JPH05230767A - セルロース繊維含有繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents

セルロース繊維含有繊維構造物及びその製造方法

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JPH05230767A
JPH05230767A JP4061374A JP6137492A JPH05230767A JP H05230767 A JPH05230767 A JP H05230767A JP 4061374 A JP4061374 A JP 4061374A JP 6137492 A JP6137492 A JP 6137492A JP H05230767 A JPH05230767 A JP H05230767A
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JP
Japan
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cellulose
fiber
meth
acrylate
cellulose fiber
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JP4061374A
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Shozo Ota
昌三 太田
Shunzo Abe
俊三 安倍
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は耐久性あるW&W(ウォッシュアン
ドウェア)性を付与し、強度低下の少ないセルロース繊
維含有繊維構造物を提供する。 【構成】 式(イ)で示される(メタ)アクリレート化
合物(A)の反応物およびセルロース用樹脂加工剤
(B)の反応物をセルロース繊維の内部または/および
表面に存在させたセルロース繊維を含有するセルロース
繊維含有繊維構造物および前記(A)および(B)を繊
維構造物に付与後、電子線照射又は蒸熱処理と熱処理に
より前記(A)および(B)を反応させる製造法。 式(イ): 【化3】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性あるW&W(ウォ
ッシュアンドウェア)性を付与した結晶構造がセルロー
ス III型を有するセルロース繊維含有繊維構造物及びそ
の製造法に関するものである。さらに詳しくは従来の樹
脂加工に加え電子線照射または開始剤の存在下で蒸熱処
理によって硬化可能な(メタ)アクリレートモノマー及
びプレポリマーの重合物がセルロースの少なくとも内部
に樹脂加工剤と共存してなるセルロース及びセルロース
含有繊維構造物であり、強度低下が少なく、より耐久性
のあるW&W性を有するセルロース繊維含有繊維構造物
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりセルロース繊維含有繊維構造
物、特にセルロース繊維構造物の製品を使用後繰り返し
洗濯した場合、しわの無いイージーケアな特性、即ちW
&W性が求められている。この要求に対して従来よりセ
ルロース分子鎖間の架橋結合を伴う樹脂加工が行われて
いる。しかしながら乾燥時の防しわ度(DCR)及び湿
潤下の防しわ度(WCR)は未だ十分な値を示すまで至
っておらず、しかもDCR、WCR共に繰り返し洗濯に
よる耐久性も充分とは言えず、結果として充分なW&W
性を得るに至ってないのが現状である。
【0003】WCRを向上させる方法としては、従来よ
り樹脂加工剤にポリエチレングリコールまたはその誘導
体などのセルロース膨潤剤を併用し、非晶部を膨潤した
状態で乾燥、熱処理する方法や、コールドバッチ法、加
熱蒸気による硬化などが提案されているが、前者は乾燥
中の樹脂加工剤のマイグレーションなどによる不均一架
橋により、耐久性、防しわ性能共に不充分で、後2者も
初期の防しわ性能は向上するが耐久性および生産性に問
題があった。
【0004】特に液体アンモニア処理を代表とするセル
ロース III型への結晶変態を伴う前処理はその独特な風
合いから好まれているが樹脂加工の効果が少なく特にW
CRの向上に限界があるのが問題であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は初期W&W性
に優れ、繰り返し洗濯後もその性能を保持する耐久性を
有するセルロース繊維含有繊維構造物の提供であり、し
かも工業的生産性の優れた方法を提供することを目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは耐久性のあ
るW&W性を有し、しかも生産性の高いセルロース繊維
含有繊維構造物及びその製造方法について鋭意研究を重
ねた結果その目的を達成した。
