JPH0522916Y2 - - Google Patents
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- JPH0522916Y2 JPH0522916Y2 JP1986098736U JP9873686U JPH0522916Y2 JP H0522916 Y2 JPH0522916 Y2 JP H0522916Y2 JP 1986098736 U JP1986098736 U JP 1986098736U JP 9873686 U JP9873686 U JP 9873686U JP H0522916 Y2 JPH0522916 Y2 JP H0522916Y2
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- JP
- Japan
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- electrode
- layer
- lower electrode
- ecd
- oxide
- Prior art date
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Description
〔産業上の利用分野〕
本考案は、新規なエレクトロクロミツク素子
(以下、「エレクトロクロミツク」をECと略称し、
EC素子をECDと略称する)を使用した自動車用
防眩ミラーに関するものである。 〔従来の技術〕 ECDは、一般には少なくとも一方が透明な一
対の電極層とそれらの間にサンドイツチされた
EC層からなる。このECDは、乾電池から得られ
る程度の電圧を一対の電極間に印加すると、発色
し、逆の電圧を印加すると消色して元の無色透明
に戻る。そのためECDは表示装置特に「日」の
字型のセブンセグメントを用いた数字表示装置、
透過又は反射光量の制御装置、その他に利用すべ
く盛んに研究されている。 EC材料例えばWO3が発色するには、電子(e-)
とカチオン(X-)の同時注入が必要とされ、発
色・消色に伴う反応式は、次のように信じられて
いる。 消色状態:WO3+ne-+nX+ ↑↓ 発色状態:XnWO3 そして、カチオン(X+)としては、イオン半
径の小さく移動の容易なH+やLi+が主として利用
されている。カチオン(X+)は常時カチオンで
ある必要はなく、電圧が印加され電場が形成され
たときカチオンが生じればよいので、特にH+の
場合には水がカチオン供給源として利用される。
水は極く微量で充分であるらしく、ECDを大気
中にさらしたときに大気中から自然に層内に侵入
する程度の水分でしばしば間に合う。 しかしながら、単にWO3層を一対の電極で挾
んで電圧を印加して発色させても、容易に消色す
ることが出来ない。何故ならば、消色しようとし
て逆電圧を印加しても陰極に接した電極側から電
子(e-)が流入してくるので、もしH+があれば、 WO3+ne-+nH+→HnWO3 の反応が起こつて発色するからである。 そのため、S.K.Debらは、WO3層と一方の電極
との間に絶縁層例えばSiO2,MgF2を設けたECD
を提案した(特公昭52−46098)。この絶縁層は、
電子の移動はできないが、H+やOH-のようなイ
オンの移動は自由であり、このH+やOH-イオン
が電気を運び(この意味で絶縁層と呼ぶのは誤り
でイオン導電層と呼ぶのが正しい)、OH-イオン
が陽極との界面で OH-→1/2H2O+1/4O2↑+e- の反応式に従つて反応し、電子を陽極側に放出し
ているものと思われる。 つまり発色時には、 陰極側:WO3+ne-+nH+→HnWO3 陽極側:nOH-→n/2H2O +n/4O2↑+ne- という反応が推定され、消色時には、 陽極側:HnWO3→WO3+ne-+nH+ 陰極側:nH2O+ne-→nOH- +n/2H2↑ という反応が生じているものと推定されている。 これらの式からも明らかであるが、現実にもS.
