70ml を入れたビーカーに、電極先端部分をおよそ2cm 浸し、ポテンシオ/ガルバノスタットで+100μA、5s 通電し、Ag電極を1/3程AgCl処理した。その後、電極を蒸留水で洗い流し、エタノールを染み込ませたキムワイプで軽く拭き取り電極の洗浄を行った。
上記(1)〜(3)の工程により、図2(f)に示すフィルム電極を作製できた。
また、本発明のフィルム電極は、金属薄膜層とフィルム電極間は強固な密着性を有し、さらに高い伝導性を有することができた。
(フィルム電極の改良作製)
上記実施例1ではレーザープリンターを用いてマスクをした。そのために、マスクを剥離するためにはアセトンである有機溶媒を使用した。そこで、廃液による環境負荷を考慮して有機溶媒を使用しないフィルム電極の作製方法を以下に検討した。
表面をブラストしたPETフィルム(厚さ50nm)又は市販のOHPシート(コクヨVF-1、厚さ100nm、PETフィルム基板)の上に、電極のネガパターンをHewlett Packard社製インクジェットプリンタ(HP Deskjet 6122)にて印刷し、インクが乾くまで乾燥処理した。
これらの柔軟性のフィルム基板の上に抵抗加熱式真空蒸着機(日本電子製JEE-4X)によってAgを約200nm蒸着した。
その後、フィルム電極を水に浸しつつ、超音波洗浄機(本多電子製W-113、MK-II)によって超音波処理(10-30分程度)をした。これにより、ブラスト化したPETフィルム上のインクおよびインクの直上のAgはほぼ除去された。一方、OHPフィルム上のインクおよびインク直上のAgは不完全な除去にとどまった。ただし、水を含ませたワイパー(キムワイプ)にて、さらにこすることにより、ほぼ完全に除去できた。
また、表面をブラストしたOHPシート(コクヨVF-1、厚さ100nm、PETフィルム基板)を使用して、Hewlett Packard社製 HP Deskjet 6122のインクジェットプリンタではなく、EPSON社製のEM-930Cのインクジェットプリンタを使用する以外は上記と同様な方法でAgをフィルム基板に蒸着させた。
その後、このフィルム電極を水に浸しつつ、超音波洗浄機(本多電子製W-113、MK-II)によって超音波処理(20分程度)、あるいは水を含ませたキムワイプで軽くこすることにより、インクの直上のAgは除去され、良好なAgパターンが得られた。
以上の3ステップの処理により、PETフィルム上、もしくはOHPシート上に希望の電極パターンが形成された。
以上により、有機溶媒を使用しなくても本発明のフィルム電極を作製することができることを確認した。
(Pt層による金属薄膜層とフィルム基板間の密度強度の確認)
表面をブラスト処理したOHPシート(コクヨVF-1、厚さ100nm、PETフィルム基板)又はPETフィルム(厚さ50nm、ブラスト処理なし)の上に、電極のネガパターンをHewlett Packard社製インクジェットプリンタ(HP Deskjet 6122)にて印刷し、インクが乾くまで乾燥処理した。印刷の状況は良好であった。その後、高周波スパッタ(日電アネルバ株式会社製SPF-210H)によってPtを約50nm形成し、さらに抵抗加熱式真空蒸着機(日本電子製JEE-4X)によってAgを約200nm蒸着した。このフィルム電極を水に浸しつつ、超音波洗浄機(本多電子製W-113、MK-II)によって超音波処理(20分程度)、あるいは水を含ませたキムワイプで軽くこすることにより、インクの直上のPtおよびAg層は除去され、表面をAgとする良好なパターンが得られた。
なお、密着強度は、Ag層のみの金属層と比較して強固であることを確認した。
(電極ホルダの作製)
実施例1で作製した各電極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極を、電極先端部分がピークマイクロチューブから2mm出るようピークマイクロチューブ(φ1.4×1.6、As One Coporation,Japan))に挿入した。水漏れを防ぐため、マイクロチューブ入り口をシリコン樹脂 (Momentive Performance Materials Inc.,Japan)で充填した。図5は、完成した針型電極ホルダを示す。
(センサの作製)
実施例4で作製した電極ホルダを、長さ 56.5mm、内径 1.8mmのステンレス製筐体に挿入した。さらに、ステンレス製筐体とマイクロ電極の間にOリングでシールし、水漏れを防いだ。センサ先端には、透過膜 (スペクトラ/ポア2, MWCO:12,000〜14,000,Spectrum Laboratories Inc.,米国)を貼り付けたキャップを装着した。
図6は、完成した低侵襲針型センサを示す。
(分子認識素子を反応槽に有する針型センサの作製)
実施例5で作製した低侵襲針型センサの反応槽内に、GOD(グルコースオキシダーゼ)活性の総量が10Uとなるように、GOD 231 U/mg (AMANO ENZYME INC.)とリン酸緩衝液 (pH 7) を調製して作製したGOD酵素溶液1000U/dlを10ml封入した。
これにより、グルコースオキシダーゼ含有針型センサを完成した。
(低侵襲針型センサの検量線作製)
