JPH05223389A - 燃料電池・冷凍機一体システムとその制御方法 - Google Patents

燃料電池・冷凍機一体システムとその制御方法

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JPH05223389A
JPH05223389A JP3309636A JP30963691A JPH05223389A JP H05223389 A JPH05223389 A JP H05223389A JP 3309636 A JP3309636 A JP 3309636A JP 30963691 A JP30963691 A JP 30963691A JP H05223389 A JPH05223389 A JP H05223389A
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JP
Japan
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heat
refrigerant
fuel cell
solution
absorption
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JP3309636A
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Masaki Nakao
正喜 中尾
Shisei Waratani
至誠 藁谷
Kazuo Oshima
一夫 大島
Tsuneo Uekusa
常雄 植草
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池・冷凍機一体システムにおいて、燃
料電池セルから放出される熱を最大限に有効に回収し、
活用する。 【構成】 冷媒再生管4および低温再生器16,凝縮器
17,吸収器18、蒸発器19により二重効用吸収式冷
凍サイクルを構成し、蒸発器19より冷熱を得る。ここ
で、冷媒再生管4を燃料電池セル1に配置して、燃料電
池セル1から発電に伴う熱を、冷却を兼ねて回収し、中
間媒体を介さずに二重効用冷凍サイクル内の希吸収溶液
に直接に与え、再生された水冷媒蒸気を水蒸気分離器B
11で分離し、低温再生器16へ駆動熱源として供給す
る。これにより、中間媒体を用いた場合の熱交換および
熱搬送に伴うエクセルギーの低下、熱損失を阻止して、
それらを最小に抑え、燃料電池セル1からの排熱を最大
限に回収して冷熱生成に利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池本体内の電池
セルから、発電を行う際に発生する熱を直接回収するこ
とにより、二重効用吸収式冷凍サイクルを駆動して冷熱
を得る、燃料電池・冷凍機一体システムとその制御方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、燃料電池から放出される排熱を
利用して、例えば空調用の冷熱を得るためには、燃料電
池本体内の電池セルを冷却している冷却水系より回収さ
れた排熱を用いて単効用吸収式冷凍機を駆動している。
【0003】図2は、一般の単効用吸収式冷凍機を用い
た燃料電池排熱利用システムの従来例の構成図である。
図中の1は燃料電池セル、2はヘッダー、3は冷却水伝
熱管、5は水蒸気分離器、6は冷却水ポンプ、7はイン
バータ、8は純水製造装置、9は純水供給ポンプ、10
は燃料改質装置を示す、これらの要素は燃料電池を構成
している。また、図中の12は吸収式冷凍機の駆動蒸気
の循環ポンプ、13は燃料電池セル1を冷却する冷却水
系より排熱を回収するための熱交換器、25は排熱制御
バルブである。また、14は再生器、17は凝縮器、1
