JPH052230A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH052230A
JPH052230A JP19537191A JP19537191A JPH052230A JP H052230 A JPH052230 A JP H052230A JP 19537191 A JP19537191 A JP 19537191A JP 19537191 A JP19537191 A JP 19537191A JP H052230 A JPH052230 A JP H052230A
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silver halide
sensitivity
sensitive material
layer
emulsion
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Iku Meji
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 迅速処理に際しても処理温度依存性や定着不
良がなく、かつ高感度、高鮮鋭性のハロゲン化銀写真感
光材料を提供する。 【構成】 支持体の両面(各々A面、B面と言う)に少な
くとも1層のハロゲン化銀乳剤層と親水性コロイド層か
ら成る写真層を有する感光材料において、A面側からの
み露光したときのA面の感度をsA、B面側からのみ露
光したときのB面の感度をsB、A面の感度をsA′と
したとき、各感度は下記〔1〕及び〔2〕式の関係にあ
って、かつ該感光材料の処理後の層中に存在する有機物
質量が処理前のそれの90重量%以下であるハロゲン化銀
写真感光材料による。 〔1〕 sA/sA′>4.0 〔2〕sA/sB=1.5
〜20

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感度、鮮鋭性並びに定
着性を改良し、かつ現像温度依存性の少ないハロゲン化
銀写真感光材料に関するもので、特に医療用ハロゲン化
銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【発明の背景】近年、ハロゲン化銀写真感光材料には、
高感度、優れた粒状性、高鮮鋭性、高いカバリングパワ
ーなど写真性能に対してますます高水準の要求がなされ
ている。これらの要請に対して例えばハロゲン化銀結晶
自体の晶癖、粒子サイズ分布或は個々の粒子内での沃素
の濃度分布制御など種々の複雑な技術手段が研究され実
用化されてきた。
【0003】特に医療用ハロゲン化銀写真感光材料で
は、微細な病巣を適確に見つけて、より診断性を高める
必要から現像後の画像の鮮鋭性は極めて重要とされてお
り、例えば特開昭50-28827号、同57-185038号或は特開
平1-158430号などで水溶性染料を感光層及び/又はその
隣接層中に含有させ鮮鋭性の改良を開示している。しか
しながら、これら従来法では感度と鮮鋭性が両立せず、
鮮鋭性を向上すると感度が減少すると言う欠点を有し、
感度を低下せずに鮮鋭性を上げ、診断性を向上する技術
の開発が強く望まれていた。
【0004】本出願人は、特願平2-2949号にてA面とB
面の乳剤が、それぞれ異なった感度とカバリングパワー
を有した両面塗布のハロゲン化銀写真感光材料により鮮
鋭性を向上する技術を提案した。
【0005】しかし本方法では、両面に異なった組成の
ハロゲン化銀乳剤を用いるため、現像液の温度変動によ
る影響を受け易く、得られる特性曲線が大幅に変動する
問題を有していた。
【0006】さらに両面の乳剤の違いは、当然のことな
がら定着スピードも異なり、例えば自動現像機による高
温迅速処理(Dry to Dry; 30〜45秒)が為された場合に
は、定着不良と言う重大な事故を招くことが指摘されて
いた。
【0007】感光材料の処理性を高める手段としては、
例えばハロゲン化銀粒子のバインダーとして用いられる
ゼラチンや合成高分子化合物などを減量して高銀量化し
たり、さらには硬膜剤を減量するなどが一般的に考えら
れている。
