JPH05228159A - ウォータジェット手術装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】患部を治療中に誤って出血させてしまった時で
も洗浄用液体を簡単に供給でき、操作が容易に行えるウ
ォータジェット手術装置を提供する。 【構成】内視鏡の挿通用チャンネルに挿通可能なプロー
ブ３の先端に噴射ノズル４を設けるとともに、プローブ
３に液体を供給して噴射ノズル４から高圧液体を噴射さ
せる液体供給制御部を接続する。また、プローブ３の先
端部に噴射ノズル４と相対的に進退自在で、前進または
後退によって噴射ノズル４の開口面積より大きく開口す
る洗浄用ノズル２４を設け、噴射ノズル４から高圧液体
を噴出して処置中に出血した場合には噴射ノズル４を後
退させて洗浄用ノズル２４を開口し、患部に洗浄用液体
を吹き付けて洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、経内視鏡的に体腔内
に挿入され生体組織に接近させたプローブの先端のノズ
ルから高圧液体を噴射し、患部を手術するためのウォー
タジェット手術装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ウォータジェット手術装置は、特
開昭６３−９９８５３号公報に示すように、経内視鏡的
に体腔内に挿入されるプローブと、このプローブに液体
を供給する液体供給源と、この液体供給源から供給され
る液体の液圧を制御する液体供給制御部とから構成され
ている。そして、前記プローブの先端に設けた噴射ノズ
ルから高圧液体を噴射し、この高圧液体の圧力によって
患部の切除等の手術を行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のウォ
ータジェット手術装置は、患部を治療中に誤って出血さ
せてしまった時、その出血部を探して止血するためには
洗浄用チューブを再挿入するか、内視鏡の挿通用チャン
ネルを利用して洗浄用液体を患部に吹きかけて洗浄しな
ければならず、手術が煩雑であった。

【０００４】この発明は、前記事情に着目してなされた
もので、その目的とするところは、患部を治療中に誤っ
て出血させてしまった時でも洗浄用液体を簡単に供給で
き、操作が容易に行えるウォータジェット手術装置を提
供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は前記目的を達
成するために、内視鏡の挿通用チャンネルに挿通可能な
プローブと、このプローブの先端に設けられた噴射ノズ
ルと、前記プローブに液体を供給して噴射ノズルから高
圧液体を噴射させるとともに、噴射される高圧液体の液
圧を調節可能な液体供給制御部とからなるウォータジェ
ット手術装置において、前記プローブの先端部に前記噴
射ノズルと相対的に進退自在で、前進または後退によっ
て噴射ノズルの開口面積より大きく開口する開口部を設
けたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】プローブに液体を供給してプローブの先端に設
けられた噴射ノズルから高圧液体を噴射して患部を治療
中に誤って出血させてしまった時、噴射ノズルを相対的
に前進または後退させ、噴射ノズルの開口面積より大き
い開口部を開口させ、この開口部から洗浄用液体を出血
部に吹き付けて洗浄する。

【０００７】

【実施例】以下、この発明の各実施例を図面に基づいて
説明する。

【０００８】図１〜図３は第１の実施例を示す。図３は
ウォータジェット手術装置の全体的構成示すもので、内
視鏡１の挿通用チャンネル２に挿通可能なプローブ３
と、このプローブ３に液体を供給してプローブ３の噴射
ノズル４から高圧液体を患部表面Ｋに噴射可能な液体供
給制御部５によって構成されている。

【０００９】プローブ３は先端に噴射ノズル４を取り付
けたフレキシブルな供給チューブ６と、この供給チュー
ブ６と一体的に結合されたフレキシブルな吸引チューブ
７とを備えている。この結果、液体供給制御部５から供
給される液体は供給チューブ６を介して噴射ノズル４か
ら体腔内に噴射され、体腔内に溜まった液体は吸引チュ
ーブ７から再び液体供給制御部５に吸引される。

【００１０】液体供給制御部５は、供給チューブ６の基
端が接続された供給タンク８と、吸引チューブ７の基端
が接続された吸引ポンプ９とを備えている。供給タンク
８は、伸縮自在な仕切体１０によって加圧部１１と収納
部１２とに仕切られている。収納部１２には噴射ノズル
４から噴射されて患部を切除するために用いられる液体
（例えば、生理食塩水）が収容されている。加圧部１１
には圧力センサ１３が設けられているとともに、加圧ポ
ンプ１４が接続されている。

【００１１】また、供給タンク８には制御用弁１５が設
けられ、この弁１５に供給チューブ６の基端が接続され
ている。したがって、加圧ポンプ１４が作動して加圧部
１１が加圧され仕切体１０が押圧されることによって、
収納部１２が圧縮されて液体が加圧される。加圧された
液体は制御用弁１５を介して供給チューブ６に供給さ
れ、噴射ノズル４から高圧で噴射される。

