JPH05221248A - 車両の差動制限装置 - Google Patents

車両の差動制限装置

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JPH05221248A
JPH05221248A JP4028673A JP2867392A JPH05221248A JP H05221248 A JPH05221248 A JP H05221248A JP 4028673 A JP4028673 A JP 4028673A JP 2867392 A JP2867392 A JP 2867392A JP H05221248 A JPH05221248 A JP H05221248A
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lock torque
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成昭 今石
Yoshihisa Yonkenya
義久 四軒家
Masashi Kimura
正志 木村
Takashi Hayaki
隆 早岐
Yoshitaka Kimura
嘉孝 木村
Takeshi Sugimoto
武司 杉本
Minoru Takada
稔 高田
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両に設けられた差動機の作動媒体の制御量
とクラッチのロックトルク値との間に存在するヒステリ
シスに拘らず所望のロックトルク値を得ることができる
ようにする。 【構成】 車輪(W1、W2)の駆動状況に応じて電磁
制御差動機1の電磁クラッチに供給する電流値を調節し
て電磁クラッチに所望のロックトルク値を発生させるよ
うに制御する制御装置4が設けられ、電流値を増加させ
ることによって所望のロックトルク値を発生させる場合
には、電流値が増加する場合の電流値とロックトルク値
との関係から電流値が設定され、電流値を減少させるこ
とによって所望のロックトルク値を発生させる場合に
は、電流値が減少する場合の電流値とロックトルク値と
の関係から電流値が設定され、この設定された電流値の
電流を電磁クラッチに供給するように制御するヒステリ
シス対応電流供給手段43hが上記制御装置4に設けら
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に設けられた差動
機の差動制限装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に設けられる差動機は、車軸の両端
に設けられた一対の車輪の回転数を、それぞれ異ならせ
ることができる機構であり、例えば車両が進行方向を変
えるために旋回運動を行ったとき、内輪と外輪とで回転
数が異なることに対応するためのものである。この差動
機は、通常複数個のピニオンとこれらピニオンを挾持し
て噛合する円筒状ラック(円筒状部材の端縁部に円筒の
軸方向に歯を切ったもの)とから構成されかつ油圧クラ
ッチで差動制限する純粋な機械的構成のものと、油圧ク
ラッチの代わりに電磁クラッチを適用し、この電磁クラ
ッチに供給する電流値を制御して差動制限するいわゆる
電磁制御差動機(以下EMCD(ElectroMagnetic Cont
rol Differential)という)とが知られている。現在操
作応答性の速さから好んでEMCDが使用されることが
多い。
【0003】そこで、まず差動機のうち通常好んで用い
られるEMCDについて、図6を基に説明する。図6は
特開昭63−219123号公報によって開示されたE
MCDの一例を示す平面視の断面図である。この図に示
すように、EMCD1は、図外の駆動軸の回転を伝動す
るデフケース11と、図外の第一回転軸に上記駆動軸の
回転を伝動する遊星キャリヤ12と、図外の第二回転軸
に同駆動軸の回転を伝動するサンギヤー13とから基本
構成されるいわゆる遊星ギヤー機構を差動機構として利
用している。
【0004】この遊星ギヤー機構に、二種類の電磁多板
クラッチ14(パイロットクラッチ14aとメインクラ
ッチ14b)を内在させ、これらの電磁多板クラッチ1
4を電磁石15を励磁することによって作動させて遊星
キャリヤ12とサンギヤー13とが共回りするようにロ
ックすることによって、第一回転軸と第二回転軸との差
動が制限されるようになされている。つまり、電磁石1
5を励磁すると、電磁石15は左方の鉄塊17を吸い寄
せ、パイロットクラッチ14aを押圧しながらデフケー
ス11を右方に移動させ、デフケース11の右方への移
動によってメインクラッチ14bをも締結し、デフケー
ス11と遊星キャリヤ12、およびデフケース11とサ