K.DebらのECDは、発色・消色の駆動により水
が消費されているので大気中から速やかに水が供
給されないと発色しなくなり、また駆動に伴つて
O2やH2ガスが放出されるので層間剥離を生じる
という欠点がある。 そのため、Y.Takahashiらは、イオン導電層
と電極層との間に酸化発色性EC層を設けたECD
を提案した(特開昭56−4679)。このECDは酸化
発色性EC層として例えば水酸化イリジウムを利
用したもので、WO3の発色時に陽極側で主とし
て 無色透明:Ir(OH)m+n(OH-) ↓ 着色:Ir(OH)p・qH2O +rH2O+s(e-) と反応し、WO3の消色時には陰極側で主として Ir(OH)p・qH2O +rH2O+s(e-) ↓ Ir(OH)m+n(OH-) と反応するものと推定されている。従つて、水が
再生されるので消費されてなくなることがなく、
また駆動に伴つてO2やH2ガスが放出されること
もない。 そのほか、EC層とリチウム固体電解質層とを
組み合わせたもの、EC層とプロトン含有又はプ
ロトン放出性固体ないし半固体樹脂層とを組み合
わせたものもある。 ところで、ECDの或る種のものは、基板上に
第1層として電極層を共通に成膜後、エツチング
又はレーザーカツテイングにより、この電極層に
設けた絶縁ゾーンIを介して隔てた上部電極Aの
電極取り出し部Cと下部電極Bと、それに連続し
て続く下部電極の取出し部B1が形成され、そし
てその上に第2層以降としてEC層その他の中間
層及び上部電極Aが積層された薄膜多層構造を有
する。 〔考案が解決しようとする問題点〕 このような薄膜多層構造のECDは、従来、メ
モリー性(着色させた後、電荷の供給を止めても
着色状態が保持される性質)が劣り、また着色時
の濃度ムラが生じるという問題点があつた。 〔問題点を解決するための手段〕 そこで本考案者らは、鋭意研究したところ、こ
れらの問題点の原因は、EC層は本来、下部電極
Bの上だけに積層されるべきであるところ、電極
取出し部Cとの下部電極Bとの間の絶縁ゾーンI
の上にも形成され、その結果、導電性のEC層が
C−Bの間を橋渡しするため両者の間にリーク電
流が流れることにあることを突き止めた。 更に研究の結果、このリーク電流は、絶縁ゾー
ンの長さlが長い程大きく、lが200mm前後の時
(自動車用防眩ミラーの場合)にはlと幅dとの
比l/dを3000以下好ましくは2000以下とするこ
とによりリーク電流を1mA以下に防止でき、そ
の結果、上記の問題点は実質的に解決されること
を見い出し、本考案を成すに至つた。 従つて、本考案は、電極層を最初に共通に成膜
後、エツチング又はレーザーカツテイングによ
り、この電極層に設けた絶縁ゾーンを介して隔て
た上部電極の電極取り出し部と下部電極と、下部
電極に連続して続く下部電極の電極取り出し部が
形成された基板の上に少なくともエレクトロクロ
ミツク層及び上部電極を積層してなるエレクトロ
クロミツク素子を使用した自動車用防眩ミラーに
於いて、 前記上部電極の電極取り出し部と下部電極との
間に存在する長さが200mm前後の絶縁ゾーンの長
さlと絶縁ゾーンの幅dとの比1/dを3000以下
にしてリーク電流を1mA以下にしたことを特徴
とするエレクトロクロミツク素子を使用した自動
車用防眩ミラーを提供する。 〔作用〕 絶縁ゾーンIは、特に矩形である必要はなく、
カーブの付いた帯状でもよい。 本考案に使用される電極A,B並びに電極取り
出し部C,B1の材料としては、Al,Ag,Ni,
Pt,Au,Pd,Cr,Ir,Ru,Rhなどの金属、
SnO2,In2O3,ITO(SnO2とIn2O3の混合物)、
ZnOなどの透明導電性酸化物、炭素などが選択使
用される。 電極の形成ないし積層法としては、一般には真
空蒸着、反応性蒸着、イオンプレーテイング、反
応性イオンプレーテイング、スパツタリング、反
応性スパツタリング、CVDなどの薄膜形成法が
用いられる。場合によつては、厚膜法(有機金属