【００１２】また、圧力センサ１３から出力される圧力
信号は、比較器１６に入力される。比較器１６には液体
を所望の圧力に調節可能な設定器１７が接続されてい
る。このため、比較器１６は設定器１７から出力された
設定信号と圧力センサ１３から出力された圧力信号と比
較して、その比較値に応じて加圧ポンプ１４の加圧力を
制御可能に構成されている。なお、設定器１７はマニュ
アルまたはオートで設定可能に構成されている。

【００１３】また、設定器１７から出力される設定信号
は吸引ポンプ９にも入力されており、設定信号に応じて
吸引力が制御可能に構成されている。吸引ポンプ９はＯ
Ｒ回路１８を介して接続されたメインスイッチ１９また
は個別スイッチ２０によって作動可能に構成されてい
る。メインスイッチ１９をオンすると、その信号によっ
て制御用弁１５が開くとともに、加圧ポンプ１４も作動
可能に構成されている。

【００１４】なお、吸引ポンプ９によって吸引された液
体は吸引チューブ７の基端に接続された貯液タンク２１
に貯蔵される。また、２２は後述する処置洗浄切換えノ
ブである。

【００１５】前記プローブ３の先端部は図１および図２
に示すように構成されている。すなわち、プローブ３の
先端には円筒状で、先端部を先細に形成したプローブ先
端部材２３が設けられている。このプローブ先端部材２
３の先端には開口部としての洗浄用ノズル２４が開口し
ている。

【００１６】プローブ先端部材２３には前記噴射ノズル
４が進退自在に内挿されている。噴射ノズル４は先端部
が前記洗浄用ノズル２４に挿脱自在であり、この先端部
にノズル孔４ａが穿設されている。噴射ノズル４の基端
部には十字状で、液体通路２５ａが形成された枠部２５
が設けられ、この枠部２５の外周リング部には雄ねじ部
２６が形成されている。この雄ねじ部２６はプローブ先
端部材２３の内周面に形成された雌ねじ部２７と螺合し
ており、噴射ノズル４を右または左方向に回転すること
により、噴射ノズル４が前進または後退するようになっ
ている。

【００１７】さらに、噴射ノズル４の中間部にはパッキ
ン材２８が嵌着され、噴射ノズル４を回転して前進させ
たとき、プローブ先端部材２３の内周面にパッキン材２
８が接合して洗浄用ノズル２４を閉塞できるようになっ
ている。また、噴射ノズル４の基端部にはノズル進退動
作用の密巻コイル２９の一端が接続され、この他端は前
記処置洗浄切換えノブ２２に接続されている。

【００１８】次に、前述のように構成されたウォータジ
ェット手術装置の作用について説明する。処置洗浄切換
えノブ２２を操作して密巻コイル２９を例えば右回りに
回転すると、雄ねじ部２６と雌ねじ部２７との螺合によ
り噴射ノズル４が前進し、パッキン材２８がプローブ先
端部材２３の内周面に密着し、洗浄用ノズル２４が水密
状態に閉塞される。

【００１９】この状態で、液体供給制御部５から供給チ
ューブ６を介して高圧液体を供給すると、高圧液体は噴
射ノズル４のノズル孔４ａから噴射する。この高圧液体
の噴射圧力によって患部表面Ｋを切開するなどの処置を
行うことができる。

【００２０】このような手術中に患部表面Ｋから出血し
た場合に、処置洗浄切換えノブ２２を操作して密巻コイ
ル２９を例えば左回りに回転すると、雄ねじ部２６と雌
ねじ部２７との螺合により噴射ノズル４が後退し、パッ
キン材２８がプローブ先端部材２３の内周面から離間す
る。したがって、洗浄用ノズル２４が開口され、供給チ
ューブ６から供給された高圧液体は液体通路２５ａを介
して洗浄用ノズル２４から出血部に向かって噴射され、
患部表面Ｋを洗浄して止血することができる。

【００２１】前記洗浄用ノズル２４の開口面積は噴射ノ
ズル４の開口面積より十分に大きいため、液体流量が大
きく、水圧が低くなる。したがって、洗浄に適する水圧
および流量になる。

【００２２】このように処置洗浄切換えノブ２２を操作
することによって処置と洗浄が簡単に切り換えられ、処
置中に出血した場合にはその出血部に瞬時に洗浄用の液
体を吹き付けて瞬時に止血させることができる。

