JPH05209309A - ヤシ繊維ベースの複合マット製造方法 - Google Patents

ヤシ繊維ベースの複合マット製造方法

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JPH05209309A
JPH05209309A JP4168509A JP16850992A JPH05209309A JP H05209309 A JPH05209309 A JP H05209309A JP 4168509 A JP4168509 A JP 4168509A JP 16850992 A JP16850992 A JP 16850992A JP H05209309 A JPH05209309 A JP H05209309A
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synthetic resin
fiber
coconut
palm
fine powder
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JP4168509A
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Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
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Suzuki Sogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明はいわゆるヤシ繊維を、現代素材と複合
してクッション性の向上や清潔感を付与するためになさ
れたヤシ繊維ベースの複合マット製造方法であって、ヤ
シ繊維のマット層に対し、流体流とともに合成樹脂繊維
を吹き付け、ヤシ繊維と合成樹脂繊維とを絡み合わせる
工程を有することを特徴とする。 【効果】従来低級品イメージの強かったヤシ繊維を現代
素材と複合することで、清潔感を付与し、クッション性
を向上させつつ、現代人の嗜好に適った自然派商品とし
てアピールすることが出来、従来のヤシ繊維商品のイメ
ージを一掃して、ヤシ科植物繊維の高度、積極的利用を
図ることができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、ヤシ科植物の繊維の積
極的利用を図るにあたり、現代人の嗜好を加味して若者
にも受け入れ易いようにした、いわゆるマットレスやシ
ート、室内装飾用等のクッション材としてのマット製造
方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】従来、いわゆるシュロ皮やココヤシの中
果皮繊維等、ヤシ科植物の繊維は、漁網、ロープ、箒、
たわし、敷物等として、それなりに有効利用されてき
た。しかしながら、これら従来の利用は、ヤシ繊維をそ
れ単独で使用しているだけであって、何となく非衛生的
で現代人の清潔感にはそぐわない感じがあり、どちらか
と言うと、ゴミ、汚れ、足、土に近いところで使われる
ものと云う認識が定着していた。このため、高付加価値
が付けられず、限られた利用のものとなっていた。
【0003】一方周囲に余りにもプラスチックやコンク
リート等の冷たい感じのする物が溢れ出したために、少
しでも身近に自然が感じられるようにと、自然派何々と
云う商品が人気を集めるようになっている。ヤシ繊維と
して、天然繊維そのものであり、自然何々と云う商品と
しての資質を備えるものの、前記従来の使われ方のイメ
ージが先行し、必ずしもこの自然派何々として消費者に
訴える力に不足していた。
【0004】
【開発を試みた技術的事項】そこで、本発明はいわゆる
ヤシ繊維を、現代素材と複合してクッション性の向上や
清潔感を付与し、それでいてベースは自然派品目である
として、従来のヤシ繊維商品のイメージを一掃する、ヤ
シ繊維ベースの複合マットが得られる製造方法を提供し
ようとするものである。
【0005】
【発明の構成】
【目的達成の手段】即ち本出願に係る第一の発明たるヤ
シ繊維ベースの複合マット製造方法は、ヤシ繊維のマッ
ト層に対し、流体流とともに合成樹脂繊維を吹き付け、
ヤシ繊維と合成樹脂繊維とを絡み合わせる工程を有する
ことを特徴とする。
【0006】また本出願に係る第二の発明たるヤシ繊維
ベースの複合マット製造方法は、ヤシ繊維のマット層に
対し、ヤシ繊維を被膜するが、被膜したヤシ繊維間には
空孔を残して、別途の粘弾性物質の原液を塗布する工程
と、その後加熱してヤシ繊維を被膜する粘弾性物質を硬
化させる工程とを有することを特徴とする。
【0007】更に本出願に係る第三の発明たるヤシ繊維
ベースの複合マット製造方法は、第一の発明に加え、前
記合成樹脂の原料には、脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防虫
剤、嫌虫剤、殺虫剤の内から選ばれた1乃至複数の薬剤
が混入されていることを特徴として成るものである。
【0008】更にまた本出願に係る第四の発明たるヤシ
繊維ベースの複合マット製造方法は、同じく脱臭剤、芳
香剤、抗菌剤、防虫剤、嫌虫剤、殺虫剤の内から選ばれ
た1乃至複数の微粉末薬剤を多孔性合成樹脂微粉末に機
械的衝撃手段を用いて埋設ないし固着させた後、この薬
剤担持粒子を合成樹脂繊維の原料に混入し、紡糸口金に