【0008】しかし、これらの方法ではカブリを増加
し、粒状性及び鮮鋭性を劣化するなどの写真性能を悪化
し、かつ感光材料の物性(例えばスリキズ、膜剥がれ、
耐圧性など)を悪化すると言う欠点を伴い好ましい方法
ではない。
【0009】このような状況から、迅速処理にて感度、
鮮鋭性並びに定着性が改良され、かつ現像処理温度依存
性の少ないハロゲン化銀写真感光材料が強く求められて
いた。
【0010】
【発明の目的】従って本発明の第1の目的は、鮮鋭性を
改良し診断性を向上した高感度の医療用ハロゲン化銀写
真感光材料を提供することである。
【0011】本発明の第2の目的は、自動現像機による
迅速処理に対しても現像処理温度依存性、ならびに定着
不良のない高感度、高鮮鋭性の医療用ハロゲン化銀写真
感光材料を提供することである。その他の目的は以下の
記述から明らかとなる。
【0012】
【発明の構成】本発明の上記の目的は、支持体の両面
(各々A面、B面と称す)に、それぞれ少なくとも1層の
感光性ハロゲン化銀乳剤層と親水性コロイド層からなる
写真層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、A
面側からのみ露光を行ったときのA面の感度をsA、B
面側からのみ露光を行ったときのB面の感度をsB、A
面の感度をsA′としたとき、sA、sB及びsA′の
関係が下記式〔1〕、〔2〕で表され、かつ該感光材料
の現像処理後の写真層中に存在する有機物質の量が、現
像処理前のそれの90重量%以下であるハロゲン化銀写真
感光材料により達成される。
【0013】〔1〕 sA/sA′>4.0 〔2〕 sA/sB=1.5〜20 以下、本発明を詳述する。
【0014】本発明における、ハロゲン化銀写真感光材
料の感度とは、以下の方法により求めたものを言う。
【0015】(1) 露光条件 (1)―1 使用蛍光増感紙(使用するフィルムの感光
波長により異なる) (ア)青色域に感度を持つ感材(Reg.感材)の場合 CaWO4を主成分とするもの(例えばコニカ〔株〕製のNR
シリーズ) (イ)緑色域に感度を有する感材(Ortho.感材)の場
合 Tbで活性化されたGd2O2Sを主成分とするもの(例えば
コニカ〔株〕製のKOシリーズ) (1)―2 X線照射条件 管電圧: 70Kvp グリッド:未使用 管電流: 100mA 時 間: 100msec 距 離: 1.85m (1)―3 露光方法 カセッテのバック側にのみ増感紙を置き、その上に試料
(フィルム)を重ねた後にアルミ階段を介して上記
((1)―2)条件で露光を行う。
【0016】(2) 現 像 現像液:XD―SR (コニカ〔株〕製) 現像温度:35℃ 定着液:XF−SR(同 上) 定着温度:33℃ 現像機:SRX-501 (同 上) (3) 感度測定法 現像後の試料について、先ず、A面からのみ露光を行っ
た試料をsA測定用にB面を除去する。次いで、B面か
らのみ露光を行った試料を2分割し同様にA、B面を各
々sA′、sB測定用に除去する。得られた3種類の試
料の特性曲線からベース濃度+カブリ濃度+1.0の濃度
を得るのに要した露光量の逆数を求め、sA、sB、s
A′、とする。
【0017】尚、赤色域及び赤外域に感度を有する感材
の場合は露光方法が各々感材により変わる。
【0018】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料の
A面及びB面の感度はsA/sA′>4.0で好ましく
は、4.5以上、より好ましくは5.0以上の感度を有してい
ることである。
【0019】又、sA/sBは1.5〜20で、好ましくは
2.5〜10の感度を有していることが好ましい。
【0020】このようにA面とB面の乳剤に感度差をつ
ける方法としては、種々なる方法が考えられるが、B面
側のハロゲン化銀粒子として粒径の小さい粒子を用いる
か、もしくはB面側に使用するハロゲン化銀粒子の構成
比を小粒子化することが挙げられる。
【0021】このようにして得られる感光材料は、その
構成層中にハロゲン化銀粒子のバインダーとして例えば
ゼラチン、合成高分子物質或はマット剤、可塑剤その他