【００２３】図４〜図６は第２の実施例を示し、第１の
実施例と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略す
る。プローブ先端部材２３の内部には液体通路３０ａを
有するノズル固定部材３０が設けられ、このノズル固定
部材３０の中央部には噴射ノズル４を進退自在および回
転自在に支持する筒部３１が設けられている。この筒部
３１には略Ｓ字状の溝３２が設けられ、この溝３２には
噴射ノズル４に突設されたピン３３が移動自在に係合し
ている。

【００２４】処置洗浄切換えノブ２２を操作して密巻コ
イル２９を例えば右回りに回転すると、ピン３３が溝３
２によって案内されながら相対的に移動し、噴射ノズル
４が前進し、パッキン材２８がプローブ先端部材２３の
内周面に密着し、洗浄用ノズル２４が水密状態に閉塞さ
れる。

【００２５】したがって、液体供給制御部５から供給チ
ューブ６を介して高圧液体を供給すると、高圧液体は噴
射ノズル４のノズル孔４ａから噴射する。この高圧液体
の噴射圧力によって患部表面Ｋを切開するなどの処置を
行うことができる。

【００２６】このような手術中に患部表面Ｋから出血し
た場合に、処置洗浄切換えノブ２２を操作して密巻コイ
ル２９を例えば左回りに回転するとピン３２が溝３１に
よって案内されながら相対的に移動し、噴射ノズル４が
後退し、パッキン材２８がプローブ先端部材２３の内周
面から離間する。

【００２７】したがって、洗浄用ノズル２４が開口さ
れ、供給チューブ６から供給された高圧液体は液体通路
３０ａを介して洗浄用ノズル２４から出血部に向かって
噴射され、患部表面Ｋを洗浄して止血することができ、
第１の実施例と同様の作用効果がある。

【００２８】図７は第３の実施例を示し、第１の実施例
と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。プ
ローブ３の途中には圧電素子３４が圧電素子固定具３５
によって固定されている。圧電素子３４の一方の面は供
給チューブ６内を通る液体に接していて、パルサ３６に
電圧が印加され発生した超音波が液体中に放射されるよ
うになっている。

【００２９】圧電素子３４には超音波の反射波の到達時
間を計算する演算器３７が接続されている。また、パル
サ３６と演算器３７は制御部３８に接続されていて、印
加電圧の発生タイミングと反射波の演算の制御が行われ
る。なお、制御部３８は設定器１７、演算器３７はモニ
ター３９に接続されている。

【００３０】パルサ３６によって発生した電圧が圧電素
子３４に印加されると、圧電素子３４は超音波を発生す
る。発生した超音波は供給チューブ６内の加圧液体中を
伝搬して高圧液体が当たっている患部表面Ｋに放射され
る。このとき、患部表面Ｋで反射した超音波は逆ルート
を辿って圧電素子３４に到達する。

【００３１】このとき、パルサ３６が電圧信号を発生し
た時から、この反射波が圧電素子３４に戻ってくるまで
の時間が測定できれば噴射ノズル４と患部表面Ｋとの距
離が算出できる。つまり、噴射ノズル４から圧電素子３
４までの距離が分かっているのでその距離を超音波の水
中での音速（約1500ｍ／ｓｅｃ）で割ればプローブ３内
を超音波が伝搬する時間が算出できる。その時間を反射
波が圧電素子３４に戻ってくるまでの測定時間より引け
ば、噴射ノズル５と患部表面Ｋとの距離を超音波が伝達
する時間が求まる。その求めた時間に超音波の水中での
音速を掛ければ噴射ノズル４と患部表面Ｋとの距離とな
る。

【００３２】このように演算器３７で演算されたデータ
は制御部３８に出力される。制御部３８は入力された演
算データに基づいて設定器１７に信号を送り、液体の圧
力を制御する。すなわち、例えば患部表面Ｋが後退して
噴射ノズル４との距離が大きくなった場合には、加圧ポ
ンプ１４の加圧量を増加させ、一方、噴射ノズル４が患
部表面Ｋに接近し過ぎた場合には、加圧ポンプ１４の加
圧量を減少させる。また、患部表面Ｋの切除量に応じて
プローブ３を患部表面Ｋに対して接近または離間させる
ように指令を送ることもできる。

【００３３】このようにウォータジェット手術装置は、
切除量を測定し、その切除量（噴射ノズル４と患部表面
Ｋとの間の距離）に対応して安定かつ安全な治療を行う
ことが可能となる。なお、噴射ノズル４を透明材料で形
成すれば、患部およびプローブ３の方向が目視可能とな
る。

