JPH05209585A - エンジン点火時期制御装置 - Google Patents

エンジン点火時期制御装置

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JPH05209585A
JPH05209585A JP1668392A JP1668392A JPH05209585A JP H05209585 A JPH05209585 A JP H05209585A JP 1668392 A JP1668392 A JP 1668392A JP 1668392 A JP1668392 A JP 1668392A JP H05209585 A JPH05209585 A JP H05209585A
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正幸 岸田
Koichi Kano
弘一 加納
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剛 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジンをその始動状態で点火した場合のノ
ッキングの発生を防ぐとともに、エンジンのトルク不足
による始動不良を生じさせないことを目的とする。 【構成】 エンジン始動時の点火時期を遅角制御すべき
条件が成立しているか否かを判定する手段(ステップ
6)、および該条件が成立している場合には該条件が成
立していない場合より点火時期を遅らす手段(ステップ
9〜11)を、エンジン制御用コンピュータなどに具備
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンジン点火時期制御装
置に関し、特にエンジン始動時の点火時期制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般にエンジン始動時(通常エンジン温
度が低い状態でスタータがオンとなる)には、該エンジ
ン制御用マイコン(該エンジンの燃料噴射制御や点火時
期制御を行うCPU)に与えられるバッテリ電圧が低下
していて不安定な状態にあり、安定したマイコン制御を
行うことができないおそれがある。
【0003】そのため該エンジン制御用のECUには、
図10に示されるように上記エンジン制御用のマイコン
23′をバックアップするバックアップIC22′が設
けられ、上述したエンジン始動時(スタータ・オン時)
には、上記バックアップIC22′において、該エンジ
ンのクランキング信号などを用いて、一定の(すなわち
点火時期を固定した)点火時期制御が行われる。
【0004】すなわち図10は上記従来技術によるエン
ジン点火制御装置の構成を例示し、また図11はエンジ
ン始動時における該装置の動作タイミングを例示するも
ので、図10に示されるクランク角センサ(通常ディス
トリビュータに設けられ所定の角度位置に例えば4個の
磁石を有するロータと該ロータに対向して設けられたピ
ックアップコイルとで構成される)1′から、エンジン
回転に対応して該エンジンの回転信号NE(図11にN
Eとして示されるようにそのゼロクロス点がエンジンの
上死点(TDC)近傍、例えばBTDC5°CAとされ
る)が、該エンジン制御用のECUにとり込まれる。そ
して、該ECUにとり込まれた該回転信号NEは波形整
形回路21′で整形され、該波形整形された回転信号X
NE(図11中にXNEとして示す)は上記バックアッ
プIC22′に入力されるとともに、該バックアップI
C22′の出力側(図10中にNEoutとして示す)
から上記エンジン制御用マイコン23′にも入力され
る。
【0005】そして通常走行時(例えばエンジン回転数
400rpm 以上)には、該マイコン23′からそのとき
のエンジン条件に応じて所定のタイミングで点火信号I
GTが生成され、該点火信号がバックアップIC2
2′、イグナイタ駆動回路24′を介してイグナイタ
3′に出力される。一方エンジン始動時(例えばスター
タ・オン時でエンジン回転数400rpm 以下の状態)に
は、上述したように該バックアップIC22′に入力さ
れる上記回転信号XNEにもとづいて、該バックアップ
IC22′内において該回転信号XNEに同期した一定
のタイミングで点火信号IGT(図11中にIGTとし
て示されており、例えば点火のタイミング(該信号IT
Gの立下り時のタイミング)がBTDC5°CAのように
固定した値とされる)が生成され、該点火信号が該バッ
クアップIC22′から直接イグナイタ駆動回路24′
