JPH05221807A - 抗菌抗カビ剤、その製造法及びその使用法 - Google Patents

抗菌抗カビ剤、その製造法及びその使用法

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JPH05221807A
JPH05221807A JP6952892A JP6952892A JPH05221807A JP H05221807 A JPH05221807 A JP H05221807A JP 6952892 A JP6952892 A JP 6952892A JP 6952892 A JP6952892 A JP 6952892A JP H05221807 A JPH05221807 A JP H05221807A
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antibacterial
hinokitiol
antifungal agent
aqueous solution
ethanol
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JP6952892A
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Tomomi Hirai
智美 平井
Kazuhiko Sakai
和彦 酒井
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BIO KAGAKU KENKYUSHO KK
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BIO KAGAKU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒノキチオールを有効成分とし、安定な水溶
液状を呈する抗菌抗カビ剤、その製造法及びその使用法
を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の抗菌抗カビ剤は、ヒノキチオール
類、エタノール及びアスコルビン酸を含有する水溶液、
又はヒノキチオール類、エタノール、多価アルコール類
及び非イオン系界面活性剤を含有する水溶液からなる。
また、本発明は上記抗菌抗カビ剤の製造法及びその青果
物に対する使用法に関する。本発明の抗菌抗カビ剤は、
無毒性のヒノキチオールを有効成分とし、安定な水溶液
であるので、保存対象物に直接使用することができ、し
かも簡便に調製できるという利点を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌抗カビ剤、その製造
法及びその使用法に関する。より詳細には、ヒノキチオ
ール類を有効成分とする抗菌抗カビ剤、その製造法及び
その使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒノキチオールは、ヒバ油、ヒノキ油な
どに含まれているトロポロン系化合物であり、強い抗菌
抗カビ作用及び広い抗菌スペクトルを有することが知ら
れている。ヒノキチオールはヒトに対する安全性が高い
ので、食品の保存料、生花等の鮮度保持料などとして利
用されている。従来、ヒノキチオールを、上記の保存料
や鮮度保持料として使用する方法としては、ヒノキチオ
ール又はヒノキチオールを適当な担体に含浸させたもの
を包装容器や包装紙に塗布又は担持させ、ヒノキチオー
ルの昇華性を利用してヒノキチオールを蒸散させること
により、保存対象物の保存、鮮度保持を図ることが行な
われていた(例えば、特開昭61−108359号公
報、特開昭61−268601号公報、特開平1−15
3601号公報、特開平1−2114466号公報など
参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなヒノキチ
オールの昇華性を利用した方法は簡便であり、長期間に
わたって効果を維持できるという利点はあるが、保存対
象物が大量の場合には、昇華したヒノキチオールを全体
に蒸散させることが困難であったり、全体に蒸散させる
のに長時間を要するという難点があり、十分な保存効果
が得られないという問題があった。このような問題か
ら、ヒノキチオールを保存対象物に塗布することにより
保存効果を高めることが検討されたが、ヒノキチオール
は水に対して不溶性であるので、ヒノキチオール水溶液
を調製することは困難である。かかる欠点を解消するた
め、特開昭63−240765号公報には、ヒノキチオ
ールをβ−シクロデキストリンで包接化し、得られた包
接化合物(以下、H−CD包接化合物という)を水に溶
解して水溶液を調製する技術が開示されている。
【0004】この方法によれば、ヒノキチオールを含有
する水溶液を得ることはできるが、H−CD包接化合物
はヒノキチオールとβ−シクロデキストリンの1:1包
接化合物であり、ヒノキチオールの分子量(M.W. 164.2)
に比べてβ−シクロデキストリンの分子量(M.W 1135.
