JPH05213671A - 炭素/炭素複合材料の製造法 - Google Patents

炭素/炭素複合材料の製造法

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JPH05213671A
JPH05213671A JP4057598A JP5759892A JPH05213671A JP H05213671 A JPH05213671 A JP H05213671A JP 4057598 A JP4057598 A JP 4057598A JP 5759892 A JP5759892 A JP 5759892A JP H05213671 A JPH05213671 A JP H05213671A
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喜穂 早田
Taiji Ido
泰二 井土
Masakazu Ko
正和 弘
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高価な炭素繊維織物を用いることなく、また
緻密化工程の前に複雑な成形工程を行わずに、炭素/炭
素複合材料を製造する。 【構成】 炭素質ピッチを紡糸して得たピッチ繊維と、
ピッチ繊維を不融化及び炭化して得られる炭化繊維を含
む混合物に、一軸加圧下での炭化及び成形を行い、炭素
/炭素複合材料とし、必要に応じて該炭素/炭素複合材
料を炭素質マトリックスにより緻密化する。 【効果】 簡便な工程で用いることなく、炭素/炭素複
合材料が製造可能となり、炭素/炭素複合材料の製造が
大幅に効率化した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素/炭素複合材料の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素/炭素複合材料は、1000℃以上
の高温においても高強度、高弾性率を維持し、且つ熱膨
張率が小さい等の特異な性質を有する材料であり、航空
宇宙機器の部品、ブレーキ、炉材等への利用が期待され
ている。
【0003】これらの炭素/炭素複合材料に用いられる
炭素繊維の集合体の形状は、2次元織物が中心であり、
用途により3次元織物も使用されている。これらの織物
を用いると高強度の炭素/炭素複合材料が得られるもの
の、織物の構造及び製造法が複雑であり、また高価でも
ある。
【0004】一方、いわゆるチョップド等の短繊維状の
炭素繊維を使用した場合には、通常充分な補強効果が得
られない。また、上記の織物や短繊維状の炭素繊維から
炭素/炭素複合材料を製造する緻密化工程を行う際は、
ピッチや熱硬化性樹脂等のバインダーで炭素繊維同志を
固定する工程を別に行う必要があり、この工程が炭素/
炭素複合材料製造プロセス中での生産性を低下させる原
因のひとつとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高価
な炭素繊維織物を用いることなく、炭素/炭素複合材料
を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)炭素質
ピッチを紡糸して得られるピッチ繊維100重量部、
(B)ピッチ繊維に不融化処理及び炭化処理して得られ
る炭化繊維100〜1900重量部を含む混合物を、一
軸加圧下で炭化及び成形することを特徴とする炭素/炭
素複合材料の製造法及び(A)炭素質ピッチを紡糸して
得られるピッチ繊維100重量部、(B)ピッチ繊維に
不融化処理及び炭化処理して得られる炭化繊維100〜
1900重量部を含む混合物を、一軸加圧下で炭化及び
成形して空隙率5〜70vol%、かさ密度0.1〜
1.8g/cmの一次成形体とし、該一次成形体を炭
素質マトリックスにより緻密化することを特徴とする炭
素/炭素複合材料の製造法に関する。
【0007】以下、本発明による炭素/炭素複合材料の
製造法について詳述する。
【0008】本発明の(A)成分として用いるピッチ繊
維とは、炭素質ピッチを公知の方法で溶融紡糸すること
により得られる平均直径が通常5〜100μm、好まし
くは7〜30μmの繊維である。
【0009】該炭素質ピッチは特に限定されず、公知の
ものを用いることができるが、特に軟化点が通常100
〜400℃、好ましくは150〜350℃を有する石炭
系、あるいは石油系のピッチを用いることが望ましい。
また、炭素質ピッチは、光学的に等方性のピッチあるい
は異方性のピッチのいずれも使用できるが、光学的異方
性相の含量が60〜100%の光学的異方性ピッチが、
