JP3233224B2 - セルロース繊維含有繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents

セルロース繊維含有繊維構造物及びその製造方法

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JP3233224B2 JP04237792A JP4237792A JP3233224B2 JP 3233224 B2 JP3233224 B2 JP 3233224B2 JP 04237792 A JP04237792 A JP 04237792A JP 4237792 A JP4237792 A JP 4237792A JP 3233224 B2 JP3233224 B2 JP 3233224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセルロースの微細構造を
考慮した加工設計によりセルロース繊維本来の風合いを
維持し、且つ、耐久性のあるW&W性(ウォッシュアン
ドウェア性)と繊維の機械的特性低下を極力おさえたセ
ルロース繊維含有繊維構造物及びその製造方法に関する
ものである。さらに詳しくはセルロース繊維の非晶部内
部の微細構造に存在する微細孔(以下ポアと略する)に
必要最少量の重合性モノマー又は/およびプレポリマー
の重合物を充填することにより、従来の繊維表面層を樹
脂加工剤で厚く被覆することを避けた衣料用セルロース
繊維含有繊維構造物及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来よりセルロース繊維含有繊維構造
物、特にセルロース繊維構造物の製品を使用後繰り返し
洗濯した場合、しわの無いイージーケアな特性、即ちW
&W性が求められている。この要求に対して従来よりセ
ルロース分子鎖間の架橋結合を伴う樹脂加工が行われて
いる。しかしながら乾燥時の防しわ度(DCR)及び湿
潤時の防しわ度(WCR)は未だ充分な値を示すまで至
っておらず、しかもDCR、WCR共に繰り返し洗濯に
よる耐久性も十分とは言えず、結果として充分なW&W
性を得るに至ってないのが現状である。
【0003】WCRを向上させる方法としては、従来よ
り樹脂加工剤にポリエチレングリコールまたはその誘導
体などのセルロース膨潤剤を併用し、非晶部を膨潤した
状態で乾燥、熱処理する方法や、コールドバッチ法、加
熱蒸気による硬化などが提案されているが、前者は乾燥
中の樹脂加工剤のマイグレーションなどによる不均一架
橋により、耐久性、防しわ性能共に不十分で、後2者も
初期の防しわ性能は向上するが耐久性および生産性に問
題があった。
【0004】更に初期のDCRを向上させる目的でポリ
エチレンのエマルジョン化合物を繊維表面に付着させる
方法なども採用されているが、この方法はDCRの耐久
性が無いばかりか油性汚れに対するSR性も低下すると
いう欠点があった。一方、従来一般的に使用されている
グリオキザール系の樹脂加工剤は多量に使用すればDC
R、WCR共に向上するが風合いの粗硬化と共に著しい
機械特性の低下を伴い実用に耐えないことが知られてい
る。又アクリル系エマルジョン、ポリウレタン系エマル
ジョンなど高分子量重合物の自己乳化型および界面活性
剤乳化型の加工剤は繊維表面上を被覆し、しかもプラス
チックライクな風合いとなりセルロース繊維様の風合い
その他特性を失わせる欠点がある。
【0005】更に放射線を利用したセルロース繊維構造
物の後加工には特開昭50−4399号公報に開示さ
れるように、防しわ性改善を目的とした重合開始剤存在
下にアクリレートモノマーをセルロース繊維に接触グラ
フト重合した後イオン化照射(γ線、電子線)処理によ
り架橋構造を形成する方法が提案されている。この方法
は重合開始剤が繊維中に残存することや、工程が複雑で
品位、管理上にも問題点が存在する。特開昭50−7
7691号公報ではポリエステル系繊維の親水性付与方
法としてポリエチレングリコール基の分子量が300以
上であるジアクリレート又はジメタアクリレートを該繊
維に含浸させ低温、固化下で電子線照射する方法が提案
されている。この方法は親水化剤を繊維表面に被覆、固
定化する方法であり、又低温、固化させるというコスト
のかかる工程を有する欠点がある。特開昭56−53
279号公報ではポリエステル、ナイロン、木綿、ビス
コースレーヨン、羊毛などの繊維製品にパーマネントプ
レス特性を付与する方法に関するものである。即ちウレ
タンアクリレート系エポキシアクリレート系、アクリル
化ポリエステル系、アクリルアミド系等のモノマー及び
プレポリマーでしかも分子量300以下の水溶性モノマ
ー及びプレポリマーを折り目付け及びプレスされる部分
に付与後、プレス工程の前又は後で紫外線又は電子ビー