を介してイグナイタ3′に出力される。なお該バックア
ップICは上記エンジン始動時における点火時期制御の
ほか、例えば上記マイコン23′の故障時(例えば暴走
時)などにおいても、該マイコン23′に代って必要最
低限のエンジン制御を行う機能を有している。
【0006】上述したように、上記従来技術において
は、エンジン始動時には上記バックアップICによる固
定されたタイミングでの点火時期制御がなされている
(すなわちエンジン始動時の点火進角値をエンジン温度
(例えば冷却水温)等の状態にかかわらず例えば上記B
TDC5°CAのように固定値としている)ため、例えば
冷却水温の低い領域ではスムーズな始動が可能である
が、冷却水温の高い領域(例えばエンジンが高温の状態
で再始動を行う場合など)では、該点火時期が進み過ぎ
ているため、ノッキングが発生し易くなる。一方、該高
温側でのノッキングの発生を抑えるために点火時期を遅
らせるようにすると、低温時に遅角しすぎることとなっ
て、低温始動時にエンジンのトルクが不足して、スムー
ズに始動できなくなるなどの問題点を生ずる。特に最近
ではエンジンの燃費を向上させることなどのために、エ
ンジンの圧縮比が高まる傾向にあり、このためエンジン
始動時においてもノッキングが発生する可能性が高くな
っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる技術的
背景のもとになされたもので、エンジンをその始動状態
において点火した場合におけるノッキングの発生を防
ぎ、これによりエンジン始動時の騒音および振動を低減
させるとともに、エンジンのトルク不足による始動不良
をも生じさせないようにしたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明の一態様によれば、エンジン始動時の点火
時期を遅角制御すべき条件が成立しているか否かを判定
する手段および該条件が成立している場合には該条件が
成立していない場合より点火時期を遅らす手段を、エン
ジン制御用コンピュータに具備させたことを特徴とす
る、エンジン点火時期制御装置が提供される。そして該
遅角制御条件の1例としては、エンジン始動時のエンジ
ン温度が所定値以上となっているときに、該条件が成立
しているものと判定される。
【0009】また本発明の他の態様によれば、進角時用
および遅角時用の2種の点火タイミング信号を出力させ
る手段、およびエンジン始動時のエンジン条件に応じて
該2種の点火タイミング信号のうちの一方をもとにして
点火信号を生成する手段を具備することを特徴とする、
エンジン点火時期制御装置が提供される。そして例えば
エンジン始動時のエンジン温度が所定値以上となってい
るときには、遅角時用の点火タイミング信号をもとにし
て該点火信号が生成される。
【0010】更に本発明の他の態様によれば、クランク
角センサから出力されるアナログ信号をロウレベルとハ
イレベルとに切替えるためのしきい値を、エンジン始動
時のエンジン条件に応じて、該アナログ信号に対し相対
的に変移させる手段を具備し、これにより該レベルの反
転するタイミングが可変とされることを特徴とする、エ
ンジン点火時期制御装置が提供される。そして例えばエ
ンジン始動時のエンジン温度が所定値以上となっている
ときには、該しきい値が該アナログ信号に対し相対的に
低下させられる。
【0011】
【作用】上記構成によれば、エンジン始動時においてノ
ッキングが発生しやすい状態にある場合(例えばエンジ
ン温度が所定値以上の場合)には、それ以外の場合の始
動時よりも点火時期を遅らせる(遅角制御を行う)こと
によって該ノッキングの発生を防ぐことができる。また
低温始動時のようにノッキングが発生しにくい状態にあ
る場合には、上記遅角制御を行うことなく上記した通常
の点火時期制御を行うことによって、トルク不足による
始動不良を起すこともなくなる。
【0012】なお上記した遅角制御が行われるのは、エ
ンジン始動時において該エンジンがノッキングを発生し
やすい状態にある場合であるが、このような場合には一
般にエンジン温度が高く(例えば上記高温再始動時な
ど)、したがって上記エンジン制御用のマイコンに与え
られるバッテリ電圧も所定の高い電圧で安定しているの
で、該制御用のマイクロコンピュータによっても確実に
上記遅角制御を行うことができる。
【0013】
【実施例】図1は本発明の1実施例としての点火時期制
御装置の動作の概要をフローチャートを用いて説明した
ものであり、図2は該図1に示される点火動作を行わせ
るための点火時期制御装置(ECUの部分)をブロック
