JPH05177761A - ヤシ繊維利用資材 - Google Patents

ヤシ繊維利用資材

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JPH05177761A
JPH05177761A JP4155753A JP15575392A JPH05177761A JP H05177761 A JPH05177761 A JP H05177761A JP 4155753 A JP4155753 A JP 4155753A JP 15575392 A JP15575392 A JP 15575392A JP H05177761 A JPH05177761 A JP H05177761A
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layer
coconut
fibers
fiber
palm
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JP4155753A
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English (en)
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Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】シュロ皮やココヤシの中果皮繊維等のヤシ科植
物をマット状としたものの緩衝性、防振性、防音性、断
熱性、適湿性、焼却時低公害性等を積極的に利用し、特
に廃棄処理にあって有利な梱包資材、建築資材等のヤシ
繊維利用資材を提供するものであり、発泡スチロール等
のプラスチックの廃棄処理の問題も同時に解決する。 【構成】ヤシ繊維のマット層2と、板体または薄膜体か
ら成る被着層1とを積層したものが基本構成であり、ヤ
シ繊維のマット層2には細かい合成樹脂繊維を絡み合わ
せたり、ヤシ繊維に粘弾性物質を皮膜した構成を採るこ
ともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、ヤシ科植物の繊維の積
極的利用を図るとともに、廃棄物処理、再資源化にも配
慮した、梱包用、建築用、室内装飾用等の各種資材に関
するものである。
【0002】
【発明の背景】近時、地球規模で環境問題を考えること
も企業の使命となる中、例えば、家電製品の梱包材とし
て多用されてきた発泡スチロールを紙の段ボールに代え
ようとする動きがある。発泡スチロール等のプラスチッ
ク類は、燃焼時に高熱を発して廃棄物焼却炉に悪影響を
与え、周囲には有害な煤煙を撒き散らしているからであ
る。他方、家屋の密集、団地化、高級住宅化するに伴
い、各家屋における防音対策が求められるようになり、
床板材に吸音、緩衝用のフエルト層やハニカム構造等の
防音断熱層を裏張りした高級品も出廻り出している。こ
のような資材が使われた家屋では、火災の出火初期に発
生する有害ガスにより、人命が失われるという事例も多
く報告されている。勿論、建直し時等には、前述の梱包
資材としての発泡スチロールと同様な廃棄物処理の問題
も生じている。また、緩衝、防振、防音に関しては、車
両、船舶、飛行機内における床壁等の室内装飾、さらに
は、道路沿い、線路沿い建てられる防音壁等についても
同様な事が言える。
【0003】このような中、いわゆるシュロ皮やココヤ
シの中果皮繊維等、ヤシ科植物の繊維は、漁網、ロー
プ、箒、たわし、敷物等として、それなりに利用されて
きた。しかしながら、これら従来の利用は、ヤシ繊維が
単に繊維状であることを利用しているだけであって、マ
ット状とした際の緩衝性、防振性、防音性、断熱性、適
湿性、焼却時低公害性等について考慮されたものではな
く、有効利用としては極めて原始的なものであった。
【0004】
【開発を試みた技術的事項】そこで、本発明はいわゆる
ヤシ繊維をマット状としたものの上記特質を積極的に利
用し、天然無公害に近い、特に廃棄処理にあって有利な
梱包資材、建築資材、室内装飾資材等のヤシ繊維利用資
