JPH05214648A - 微生物分解性不織布およびその製造方法 - Google Patents

微生物分解性不織布およびその製造方法

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JPH05214648A
JPH05214648A JP23502392A JP23502392A JPH05214648A JP H05214648 A JPH05214648 A JP H05214648A JP 23502392 A JP23502392 A JP 23502392A JP 23502392 A JP23502392 A JP 23502392A JP H05214648 A JPH05214648 A JP H05214648A
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芳基 宮原
敏 ▲かせ▼谷
Satoshi Kasetani
Shigetaka Nishimura
重孝 西村
Takashi Inoue
尚 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 微生物によって容易に分解され、しかも柔軟
性に富む安価な不織布およびその製造方法を提供する。 【構成】 ポリ−ε−カプロラクトンおよび/またはポ
リ−β−プロピオラクトンからなり且つ単糸繊度が0.
8〜6デニールの繊維20重量%以上を含有する微生物
分解性不織布、また、ポリ−ε−カプロラクトンおよび
/またはポリ−β−プロピオラクトンからなり且つ単糸
繊度が0.8〜6デニールの繊維20重量%以上と、天
然繊維またはセルロース繊維80重量%以下とからなる
微生物分解性不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物分解性を有し、
しかも衛生材料、ふき取り布、包装材料などに代表され
る使い捨て型の一般生活資材用の素材として好適に使用
できる、微生物分解性を具備した不織布およびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、不織布は、衛生材、一般生活
資材、産業資材などの素材として、広く使用されてい
る。この不織布を構成する繊維素材としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなど
の重合体がある。しかし、これらの素材からなる不織布
は、自己分解性が無く、普通の自然環境下では化学的に
非常に安定である。従って、使い捨て型の不織布は、使
用後、焼却あるいは埋め立てといった方法で処理されて
いるのが現状である。日本では焼却処理が広く行なわれ
ているが、多大の費用が必要とされ、廃棄プラスチック
スによる公害が発生しつつあり、この廃棄プラスチック
スの処理の問題をどのように解決してゆくかが、自然環
境保護や生活環境保護の点で大きな社会問題となってい
る。一方埋め立てに関しては、素材が化学的に安定であ
るため、土中で長期間にわたって元の状態のまま残ると
いう問題がある。
【0003】このような問題を解決する方法として、自
然分解性(微生物分解性、生分解性)を有する素材を用
いることで、短期間のうちに自然に分解される新しい不
織布が要望されている。
【0004】一般に、微生物分解性を有する繊維として
は、木綿、麻に代表されるセルロース系繊維、あるいは
絹に代表される蛋白質繊維が挙げられる。しかし、これ
らのいわゆる天然繊維は、非熱可塑性であることから、
これらの繊維を用いて不織布を作成するに際し、繊維間
を熱接着させて不織布とするいわゆるエンボス法やサー
マルボンド法を採用することができない。また短期間で
は分解されず、長期間にわたり不織布形態が保持され、
自然環境保護や生活環境保護の点で好ましくない。
【0005】微生物分解性を有する重合体として、キチ
ンなどの多糖類、カット・グット(腸線)や再生コラー
ゲンなどの蛋白質やポリペプチド(ポリアミノ酸)、微
生物が自然界で作るポリ−3−ヒドロキシブチレートや
ポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−3−ヒドロキ
シカプロレートのような微生物ポリエステル、ポリグリ
コリドやポリラクチドなどの合成脂肪族ポリエステル、
などがよく知られている。しかし、これらの重合体から
繊維を製造する場合は、湿式紡糸法を用いる必要がある
という制約がある。また素材のコストが極めて高いた
め、その適用は、生体吸収性縫合糸のような分野に限ら
れている。
【0006】最近、微生物分解性のフイルムとして、ポ
リエチレンに澱粉を配合したものが提案されており、そ
のフイルムは買い物袋の素材として使用されている。し
かし、ポリエチレンは将来的にも分解することがないの
で、本来の意味での微生物分解性フイルムとは言えな
い。しかも、不織布に適用するような繊維を得ることは
容易ではなく、現在、不織布のための澱粉入りの繊維は
得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な背景を鑑み、微生物によって容易に分解され、しかも
柔軟性に富む、安価な不織布およびその製造方法を提供
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
を解決するもので、本発明の微生物分解性不織布は、ポ
リ−ε−カプロラクトンおよび/またはポリ−β−プロ
ピオラクトンからなり且つ単糸繊度が0.8〜6デニー
ルの繊維を、20重量%以上含有することを特徴とす
る。
【0009】また本発明の微生物分解性不織布は、ポリ
−ε−カプロラクトンおよび/またはポリ−β−プロピ
オラクトンからなり且つ単糸繊度が0.8〜6デニール
の繊維20重量%以上と、天然繊維またはセルロース系
繊維80重量%以下とからなることを特徴とする。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。前
記ポリ−ε−カプロラクトン(以下、「PCL」と称
す)および/またはポリ−β−プロピオラクトン(以
下、「PPL」と称す)は、ASTM−D−1238
(E)に準じて測定したメルトフローレート(g/10
分)が45以下、好ましくは30以下のものが適当であ
る。メルトフローレートが45を超えると、得られる繊
維の強度が低く、結果的に不織布強力が低くなり好まし
くない。中でも、短繊維不織布として適用する場合は、
メルトフローレートが20以下のものを使用すること
で、短繊維の強度を高くすることが可能である。
【0011】本発明の不織布を構成するPCLおよび/
またはPPL繊維については、単糸繊度を0.8〜6デ
ニールにしているが、この0.8〜6デニールに限定し
た理由は、使い捨ておむつや、生理用品のカバーストッ
クあるいはふき取り布などに適用し得るソフトな風合い
を具備させることを目的とするためである。単糸繊度が
6デニールを超えると風合いが粗硬な不織布となるので
好ましくなく、また単糸繊度が0.8デニール未満であ
ると製糸性が低下するので好ましくない。
【0012】本発明の不織布は、PCLおよび/または
PPL繊維を20重量%以上含有するものであり、20
重量%未満であると、土壌中における不織布の自然分解
速度が遅くなり、不織布の形態が長期間にわたり保持さ
れるため、好ましくない。
【0013】本発明の不織布を構成するPCLおよび/
またはPPL繊維と混合可能な繊維素材としては、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド
などの重合体からなる繊維や、天然繊維や、セルロース
系繊維が挙げられる。繊維の混合形態としては、例え
ば、溶融紡糸時に複合混繊する方法や、ウエブ化工程で
短繊維を混綿する方法や、ウエブを積層する方法などを
採用することができ、これにより混合不織布とすること
ができる。
【0014】特に天然繊維またはセルロース系繊維との
混合不織布の場合は、PCLおよび/またはPPL繊維
と天然繊維またはセルロース系繊維とを混合して不織布
とすることができる。この形態は合成繊維を混合する場
合には適さない。それは、合成繊維を混合した場合は、
土中に埋め立てしたときに、不織布の形態は保たないも