ンギヤー13とは押圧リング16による押圧力も受け、
互いに共回りするいわゆるデフロックされた状態にな
る。
【0005】このようなEMCD1は、通常四輪駆動車
に採用されることが多い。図5は四輪駆動車の駆動力伝
達手段の概要を例示するスケルトン図であるが、この図
に示すように、通常EMCD1は車体Bの中央部に設け
られたセンターEMCD1c、前輪軸に設けられたフロ
ントEMCD1fおよび後輪軸に設けられたリヤEMC
D1rの三基が用いられている。
【0006】センターEMCD1cは前輪W1と後輪W
2との差動用として用いられ、フロントEMCD1fは
前輪W1の左前輪W11と右前輪W12との差動用とし
て用いられ(車両の進行方向に向かって左を左と、右を
右と表記する、以下同じ)、リヤEMCD1rは後輪W
2の左後輪W21と右後輪W22との差動用として用い
られる。
【0007】従って、四輪駆動車においては、上記三基
のEMCD1(センターEMCD1c、フロントEMC
D1fおよびリヤEMCD1r)が採用されていること
から、車両の走行中に前輪W1と後輪W2との間に回転
数の相違が発生してもそれに対応することができるし、
左前輪W11と右前輪W12との間に、あるいは左後輪
W21と右後輪W22との間に回転数の相違が発生して
もそれに対応することができる。
【0008】このようなEMCDの他の例を開示すると
共に、それを使用した場合の運転制御方法について提案
されたものとして特開昭63−192620号公報が挙
げられる。この特開昭63−192620号公報には、
EMCD内のクラッチ部材のトルクレベルの函数として
前側駆動軸と後側駆動軸とへのトルクの伝達を制御する
ようにし、前側駆動軸への駆動力伝達用の中央差動機構
から前方に延びる前側の出力シャフトに与えられるトル
クと、後側駆動軸への駆動力伝達用の中央差動機構から
後方に延びる後側の出力シャフトに与えられるトルクと
の間にバイアス(トルク差)を設けるように構成された
トルク伝達の制御装置について記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
差動機の差動制限制御においては、クラッチを作動させ
るために供給される作動媒体(EMCDの場合は電流で
あり、純粋な機械的構成の差動機の場合は油圧である)
のクラッチへの供給が、増加方向であるか、減少方向で
あるかによって、作動媒体の制御量(EMCDの場合は
電流値、純粋な機械的構成の差動機の場合は油圧値)と
クラッチのロックトルク値との間の関係に異なりがあ
り、上記制御量を一元的に設定したからといって、それ
に対応して得られるロックトルク値が同じになるとは限
らない。
【0010】例えば、図4はEMCDの場合の電磁クラ
ッチに供給される電流値とロックトルク値との関係を例
示するグラフであるが、このグラフに示すように、電流
値が上昇していく場合には、電流値とロックトルク値と
の関係は右上がり矢印の曲線Aで示され、逆に電流値が
下降していく場合には、左下がりの矢印の曲線Bで示さ
れる。このような、ある要因の増減の向きによって結果
の値が変化するような現象はヒステリシス(履歴現象)
と通称され、差動機の差動制限制御においても作動媒体
量とロックトルク値との間にこのヒステリシスが存在す
るのである。
【0011】例えば、図4のグラフにおいて、電流値を
1に設定したとする。しかしながら、この電流値I1
電流が増加するようにして到達した場合は、右上がりの
曲線Aに沿ってロックトルク値は増加するため、電流値
1に対応するロックトルク値はF1になる。逆に電流が
減少するようにして電流値I1に到達した場合には、左
下がりの曲線Bに沿ってロックトルク値は減少するた
め、電流値I1に対応するロックトルク値はF3になる。
すなわち、電流値I1に対応したロックトルク値を得よ
うとしても、電流値I1に近づく方向によってロックト
ルク値が変わるという現象が起る。
【0012】そこで、従来は同図の点線Cで示すような
平均的な電流値とロックトルク値との関係曲線を設定
し、この曲線に適合するものとして所定のロックトルク
値を得るような制御が行われていた。従って、上記電流
値I1に対しては、ロックトルク値F2が対応するが、こ
れとて、実際の値であるロックトルク値F1またはロッ
クトルク値F3のいずれとも異なり、所望のロックトル
ク値が得られないという問題点が存在した。
【0013】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、クラッチを作動させるために供給さ
れる作動媒体の制御量と、クラッチのロックトルク値と
の間に存在するヒステリシスに拘らず、所望のロックト
ルク値を得ることができる制御機構を備えた車両の差動