低侵襲針型センサの検量線を測定するために、フローインジェクションシステムを用いた(図8)。実施例6で作製したグルコースオキシダーゼ含有低侵襲針型センサは、アクリル樹脂製のフローセル(フローセル内反応室39.25 mm2)に装着した。その反応室の容量は、低侵襲針型センサの差込具合により 39.25〜135 mm3と可変にした。フローインジェクションシステムは、37℃に調整した恒温ボックス内に設置した。
センサの検出電流の測定には、電気化学アナライザー(ALS 832A,(有)エーエルエス)を用いた。作用電極と参照電極の電位差は、+0.6[V]に設定した。送液ポンプ(ALITEA-VX)でリン酸緩衝液 (0 mg/dl) の流速を6.0 ml/minに保った。検出電流が安定したら、切り替え弁を用いてD(+)-Glucose(Wako:041-00595)をリン酸緩衝液に溶解して作製したグルコース標準溶液に切り替えた。この操作を100 mg/dl,200 mg/dlでも繰り返し、複数の濃度で検出電流の測定を行った。
グルコース標準溶液 50 mg/dl,100 mg/dl,200 mg/dlを流した時から検出電流が安定するまでの時間は、それぞれ38分,103分,61分であった (図9)。また、グルコース濃度 50 mg/dl,100 mg/dl,200 mg/dlの増加電流は89.5,180.9,397.3 nA とグルコース濃度に比例して増加した。低侵襲針型酵素センサの検量線は,R2 = 0.996と良好な結果が得られた (図10)。
以上により、本発明の低侵襲針型センサでは、被測定物質特にグルコース濃度を高感度で検出することが可能であることがわかった。
(生体内での低侵襲針型センサの測定)
本発明の侵襲針型センサが生体内で測定可能であることを動物実験(ラット)によって確認した。実験の詳細は以下の通りである。
本実験に用いたラットは8週齢の雌Wister系ラット (SPF) 1匹である。実験日までの飼育状況は、ペパクリーン(日本SLC社)を床敷として敷き、CE-2(日本クレア株式会社)を飼料として与え、ゲージ内で飼育した。
まず、和光一級ジエチルエーテル(和光純薬株式会社)を数ml医療用綿に湿らせガラス容器へ入れた。ラットを該ガラス容器内に入れて蓋をし、ラットに麻酔をかけて鎮静させた。次に、マウスの尻尾にネンブタール注射液ペントバルビタール(大日本住友製薬株式会社)を0.25 ml注射して麻酔した。
腹部を皮下切開し、切断した表皮と筋肉の間にある結合織繊維の中へ実施例6で作製した長さ30 mm、直径 3mm の針型センサの先端 (約5 mm)を腹部に留置した (図11、12)。そのときのグルコースセンサの出力電流値を記録した。電流の測定には電気化学アナライザー (ALS 832A, (有)エーエルエス)を用いた。
比較のために低侵襲酵素センサ挿入の前後におけるラットの血糖値を市販の血糖測定センサで該ラットの尾から計測した。測定した結果は、該挿入前では70 mg/dl、挿入後の3500秒では80 mg/dlであった。
以上により、本発明の低侵襲針型センサの特性を評価できた。
分子認識タンパク質産生遺伝子組換菌を反応槽に有する低侵襲センサの作製
遺伝子組換え細胞は、Aspergillus niger 由来の glucose oxidase gene を酵母Pichia pastoris X-33に遺伝子組換えして獲得したグルコースオキシダーゼ産生細胞を用いた。すなわち、識別番号X56443を実施例6で得られたセンサに導入した(図7参照)。
国際糖尿病連盟による実態調査において、糖尿病患者は、少なく見積もっても日本で50〜70万人、全世界で1.5億人以上いると報告されている。採血式の自己血糖測定器に用いる使い捨て式のセンサチップは、全世界で年間40〜50億個が使用されており、このセンサチップだけで4,000億円市場を形成している。さらに、糖尿病患者数は、年率15%で増加しつつあり、早ければ2010年には3億人に達するとの予測もある。製薬メーカの調査では、糖尿病患者の80%が針の痛みを訴えると報告しており、痛みのない自己血糖測定器への要望は強い。本発明によって、針状のマイクロチップを、ホチキスのような簡単な器具で皮下に留置し、血糖値だけでなく様々な検査項目を自動的に連続計測することも可能となる。
フィルム電極の構成 フィルム電極の作製方法 銀薄膜の溶解処理 参照電極の塩化銀処理。 針型電極ホルダの外観。 低侵襲針型センサの外観 分子認識タンパク質産生遺伝子組換菌を反応槽に有する低侵襲センサ フローインジェクションシステムを用いた検量線の測定系。 グルコース濃度を変化させたときの検出電流の経時変化。 低侵襲針型酵素センサの検量線 生体内での低侵襲針型センサの測定 生体内での低侵襲針型センサの測定(図11の拡大図)
符号の説明
10:フィルム電極
11:フィルム基板
12:作用極
13:対極
14:参照極
121、131、141:パッド
20:電極ホルダ
30:センサ本体
40:透過膜
50:分子認識タンパク質産生遺伝子組換菌
60:反応槽

Claims (21)

  1. フィルム基板上の各電極の構築部以外の部分をマスク処理し、次いでマスク部を含める前記フィルム基板全面に金属薄膜層を蒸着法、スパッタ法、溶射法、電解メッキ法、又は無電解メッキ法で作製し、その後マスク部のマスク部材及びマスク部材上の金属を除去することを含む前記各電極が設けられた面を内側に湾曲可能なフィルム電極の作製方法。