0)の方がはるかに大きいので、当該H−CD包接化合物
のヒノキチオール含量は約13%程度である。従って、
H−CD包接化合物を使用する場合には、ヒノキチオー
ル自体を使用する場合に比べ、約10倍量が必要とな
る。また、シクロデキストリンは高価なので、シクロデ
キストリンを可溶化助剤として使用することは経済的で
ない。更に、H−CD包接化合物水溶液を保存対象物に
塗布した場合、水分の蒸発に伴いH−CD包接化合物の
結晶が表面に析出し、ヒノキチオールが局在化する結
果、保存効果を有効に発揮し得ない問題がある。本発明
は上記従来技術の欠点を解消すべくなされたもので、本
発明者らはヒノキチオールの可溶化及び保存対象物表面
でのヒノキチオールの析出の抑制を種々検討した結果、
ヒノキチオールをエタノールに溶解し、アスコルビン酸
又は特定の溶解助剤を添加した後に水で希釈すると、安
定なヒノキチオール水溶液が得られることを見出して本
発明を完成した。即ち、本発明は、ヒノキチオールを有
効成分とし、安定な水溶液からなる抗菌抗カビ剤、その
製造法及びその使用法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の抗菌抗カビ剤は、ヒノキチオール
類、エタノール及びアスコルビン酸を含有する水溶液、
又はヒノキチオール類、エタノール、多価アルコール類
及び非イオン系界面活性剤を含有する水溶液からなる。
また、本発明の抗菌抗カビ剤の製造法は、上記抗菌抗カ
ビ剤の製造法であって、ヒノキチオール類にエタノール
を加えて溶解した後、アスコルビン酸を加えるか、又は
多価アルコール類及び非イオン系界面活性剤を加え、次
いで水にて希釈することからなる。更に、本発明の抗菌
抗カビ剤の使用法は、上記の抗菌抗カビ剤水溶液に、青
果物を接触させることからなる青果物の保存法である。
【0006】本発明において使用されるヒノキチオール
類には、ヒノキチオール自体の他、ヒノキチオールの塩
(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属
塩など)が包含され、ヒノキチオールは天然物、合成品
のいずれであってもよい。ヒノキチオールを含有するヒ
バ油、ヒノキ油などを使用することもできる。アスコル
ビン酸は、ビタミンCとして広く知られている物質であ
り、本発明においては食品添加物として使用できる程度
の純度のものが好ましい。
【0007】多価アルコール類としては、例えば、グリ
セリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグ
リコール類などが挙げられ、保存対象物が食品の場合に
は、グリセリン、プロピレングリコールなどの食品添加
物を用いるのが好ましい。本発明において、多価アルコ
ールは溶解助剤として作用すると共に、その保湿性に基
づき保存対象物の表面においてヒノキチオールの析出を
抑制する作用及び保存対象物の表面への展着性を改善す
る作用を有する。非イオン系界面活性剤としては、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Twee
n)などの各種の非イオン系界面活性剤を用いることが
できるが、保存対象物が食品の場合には、グリセリン脂
肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪
酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなど
の食品添加物が好ましい。本発明において、非イオン系
界面活性剤は溶解助剤として作用すると共に保存対象物
の表面への展着性を改善する作用を有する。
【0008】本発明の抗菌抗カビ剤は、ヒノキチオール
類、エタノール及びアスコルビン酸を含有する水溶液
(以下、アスコルビン酸型抗菌抗カビ剤という)、又は
ヒノキチオール類、エタノール、多価アルコール類及び
非イオン系界面活性剤を含有する水溶液(以下、界面活
性剤型抗菌抗カビ剤という)からなる。かかる抗菌抗カ
ビ剤は、通常は、上記の各成分を高度に含有する水溶液
からなる原液の形態で製造、保存、輸送等が行われ、用
時に水で希釈されて使用される。
【0009】原液の組成としては、アスコルビン酸型抗
菌抗カビ剤においては、通常、100ml当り、ヒノキ
チオール類0.5〜2g程度、好ましくは1g程度、エ
タノール15〜60g程度、好ましくは25〜35g程
度、アスコルビン酸0.1〜1.5g程度、好ましくは