制限装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
車両の差動制限装置は、車両の車軸間または車輪間には
クラッチが内装された差動機が設けられ、車輪の駆動状
況に応じてクラッチの締結状態を調節してクラッチに所
望のロックトルク値を発生させるように制御する制御装
置が設けられ、クラッチを作動させる作動媒体の制御量
とロックトルク値との間のヒステリシスをもった関係を
規定するヒステリシス曲線に関する情報が上記制御装置
内に設定され、このヒステリシス曲線に基づいて要求ロ
ックトルク値およびその移動方向に応じて上記作動媒体
の制御量が設定され、この設定された制御量をクラッチ
に供給するように制御するヒステリシス対応制御量供給
手段が上記制御装置に設けられていることを特徴とする
ものである。
【0015】本発明の請求項2記載の車両の差動制限装
置は、請求項1記載の車両の差動制限装置において、上
記ヒステリシス対応制御量供給手段は、上記クラッチの
摩耗に応じてクラッチに供給する作動媒体の制御量をロ
ックトルク値の上昇方向に修正するように構成されてい
ることを特徴とするものである。
【0016】本発明の請求項3記載の車両の差動制限装
置は、請求項1または2記載の車両の差動制限装置にお
いて、上記クラッチは電磁クラッチであり、上記制御量
は電流値であることを特徴とするものである。
【0017】
【作用】上記請求項1記載の車両の差動制限装置によれ
ば、クラッチを作動させる作動媒体の制御量とロックト
ルク値との間のヒステリシスをもった関係を規定するヒ
ステリシス曲線に関する情報が上記制御装置内に設定さ
れ、このヒステリシス曲線に基づいて要求ロックトルク
値およびその移動方向に応じて上記作動媒体の制御量が
設定され、この設定された制御量をクラッチに供給する
ように制御するヒステリシス対応制御量供給手段が上記
制御装置に設けられているため、クラッチのロックトル
ク値が上昇傾向にある場合であっても、減少傾向にある
場合であっても、ヒステリシス対応制御量供給手段によ
って適正にクラッチに供給すべき制御量が設定され、所
望のロックトルク値を得ることができる。
【0018】上記請求項2記載の車両の差動制限装置に
よれば、上記ヒステリシス対応制御量供給手段は、上記
クラッチの摩耗に応じてクラッチに供給する作動媒体の
制御量をロックトルク値の上昇方向に修正するように構
成されているため、長期の使用によってクラッチが摩耗
した状態にあっても、適正に所望のロックトルク値を得
ることができる。
【0019】上記請求項3記載の車両の差動制限装置に
よれば、クラッチは電磁クラッチであり、上記制御量は
電流値であるため、極めて応答性の良好な差動制限制御
を行うことができる。
【0020】
【実施例】本発明の車両の差動制限装置は、具体的に
は、作動媒体が電流である電磁制御差動機、および作動
媒体が油圧である純粋機械的構成の油圧制御差動機の双
方を対象とするものであるが、本実施例においては、そ
れらのうち電磁制御差動機を代表させて説明する。
【0021】図1は本実施例に係る車両の差動制限装置
の全体構成を例示する説明図である。まず図1によって
EMCDを用いた車両の動力伝達について説明する。こ
の図に示すように車両Cの前部にはエンジン2が搭載さ
れている。このエンジン2にはトランスミッション21
が接続され、このトランスミッション21にはトランス
ファ22が接続されている。このトランスファ22に
は、エンジン2からの出力を前輪W1側に伝えるフロン
トプロペラシャフト23およびエンジン2からの出力を
後輪W2側に伝えるリヤプロペラシャフト24が設けら
れている。エンジン2の駆動力は、センターEMCD
(電磁制御差動機、Electro Magnetic Control Differe
ntialの略称)1cを介してフロントプロペラシャフト
23およびリヤプロペラシャフト24に伝動されるよう
に構成されている。
【0022】また、上記フロントプロペラシャフト23
の前端部はフロントEMCD1fを介して前輪駆動軸2
5に接続しており、リヤプロペラシャフト24の後端部
はリヤEMCD1rを介して後輪駆動軸26に接続して
いる。上記各EMCD1としては、先に図6において説
明したものと同じものが採用されている。
【0023】そして、前輪W1および後輪W2には、各
車輪を対象として回転速度検出センサが設けられてい
る。すなわち、前輪W1には二基の前輪回転速度検出セ
ンサS1(左前輪W11には左前輪回転速度検出センサ
S11、右前輪W12には右前輪回転速度検出センサS
12)が設けられ、後輪W2には二基の後輪回転速度検
出センサS2(左後輪W21には左後輪回転速度検出セ