材を提供しようとするものである。
【0005】
【発明の構成】
【目的達成の手段】即ち本出願に係る第一の発明たるヤ
シ繊維利用資材は、ヤシ繊維のマット層と他の素材から
成る被着層とを積層して成ることを特徴として成るもの
である。
【0006】また本出願に係る第二の発明たるヤシ繊維
利用資材は、前記要件に加えて前記被着層は板体である
ことを特徴として成るものである。
【0007】更に本出願に係る第三の発明たるヤシ繊維
利用資材は、前記要件に加えて前記板体は、段ボールで
あることを特徴として成るものである。
【0008】更にまた本出願に係る第四の発明たるヤシ
繊維利用資材は、前記要件に加えて前記板体は、木板で
あることを特徴として成るものである。
【0009】更にまた本出願に係る第五の発明たるヤシ
繊維利用資材は、前記要件に加えて前記被着層は薄膜体
であることを特徴として成るものである。
【0010】更にまた本出願に係る第六の発明たるヤシ
繊維利用資材は、前記要件に加えて前記マット層は、こ
れに別途の細かい合成樹脂繊維が絡み合わされているこ
とを特徴として成るものである。
【0011】更にまた本出願に係る第七の発明たるヤシ
繊維利用資材は、前記要件に加えて前記合成樹脂には、
脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、嫌虫剤、殺虫剤の内
から選ばれた1または複数の薬剤が混入されていること
を特徴として成るものである。
【0012】更にまた本出願に係る第八の発明たるヤシ
繊維利用資材は、前記要件に加えて前記マット層におけ
るヤシ繊維には、粘弾性物質が皮膜していることを特徴
として成るものである。
【0013】更にまた本出願に係る第九の発明たるヤシ
繊維利用資材は、前記要件に加えて前記マット層と被着
層とに対し、さらに粘弾性物質の層を積層して成ること
を特徴として成るものである。これら発明により前記目
的を達成しようとするものである。
【0014】
【発明の作用】本発明のヤシ繊維利用資材は、板状の層
とヤシ繊維のマット状の層との積層を基本として成るた
め、ヤシ繊維をマット状としたものの緩衝性、防振性、
防音性、断熱性、適湿性、焼却時低公害性等をそのまま
生かし、板状の層としての段ボールと積層すれば、十分
強度及び緩衝性等ある梱包資材となり、板状の層として
の木板を材質とした層と積層すれば、緩衝性、防音性、
断熱性ある建築資材等となり、その廃棄処理も植物の乾
燥品を焼却する程度に扱える。さらに、全体が天然繊維
物質であるため再資源化もし易い。
【0015】また、ヤシ繊維のマット状の層に、細かい
合成樹脂繊維を絡み付かせるか、粘弾性物質の皮膜を形
成することで、その緩衝性、防振性、防音性、断熱性が
改善され、合成樹脂に脱臭剤、芳香剤、防虫剤等の薬剤
を混入することで、脱臭、防虫、香り漂うものとなる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を構成する要素たるヤシ繊維、
粘弾性物質、脱臭剤、芳香剤、防虫剤等の薬剤、酸化物
系微粉末脱臭剤等について順次説明した後、図示実施例
について具体的に説明する。
【0017】本発明でヤシ繊維とは、熱帯から亜熱帯地
域にかけて分布するヤシ科植物における繊維状樹皮、葉
柄基部繊維、中果皮繊維等の繊維と定義する。ヤシ科の
植物は、すべて常緑の低木または高木で、幹は単一で枝
を分けることがなく、先端に葉冠をつくるものであり、
幹がほとんど無いものや、高さ30メートルにもなるも
の、表面がなめらかなもの、古い葉鞘に密に包まれたも
のなどがある。またトウ類のように、茎はつるとなって
樹上に高く登るもの、とっくり状に幹がふくれるもの、
さらにドーム属Hyphaeneのように二又に分岐す
る例外的なものもある。
【0018】そして、その葉はふつう大型で、掌状また
は羽状で革質、葉柄の基部は幅広い葉鞘となって幹をし
っかりと抱いている。葉鞘部にはたくさんの繊維があ
り、種類によっては、古くなると柔らかい組織は腐って
繊維だけが残り、いわゆるシュロ皮ができる。花序は頂
生又はえき生の大きな総状の肉穂花序で、よく分岐し、