至る直前において多孔性合成樹脂微粉末の溶融温度に至
らしめて紡糸してなる合成樹脂繊維を吹き付けるように
したことを特徴として成るものである。
【0009】更にまた本出願に係る第五の発明たるヤシ
繊維ベースの複合マット製造方法は、同じく前記合成樹
脂繊維は、紡糸口金を出た紡糸直後の合成樹脂繊維表面
に酸化物系微粉末脱臭剤が吹き付けられたものであるこ
とを特徴として成るものである。
【0010】更にまた本出願に係る第六の発明たるヤシ
繊維ベースの複合マット製造方法は、同じく前記合成樹
脂繊維は、その合成樹脂繊維まの原料中に酸化物系微粉
末脱臭剤が混入された上で紡糸され、その後洗浄処理を
受けた合成樹脂繊維であることを特徴として成るもので
ある。これら発明により前記目的を達成しようとするも
のである。
【0011】
【発明の作用】本発明のヤシ繊維ベースの複合マット製
造方法は、基本的にヤシ繊維をベースとして、これに合
成樹脂繊維を絡み付かせるか、粘弾性物質の被膜を形成
し、天然と合成の混合繊維とすることで、従来のヤシ繊
維商品の低級品イメージを一掃する。また合成樹脂繊維
には、脱臭剤、芳香剤、防虫剤等の薬剤を混入すること
で、単なるイメージだけでなく、実際に清潔、香り漂う
ものとなる。粘弾性物質の被膜を形成することでクッシ
ョン性が粘ばい重厚な感じのものとなる。また、脱臭
剤、芳香剤、防虫剤等の微粉末薬剤を多孔性合成樹脂微
粉末に担持させ、これを紡糸口金に至る直前に溶融せし
めれば、薬剤同士の凝集が抑止され、紡糸口金の詰まり
による作業中断もない。また、紡糸直後の繊維表面に酸
化物系微粉末脱臭剤を吹き付ければ、合成樹脂表面に該
酸化物系微粉末脱臭剤が付着されるため、脱臭効果が直
接的となる。更に、合成樹脂繊維が酸化物系微粉末脱臭
剤を混入されて紡糸され、その後洗浄処理を受けた上で
吹き付けられれば、合成樹脂繊維表面のオイル分等が洗
浄除去され、脱臭効果が高まる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を構成する要素たるヤシ繊維、
粘弾性物質、脱臭剤、芳香剤、防虫剤等の薬剤、酸化物
系微粉末脱臭剤、多孔性合成樹脂微粉末等について順次
説明した後、図示実施例について具体的に説明する。
【0013】本発明でヤシ繊維とは、熱帯から亜熱帯地
域にかけて分布するヤシ科植物における繊維状樹皮、葉
柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維と定義する。ヤシ科の
植物は、すべて常緑の低木または高木で、幹は単一で枝
を分けることがなく、先端に葉冠をつくるものであり、
幹がほとんど無いものや、高さ30メートルにもなるも
の、表面がなめらかなもの、古い葉鞘に密に包まれたも
のなどがある。またトウ類のように、茎はつるとなって
樹上に高く登るもの、とっくり状に幹がふくれるもの、
更にドーム属Hyphaeneのように二又に分岐する
例外的なものもある。
【0014】そして、その葉はふつう大型で、掌状また
は羽状で革質、葉柄の基部は幅広い葉鞘となって幹をし
っかりと抱いている。葉鞘部にはたくさんの繊維があ
り、種類によっては、古くなると柔らかい組織は腐って
繊維だけが残り、いわゆるシュロ皮ができる。花序は頂
生又はえき生の大きな総状の肉穂花序で、よく分岐し、
頂生の場合は、花が咲くと木は枯死する。風または昆虫
によって受精し、果実は液果または核果で、核果の場合
は、内果皮は種子にくっついているのが普通であり、中
果皮は厚い繊維層を有する。これらがヤシ繊維であり、
具体的には樹皮が繊維状として呈するヤシ科植物に、シ
ュロ属シュロ、トウジュロ、葉柄基部に繊維を呈するも
のにチャマエロプス属チャボトウジュロ、クジャクヤシ
属クジャクヤシ、オウギヤシ属オウギヤシ、ナツメヤシ
属ナツメヤシ、サゴヤシ属サゴヤシ、クロツグ属クロツ
グ、サトウヤシ、中果皮の繊維を提供するものに、ココ
ヤシ属ココヤシ、ニッパヤシ属ニッパヤシ等がある。
【0015】本発明では、これらヤシ繊維をマット状な
いし不織布状に絡み合わせたものを使用する。マット状
とするにあたっては、これら繊維を一旦ほぐした後、再
度絡み合わせる等、従来の不織布製造と同様な手法がと
れ、また絡み合わせるにあたっては適度に接着剤を塗布
するのがよく、通常5mm〜20mm程度、およびこれ
らを重ね合わせる等して10mm〜30mm程度の厚さ
とする。
【0016】また、合成樹脂の原料とは、単一の原料の
意味の他、二種以上の化学物質の化合により成る場合に
はこれら化学物質も含む意味である。すなわち、例えば
ナイロン6.6繊維を例にと、アジビン酸とヘキサミチ
レンジアミンが重合されることによりできる未だ繊維化
されていない合成樹脂たるナイロン6.6の他、ナイロ
ン6.6自体の原料であるアジビン酸とヘキサミチレン
ジアミンをも含むものである。従って合成樹脂の原料に
薬剤を分散させるという場合には、アジビン酸またはヘ
キサミチレンジアミンの重合後、紡糸前の状態で薬剤を
混入させてもよいし、またアジビン酸またはヘキサミチ
レンジアミン何れか一方または双方に薬剤を混入してお
き、これらを重合させてもよいのである。また合成樹脂
繊維の原料としては、上記ナイロンの他、ビニロン、ビ
ニリデン、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、
アクリル等の他、後述するシリコーン、ポリブタジェン
等の種々の高分を適用することができる。また、その紡