ムでキュアリングする方法に関するものである。これら
、、に開示される方法はいずれの方法もセルロー
ス繊維の微細構造を考慮した加工設計になっておらず、
従って本発明者らの目的とするセルロース繊維本来の風
合いを維持し、耐久性のあるW&W性と機械的特性の低
下を軽減させるという、これらの要求を満足させること
は不可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は初期W&W性
に優れ、繰り返し洗濯後もその性能を保持する耐久性を
有し、かつ機械的特性の低下の少ないセルロース繊維含
有繊維構造物の提供であり、しかも工業的生産性の優れ
た方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは耐久性のあ
るW&Wと機械的特性の低下が少なく、セルロース繊維
本来の風合いを維持し、しかも生産性の高いセルロース
繊維含有繊維構造物及びその製造方法について鋭意研究
を重ねた結果その目的を達成したものである。即ち、セ
ルロース繊維の内部に存在するポアサイズが2〜102
nmの微細孔(ポア)が、該微細孔に充填可能な分子サ
イズの重合性の二重結合を有するモノマー又は/および
プレポリマーの放射線による重合物とセルロース用樹脂
加工剤とで、繊維内部全体に均一に充填され、該重合物
の重量が繊維構造物に対して0.1〜5重量%であるセ
ルロース繊維を含有することを特徴とするセルロース繊
維含有繊維構造物およびセルロース繊維の内部に存在す
るポアサイズが2〜102nmの微細孔(ポア)に、該
微細孔に充填可能な分子サイズの重合性の二重結合を有
するモノマー又は/およびプレポリマーとセルロース用
樹脂加工剤とを充填し、次いで該モノマー又は/および
プレポリマーを放射線照射によって重合させ、繊維表面
へのマイグレーションを防止することを特徴とする前記
セルロース繊維含有繊維構造物の製造方法である。
【0008】本発明は従来の樹脂加工で充分考慮されて
いなっかた非晶部のポアを加工設計に取り入れることで
本発明に達した。即ちセルロース繊維の非晶部に存在す
るポアの分布をCellulose Chem.Tec
hnology,2,343〜358(1968)に記
述された“Solute exclusion tec
hnique”に準じた方法で実測した。各種セルロー
ス繊維の水膨潤下での実測値を表1に示す。
【0009】
【表1】
【0010】これによるとセルロース繊維内部のポアサ
イズは水膨潤下では数百オングストローム(Å)に渡っ
て分布しており、この分布状態は、繊維の前処理の仕方
や改質によって変化させることができることがわかる。
従ってこのポアの分布や大きさ等を変化させ、ポアに充
填可能な分子サイズのモノマー又は/及びプレポリマー
をポアに侵入させ、その状態で放射線照射により重合せ
しめれば重合性加工剤の繊維表面へのマイグレーション
が防止でき、少量の重合性加工剤でポア内でのグラフト
重合、ホモポリマー化及び架橋構造等の形成が可能とな
る。このため、セルロース繊維本来の風合いを維持し、
且つ開始剤による機械的特性の低下もなく、耐久性のあ
るW&W性が得られるものと考えられる。従来の方法で
は、樹脂加工剤が単繊維で観察した場合、表面層にマイ
グレートして固定化されているのに対し、本発明の方法
によると、ポア内部に樹脂加工剤を充填することができ
るので、樹脂加工剤を繊維内部全体に均一に分布させる
ことが可能になり本発明の効果が発揮されると考えられ
る。本発明において有効なポアサイズは102 nm(1
3 Å)以下であり本発明に有効な重合性モノマー、プ
レポリマーの分子径は102 nm以下であり、好ましく
は50nm以下、さらに好ましくは10nm以下であ
る。また、ポアサイズの分布は、ポアサイズが2〜10
mmの範囲のものが20mm以下の全ポア容積中で最大
の容積を占めることが好ましい。
【0011】本発明は放射線照射で硬化可能な重合性モ
ノマー又は/およびプレポリマーをポアに充填、重合さ
せることが重要であるが、従来の樹脂加工法に使用され
る樹脂加工剤、例えばアミノプラストと放射線照射で硬
化可能な重合性モノマー又は/プレポリマーの重合物を
ポア内に共存させることにより、より目的を達成するこ
とができる。更に放射線照射で硬化可能な重合性モノマ
ー又は/及びプレポリマーに水溶性オリゴマー、水溶性
高分子、有機微粒子ゾルやセラミクスなどの無機微粒子
ゾルを併用することも可能である。
【0012】また本発明の技術は機能加工剤、例えば樹
脂、モノマー、界面活性剤、油剤、抗菌剤、吸湿剤、撥
水剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光
増白剤、膨潤材、溶解剤、分解剤、脆化剤、金属粒子、