0.25〜0.5g程度含有する水溶液からなり、更
に、ヒノキチオールの析出防止や保存対象物への展着性
を向上させるため、必要に応じて、多価アルコール(好
ましくはグリセリン又プロピレングリコール)を0.5
〜3g程度、好ましくは1g程度、非イオン系界面活性
剤(好ましくは食品添加物として許可されているもの)
を0.5〜3g程度、好ましくは1g程度添加してもよ
い。一方、界面活性剤型抗菌抗カビ剤においては、通
常、100ml当り、ヒノキチオール類0.5〜3g程
度、好ましくは1g程度、エタノール1〜10g程度、
好ましくは1.5〜4g程度、多価アルコール類0.5
〜10g程度、好ましくは1〜2g程度、非イオン系界
面活性剤0.5〜20g程度、好ましくは5〜10g程
度含有する水溶液からなる。
【0010】原液の調製は種々の方法により行なうこと
ができる。例えば、アスコルビン酸型抗菌抗カビ剤にお
いては、ヒノキチオールを所定量のエタノールに溶解し
た後、アスコルビン酸水溶液(濃度:1g/10ml程
度)を所定量添加し、必要に応じて多価アルコール及び
/又は非イオン系界面活性剤を所定量添加して撹拌し、
次いで水にて所定量に希釈する方法が好ましい。また、
界面活性剤型抗菌抗カビ剤においては、ヒノキチオール
を所定量のエタノールに溶解した後、多価アルコール及
び非イオン系界面活性剤を所定量添加し、よく混合した
後、水で所定量に希釈する方法が好ましい。これらの方
法によれば、迅速且つ確実に安定なヒノキチオール水溶
液(原液)を得ることができる。
【0011】上記の各原液は用時に水で5〜100倍程
度に希釈して使用される。希釈に際しては、ヒノキチオ
ール含量が0.05〜0.5%程度となるように調製す
るのが好ましく、ヒノキチオール含量が0.05%未満
であると十分な効果が得られないことがあり、またヒノ
キチオール含量が0.5%を超えると保存対象物によっ
ては変色を生ずるおそれがある。なお、非イオン系界面
活性剤は、必要に応じて、希釈後に再度、濃度調整を行
ってもよい。
【0012】本発明の抗菌抗カビ剤は、種々の保存対象
物の保存(防腐)、鮮度保持などに使用することがで
き、使用法としては、通常、前記の原液を適宜な濃度に
希釈した後、塗布、噴霧、浸漬等の手段により、保存対
象物と接触させることにより行われる。原液の希釈量及
び保存対象物への付着量は、保存対象物の種類、保存期
間、保存温度などにより適宜調整すればよい。保存対象
物としては、従来、ヒノキチオールを用いて防腐、鮮度
保持が図られていたものの何れにも適用することがで
き、例えば、青果物、生花、球根などが挙げられ、より
好適には、青果物、例えば、ミカン、甘夏柑、ナシ、西
洋ナシ、モモ、メロン、レモン、キウイフルーツ、グレ
ープフルーツ等の果実類、レタス、キャベツ等の野菜類
などが挙げられる。なお、本発明の抗菌抗カビ剤は、従
来と同様に、包装容器、包装紙などに塗布するなどして
使用することもできる。
【0013】本発明の抗菌抗カビ剤を食品に対して使用
する場合、より好ましい態様としては、アスコルビン酸
型抗菌抗カビ剤、又はグリセリン若しくはプロピレング
リコールを添加したアスコルビン酸型抗菌抗カビ剤が挙
げられる。この種の抗菌抗カビ剤は長期間安定な性状を
呈し得ると共に、成分がいずれも食品添加物であり、し
かも界面活性剤を含有していないので、安全性が高く、
青果物などの食品に使用しても出荷時に洗浄などの操作
を要することなく市場に供給することができるという利
点を有する。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1ヒノキチオール水溶液(原液)の調製 ヒノキチオール100mgにエタノール3mlを加えて
溶解させ、次いでアスコルビン酸水溶液(濃度:1g/
10ml)を0.25ml(アスコルビン酸として25
mg)を添加し、十分に混合した後、水にて全量を10
mlに希釈した。得られた水溶液は、透明且つ安定な性
状を呈していた。
【0015】実施例2ヒノキチオール水溶液(原液)の調製 ヒノキチオール100mgにエタノール3mlを加えて
溶解させ、次いでアスコルビン酸水溶液(濃度:1g/
10ml)を0.25ml(アスコルビン酸として25
mg)及びグリセリン100mgを添加し、十分に混合
した後、水にて全量を10mlに希釈した。得られた水
溶液は、透明且つ安定な性状を呈していた。
【0016】実施例3ヒノキチオール水溶液(原液)の調製 ヒノキチオール100mgにエタノール0.5mlを加