写真用各種添加剤などの有機物質が含有されている。
【0022】本発明においては、現像処理後の写真層中
に存在するこれら有機物質を、現像処理することによっ
て、使用した量の10%以上、好ましくは15%以上30%以
下を流出させることによって本発明の目的効果を良好に
奏することを見い出したものである。
【0023】そのため、写真層に含まれる少なくとも1
つの層中に現像処理中に流出可能の有機物質を含有させ
ることが好ましい。
【0024】有機物質の流出は、一般には現像処理中の
溶解流出であって、例えば硬膜剤と反応しなかったゼラ
チン或はゼラチン誘導体、合成高分子物質などが挙げら
れる。
【0025】本発明において流出性の具体的な有機物質
としては、ゼラチン或はフタル化ゼラチン、アセチル化
ゼラチンなどのゼラチン誘導体或はデキストラン、サッ
カロース、プルランなどの糖類さらにはポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、及び
ポリアクリルアミドなどの合成高分子物質を挙げること
ができる。
【0026】このうちで特に好ましいものとしては、デ
キストラン、ポリアクリル酸又はポリアクリルアミドな
どが挙げられ、これら化合物の平均分子量は8万以下で
好ましくは4万以下である。
【0027】これら有機物を含有する層は、乳剤層、或
は保護層などの親水性コロイド層のいずれか若しくはそ
の両方でよく、好ましくは感光材料の表面に近い層に含
有させたほうがより流出し易い。
【0028】乳剤層及び/又は他の親水性コロイド層中
に存在する有機物質が現像、定着、水洗工程で溶解流出
する量の測定方法としては、処理液の分析による流出量
の定量、或は処理前後の膜厚測定法などがあるが、本発
明では以下に示す重量測定法を用いた。
【0029】即ち、処理前のフイルム試料を温度25℃相
対湿度10%以下に放置し含水率が平衡になってから重量
を測定する。次いで自動現像機により現像、定着、水洗
を経て乾燥後、再び処理前に秤量したと同じ方法で重量
測定し、処理前後の重量比から流出物の残存率を得た。
【0030】尚、支持体とハロゲン化銀については、予
め上記と同一条件にて処理減少率を算出しておきこれら
の値を差し引いて有機物の残存率を算出した。
【0031】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は
ローラー搬送型の自動現像機により処理される。自動現
像機に用いられる現像液は、現像主薬としてハイドロキ
ノンを始めとするジヒドロキシベンゼン類、1-フェニル
-3-ピラゾリドン或はアミノフェノール類などを含み、
他にアルカリ剤、保恒剤、カブリ防止剤、硬膜剤、キレ
ート剤、界面活性剤などを含む公知の現像液でよい。
【0032】また定着液も通常のものでよく、例えばチ
オ硫酸塩を定着剤とし亜硫酸ソーダを保恒剤とした酸性
硬膜定着液でよい。
【0033】現像温度は25〜50℃で好ましくは30〜45℃
の範囲でよく、現像時間は8秒から40秒、特に8秒から
25秒が好ましい。本発明に係る感光材料の全処理時間は
現像→定着→水洗→乾燥を含めて25〜200秒で特に30〜1
00秒内に処理するのが好ましい。
【0034】本発明で言う親水性コロイド層とは、ハロ
ゲン化銀写真感光材料に設層されるハロゲン化銀乳剤層
以外の親水性を指し、ゼラチンを始めとしたバインダー
成分を含む例えば保護層、中間層、ハレーション防止
層、フィルター層、現像調節層、紫外線吸収層、下塗り
層など写真用感光材料に必要な各種層を指す。
【0035】本発明の最も好ましい実施態様としては、
両面下引き処理済みのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム支持体片面上に(A面)として高感度ハロゲン化銀
乳剤層を塗布し、その上層にゼラチンをバインダー成分
とする保護層を設層する。
【0036】次いでその反対側に(B面)として(A
面)とは感度を異にした低感度ハロゲン化銀乳剤層を塗
布する。
【0037】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、沃臭化銀、沃塩化銀、沃塩臭化銀などい