【0007】本発明は従来の樹脂加工法に、電子線照射
又は開始剤の存在下蒸熱処理で硬化可能なアクリレート
またはメタアクリレートのモノマー、プレポリマーを主
として繊維内部に重合充填させることを併用することが
有効なことを見出した。以下(メタ)アクリレートと表
記する場合は、アクリレートとメタアクリレートの両方
を意味する。
【0008】即ち、セルロース III型の結晶構造を有す
るセルロース繊維の内部または/および表面に、一般式
(イ)で示される(メタ)アクリレート化合物(A)の
反応物およびセルロース用樹脂加工剤(B)の反応物と
を含有するセルロース繊維を含有することを特徴とする
セルロース繊維含有繊維構造物である。 一般式(イ):
【0009】
【化2】 (R1 、R2 はH又はCH3 、nは1〜50の整数、R
3 はH又はCH2 C(OH)HCH2 OCOC=CH2
又は炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜17のア
ルキル基置換又は無置換フェニル基、炭素数1〜17の
アルキル基置換又は無置換ナフチル基)
【0010】さらに、前記(A)および(B)の加工剤
の溶液をセルロース III型の結晶構造を有するセルロー
ス繊維含有繊維構造物に付与し、次いで熱処理の前又は
後工程で電子線照射するかまたは開始剤存在下蒸熱処理
することを特徴とするセルロース繊維含有繊維構造物の
製造方法である。
【0011】本発明で使用される一般式(イ)で示され
る電子線照射するかまたは開始剤存在下蒸熱処理で重合
できる化合物としては(メタ)アクリレート化合物であ
る。これらの化合物の具体例としては、エチレングリコ
ールモノグリシジル(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールモノグリシジル(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールモノグリシジル(メタ)アクリレー
ト、ポリ(平均分子量200)エチレングリコールモノ
グリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(平均分子量4
00)エチレングリコールモノグリシジル(メタ)アク
リレート、ポリ(平均分子量600)エチレングリコー
ルモノグリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(平均分
子量1000)エチレングリコールモノグリシジル(メ
タ)アクリレート、などのポリエチレングリコールモノ
グリシジル(メタ)アクリレート類、プロピレングリコ
ールモノグリシジル(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールモノグリシジル(メタ)アクリレート、ト
リプロピレングリコールモノグリシジル(メタ)アクリ
レート、ポリ(平均分子量200又は400又は600
又は1000)プロピレングリコールモノグリシジル
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ
グリシジル(メタ)アクリレート類、メトキシ・エチレ
ングリコールモノグリシジル(メタ)アクリレート、メ
トキシ・ジエチレングリコールモノグリシジル(メタ)
アクリレート、p−メチルフェノキシ・トリエチレング
リコールモノグリシジル(メタ)アクリレート、メトキ
シ・ポリ(平均分子量200)エチレングリコールモノ
グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシ・ポリ(平
均分子量400)エチレングリコールモノグリシジル
(メタ)アクリレート、メトキシ・ポリ(平均分子量6
00)エチレングリコールモノグリシジル(メタ)アク
リレート、メトキシ・ポリ(平均分子量1000)エチ
レングリコールモノグリシジル(メタ)アクリレート、
などの炭素数1〜17のアルコキシ、炭素数1〜17の
アルキル置換又は無置換フェノキシ、炭素数1〜17の
アルキル置換又は無置換ナフトキシポリエチレングリコ
ールモノグリシジル(メタ)アクリレート類、メトキシ
プロピレングリコールモノグリシジル(メタ)アクリレ
ート、メトキシジプロピレングリコールモノグリシジル
(メタ)アクリレート、p−メチルフェノキシトリプロ
ピレングリコールモノグリシジル(メタ)アクリレー
ト、メトキシポリ(平均分子量200又は400又は6
00又は1000)プロピレングリコールモノグリシジ
ル(メタ)アクリレート、などの炭素数1〜17のアル
コキシ、炭素数1〜17のアルキル置換又は無置換フェ
ノキシ、炭素数1〜17のアルキル置換又は無置換ナフ
トキシポリプロピレングリコールモノグリシジル(メ
タ)アクリレート類、エチレングリコールのジグリシジ
ル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールのジグ
リシジル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルのジグリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(平均分
子量200)エチレングリコールのジグリシジル(メ
タ)アクリレート、ポリ(平均分子量400)エチレン
グリコールのジグリシジル(メタ)アクリレート、ポリ
(平均分子量600)エチレングリコールのジグリシジ
ル(メタ)アクリレート、ポリ(平均分子量1000)
エチレングリコールのジグリシジル(メタ)アクリレー
ト、などのポリエチレングリコールジグリシジル(メ
タ)アクリレート類、プロピレングリコールのジグリシ
ジル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールの
ジグリシジル(メタ)アクリレート、トリプロピレング
リコールのジグリシジル(メタ)アクリレート、ポリ
(平均分子量200)プロピレングリコールのジグリシ
ジル(メタ)アクリレート、ポリ(平均分子量400)
プロピレングリコールのジグリシジル(メタ)アクリレ
ート、ポリ(平均分子量600)プロピレングリコール
のジグリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(平均分子
量1000)プロピレングリコールのジグリシジル(メ
タ)アクリレート、などのポリプロピレングリコールジ
グリシジル(メタ)アクリレート類などのモノマーやプ
レポリマーが挙げられる。
【0012】好ましくはn=2〜15のエチレンオキサ
イドあるいは、及びプロピレンオキサイドのジグリシジ
ル(メタ)アクリレートであり、更に好ましくはn=4
〜10のエチレンオキサイドあるいは、及びプロピレン
オキサイドのジグリシジル(メタ)アクリレートであ
る。
【0013】加工処理時の溶液の媒体としては水又は水
と低級アルコールの混合溶媒系でも使用できるが、取り
扱いやすい水系の場合は、電子線照射又は開始剤存在下
で蒸熱処理できる化合物としてエチレンオキサイド(平
均分子量100〜1000)のジグリシジル(メタ)ア
クリレートが特に好ましい。
【0014】これら電子線照射又は開始剤の存在下蒸熱
処理で重合できる化合物の適性は被処理物であるセルロ
ース繊維の非晶部のポアーサイズよりも小さい分子サイ
ズが好ましく、さらに電子線照射の場合は重合速度から
メタアクリレート化合物よりもアクリレート化合物の方
が一般に硬化速度が大きく好ましい。
【0015】(メタ)アクリレート化合物(A)はセル
ロース及びセルロース含有繊維構造物に対して0.1〜
20重量%付与することができるが、好ましくは0.2
〜5重量%であり、更に好ましくは0.2〜2.0重量
%である。
【0016】(メタ)アクリレート化合物(A)の電子
線照射又は開始剤の存在下蒸熱処理による硬化速度を向
上させるためトリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ジペンタエリストリトロールヘキサアクリレートで
代表される脂肪族の多官能アクリレートを(A)の化合
物に対し1〜10重量%添加しても良い。
【0017】蒸熱処理による重合のための開始剤として
は過酸化ベンゾイル、過硫酸カリなどがある。これらは
反応性モノマーまたは/およびプレポリマー及びセルロ
ース用樹脂加工剤溶液中に加えられ、繊維布帛などへ付
与し、熱処理の前又は後に90〜150℃で1〜10分
間蒸熱処理する。開始剤は使用するモノマーまたは/お
よびプレポリマーに対し20重量%以下で使用され、好
ましくは10%以下である。
【0018】本発明で使用されるセルロース樹脂加工剤
としては、ジメチロール尿素、トリメチロールメラミン
及びその部分メチル化物、ジメチロールエチレン尿素、
ヘキサメチロールメラミン及びその部分メチル化物、ジ
メチロールアルキルトリアゾン、メチル化ジメチロール
ウロン、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、ジメ
チロールプロピレン尿素、1,3−ジメチル4,5−ジ
ヒドロキシエチレン尿素、テトラメチロールアセチレン
尿素、ジメチロールブチレン尿素、ジメチロールペンチ
レン尿素、アルキルカーバメイト、1,3−ジメチロー
ル4,6−ジヒドロキシペンチレン尿素、ジメチロール
アクリルアミドやホルマリン、テトラオキサンなどのホ
ルマリン化合物などが挙げられる。好ましくはジメチロ
ールジヒドロキシエチレン尿素、1,3−ジメチル4,
5−ジヒドロキシエチレン尿素である。これら樹脂加工
剤の使用量はセルロース繊維含有繊維構造物に対して1
〜20重量%である。
【0019】本発明で使用できるセルロース用樹脂加工
剤の反応触媒としてはAlCl3 、Al2 (S
4 3 、MgCl2 、Mg(H2 PO4 2 、Zn
(BF4 2 、Mg(BF4 2 、Mg(Cl