えて溶解させ、次いでTween20(ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル)0.5ml及びグリセ
リン0.5mlを加え、十分に混合した後、水にて全量
を10mlに希釈した。得られた水溶液は透明且つ安定
な性状を呈していた。
【0017】実施例4ヒノキチオール水溶液(原液)の調製 ヒノキチオール100mgにエタノール0.2mlを加
えて溶解させ、次いでTween20 0.6ml及び
グリセリン0.1mlを加え、十分に混合した後、水に
て全量を10mlに希釈した。得られた水溶液は透明且
つ安定な性状を呈していた。
【0018】実施例5ヒノキチオール水溶液(原液)の調製 ヒノキチオール100mgにエタノール0.5mlを加
えて溶解させ、次いでラビングKL(商品名;花王製シ
ョ糖脂肪酸エステル系界面活性剤)40μl及びグリセ
リン0.5mlを加え、十分に混合した後、水にて全量
を10mlに希釈した。得られた水溶液は半透明な性状
を呈していたが、長時間放置しても分離することなく、
安定に存在し、水で容易に希釈することができた。
【0019】以下、試験例に基づいて本発明の抗菌抗カ
ビ剤の効果を示すが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。 試験例1西洋ナシ輪紋病に対する防除効果 (病原菌接種後の果実に対する防除効果:その1) 西洋
ナシ(種類:ラ・フランス、以下同様)は、収穫後7〜
10日程度の予冷(5℃)期間を経て、常温で2〜3週
間追熟させたのちに出荷される。輪紋病(病原菌:Botr
yosphaeria berengeriana f.sp. piricola)は、主とし
てこの貯蔵期間中に多発する腐敗病であることから、収
穫後の発病を抑制することができれば著しい増収が期待
される。本実験では、上記の予冷期間を終えた健全な果
実を供試し、接種試験により本発明の抗菌抗カビ剤の発
病抑制効果について検討した。
【0020】(実験方法)健全果から径1cm程度の範
囲で果皮をはぎ取り、その部分に腐敗(発病)果の組織
片(2×2×5mm)を密着させることにより病原菌を
接種した。接種後の果実は、前述の実施例3で調製した
ヒノキチオール1%(W/V、以下、特に明示のない限
り、%はW/V%を示す)含有原液を水で所定濃度
(0.001〜1%)に希釈した水溶液を1mlずつ噴
霧した後、密封容器に納め室温で保存した(ヒノキチオ
ール処理区)。なお、ヒノキチオール原液を希釈する
際、Tween20の最終濃度が0.5%以下にならな
いよう、適宜調整した。また、対照(無処理)には、1
0%Tween20、5%エタノール及び5%グリセリ
ンからなる水溶液を1mlずつ噴霧した。 (結果)対照区においては、接種2日後になると接種し
た組織片上に病原菌菌糸の成育が認められ、5日後には
接種部位を中心に3〜4cmの褐色の病斑が発達した。
これに対して、ヒノキチオール処理区では、その処理濃
度に依存して発病抑制効果が認められ、0.05%以上
の処理濃度においては、接種後5日を経ても病斑は出現
せず、発病が強く抑えられた。また、果実表面へのヒノ
キチオールの析出はいずれも認められなかった。しかし
ながら、1%処理区の果実において、噴霧した溶液が留
まっていた部分の果皮に変色(褐変化)が認められたこ
とから、高濃度(1%以上)の処理は不適切であると判
断された。
【0021】試験例2西洋ナシ輪紋病に対する防除効果 (病原菌接種後の果実に対する防除効果:その2) 試験
例1において、使用する抗菌抗カビ剤及び果実への病原
菌の接種法を下記のように変更する以外は、同様にして
防除効果を試験した。 (a)使用する抗菌抗カビ剤:実施例5で調製したヒノキ
チオール1%含有原液を水で所定濃度(0.001〜1
%)に希釈した水溶液を使用した。なお、上記ヒノキチ
オール原液を希釈する際、界面活性剤(ラビングKL)
の最終濃度が0.4%となるように適宜調整した。 (b)果実への病原菌の接種法:果実の表皮を鋭利なナイ
フではぎ取り、そこに病原菌(Botryosphaeria berenge
riana f.sp. piricola)の菌叢ディスク(径7mm)を
置床することによって行った。 (結果)対照区においては、病原菌菌糸の成育が認めら
れ、接種6日後には接種部位を中心に褐色の病斑が広く
伸展した。これに対して、ヒノキチオール処理区では、
その処理濃度に依存して発病抑制効果が認められ、0.