ずれのハロゲン化銀であってもよいが特に高感度のもの
が得られるという点では、沃臭化銀であることが好まし
い。
【0038】写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方
体、8面体、14面体のような全て等方的に成長したも
の、あるいは球形のよう多面的な結晶型のもの、面欠陥
を有した双晶から成るものあるいはそれらの混合型また
は複合型であってもよい。 これらハロゲン化銀粒子の
粒径は、0.1μm以下の微粒子から20μmに至る大粒子で
あってもよい。
【0039】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用い
られる乳剤は、公知の方法で製造できる。例えば、リサ
ーチ・ディスクロージャー(RD)No・17643(1978年12
月)・22〜23頁の1・乳剤製造法(Emulsion Preparait
ion and types)及び同(RD)No・18716(1979年11
月)・648頁に記載の方法で調製することができる。
【0040】本発明の好ましい実施態様としては、沃化
銀を粒子内部に局在させた単分散乳剤が挙げられる。こ
こでいう単分散乳剤とは、常法により、例えば平均粒子
直径を測定したとき、粒子数または重量で少なくとも95
%の粒子が、平均粒子径の±40%以内、好ましくは±30
%以内にあるハロゲン化銀粒子である。ハロゲン化銀の
粒径分布は、狭い分布を有した単分散乳剤或は広い分布
の多分散乳剤のいずれであってもよい。
【0041】ハロゲン化銀の結晶構造は、内部と外部が
異なったハロゲン化銀組成からなっていてもよい。
【0042】本発明の好ましい態様としての乳剤は、高
沃度のコア部分に低沃度のシェル層からなる明確な二層
構造を有したコア/シェル型単分散乳剤である。
【0043】高沃度部の沃化銀含量は20〜40モル%で特
に好ましくは20〜30モル%である。
【0044】かかる単分散乳剤の製法は公知であり、例
えばJ.Phot.Sic. 12. 242〜251頁(1963)、 特開昭48-368
90号、同52-16364号、同55-142329号、同58-49938号、
英国特許1,413,748号、米国特許3,574,628号、同3,655,
394号などの公報に記載されている。
【0045】上記の単分散乳剤としては、種晶を用い、
この種晶を成長核として銀イオン及びハライドイオンを
供給することにより、粒子を成長させた乳剤が特に好ま
しい。なお、コア/シェル乳剤を得る方法としては、例
えば英国特許1.027.146号、米国特許3,505,068号、同4,
444,877号、特開昭60-14331号などの公報に詳しく述べ
られている。
【0046】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
アスペクト比が2以上の平板状粒子であってもよい。
【0047】かかる平板状粒子の利点は、分光増感効率
の向上、画像の粒状性及び鮮鋭性の改良などが得られる
として例えば、英国特許2,112,157号、米国特許4,439,5
20号、同4,433,048号、同4.414,310号、同4,434,226号
などの公報に記載の方法により調製することができる。
【0048】上述した乳剤は、粒子表面に潜像を形成す
る表面潜像型あるいは粒子内部に潜像を形成する内部潜
像型、表面と内部に潜像を形成する型のいずれの乳剤で
あってもよい。これらの乳剤は、物理熟成あるいは粒子
調製の段階でカドミウム塩、鉛塩、亜鉛塩、タリウム
塩、イリジウム塩又はその錯塩、ロジウム塩またはその
錯塩、鉄塩又はその錯塩などを用いてもよい。乳剤は可
溶性塩類を除去するためにヌーデル水洗法、フロキュレ
ーシヨン沈降法あるいは限外濾過法などの水洗方法がな
されてよい。好ましい水洗法としては、例えば特公昭35
-16086号記載のスルホ基を含む芳香族炭化水素系アルデ
ヒド樹脂を用いる方法、又は特開昭63-158644号記載の
凝集高分子剤例示G3,G8などを用いる方法が特に好
ましい脱塩法として挙げられる。