図で示したものである。ここで該図2中、エンジン回転
数信号およびイグナイタ制御出力はそれぞれ、上記図1
0におけるクランク角センサ1′から該ECUにとり込
まれる回転信号NEおよび該ECUからイグナイタ3′
に出力される点火信号に対応しており、またNE波形整
形回路21、バックアップIC22,CPU23、およ
びイグナイタ駆動回路24はそれぞれ、上記図10にお
ける波形整形回路21′、バックアップIC22′、マ
イコン23′、およびイグナイタ駆動回路24′に対応
しているが、上記本発明の実施例の特徴とするところ
は、上述したエンジン始動時における点火時期の遅角制
御を、上記CPU(すなわち上記エンジン制御用のマイ
コン)23で処理させるようにした点である。なおかか
るエンジン始動時における遅角制御がなされる状態(上
述したようにノッキングが発生しやすい状態の場合にな
される)においては、該CPUに供給されるバッテリ電
圧も安定しており、該CPUの動作に支障を及ぼさない
ことは上述したとおりである。
【0014】そしてその動作の概要は該図1に示される
ように、上記クランク角センサによってエンジンの回転
信号NE(図1(B)にNEとして示される)を検出し
(図1(A)のステップ1)、該検出された回転信号を
上記ECU内で波形整形し(図1(A)のステップ
2)、該整形された回転信号(図1(B)にXNEとし
て示される)を上記CPUに取り込む。一方、エンジン
始動時ノッキングの起りやすい条件(水温、吸気温、エ
ンジン回転数など)を該CPU内に入れておき、その条
件が満たされていないとき(ノッキングが起こらないと
き)は、上記XNE信号でのソフトウェア内の割込処理
(通常該NE信号の反転時、すなわち該XNE信号の立
上りおよび立下り時に、NE信号の割込処理がなされ
る)によって、該XNE信号と同期した点火信号IGT
が該CPUから出力される。
【0015】一方、始動時にノッキングの起りやすい条
件が成立したときには、上記ソフトウェア内のNE信号
割込処理によって、該XNE信号から一定時間(図1
(B)にはXmsとして示される)のディレイ処理を行
なった上、上記点火信号IGT(図1(B)にIGTと
して示される)が該CPUから出力される(図1(A)
のステップ3)。つまり上記XNE信号の立上り(XN
Eオン)時の割込の際、(現在時刻+Xms)の時間を
該CPU内のコンペアレジスタにセットすることによ
り、該XNE信号の立上り時刻からXms後に点火信号
IGTがオンとされる。また上記XNE信号の立下り
(XNEオフ)時の割込の際にも、(現在時刻+Xm
s)の時間を上記コンペアレジスタにセットすることに
より、該XNE信号の立下り時刻からXms後に上記点
火信号IGTがオフとされる(上記図1(B)のIGT
参照)。これにより実際の点火信号IGTは該XNE信
号からXmsだけ位相のずれた信号となり、点火時期
(通常該信号IGTのオフ時が点火時期となる)を遅ら
せることができる。そしてかかるCPU出力としての点
火信号IGTがバックアップICを経てイグナイタへ出
力される(図1(A)のステップ4)。
【0016】図3および図4は、上記図2に示されるC
PU23での処理手順をフローチャートで示すもので、
先ず図3中のステップ1では上記NE信号が反転したと
き(すなわち上記XNE信号の立上りおよび立下り時)
にNE信号割込がなされる。次いでステップ2で該NE
信号(したがってXNE信号)がハイレベルであるか否
かが判定される。そしてイエスの場合(すなわちXNE
信号の立上り時)にはステップ3に進み、エンジン始動
状態にあるか否かがそのときのエンジン回転数から判定
される。そしてノウの場合(すなわち通常の運転モード
にあるとき)はステップ4に進んで、該CPUにおいて
そのときのエンジン条件に応じて従来からの点火時期制
御がなされる。なおこのときには、ステップ5において
Xフラグ(すなわち始動時における遅角制御を行なった
か否かを判別するフラグ)が“0”とされる。
【0017】一方、上記ステップ3の判定がイエスの場
合(すなわちエンジン回転数が例えば400rpm 以下に
あるエンジン始動時)にはステップ6に進んで上記遅角
制御の条件(例えばエンジン水温が70℃以上)が成立
しているか否かが判定される。そしてノウの場合にはス
テップ7に進んで該NE信号(したがってXNE信号)
と同期した点火信号IGTが出力される。そしてこのと
きにも、ステップ8において上記Xフラグが“0”とさ
れる。
【0018】一方、該ステップ6の判定がイエスの場合
(すなわち上記遅角制御の条件が成立しているとき)
