JPH0521671Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ポンプハウジングの中空室に第１カ
ムリングと第１サイドプレートと第２カムリング
と第２サイドプレートを順に嵌挿し、第１カムリ
ング内に第１ロータを、第２カムリング内に第２
ロータを回転可能に配置したタンデムポンプに関
するものである。

〈従来の技術〉 上述したタンデムポンプは、第３図に示すよう
に第１サイドプレート１の第１ロータ２側の面に
作用する油の圧力および第２サイドプレート３の
第２ロータ４側の面に作用する油の圧力に対抗す
るため、中空室５の第２サイドプレート３側の端
面と第２サイドプレート３間の空間を２つの空
間、即ち第１作用室６と第２作用室７に区分し、
第２サイドプレート３に第１連通路３ａを形成し
て第２ロータ４側から吐出された油の圧力を第１
作用室６に導き、ポンプハウジング８に形成され
た第２連通路８ａを介して第１ロータ２側から吐
出された油の圧力を第２作用室７に導いていた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 このようなタンデムポンプは、ポンプハウジン
グ８に第２連通路８ａを形成するための肉厚を余
分に必要とし、ポンプが大型化するととも重量が
重くなる問題があつた。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、上述した問題点を解決するためにな
されたもので、ポンプハウジングに取付けられる
ピンに第１、第２カムリングの穴を通してピンに
第１、第２カムリングを支持させ、ピンと前記穴
間に半径方向に隙間を形成し、これら隙間によつ
て第１ロータ側の油の圧力を第２作用室に導く第
２連通路を形成したものである。

〈作用〉 上述した構成により、第２ロータ側の油の圧力
は第１連通路を介して第１作用室に導かれ、第１
ロータ側の油の圧力はピンと穴間に形成された第
２連通路を介して第２作用室に導かれる。これに
よつて第２サイドプレートは第１ロータ並びに第
２ロータ側から発生した油の圧力に応じて第２ロ
ータ側へ押しつけられる。

〈実施例〉 以下本考案の実施例を第１図および第２図に基
づいて説明する。１０は第１ポンプハウジング、
１１は第１ポンプハウジング１０にボルト１２を
介して連結された第２ポンプハウジングである。
第１ポンプハウジング１０と第２ポンプハウジン
グ内には断面が円形の中空室１３が形成され、こ
の中空室１３に第１カムリング２０と第１サイド
プレート２１と第２カムリング２２と第２サイド
プレート２３が順に嵌挿されている。第１ポンプ
ハウジング１０には回転軸２４が第１、第２カム
リング２０，２２の中心回りに回転可能に軸承さ
れ、この回転軸２４には第１カムリング２０と対
応する位置で第１ロータ２５がスプライン係合さ
れ、第２カムリング２２と対応する位置で第２ロ
ータ２６がスプライン係合されている。第１ロー
タ２５および第２ロータ２６には複数のベーン２
７が半径方向に摺動可能に保持され、第１、第２
カムリング２０，２２の内周には前記ベーン２７
の一端が摺接する断面が卵形形状の内周カム面２
０ａ，２２ａが形成されている。第１サイドプレ
ート２１の第１ロータ２５側の面には吐出ポート
２１ａと吸入ポート２１ｂが形成され、第１サイ
ドプレート２１の第２ロータ２６側の面と第２サ
イドプレート２３の第２ロータ２６側の面には吐
出ポート２３ａと吸入ポート２３ｂが形成されて
いる。

第１ポンプハウジング１０には２本のピン３０
が回転軸２４と平行に打ち込み固定され、これら
のピン３０に第１カムリング２０の穴３１、第１
サイドプレート２１と第２カムリング２２と第２
サイドプレート２３の穴３２が通されている。こ
れによつて第１カムリング２０と第２カムリング
２２がピン３０を介して第１ポンプハウジング１
０に位相決めされた状態で支持される。前記穴３
２は楕円形状に形成され、この穴３２とピン３０
間には半径方向に隙間３３が形成され、これらの
隙間３３によつて第１サイドプレート２１の第１
ロータ２５側の一端と第２サイドプレート２３と
を連通する第２連通路３４が形成されている。

中空室１３の第２サイドプレート２３側の端面
には円筒形状の第１嵌合突起部４０が形成され、
第２サイドプレート２３の第２ロータ２６と反対
側の端面には前記第１嵌合突起部４０の外周に摺
動可能に嵌合される第２嵌合突起部４１が形成さ
れている。前記第１嵌合突起部４０と第２嵌合突
起部４１によつて中空室１３の第２サイドプレー
ト２３側の端面と第２サイドプレート２３間の空
間は２つの空間、即ち第１作用室４２と第２作用
室４３とに区分される。第１作用室４２には第２
サイドプレート２３を第２ロータ２６側へ押しつ
けるスプリング４４が介挿され、この第１作用室
４２は第２サイドプレート２１に形成された第１
連通路４５を介して吐出ポート２３ａにつながつ
ている。第２作用室４３は第２サイドプレート２
３に形成された第３連通路４６を介して第２連通
路３４につながつており、第２連通路３４の一端
は第１サイドプレート２１の第１ロータ２５側の
面に形成された連通溝４７を介して吐出ポート２
１ａにつながれている。

中空室１３の内周と第１ロータ２５並びに第２
ロータ２６の外周間にはそれぞれ吸入ポート２１
ｂ並びに吸入ポート２３ｂに連通する第１環状溝
５０並びに第２環状溝５１が形成され、第１環状
溝５０は第１ポンプハウジング１０に形成された
吸入通路５２を介して第１流量制御弁５３に連通
し、第２環状溝５１は第２ポンプハウジング１１
に形成された吸入通路５４を介して第２流量制御
弁５５に連通している。吐出ポート２１ａは第１
ポンプハウジング１０に形成された吐出通路５６
を介して第１流量制御弁５３に連通し、吐出ポー
ト２３ａは第２ポンプハウジング１１に形成され
た吐出通路５７を介して第２流量制御弁５５に連
通している。第１流量制御弁５３並びに第２流量
制御弁５５によつて流量制御された油はそれぞれ
異なる流体機器に送給される。