糸法にあっても溶融紡糸、その他、重合紡糸、乾式法、
湿式法等を問わず、合成樹脂繊維の材質に応じて適宜の
方法を適用することができる。
【0017】本発明では、ヤシ繊維を粘弾性物質にて被
膜したり、このマット層ごと一部、又は全部含浸させる
ことのできる粘弾性物質について説明する。先ず、この
粘弾性物質として好適なものにシリコーンゲルがある。
このシリコーンゲルは、例えば次式[1]で示されるシ
リコーンゲルの原液たるジオルガノポリシロキサン(以
下A成分という): RR1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2R…[1] [ただし、Rはアルケニル基であり、R1 は脂肪族不飽
和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2 は一価
の脂肪族炭化水素基(R2 のうち少なくとも50モル%
はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその
含有率は10モル%以下である)であり、nはこの成分
の25℃における粘度が100〜100,000cSt
になるような数である]と、25℃における粘度が50
00cSt以下であり、1分子中に少なくとも2個のS
i原子に直接結合した水素原子を有するシリコーンゲル
の原液たるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B
成分)とからなり、且つこのB成分中のSi原子に直接
結合している水素原子の合計量に対するA成分中に含ま
れるアルケニル基の合計量の比(モル比)が0.1〜
2.0になるように調整された混合物を硬化させること
により得られる付加反応型シリコーンコポリマーであ
る。
【0018】そして、その硬化反応は通常は触媒を用い
て行われ、このA成分、B成分および触媒を混合し、室
温に放置するか、あるいは加熱することにより硬化して
本発明で使用されるシリコーンゲルが生成する。加熱し
て硬化させる場合、加熱温度は通常50〜160℃であ
る。このようにして得られたシリコーンゲルは、JIS
(K2207−1980、50g荷重)で測定した針入
度が通常5〜250を有する。このようなシリコーンゲ
ルの硬度は、上記A成分とB成分とにより形成された架
橋構造によって変動する。シリコーンゲルの硬化前の粘
度及び硬化後の針入度は両末端がメチル基であるシリコ
ーンオイルを、得られるシリコーンゲルに対して5〜7
5重量%の範囲内の量であらかじめ添加することにより
調整することができる。本発明で使用することができる
市販品の例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン
社製のCF5027、TOUGH−3、TOUGH−
4、TOUGH−5、TOUGH−6、TOUGH−7
や信越化学工業株式会社製のX32−902/cat1
300、KE1308/cat1300−L4、日本ユ
ニカ株式会社製のF250−121等を挙げることがで
きる。
【0019】また、上記のA成分、B成分及び触媒の他
に、顔料、硬化遅延剤、難燃剤、導電性フィラー等をシ
リコーンゲルの特性を損なわない範囲内で配合すること
もでき、更に防振、緩衝性等を高める為に、微小中空球
体のフィラーを混入してなるシリコーンゲルを用いても
よく、このようなフィラー材料に日本フィライト株式会
社製造のフィライト(登録商標)や同社販売のエクスパ
ンセル(登録商標)、松本油脂製薬株式会社製のマツモ
トマイクロスフェアー等が例示できる。またマイカ(雲
母)片をフィラーとして適用することもでき、この場合
には音や振動がマイカ片間で乱反射することで減衰して
いくという作用を有する。
【0020】上記シリコーンゲルの他、粘弾性物質とし
て好適なものにポリブタジエンゲルがある。この具体例
としては、出光アーコ株式会社製造販売のPoly b
dR−45HTがある。これは、分子末端に反応性の高
い水酸基を備えたポリブタジエンタイプの液状ポリマー
で、通常のポリウレタンと同様にイソシアネート類によ
り容易に硬化して良好な粘弾性体となるものである。そ
して、このポリブタジエンゲルは、主鎖が炭化水素のみ
からなるため、優れた耐水性、耐薬品性、電気特性をも
備え、しかも骨格が1,4結合のため、良好な低温特性
も備えている。また、液状のため加工が容易で、連続化
が行い易い利点もある。そして、適宜の各種配合剤を加
え、一次混合した後、硬化剤を加え二次混合して用いる
こととなる。
【0021】なお、配合剤には、強度、硬さ、耐熱性の
ための充填剤としてカーボンブラック、シリカ、アルミ
ナ、炭酸カルシウムがあり、粘度調整の伸展剤としてプ
ロセスオイル、アスファルトがあり、硬化速度の調整の
ための触媒としてジブチル錫ジラウレートがあり、耐熱
性向上、酸化防止剤としてチバガイギ株式会社製のイル
ガノックス565、大内新興化学株式会社製のノックラ
ックNS−6、耐オゾン性のための紫外線吸収剤として
チバガイギ株式会社製のチヌビン327があり、難燃化
剤として水酸化アルミニウム、ホウ砂、塩素化パラフィ
ン、酸化アンチモンがあり、また硬化剤としてはリレン
ジイソシアネート、メチレンジイソシアネートがある。
【0022】そして、好適な例として、上記R−45H
Tの100部、消泡剤としての信越シリコーン株式会社
製のTAS750を0.005部、触媒としての共同薬