は、ステップ9に進んで該点火信号IGTの出力モード
の切換え(すなわち“IGTオン”を設定するとその設
定時にIGT信号出力がオンとなるイミディエートモー
ド(上記ステップ7に対応するモード)からタイムドモ
ード(すなわち上記コンペアレジスタ(RAM)にIG
T信号をオンとしたい時刻をセットし、かつ“IGTオ
ン”を設定すると、そのセットされた時刻にIGT信号
出力がオンとなるモード)への切換え)がなされる。次
いでステップ10で該コンペアレジスタに、該IGT信
号をオンとしたい時刻として、(現在時刻(すなわち該
NE信号割込時刻)+Xms)の時間をセットする。そ
してステップ11で“IGTオン”を設定することによ
り、該CPU内のタイマーの経過時間が該コンペアレジ
スタにセットされた時間と一致したとき(すなわち該N
E割込時刻からXmsだけ遅れて)、該IGT信号出力
がオンとされる。このようにして上記遅角制御の条件が
成立した場合には、上記IGT信号の出力モードが上記
タイムドモードに切換えられることにより、上述したよ
うにして遅角制御が実行され、このときにはステップ1
2で上記Xフラグが“1”とされ、ステップ13で割込
終了となる。
【0019】更に上記ステップ2の判定がノウの場合
(すなわちXNE信号の立下り時)には、図4のステッ
プ14に進み、現在遅角制御を実行中であるか否か(す
なわち上記XNE信号の立上り時に、そのときの遅角制
御条件に応じて遅角制御が行われたか否かを示す上記X
フラグが“1”となっているか否か)が判別される。そ
してノウのとき(Xフラグが“0”のとき)はステップ
15に進んで該CPUにおいてそのときのエンジン条件
に応じて従来からの点火時期制御がなされる。一方、該
ステップ14の判定がイエスの場合(Xフラグが“1”
となっているとき)には、ステップ16に進み、該コン
ペアレジスタに該IGT信号をオフとしたい時刻とし
て、(現在時刻(すなわちそのときのNE信号割込時
刻)+Xms)の時間をセットする。そしてステップ1
7で“IGTオフ”を設定することによって、該CPU
内のタイマーの経過時間が該コンペアレジスタにセット
された時間と一致したとき(すなわち該XNEの立下り
時における該NE割込時刻からXmsだけ遅れて)、該
IGT信号出力がオフとされ、このようにして該IGT
信号のオフ時にも上記遅角制御が実行されたのち、ステ
ップ18で割込終了となる。
【0020】上述したように本発明においては、始動時
のノッキングを、上記遅角制御を行うことによって確実
になくすことができる。更に上記本発明をノックセンサ
を有するシステムに適用した場合には、該ノックセンサ
によってエンジン始動時にノッキングの発生が検知され
たとき、その都度そのときのエンジン条件(エンジン温
度など)をRAMに記憶させ、該RAMに記憶されてい
る条件を用いて該条件が成立したときに上記遅角制御を
行うようにして、学習制御を行い、ノッキングが発生し
た点火のタイミングやエンジン条件などを学習させ、そ
れによりエンジン始動時の遅角制御をノッキングの出る
時期に合せて行なうことができ、このようにすることに
よって、エンジンの始動性等に悪影響を及ぼすことな
く、またエンジンの経年変化等にも対応させて、ノッキ
ングの発生を抑制することができる。
【0021】図5は本発明の他の実施例としての点火時
期制御装置の構成を示すもので、上述したようにエンジ
ンがノッキングしにくい状態のときには始動時の点火時
期を進角側へ、またノッキングしやすい状態のときには
点火時期を遅角側にすることで、常にスムーズに始動で
きるようにされている。そのために該図5に示されるよ
うに、フランク角センサ1内に進角時用ピックアップA
と遅角時用ピックアップBとを設け(すなわち該進角時
用および遅角時用の回転信号NE(図6中のNE波形中
にそれぞれAおよびBとして示される)を該クランク角
センサ1で生成させるために、そのロータ側に該進角時
用および遅角時用としてそれぞれ例えば4個づつの磁石
AおよびBを気筒数に対応して設け)、共通の入力線で
上記2種の回転信号(クランク角信号)を該クランク角
センサ1からECU側に入力して、これらの信号を上記
進角させる場合と遅角させる場合の点火のタイミング信
号として使い分ける。
【0022】そしてノッキングの起きにくい状態(例え
ばエンジンの冷却水温が低いとき)には該ピックアップ
Aによる波形のゼロクロス点(すなわち図6に示される
ようにその時点で波形整形回路21から出力される信号
XNEがに示されるように立上る)で点火を実施する