8は吸収器、19は蒸発器、20は溶液熱交換器、23
は溶液ポンプ、24は冷媒ポンプを示し、これらは単効
用吸収式冷凍機を構成している。
【0004】燃料電池は、燃料電池セル1に空気から酸
素を、燃料改質装置10から水素を供給し、これらを電
解質を介して電気化学的に反応させることにより発電を
行うものであり、その発電出力はインバータ7を通した
りして利用されている。燃料改質装置10は、都市ガス
等の燃料に水蒸気を混入して水素リッチなガスへ改質し
ている。燃料電池セル1の発電には発熱を伴うため、冷
却水伝熱管3が設けられ、これと水蒸気分離器5の間で
冷却水を冷却水ポンプ6により循環させている。冷却に
より生ずる水蒸気は水蒸気分離器5から燃料改質器10
へ供給され、これによる冷却水の減少を、純水製造装置
8から純水供給ポンプ9により水蒸気分離器5へ補給し
ている。
【0005】単効用吸収式冷凍機において、再生器14
と凝縮器17は一つの気密容器に上部を開口した仕切り
を設けて形成され、吸収器18と蒸発器19は別な気密
容器に上部を開口した仕切りを設けて形成される。再生
器14の吸収溶液は吸収器18に散布され、吸収器18
の吸収溶液は溶液ポンプ23で再生器18に散布されて
循環する構成とされている。一方、凝縮器17の冷媒は
蒸発器19に散布され、蒸気器19の冷媒は冷媒ポンプ
24で蒸気器19に散布される構成となっている。駆動
用の熱は再生器14の伝熱管に供給され、さらに、屋外
に設置された冷却塔により冷却された冷却水が凝縮器1
7,吸収器18の各伝熱管に循環されて熱交換を行い、
凝縮器17では再生器14において駆動用の熱で吸収溶
液から再生された冷媒蒸気を凝縮し、吸収器18では蒸
発器19で生成された冷媒蒸気を吸収溶液に吸収させて
希釈する。このような熱交換で構成される吸収式冷凍サ
イクルにより、蒸発器19の伝熱管に導いた水を通して
冷熱を得るものである。溶液熱交換器20は、再生器1
4からの高温の濃吸収溶液と吸収器18からの低温の希
吸収溶液の熱交換を行うためのものである。
【0006】燃料電池からの排熱は燃料電池セル1への
冷却水の循環回路に挿入された熱交換器13により回収
され、温水あるいは水蒸気を熱搬送媒体として循環ポン
プ12で循環させて、吸収式冷凍機の再生器14に駆動
用の熱源として供給されている。
【0007】このような単効用吸収式冷凍機に対して、
二重効用吸収式冷凍機がある。二重効用吸収式冷凍機は
再生器を二重に備えて、レベルの高い高温熱源を駆動源
とするものである。図3はその二重効用吸収式冷凍機を
用いた従来例の燃料電池と排熱利用システムの構成図で
ある。図中の15が高温再生器、16が低温再生器、2
6が排熱制御用バルブ、21が高温側溶液熱交換器、2
2が低温側溶液熱交換器であり、その他の構成要素は図
2の第1の従来例と同様である。
【0008】この図3に示す第2の従来例は、図2の燃
料電池と排熱利用システムに比較して、排熱回収用熱交
換器13を省いたもので、高温再生器15内に導かれる
伝熱管の材質を強化することで、燃料電池の冷却水系で
回収された燃料電池セル1の排熱を直接に吸収式冷凍機
に供給するものである。このめた、第2の従来例では、
溶液を低温再生器16と並列に高温再生器15に循環さ
せ、高温再生器15で蒸発した冷媒を低温再生器16の
駆動熱源として供給し、凝縮器17側へ供給している。
また、濃吸収溶液と希吸収溶液の熱交換のために、低温
側溶液熱交換器22のほかに高温側溶液熱交換器21を
設けている。これにより二重効用冷凍サイクルを駆動し
て冷熱を効率良く得ようとするものであり、その他の機
構は前記の図2のシステムと同様である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術による燃料電池と排熱利用システムでは、排熱