05%以上の処理濃度においては、接種後6日を経ても
病斑は出現しないか軽微であり、発病が強く抑えられ
た。
【0022】試験例3西洋ナシ輪紋病に対する防除効果(発病初期の果実に対
する防除効果) 前述の試験例1及び2の接種試験の結果、ヒノキチオー
ル濃度0.05%以上、特に0.1%程度の溶液が強い
発病抑制効果を有することがわかった。しかしながら、
輪紋病菌は主として6〜7月に果実に付着・感染すると
いわれ、収穫時に全く病徴が認められない果実において
も、病原菌が潜伏感染していることが考えられる。その
ため、実際の現場では高い防除効果が得られない可能性
がある。そこで、本実験では、比較的軽微な病徴の認め
られる果実を供試し、本発明の抗菌抗カビ剤による処理
がその後の病斑の拡大に及ぼす影響について調査した。 (実験方法)すべての果実について、実験開始時の病斑
直径を測定した。一方、実施例3で調製した原液を水で
希釈し、ヒノキチオール0.1%溶液を調製し、この溶
液に試験果実を数秒間浸漬処理し、密封容器に収容して
室温で2週間保存した。その間、5日目及び9日目に病
斑の伸展を調査すると共に、上記ヒノキチオール溶液に
よる処理を反復した。なお、対照区は無処理とした。 (結果)各々の病斑を試験開始時の直径d(mm)によ
り6階級に分類し(表1参照)、階級毎にその後の大き
さの推移を調査した。その結果を図1(ヒノキチオール
処理区)及び図2(対象区)に示す。なお、図1及び図
2において、●は階級A(即ち、d<2)、◇は階級B
(即ち、2≦d<4)、▽は階級C(即ち、4≦d<
6)、□は階級D(即ち、6≦d<8)、○は階級E
(即ち、8≦d<10)、△は階級F(即ち、10≦
d)を示す。図1及び2から明らかなように、ヒノキチ
オール処理区の病斑はいずれの階級においても、対照区
と比較してその伸展が遅かった。そして、対照区との差
異は、5日目以降において特に著しいものとなり、5〜
9日目までの病斑の成長量(△Rと表記する)について
見ると、処理区において約55〜75%の抑制効果が示
された(図3参照)。
【0023】次に、14日間貯蔵後の果実の外観につい
て観察した。いずれの階級の病斑についても、ヒノキチ
オール処理によって、その成長が完全に抑止されるには
至らなかったものの、成長は抑制され、特にはじめの病
斑のサイズが小さいほど、明らかに病斑の伸展が抑制さ
れていた。全体的な発病状況について調べるため、病斑
の伸展度(病斑の直径)を測定した。その結果を表2に
示す。表2に示されるように、ヒノキチオール処理区で
は、病斑の伸展が20mm未満に留まったものが過半数
であったのに対して、対照区では、病斑の伸展が50m
m以上に発達した個体と食べられない程腐敗が進んだも
のが、全体の70%にも及んだ。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】試験例4西洋ナシの熟成等に及ぼす影響 ヒノキチオールは植物に対して生理活性(例えば、じゃ
がいも、玉ねぎの発芽の抑制など)を有することが知ら
れており、本発明の抗菌抗カビ剤を青果物などに使用し
た場合、青果物の熟成を促進(又は抑制)するようであ
れば、現場での使用に際して不都合が生ずる。そこで、
青果物の熟成に対する本発明の抗菌抗カビ剤の影響を調
べた。実施例5で調製した原液をヒノキチオール濃度
0.25%となるように水で希釈し、この溶液に西洋ナ
シ健全果(予冷処理すみ)を浸漬した。その後、室温に
放置し、追熟の度合いを調べた。対照としては、無処理
のものを用いた。その結果、対照の果実と同程度の追熟