(すなわちその時点で該信号XNEにもとづいて該バッ
クアップIC22内で生成される点火信号IGT(図6
に示される下側の(すなわち低温時の)点火信号)がオ
フとなることによって上記点火がなされることになり、
その際の点火角は例えば図示されるようにBTDC5°
CAである)。
【0023】一方ノッキングの起きやすい状態(例えば
高温始動時)では該ピックアップBによる波形のゼロク
ロス点(すなわち図6に示されるようにこの時点でも上
記信号XNEがに示されるように立上る)で点火を実
施する(すなわちこの時点で該信号XNEにもとづいて
該バックアップIC内で生成される点火信号IGT(図
6に示される上側の(すなわち高温時の)点火信号)が
オフとなることによって上記点火がなされることにな
り、その際の点火角は例えば図示されるようにBTDC
0°CAである)。
【0024】そして上記2種の点火信号の切替えは、例
えば図5に示されるように水温スイッチ4の状態(例え
ば上記低温時にオフとなり高温時にオンとなる)をバッ
クアップICのTWS端子に入力し(すなわち低温時に
は該端子にハイレベルが入力され、高温時には該端子に
ローレベルが入力される)、該入力されたレベルに応じ
てバックアップIC内で行われる(すなわち該点火信号
の切替えにマイコン23側は介在しない)。そして該切
替えを行うためには、該バックアップIC内に例えばカ
ウンタ回路を設け、該水温スイッチオフ時(すなわちバ
ックアップICのTWS端子がプルアップ抵抗Rにより
ハイレベルとなっている低温時)には、上記図6に示さ
れるXNE信号の最初の立下り点(クランク角180
°CA毎に生ずる)を基準にして該XNE信号の次の立ち
上り点で該点火信号IGTを立ち下げて(オフとし
て)上記点火がなされる(図6における上記下側の点火
信号参照)。一方、該水温スイッチオン時(すなわちバ
ックアップICのTWS端子がローレベルとなっている
高温時)には、上記図6に示されるXNE信号の最初の
立下り点を基準にして該XNE信号の2回目の立上り
点で該点火信号IGTを立ち下げて上記点火がなされ
る(図6における上記上側の点火信号参照)。このよう
にして該TWS端子に与えられるレベルに応じて該XN
E信号の立上り回数を該カウンタ回路でカウントするこ
とにより、上記2種の点火信号を該バックアップICか
ら選択的に出力させることができる。そして上記A側の
ゼロクロス点をノッキングしにくい時期に合せておけ
ば、上記B側のゼロクロス点は該A側のゼロクロス点よ
り遅角側となり、このようにして上記始動時の遅角制御
をノッキングしやすい時期に行うことができる。
【0025】図7は本発明の更に他の実施例としての点
火時期制御装置の動作を示すタイミング図であって、上
記クランク角センサに相当するマグネットピックアップ
からえられるエンジンの回転信号(アナログ信号)NE
を上記ECU内で波形整形処理して、信号XNE(例え
ばそのハイレベルが5V、ローレベルが0Vのデジタル
化信号)に変換するにあたり、エンジン始動時にノッキ
ングの発生しにくい状態(例えばエンジン水温が低い状
態、すなわち図7の左半側に示されるようにバックアッ
プICに入力されるレベルが上記ハイレベルになってい
るとき)と、ノッキングの発生しやすい状態(例えばエ
ンジン水温が高い状態、すなわち図7の右半側に示され
るようにバックアップICに入力されるレベルが上記ロ
ーレベルになっているとき)とで、該XNE信号をハイ
レベルからローレベルに反転させるしきい値Vth1と
該XNE信号をローレベルからハイレベルに反転させる
しきい値Vth2とを該NE信号に対して相対的に変移
させる(すなわち該図7に示されるように上記低温時に
おける該しきい値Vth1およびVth2を、上記高温
時にはそれぞれVth1′およびVth2′に変移させ
る)ようにしたものである。これにより該XNE信号が
上記ローレベルからハイレベルに反転するタイミング
(したがって該XNE信号と同期してバックアップIC
から出力される点火信号IGTが立下る(オフとなる)
ときの点火時期)を、上記高温時においては上記低温時
に比しtdだけ遅らせる(図7参照)ことができ、この
ようにして該高温時などにおけるノッキングの発生が防
止される。
【0026】図8は上記図7に示されるような波形整形
処理を行わせる回路の1例を示すもので、MPUは上記
クランク角センサに相当するマグネットピックアップで
あって、該マグネットピックアップMPUで生成される
上記エンジンの回転信号NEが上記XNE信号処理回路
に入力される。ここで該処理回路中、R1およびD1は