回収における熱交換でのエクセルギー低下、および熱搬
送に伴う熱損失が常に存在しているため、吸収式冷凍機
の性能が十分に得られないという問題がある。
【0010】図2の排熱回収用熱交換器13を介したシ
ステムでは、この熱交換器13におけるエクセルギー損
失により、燃料電池から排熱として放出される冷却水系
の水蒸気の温度に比べ、吸収式冷凍機の再生器入口の熱
搬送媒体の温度は低下し、十分に吸収式冷凍機を駆動で
きない場合がある。
【0011】また、図3の燃料電池と排熱利用システム
においては、燃料電池の冷却水系から排熱として放出さ
れる水蒸気を直接、吸収式冷凍機の再生器に取り込むの
で、排熱回収用熱交換器を省くことができる分だけエク
セルギー損失は減るが、燃料電池セルで生ずる熱を、水
蒸気を中間媒体として吸収溶液と熱交換させるのに伴う
エクセルギー損失、および蒸気配管における熱損失は免
れない。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものあり、その目的は、燃料電池の電池セルから
放出される熱を最大限に有効に回収し、活用する燃料電
池・冷凍機一体システムとその制御方法を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の燃料電池・冷凍機一体システムにおいて
は、燃料電池と、該燃料電池の発電に伴って発生する熱
を回収しこれを希吸収溶液の再生の駆動熱源として吸収
式冷凍サイクルを駆動し蒸発器から冷熱を得る吸収式冷
凍機と、からなる燃料電池・冷凍機一体システムであっ
て、燃料電池を構成する燃料電池セル内部に冷媒再生管
を配置し、該冷媒再生管に吸収式冷凍サイクル中の希吸
収溶液の一部を導き、発電と同時に前記燃料電池セルよ
り発生した熱を受け取って前記冷媒再生管内で再生され
た冷媒蒸気と濃縮された濃吸収溶液とを分離する気液分
離器を設け、前記気液分離器で分離された冷媒蒸気を前
記希吸収溶液の残部を再生する駆動熱源として導く構成
としている。
【0014】また、同じく上記目的を達成するための本
発明の燃料電池・冷凍機一体システムの制御方法におい
ては、上記の燃料電池・冷凍機一体システムにおいて、
燃料電池セルの温度を検出して該燃料電池セル温度が一
定値となるように冷媒再生管内への希吸収溶液の溶液循
環量を調節し、発電に伴う前記燃料電池セルの放熱量に
見合った熱量を該冷媒再生管で回収して吸収式冷凍サイ
クルの駆動熱源とし、蒸発器内伝熱管の入口温度を検出
して吸収式冷凍サイクルの運転下限状態での設定温度と
比較し該設定温度よりも低くなった場合に前記蒸発器へ
導かれる冷媒の一部あるいは全てをバイパスさせること
で、前記燃料電池セルで生じた熱の回収量および前記冷
媒再生管における冷媒蒸気の再生量に変化を与えること
なく、前記吸収式冷凍サイクルでの冷凍能力を制御する
構成としている。
【0015】
【作用】本発明の燃料電池・冷凍機一体システムでは、
冷媒再生管を燃料電池本体内の燃料電池セルに通すこと
により、燃料電池セルから放出される熱を、中間媒体を
介さずに二重効用冷凍サイクル内の希吸収溶液に直接に
与える。これにより、中間媒体を用いた場合の熱交換お
よび熱搬送に伴うエクセルギーの低下,熱損失を阻止
し、エクセルギーの低下,熱損失を最小に抑える。ま
た、このとき、燃料電池セル温度が一定値となるように
冷媒再生管内への希吸収溶液の溶液循環量を調節すると
ともに、蒸発器内伝熱管の入口温度が吸収式冷凍サイク
ルの運転下限状態での設定温度よりも低くなった場合に
は蒸発器へ導かれる冷媒の一部あるいは全てをバイパス
させることで、燃料電池セルの排熱の回収量および冷媒
再生管における冷媒蒸気の再生量に変化を与えることな
く、負荷に応じて吸収式冷凍サイクルの冷凍能力を制御
する