特に好ましく用いられる。
【0010】本発明の(B)成分として用いる炭化繊維
とは、前記ピッチ繊維に公知の不融化処理及び炭化処理
をして得られる繊維である。
【0011】不融化処理は、酸化性ガス雰囲気下、通常
50〜400℃、好ましくは100〜350℃で行うこ
とができる。酸化性ガスとしては、空気、酸素、窒素酸
化物、硫黄酸化物、ハロゲン、あるいはこれらの混合物
が適宜使用できる。処理時間は、繊維が熱溶融性を示さ
なくなる程度の時間であり、通常10分〜20時間、好
ましくは30分〜10時間である。
【0012】炭化処理は、非酸化雰囲気中、好ましくは
不活性ガス中、通常350〜1000℃、好ましくは3
50〜850℃、より好ましくは400〜700℃で1
0分〜5時間行われ、かくして炭化繊維が得られる。こ
こで(B)成分として用いられる炭化繊維は、含有され
る水素/炭素の元素比が好ましくは0.41以下、より
好ましくは0.01〜0.35であることが望ましい。
水素/炭素の元素比が前記範囲を超える場合には、後の
工程中に繊維同士が融着し、所期の補強効果を達成する
ことが困難となる。また、水素/炭素の元素比が前記範
囲に満たない場合には、成形性が低下するために、好ま
しくない。
【0013】本発明においては、(A)成分のピッチ繊
維100重量部に対し、(B)成分の炭化繊維を100
〜1900重量部含有する混合物を、一軸加圧下で炭化
及び成形して炭素/炭素複合材料とする、もしくはこれ
を一次成形体として用いる。通常、両成分を容器内に積
層あるいは沈積して充填し、一軸加圧する。
【0014】この時、(A)成分のピッチ繊維及び
(B)成分の炭化繊維は、通常連続繊維もしくは1〜1
00cmの短繊維状で積層、あるいは沈積されることに
より、充填される。
【0015】連続繊維を容器等に充填する方法は特に制
限されず、例えば(A)成分と(B)成分の各々を除々
に落下させる方法、(A)成分と(B)成分を一旦プー
リーに送り、容器内に充填する方法、(A)成分と
(B)成分を空気エジェクターを介して、容器内に充填
する方法等が挙げられる。
【0016】特に(A)成分と(B)成分の充填時に混
合することが望ましい。連続繊維を容器に充填する際
に、(A)成分と(B)成分を所定の混合比で混合する
方法としては、例えば充填する際、予め各々の繊維束に
含まれる単繊維数を所定の比率にしておく方法、もしく
は(A)成分用のプーリーまたはエジェクター(以下、
充填装置という)、(B)成分用の充填装置をそれぞれ
用意し、各成分の充填速度、もしくは各成分の充填装置
の数の比率を調整する方法等が挙げられ、これらの方法
を用いることにより、各成分の比率を正確且つ均一に混
合することができる。
【0017】また、短繊維を容器等に充填する方法とし
ては、例えば短繊維化された(A)成分と(B)成分を
一軸加圧用の容器中に落下させて沈積充填する方法、連
続繊維を容器上に供給し、カッター等で切断することに
より落下させる方法等が挙げられる。
【0018】上記いずれの充填方法の場合においても、
均等に充填することが望ましく、そのために例えば充填
時に落下位置、もしくは充填位置が移動するように、充
填装置及び/または充填容器を移動させることも好まし
く行われる。また、一軸加圧用の容器としては一軸加圧
のためのダイス等を用いると、工程が簡略化されるため
に好ましい。
【0019】(A)成分のピッチ繊維と(B)成分の炭
化繊維の比率は、(A)成分100重量部に対し、
(B)成分が100〜1900重量部であることが必要
であり、好ましくは(A)成分100重量部に対し、
(B)成分が150〜1000重量部であることが望ま
しい。この時、(B)成分の比率が100重量部よりも
少なすぎると、一次成形体の繊維含有率が低下してしま
い、また(B)が1900重量部よりも多すぎると、成
形性が低下するために望ましくない。
【0020】一軸加圧下の炭化及び成形の前、あるいは
後に、繊維の積層面方向に対して垂直方向にニードルパ
ンチ処理を行うこともできる。
【0021】一軸加圧下で炭化及び成形を行う方法は、
ホットプレス装置により、通常1〜100kg/c
、好ましくは2〜50kg/cm、より好ましく
は2〜20kg/cmの一軸加圧下、通常400〜2
000℃、好ましくは500〜1000℃において、通
常10分〜10時間、好ましくは30分〜4時間処理す
ることにより、実施される。この際の雰囲気は、例えば
窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、ラドン
等の非酸化性雰囲気下で行われるのが好ましい。また、