のの、合成繊維が分解しないためである。このため本発
明では、PCLおよび/またはPPLの繊維と天然繊維
またはセルロース系繊維とをウエブ化工程で混綿して不
織布とすることが、より好ましい。本発明で用いる天然
繊維またはセルロース系繊維とは、土中に埋め立たとき
にいずれは腐敗分解して土に還元する素材のことであ
り、例えば、木綿、麻に代表される天然繊維や、木材パ
ルプから得られるレーヨンなどのセルロース系繊維が挙
げられる。
【0015】天然繊維またはセルロース系繊維(以下、
「天然繊維など」と称す)との混合不織布における混合
割合を、PCLおよび/またはPPL繊維が20重量%
以上でしかも天然繊維などが80重量%以下であること
に限定した理由は、不織布化の手段として熱圧着法およ
び熱融着法の採用が可能であることに起因している。P
CLおよび/またはPPL繊維が20重量%未満になる
と天然繊維などとの間でのバインダー効果が少なくな
り、不織布強力が低く、実用に耐え得ることが困難とな
る。また、高圧水流交絡法を適用した場合、PCLおよ
び/またはPPL繊維を混合することで、得られた不織
布の柔軟性がさらに向上するが、その混合割合は20重
量%以上とすることが必要である。より好ましくは、3
0重量%以上である。
【0016】本発明の不織布は、目付が10〜150g
/m2 、特に10〜100g/m2であるのが好まし
い。目付が150g/m2 を超えると柔軟な風合いの不
織布を得ることができない。特に耐久性が不要な不織布
の場合、目付を100g/m2以下とするとさらに柔軟
になるので好ましい。目付が10g/m2 未満の不織布
は、製造が困難であるばかりでなく、不織布自体の均一
性が乏しく、好ましくない。
【0017】次いで本発明の製造方法について述べる
が、3つの方法で不織布の製造が可能である。第1にい
わゆるスパンボンド法があり、この方法では、PCLお
よび/またはPPLを紡糸口金を経て融点より100〜
240℃高い温度で溶融紡出し、紡出される長繊維群を
冷却固化し、その後、これを紡糸口金の下の少なくとも
100cmの位置に配設されたエアーサッカーなどの引
取り手段によって2000m/分以上の吸引・引取速度
で牽引・引取り、引続いて長繊維群を開繊した後、ウエ
ブとする。
【0018】第2にいわゆるスピンドロー・スパンボン
ド法があり、この方法では、PCLおよび/またはPP
Lを紡糸口金を経て融点より100〜240℃高い温度
で溶融紡出し、紡出される長繊維群を冷却固化し、その
後、これを500m/分以上の引取速度で引取り、引取
りロールと続いて配設された延伸ロールとの間で1.5
〜3.5倍に延伸し、引続いてウエブとする。
【0019】第3に短繊維法があり、この方法では、P
CLおよび/またはPPLを紡糸口金を経て融点より1
00〜240℃高い温度で溶融紡出し、紡出される長繊
維群を冷却固化し、その後、これを500m/分以上の
引取速度で引取り、引取りロールと続いて配設された延
伸ロールとの間で2.0〜3.5倍に延伸し、次いで機
械捲縮を施した後、所定長に切断して短繊維とし、その
後、ウエブとする。いずれの製造方法においても、重合
体の溶融紡糸の温度は、PCLおよび/またはPPLの
融点より100〜240℃高い、200〜300℃の範
囲とし、用いるPCLおよび/またはPPLのメルトフ
ローレートに合わせて上記範囲内で適宜選択すればよ
い。PCLとPPLを混合して用いる場合の溶融紡糸の
温度は、上記各重合体のメルトフローレートと混合比と
から良好な製糸性が得られるように実験的に定めればよ
い。紡糸温度が300℃を超えるとPCLおよび/また
はPPLの分解が顕著となり、紡糸温度が200℃未満
では溶融押出し機を用いての押出しが困難である。
【0020】スパンボンド法によって不織布を製造する
場合、エアーサッカーなどの引取り手段で引取る際のそ
の引取り手段の配設位置は、紡糸口金より少なくとも1
00cm下でなければならない。この距離よりも短い場
合は単糸間で密着が生じ、紡糸が出来ない。そして引取
速度が2000m/分以上になるように牽引・引取られ
る。この速度より遅い場合には得られた長繊維の配向度