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳
細に説明する。
【0017】図1は本発明の一実施例を示す構成図であ
る。本実施例は二重効用吸収式冷凍装置を用いたシステ
ムである。図において、1は燃料電池セル、2はヘッダ
ー、3は冷却水伝熱管、4は冷媒再生管、5は水蒸気分
離器A、6は冷却水ポンプ、7はインバータ、8は純水
製造装置、9は純水供給ポンプ、10は燃料改質装置、
11は水蒸気分離器B、16は低温再生器、17は凝縮
器、18は吸収器、19は蒸発器、21は高温側溶液熱
交換器、22は低温側溶液熱交換器、27は温度センサ
ーA、28はインバータ、29は溶液循環量制御装置、
30は温度センサーB、31は流量調節三方弁、32は
冷媒バイパス制御装置を示す。
【0018】本実施例の構成は次の通りである。燃料電
池セル1は、燃料改質装置10から水素を、空気から酸
素を入力することにより発電を行い、それとともに熱を
発生する。燃料電池セル1の内部には冷却水伝熱管3が
設けられる。この冷却水伝熱管3による冷却系および上
記の燃料改質装置10の構成は、図2の第1の従来例と
同様である。冷媒再生管4は、燃料電池セル1内部に冷
却水伝熱管3とともに配置され、発電と同時に燃料電池
セル1より発生した熱を受け取り、吸収式冷凍サイクル
中の希吸収溶液の一部を再生する。水蒸気分離器11
は、冷媒再生管4内で再生された水冷媒蒸気と濃縮され
た濃吸収溶液とを分離する。ここで、濃吸収溶液は高温
側溶液熱交換器21により、冷媒再生管4に供給される
希吸収溶液と熱交換される。
【0019】低温再生器16と凝縮器17は、一つの気
密容器に上部空間が開口された仕切りにより隣あって形
成される。低温再生器16は水蒸気分離器11を経て再
生・分離された水冷媒蒸気を駆動熱源として導き、その
凝縮潜熱を利用して冷媒再生管4に分流した希吸収溶液
の残部の再生を行う。凝縮器17は、低温再生器16で
再生された水冷媒蒸気を冷却し凝縮させる。低温再生器
16で濃縮された濃吸収溶液は、冷媒再生管4と水蒸気
分離器B11を経て濃縮・分離された濃吸収溶液に合流
され、冷媒再生管4および低温再生器16に供給される
希吸収溶液との熱交換を行う低温側溶液熱交換器22を
経て、吸収器18に散布される。
【0020】吸収器18および蒸発器19の構成は、従
来例と同様である。前述の凝縮器17において凝縮した
冷媒および低温再生器16において溶液に潜熱を与えて
凝縮した冷媒は、流量調節三方弁31を通して蒸発器1
9の伝熱管に散布され、伝熱管表面で再び蒸発される。
その際に伝熱管内を流れる水より蒸発潜熱を奪い、冷水
を製造する。吸収器18は、高温側溶液熱交換器21に
おいて希吸収溶液と顕熱交換した濃吸収溶液と低温再生
器16において濃縮された濃吸収溶液との混合濃吸収溶
液に、蒸発器18において蒸発した水冷媒蒸気を吸収さ
せて希吸収溶液とする。溶液ポンプ23は、吸収器18
において水冷媒蒸気を吸収した希吸収溶液を冷媒再生管
4および低温再生器16へと搬送するためのものであ
る。また、冷媒ポンプ24は蒸発器19内の水冷媒溜り
に溜った水冷媒を蒸発器19内の伝熱管表面に再び散布
するためのものである。
【0021】以上の凝縮器17と吸収器18内の伝熱管
には、図示しない冷却塔などからの冷却水が導かれる。
前述の流量調節三方弁31は、負荷に応じて冷凍能力を
調整するために、凝縮器17で凝縮した水冷媒を蒸発器
19に導く配管の途中において吸収器18へと水冷媒を
バイパスさせる。このため、蒸発器19の伝熱管入口に
温度センサBを取り付け、蒸発器19内へ導かれる冷水
の温度を検出し、冷媒バイパス制御装置32へ入力し、
これに基づき冷媒バイパス制御装置32が流量調節三方
弁31を制御する。また、溶液ポンプ23の回転を調節
するために、インバータ28を設け、燃料電池セル1に