4 2 、Al2 (OH)4 Cl2 などの各種金属塩
(結晶水含有も含む)類、各種アルカノールアミンの酸
性塩などがある。これら反応触媒の使用量はセルロース
用樹脂加工剤(B)に対して1〜20重量%である。
【0020】本発明におけるセルロース繊維含有繊維構
造物のW&W性向上は種々の方法で実施できる。典型的
には一般式(イ)で示される電子線照射又は開始剤の存
在下蒸熱処理で硬化可能なモノマー及びプレポリマーで
ある(メタ)アクリレート化合物(A)と該化合物
(A)の重合開始剤とセルロース用樹脂加工剤(B)と
該(B)の硬化触媒の水溶液、又は必要があればメタノ
ール、エタノール、プロパノールなどの低級脂肪族アル
コールと水の混合溶媒、更には界面活性剤を使用したエ
マルジョン状態で加工剤を調整し、セルロース繊維含有
繊維構造物に付与し、その後乾燥するか又は湿潤状態で
(メタ)アクリレート化合物(A)モノマー及びプレポ
リマーを硬化させるため電子線照射又は開始剤の存在下
蒸熱処理し、次いで必要があれば乾燥し、セルロース用
樹脂加工剤(B)を架橋反応させるためキュアーする方
法が採用される。
【0021】また、(メタ)アクリレート化合物
(A)、セルロース用樹脂加工剤(B)などを付与し、
乾燥、キュアーした後、電子線照射又は開始剤の存在下
蒸熱処理する方法などで目的を達成することができる。
【0022】電子線照射はセルロース繊維含有繊維構造
物の強力低下とモノマー及びプレポリマーの重合性を考
慮して0.5〜10Mradで実施されるが好ましくは
0.5〜5Mradで、さらに好ましくは0.5〜3M
radである。
【0023】蒸熱処理は90〜150℃、1〜10分で
実施されるが、好ましくは90〜120℃、1〜10分
で、さらに好ましくは95〜105℃、2〜5分であ
る。
【0024】本発明においては前記加工処理による強力
低下を抑えるために結晶構造がセルロース III型を有す
るセルロース繊維が用いられる。結晶構造がセルロース
III型を有するセルロース繊維において強力低下が小さ
い理由は今の所明らかでない。
【0025】本発明で使用できるセルロース III型の結
晶構造を有するセルロース繊維としては、木綿、麻、亜
麻、パルプ等の天然セルロース繊維、ビスコース法レー
ヨン(ポリノジックレーヨンを含む)、銅アンモニア法
レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維
等の100%セルロース繊維をメチルアミン、エチルア
ミン等の低級アルキルアミンあるいは液体アンモニアで
処理することによって得られるがこれらの方法に限定さ
れるものではない。また苛性ソーダ等のアルカリでシル
ッケト加工を施す前又は/及び後に前記の処理を施して
も構わない。これらの処理はわた、糸、布帛等繊維集合
体を形成するいずれの段階で施してもよい。
【0026】本発明におけるセルロース繊維含有繊維構
造物としては、前記セルロース III型の結晶構造を有す
るセルロース繊維の100%セルロース繊維製品及びこ
れらの混用品、あるいはポリエステル、アクリル、ポリ
アミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維と
の混合品が挙げられる。構造物の形態としては糸、織
物、編物、不織布、紙等が挙げられる。
【0027】
【作用】本発明による電子線照射又は開始剤の存在下で
蒸熱処理で硬化した(メタ)アクリレート化合物(A)
の反応物とセルロース用樹脂加工剤の反応物がセルロー
スの内部または/および表面に存在することによりセル
ロース繊維含有構造物は優れた耐久性を有するW&W性
を示す。またセルロース III型の結晶構造を有するセル
ロース繊維を用いることにより風合いの優れた繊維構造
物が得られ、また電子線照射又は開始剤の存在下で蒸熱
処理による強度低下を低く抑えることができる。
【0028】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではな
い。実施例に先立ち実施例で用いた評価法を示す。
【0029】防しわ性;JIS L−1059 B法
(モンサント法)に於ける乾燥時及び湿潤時のしわ回復
角度(各々DCR、WCRで示す)で評価した。JIS
L−0217 103法により20回洗濯した後のし
わ回復角度により耐久性を評価した。
【0030】抗張力;JIS L−1096 A法(ス
トリップ法)により評価した。kg/2.5cmで表示す
る。
【0031】結晶構造;木綿織物を構成する木綿単繊維
を解き出し、平行な繊維束とした試料を常法に従ってX
線回折法により測定した。セルロースI型とセルロース
II型及びセルロースI型とセルロース III型混合結晶中
のセルロースI型の含量の求め方はRanby,B.G:Acta.Che
m.Scand.,6(1952)p.116 および林ら,北海道大学研究報
告,p.83(1974)に記載の方法によった。