化合物例えば金属アルコラート又はそのオリゴマ
ーの溶液を塗布し、焼成して被膜を形成する)で
形成してもよい。 電極の膜厚としては、透明導電性酸化物の場合
には抵抗値にもよるが一般には0.01〜0.5μmが適
当であり、金属の場合には8×10-5〜10-1mmが適
当である。 上部電極Aの取出し部Cと、下部電極Bとその
取出し部B1は、同時に形成される。 EC層Fとしては、主として還元発色型又は酸
化発色型EC材料が用いられる。還元発色型EC材
料としては、例えばWO3又はMoO3などの無機酸
化物のほか有機材料を使用することもできる。酸
化発色型EC材料としては、水酸化又は酸化イリ
ジウム、同じくニツケル、同じくクロム、同じく
バナジウム、同じくルテニウム、同じくロジウム
などの無機物のほか有機材料が使用される。 EC層Fは、単独でも又は還元発色型EC層と酸
化発色型EC層との2重層でも、或いはこれにイ
オン導電層を併用したものでもよい。最も好まし
い構造は、還元発色型EC層/イオン導電層/酸
化発色型EC層(又は明確な発色は認められない
ものの可逆的に電解酸化するものでもよい)の3
層構造である。 これらのEC層は、一般にそれぞれ0.01〜数μ
mの厚さに形成される。形成法としては、主とし
て前述の薄膜形成法が用いられる。 場合によつて、設けてもよいイオン導電層は、
電子に対して絶縁体であるが、プロトン(H+)
及びヒドロキシイオン(OH-)に対しては良導
体である。これは、本考案のECDにメモリ性即
ち発色させた後、電圧印加を止めても、発色状態
が保持される性質をもたせるために、必要に応じ
て設けられるもので、その具体的材料としては次
のものが例示される。 無機誘電体薄膜例えば酸化タンタル(Ta2
O5)、酸化ニオプ(Nb2O5)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)酸化ハフニウ
ム(HfO2)、酸化イツトリウム(Y2O3)、酸化
ランタン(La2O3)酸化珪素(SiO2)、フツ化
マグネシウム、リン酸ジルコニウムあるいはこ
れらの混合物質(これらの物質は、電子に対し
て絶縁体であるが、プロトン(H+)及びヒド
ロキシイオン(OH-)に対しては良導体であ
る。)全固体タイプのECD特に薄膜タイプの
ECDは、厚さを極めて薄くでき、しかも、液
もれの心配がない利点があり、その場合にはイ
オン導電層として、この無機誘電体を選ぶこと
が望ましい; 塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリ
ウム、臭化カリウム、Na3Zr2Si2PO12,Na1+
xZrSixP3−xO12,Na5YSi4O12,RbAg4I5等の
固体電解質; 水又はプロトン供給源含有合成樹脂、例えば
メタクリル酸β−ヒドロキシエチルと2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と
の共重合体、含水メタクリル酸メチル共重合体
のような含水ビニル重合体、含水ポリエステル
など; 電解液、例えば硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、
酪酸、しゆう酸のような酸またはその水溶液、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなア
ルカリの水溶液、塩化ナトリウム、塩化リチウ
ム、塩化カリウム、硫酸リチウムのような固体
強電解質の水溶液; 半固体ゲル電解質、例えば電解質水溶液をゲ
ル化剤例えばポリビニルアルコール、CMC、
寒天、ゼラチン等でゲル化させたもの; などが挙げられる。 従つて、イオン導電層は、真空薄膜形成技術、
厚膜法、封入、注入、塗布、その他の手段で形成
され、厚さは材料によつて0.01μm〜1mm位まで
様々となる。 更に場合により、酸化発色性EC層ないし可逆
的電解酸化性層ないし触媒層を使用してもよく、
それには例えば酸化ないし水酸化イリジウム、同