磁性体、難燃剤、防染剤、酸化剤、還元剤、香料、制電
剤、消臭剤、細菌類、酵素類、着色剤などの固定化も可
能にするものである。
【0013】本発明で使用できる重合性の二重結合を有
するモノマー又はプレポリマーとしては以下の(メタ)
アクリレート類が挙げられる。以下(メタ)アクリレー
トと表記する場合は、アクリレートとメタアクリレート
の両方を意味する。
【0014】モノマー群としては(メタ)アクリル酸及
びその塩、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ(2
−(メタ)アクロイルオキシエチル)アシッドホスフェ
イト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸
及びその塩、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
タル酸及びその塩等で代表される単官能(メタ)アクリ
レート類やトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
ル酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート等で代表される多官能(メタ)ア
クリレート類が挙げられる。
【0015】プレポリマー群としてはエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート類、エチレンオキサイド変性4,
4−ジヒドロキシジフェニルスルホンジ(メタ)アクリ
レート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ
(メタ)アクリレート等のポリエーテル類、エチレング
リコールジグリシジルジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールジグリシジルジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジグリシジルジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルジ
(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフ
ェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート、プロ
ピレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルジ
(メタ)アクリレート、等で代表されるエポキシエステ
ル類、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレー
トヘキサメチレンジイソシアネート、フェニルグリシジ
ルエーテル(メタ)アクリレートイソホロンジイソシア
ネート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレ
ートトリレンジイソシアネート、グリセリンジ(メタ)
アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、グリセ
リンジ(メタ)アクリレートイソホロンジイソシアネー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレートトリレンジイソ
シアネート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレ
ートヘキサメチレンジイソシアネートペンタエリストー
ルトリ(メタ)アクリレートイソホロンジイソシアネー
ト、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレートトリ
レンジイソシアネート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレートイソホロ
ンジイソシアネート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレートトリレンジイソシアネート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレートヘキサメチレ
ンジイソシアネート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレートイソホロンジイソシアネート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレートトリレンジ
イソシアネート、などで代表されるウレタン(メタ)ア
クリレート類、この他に飽和ポリエステル系(メタ)ア