頂生の場合は、花が咲くと木は枯死する。風または昆虫
によって受精し、果実は液果または核果で、核果の場合
は、内果皮は種子にくっついているのが普通であり、中
果皮は厚い繊維層を有する。これらがヤシ繊維であり、
具体的には樹皮が繊維状として呈するヤシ科植物に、シ
ュロ属シュロ、トウジュロ、葉柄基部に繊維を呈するも
のにチャマエロプス属チャボトウジュロ、クジャクヤシ
属クジャクヤシ、オウギヤシ属オウギヤシ、ナツメヤシ
属ナツメヤシ、サゴヤシ属サゴヤシ、クロツグ属クロツ
グ、サトウヤシ、中果皮の繊維を提供するものに、ココ
ヤシ属ココヤシ、ニッパヤシ属ニッパヤシ等がある。
【0019】本発明では、これらヤシ繊維をマット状な
いし不織布状に絡み合わせたものを使用する。マット状
とするには、これら繊維を一旦ほぐした後、再度絡み合
わせる等、合成繊維における不織布製造工程と同様な手
法がとれ、絡み合わせるにあたっては適度に接着剤を塗
布し、通常5mm〜20mm程度の厚さとしたものが使い易
い。また、シート材いわゆるクッシヨン材として使用す
るときは、これを重ねて使用するか、それ以上の厚さの
ものを用いるのが望ましい。
【0020】そして、このヤシ繊維のマット層には、普
通に言う不織布におけるごく普通の細い合成樹脂繊維を
絡み合わせてもよい。この合成樹脂原料には、ナイロ
ン、ビニロン、ビニリデン、ウレタン、ポリエチレン、
ポリプロピレン、アクリル等の種々の合成樹脂を適用す
ることができ、また、けその紡糸法にあっても溶融紡
糸、その他、重合紡糸、乾式法、湿式法等を問わず、そ
の材質に応じて適宜の方法を適用することができる。ま
た、これを絡み合わせるにあたっては、例えば、溶融紡
糸装置の紡糸口金下方にコンベヤを配置し、紡糸口金か
らは高温高速の空気流に乗せて原料の合成樹脂を糸状に
吹き出させるとともに、下方をコンベヤに乗って移動中
のヤシ繊維のマット層の上に集積させて行う。このよう
にすることによってヤシ繊維のマット層には、細い合成
樹脂繊維がフィラメントの間を、その層のある程度中ま
で侵入して絡み合うようになる。
【0021】本発明では、このヤシ繊維のマット層を、
板状あるいは薄膜体と積層して用いるのであるが、この
ヤシ繊維を粘弾性物質にて皮膜したり、このマット層ご
と一部、又は全部含浸させ、或いは、これに重ね合わせ
て積層させることのできる粘弾性物質について説明す
る。
【0022】まず、この粘弾性物質として好適なものに
シリコーンゲルがある。シリコーンゲルは、例えば次式
[1]で示されるシリコーンゲルの原液たるジオルガノ
ポリシロキサン(以下A成分という): RR1 2SiO−(R2 2SiO)nSiR1 2R…[1] [ただし、Rはアルケニル基であり、R1 は脂肪族不飽
和結合を有しない一価の炭化水素基であり、R2 は一価
の脂肪族炭化水素基(R2 のうち少なくとも50モル%
はメチル基であり、アルケニル基を有する場合にはその
含有率は10モル%以下である)であり、nはこの成分
の25℃における粘度が100〜100,000cSt
になるような数である]と、25℃における粘度が50
00cSt以下であり、1分子中に少なくとも2個のS
i原子に直接結合した水素原子を有するシリコーンゲル
の原液たるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B
成分)とからなり、且つこのB成分中のSi原子に直接
結合している水素原子の合計量に対するA成分中に含ま
れるアルケニル基の合計量の比(モル比)が0.1〜
2.0になるように調整された混合物を硬化させること
により得られる付加反応型シリコーンコポリマーであ
る。
【0023】このシリコーンゲルについてさらに詳しく
説明すると、上記A成分は直鎖状の分子構造を有し、分
子の両末端にあるアルケニル基RがB成分中のSi原子
に直接結合した水素原子と付加して架橋構造を形成する
ことができる化合物である。この分子末端に存在するア
ルケニル基は、低級アルケニル基であることが好まし
く、反応性を考慮するとビニル基が特に好ましい。また
分子末端に存在するR1 は、脂肪族不飽和結合を有しな