比較的低温、例えば400〜600℃程度の温度で、か
つ短時間の処理であれば、酸化雰囲気中であっても、行
うことができる。かくして炭素/炭素複合材料が得られ
る。
【0022】本発明においてはまた、上記炭素/炭素複
合材料を一次成形体とし、これに緻密化工程を行って、
炭素/炭素複合材料(以下、緻密化工程を経て得られる
炭素/炭素複合材料を「複合材料」という。)とするこ
ともできる。
【0023】ここで、一次成形体として用いる炭素/炭
素複合材料の空隙率は、通常5〜70vol%、好まし
くは、10〜60%、さらに好ましくは15〜50%で
ある。空隙率が上記範囲を超えると、炭素/炭素複合材
料の形状保持性が低下し、後段の工程において、一次成
形体の欠落あるいは変形等を生じるために好ましくな
い。また、空隙率が上記範囲に満たない場合には、複合
材料が脆性的な破壊を起こすようになり、モノリシック
材料のような挙動を示すため、緻密化後に複合材料が本
来の特性を示さず、好ましくない。
【0024】また、一次成形体として用いる炭素/炭素
複合材料のかさ密度は、通常0.1〜1.8g/c
、好ましくは0.2〜1.7g/cm、さらに好
ましくは、0.5〜1.6g/cmである。かさ密度
が上記範囲に満たない場合には、炭素/炭素複合材料の
形状保持性が低下し、後段の工程において、一次成形体
の欠落あるいは変形等を生じるために、好ましくない。
また、かさ密度が上記範囲を超える場合には、緻密化後
の複合材料が脆性的な破壊を起こすようになり、モノリ
シック材料のような挙動を示し、複合材料本来の特徴が
生かせないために、好ましくない。
【0025】緻密化に先だって、一次成形体に対し、常
圧下の炭化あるいは黒鉛化を行うこともでき、この場
合、非酸化性雰囲気下、通常400〜3000℃、好ま
しくは500〜2500℃において実施する。
【0026】緻密化の方法は、炭素質マトリックスを生
成する方法であれば特に限定されず、公知の方法を用い
ることができ、特に化学気相蒸着によるマトリックス及
び/またはピッチを出発原料とするマトリックスによ
り、緻密化する方法が好ましく挙げられる。
【0027】化学気相蒸着により、緻密化する場合に
は、例えばメタン、エタン、アセチレン、プロパン、ベ
ンゼンあるいは天然ガス等の炭化水素ガス、あるいはこ
れらの少なくとも一種以上を不活性ガスあるいは水素等
で希釈したものを原料とし、熱分解することにより、一
次成形体内に熱分解炭素を沈着させる。不活性ガスとし
ては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセ
ノン、ラドン等を用いることができる。
【0028】熱分解温度は、通常700〜3000℃、
好ましくは800〜2500℃である。熱分解圧力は、
常圧でも行うことができるが、減圧が好ましく、具体的
には、通常0.5〜100Torr、好ましくは0.5
〜50Torrである。
【0029】不活性ガスあるいは、水素等の希釈ガス
を、反応速度を制御する目的で用いることができ、その
場合、これらの希釈ガスは上記炭化水素ガスに対して、
通常0.1〜1000倍体積、好ましくは1〜100倍
体積用いる。希釈ガスの割合が上記範囲よりも少ない場
合には、充分な希釈効果が得られず、また、希釈ガスの
割合が上記範囲よりも多い場合には、反応速度が必要以
上に低下するために、好ましくない。
【0030】ピッチを出発原料とするマトリックスによ
り、緻密化する場合には、通常炭素質ピッチを一次成形
体に含浸させた後に、炭化する方法が用いられる。炭素
質ピッチは特に限定されず、公知のものを用いることが
でき、特に軟化点が通常100〜400℃、好ましくは
150〜350℃を有する石炭系あるいは石油系のピッ
チを用いることが望ましい。また、炭素質ピッチは、光
学的に等方性のピッチあるいは異方性のピッチのいずれ
も使用できるが、光学的異方性相の含量が60〜100
%の光学的異方性ピッチが特に好ましく用いられる。含
浸の方法は特に限定されず、公知の方法で行うことがで
き、例えば一次成形体と炭素質ピッチを真空容器内に密
封し、減圧下で加熱溶融することにより行うことができ
る。この場合の減圧としては、例えば1×10−2〜3
00Torr程度で行うことができる。加熱温度は、通
常炭素質ピッチの軟化点温度以上、且つ分解開始温度未
満、好ましくは軟化点温度より30℃以上高く分解開始
温度未満、さらに好ましくは180〜450℃である。
【0031】炭化は、好ましくは加圧下あるいはプレス
化で行う。加圧下の炭化は、例えば含浸された一次成形
体を入れた容器を真空にし、ついで例えば窒素、アルゴ