合いが低く、このため強力が低くなり、不織布の強度も
劣ったものとなる。このようにして得られた長繊維群
は、移動するエンドレスのネット上にこれを捕集堆積さ
せてウエブとし、このウエブの長繊維間を加熱したフラ
ットロールまたはエンボスロールにより熱圧着して、不
織布を製造することができる。
【0021】スピンドロースパンボンド法および短繊維
法によって不織布を製造する場合、紡出長繊維群を引取
りロールで引取り、この引取りロールと続いて配設され
た延伸ロールとの間で延伸する。延伸方法としては、1
段または2段以上の冷延伸または熱延伸を採用する。P
CLの場合は常温延伸でもよく、PPLの場合あるいは
PCLとPPLの混合の場合は40〜60℃で熱延伸す
ればよい。スピンドロースパンボンド法の場合には50
0m/分以上の速度で引取り、全延伸倍率を1.5〜
3.5倍として延伸することで、2.5g/デニール以
上の引張強度を有する繊維を製造することができる。特
に高粘度の重合体を用いる場合に、この方法が適してい
る。短繊維法の場合には、全延伸倍率を2.0〜3.5
倍にすることで3.0g/デニール以上の引張強度を有
する繊維を製造することができる。
【0022】次いでスタッファーボックスなどで機械捲
縮を施した後、所定長に切断して短繊維とし、その後、
カード機などでウエブ化を行う。不織布を得る際には、
PCLの融点が約60℃であり、またPPLの融点が約
100℃であることを考慮して、捲縮加工温度を適宜選
択する。PCLの場合は45〜55℃、PPLの場合は
80〜95℃とする。PCLとPPLの混合の場合は、
PCLとPPLの融点および混合比を考慮し、良好な不
織布地合が得られるように適宜選択するが、通常45〜
60℃とするとよい。加工方法として、加熱したフラッ
トロールまたはエンボスロールによる熱圧着法、熱風を
利用したサーマルスルーに代表される熱融着法、ニード
ルパンチ法、高圧水流交絡法、超音波接着法などが適用
できる。熱圧着法では接着処理温度をPCLの場合は4
7〜57℃、PPLの場合は85〜97℃、PCLとP
PLの混合の場合は55〜65℃とするとよい。熱融着
法では、融着処理温度を、PCLの場合は47〜60
℃、PPLの場合は85〜100℃、PCLとPPLの
混合の場合は55〜85℃とするとよい。高圧水流交絡
法では、0.05〜1.0mm程度の直径を有する細
孔、同程度の断面積を有する扁平の孔、スリット長とス
リット幅の比が100〜5000程度、好ましくは50
0〜2000程度でスリット幅が0.02〜0.06m
mの形状のスリット状孔などを、1列あるいは複数列に
配設し、5〜200kg/cm2 の圧力の水流または温
水流を噴射すればよい。また、未捲縮の短繊維を湿式抄
紙法でウエブ化して、不織布を得ることもできる。
【0023】勿論、繊維の断面形状は、丸型に限らず、
用途に合わせて、例えば中空、扁平、Y型などの異形で
も何ら差し支えない。本発明の不織布でにおける天然繊
維などとの混合比は、PCLおよび/またはPPL繊維
が20重量%以上かつ天然繊維などが80重量%以下の
割合である。このため、不織布化の手段として熱圧着法
および熱融着法の採用が可能となり、PCLおよび/ま
たはPPL繊維と天然繊維などとの間でのバインダー効
果が得られ、実用上十分な強力を有する不織布が得られ
る。高圧水流交絡法を採用した場合は、通常、柔軟性を
有する不織布が得られるが、PCLおよび/またはPP
L繊維を混合することにより、さらに不織布の柔軟性が
向上する。
【0024】
【作用】このようにして得られる本発明の不織布は、微
生物分解性が良好で柔軟性に富み、しかも実用に耐え得
る強力を有し、且つ、使い捨ておむつや生理用品のカバ
ーストック、ふき取り布などに適用できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく
説明する。各実施例に適用したPCLおよび/またはP
PLのメルトフローレート(以下、「MFR」と称す)
は、ASTM−D−1238(E)に準じて測定した。
融点は、パーキンエルマー社製DSC−7型の装置を用
い、昇温速度20℃/分で測定した。実施例中に示した