じニツケル、同じくクロム、同じくバナジウム、
同じくルテニウム、同じくロジウムなどが挙げら
れる。これらの物質は他の透明なイオン導電体層
又は透明電極中に分散されていても良い。 以下、実施例により本考案を詳細に説明する。 (実施例) 第1図は、実施例のECDの断面図であり、第
2図は、ECDの第1層(ITO電極)の概略平面
図である。 (1) 縦20cm×横10cmのガラス基板S上にITO膜を
形成し、次に照射位置に於ける光束直径が
100μmのYAGレーザー(平均パワー400mW;
Qスイツチ1kHz;波長1.06μm)を照射しなが
ら、これをスキヤン速度5cm/秒で移動させる
ことにより、上部電極の取出し部Cと下部電極
Bとの間に幅d=0.1mm、長さl=200mmの絶縁
ゾーンIを形成した。この絶縁ゾーンIのl/
dは、2000である。 これにより、上部電極の取出し部Cと下部電
極Bと下部電極取出し部B1が形成される(第
2図参照)。なお、下部電極Bと下部電極取出
し部B1とは一連につながつており、そこには
物理的な境界となく、位置及び概念に於いて分
けられるにすぎない。 このレーザーカツテイングによるパターニン
グは、ホトエツチングに比べ工程が簡単で
ECDの製造コストが安く済む。 (2) 次に酸化イリジウム−酸化スズ混合層D、酸
化タンタル層E及び酸化タングステン層Fを順
(以下、「エレクトロクロミツク」をECと略称し、
EC素子をECDと略称する)を使用した自動車用
防眩ミラーに関するものである。 〔従来の技術〕 ECDは、一般には少なくとも一方が透明な一
対の電極層とそれらの間にサンドイツチされた
EC層からなる。このECDは、乾電池から得られ
る程度の電圧を一対の電極間に印加すると、発色
し、逆の電圧を印加すると消色して元の無色透明
に戻る。そのためECDは表示装置特に「日」の
字型のセブンセグメントを用いた数字表示装置、
透過又は反射光量の制御装置、その他に利用すべ
く盛んに研究されている。 EC材料例えばWO3が発色するには、電子(e-)
とカチオン(X-)の同時注入が必要とされ、発
色・消色に伴う反応式は、次のように信じられて
いる。 消色状態:WO3+ne-+nX+ ↑↓ 発色状態:XnWO3 そして、カチオン(X+)としては、イオン半
径の小さく移動の容易なH+やLi+が主として利用
されている。カチオン(X+)は常時カチオンで
ある必要はなく、電圧が印加され電場が形成され
たときカチオンが生じればよいので、特にH+の
場合には水がカチオン供給源として利用される。
水は極く微量で充分であるらしく、ECDを大気
中にさらしたときに大気中から自然に層内に侵入
する程度の水分でしばしば間に合う。 しかしながら、単にWO3層を一対の電極で挾
んで電圧を印加して発色させても、容易に消色す
ることが出来ない。何故ならば、消色しようとし
て逆電圧を印加しても陰極に接した電極側から電
子(e-)が流入してくるので、もしH+があれば、 WO3+ne-+nH+→HnWO3 の反応が起こつて発色するからである。 そのため、S.K.Debらは、WO3層と一方の電極
との間に絶縁層例えばSiO2,MgF2を設けたECD
を提案した(特公昭52−46098)。この絶縁層は、
電子の移動はできないが、H+やOH-のようなイ
オンの移動は自由であり、このH+やOH-イオン
が電気を運び(この意味で絶縁層と呼ぶのは誤り
でイオン導電層と呼ぶのが正しい)、OH-イオン
が陽極との界面で OH-→1/2H2O+1/4O2↑+e- の反応式に従つて反応し、電子を陽極側に放出し
ているものと思われる。 つまり発色時には、 陰極側:WO3+ne-+nH+→HnWO3 陽極側:nOH-→n/2H2O +n/4O2↑+ne- という反応が推定され、消色時には、 陽極側:HnWO3→WO3+ne-+nH+ 陰極側:nH2O+ne-→nOH- +n/2H2↑ という反応が生じているものと推定されている。 これらの式からも明らかであるが、現実にもS.