NE−側の端子の電位を例えば0.7Vにバイアスする
ための抵抗およびダイオード、R2およびC1は該入力
信号NEに含まれている外来ノイズを除去するためのフ
ィルタ、R3およびC2は該NE信号に対するローパス
フィルタ、D2はクランプ(サージ保護)用のツエナダ
イオードであって、NE+側の正側の電位を所定の電位
(例えば3〜4V程度)にクランプするとともに、その
負側の電位を上記ダイオードD1および該ツエナダイオ
ードD2によって0Vにクランプする。
【0027】またCOMPはコンパレータであって、そ
の出力側(すなわちXNE信号)がハイレベルからロー
レベルに切替る基準しきい値(上記Vth1およびVt
h1′に相当)と、逆にローレベルからハイレベルに切
替る基準しきい値(上記Vth2およびVth2′に相
当)とが異ならせてある。すなわち該コンパレータCO
MPの出力側がハイレベル(オープンコレクタの状態)
となっているときは、該コンパレータの出力側(すなわ
ちXNE信号)が該ハイレベルからローレベルに切替る
基準しきい値Vth1は、トランジスタTR1がオフ状
態(すなわち水温が低い状態)にあるため、R6および
R8の直列抵抗とR5の抵抗とからなる並列抵抗と、R
4の抵抗(ダイオードD1の抵抗は無視する)との分圧
比で決定され、一方該コンパレータの出力側(すなわち
XNE信号)が該ローレベルからハイレベルに切替る基
準しきい値Vth2は、同じく該トランジスタTR1が
オフ状態にあるため、R5の抵抗とR4およびR6から
なる並列抵抗との分圧比で決定されることになる。
【0028】またエンジン水温が所定値(例えば60
℃)より高くなって水温判定装置DETにより該トラン
ジスタTR1がオンとなると、上記抵抗R4に抵抗R9
が並列に接続されることになり、これによって上記分圧
比の値が低下して上記基準しきい値Vth1およびVt
h2が、それぞれ上記Vth1′およびVth2′に低
下することになる。なおR7およびC3はダイナミック
ヒステリシス用の抵抗およびコンデンサであって、該コ
ンパレータ出力がレベル反転した直後の該XNE信号を
所定のハイレベル以上(又は所定のローレベル以下)に
一時的に立ち上げる(又は立ち下げる)ことにより、該
反転直後のXNE信号にノイズマージンをもたせるよう
な微分回路を構成している。
【0029】図9は上記図7に示されるような波形整形
処理を行わせる回路の他の例を示すもので、上記図8に
示される回路のように該XNE信号をレベル反転させる
ためのしきい値自体をエンジン水温に応じて変移させる
代りに、エンジン水温が所定値より高くなって水温判定
装置DETによりトランジスタTR2がオンとなった場
合には、該マグネットピックアップMPUから入力され
る上記入力信号NEに、所定の直流電圧(図9中の抵抗
R8およびR9により分圧された直流バイアス電圧)を
加算することによって、該XNE信号をレベル反転させ
るためのしきい値を、該入力信号(アナログ信号)NE
に対し相対的に低下させるようにしたものである。
【0030】なお該図9に示される回路では、入力信号
NEが小さくてコンパレータCOMPの出力側がローレ
ベルとなっているときは、抵抗R12乃至R14を介し
てトランジスタTR3がオフとなり、XNE信号出力は
ハイレベルとなっている。そして該XNE信号がハイレ
ベルからローレベルに切替る基準しきい値は、トランジ
スタTR2がオフ状態(すなわち水温が低い状態)にあ
る場合には、R6およびR14の直列抵抗とR5の抵抗
とからなる並列抵抗と、R4の抵抗(ダイオードD1の
抵抗は無視する)との分圧比で決定される。一方、入力
信号NEが増加してコンパレータCOMPの出力側がハ
イレベルになると、トランジスタTR3がオンとなり、
XNE信号はローレベルとなる。そして該XNE信号が
該ローレベルからハイレベルに切替る基準しきい値は、
同じく該トランジスタTR2がオフ状態にある場合、R
5の抵抗とR4およびR6からなる並列抵抗との分圧比
で決定されることになる。
【0031】そして上述したようにエンジン水温が所定
値より高くなって水温判定装置DETから抵抗R10,
R11を介してトランジスタTR2がオンとなった場合
には、上記入力信号NEに上記抵抗R8およびR9によ
り分圧された直流バイアス電圧が加算されてその分だけ
該入力信号NEが持ち上げられ、これによって該XNE
信号をレベル反転させるための上記各しきい値が、該入
力信号NEに対し相対的に低下することとなる。このよ
うにしてエンジン水温が所定値より高くなったとき、該
XNE信号がローレベルからハイレベルに反転する時点