不織布の引張強力の測定に際しては、JIS−L−10
96に記載のストリップ法に準じ、幅3cm、長さ10
cmの試験片を用い、引張速度を10cm/分として最
大引張強力を測定した。各実施例に示した初期引張強力
は、目付30g/m2 に換算して比較するため、目付を
測定したうえで、次式より求めた。
【0026】初期引張強力(g/3cm)=30×引張
強力(g)/目付(g/m2 ) 不織布の柔軟性は、圧縮剛軟度で示した。圧縮剛軟度の
測定に際しては、幅(縦方向)5cm、長さ(横方向)
10cmの試験片を横方向に曲げて円筒状とし、その端
部を接合して試料とした後、東洋ボールドウイン社製テ
ンシロンUTM−4−100型の装置を用い、5cm/
分の圧縮速度で円筒状試料を縦方向に圧縮した。圧縮剛
軟度は、そのときの最大荷重時の応力を測定したもの
で、その値が小さいほど柔軟性は良好である。評価に際
しては、圧縮剛軟度が70g以上である場合、総合評価
として不良とした。
【0027】微生物分解性の評価については、不織布を
土壌中に3ヵ月埋設した後取り出し、不織布がその形態
を保っていないか、あるいは形態を保っていても引張強
力が初期の50%以下に低下している場合を、微生物分
解性が良好であると判断した。微生物分解性が良好の場
合でも、不織布の初期引張強力(目付:30g/m2
算値)が1000g/3cm未満である場合には、総合
評価として不良とした。 実施例1 融点が59℃、MFRが25g/10分のPCLを用
い、孔径0.35mm、孔数84の紡糸口金パックを複
数個使用し、紡糸温度230℃で溶融紡出した。紡出長
繊維群を、紡糸口金の下150cmの位置に配設された
エアーサッカーを使用し、エアー圧力を変更して、種々
の吸引・引取速度で牽引・引取った。移動するエンドレ
スの金網上に長繊維群を開繊・捕集・堆積してウエブと
し、その後、加熱した金属エンボスロールと金属フラッ
トロールとを用いて、線圧40kg/cm、圧接面積率
17%、熱処理温度57℃にて加熱処理し、目付30g
/m 2 のスパンボンド不織布を得た。紡糸に際し、表1
に示した単糸繊度の長繊維となるように重合体の吐出量
を調整した。得られた各不織布の強力、圧縮剛軟度と微
生物分解性評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、本発明の実施例
であるNo1〜3、5、6は、得られた不織布の強力、圧
縮剛軟度、微生物分解性ともに良好であった。しかし、
単糸繊度が高すぎるNo4は、地合が悪く粗硬な風合いの
不織布しか得られなかった。引取速度が遅すぎるNo.7
は、初期引張強力が低く、実用に供することのできない
不織布しか得られなかった。 比較例1 紡糸温度を180℃とし、引取速度3500m/分で引
取り、実施例1と同条件で紡糸を行った。しかし、紡出
長繊維に単糸切れが多発し、不織布を得ることはできな
かった。
【0030】また、紡糸温度を230℃とし、エアーサ
ッカーの配設位置を紡糸口金の下80cmとし、実施例
1にしたがい同じく3500m/分で引取り紡糸を行っ
た。しかし、長繊維間に密着が生じ、不織布を得ること
はできなかった。 実施例2 MFRが13g/10分のPCLを用い、孔径0.5m
mで孔数300の紡糸口金パックを複数個使用し、紡糸
温度260℃にて溶融紡出した。捲取速度400m/分
と1000m/分で捲き取って未延伸糸を得た。次い
で、得られた未延伸糸パッケージ複数本を合糸して表2
に示す倍率で冷延伸し、スタッファボックスにて機械捲
縮を施した後、繊維長51mmに切断して、単糸繊度3
デニール、単繊維強度4.3g/d、捲縮数23ヶ/イ
ンチのPCL短繊維を得た。
【0031】
【表2】
【0032】紡糸に際しては、捲取速度と延伸倍率とを
考慮して、短繊維の単糸繊度が3デニールとなるように
重合体の吐出量を調整した。ウエブ化に際しては、パラ
レルカード機を用い、PCL短繊維100%ウエブおよ
び単糸繊度3デニールのレーヨンとの混綿ウエブとし
て、不織布化工程へ供した。PCL短繊維とレーヨンと
の混綿ウエブについては、表3に示すようにPCL短繊