K.DebらのECDは、発色・消色の駆動により水
が消費されているので大気中から速やかに水が供
給されないと発色しなくなり、また駆動に伴つて
O2やH2ガスが放出されるので層間剥離を生じる
という欠点がある。 そのため、Y.Takahashiらは、イオン導電層
と電極層との間に酸化発色性EC層を設けたECD
を提案した(特開昭56−4679)。このECDは酸化
発色性EC層として例えば水酸化イリジウムを利
用したもので、WO3の発色時に陽極側で主とし
て 無色透明:Ir(OH)m+n(OH-) ↓ 着色:Ir(OH)p・qH2O +rH2O+s(e-) と反応し、WO3の消色時には陰極側で主として Ir(OH)p・qH2O +rH2O+s(e-) ↓ Ir(OH)m+n(OH-) と反応するものと推定されている。従つて、水が
再生されるので消費されてなくなることがなく、
また駆動に伴つてO2やH2ガスが放出されること
もない。 そのほか、EC層とリチウム固体電解質層とを
組み合わせたもの、EC層とプロトン含有又はプ
ロトン放出性固体ないし半固体樹脂層とを組み合
わせたものもある。 ところで、ECDの或る種のものは、基板上に
第1層として電極層を共通に成膜後、エツチング
又はレーザーカツテイングにより、この電極層に
設けた絶縁ゾーンIを介して隔てた上部電極Aの
電極取り出し部Cと下部電極Bと、それに連続し
て続く下部電極の取出し部B1が形成され、そし
てその上に第2層以降としてEC層その他の中間
層及び上部電極Aが積層された薄膜多層構造を有
する。 〔考案が解決しようとする問題点〕 このような薄膜多層構造のECDは、従来、メ
モリー性(着色させた後、電荷の供給を止めても
着色状態が保持される性質)が劣り、また着色時
の濃度ムラが生じるという問題点があつた。 〔問題点を解決するための手段〕 そこで本考案者らは、鋭意研究したところ、こ
れらの問題点の原因は、EC層は本来、下部電極
Bの上だけに積層されるべきであるところ、電極
取出し部Cとの下部電極Bとの間の絶縁ゾーンI
の上にも形成され、その結果、導電性のEC層が
C−Bの間を橋渡しするため両者の間にリーク電
流が流れることにあることを突き止めた。 更に研究の結果、このリーク電流は、絶縁ゾー
ンの長さlが長い程大きく、lが200mm前後の時
(自動車用防眩ミラーの場合)にはlと幅dとの
比l/dを3000以下好ましくは2000以下とするこ
とによりリーク電流を1mA以下に防止でき、そ
の結果、上記の問題点は実質的に解決されること
を見い出し、本考案を成すに至つた。 従つて、本考案は、電極層を最初に共通に成膜
後、エツチング又はレーザーカツテイングによ
り、この電極層に設けた絶縁ゾーンを介して隔て
た上部電極の電極取り出し部と下部電極と、下部
電極に連続して続く下部電極の電極取り出し部が
形成された基板の上に少なくともエレクトロクロ
ミツク層及び上部電極を積層してなるエレクトロ
クロミツク素子を使用した自動車用防眩ミラーに
於いて、 前記上部電極の電極取り出し部と下部電極との
間に存在する長さが200mm前後の絶縁ゾーンの長
さlと絶縁ゾーンの幅dとの比1/dを3000以下
にしてリーク電流を1mA以下にしたことを特徴
とするエレクトロクロミツク素子を使用した自動
車用防眩ミラーを提供する。 〔作用〕 絶縁ゾーンIは、特に矩形である必要はなく、
カーブの付いた帯状でもよい。 本考案に使用される電極A,B並びに電極取り
出し部C,B1の材料としては、Al,Ag,Ni,
Pt,Au,Pd,Cr,Ir,Ru,Rhなどの金属、
SnO2,In2O3,ITO(SnO2とIn2O3の混合物)、
ZnOなどの透明導電性酸化物、炭素などが選択使
用される。 電極の形成ないし積層法としては、一般には真
空蒸着、反応性蒸着、イオンプレーテイング、反
応性イオンプレーテイング、スパツタリング、反
応性スパツタリング、CVDなどの薄膜形成法が
用いられる。場合によつては、厚膜法(有機金属
化合物例えば金属アルコラート又はそのオリゴマ
ーの溶液を塗布し、焼成して被膜を形成する)で
形成してもよい。 電極の膜厚としては、透明導電性酸化物の場合
には抵抗値にもよるが一般には0.01〜0.5μmが適
当であり、金属の場合には8×10-5〜10-1mmが適
当である。 上部電極Aの取出し部Cと、下部電極Bとその
取出し部B1は、同時に形成される。 EC層Fとしては、主として還元発色型又は酸
化発色型EC材料が用いられる。還元発色型EC材
料としては、例えばWO3又はMoO3などの無機酸