クリレート類、不飽和ポリエステル系(メタ)アクリレ
ート類、及びポリエステル/ウレタン系(メタ)アクリ
レート類、ポリアセタール系(メタ)アクリレート類、
ポリブタジエン系(メタ)アクリレート類などが挙げら
れる。
【0016】上述のモノマー、プレポリマーは、水を主
たる溶媒として使用されるが、必要に応じて水と混和可
能なアルコール類、セロソルブ類、ケトン類、アマイド
類から選ばれた溶媒を水と併用してもかまわない。
【0017】本発明で使用される放射線としては、γ線
又は電子線があるが、安全性、操作性及び経済性の点で
電子線が優れる。
【0018】これら放射線照射で重合できる化合物の適
性は、被処理物であるセルロース繊維の非晶部のポアサ
イズよりも小さい分子サイズが好ましい。好ましい分子
サイズはポアサイズによっても異なるが、通常1〜10
nmが好ましく、より好ましくは2〜5nmである。さ
らに放射線照射時の重合速度から、メタアクリレート化
合物よりもアクリレート化合物の方が一般的に硬化速度
が大きく好ましい。また、セルロース繊維内部のポア
は、水やセルロースの膨潤剤で膨潤させられていること
が好ましい。
【0019】(メタ)アクリレート化合物は、セルロー
ス及びセルロース繊維含有繊維構造物に対して0.1〜
重量%付与するが、好ましくは0.2〜5重量%であ
り、更に好ましくは0.2〜2.0重量%である。
【0020】本発明で併用しても差し支えないセルロー
ス樹脂加工剤としては、ジメチロール尿素、トリメチロ
ールメラミン及びその部分メチル化物、ジメチロールエ
チレン尿素、ヘキサメチロールメラミン及びその部分メ
チル化物、ジメチロールアルキルトリアゾン、メチル化
ジメチロールウロン、ジメチロールジヒドロキシエチレ
ン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、1,3−ジメチ
ル4,5−ジヒドロキシエチレン尿素、テトラメチロー
ルアセチレン尿素、ジメチロールブチレン尿素、ジメチ
ロールペンチレン尿素、アルキルカーバメイト、1,3
−ジメチロール4,6−ジヒドロキシペンチレン尿素、
ジメチロールアクリルアミドやホルマリン、テトラオキ
サンなどのホルマリン化合物などが挙げられる。好まし
くはジメチロールジヒドロキシエチレン尿素、1,3−
ジメチル4,5−ジヒドロキシエチレン尿素である。こ
れら樹脂加工剤の使用量はセルロース繊維含有繊維構造
物に対して0〜20重量%である。
【0021】本発明で使用できるセルロース用樹脂加工
剤を併用する際使用できる反応触媒としてはAlC
3 、Al2 (SO4 3 、MgCl2 、Mg(H2
4 2、Zn(BF4 2 、Mg(BF4 2 、Mg
(ClO4 2 、Al2 (OH) 4 Cl2 などの各種金
属塩(結晶水含有も含む)類、各種アルカノールアミン
の酸性塩などがある。これら反応触媒の使用量はセルロ
ース用樹脂加工剤に対して1〜20重量%である。
【0022】本発明におけるセルロース繊維含有繊維構
造物の風合いを維持し、耐久性のあるW&W性を付与
し、且つ機械的特性の低下を軽減することは種々の方法
で実施できる。典型的には放射線照射で硬化可能なモノ
マー又は/及びプレポリマーの水溶液又は必要があれば
水と混和可能なアルコール類、セロソルブ類、ケトン
類、アマイド類から選ばれた溶媒を水と併用した上で加
工剤を調整し、セルロース繊維含有繊維構造物に付与
し、その後乾燥するか又は湿潤状態で(メタ)アクリレ
ート化合物モノマー又は/及びプレポリマーを硬化させ
るため放射線を照射し、次いで必要あれば乾燥する方法
が採用される。また別の方法の一例としては、放射線で
硬化可能なモノマー及びプレポリマーである(メタ)ア
クリレート化合物とセルロース用樹脂加工剤と該樹脂加
工剤の硬化触媒の水溶液、又は必要があれば水と混和可
能なアルコール類、セロソルブ類、ケトン類、アマイド
類から選ばれた溶媒を水と併用した上で加工剤を調整
し、セルロース繊維含有繊維構造物に付与し、その後乾
燥するか又は湿潤状態で(メタ)アクリレート化合物モ
ノマー又は/及びプレポリマーを硬化させるため放射線
を照射し、次いで必要があれば乾燥し、セルロース用樹
脂加工剤を架橋反応させるためにキュアーする方法が採
用される。
【0023】また、セルロース用樹脂加工剤を付与し、
乾燥、キュアーした後、放射線照射する方法、あるいは
乾燥後放射線照射した後、キュアーする方法や湿潤状態
で放射線照射し、次いで乾燥、キュアーする方法などで
目的を達成することができる。
【0024】放射線照射はセルロース繊維含有繊維構造
物の強力低下とモノマー又は/及びプレポリマーの重合
性を考慮して0.5〜10Mradで実施されるが、好
ましくは0.5〜5Mradで、さらに好ましくは0.