【0049】本発明に係る乳剤は、物理熟成または化学
熟成前後の工程において、各種の写真用添加剤を用いる
ことができる。公知の添加剤としては、例えばリサーチ
・ディスクロージャーNo-17643(1978年12月)及び同No
-18716(1979年11月)に記載された化合物が挙げられ
る。これら二つのリサーチ・ディスクロージャーに示さ
れている化合物種類と記載箇所を次表に掲載した。
【0050】 添加剤 RD-17643 RD-18716 頁 分類 頁 分類 化学増感剤 23 III 648―右上 増感色素 23 IV 648右―649左 現像促進剤 29 XXI 648―右上 カブリ防止剤 24 VI 649―右下 安定剤 〃 〃 色汚染防止剤 25 VII 650左―右 画像安定剤 25 VII 紫外線吸収剤 25〜26 VIII 649右―650左 フィルター染料 〃 〃 増白剤 24 V 硬化剤 26 X 651左 塗布助剤 26〜27 XI 650右 界面活性剤 26〜27 XI 650右 可塑剤 27 XII 〃 スベリ剤 〃 スタチック防止剤 27 XII 〃 マット剤 28 XVI 650右 バインダー 26 IX 651左 本発明に係る感光材料に用いることのできる支持体とし
ては、例えば前述のRD-17643の28頁及びRD-18716の647
頁左欄に記載されているものが挙げられる。
【0051】適当な支持体としては、プラスチックフィ
ルムなどでこれら支持体の表面は一般に、塗布層の接着
をよくするために、下塗層を設けたり、コロナ放電、紫
外線照射などを施してもよい。そして、このように処理
された支持体上の片面あるいは両面に本発明に係る乳剤
を塗布することができる。
【0052】本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料のす
べてに適用可能であるが、特に高感度の黒白用感光材料
に適している。
【0053】医療用X線ラジオグラフィーに本発明を適
用する場合、例えば透過性放射線曝射によって近紫外光
ないし可視光を発生する蛍光体を主成分とする蛍光増感
紙が用いられる。これを本発明の乳剤を両面塗布してな
る感光材料両面に密着し露光することが望ましい。
【0054】ここで言う透過性放射線とは、高エネルギ
ーの電磁波であって、X線及びガンマー線を意味する。
【0055】又蛍光増感紙とは、例えばタングステン酸
カルシウムを主とした蛍光成分とする増感紙、或はテル
ビウムで活性化された稀土類化合物を主成分とする蛍光
増感紙などをいう。
【0056】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。但し
当然のことではあるが、本発明は以下述べる実施例によ
り限定されるものではない。
【0057】実施例1 平均粒径0.2μmの沃化銀2.0モル%含有する沃臭化銀の
単分散粒子を核とし、沃化銀30モル%を含有する沃臭化
銀をpH9.3, pAg7.5で成長させ、その後pH7.8, pAg
8.9で臭化カリウムと硝酸銀を等モル添加し、平均沃化銀
含有率が2.3モル%の沃臭化銀粒子となるような平均粒
径1.20μm(A)、0.70μm(B)、 0.40μm(C)、 の
単分散乳剤粒子を調製した。
【0058】次に得られた乳剤は、通常の凝集法で過剰
の塩類の脱塩を行った。即ち、特開昭63-172152号の種
晶の脱塩方法と同様にして行った。
【0059】また、特開昭64-52137号の方法と同様にし
て平均粒径1.2μm(D)、0.7μm(E)、0.4μm(F)
の単分散粒子を調製した。ここでは、特開昭64-52137号
の実施例1の工程3(粒子成長終了後)に、後記の分光
増感色素(1)を300mg/AgX1モルを添加した。
【0060】次に得られた乳剤に対し、分光増感及び化
学増感を行った。即ち、乳剤(A)(B)(C)に対
し、分光増感色素(1)、(2)を200:1の重量比で、
合計600mg/AgX1モルを添加した。また、(D)(E)
(F)については、100:1の重量比で合計300mg/AgX1モ
ルを添加した。その後チオシアン酸アンモニウム塩を3.