化物のほか有機材料を使用することもできる。酸
化発色型EC材料としては、水酸化又は酸化イリ
ジウム、同じくニツケル、同じくクロム、同じく
バナジウム、同じくルテニウム、同じくロジウム
などの無機物のほか有機材料が使用される。 EC層Fは、単独でも又は還元発色型EC層と酸
化発色型EC層との2重層でも、或いはこれにイ
オン導電層を併用したものでもよい。最も好まし
い構造は、還元発色型EC層/イオン導電層/酸
化発色型EC層(又は明確な発色は認められない
ものの可逆的に電解酸化するものでもよい)の3
層構造である。 これらのEC層は、一般にそれぞれ0.01〜数μ
mの厚さに形成される。形成法としては、主とし
て前述の薄膜形成法が用いられる。 場合によつて、設けてもよいイオン導電層は、
電子に対して絶縁体であるが、プロトン(H+)
及びヒドロキシイオン(OH-)に対しては良導
体である。これは、本考案のECDにメモリ性即
ち発色させた後、電圧印加を止めても、発色状態
が保持される性質をもたせるために、必要に応じ
て設けられるもので、その具体的材料としては次
のものが例示される。 無機誘電体薄膜例えば酸化タンタル(Ta2
O5)、酸化ニオプ(Nb2O5)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)酸化ハフニウ
ム(HfO2)、酸化イツトリウム(Y2O3)、酸化
ランタン(La2O3)酸化珪素(SiO2)、フツ化
マグネシウム、リン酸ジルコニウムあるいはこ
れらの混合物質(これらの物質は、電子に対し
て絶縁体であるが、プロトン(H+)及びヒド
ロキシイオン(OH-)に対しては良導体であ
る。)全固体タイプのECD特に薄膜タイプの
ECDは、厚さを極めて薄くでき、しかも、液
もれの心配がない利点があり、その場合にはイ
オン導電層として、この無機誘電体を選ぶこと
が望ましい; 塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリ
ウム、臭化カリウム、Na3Zr2Si2PO12,Na1+
xZrSixP3−xO12,Na5YSi4O12,RbAg4I5等の
固体電解質; 水又はプロトン供給源含有合成樹脂、例えば
メタクリル酸β−ヒドロキシエチルと2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と
の共重合体、含水メタクリル酸メチル共重合体
のような含水ビニル重合体、含水ポリエステル
など; 電解液、例えば硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、
酪酸、しゆう酸のような酸またはその水溶液、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなア
ルカリの水溶液、塩化ナトリウム、塩化リチウ
ム、塩化カリウム、硫酸リチウムのような固体
強電解質の水溶液; 半固体ゲル電解質、例えば電解質水溶液をゲ
ル化剤例えばポリビニルアルコール、CMC、
寒天、ゼラチン等でゲル化させたもの; などが挙げられる。 従つて、イオン導電層は、真空薄膜形成技術、
厚膜法、封入、注入、塗布、その他の手段で形成
され、厚さは材料によつて0.01μm〜1mm位まで
様々となる。 更に場合により、酸化発色性EC層ないし可逆
的電解酸化性層ないし触媒層を使用してもよく、
それには例えば酸化ないし水酸化イリジウム、同
じニツケル、同じくクロム、同じくバナジウム、
同じくルテニウム、同じくロジウムなどが挙げら
れる。これらの物質は他の透明なイオン導電体層
又は透明電極中に分散されていても良い。 以下、実施例により本考案を詳細に説明する。 (実施例) 第1図は、実施例のECDの断面図であり、第
2図は、ECDの第1層(ITO電極)の概略平面
図である。 (1) 縦20cm×横10cmのガラス基板S上にITO膜を
形成し、次に照射位置に於ける光束直径が
100μmのYAGレーザー(平均パワー400mW;
Qスイツチ1kHz;波長1.06μm)を照射しなが
ら、これをスキヤン速度5cm/秒で移動させる
ことにより、上部電極の取出し部Cと下部電極
Bとの間に幅d=0.1mm、長さl=200mmの絶縁
ゾーンIを形成した。この絶縁ゾーンIのl/
dは、2000である。 これにより、上部電極の取出し部Cと下部電
極Bと下部電極取出し部B1が形成される(第
2図参照)。なお、下部電極Bと下部電極取出
し部B1とは一連につながつており、そこには
物理的な境界となく、位置及び概念に於いて分