温度センサA27を取り付け、その温度を検出して溶液
循環量制御装置29に入力する。この温度に基づき、溶
液循環量制御装置29は、インバータ28を介して溶液
ポンプ23の回転数を制御し、冷媒再生管4へと流入す
る希吸収溶液量を制御する。
【0022】以下、上記構成の本実施例の各要素の機能
および動作を説明する。燃料電池本体の燃料電池セル1
において発電と同時に発生した排熱は、その一部が冷却
水系の冷却水伝熱管3に与えられ、排熱を回収した冷却
水は水蒸気分離器A5において純水の水蒸気が分離さ
れ、燃料電池の反応ガスとして必要な水素(H2)を都
市ガスから得るために、燃料電池本体内に内蔵されてい
る燃料改質器10に供給される。この冷却水系の冷却水
伝熱管3と同様に燃料電池セル1内には冷媒再生管4が
導かれている。この冷媒再生管4は、絶縁材料で被覆さ
れており、管あるいは管内を流れる媒体により、積層さ
れた電池セル間の短絡を防いでいる。複数の冷媒再生管
4内には、冷媒ポンプ23により希吸収溶液が途中、低
温側溶液熱交換器22および高温側熱交換器21で昇温
されたのち導かれ、燃料電池セル1と直接熱交換し、水
冷媒が再び蒸気となる相変化を伴いながら濃縮される。
この水冷媒蒸気と濃吸収溶液の2相流状態の加熱溶液は
冷媒再生管4を出て、水蒸気分離器B11に導かれる。
ここで、加熱溶液は水冷媒蒸気と濃吸収溶液とに分離さ
れ、水冷媒蒸気は低温再生器16に導かれ伝熱管を通し
て希吸収溶液に熱を与えて、管内で凝縮した後、凝縮器
17に導かれる。
【0023】低温再生器16において再生された冷媒蒸
気もまた凝縮器17に導かれ、冷却水により冷却されて
凝縮した後、前述の低温再生器16内の伝熱管内で凝縮
した水冷媒と共に蒸発器19へと導かれる。一方、前記
水蒸気分離器B11で分離された濃吸収溶液は、前記高
温側溶液熱交換器21において、冷媒再生管4へ導かれ
る希吸収溶液と熱交換した後、低温再生器16において
濃縮された濃吸収溶液と混合し、低温側熱交換器22を
通過して吸収器18へと導かれ、内部の伝熱管表面に散
布される。また、蒸発器19に導かれた水冷媒は伝熱管
表面に散布され、伝熱管内に導かれる水より熱を奪って
蒸発することで、管内を循環する水を冷却し、この冷却
された冷水から空調等に必要な冷熱が得られる。この蒸
発器19で蒸発した水冷媒蒸気は吸収器18へ導かれ、
外部より冷却水を通水してある伝熱管表面に散布した前
記濃吸収溶液に吸収され、その際に生じる吸収熱は伝熱
管内の冷却水に伝えられ、外部に放出される。水冷媒を
吸収して希釈された希吸収溶液は、溶液ポンプ23によ
り、低温側溶液熱交換器22へ導かれた後、一部は高温
側溶液熱交換器21を経て冷媒再生管4へ、残りは低温
再生管16へと再び搬送される。
【0024】以上のサイクルを繰り返すことにより、燃
料電池本体内の燃料電池セル1より発電と同時に発生す
る排熱を回収し、二重効用吸収式冷凍サイクルを駆動す
ることにより冷熱が生成される。つまり、本来、二重効
用吸収式冷凍サイクルの高温再生器に相当する冷媒再生
管4において、希吸収溶液からの冷媒の再生に必要な熱
を燃料電池セル1から直接回収することで、燃料電池セ
ル1の冷却を同時に行うものであり、冷媒の再生過程は
水の相変化であるため、燃料電池セル1内の温度分布を
均一に保ちながら熱を回収することが可能となる。
【0025】燃料電池が部分負荷運転となった場合に
は、発電に伴う燃料電池セル1の放熱量に見合った熱量
を冷媒再生管4より回収するため、温度センサーA27
により、燃料電池セル1の温度を検出し、吸収溶液循環
用ポンプ23の回転数をインバータ28により制御す
る。一方、冷熱需要が低下し、蒸発器19での冷熱発生
能力より負荷が小さくなった場合には、蒸発器19内の
水冷媒蒸発温度が低下し、凍結するのを防止するため、