【0032】実施例1 木綿織物を精練漂白後液体アンモニア処理した織物(5
0×50/142×79、100g/m2)を供試料とし
た。この試料のセルロース結晶構造はセルロース III型
が62.6%存在していた。この試料を以下の加工剤を
含有する水系の加工浴に浸漬し60%ピックアップにな
るように絞り、濡れたままで2Mradの電子線照射を
し、次いで120℃×2.5分間乾燥し、150℃×3
分間キュアーした。 加工剤組成 ベッカミン425(大日本インキ社製) 8重量% キャタリストGT(大日本インキ社製) 3重量% エポキシエステル400EA(共栄社油脂化学工業社製) 2重量%
【0033】比較例1 木綿織物に精練漂白後シルッケット加工した織物(50
×50/144×81、102g/m2)を供した以外は
実施例1と同様の処理を施した。この試料のセルロース
結晶には III型は含まれない。
【0034】比較例2 比較例1で用いた木綿織物を以下の加工剤を含有する加
工に浸漬し60%ピックアップになるように絞り、12
0℃×2.5分間乾燥し、150℃×3分間キュアーし
た。 加工剤組成 ベッカミン425(大日本インキ社製) 8重量% キャタリストGT(大日本インキ社製) 3重量%
【0035】比較例3 実施例1で用いた木綿織物を比較例2の方法で処理し
た。
【0036】実施例2 比較例1の木綿織物を液体アンモニア処理した織物(5
0×50/143×80、102g/m2)を供試料とし
た。この試料のセルロース結晶構造はセルロース III型
が47.9%存在していた。この織物に実施例1と同様
の処理を施した。
【0037】実施例3 実施例2で用いた木綿織物を以下の加工剤を含有する加
工で実施例1と同様に処理した。 加工剤組成 ベッカミン425(大日本インキ社製) 7 重量% キャタリストGT(大日本インキ社製) 3 重量% エポキシエステル200EA(共栄社油脂化学工業社製) 2.5重量%
【0038】実施例4 実施例3における処理工程で電子線照射と乾燥の工程を
逆にした工程、即ち加工液に浸漬した後、20℃×2.
5分間乾燥し、次いで2Mradの電子線照射をした
後、150℃×3分間キュアーした。
【0039】比較例4 実施例2で用いた木綿織物を以下の加工剤を含有する加
工で実施例1と同様に処理した。 加工剤組成 ベッカミン425(大日本インキ社製) 7 重量% キャタリストGT(大日本インキ社製) 3 重量% PEG600 3 重量%
【0040】実施例5 実施例2で用いた木綿織物を以下の加工剤を含有する加
工に浸漬し60%ピックアップになるように絞り、濡れ
たままで107℃×10分間蒸熱し、次いで120℃×
2.5分間乾燥し、150℃×3分間キュアーした。 加工剤組成 ベッカミン425(大日本インキ社製) 7 重量% キャタリストGT(大日本インキ社製) 3 重量% エポキシエステル400EA(共栄社油脂化学工業社製) 2.5重量% 過硫酸カリウム 0.2重量%
【0041】比較例5 比較例1で用いた木綿織物を実施例5と同様に処理し
た。
【0042】実施例および比較例で得られた木綿織物の
特性を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の方法により、加工されたセルロ
ース繊維織物は、実施例でも明らかなように初期及び洗
濯後のDCR,WCRともに良好な値を示し、優れた洗
濯耐久性のW&W性を有し、また強度の低下が少ないこ
とが認められる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶構造がセルロース III型の結晶構造
    を有するセルロース繊維の内部または/および表面に一
    般式(イ)で示される(メタ)アクリレート化合物
    (A)の反応物およびセルロース用樹脂加工剤(B)の
    反応物とが存在するセルロース繊維を含有することを特
    徴とするセルロース繊維含有構造物。 一般式(イ): 【化1】 (R1 、R2 はH又はCH3 、nは1〜50の整数、 R3 はH又はCH2 C(OH)HCH2 OCOC
    (R1 )=CH2 又は炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜17のア
    ルキル基置換又は無置換フェニル基、炭素数1〜17の
    アルキル基置換又は無置換ナフチル基)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(メタ)アクリレート化
    合物(A)およびセルロース用樹脂加工剤(B)とを結
    晶構造がセルロース III型を有するセルロース繊維含有
    繊維構造物に付与し、次いで熱処理の前又は後に電子線
    照射又は蒸熱処理することを特徴とするセルロース繊維
    含有繊維構造物の製造方法。
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