品株式会社製のDBTDL KS−1260を0.00
5部、硬化剤として日本ポリウレタン工業株式会社製の
Millionate MR−200(NCOの含有率
30.9重量%)を8.3部、更に微少中空球体として
松本油脂製薬株式会社製のマイクロスフェア−F−80
EDを1部用い、先ず、これらの内硬化剤を除いた成分
を室温で充分に攪拌混合し、次いでこれに硬化剤を加
え、更に攪拌混合の上均一な液状物を得て、減圧下にて
脱泡して用いる。なお、このようにして得たポリブタジ
エンゲルは、前記シリコーンゲルに近い緩衝性を有し、
シリコーンゲルよりも比較的安価である。その他、制振
塗料、防音塗料、シーリング材と呼ばれるものには、粘
弾性を示すものが多く、温度特性的には前2者より劣る
場合が多いが、価格的には非常に有利であるため、低廉
な製品用にはこれを用いるのがよい。このようなもの
で、自動車や鉄道車両の車体下面やフェンダー、外板等
に塗布され、防音、防錆、断熱等の作用があり廉価な材
料に、例えば、日本特殊塗料株式会社販売のニットクア
ンダーシール(登録商標)がある。
【0023】これら粘弾性物質は、ヤシ繊維のマット層
に対し、硬化前の原液が被膜状に吹き付けられるか、一
旦マット層全体に含浸させた後、適宜手段によってヤシ
繊維を被膜状に覆う以外の余剰の原液を噴出排除して加
熱硬化させることができる他、これら粘弾性物質を一部
に又は全部に含浸させて用いることができる。前記マッ
ト層がこれら粘弾性物質により被膜されると、ヤシ繊維
の弾力が粘りのある重厚なクッション性を呈するように
なる。なお、粘弾性物質の硬度が針入度100程度以上
であると、その表面に粘着性を生ずるため、このような
場合には非粘着性のスキン層を形成してもよい。また、
粘弾性物質を含浸させたりすることによって、その粘弾
性物質の層の緩衝性、防振性、防音性、吸音性が相乗さ
れることとなる。
【0024】次に、ヤシ繊維のマット層を実際的に改善
するもの、脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、嫌虫剤、
殺虫剤等の薬剤について説明する。先ず脱臭剤として
は、活性炭の他、ゼオライト、クリストバライト、アミ
ヨン、オリソリン酸アルミニム、酸化チタンと酸化亜鉛
と水分子の緊密結合体、アニコ植物抽出物などがある。
なお、ゼオライトは、水やアンモニアなどの極性分子や
硫化水素などの硫黄系ガスをよく吸着する。また、活性
炭は低温度で優れた吸着能を示す。クリストバライトは
藻類の一種である珪藻が長い間に珪藻土となり、更に火
山のマグマに焼かれてできた珪酸鉱物の一種でありアン
モニアの吸着力が高い。アミヨンは天然の無機質から成
る粉末であり、土中の生物的な作用による脱臭と岩石や
鉱物類の物理的、化学的作用による脱臭能力がある。オ
ルソリン酸アルミニウムはアンモニア、アミン類をよく
吸着する。アニコは硫酸第一鉄を主成分とし、L−アス
コルビン酸を酸化抑制剤とするもので緑青色の液体であ
る。植物抽出物には、例えば茶に代表されるツバキ科植
物から抽出されたフラバノール、フラバノール類や針葉
樹、広葉樹の抽出物などがある。これら各種の脱臭剤の
うち活性炭、ゼオライト、クリストバライト、アミヨ
ン、オルソリン酸アルミニウム等はいずれも粉体である
から、そのまま合成樹脂原料に混入できる他、後述する
多孔性合成樹脂微粉末に担持させて混入の後に、それご
と混入して紡糸することもできる。また、液体であるア
ニコ、植物抽出物の場合には合成樹脂原料との相溶性を
考慮して適用することができる。
【0025】脱臭剤の内、酸化チタンと酸化亜鉛と水分
子との緊密結合体を代表とする酸化物系微粉末脱臭剤に
ついて更に詳述すると、このものは、脱臭力を比較評価
する目安としてのアンモニア、硫化水素の低温、低濃度
吸着性に特に優れており、触媒作用によって悪臭分子を
低分子化するとともに、更に、酸化亜鉛は酸性ガスを化
学吸着し、二酸化チタンはアルカリ性ガスを物理吸着す
ると考えられるものである。そして、このものは、脱臭
能力が優れる他、粒径がミクロンないしサブミクロンオ
ーダーの微粉末状であって、かつ白色であるため、清潔
感を与え、着色が効くという利点がある。そして、特開
昭63−54935号公報によると、水に可溶なチタン
化合物と水に可溶な亜鉛化合物との水溶液と、アルカリ
水溶液とを混合し、生成する沈殿物を乾燥して得られ、
例えば、硫酸チタン、塩化チタン、硝酸チタン、硫酸亜
鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等、チタン化合物と亜鉛化合物
とをモル比で7:3〜3:7の範囲とした混成水溶液に
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、
アンモニア等のアルカリ水溶液を一部づつ又は全部40
〜60℃の反応温度にて最終的にPH7〜9の範囲で混
合し、生成する沈殿物を150〜220℃で乾燥したも
のが好適とされており、チタン工業株式会社よりTZ脱
臭剤として入手できる。類似の酸化物系微粉末脱臭剤に
は、酸化亜鉛と酸化アルミニウムと酸化珪素の結合体
(特開昭63−246167号公報参照)、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムの結
合体(特開昭63−185445号公報及び特開昭63
−183065号公報参照)があり、同様に使用するこ