蒸発器19への冷水入口温度を温度センサーB30で検
出し、この温度と蒸発器19での冷媒蒸発温度下限値に
おける設定下限温度とを比較し、設定下限温度よりも低
くなった場合に冷媒バイパス制御装置32で流量調節三
方弁31を制御し、水冷媒の一部を吸収器18にバイパ
スさせることにより、蒸発器19の能力制御を行うもの
とする。これらの制御を行うことにより、燃料電池セル
1の冷却は、冷凍機の負荷に関係なく十分に行うことが
可能であり、必要とされる放熱量に見合った熱量を回収
したうえで、冷媒再生管4により再生された冷媒量の範
囲内で蒸発器19の能力制御を行なうことができる。
【0026】このように、燃料電池セル1内に二重効用
吸収式冷凍機の高温再生器に相当する冷媒再生管4を内
蔵させ、燃料電池セル1において発電と同時に発生する
排熱を二重効用吸収式冷凍サイクル中の希吸収溶液との
熱交換を中間媒体を介さず直接熱行い、冷媒の再生に利
用することで、熱交換および熱搬送に伴うエクセルギー
を低下を阻止し、燃料電池の発電に伴う排熱エネルギー
を有効に活用することが可能となる。
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
燃料電池・冷凍機一体システムとその制御方法によれ
ば、燃料電池本体内の電池セルの冷却を行いながら、か
つ電池セルで発電と同時に発生する熱を、直接、吸収式
冷凍サイクルの吸収溶液の加熱、水冷媒の再生に用いる
ことが可能となるため、エネルギー変換に伴うエクセル
ギーの低下を低減することができる。このことは、燃料
電池を中心にしたエネルギー利用システムの総合的なエ
ネルギー利用効率を効率を向上させ、一次エネルギーと
なる燃料使用量の低減を図ることが可能となる。
【0028】特に、請求項2または請求項3の発明によ
れば、燃料電池セルの冷却を、冷凍機の負荷に関係なく
十分に行うことが可能であり、必要とされる放熱量に見
合った熱量を回収したうえで、冷凍機の能力制御を行な
う利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図
【図2】第1の従来例を示す構成図
【図3】第2の従来例を示す構成図
【符号の説明】
1…燃料電池セル、2…ヘッダー、3…冷却水伝熱管、
4…冷媒再生管、5…水蒸気分離器A、6…冷却水ポン
プ、7…インバータ、8…純水製造装置、9…純水供給
ポンプ、10…燃料改質装置、11…水蒸気分離器B、
16…低温再生器、17…凝縮器、18…吸収器、19
…蒸発器、21…高温側溶液熱交換器、22…低温側溶
液熱交換器、27…温度センサーA、28…インバー
タ、29…溶液循環量制御装置、30…温度センサー
B、31…流量調節三方弁、32…冷媒バイパス制御装
置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植草 常雄 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料電池と、該燃料電池の発電に伴って
    発生する熱を回収しこれを希吸収溶液の再生の駆動熱源
    として吸収式冷凍サイクルを駆動し蒸発器から冷熱を得
    る吸収式冷凍機と、からなる燃料電池・冷凍機一体シス
    テムであって、燃料電池を構成する燃料電池セル内部に
    冷媒再生管を配置し、該冷媒再生管に吸収式冷凍サイク
    ル中の希吸収溶液の一部を導き、発電と同時に前記燃料
    電池セルより発生した熱を受け取って前記冷媒再生管内
    で再生された冷媒蒸気と濃縮された濃吸収溶液とを分離
    する気液分離器を設け、前記気液分離器で分離された冷
    媒蒸気を前記希吸収溶液の残部を再生する駆動熱源とし
    て導くことを特徴とする燃料電池・冷凍機一体システ