い一価の炭化水素基であり、このような基の具体例とし
てはメチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなア
ルキル基、フェニル基並びにフロロアルキル基を挙げる
ことができる。上記[1]式においてR2 は一価の脂肪
族炭化水素であり、このような基の具体的な例として
は、メチル基、プロピル基及びヘキシル基等のようなア
ルキル基並びにビニル基のような低級アルケニル基を挙
げることができる。ただし、R2 のうち少なくとも50
モル%はメチル基であり、R2 がアルケニル基である場
合には、アルケニル基は10モル%以下の量であること
が好ましい。アルケニル基の量が10モル%を越えると
架橋密度が高くなり過ぎて高粘度になりやすい。またn
は、このA成分の25℃における粘度が通常は100〜
100,000cSt、好ましくは200〜20,00
0cStの範囲内になるように設定される。
【0024】上記のB成分は、A成分の架橋剤でありS
i原子に直接結合した水素原子がA成分中のアルケニル
基と付加してA成分を硬化させる。B成分は上記のよう
な作用を有していればよく、B成分としては直鎖状、分
岐した鎖状、環状、あるいは網目状などの種々の分子構
造のものが使用できる。また、B成分中のSi原子には
水素原子の他、有機基が結合しており、この有機基は通
常はメチル基のような低級アルキル基である。さらに、
B成分の25℃における粘度は通常は5000cSt以
下、好ましくは500cSt以下である。このようなB
成分の例としては、分子両末端がトリオルガノシロキシ
基で封鎖されたオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン、ジオルガノシロキサンとオルガノハイドロジェンシ
ロキサンとの共重合体、テトラオルガノテトラハイドロ
ジェンシクロテトラシロキサン、HR1 2SiO 1/2単位
とSiO 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキサン、
及びHR1 2SiO 1/2単位とR1 3SiO 1/2単位とSi
O 4/2単位とからなる共重合体ポリシロキサンを挙げる
ことができる。ただし上記式においてR1 は前記と同じ
意味である。そして上記のB成分中のSiに直接結合し
ている水素原子の合計モル量に対するA成分中のアルケ
ニル基の合計モル量との比率が通常は0.1〜2.0、
好ましくは0.1〜1.0の範囲内になるようにA成分
とB成分とを混合して硬化させることにより製造され
る。
【0025】この場合の硬化反応は、通常は触媒を用い
て行なわれる。ここで使用される触媒としては、白金系
触媒が好適であり、この例としては微粉砕元素状白金、
塩化白金酸、酸化白金、白金とオレフィンとの錯塩、白
金アルコラート及び塩化白金酸とビニルシロキ酸との錯
塩を挙げることができる。このような錯塩はA成分とB
成分との合計重量に対して通常は0.1ppm(白金換
算量、 以下同様)以上、好ましくは0.5ppm以上の
量で使用される。このような触媒の量の上限については
特に制限はないが、例えば触媒が液状である場合、ある
いは溶液として使用することができる場合には200p
pm以下の量で十分である。
【0026】そして上記のようなA成分、B成分及び触
媒を混合し、室温に放置するか、あるいは加熱すること
により硬化して本発明で使用されるシリコーンゲルが生
成する。加熱して硬化させる場合、加熱温度は通常50
〜160℃である。このようにして得られたシリコーン
ゲルは、JIS(K2207−1980、50g荷重)
で測定した針入度が通常5〜250を有する。尚このよ
うなシリコーンゲルの硬度は、上記A成分とB成分とに
より形成された架橋構造によって変動する。シリコーン
ゲルの硬化前の粘度及び硬化後の針入度は両末端がメチ
ル基であるシリコーンオイルを、得られるシリコーンゲ
ルに対して5〜75重量%の範囲内の量であらかじめ添
加することにより調整することができる。このようにシ
リコーンゲルは上記のようにして調整することもできる
し、また市販されているものを使用することもできる。