6×10-3モル/AgX1モルと、最適量の塩化金酸とハイポで
化学熟成を行い、終了15分前に沃化カリウムを200mg/Ag
X1モル添加し、最後に4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7
-テトラザインデンを2×10-2モル添加し安定化した。
【0061】<分光増感色素(1)> 5,5′-ジクロロ-9-エチル-3,3′-ジ-(3-スルホプロピ
ル)オキサカルボシアニンナトリウム塩の無水物 <分光増感色素(2)> 5,5-ジ-(ブトキシカルボニル)-1,1-ジエチル-3,3′-
ジ-(4-スルホブチル)ベンゾイミダゾロカルボシアニ
ンナトリウム塩の無水物 得られた6種類の乳剤を用い、以下の様な乳剤塗布液を
調製した。
【0062】 塗布液−1 (A):(B):(C)=25:35:40の比率で混合 塗布液−2 (A):(B)=41.7:58.3の比率で混合 塗布液−3 (C)=100 塗布液−4 (D):(E):(F)=25:35:40の比率で混合 塗布液−5 (D):(E)=41.7:58.3の比率で混合 塗布液−6 (F)=100 得られた6種類の塗布液に対して、表1に示した高分子
化合物K−1,K−2,K−3及び後述する乳剤添加剤
を加え塗布液とした。
【0063】なお、試料No.1〜4、9〜12はA,B面
ともに塗布銀量は2.3g/m2になるよう塗布し、試料No.5
〜8、13〜16はA面が3.0g/m2、B面が1.9g/m2の銀量に
なるよう塗布した。
【0064】 K−1:デキストラン 分子量 7万 K−2:ポリアクリルアミド 〃 〃 K−3:ポリアクリル酸 〃 〃 更に、保護膜塗布液として下記に示した組成のものを調
製した。
【0065】得られた各々の塗布液を厚さ175μmの下引
き済みポリエチレンテレフタレートベース上に表1に示
す構成となる様に、2台のスライドホッパー型コーター
で両面同時に塗布を行い、2分50秒で乾燥させて試料N
o.1〜No.16を得た。
【0066】乳剤液(感光性ハロゲン化銀塗布液)に用
いた添加剤は次のとおりである。添加量はハロゲン化銀
1モル当たりの量で示す。
【0067】 1,1-ジメチロール-1-ブロム-1-ニトロメタン 10mg t-ブチル-カテコール 400mg ポリビニルピロリドン(分子量10,000) 1.0g スチレン-無水マレイン酸共重合体 7.5g トリメチロールプロパン 10g ジエチレングリコール 5g ニトロフェニル-トリフェニルホスホニウムクロリド 50mg 1,3-ジヒドロキシベンゼン-4-スルホン酸アンモニウム 4g 2-メルカプトベンツイミダゾール-5-スルホン酸ナトリウム 15mg
【0068】
【化1】
【0069】 1−フェニル―5―メルカプトテトラゾール 1mg 又保護層液に用いた添加物は次のとおりである。添加
量は塗布液1l当たりの量で示し、ゼラチンが片面当た
り1.15g/m2になるよう両面塗布した。
【0070】 石灰処理イナートゼラチン 68g 酸処理ゼラチン 2g ソジウム-iso-アミル-n-デシル-スルホサクシネート 1g ポリメチルメタクリレート、 面積平均粒径3.5μmのマット剤 1.1g 二酸化ケイ素粒子 面積平均粒径1.2μmのマット剤 0.5g ルドックスAM (デュポン社製) (コロイダルシリカ) 30g C4F9SO3K 2mg
【0071】
【化2】
【0072】 (CH=CH−SO2−CH2)20 5g 得られた試料を用いて以下に示す方法により各種の性
能を評価した。
【0073】〔感度〕試料を2枚の増感紙KO-250に挟
み、管電圧 80KVp、管電流 100mA、照射時間 50msecで
アルミウェッジを介して露光を行った後、SRX-501自動
現像機を用い、35℃のXD-SR現像機、33℃のXF-SR定着液
で45秒処理を行った。得られた試料について、ベース濃
度+カブリ濃度+1の濃度を得るのに必要な露光量の逆
数を求め感度とした。
【0074】表中の感度は、試料NO.1の35℃現像の試