ン、ヘリウム、ラドン、ネオン、等の不活性ガスにより
通常50〜10000kg/cm、好ましくは100
〜2000kg/cmに加圧し、400〜2000
℃、好ましくは500〜1500℃に加熱することによ
り行われる。
【0032】また、プレス下の炭化は、ホットプレスに
より通常10〜500kg/cm、好ましくは20〜
200kg/cmに一軸加圧し、通常400〜200
0℃、好ましくは500〜1500℃に加熱することに
より行われる。
【0033】かくして得られる炭素/炭素複合材料中の
繊維の体積含有率(Vf)は、特に制限されず、目的に
応じて適宜選択でき、通常は5〜70%である。
【0034】
【発明の効果】本発明により、複雑な工程を経ずに炭素
/炭素複合材料が製造可能となり、簡便な方法で炭素/
炭素複合材料を製造することが可能となる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
する。
【0036】(実施例1)軟化点280℃を有する光学
的異方性の石油系ピッチを溶融紡糸し、平均直径13μ
mのピッチ繊維を得た。このピッチ繊維2000本のト
ウを空気中で不融化処理し、さらに窒素中、650℃で
1時間熱処理して水素/炭素の元素比が0.10の炭化
繊維を得た。次にピッチ繊維2000本のトウ及び炭化
繊維2000本のトウを各々1束ずつ同時に、除々にダ
イス内に落下させつつ、ダイス内部で両者が均一に混合
しつつ充填するように、ダイスを移動させた。
【0037】充填したのち、ホットプレスにより5kg
/cmの圧力下、700℃において、1時間プレス炭
化して空隙率20%及びかさ密度1.3g/cmの炭
素/炭素複合材料とした。該炭素/炭素複合材料をダイ
スから取り出しても形状は変化しなかった。
【0038】(実施例2)軟化点280℃を有する光学
的異方性の石油ピッチを溶融紡糸し、平均直径13μm
のピッチの繊維を得た。このピッチ繊維2000本のト
ウを空気中で不融化処理し、さらに窒素中、650℃で
1時間熱処理して、水素/炭素の元素比が0.10の炭
化繊維を得た。次にピッチ繊維の2000本のトウ1束
及び炭化繊維の2000本のトウ5束を各々同時に、除
々にダイス内に落下させつつ、ダイス内部で両者が均一
に混合しつつ充填するように、ダイスを移動させた。
【0039】充填したのち、ホットプレスにより5kg
/cmの圧力下、700℃において1時間プレス炭化
して、空隙率30%及びかさ密度1.1g/cmの炭
素/炭素複合材料とした。該炭素/炭素複合材料をダイ
スから取り出しても形状は変化しなかった。
【0040】該炭素/炭素複合材料に対し、メタンを原
料ガスとする化学気相蒸着により、1200℃、1.5
Torrにおいて120時間緻密化処理を行い、炭素/
炭素複合材料を製造した。得られた炭素/炭素複合材料
の空隙率は約5%で、かさ密度1.3g/cmであ
り、クラックは見られなかった。また、得られた炭素/
炭素複合材料は、炭素/炭素複合材料の形状を保持して
いた。
【0041】(比較例1)炭素繊維2000本のトウを
除々にダイス内に落下させつつ、粒状ピッチをダイス内
に落下させ、両者が均一に混合しつつ充填するように、
ダイスを移動させた。次いでホットプレスにより10k
g/cmの圧力下、600℃において1時間プレス炭
化して空隙率30%、かさ密度1.5g/ccの炭素/
炭素複合材料とした。これを窒素中、大気圧下において
1000℃で焼成したところ、中央部に亀裂が生じ、緻
密化して炭素/炭素複合材料とすることができなかっ
た。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)炭素質ピッチを紡糸して得られる
    ピッチ繊維100重量部、(B)ピッチ繊維に不融化処
    理及び炭化処理して得られる炭化繊維100〜1900
    重量部を含む混合物を、一軸加圧下で炭化及び成形する
    ことを特徴とする炭素/炭素複合材料の製造法。
  2. 【請求項2】 (A)炭素質ピッチを紡糸して得られる
    ピッチ繊維100重量部、(B)ピッチ繊維に不融化処
    理及び炭化処理して得られる炭化繊維100〜1900
    重量部を含む混合物を、一軸加圧下で炭化及び成形して
    空隙率5〜70vol%、かさ密度0.1〜1.8g/
    cmの一次成形体とし、該一次成形体を炭素質マトリ
    ックスにより、緻密化することを特徴とする炭素/炭素
    複合材料の製造法。
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