ンサS21、右後輪W22には右後輪回転速度検出セン
サS22)が設けられ、それぞれの車輪の回転速度は別
個に検出可能とされている。
【0024】また、運転席足下のブレーキペダル近傍に
は、制動操作が行われたか否かを検出するブレーキ状態
検出スイッチ31が、エンジン2の内部にはスロットル
の状態を検出するスロットル状態検出センサ32がそれ
ぞれ設けられている。このスロットル状態検出センサ3
2によりエンジン2のスロットル開度が検出される。
【0025】このような車両の駆動力伝達機構を自動制
御するために制御装置4が搭載されている。この制御装
置4の内部には、エンジン2の駆動を制御するエンジン
コントロールユニット41と、各回転速度検出センサS
からの信号の制御装置4への入力を中継するアンチスキ
ッドブレーキ装置用のコントロールユニット(以下、A
BSコントロールユニットと略称する)42と、各EM
CD1に適正な差動制御のための指示信号を発進する差
動コントロールユニット43が備えられている。制御装
置4には電源としてのバッテリー45が接続されてい
る。
【0026】上記エンジンコントロールユニット41に
は、スロットル状態検出センサ32からのスロットル開
度信号ほかエンジン2の駆動制御に必要な各種の検出値
が入力され、エンジン2に対して所定の制御信号が発信
される。
【0027】上記差動コントロールユニット43には、
各EMCD1の各種差動制限のためにあらかじめ用意さ
れた複数のモードの選択を行う選択スイッチ44が接続
されており、この選択スイッチ44で選択された選択モ
ード信号が入力される。
【0028】また、差動コントロールユニット43に
は、スロットル状態検出センサ32からスロットル開度
信号、ブレーキ状態検出スイッチ31からブレーキ信号
などが入力され、ABSコントロールユニット42から
アンチスキッドブレーキ装置が作動しているか否かを示
すABS信号が入力される。更に、上記差動コントロー
ルユニット43にはABSコントロールユニット42を
経由して各車輪(前輪W1および後輪W2)の回転速度
がそれぞれ入力される。
【0029】これらの入力信号値に基づいて、差動コン
トロールユニット43からセンターEMCD1c、フロ
ントEMCD1fおよびリヤEMCD1rに向かって、
図6に示す電磁石15を励磁するための所定の値に設定
された電流(センタ電流Ic、フロント電流Ifおよび
リヤ電流Ir)が出力される。この差動コントロールユ
ニット43から出力される電流値の強弱に応じて各EM
CD1は、概略アンロック状態、中間ロック状態および
完全ロック状態の差動状態の切り換え制御が達成され
る。また、差動コントロールユニット43からABSコ
ントロールユニット42にABS制御禁止信号が発進さ
れることもある。
【0030】図2は、上記電磁クラッチ14のパイロッ
トクラッチ14a(更に具体的には電磁石15)に供給
される電流値I(A)とそのときの駆動軸から伝動され
る第一回転軸と第二回転軸との間のロック状態を表すロ
ックトルクF(Nm)との関係を示すグラフである。な
お、センターEMCD1cを対象に考えた場合、駆動軸
はエンジンのクランクシャフト、第一回転軸および第二
回転軸はフロントプロペラシャフト23とリヤプロペラ
シャフト24とみなすことができ、フロントEMCD1
fを対象に考えた場合は、駆動軸はフロントプロペラシ
ャフト23、第一回転軸および第二回転軸は左右の前輪
駆動軸25とみなすことができ、リヤEMCD1rを対
象に考えた場合は、駆動軸はリヤプロペラシャフト2
4、第一回転軸および第二回転軸は左右の後輪駆動軸2
6とみなすことができる。
【0031】この図から判る通り、電磁石15に供給さ
れる電流値Iとロックトルク値Fとの間にはほぼ良好な
比例関係が存在するが、電流値を増加させていくときの
電流値Iとロックトルク値Fとの関係(I=f(F))
と、電流値を減少させていくときの電流値Iとロックト
ルク値Fとの関係(I=g(F))とは異なる、いわゆ
るヒステリシス現象が起る。
【0032】従って、図2に示すロックトルク値Faを
得る場合、それが電流値Iを増加させる方向であるなら
右上がりの矢印で示す曲線が適用され、電流値としては
Iaが設定されなければならない。これに対して、電流
値Iを減少させる方向でロックトルク値Faを得るので
あるなら左下がり矢印で示す曲線が適用され、電流値と
してはIbが設定されなければならない。
【0033】そこで、本実施例においては、差動コント
ロールユニット43の中にヒステリシス対応制御量供給
手段43hを設けている。このヒステリシス対応制御量
供給手段43hには、予め上記電流値を増加させていく
ときの電流値Iとロックトルク値Fとの関係式(I=f
(F))と、電流値を減少させていくときの電流値Iと