本発明で使用することができる市販品の例としては、C
F5027、TOUGH−3、TOUGH−4、TOU
GH−5、TOUGH−6、TOUGH−7(トーレ・
ダウコーニングシリコーン社製)やX32−902/c
at1300、KE1308/cat1300−L4
(信越化学工業株式会社製)、F250−121(日本
ユニカ株式会社製)等を挙げることができる。
【0027】また、上記のA成分、B成分及び触媒の他
に、顔料、硬化遅延剤、難燃剤、導電性フィラー等をシ
リコーンゲルの特性を損なわない範囲内で配合すること
もでき、更に防振、緩衝性等を高める為に、微小中空球
体のフィラーを混入してなるシリコーンゲルを用いても
よく、このようなフィラー材料に日本フィライト株式会
社製造のフィライト(登録商標)や同社販売のエクスパ
ンセル(登録商標)マツモトマイクロスフェアー(松本
油脂製薬株式会社製造販売)等が例示できる。またマイ
カ(雲母)片をフィラーとして適用することもでき、こ
の場合には音や振動がマイカ片間で乱反射することで減
衰していくという作用を有する。
【0028】上記シリコーンゲルの他、粘弾性物質とし
て好適なものにポリブタジエンゲルがある。この具体例
としては、出光アーコ株式会社製造販売のPoly b
dR−45HTがある。これは、分子末端に反応性の高
い水酸基を備えたポリブタジエンタイプの液状ポリマー
で、通常のポリウレタンと同様にイソシアネート類によ
り容易に硬化して良好な粘弾性体となるものである。そ
して、このポリブタジエンゲルは、主鎖が炭化水素のみ
からなるため、優れた耐水性、耐薬品性、電気特性をも
備え、しかも骨格が1,4結合のため、良好な低温特性
も備えている。また、液状のため加工が容易で、連続化
が行い易い利点もある。そして、適宜の各種配合剤を加
え、一次混合した後、硬化剤を加え二次混合して、含
浸、シート成形等として用いることとなる。
【0029】なお、配合剤には、強度、硬さ、耐熱性の
ための充填剤としてカーボンブラック、シリカ、アルミ
ナ、炭酸カルシウムがあり、粘度調整の伸展剤としてプ
ロセスオイル、アスファルトがあり、硬化速度の調整の
ための触媒としてジブチル錫ジラウレートがあり、耐熱
性向上、酸化防止剤としてチバガイギ株式会社製のイル
ガノックス565、大内新興化学株式会社製のノックラ
ックNS−6、耐オゾン性のための紫外線吸収剤として
チバガイギ株式会社製のチヌビン327があり、難燃化
剤として水酸化アルミニウム、ホウ砂、塩素化パラフィ
ン、酸化アンチモンがあり、また硬化剤としてはリレン
ジイソシアネート、メチレンジイソシアネートがある。
【0030】そして、好適な例として、上記R−45H
Tの100部、消泡剤としての信越シリコーン株式会社
製のTAS750を0.005部、触媒としての共同薬
品株式会社製のDBTDL KS−1260を0.00
5部、硬化剤として日本ポリウレタン工業株式会社製の
Millionate MR−200(NCOの含有率
30.9重量%)を8.3部、さらに微少中空球体とし
て松本油脂製薬株式会社製のマイクロスフェア−F−8
0EDを1部用い、先ず、これらの内硬化剤を除いた成
分を室温で十分に攪拌混合し、次いでこれに硬化剤を加
え、更に攪拌混合の上均一な液状物を得て、減圧下にて
脱泡した後、離型剤を塗布したガラス板間に流し出し、
加熱硬化させて粘弾性物質の層として積層させることの
できるポリブタジエンゲルのシートを得ることができ
る。なお、このようにして得たポリブタジエンゲルのシ
ートは、前記シリコーンゲルに近い緩衝性を有し、シリ
コーンゲルよりも比較的安価である。
【0031】その他、制振塗料、防音塗料、シーリング
材と呼ばれるものには、粘弾性を示すものが多く、温度
特性的には前2者より劣る場合が多いが、価格的には非
常に有利であるため、低廉な製品用にはこれを用いるの
がよい。このようなもので、自動車や鉄道車両の車体下
面やフェンダー、外板等に塗布され、防音、防錆、断熱
等の作用があり廉価な材料に、例えば、日本特殊塗料株
式会社販売のニットクアンダーシール(登録商標)があ
る。
【0032】これら粘弾性物質は、ヤシ繊維のマット層
