JPH0523122Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は寝たきりの老人や病人用の看護品とし
てベツド或いは布団の上で主に頭髪の洗浄用とし
て使用する洗髪器に関する。

（従来技術） 寝たきりの老人や病人の洗髪をする場合、看護
者はこれら臥床者の頭部を一方の手で浮かせなが
ら頭部下方に洗面器類の容器を差し入れた後、他
方の手で洗つていたが、容器に汚れた水が溜つて
しまい何度も水を交換するために容器を差し入れ
する煩わしさがあり、作業し難くベツド、布団、
等濡らさないように注意をはらわなければならな
かつた。又、一方の手で頭部を支え、他方の手で
洗髪、すすぎ、容器に溜つた水の排出、拭き取り
等を行なうのは看護者にとつて重労働であるが、
洗髪される老人や病人にとつても頸部に力が入り
不安定な姿勢のままでいることは非常な苦痛であ
る。そこで空気封入にて形成する馬蹄形状の周壁
と底布からなり、周壁欠除部分から排水自在とし
た容器が使用されたり、傾斜した箱体を背部に挿
入し、この箱体の後部に水槽を取付けた形式の洗
髪器等が提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、前者にあつては空気袋である周
壁に頭部を乗せると凹んでしまい、ここから水が
外部に流れ易くベツドや布団を汚すという問題が
あり、後者は背当り感が悪く又保管に不便であり
コスト高という欠点もあつた。

本考案は使用する寝たきりの老人や病人の頸部
を無理なく支えて苦痛を与えず、頭部を乗せて凹
んだ部分より水が外部に流出する事なく、看護者
が両手にて容易に手早く洗髪でき、しかも小さく
折り畳めて携行、収納、保管に扱い易い洗髪器を
提供することを目的とする。

（問題点を解決する為の手段） すなわち本考案の洗髪器は気密性の柔軟シート
にて形勢した吸排気口２を有する環状気胴１に排
水口４を有する底材シート３を貼設してなる水槽
であつて、前記環状気胴で臥床者の頸部を支える
部分の気胴を、そうでない側の気胴の径に比べて
太径となし且つ該気胴に臥床者の肩部を覆う前垂
れシート５を連設してなるものである。

環状気胴１を形成する素材としては、気密性が
あつて柔軟なシートであれば特に限定するもので
はない。例えば塩化ビニルシート、ゴムシート、
ポリエチレンシート等或いはこれらと編布、ポリ
ウレタンシート等との積層体が使用でき、底材シ
ート３、前垂れシート５も上記素材が使用でき
る。

環状気胴１と底材シート３及び前垂れシート５
との接合方法は接合部より水が洩出しなければ良
く例えば高周波溶着、超音波溶着、熱溶着、一般
的な接着剤による接着等の手段が用いられる。

臥床者の頸部を支える気胴のみを太径とする
が、頸部が気胴に当接した時、頭部が前屈して圧
迫感を覚えない太さであれば良く、15cm程度であ
れば良い。

（作用） 上記手段にて構成した本考案の洗髪器は環状気
胴１を柔軟シートで形成したので、臥床者の頸部
等が当接してもクツシヨン性があつて苦痛を覚え
ず、更に太径とする事で凹んでも頸部から肩口部
への水の越流が防止できる。又、環状気胴１を水
槽の周壁としたので安定性が良く、更に吸排気口
２が設けてあるので排気するとシート状になり折
り畳みが容易となる。更には、底材シート３に排
水口４を設けたので貯水、排水が任意に行なえ、
前垂れシート５は洗髪時に肩部の濡れを防止する
作用がある。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を示す図面に基づき詳
細に説明する。