ロックトルク値Fとの関係式(I=g(F))とが入力
されている。
【0034】更に、ヒステリシス対応制御量供給手段4
3hには、現状のロックトルク値Fに対して、次のロッ
クトルク値Fは増加させるのか、減少させるのかを判断
する判断機構が設けられている。そして、ロックトルク
値Fを変更してFaにする要請があったときには、上記
ロックトルク値Fが増加傾向の場合は上記関係式(I=
f(F))によって電流値Iaが計算され、この電流値
Iaが電磁石15に供給される。逆に、ロックトルク値
Fが減少傾向でFaとなる変更を要請されている場合に
は、上記関係式(I=g(F))が採用され、この式に
よって計算された電流値Ibが電磁石15に供給され
る。
【0035】次に、電磁クラッチ14の摩耗によるロッ
ク能力の低下に対応することができる制御について説明
する。
【0036】図3は、電磁クラッチ14がある程度摩耗
した状態における電流値Iとロックトルク値Fとの関係
を示すグラフである。この図に示すように、長期間EM
CD1を使用していると、徐々に電磁クラッチ14は摩
耗し、点線で示す初期の電流値Iとロックトルク値Fと
の関係曲線は、実線で示すように電流増加量yだけ右方
に平行移動し、初期と比較して、同じロックトルク値F
を得ようとすれば、初期の電流値Iよりも大目の電流値
Iを供給しなければならなくなる。
【0037】ところで、この電流増加量yの値は、ほぼ
車両Cの走行距離数xに比例するため、本実施例におい
ては、予め走行距離数xと電流増加量yとの関係式(y
=h(x))を求められており、この関係式もヒステリ
シス対応制御量供給手段43h内に入力されている。
【0038】従って、このような電磁クラッチ14の摩
耗も考慮に入れた制御においては、予め入力される電流
値を増加させていくときの電流値Iとロックトルク値F
との関係式は(I=f(F)+y)となり、電流値を減
少させていくときの電流値Iとロックトルク値Fとの関
係式は(I=g(F)+y)となる。
【0039】そして、電流増加量yを計算するために必
要な走行距離数xの値は、図外の距離メータからヒステ
リシス対応制御量供給手段43hに入力されるため、上
記関係式に基づいて、逐一ロックトルク値Fが計算さ
れ、計算結果の電流値Iが電磁石15に供給されるた
め、電磁クラッチ14の摩耗によってロック能力が低下
している場合であっても、所望通りのロックトルク値F
を得ることができる。
【0040】例えば、現状のロックトルク値Fを変更し
てFa’にする要請があったときには、上記ロックトル
ク値Fが増加傾向の場合は上記関係式(I=f(F)+
y)によって電流値Ia’が計算され、この電流値I
a’が電磁石15に供給される。逆に、ロックトルク値
Fが減少傾向でFa’となる変更を要請されている場合
には、上記関係式(I=g(F)+y)が採用され、こ
の式によって計算された電流値Ib’が電磁石15に供
給される。
【0041】つぎに、表1を参照しながら選択スイッチ
44によって選択された各モードにおける制御内容、お
よびそれとの関連において本実施例に係る差動制限制御
について説明する。
【0042】
【表1】
【0043】この表に示すように、選択スイッチ44の
「Aモード」においては、フロントEMCD1fがアン
ロック状態、センターEMCD1cとリヤEMCD1r
とがオートモード制御とされる。「Cモード」において
は、フロントEMCD1fがアンロック状態、センター
EMCD1cが完全ロック状態、リヤEMCD1rがオ
ートモード制御とされる。「Rモード」においては、フ
ロントEMCD1fがアンロック状態、センターEMC
D1cとリヤEMCD1rとが完全ロック状態とされ
る。「Fモード」においては、フロントEMCD1f、
センターEMCD1cおよびリヤEMCD1rのすべて
が完全ロック状態とされる。
【0044】この表で、Ifはフロント電流、Icはセン
ター電流、Irはリヤ電流である。また、数値はその電
流値をそれぞれ表しており、各EMCD1に設けられた
図6に示す電磁石15にこれらの値の電流が供給され
る。電流値が0と表示されているEMCD1はアンロッ
ク状態である。電流の数値が記載されているEMCD1
はその数値の電流が電磁石15に供給され、パイロット
クラッチ14aおよびメインクラッチ14bが作用して
完全な差動制限(完全ロック状態)が実現している。完
全ロック状態のときの電流値がそれぞれ異なるのは、そ
れぞれのEMCD1の特性による。
【0045】上記各モードは、運転者により任意に選択
される。「Aモード」においては、フロントEMCD1
fがアンロック状態とされているため、駆動性に影響が
少なく、操作性が優れており、市街地などの一般道路を