に対し、硬化前の原液が皮膜状に吹き付けられるか、一
旦マット層全体に含浸させた後、適宜手段によって皮膜
状に覆う以外の余剰の原液を噴出排除してヤシ繊維を皮
膜させることができる他、これら粘弾性物質を一部に又
は全部に含浸させてしまう、或いはシート状として予め
得たものを重ね合わせて用いることができる。
【0033】ヤシ繊維のマット層がこれら粘弾性物質に
より皮膜されると、元のヤシ繊維の弾力が粘弾性物質の
適度の柔軟性と復元遅延性が付加されて、マット層とし
ては粘ばい重厚なクッション性を呈するようになる。な
お、ゲル状を示す物質の硬度が針入度100程度以上で
あると、その表面に粘着性を生ずるため、このような場
合には非粘着性のスキン層を形成してもよい。また、粘
弾性物質を含浸させたり、そのシート状のものを重ね合
わせ積層することによって、その粘弾性物質の層の緩衝
性、防振性、防音性、吸音性が相乗されることとなる。
【0034】次に、脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防虫剤、
嫌虫剤、殺虫剤等の薬剤について説明する。先ず脱臭剤
としては、活性炭の他、ゼオライト、クリストバライ
ト、アミヨン、オリソリン酸アルミニム、酸化チタンと
酸化亜鉛と水分子の緊密結合体、アニコ植物抽出物など
がある。なお、ゼオライトは、水やアンモニアなどの極
性分子や硫化水素などの硫黄系ガスをよく吸着する。ま
た、活性炭は低温度で優れた吸着能を示す。
【0035】クリストバライトは藻類の一種である珪藻
が長い間に珪藻土となり、更に火山のマグマに焼かれて
できた珪酸鉱物の一種でありアンモニアの吸着力が高
い。アミヨンは天然の無機質から成る粉末であり、土中
の生物的な作用による脱臭と岩石や鉱物類の物理的、化
学的作用による脱臭能力がある。オルソリン酸アルミニ
ウムはアンモニア、アミン類をよく吸着する。アニコは
硫酸第一鉄を主成分とし、L−アスコルビン酸を酸化抑
制剤とするもので緑青色の液体である。植物抽出物に
は、例えば茶に代表されるツバキ科植物から抽出された
フラバノール、フラバノール類や針葉樹、広葉樹の抽出
物などがある。
【0036】これら各種の脱臭剤のうち活性炭、ゼオラ
イト、クリストバライト、アミヨン、オルソリン酸アル
ミニウム等はいずれも粉体であるから、そのまま合成樹
脂原料に混入できる他、別途の多孔性の微粉末に一旦担
持させた後に、それごと混入して紡糸することもでき。
また、液体であるアニコ、植物抽出物の場合には合成樹
脂原料との相溶性を考慮して適用することができる。
【0037】脱臭剤の内、酸化チタンと酸化亜鉛と水分
子との緊密結合体を代表とする酸化物系微粉末脱臭剤に
ついてさらに詳述すると、このものは、脱臭力を比較評
価する目安としてのアンモニア、硫化水素の低温、低濃
度吸着性に特に優れており、触媒作用によって悪臭分子
を低分子化するとともに、さらに、酸化亜鉛は酸性ガス
を化学吸着し、二酸化チタンはアルカリ性ガスを物理吸
着すると考えられるものである。そして、このものは、
脱臭能力が優れる他、粒径がミクロンないしサブミクロ
ンオーダーの微粉末状であって、かつ白色であるため、
清潔感を与え、着色が効くという利点がある。
【0038】そして、特開昭63−54935号公報に
よると、水に可溶なチタン化合物と水に可溶な亜鉛化合
物との水溶液と、アルカリ水溶液とを混合し、生成する
沈殿物を乾燥して得られ、例えば、硫酸チタン、塩化チ
タン、硝酸チタン、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等、
チタン化合物と亜鉛化合物とをモル比で7:3〜3:7
の範囲とした混成水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化バリウム、アンモニア等のアルカリ水溶
液を一部づつ又は全部40〜60℃の反応温度にて最終
的にPH7〜9の範囲で混合し、生成する沈殿物を15
0〜220℃で乾燥したものが好適とされており、チタ
ン工業株式会社よりTZ脱臭剤として入手できる。類似