【００３４】図８および図９は、変形例１を示し、ウォ
ータジェット手術装置において、噴射ノズル４０を任意
な方向に湾曲できるようにしたものであり、第１の実施
例と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
すなわち、噴射ノズル４０は形状記憶合金または形状記
憶樹脂によって形成されている。また、生理食塩水パッ
クＴと接続し、高圧液体を供給する供給チューブ６の途
中には電気ヒータ４１が設けられ、この電気ヒータ４１
には温度制御ボリューム４２と電源４３が直列に接続さ
れている。

【００３５】したがって、加圧ポンプ１４から供給され
た加圧液体は供給チューブ６を通過中に電気ヒータ４１
によって加熱されて温水となり、この温水が供給チュー
ブ６から噴射ノズル４０に導かれると、噴射ノズル４０
が温水によって加温され、噴射ノズル４０が記憶された
形状に湾曲すると同時に噴射ノズル４０から噴射する温
水によって患部の切除処置ができる。このように噴射ノ
ズル４０を形状記憶合金または形状記憶樹脂によって形
成することによって、噴射ノズル４０を任意の方向に湾
曲して噴射方向を制御できる。

【００３６】図１０および図１１は、変形例２を示し、
ウォータジェット手術装置において、噴射ノズル４０を
任意な方向に湾曲できるようにしたものであり、図８お
よび図９と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略
する。噴射ノズル４０は形状記憶合金または形状記憶樹
脂によって形成されている。また、高圧液体を供給する
供給チューブ６は混合比可変器４４を介して温水供給ポ
ンプ４５と冷水供給ポンプ４６に接続されている。

【００３７】したがって、生理食塩水Ｔから供給された
加圧液体の一部は温水供給ポンプ４５によって加熱され
て温水となり、残りの一部は冷水供給ポンプ４６によっ
て冷却されて冷水となる。

【００３８】温水と冷水は混合比可変器４４により制御
され、任意の温度の加圧液体となり、噴射ノズル４０に
導かれると、噴射ノズル４０が加温または冷却され、噴
射ノズル４０が記憶された形状に湾曲すると同時に噴射
ノズル４０から噴射する温水によって患部の切除処置が
できる。このように噴射ノズル４０を形状記憶合金また
は形状記憶樹脂によって形成することによって、噴射ノ
ズル４０を任意の方向に湾曲して噴射方向を制御でき
る。

【００３９】なお、図示しないが、ウォータジェットメ
スの噴射ノズルを形成する導水管の噴射口近傍を透明材
料によって形成することにより、患部および導水管の方
向（水の噴射方向）が目視可能となる。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、プローブに液体を供給してプローブの先端に設けら
れた噴射ノズルから高圧液体を噴射して患部を治療中に
誤って出血させてしまった時、噴射ノズルを相対的に前
進または後退させ、噴射ノズルの開口面積より大きい開
口部を開口させ、この開口部から洗浄用液体を出血部に
吹き付けて洗浄することができる。したがって、患部を
治療中に誤って出血させてしまった時でも洗浄用液体を
簡単に供給でき、操作が容易に行えるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施例に係わるウォータジェ
ット手術装置のプロープの先端部を示す縦断側面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図３】同実施例のウォータジェット手術装置の概略的
構成図。

【図４】この発明の第２の実施例に係わるウォータジェ
ット手術装置のプロープの先端部を示し、噴射ノズルを
前進させた状態の縦断側面図。

【図５】同実施例の噴射ノズルを後退させた状態のプロ
ーブの先端部の縦断側面図。

【図６】同実施例のプローブの斜視図。

【図７】この発明の第３の実施例に係わるウォータジェ
ット手術装置の概略的構成図。

【図８】噴射ノズルを任意な方向に湾曲できるウォータ
ジェット手術装置の変形例１を示す概略的構成図。

【図９】同変形例の噴射ノズルを示す斜視図。

【図１０】噴射ノズルを任意な方向に湾曲できるウォー
タジェット手術装置の変形例２を示す概略的構成図。

【図１１】同変形例の噴射ノズルを示す斜視図。

【符号の説明】

１…内視鏡、２…挿通用チャンネル、３…プローブ、４
…噴射ノズル、５…液体供給制御部、２４…洗浄用ノズ
ル（開口部）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内視鏡の挿通用チャンネルに挿通可能な
   プローブと、このプローブの先端に設けられた噴射ノズ
   ルと、前記プローブに液体を供給して噴射ノズルから高
   圧液体を噴射させるとともに、噴射される高圧液体の液
   圧を調節可能な液体供給制御部とからなるウォータジェ
   ット手術装置において、前記プローブの先端部に前記噴
   射ノズルと相対的に進退自在で、前進または後退によっ
   て噴射ノズルの開口面積より大きく開口する開口部を設
   けたことを特徴とするウォータジェット手術装置。