走行する、いわゆるオンロード走行に適している。片
や、「Fモード」においては、フロントEMCD1f、
センターEMCD1cおよびリヤEMCD1rのすべて
が完全に差動制限が付された完全ロック状態とされてい
るため、操作性は低下するが駆動性に優れており、悪路
などを走行する、いわゆるオフロード走行に適してい
る。「Cモード」および「Rモード」は、これらの間の
特性を有し、運転者の好みに応じて選択される。
【0046】「Aモード」においては、通常は各EMC
D1の電磁石15には電流が供給されないアンロック状
態とされている。そして、走行中は各車輪(左前輪W1
1、右前輪W12、左後輪W21および右後輪W22)
の回転速度(左前輪回転速度N11、右前輪回転速度N
12、左後輪回転速度N21および右後輪回転速度N2
2)はそれぞれ専用の回転速度検出センサ(左前輪回転
速度検出センサS11、右前輪回転速度検出センサS1
2、左後輪回転速度検出センサS21および右後輪回転
速度検出センサS22)によって検出され、逐一ABS
コントロールユニット42に入力されている。
【0047】そして、以下の計算式によってセンターE
MCD1cの差動回転数ΔNcとΔNrとが演算される。 ΔNc=|(N11+N12)−(N21+N22)|/2 ΔNr=|N21−N22| 上記ΔNc値は前輪W1と後輪W2との回転数の違いを
表す値であり、上記ΔNr値は左後輪W21と右後輪W
22との回転数の違いを表す値である。これらの値が予
め設定された値よりも大きいときは、悪路を走行中にス
リップなどを起こし、車輪の回転が安定していない状態
を示しているため、このようなときに所定の計算式に基
づいてセンター差動回転数ΔNcからセンターEMCD
1cの所要ロックトルク値Fcが計算され、同様にリヤ
差動回転数ΔNrからリヤEMCD1rの所要ロックト
ルク値Frが計算され、更に上記ロックトルク値Fcお
よび上記ロックトルク値Frからセンター電流Icおよ
びリヤ電流Irが決定される。
【0048】この場合、新たに設定されるロックトルク
値Fc、Frが、現状のロックトルク値に比較して、上
昇傾向にあるときは、前記の計算式(I=f(F))ま
たは(I=f(F)+y)によって電流値Ic、Irが
計算される。また、新たに設定されるロックトルク値F
c、Frが、現状のロックトルク値に比較して、下降傾
向にあるときは、前記の計算式(I=g(F))または
(I=g(F)+y)によって電流値Ic、Irが計算
される。そして、この計算結果の値の電流がセンターE
MCD1cおよびリヤEMCD1rに供給されるから、
この電流値に応じヒステリシスの影響を排除した適正な
差動制限が行われる。
【0049】以上「Aモード」が選択された場合のセン
ターEMCD1cとリヤEMCD1rについての本発明
に係る差動制限制御について説明したが、本実施例にお
いては、「Cモード」が選択された場合のリヤEMCD
1rについても同様の差動制限制御が適用される。
【0050】本実施例においては、以上詳述したよう
に、選択スイッチで「Aモード」を選択した場合のセン
ターEMCD1cおよびリヤEMCD1rの差動制限制
御に、また「Cモード」を選択した場合のリヤEMCD
1rの差動制限制御にロックトルク値設定に係るヒステ
リシスに対応した電流値が採用されるため、従来よりも
的確な差動制限制御が実現し、より快適な運転感覚を得
ることができる。
【0051】以上本実施例においては、作動媒体が電流
である場合について説明したが、作動媒体が油圧である
場合にも、電流の場合と同様にヒステリシスに対応した
油圧制御差動機の差動制限制御が可能である。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両の差
動制限装置は、クラッチを作動させる作動媒体の制御量
とロックトルク値との間のヒステリシスをもった関係を
規定するヒステリシス曲線に関する情報が上記制御装置
内に設定され、このヒステリシス曲線に基づいて要求ロ
ックトルク値およびその移動方向に応じて上記作動媒体
の制御量が設定され、この設定された制御量をクラッチ
に供給するように制御するヒステリシス対応制御量供給
手段が上記制御装置に設けられているため、クラッチの
ロックトルク値が上昇傾向にある場合であっても、減少
傾向にある場合であっても、ヒステリシス対応制御量供
給手段によって適正にクラッチに供給すべき制御量が設
定され、所望のロックトルク値を得ることができる。
【0053】また、上記ヒステリシス対応制御量供給手
段において、クラッチの摩耗に応じてクラッチに供給す
る作動媒体の制御量をロックトルク値の上昇方向に修正
するようにすれば、長期の使用によってクラッチが摩耗
した状態にあっても、適正に所望のロックトルク値を得