とができる。
【0026】また、芳香剤としては、動植物の天然香
料、合成香料、調合香料などをそのまま使用するか、こ
れら香料を乳化させたものを噴霧乾燥して粉末化したも
のを使用する。抗菌剤としては、前記酸化チタンと酸化
亜鉛と水分子との緊密結合体が抗菌性をも発揮できるの
で、この効用に着目して適用できる他、その他金属酸化
物、銀、銅等の金属の微粒子などを適用することができ
る。殺虫剤としては、例えばダニ用としてフェニトロチ
オン、フェンチオンなどの有機燐酸や、天然ピレトリン
と合成ピレトリン類化合物を総称したピレスロイド系、
その他、ニコチン、除虫菊等がある。また、防虫剤とし
ては、パラジクロルベンゼン、アレスニンとピペロニー
ルプトキサイドの併用、エミコン等を粉体化したもの等
を使用することができる。更に、嫌虫剤としては、例え
ば熱帯シマカに対して強い忌避作用を示すN,N−ジメ
チル−m−トルアミド等がある。
【0027】次に、上記薬剤を一旦担持させる多孔性合
成樹脂微粉末について説明する。この多孔性合成樹脂微
粉末は、一般にその粒径が0.1μm〜100μm程度
で、かつその表面形態が各種形状の凹凸や孔状、溝状を
形成して成るものであり、ナイロンパウダー、ポリエチ
レンパウダー、アクリルパウダー、スチレンパウダー、
ABSパウダー、ポリプロピレンパウダー等、各種合成
樹脂を材料とし、合成樹脂繊維の原料との相容性、親和
性を考慮した材質のものが用いられる。
【0028】そして、この多孔性合成樹脂微粉末を用い
るにあたっては、先ず多孔性合成樹脂微粉末に前記薬剤
の一ないし複数を機械的衝撃手段を用いて埋設ないし固
着させる。これには、従来の機械的表面改質の方法が適
用でき、多孔性合成樹脂微粉末と微粉末薬剤とを同一の
処理室内の気相中で分散させながら、衝撃力を主体とす
る機械的熱的エネルギーを粒子に与えて、多孔性合成樹
脂微粉末中に微粉末薬剤を埋設ないし固着させるのであ
る。なお、このような状態の粒子を薬剤担持粒子と定義
する。因みにこの種の処理方法としてはサンドブラスト
等の手法を適用できる他、特開昭62−83029号、
特開昭62−262737号及び特開昭62−2984
43号等に記載されている方法を採り得る。またこのよ
うな処理機械としては、株式会社奈良機械製作所の奈良
ハイブリダイゼーションシステムや株式会社ホソカワミ
クロンのAngmill等がある。また機械的表面改質
の方法の他にも、例えば多孔性合成樹脂微粉末に形成さ
れている孔部の径寸法が大きく、微粉末薬剤の径寸法が
比較的小さい場合には、シリンダ内に多孔性合成樹脂微
粉末と微粉末薬剤とを混合充填しておき、ピストンで衝
撃力を与えて多孔性合成樹脂微粉末中に微粉末薬剤を埋
設ないし固着させることができる。
【0029】次に、図示の実施例について説明する。図
1において、1は、いわゆるジェット紡糸法の一種であ
るメルトブロウン法(Melt−Blowing)によ
る溶融紡糸装置で、ホッパー11、シリンダー12、ダ
イ13とが内部で連通されて一体となり、シリンダー1
2内にはスクリュー14が、またシリンダー12の周囲
にはヒータ15が配置され、ダイ13は二重のノズル状
となっており、中央には多孔で前記シリンダー12に連
通する紡糸口金16と、その周囲に熱風噴出口17とを
備えて成る。なお、熱風噴出口17は図示しない熱風発
生部に続く。また、2はヤシ繊維のマット層Yの供給装
置であって、無端帯状のコンベヤ21と、既にマット層
とされたヤシ繊維を巻いたロールRを支持しつつ順次コ
ンベヤ21へ供給する供給部22とから成る。
【0030】そこで、ホッパー11に合成樹脂の原料と
しての熱可塑性樹脂のペレットを投入し、一方、供給部
22から、コンベヤ21上へヤシ繊維のマット層Yを供
給すれば、熱可塑性樹脂のペレットは、スクリュー14
によりシリンダー12内を送出される間に、ヒータ15
の加熱で溶融状となり、ダイ13の紡糸口金16へと流
動し、そこで周囲の熱風噴出口17から噴出している高
温、高速の空気流に乗って糸状に吹き出され、下方を低
速で移動中のヤシ繊維のマット層Y上に集積する。この
際、ヤシ繊維のマット層Y自体、繊維の絡み合わされ
た、しかも比較的粗に、嵩高に絡み合わされたものであ
るため、上方から吹き付けられる糸状の合成樹脂はヤシ
繊維の間を層のある程度中まで侵入し、ヤシ繊維をベー
スとした嵩高な、ヤシ繊維と合成樹脂繊維との混合、絡
み合わされた複合マットM1となる。尚、紡糸口金16
から出た直後の糸状の合成樹脂は、冷却が未だ充分でな
いため、接着性を有し、ヤシ繊維と接着するとともに、
互いが自己接着し合って、全体が接着剤を用いることな
く結合される。ここで、糸状となっての吹き出しがヤシ
繊維のマット層Yの全幅にわたって行われないときは、
ダイ13を多数並設するのは勿論、ダイ13を揺動させ
たり、コンベヤ21を揺動させたりして、ヤシ繊維のマ
ット層Yの全面において合成樹脂繊維が絡み合わされる
ようにする。また、この例では、ヤシ繊維のマット層Y
の上面に多くの合成樹脂繊維が存在しがちとなるので、
その後、上下を反転させて再度裏側からも合成樹脂繊維
を絡み付かせるのがよい。このようにして得られたヤシ
繊維ベースの複合マットM1は、ヤシ繊維と合成樹脂繊
維とが一体となった複合製品となっており、従来のヤシ
繊維のみの暗い茶色の低級品イメージのものでなく、逆
に、合成樹脂の冷たい感じだけでもない、両者適度に盛
り込まれた自然派何々という今風の製品に仕上がってい