の酸化物系微粉末脱臭剤には、酸化亜鉛と酸化アルミニ
ウムと酸化珪素の結合体(特開昭63−246167号
公報参照)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウムの結合体(特開昭63−18544
5号公報及び特開昭63−183065号公報参照)が
あり、同様に使用することができる。
【0039】また、芳香剤としては、動植物の天然香
料、合成香料、調合香料などをそのまま使用するか、こ
れら香料を乳化させたものを噴霧乾燥して粉末化したも
のを使用する。抗菌剤としては、前記酸化チタンと酸化
亜鉛と水分子との緊密結合体が抗菌性をも発揮できるの
で、この効用に着目して適用できる他、金属酸化物、
銀、銅等の金属の微粒子などを適用することができる。
殺虫剤としては、例えばダニ用としてフェニトロチオ
ン、フェンチオンなどの有機燐酸や、天然ピレトリンと
合成ピレトリン類化合物を総称したピレスロイド系、そ
の他、ニコチン、除虫菊等がある。また防虫剤として
は、パラジクロルベンゼン、アレスニンとピペロニール
プトキサイドの併用、エミコン等を粉体化したもの等を
使用することができる。さらに、嫌虫剤としては、例え
ば熱帯シマカに対して強い忌避作用を示すN,N−ジメ
チル−m−トルアミド等がある。
【0040】なお、これら薬剤を混入するときは、ヤシ
繊維に絡み合わせる細い合成樹脂繊維に混入するのであ
るが、その原料が二種以上の化学物質の化合により成る
場合にはこれら化学物質も含む意味である。すなわち、
例えばナイロン6.6繊維を例にとると、アジビン酸と
ヘキサメチレンジアミンが重合されることによりできる
末だ繊維化されていない合成樹脂たるナイロン6.6の
他、ナイロン6.6自体の原料であるアジビン酸とヘキ
サメチレンジアミンをも含むものである。従って合成樹
脂原料に薬剤を混入させるという場合には、アジビン酸
又はヘキサメチレンジアミンの重合後、紡糸前の状態で
薬剤を混入させてもよいし、またアジビン酸又はヘキサ
メチレンジアミン何れか一方又は双方に薬剤を混入させ
ておき、これらを重合させてもよいのである。
【0041】また、これら薬剤は合成樹脂繊維中に完全
に埋没している必要はないため、薬剤を混入するとは、
例えば紡糸口金を出た直後の溶融ないし軟化状態の繊維
に対し、これら薬剤の粉体を吹き付けて一部埋没させて
付着させるようにした場合をも含むものである。以上の
ようなヤシ繊維のマット層は単なる平板状である必要は
なく、例えば図8に示すように表面に三角錐状のエンボ
スを施してもよい。因みにこのようなエンボスは、緩
衝、防振、防音の各作用を一層助長することができるも
のであって、例えばこのものは自動車の内装として適用
することができる。
【0042】次に、本発明たるヤシ繊維利用資材Aを梱
包資材A1 とした図示実施例について説明する。図1
は、その縦断面を示すもので、本実施例では被着層とし
て板体の一種である段ボールシートに、ヤシ繊維のマッ
ト層を積層している。すなわち、11が表ライナーで、
12が波状の中芯、13が裏ライナーで、両面段ボール
1aとして構成されたいわゆる段ボールシートに対し、
ヤシ繊維のマット層2が、裏ライナー13にその一面が
接着され一体となっている。
【0043】図2は他の実施例を示すもので、この例で
は表ライナー11と中芯12よりなる片面段ボール1b
に対し、ヤシ繊維のマット層2は、中芯12の頂部にお
いて直接接着され一体となっている。
【0044】図3(a)(b)はさらに他の実施例を示
すもので、ヤシ繊維のマット層2の上下各々に段ボール
シートを接着したものとなっており、(a)は図1に示
したのと同様の両面段ボール1aを、(b)は図2に示
したのと同様の片面段ボール1bを上下において接着し
一体化している。
【0045】図4は、さらに粘弾性物質の層を積層した
もので、この例ではヤシ繊維のマット層に前記ポリブタ
ジエンゲルをほぼ30%体積分含浸させた層3として、
これを両面段ボール1aに積層している。
【0046】なお、ヤシ繊維のマット層にポリブタジエ
ンゲルやシリコーンゲル等の粘弾性物質を含浸させるに