(すなわち点火信号IGTが立ち下って点火がなされる
時点)が遅延され、このような遅延制御によって始動時
におけるノッキングが抑制される。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、エンジン始動時のエン
ジン状態にかかわらず、該始動時の点火の際のノッキン
グを確実になくすことができ、しかもスムーズなエンジ
ン始動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例としての点火時期制御装置の
動作の概要を示す図である。
【図2】図1に示される点火動作を行わせるための点火
時期制御装置のブロック図である。
【図3】図2に示されるCPU23での処理手順をフロ
ーチャートで示す図である。
【図4】図2に示されるCPU23での処理手順をフロ
ーチャートで示す図である。
【図5】本発明の他の実施例としての点火時期制御装置
の構成を示す図である。
【図6】図5に示される装置の動作を示すタイミング図
である。
【図7】本発明の更に他の実施例としての点火時期制御
装置の動作を示すタイミング図である。
【図8】図7に示される波形整形処理を行わせる回路の
1例を示す図である。
【図9】図7に示される波形整形処理を行わせる回路の
他の例を示す図である。
【図10】従来技術によるエンジン点火制御装置の構成
を例示する図である。
【図11】図10に示される装置のエンジン始動時にお
ける動作タイミングを例示する図である。
【符号の説明】
1,1′…クランク角センサ 21,21′…波形整形回路 22,22′…バックアップIC 23,23′…エンジン制御用マイコン 24,24′…イグナイタ駆動回路 3,3′…イグナイタ 4…水温スイッチ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン始動時の点火時期を遅角制御す
    べき条件が成立しているか否かを判定する手段および該
    条件が成立している場合には該条件が成立していない場
    合より点火時期を遅らす手段を、エンジン制御用コンピ
    ュータに具備させたことを特徴とする、エンジン点火時
    期制御装置。
  2. 【請求項2】 エンジン始動時のエンジン温度が所定値
    以上となっているときに該条件が成立していると判定す
    ることを特徴とする、請求項1に記載のエンジン点火時
    期制御装置。
  3. 【請求項3】 進角時用および遅角時用の2種の点火タ
    イミング信号を出力させる手段、およびエンジン始動時
    のエンジン条件に応じて該2種の点火タイミング信号の
    うちの一方をもとにして点火信号を生成する手段を具備
    することを特徴とする、エンジン点火時期制御装置。
  4. 【請求項4】 エンジン始動時のエンジン温度が所定値
    以上となっているときには、遅角時用の点火タイミング
    信号をもとにして該点火信号が生成されることを特徴と
    する、請求項3に記載のエンジン点火時期制御装置。
  5. 【請求項5】 クランク角センサから出力されるアナロ
    グ信号をロウレベルとハイレベルとに切替えるためのし
    きい値を、エンジン始動時のエンジン条件に応じて、該
    アナログ信号に対し相対的に変移させる手段を具備し、
    これにより該レベルの反転するタイミングが可変とされ
    ることを特徴とする、エンジン点火時期制御装置。
  6. 【請求項6】 エンジン始動時のエンジン温度が所定値
    以上となっているときには、該しきい値を該アナログ信
    号に対し相対的に低下させることを特徴とする、請求項
    5に記載のエンジン点火時期制御装置。
  7. 【請求項7】 該しきい値を該アナログ信号に対し相対
    的に変移させる手段として、該アナログ信号に所定のバ
    イアス電圧を加算することを特徴とする、請求項5に記
    載のエンジン点火時期制御装置。
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DE102009003418B4 (de) * 2008-02-08 2014-04-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Steuervorrichtung und -verfahren für Brennkraftmaschine
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