る。
【0031】次に、更に高品位な複合マットが得られる
具体例について説明する。これには、合成樹脂の原料の
他に、脱臭剤、芳香剤、防虫剤等の薬剤の何れか一つ又
は複数を添加することにより行われる。以下、薬剤とし
て酸化物系微粉末脱臭剤たる、酸化チタン、酸化亜鉛、
及び水分子の緊密結合体を用いた実施例について説明す
る。なお、酸化チタン、酸化亜鉛、及び水分子の緊密結
合体の微粒子を以下単にTZと記す。
【0032】図2は、図1におけるダイ13の直下に、
TZ噴出部31と回収部32とを順次配し、紡糸口金か
ら糸状に吹き出され、未だ接着性を有している状態の合
成樹脂繊維にTZを吹き付けて、TZを合成樹脂繊維の
表面に一部埋没させて固着させ、その後にヤシ繊維のマ
ット層Yに絡み合わせようとした例である。このため、
TZを空気流に乗せて噴出させるが、この空気流は、紡
糸口金から糸状に吹き出された流れを乱さないよう、風
向、風速、風量等を調整するとともに、合成樹脂の軟化
温度程度の熱風としておくのがよい。このようにしてT
Zが打ち込まれた合成樹脂繊維はそれ自体有用であるの
は勿論、これが絡み合わされてなるヤシ繊維ベースの複
合マットM2は、TZの脱臭作用と抗菌作用とが直接的
に作用し、嫌な臭いやダニ・カビの発生が防止される。
【0033】しかし、この例によると、TZが合成樹脂
繊維上に露出して存在するため、繰り返し変形を受け、
繊維が相互に摩擦されると、比較的粉落ちし易いという
欠点がある。かといって、合成樹脂の原料にTZを直接
混合してしまうと、TZ同士が凝集し、紡糸口金を閉塞
し、連続した紡糸が行えなくなる等の不都合を生ずる。
【0034】そこで、次にこの問題を改善するために、
TZを、一旦、多孔性合成樹脂微粉末に担持させた後、
これを合成樹脂繊維の原料に混入して行う実施例につい
て説明する。この例では、先ず図3のごとく、ヤシ繊維
のマット層に絡み付かせる合成樹脂と同一ないし相容
性、親和性の良い材質の多孔性合成樹脂微粉末Aと、T
Zとを攪拌混合の上、シリンダー状の容器41内に充填
する。そして、ピストン状の蓋42にて該容器41を閉
塞した後、クランク43を回動して多孔性合成樹脂微粉
末AとTZとを衝撃的に突き固めるようにする。この機
械的衝撃力でTZは多孔性合成樹脂微粉末A内に埋設な
いし固着される。この結果、図4のごとく多孔性合成樹
脂微粉末Aは、その孔HにTZを担持して薬剤担持粒子
Bとなる。そこで、この薬剤担持粒子Bを図1における
ホッパー11に合成樹脂繊維の原料ペレットとともに投
入すれば、TZが含有された合成樹脂繊維が絡み合わさ
れた複合マットが得られることとなる。
【0035】図5に示すのは、この薬剤担持粒子を元に
合成樹脂原料と練り合わせて薬剤混合ペレットNとした
ものと、合成樹脂繊維の原料たるマスターペレットPと
を用い、紡糸口金直前に薬剤担持粒子における多孔性合
成樹脂微粉末の溶融温度に至らしめて紡糸した合成樹脂
繊維を、ヤシ繊維のマット層に絡み付かせようとした例
である。同図において、11がマスターペレットP及び
薬剤混入ペレットNの投入口たるホッパー、12がシリ
ンダー、13がダイ、14がスクリュー、15aがシリ
ンダー前半域用のヒータ、15bが紡糸口金直前のヒー
タである。
【0036】そして、マスターペレットPと薬剤混入ペ
レットNとにおいて、薬剤混合ペレットNにおける多孔
性合成樹脂微粉末は、マスターペレットPよりその溶融
温度が高いよう重合度等が調整されており、一方、溶融
紡糸装置1におけるヒータ15aは、マスターペレット
Pは溶融するが、薬剤混入ペレットNにおける多孔性合
成樹脂微粉末は溶融されない温度にまで高められるよ
う、また、ヒータ15bは、紡糸口金に至るまでに、薬
剤混入ペレットNにおける多孔性合成樹脂微粉末もが溶
融できる温度にまで高められるようになっている。この
ため、シリンダー12の前半域においては、多孔性合成
樹脂微粉末が軟化はしても溶融するまでの温度に加熱さ
れていないため、TZは薬剤担持粒子としてシリンダー
12の後半域まで至り、紡糸口金直前に至って初めて多
孔性合成樹脂微粉末が溶融するので、TZは凝集するこ
となく、紡糸口金を閉塞することもなく、そのまま糸状
の合成樹脂中に均一に分散されて吹き出されてゆく。
【0037】尚、この例では、薬剤混入ペレットNにお
ける多孔性合成樹脂微粉末は、マスターペレットPによ
りその溶融温度が高いよう重合度等が調整されていた
が、これに限らず、マスターペレットPと薬剤混入ペレ
ットNとにおいて、薬剤混入ペレットNにおけるベース
の合成樹脂を、マスターペレットPよりその溶融温度が
高いよう重合度等を調整し、一方、ヒータ15a、15
bもこれに合うように設定されたものであっても同様に
施用できる。このような紡糸方法によれば、微粉末薬剤
により紡糸口金が閉塞されることなく連続した紡糸が可
能となる一方、この方法により紡糸した合成樹脂繊維を
絡み付かせてなる繊維ベースの複合マットは、TZが粉
落ちすることなく、合成樹脂被膜を通しての脱臭、抗菌
効果が発揮されることとなる。このため、合成樹脂の原
料には、ガス浸透性が良いものを選択して用いるのが望
まれる。
【0038】以上述べた各実施例では、ヤシ繊維のマッ
ト層に紡糸直後の合成樹脂繊維を吹きつけるようにした
が、本発明はこれに限らず、紡糸後、空冷や湿気付与、
オイリング、更には低温延伸や熱固定、撚糸、ウーリー
化、サイジング等を行った後に、改めて、ヤシ繊維のマ