    ム。
  2. 【請求項2】 発電に伴い熱を発生する燃料電池と、該
    燃料電池を構成する燃料電池セル内部に配置されて前記
    発生した熱を受け取り吸収式冷凍サイクル中の希吸収溶
    液を再生する冷媒再生管と、該冷媒再生管内で再生され
    た冷媒蒸気と濃縮された濃吸収溶液とを分離する気液分
    離器と、再生・分離された冷媒蒸気の凝縮潜熱を利用し
    て希吸収溶液の再生を行う低温再生器と、該低温再生器
    で再生された冷媒蒸気を冷却し凝縮させる凝縮器と、前
    記低温再生器で濃縮された濃吸収溶液と前記冷媒再生管
    および前記低温再生器に供給される希吸収溶液との熱交
    換を行う低温側溶液熱交換器と、前記冷媒再生管により
    濃縮・分離された濃吸収溶液と前記低温側溶液熱交換器
    により昇温された希吸収溶液との熱交換を行う高温側溶
    液交換器と、前記凝縮器において凝縮した冷媒および前
    記低温再生器において溶液に潜熱を与えて凝縮した冷媒
    を伝熱管表面で再び蒸発させてその際に該伝熱管内を流
    れる水より蒸発潜熱を奪って冷水を製造する蒸発器と、
    前記高温側溶液熱交換器において希吸収溶液と顕熱交換
    した濃吸収溶液と前記低温再生器において濃縮された濃
    吸収溶液との混合濃吸収溶液に前記蒸発器において蒸発
    した冷媒蒸気を吸収させる吸収器と、該吸収器において
    冷媒蒸気を吸収した希吸収溶液を前記冷媒再生管および
    前記低温再生器へと搬送する溶液ポンプと、前記蒸発器
    内の冷媒溜りに溜った冷媒を前記蒸発器内の伝熱管表面
    に再び散布するための冷媒ポンプと、前記凝縮器で凝縮
    した冷媒を前記蒸発器に導く配管の途中において前記吸
    収器へと冷媒をバイパスさせる流量調節三方弁と、前記
    溶液ポンプの回転を調節するためのインバータと、前記
    蒸発器内の伝熱管内へ導かれる冷水の温度を第1の温度
    センサにより検出し前記流量調節三方弁を制御する制御
    装置と、前記燃料電池セルの温度を第2の温度センサで
    検出し前記インバータにより前記溶液ポンプの回転数を
    制御し前記冷媒再生管へと流入する希吸収溶液量を制御
    する制御装置とを具備することを特徴とする燃料電池・
    冷凍機一体システム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の燃料電池・冷凍
    機一体システムにおいて、燃料電池セルの温度を検出し
    て該燃料電池セル温度が一定値となるように冷媒再生管
    内への希吸収溶液の溶液循環量を調節し、発電に伴う前
    記燃料電池セルの放熱量に見合った熱量を該冷媒再生管
    で回収して吸収式冷凍サイクルの駆動熱源とし、蒸発器
    内伝熱管の入口温度を検出して吸収式冷凍サイクルの運
    転下限状態での設定温度と比較し該設定温度よりも低く
    なった場合に前記蒸発器へ導かれる冷媒の一部あるいは
    全てをバイパスさせることで、前記燃料電池セルで生じ
    た熱の回収量および前記冷媒再生管における冷媒蒸気の
    再生量に変化を与えることなく、前記吸収式冷凍サイク
    ルでの冷凍能力を制御することを特徴とする燃料電池・
    冷凍機一体システムの制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101478115B1 (ko) * 2013-06-03 2015-01-02 포스코에너지 주식회사 흡수식 히트펌프를 이용한 연료전지의 배가스 폐열 회수장치
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