次に上述した構成に基づいて作用について説明
する。回転軸２４が回転すると第１、第２ロータ
２５，２６がともに回転し、ベーン２７が回転方
向に移動する。ベーン２７は内周カム面２０ａ，
２２ａにならつて半径方向に移動し、内周カム面
２０ａ，２２ａと第１、第２ロータ２５，２６の
外周間を複数のベーン２７で仕切つて形成したポ
ンプ室の容積が増減し、各吸入ポート２１ｂ，２
３ｂから油を吸引し、各吐出ポート２１ａ，２３
ａへ油が吐出される。吐出ポート２１ａへ吐出さ
れた油は吐出通路５６、第１流量制御弁５３を経
て流体機器に送られ、吐出ポート２３ａへ吐出さ
れた油は吐出通路５７、第２流量制御弁５５を経
て第１流量制御弁５３側と異なる流体機器に送ら
れる。流体機器の作動状態により吐出ポート２１
ａと吐出ポート２３ａは油の圧力が異なり、吐出
ポート２１ａ側の油の圧力は第２連通路３４、第
３連通路４６を介して第２作用室４３に導かれ、
吐出ポート２３ａ側の油の圧力は第１連通路４５
を介して第１作用室４２に導かれる。この結果第
２サイドプレート２３の第２ロータ６と反対側の
面には第１作用室４２に対応する面と第２作用室
４３に対応する面とで互いに異なる油の圧力が作
用する。このようにして第１サイドプレート２１
の第１ロータ２５側の面に作用する油の圧力並び
に第２サイドプレート２３の第２ロータ２６側の
面に作用する油の圧力に応じた圧力でもつて第
１、第２作用室４２，４３側から第２サイドプレ
ート２３を第２ロータ２６側へ押しつけることが
できる。

なお、上述した実施例は、楕円形状の穴３２と
円形状のピン３０とで第２連通路３４を形成した
例について述べたが、円形状のピン３０の外周に
長手方向に切欠きを形成し、この切欠きの部分に
第２連通路を形成しても良い。この場合、穴３２
は円形状であつても良い。また上述した実施例
は、第１サイドプレート２１の第１ロータ２５側
の端面に吐出ポート２１ａと第２連通路３４とが
連通する連通溝４７を形成した例について述べた
が、吐出ポート２１ａと同位相に第２連通路３４
を形成すれば、連通溝は不要となる。

上述した実施例によれば、吐出ポート２１ａの
油の圧力を第２作用室４３に導く為の第２連通路
３４をポンプハウジング１０，１１に形成してい
ないので、ポンプハウジング１０，１１の肉厚を
減らすことができ、重量を軽減することができ
る。

〈考案の効果〉 以上述べたように本考案は、ポンプハウジング
に取付けられるピンに第１、第２カムリングの穴
を通してピンに第１、第２カムリングを支持さ
せ、ピンと前記穴間に半径方向に隙間を形成し、
これら隙間によつて第１ロータ側の油の圧力を第
２作用室に導く第２連通路を形成した構成である
ので、ポンプハウジングに第２連通路を形成する
ための肉厚が不要となつてポンプを小型化できる
とともに、ポンプ全体の重量を軽減できる効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本考案の実施例を示すもの
で、第１図はタンデムポンプの縦断面図、第２図
は第１図における−線断面図、第３図は従来
のタンデムポンプの縦断面図。 １０……第１ポンプハウジング、１１……第２
ポンプハウジング、１３……中空室、２０……第
１カムリング、２１……第１サイドプレート、２
２……第２カムリング、２３……第２サイドプレ
ート、３４……第２連通路、４２……第１作用
室、４３……第２作用室、４５……第１連通路、
４７……連通溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポンプハウジングの中空室に第１カムリングと
   第１サイドプレートと第２カムリングと第２サイ
   ドプレートを順に嵌挿し、ポンプハジングに回転
   軸を第１、第２カムリングの中心回りに回転可能
   に軸承し、第１カムリングの内周カム面に摺接す
   るベーンを半径方向に摺動可能に保持した第１ロ
   ータと第２カムリングの内周カム面に摺接するベ
   ーンを半径方向に摺動可能に保持した第２ロータ
   を前記回転軸に回転連結し、前記第１、第２カム
   リングをポンプハウジングに取付けられたピンに
   よつて支持し、各サイドプレートに形成された吸
   入ポートから流体を吸引し、吐出ポートへ流体を
   吐出するようにしたタンデムポンプにおいて、中
   空室の第２カムリング側の端面に第１嵌合突起部
   を形成し、第２カムリングの端面に第１嵌合突起
   部に摺動可能に嵌合する第２嵌合突起部を形成
   し、第１、第２嵌合突起部によつて中空室の第２
   カムリング側の端面と第２カムリング間の空間を
   第１作用室と第２作用室に区分し、第２カムリン
   グに第２ロータ側の吐出ポートと第１作用室が連
   通する第１連通路を形成し、前記ピンとこのピン
   を通す第１サイドプレートと第２カムリングと第
   ２サイドプレートの穴間に半径方向に隙間を設け
   ることによつて第１サイドプレートの第１ロータ
   側の吐出ポートと第２作用室とを結ぶ第２連通路
   を形成したことを特徴とするタンデムポンプ。