ット層に対して吹き付けるようにしてもよい。この場合
においても、空気流等の流体流とともにヤシ繊維のマッ
ト層に吹き付け、絡み合わせることができる。
【0039】なお、このように予め合成樹脂繊維を用意
しておく場合には、例えばオイリング等により、合成樹
脂繊維表面がオイル分等に被覆されるため、混入した薬
剤の作用が直接的でないことも考えられる。このような
場合には、一般の洗剤や界面活性剤等を用いて合成樹脂
繊維を洗浄して、合成樹脂繊維における薬剤作用を復元
的に高めることができる。そこで、洗浄した後、あるい
は洗浄後の濯ぎを行いつつ、ヤシ繊維のマット層に吹き
付けたりすることによって、得られる複合マットにおい
ても高められた薬剤効果を期待することができる。な
お、洗浄または濯ぎつつ合成樹脂繊維をヤシ繊維のマッ
ト層に吹き付けるには、空気流に代えて、濯ぎの水流等
を用いることができる。また、この場合には、その後乾
燥する必要があり、更には、ヤシ繊維及び合成樹脂繊維
の絡み付きを強化するため接着剤を塗布するなど行え
る。
【0040】更に他の実施例について説明する。図6に
おいて、ヤシ繊維のマット層Yは、前記実施例と同様に
長尺なロールから順次繰り出されるようになっている。
そして、61は前記粘弾性物質としてのポリブタジエン
ゲルの原液Gを満たした浸漬槽、62は浸漬槽61の底
部において軸架された一対の給液ロール、63は浸漬槽
61上方において軸架された排液ロール、64は多数の
噴気ノズル、65は加熱トンネルである。
【0041】このような装置において、先ず、ヤシ繊維
のマット層Yは浸漬槽61に誘導され、ここに満たされ
ているポリブタジエンゲルの原液Gに漬けられる。ここ
では、給液ロール62間を通過させられることによっ
て、ヤシ繊維のマット層内の空気が一旦排除され、その
後この拘束から解放されたときに周囲のポリブタジエン
ゲルの原液Gを吸収するようになっている。なお、この
方法に限らず、従来公知の塗布方法も可能であるが、少
なくとも、ヤシ繊維のマット層Yのほぼ全面において、
その繊維が被膜状に覆われる程度にまで吸収ないし塗布
が行われる。
【0042】続き、ポリブタジエンゲルの原液Gを充分
に含んだヤシ繊維のマット層Yは排液ロール63間を通
過することにより、ポリブタジエンゲルの原液Gの大部
分を排除され、その後、噴気ノズル64下を通過するこ
とにより、ヤシ繊維には被膜状にのみポリブタジエンゲ
ルの原液Gが付着する程度となる。このような状態とな
った後に、加熱トンネル65を通過させることで、ヤシ
繊維のマット層にはポリブタジエンゲルが繊維を被膜状
に硬化することとなる。なお、ポリブタジエンゲルは完
全硬化までに比較的時間を要するため、別途加熱炉等に
おいて、その完全硬化を図るのがよい。
【0043】このようにして得られたヤシ繊維ベースの
複合マットM3は、各ヤシ繊維が粘弾性物質により被膜
されているので、いわばヤシ繊維の骨っぽい、腰のある
弾力が、粘弾性物質の柔らかさで包まれたような、適度
の柔軟性と復元遅延性が呈され、粘りのある重厚なクッ
ション材となる。なお、粘弾性物質の硬度が針入度10
0程度以上であると、その表面に粘着性を生ずるため、
このような場合には外皮で覆ったり、表面に近い部分の
みの硬化を進め、非粘着性のスキン層を形成するのが望
ましい。なお、上記実施例では、ポリブタジエンゲルに
てヤシ繊維を被膜する実施例について述べたが、ヤシ繊
維のマット層はその他の粘弾性物質を被膜以上の一部
に、又は全部に含浸するようにしてもよい。
【0044】次に本発明の他の実施例として、制振作用
を有する素材との組み合わせについて説明する。ここで
制振作用を有する素材の一例として、日本特殊塗料株式
会社製のニットク・イーディケル(登録商標)シリーズ
を挙げることができる。即ち例えばイーディケル−35
00は感圧接着タイプのシート状のものであって制振作
用を有し、それ自体自動車、車両、機械装置、家電製
品、オーディオ製品などの金属構成の制振に使用するこ
とができるものである。またイーディケル−M200
0,M2500は吹付型の塗料性状をした制振材であっ
て、防露や防錆などの作用を併せ持つ。更にイーディケ
ル−M5000はサンドイッチ型制振シートであって、
モーターカバーの制振等に使用できる。
【0045】このような制振作用を有する素材を適用し
てヤシ繊維の複合マットを製造するには、例えば図7に
示すように上記イーディケル−M3500のシート7a
をヤシ繊維のマット層8と被着層9との間に挟んで加熱
プレスしたり、図8に示すように粘弾性液に上記イーデ
ィケル−M2000またはM2500の塗料7bを加
え、この混合液を不織布に含浸させ硬化させたものをヤ
シ繊維のマット層8と被着層9との間に挟んだり、更に
図9に示すように上記イーディケル−M5000を板体
7cとして用い、ヤシ繊維のマット層8と加圧して作成
することができる。
【0046】以上により得られた複合マットは、そのま
ま単独で、或いは、場合によっては絨毯マット、カーペ
ット、ウレタン等の発泡層、人工皮革等と積層させ、例
えば、室内や車両内の敷物、椅子や車両シート、ドア内
張、天井内張、自動車のフロントパネル等の内装材とし
たり、また、適宜凹凸や模様を施して壁紙的に用いた
り、防音壁の充填材や、靴の中敷材、枕等として提供さ
れる。
【0047】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、従来低級