維の種類、混綿割合(重量%)を変更した。
【0033】不織布化に際しては、表3に示した各混綿
割合のウエブについて、熱圧着法と高圧水流交絡法とを
採用した。熱圧着法では、加熱した金属エンボスロール
と金属フラットロールとを用いて、線圧30kg/c
m、圧接面積率20%、熱処理温度55℃にて加熱処理
して、目付30g/m2 の不織布を得た。高圧水流交絡
法(表3中に、「WJN法」と記す)では、孔径0.1
mmでピッチ2.5mm間隔となるように配設された吐
出孔からの35kg/cm2 の高圧水流で処理して、目
付40g/m2 の不織布を得た。各不織布の強力、圧縮
剛軟度、微生物分解性の評価結果を、表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3から明らかなように、本発明の実施例
であるNo2〜6,8〜11は、得られた不織布の強力、
微生物分解性ともに良好であり、柔軟な風合いを持つも
のであった。しかし、PCL短繊維が少なすぎるNo1,
7,12,13は、強力が低いか、または柔軟性の面で
不満足な不織布となった。 実施例3 融点が101℃、MFRが25g/10分のPPLを用
い、孔径0.35mmで孔数84の紡糸口金パックを複
数個使用し、紡糸温度250℃で溶融紡出して、表4に
示す速度で引取った。次に、同じく表4に示す延伸倍率
で50℃の温度で延伸した。この際、単糸繊度4デニー
ルの長繊維となるように重合体の吐出量を調整した。続
いて、移動するエンドレスの金網上に長繊維群を開繊・
捕集・堆積してウエブとした。その後、加熱した金属エ
ンボスロールと金属フラットロールとを用いて、線圧4
0kg/cm、圧接面積率17%、熱処理温度95℃に
て加熱処理して、目付30g/m2 のスパンボンド不織
布を得た。各不織布の強力と圧縮剛軟度を表4に記す。
【0036】
【表4】
【0037】表4から明らかなように、本発明の実施例
であるNo2,3は、得られた不織布の強力、微生物分解
性ともに良好であり、柔軟な風合いを持つものであっ
た。 実施例4 MFRが20g/10分のPCLとMFRが25g/1
0分のPPLとを50/50の重量割合でチップ状で混
合して用い、孔径0.35mmで孔数84の紡糸口金パ
ックを複数個使用し、1.5g/分/孔の吐出量、かつ
紡糸温度250℃で溶融紡出した。紡糸口金の下150
cmの位置に配設されエアーサッカーを使用して、紡出
長繊維群を吸引・引取速度3500m/分で牽引・引取
り、単糸繊度4デニールの長繊維とした。移動するエン
ドレスの金網上に長繊維群を開繊・捕集・堆積してウエ
ブとし、その後、加熱した金属エンボスロールと金属フ
ラットロールとを用いて、線圧40kg/cm、圧接面
積率17%、熱処理温度60℃にて加熱処理して、目付
30g/m2 のスパンボンド不織布を得た。得られた不
織布の強力は2480g/3cmで、圧縮剛軟度は33
gであり、微生物分解性は良好であった。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、実用に耐
え得る引張強力と柔軟な風合いとを有し、且つ微生物分
解性を備えた不織布を、スパンボンド法、スピンドロー
スパンボンド法、短繊維法等の簡便な方法で安価に得る
ことができる。また本発明の不織布は、衛生材料、ふき
取り布、包装材料などの一般生活資材用の素材として好
適であり、使用後微生物が存在する環境に放置しておけ
ば生分解されるため、特別な廃棄物処理を必要とせず、
地球環境保全面からも極めて有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】勿論、繊維の断面形状は、丸型に限らず、
用途に合わせて、例えば中空、扁平、Y型などの異形で
も何ら差し支えない。本発明の不織布における天然繊維
などとの混合比は、PCLおよび/またはPPL繊維が
20重量%以上かつ天然繊維などが80重量%以下の割
合である。このため、不織布化の手段として熱圧着法お
よび熱融着法の採用が可能となり、PCLおよび/また
はPPL繊維と天然繊維などとの間でのバインダー効果
が得られ、実用上十分な強力を有する不織布が得られ