  2. マスク処理、マスク部材及びマスク部材上の金属を除去する方法が以下のいずれか1から選択される請求項1に記載のフィルム電極の作製方法;
    1)ゼログラフィー法によってトナーを前記フィルム基板上に印刷することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に有機溶媒により前記トナーを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法、
    2)インクジェット法によって水溶性インクを前記フィルム基板上に印刷することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法、
    3)XYプロッターによって水溶性もしくは油性インクを前記フィルム基板上に描画することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水もしくは有機溶媒により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法、
    4)昇華転写法によって水溶性もしくは油性インクを前記フィルム基板上に描画することによってマスクを作製し、金属薄膜層を作製した後に水もしくは有機溶媒により前記インクを溶解させることによってマスクおよびその直上の金属薄膜層を除去する方法。
  3. 前記各電極が、作用極及び対極、又は作用極、対極及び参照極である請求項1又は2に記載のフィルム電極の作製方法。
  4. 前記基板に接する面から、Cr、Au、Pt、Agの順に金属薄膜層を積層する請求項1〜3のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法。
  5. 前記フィルム基板を電解質溶液に浸入させ、作用極及び対極に酸化的電流を通電することにより前記作用極及び前記対極の表層のAg層のみを選択的に除去し、前記作用極と前記対極の表面をPt層にする請求項4に記載のフィルム電極の作製方法。
  6. 前記フィルム基板をClイオン含有電解質溶液に浸入させ、参照極に酸化的電流を通電することにより、前記参照極の表面を通電量に応じてAgClにする請求項4又は5に記載のフィルム電極の作製方法。
  7. 前記フィルム基板の表面が凸凹処理加工された基板を用いる請求項1〜6のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法。
  8. 前記フィルム基板が、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリウレタン又はフッ素樹脂のいずれか1から選ばれる請求項1〜7のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1に記載のフィルム電極の作製方法から得られたフィルム電極。
  10. 作用極と対極の表面金属層がPt層である請求項9に記載のフィルム電極。
  11. 前記作用極と前記対極は、前記基板に接する面から、Cr、Au、Ptの順に薄膜層が積層している請求項9又は10に記載のフィルム電極。
  12. 参照極の表面薄膜層がAg/AgCl層である請求項9〜11のいずれか1に記載のフィルム電極。
  13. 前記参照極は、前記基板に接する面から、Cr、Au、Pt、Ag/AgClの順に薄膜層が積層している請求項9〜12のいずれか1に記載のフィルム電極。
  14. 請求項9〜13のいずれか1に記載の各電極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極が電極ホルダに挿入されており、前記電極ホルダはセンサ本体に装填されており、さらに、前記センサ本体の端部は透過膜で覆われている針型バイオセンサ。
  15. 作用極及び対極が設けられた面を内側に湾曲したフィルム電極が電極ホルダに挿入されており、前記電極ホルダはセンサ本体に装填されており、さらに、前記センサ本体の端部は透過膜で覆われている針型バイオセンサ。
  16. 前記センサ本体と前記透析膜で覆われている空間を反応槽とし、該反応槽に分子認識タンパク質が存在し、生体内留置を可能とする請求項14又は15に記載の生体内針型バイオセンサ。
  17. 前記センサ本体と前記透析膜で覆われている空間を反応槽とし、該反応槽に遺伝子組換体が存在し、生体内留置を可能とする請求項14又は15に記載の生体内針型バイオセンサ。
  18. 前記透析膜は、前記遺伝子組換体又は分子認識タンパク質は透過不可能であるが体液成分は透過可能である請求項16又は17に記載の生体内針型バイオセンサ。
  19. 前記分子認識タンパク質が、グルコースオキシダーゼである請求項16又は18に記載の生体内グルコース検出針型バイオセンサ。
  20. 前記遺伝子組換体が、グルコースオキシダーゼ産生細胞である請求項17又は18に記載の生体内グルコース検出針型バイオセンサ。
  21. 検出したデータを外部へ送信する送信手段を有することを特徴とする請求項16〜20のいずれか1に記載の生体内バイオセンサ。
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