環状気胴（以下単に気胴と言う）１の内周縁ａ
及び上周縁ｂを形成する中空円形状の塩化ビニル
シートの内縁を底材シート３と気胴１の下周縁ｃ
を形成する一連のシートにウエルダー溶着する。
次いで両シートの外縁を溶着して気胴１と底材シ
ート３を一体に形成する。吸排気口２は任意の位
置に溶着しておき、前垂れシート５も臥床者の頸
部が当接する位置になる様気胴１の内周縁ａにあ
らかじめ溶着しておく。底材シート３には排水口
４を設けるが、この排水口４はこの底材シート３
の中央部付近に設けた凹部側壁に設ける。凹部底
面は傾斜しており、その最下端は気胴１の下周縁
ｃと同じ高さとする。この底材シート３に凹部を
設けなくても良いが、底面が傾斜した凹部を設け
れば水の排出がスムーズに行なえる。また底材シ
ート３を気胴１に傾斜させて構成しても良い。

前垂れシート５の上端は臥床者の頸部が当接す
る気胴１に溶着されているが、着脱自在に設けて
も良い。気胴１に溶着させれば頸部から肩口部へ
の水の越流がより良好に防止できる。この前垂れ
シート５の中央部には頸部が嵌る円形の孔が設け
てあり、この孔と下端間にて左右に２分割されて
おり、この孔の左右で臥床者の両肩部を覆う幅を
有している。この前記２分割された左右端は互い
に上下重なり合い、その重ね合せ部には互いに接
合する面フアスナーが溶着してあり開閉できる様
に構成してある。この重ね合せ部は臥床者の胸部
上方でなくても良く、左右の肩部どちらか一方で
横方向に開閉できる様にしても良い。この時の重
ね合せ部は分割した前垂れシート５の胸部側を下
面とし、肩部側を上面とすることが望ましい。ま
た、水密フアスナーで開閉できる様にしても良
く、重ね合せ部が無くても良い。

上記実施例は臥床者の頸部が当接する太径の気
胴をおおむね直線とし、Ｄ字様の環状気胴とした
例であるが、第３図に示す如く環状気胴を口字様
としても良い。

また第３図に示す載頭ベルト６を設けても良
い。この載頭ベルト６は臥床者の両肩を結ぶ線と
おおむね平行とし気胴を跨ぐ様に設け、一端は底
材シート３の底面に溶着し、他端は面フアスナー
等にて着脱自在とする。この載頭ベルト６を設け
ることにより、頭部をより安定して支えることが
できる。

本考案は臥床者の洗髪用としてのみでなく、局
部、陰部洗浄用として使用できるは勿論である。

（効果） 本考案による洗髪器は軟質シートの環状気胴を
水槽の周壁とし、臥床者の頸部を支える気胴のみ
を太径として構成したので、下記の様な効果が得
られる。

まず第１に、頸部の当接する気胴が太径である
ので、乗せた頭部の重量で気胴が凹んでもこの凹
部より水が越流せず布団、ベツド等を汚さず臥床
者肩口を濡らす心配がない。

第２に、水槽の周壁が軟質シートの環状気胴で
あり、封入気体を排出すれば簡単に折り畳め携
行、収納、保管に便利であり、環状気胴、底材シ
ートが布団、ベツド等の凹凸に追随してフイツト
し安定性が良好である。

第３に、気体を封入した環状気胴は円形断面を
形成するので臥床者の頸部がこの気胴外周面にフ
イツトし、臥床者が無理な姿勢にならずに苦痛を
覚えず、また当接感も良くクツシヨン性も良好で
ある。

第４に、看護者が臥床者の頭を下から支えるこ
とがないので両手が使え、洗髪がスムーズに行な
え、底材シートに排水口が設けてあるので一方の
手で洗髪しながら他方の手で貯水、排水の操作が
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の洗髪器の一実施例を示す平面
図、第２図は第１図Ａ−Ａ線断面図、第３図は本
考案の洗髪器の他の実施例を示す平面図、第４図
は使用状態を説明する説明図である。 １……環状気胴、２……吸排気口、３……底材
シート、４……排水口、５……前垂れシート、６
……載頭ベルト、ａ……内周縁、ｂ……上周縁、
ｃ……下周縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気密性の柔軟シートにて形勢した吸排気口を有
   する環状気胴に排水口を有する底材シートを貼設
   してなる水槽であつて、前記環状気胴で臥床者の
   頸部を支える部分の気胴を、そうでない側の気胴
   の径に比べて太径となし且つ該気胴に臥床者の肩
   部を覆う前垂れシートを連設してなる洗髪器。