る。高圧水流交絡法を採用した場合は、通常、柔軟性を
有する不織布が得られるが、PCLおよび/またはPP
L繊維を混合することにより、さらに不織布の柔軟性が
向上する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【表1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】また、紡糸温度を230℃とし、エアーサ
ッカーの配設位置を紡糸口金の下80cmとし、実施例1
にしたがい同じく3500m/分で引取り紡糸を行っ
た。しかし、長繊維間に密着が生じ、不織布を得ること
はできなかった。 実施例2 MFRが13g/10分のPCLを用い、孔径0.5mm
で孔数300の紡糸口金パックを複数個使用し、紡糸温
度260℃にて溶融紡出した。捲取速度400m/分と
1000m/分で捲き取って末延伸糸を得た。次いで、
得られた末延伸糸パッケージ複数本を合糸して表2に示
す倍率で冷延伸し、スタッファボックスにて機械捲縮を
施した後、繊維長51mmに切断して、単糸繊度3デニー
ル、捲縮数23ヶ/インチのPCL短繊維を得た。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】
【表2】
フロントページの続き (72)発明者 西村 重孝 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 井上 尚 神奈川県川崎市中原区今井西町222−1− 203

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ−ε−カプロラクトンおよび/また
    はポリ−β−プロピオラクトンからなり且つ単糸繊度が
    0.8〜6デニールの繊維を、20重量%以上含有する
    ことを特徴とする微生物分解性不織布。
  2. 【請求項2】 ポリ−ε−カプロラクトンおよび/また
    はポリ−β−プロピオラクトンからなり且つ単糸繊度が
    0.8〜6デニールの繊維20重量%以上と、天然繊維
    またはセルロース系繊維80重量%以下とからなること
    を特徴とする微生物分解性不織布。
  3. 【請求項3】 ポリ−ε−カプロラクトンおよび/また
    はポリ−β−プロピオラクトンを紡糸口金を経て融点よ
    り100〜240℃高い温度で溶融紡出し、紡出される
    長繊維群を冷却固化後、これを紡糸口金の下の少なくと
    も100cmの位置に配設されたエアーサッカーなどの
    引取り手段によって2000m/分以上の吸引・引取速
    度で牽引・引取り、引続いて長繊維群を開繊し、その後
    ウエブとすることを特徴とする微生物分解性不織布の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 ポリ−ε−カプロラクトンおよび/また
    はポリ−β−プロピオラクトンを紡糸口金を経て融点よ
    り100〜240℃高い温度で溶融紡出し、紡出される
    長繊維群を冷却固化後、これを500m/分以上の引取
    速度で引取り、さらにこれを、引取りロールと続いて配
    設された延伸ロールとの間で1.5〜3.5倍に延伸
    し、引続いてウエブとすることを特徴とする微生物分解
    性不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリ−ε−カプロラクトンおよび/また
    はポリ−β−プロピオラクトンを紡糸口金を経て融点よ
    り100〜240℃高い温度で溶融紡出し、紡出される
    長繊維群を冷却固化後、これを500m/分以上の引取
    速度で引取り、さらにこれを、引取りロールと続いて配
    設された延伸ロールとの間で2.0〜3.5倍に延伸
    し、次いで機械捲縮を施した後、所定長に切断して短繊
    維とし、その後ウエブとすることを特徴とする微生物分
    解性不織布の製造方法。
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