けられるにすぎない。 このレーザーカツテイングによるパターニン
グは、ホトエツチングに比べ工程が簡単で
ECDの製造コストが安く済む。 (2) 次に酸化イリジウム−酸化スズ混合層D、酸
化タンタル層E及び酸化タングステン層Fを順
以上の通り、本考案によれば、上部電極の取出
し部と下部電極との間の絶縁ゾーンの長さlと幅
dとの比l/dを3000以下にすることにより、リ
ーク電流を少なくしたので、メモリー性が優れ、
着色ムラのないECDが得られる。
し部と下部電極との間の絶縁ゾーンの長さlと幅
dとの比l/dを3000以下にすることにより、リ
ーク電流を少なくしたので、メモリー性が優れ、
着色ムラのないECDが得られる。
第1図は、本考案の実施例にかかるECDの概
略断面図である。第2図は、第1図のECDの第
1層の平面図である。 主要部分の符号の説明、S……基板、A……上
部電極、(B……下部電極、B1……下部電極の取
出し部)連続した一層となつている、C……上部
電極の取出し部、F……エレクトロクロミツク層
又はWO3層、I……絶縁ゾーン、R……エポキ
シ樹脂又は封止領域、L……光。
略断面図である。第2図は、第1図のECDの第
1層の平面図である。 主要部分の符号の説明、S……基板、A……上
部電極、(B……下部電極、B1……下部電極の取
出し部)連続した一層となつている、C……上部
電極の取出し部、F……エレクトロクロミツク層
又はWO3層、I……絶縁ゾーン、R……エポキ
シ樹脂又は封止領域、L……光。
Claims (1)
- 【実用新案登録請求の範囲】 電極層を最初に共通に成膜後、エツチング又は
レーザーカツテイングにより、この電極層に設け
た絶縁ゾーンを介して隔てた上部電極の電極取り
出し部と下部電極と、下部電極に連続して続く下
部電極の電極取り出し部が形成された基板の上に
少なくともエレクトロクロミツク層及び上部電極
を積層してなるエレクトロクロミツク素子を使用
した自動車用防眩ミラーに於いて、 前記上部電極の電極取り出し部と下部電極との
間に存在する絶縁ゾーンの長さlを200mm前後と
し、絶縁ゾーンの幅dとの比1/dを3000以下に
してリーク電流を1mA以下にしたことを特徴と
するエレクトロクロミツク素子を使用した自動車
用防眩ミラー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1986098736U JPH0522916Y2 (ja) | 1986-06-27 | 1986-06-27 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1986098736U JPH0522916Y2 (ja) | 1986-06-27 | 1986-06-27 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS634526U JPS634526U (ja) | 1988-01-13 |
JPH0522916Y2 true JPH0522916Y2 (ja) | 1993-06-11 |
Family
ID=30966971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1986098736U Expired - Lifetime JPH0522916Y2 (ja) | 1986-06-27 | 1986-06-27 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0522916Y2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5595930A (en) * | 1979-01-12 | 1980-07-21 | Citizen Watch Co Ltd | Fully solid type electrochromic display device |
JPS57125923A (en) * | 1981-01-29 | 1982-08-05 | Toshiba Corp | Display cell |
-
1986
- 1986-06-27 JP JP1986098736U patent/JPH0522916Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS634526U (ja) | 1988-01-13 |
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