品イメージの強かったヤシ繊維を現代素材と複合するこ
とで、清潔感を付与し、クッション性を向上させつつ、
現代人の嗜好に適った自然派商品としてアピールするこ
とが出来、従来のヤシ繊維商品のイメージを一掃して、
ヤシ科植物繊維の高度、積極的利用を図ることができる
ようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明たるヤシ繊維ベースの複合マット製造方
法の一実施例を行うための装置の一部断面を含む概略側
面図である。
【図2】他の実施例方法を行うための装置要部の一部断
面を含む概略側面図である。
【図3】更に他の実施例方法を行うための装置の一部断
面を含む側面図である。
【図4】薬剤担持粉末の拡大平面図である。
【図5】更に他の実施例方法を行うための装置要部の一
部断面を含む側面図である。
【図6】更に他の実施例方法を行うための装置の一部断
面を含む概略側面図である。
【図7】ヤシ繊維に制振作用を有する他の素材を組み合
わせた実施例を示すもので、イーディーケル−M350
0のシートを薄膜体として適用したものの縦断面図であ
る。
【図8】同上他の実施例を示すもので、粘弾性液とイー
ディケル−M2000またはM2500の塗料との混合
液を不織布に含浸させ硬化させるまでの段階と、これを
用いてヤシ繊維利用資材を完成するまでの段階を示す縦
断面図である。
【図9】同上更に他の実施例を示すもので、イーディケ
ル−M5000の板体をヤシ繊維のマット層に積層し、
加圧して作られるヤシ繊維利用資材を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
A 多孔性合成樹脂微粉末 B 薬剤担持粒子 G ポリブタジエンゲルの原液 H 多孔性合成樹脂微粉末の孔 M1 ヤシ繊維ベースの複合マット M2 ヤシ繊維ベースの複合マット M3 ヤシ繊維ベースの複合マット N 薬剤混入ペレット P マスターペレット R マット層とされたヤシ繊維を巻いたロール TZ 酸化チタン、酸化亜鉛、及び水分子の緊密結合
体の微粒子 Y ヤシ繊維のマット層 1 溶融紡糸装置 11 ホッパー 12 シリンダー 13 ダイ 14 スクリュー 15 ヒータ 15a 前半域用のヒータ 15b 紡糸口金直前のヒータ 16 紡糸口金 17 熱風噴出口 2 供給装置 21 コンベヤ 22 供給部 31 TZ噴出部 32 回収部 41 容器 42 蓋 43 クランク 61 浸漬層 62 給液ロール 63 排液ロール 64 噴気ノズル 65 加熱トンネル 7a イーディケル−M3500のシート 7b イーディケル−M2000またはM2500の
塗料 7c イーディケル−M5000の板体 8 ヤシ繊維のマット層 9 被着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/36 // D06M 23/08 D06M 101:04 7199−3B D06M 21/00 C

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤシ繊維のマット層に対し、流体流とと
    もに合成樹脂繊維を吹き付け、ヤシ繊維と合成樹脂繊維
    とを絡み合わせる工程を有することを特徴とするヤシ繊
    維ベースの複合マット製造方法。
  2. 【請求項2】 ヤシ繊維のマット層に対し、ヤシ繊維を
    被膜するが、被膜したヤシ繊維間には空孔を残して、別
    途の粘弾性物質の原液を塗布する工程と、その後加熱し
    てヤシ繊維を被膜する粘弾性物質を硬化させる工程とを
    有することを特徴とするヤシ繊維ベースの複合マット製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂の原料には、脱臭剤、芳香
    剤、抗菌剤、防虫剤、嫌虫剤、殺虫剤の内から選ばれた
    1乃至複数の薬剤が混入されていることを特徴とする請
    求項1記載のヤシ繊維ベースの複合マット製造方法。
  4. 【請求項4】 脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、嫌虫
    剤、殺虫剤の内から選ばれた1乃至複数の微粉末薬剤を
    多孔性合成樹脂微粉末に機械的衝撃手段を用いて埋設な
    いし固着させた後、この薬剤担持粒子を合成樹脂繊維の
    原料に混入し、紡糸口金に至る直前において多孔性合成
    樹脂微粉末の溶融温度に至らしめて紡糸してなる合成樹
    脂繊維を吹き付けるようにしたことを特徴とする請求項
    1記載のヤシ繊維ベースの複合マット製造方法。
  5. 【請求項5】 前記合成樹脂繊維は、紡糸口金を出た紡
    糸直後の合成樹脂繊維表面に酸化物系微粉末脱臭剤が吹
    き付けられたものであることを特徴とする請求項1記載
    のヤシ繊維ベースの複合マット製造方法。
  6. 【請求項6】 前記合成樹脂繊維は、その合成樹脂繊維
    まの原料中に酸化物系微粉末脱臭剤が混入された上で紡
    糸され、その後洗浄処理を受けた合成樹脂繊維であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のヤシ繊維ベースの複合マ
    ット製造方法。
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