が認められ、食味、食感にも影響は認められなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明の抗菌抗カビ剤は安定なヒノキチ
オール水溶液からなり、保存対象物に直接使用すること
ができるので、保存対象物の量の多少にかかわらず顕著
な保存効果を発揮することができる。更に保存対象物の
表面で析出することがなく、しかも簡便に調製すること
ができ、高価な溶解助剤も要しないという利点を有す
る。また、本発明の抗菌抗カビ剤の製造法によれば、上
記の抗菌抗カビ剤の製造法を容易且つ確実に調製するこ
とができる。更に、本発明の青果物の保存法によれば、
青果物を長期間保存することができ、特にアスコルビン
酸型抗菌抗カビ剤の場合、安全性が極めて高く、食品に
好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例3において、ヒノキチオール処理区にお
ける病斑の成長を示す図である。図中、●は階級A(即
ち、d<2)、◇は階級B(即ち、2≦d<4)、▽は
階級C(即ち、4≦d<6)、□は階級D(即ち、6≦
d<8)、○は階級E(即ち、8≦d<10)、△は階
級F(即ち、10≦d)を示す。
【図2】試験例3において、対照区における病斑の成長
を示す図である。図中の符号は、図1と同じである。
【図3】試験例3において、各階級における対照に対す
る病斑の成長量(△R)の阻害率(%)を示す図であ
る。図中、塗りつぶしは0〜5日後まで、斜線は5〜9
日後までを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(A01N 43/08 35:06 31:04)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒノキチオール類及びエタノールを
    含有し、更にアスコルビン酸、又は多価アルコール類と
    非イオン系界面活性剤を含有する水溶液からなる抗菌抗
    カビ剤。
  2. 【請求項2】 100ml当り、ヒノキチオール類
    0.5〜2g、エタノール15〜60g及びアスコルビ
    ン酸0.1〜1.5gを含有する水溶液からなる請求項
    1記載の抗菌抗カビ剤。
  3. 【請求項3】 追加的に、多価アルコール及び/又
    は非イオン系界面活性剤を含有する請求項2記載の抗菌
    抗カビ剤。
  4. 【請求項4】 100ml当り、ヒノキチオール類
    0.5〜3g、エタノール1〜10g、多価アルコール
    類0.5〜10g及び非イオン系界面活性剤0.5〜2
    0gを含有する水溶液からなる請求項1記載の抗菌抗カ
    ビ剤。
  5. 【請求項5】 請求項2、3又は4のいずれかに記
    載の抗菌抗カビ剤を、水で5〜100倍に希釈した水溶
    液からなる抗菌抗カビ剤。
  6. 【請求項6】 ヒノキチオール類にエタノールを加
    えて溶解した後、アスコルビン酸、又は多価アルコール
    類と非イオン系界面活性剤を加え、次いで水にて希釈す
    ることからなる抗菌抗カビ剤の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の抗菌抗カビ剤に、青
    果物を接触させることからなる青果物の保存法。
  8. 【請求項8】 青果物が、西洋ナシである請求項7
    記載の青果物の保存法。
JP6952892A 1992-02-18 1992-02-18 抗菌抗カビ剤、その製造法及びその使用法 Pending JPH05221807A (ja)

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