5〜3Mradである。
【0025】本発明で使用できる繊維構造物としては、
木綿、麻、亜麻、パルプ等の天然セルロース繊維、ビス
コース法レーヨン(ポリノジックレーヨンを含む)、銅
アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セ
ルロース繊維等の100%セルロース繊維品及びこれら
の混用品、あるいはポリエステル、アクリル、ポリアミ
ド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維との混
合品が挙げられる。構造物の形態としては糸、織物、編
物、不織布、紙等が挙げられる。
【0026】本発明におけるセルロース繊維のうち、木
綿の場合は、マーセル化処理または/および液体アンモ
ニア処理されていることが本発明の効果をより有効に発
揮させることができる点で好ましい。また再生セルロー
ス繊維の場合にも本発明の効果を有効に発揮させること
ができ、好ましい。
【0027】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではな
い。実施例に先立ち実施例で用いた評価法を示す。
【0028】防しわ性;JIS L−1059 B法
(モンサント法)に於ける乾燥時及び湿潤時のしわ回復
角度のたて方向とよこ方向の和(各々DCR、WCRで
示す)で評価した。JIS L−0217 103法に
より20回洗濯した後のしわ回復角度により耐久性を評
価した。
【0029】抗張力;JIS L−1096 引張強さ
A法(ストリップ法)により評価した。単位はkg/
2.5cmで表す。
【0030】剛軟度;JIS L−1096 剛軟性A
法(45゜カンチレバー法)により評価した。単位はmm
で表す。
【0031】(メタ)アクリレートモノマー又はプレポ
リマーのセルロース繊維内部XMA観察;試料を2重量
%オスミン酸水溶液中に浴比1:100で室温下4日間
振盪させながら染色し、次いでこの染色試料を常法によ
りオスミウム原子(Os)を図1の様に単繊維断面方向
(X−X’)に走査させX線マイクロアナライザーによ
り分析した。Os強度のラインプロファイルから重合物
の単繊維内部での分布状態をとらえた。
【0032】ケース1(図2)は、重合物がほぼ均一に
充填された場合を示し、ケース2(図3)は重合物が中
心部と外層部とで濃度包配がある場合、ケース3(図
4)は、重合物が表層のみに局在化した場合、ケース4
(図5)は、重合物が存在しない場合を示す。
【0033】
【0034】
【0035】比較例1 ポリノジックステープル織物(東洋紡績社製タフセル織
物;40×40/115×65、135g/m2 )を表
2に示す加工液に浸漬し80%ピックアップになるよう
に絞り、次いで107℃×10分間蒸熱処理し、次いで
80℃×10分間湯洗いした後、実施例1及び2と同様
にピンフレームに定長セットし、120℃×5分間乾燥
した。これらの諸特性を表3に示す。
【0036】比較例2 実施例1と同様の織物を使用し表2に示す加工液に浸漬
し80%ピックアップになるように絞り、120℃×5
分間乾燥した後、1500mJ/cm2 の紫外線照射を行
い、次いで実施例1と同様に湯洗、定長セット下乾燥を
実施した。その結果を表3に示す。
【0037】比較例3 ポリノジックステープル織物の替わりに、実施例3で使
用した木綿織物(シルッケト上がり)を使用する以外は
比較例1と同様に実施した。
【0038】比較例4 ポリノジックステープル織物の替わりに、実施例3で使
用した木綿織物(シルッケト上がり)を使用する以外は
比較例2と同様に実施した。
【0039】比較例5 加工液を200EA(共栄社油脂化学工業社製;エポキ
シエステル系アクリレート)の替わりに、ポリエチレン
グリコールを使用する以外は実施例3と同様に実施し
た。
【0040】比較例3、4、5で得られた諸特性を表3
に示す。比較例1〜5は、重合物がセルロース単繊維の
内部に存在しないかあるいは存在しても表層部近傍のみ
に存在するものであった。実施例1〜4は、いずれもセ
ルロース単繊維内に均一に重合物が充填されており、特
にWCRの向上が顕著であった。
【0041】実施例5 ポリノジックステープル織物(東洋紡績社製タフセル織
物;40×40/115×65、135g/m2 )を表
4に示す加工液に浸漬し、80%ピックアップになるよ
うに絞り、濡れたままで1Mradの電子線照射をし、
次いでピンフレームに定長セットし120℃×5分間乾
燥した後、150℃×3分キュアした。次いで80℃×
10分間湯洗いした後、ピンフレームに定長セットし、
120℃×5分間乾燥した。
【0042】実施例6 実施例5での電子線照射1Mradを、3Mradに増
す以外は実施例5と同様に実施した。
【0043】実施例7 表4に示す加工液を使用し、電子線照射を、2Mrad
にする以外は実施例5と同様に実施した。
【0044】比較例6 実施例5と同様の ポリノジックステープル織物を表4
に示す加工液に浸漬し、80%ピックアップになるよう
に絞り、ピンフレームに定長セットし、120℃×5分
間乾燥した後、150℃×3分キュアした。次いで80
℃×10分間湯洗いした後、ピンフレームに定長セット
し、120℃×5分間乾燥した。
【0045】実施例8〜10 木綿織物シルケット上がり(50×50/144×81