料を100としたときの相対感度で示した。
【0075】〔MTFの測定〕各試料について、矩形波チ
ャートを撮影し、コントラスト法によりMTFを求めた。
尚、MTFは空間周波数2.0本/mmの値とした。
【0076】〔定着性試験〕各試料を、25℃の定着液
(XF-SR)に浸漬し、ハロゲン化銀が溶出しきるまでの時
間を測定した。この測定において、溶出するまでの時間
が8秒を超えると45秒処理において定着不良を起こし、
長期の保存において変色するレベルである。
【0077】〔処理温度依存性〕感度の試験と同様に、
自動現像機SRX-501、XD-SR、XF-SRを用い、現像温度3
2、35、38℃で45秒処理をおこなった。その結果得られ
た試料の感度とコントラストを測定した。コントラスト
は、特性曲線において濃度0.25〜2.0までの傾きを表し
たものである。
【0078】〔有機物質残存量〕前記した処理前後のフ
ィルム重量測定法による残存率で示した。
【0079】以上の結果を試料の内訳と共に次の表1,
2に示した。
【0080】表1,2より本発明に係る試料は、処理温
度が変っても感度、コントラストの変動が少なく、定着
性を劣化せずに高鮮鋭性の画像を得られることが分か
る。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】実施例2 特開昭64-52137号の実施例2と同様にして、平板粒子を
調製した。平板粒子としては、粒径が1.2μm(G)、0.7
μm(H)、0.4μm(I)の3種を調製した。これらの乳剤
を実施例1の乳剤(A)(B)(C)と同様の分光増感、化学
増感を施した。これらの乳剤を用いて、以下の塗布液を
調製した。
【0084】 塗布液−7 (G):(H):(I)=10:60:30の比率で混合 塗布液−8 (G):(H)=25:75の比率で混合 塗布液−9 (I)=100 塗布液−10 (D):(H)=20:80の比率で混合 塗布液−11 (H)=100 なお、試料No.17〜20、29〜32はA、B面ともに塗布銀
量は2.3g/m2になるよう塗布し、試料No.21〜28はA面が
3.0g/m2、B面が1.9g/m2の銀量になるよう塗布した。
【0085】以下、実施例1と同様にして試料17〜32を
得た。得られた試料について、実施例1と同様の試験を
行った結果を次の表3,4に示す。
【0086】表3,4から明らかなように、本発明によ
れば、平板状粒子を用いた場合にも、処理性を劣化せず
に安定して高感度、高鮮鋭性の画像が得られていること
が分かる。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【発明の効果】本発明によって、感度を低下することな
く鮮鋭性が改良され、かつ迅速処理での定着不良と現像
処理温度依存性のない医療用ハロゲン化銀写真感光材料
を得ることができた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体の両面(各々A面、B面と称す)
    に、それぞれ少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤
    層と親水性コロイド層からなる写真層を有するハロゲン
    化銀写真感光材料において、A面側からのみ露光を行っ
    たときのA面の感度をsA、B面側からのみ露光を行っ
    たときのB面の感度をsB、A面の感度をsA′とした
    とき、sA、sB及びsA′の関係が下記式〔1〕、
    〔2〕で表され、かつ該感光材料の現像処理後の写真層
    中に存在する有機物質の量が、現像処理前のそれの90重
    量%以下であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光
    材料。 〔1〕 sA/sA′>4.0 〔2〕 sA/sB=1.5〜20
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