ることができる。
【0054】更に、クラッチとして電磁クラッチを採用
すれば、上記制御量は電流値となるため、極めて応答性
の良好な差動制限制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の差動制限装置の一例を示す説明
図である。
【図2】差動制限装置に供給される電流値とロックトル
ク値との関係の一例を示すヒステリシスのグラフであ
る。
【図3】差動制限装置に供給される電流値とロックトル
ク値との関係の他の例を示すヒステリシスのグラフであ
る。
【図4】差動制限装置に供給される電流値とロックトル
ク値との関係に関し従来の差動制限制御で採用されてい
た上記関係の用法を説明するためのグラフである。
【図5】車両の駆動伝達機構を例示するスケルトン図で
ある。
【図6】差動制限装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 EMCD(電磁制御差動機) 1f フロントEMCD 1c センターEMCD 1r リヤEMCD 11 デフケース 12 遊星キャリヤ 13 サンギヤー 14a パイロットクラッチ 14b メインクラッチ 15 電磁石 2 エンジン 21 トランスミッション 22 トランスファ 23 フロントプロペラシャフト 24 リヤプロペラシャフト 25 前輪駆動軸 26 後輪駆動軸 31 ブレーキ状態検出スイッチ 32 スロットル状態検出センサ 4 制御装置 41 エンジンコントロールユニット 42 ABSコントロールユニット 43 差動コントロールユニット 43h ヒステリシス対応制御量供給手段 W1 前輪 W2 後輪 R1 前輪回転速度検出センサ R2 後輪回転速度検出センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早岐 隆 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 木村 嘉孝 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 杉本 武司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 高田 稔 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車軸間または車輪間にはクラッチ
    が内装された差動機が設けられ、車輪の駆動状況に応じ
    てクラッチの締結状態を調節してクラッチに所望のロッ
    クトルク値を発生させるように制御する制御装置が設け
    られ、クラッチを作動させる作動媒体の制御量とロック
    トルク値との間のヒステリシスをもった関係を規定する
    ヒステリシス曲線に関する情報が上記制御装置内に設定
    され、このヒステリシス曲線に基づいて要求ロックトル
    ク値およびその移動方向に応じて上記作動媒体の制御量
    が設定され、この設定された制御量をクラッチに供給す
    るように制御するヒステリシス対応制御量供給手段が上
    記制御装置に設けられていることを特徴とする車両の差
    動制限装置。
  2. 【請求項2】 上記ヒステリシス対応制御量供給手段
    は、上記クラッチの摩耗に応じてクラッチに供給する作
    動媒体の制御量をロックトルク値の上昇方向に修正する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    車両の差動制限装置。
  3. 【請求項3】 上記クラッチは電磁クラッチであり、上
    記制御量は電流値であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の車両の差動制限装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1731349A1 (en) * 2005-06-10 2006-12-13 Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha Front and rear drive power distribution control device for vehicle
JP2013028245A (ja) * 2011-07-28 2013-02-07 Mazda Motor Corp 四輪駆動車の制御方法及び制御装置
CN109455089A (zh) * 2017-09-06 2019-03-12 株式会社捷太格特 驱动力传递控制装置

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