102g/m2 )を表3に示す加工液に浸漬し、60
%ピックアップになるように絞り、濡れたままで2Mr
adの電子線照射をし、次いでピンフレームに定長セッ
トし、120℃×5分間乾燥した後、150℃×3分キ
ュアした。次いで80℃×10分間湯洗いした後、ピン
フレームに定長セットし、120℃×5分間乾燥した。
【0046】実施例11 実施例8における電子線2Mrad照射後、120℃×
5分間乾燥する工程を逆にした工程、即ち120℃×5
分間乾燥した後、電子線を照射することに変更する以外
は実施例8と同様に実施した。
【0047】実施例5〜11、比較例6〜9の結果は表
5に示す通りである。
【0048】比較例7〜8 木綿織物シルケット上がり(50×50/144×81
102g/m2 )を表4に示す加工液に浸漬し、60
%ピックアップになるように絞り、ピンフレームに定長
セットし、120℃×5分間乾燥した後、150℃×3
分キュアした。次いで80℃×10分間湯洗いした後、
ピンフレームに定長セットし、120℃×5分間乾燥し
た。
【0049】実施例12 木綿織物シルケット上がり(50×50/144×81
102g/m2 )を更に常法により液体アンモニア処
理した木綿織物を、表4に示す加工液に浸漬し、62%
ピックアップになるように絞り、濡れたままで2Mra
dの電子線照射をし、次いでピンフレームに定長セット
し、120℃×5分間乾燥した後、150℃×3分キュ
アした。次いで80℃×10分間湯洗いした後、ピンフ
レームに定長セットし、120℃×5分間乾燥した。
【0050】実施例12、比較例6〜8の結果は表6に
示す通りである。本発明の実施例および比較例の繊維構
造物の単繊維中の重合物の分布を前記のX線マイクロア
ナライザー法により分析し、重合物の分布をケース1〜
ケース4に分類した結果も表2〜6に示す。
【0051】ケース1は、重合物が繊維内部に均一に分
布している場合を示し、その代表的ラインプロファイル
は図2である。ケース2は、重合物に濃度勾配がある場
合を示し、その代表的ラインプロファイルは図3であ
り、ケース3は、重合物が繊維の表面層に局在する場合
を示し、その代表的なラインプロファイルは図4であ
る。ケース4は、重合物が存在しない場合であり、その
代表的なラインプロファイルは図5である。本発明の場
合、重合物の分布はケース1かケース2であることがわ
かる。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】本発明によるセルロースの微細構造を考
慮した加工設計により得られたセルロース繊維含有繊維
構造物は、放射線照射により重合する加工剤が、均一に
非晶部のポアにグラフト重合を伴う重合物が充填される
ことにより、耐久性あるW&W性と繊維構造物の機械的
特性(抗張力)の低下を極力おさえることができ、しか
もセルロース繊維構造物本来の風合いを維持することも
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維構造物を構成するセルロース単繊
維(木綿)の断面の概略図の例である。
【図2】本発明のセルロース単繊維の断面をXMAライ
ン分析した場合の重合物の均一分布(ケース1)を示す
プロファイルの例である。
【図3】本発明のセルロース単繊維の断面をXMAライ
ン分析した場合の重合物の濃度勾配がある分布(ケース
2)を示すプロファイルの例である。
【図4】比較例のセルロース単繊維の断面をXMAライ
ン分析した場合の重合物が表面に局在することを示す
(ケース3)プロファイルの例である。
【図5】比較例の重合物が存在しない場合(ケース4)
のセルロース単繊維の断面のXMAライン分析のプロフ
ァイルの例である。
【符号の説明】
I・・・セルロース単繊維(木綿)の断面 X,X’・・・XMAライン分析位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 14/00 - 15/715

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セルロース繊維の内部に存在するポアサイ
    ズが2〜102nmの微細孔(ポア)が、該微細孔に充
    填可能な分子サイズの重合性の二重結合を有するモノマ
    ー又は/およびプレポリマーの放射線による重合物とセ
    ルロース用樹脂加工剤とで、繊維内部全体に均一に充填
    され、該重合物の重量が繊維構造物に対して0.1〜5
    重量%であるセルロース繊維を含有することを特徴とす
    るセルロース繊維含有繊維構造物。
  2. 【請求項2】セルロース繊維の内部に存在するポアサイ
    ズが2〜102nmの微細孔(ポア)に、該微細孔に充
    填可能な分子サイズの重合性の二重結合を有するモノマ
    ー又は/およびプレポリマーとセルロース用樹脂加工剤
    を充填し、次いで該モノマー又は/およびプレポリマ
    ーを放射線照射によって重合させ、繊維表面へのマイグ
    レーションを防止することを特徴とする請求項1記載の
    セルロース繊維含有繊維構造物の製造方法。
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