当っては、ヤシ繊維のマット層の上にこれらの硬化前の
原液を流し出し、その後、これらを上下のロール間に通
しその含浸度合を調整した後、加熱トンネルを通過させ
て硬化させる等の手法を採る。また、各層を接着するに
あたっては、適宜な市販接着剤を用いる他、粘弾性物質
を積層させるときは、その粘着性により粘接着させても
よい。また、上記実施例ではヤシ繊維のマット層2は全
体が均一な厚さを有する平坦な層を前提としたが、本発
明はこれに限らず、マット層が適宜なパターンにて凹
凸、いわゆるエンボスが付けられたものであってもよい
ことは勿論である。
【0047】これら梱包資材は、製函して段ボール箱と
して用いたり、さらに前記構成を複数段繰り返すように
積層させて段ボール箱等における角のスペーサーとした
り、その積層体には製品の概略形状を繰り抜いておいて
梱包用製品ケースとしたりして用いる。そして、図1乃
至図3に示すような梱包資材は、材質的に紙と植物繊
維、つまり木を原始材料とするため、産業時処理に問題
が少ない一方、緩衝性はヤシ繊維のマット層の存在によ
り従来の段ボールに比べ格段と向上されており、従来の
発泡スチロールを用いたものに匹敵する程となってい
る。なお、図4に示すものは粘弾性物質としてのシリコ
ーンゲルやポリブタジエンゲル等の合成樹脂を含み、緩
衝性や防水、防湿性が向上されている。
【0048】次に本発明たるヤシ繊維利用資材Aを床板
材、壁板材等の建築資材A2 に施用した例について説明
する。この場合には、基本的に前記梱包資材の各実施例
における段ボールシートを、やはり板体の一種である合
板や無垢の木材に替えたものに等しく、具体例としての
図5に示すものは、いわゆる合板4に直接ヤシ繊維のマ
ット層2を積層したもので、合板表面は化粧面4aであ
る。なお、この場合、図示しないが30cm×30cm等の
適宜な大きさのタイル状のものとして相互に嵌め合わせ
て使うようにしたり、裏面一部には、床の骨木に固着す
るため、ヤシ繊維のマット層2を積層しない部分があっ
てもよい。
【0049】図6、図7に示すものは、ヤシ繊維のマッ
ト層2にさらに粘弾性物質の層を積層したもので、図6
に示すものは、ヤシ繊維のマット層にほぼ100%含浸
せしめたもの3を積層しており、図7に示すものは、先
に粘弾性物質の層としてのポリブタジエンゲルをシート
状とした層5を合板4に接着した後に、ヤシ繊維のマッ
ト層2を積層している。
【0050】このように構成することによって、ヤシ繊
維のマット層及び粘弾性物質の層により、緩衝、防音、
断熱効果等が生じ、建築資材として機能価値が付加さ
れ、高級資材として提供することができる。それでい
て、基本的に木や植物繊維を原始材料としているため、
廃棄時の公害性は低く抑えられている。なお、建築資材
とする場合は、図3で示したように、いわゆるサンドイ
ッチ構造にする必要性は少ないが、場合によっては、木
板の層でヤシ繊維のマット層をサンドイッチする構成を
採っても勿論よい。
【0051】なお、上記実施例では、ヤシ繊維のマット
層は、ヤシ繊維のみの絡み合いから成るものとしたが、
本発明はこれに限らず、ヤシ繊維に別途の細い合成樹脂
繊維が絡み合わされていたり、また、このヤシ繊維が粘
弾性物質に皮膜されていたり、その細い繊維の原料たる
合成樹脂に、脱臭剤、芳香剤、抗菌、剤防虫剤、嫌虫
剤、殺虫剤の内から選ばれた1または複数の薬剤が混入
されていてもよいことは勿論である。これらによれば、
その緩衝性、防振性、防音性、断熱性等が改善され、ま
た、脱臭、防虫、香り漂う等の付随的な効果ももたらさ
れることとなる。
【0052】また、上記実施例では被着層として板体で
ある段ボール又は木板を適用したが、同じくこのような
板体として、金属板、セラミックス、石膏ボード、コン
クリートボート、スチロールマット、プラスチック板、
絨毯マット、カーペット、ウレタン等の発泡層、人工皮
革、更には繊維粕やボロ製フェルトなどの集結材等の比
較的厚みがあって、硬質ないしある程度の保形性を有す
る材料を適用することができる。因みに金属板を適用し
たものは、外壁板や防音壁として好適であり、繊維粕や
ボロ製フェルトなどの集結材を適用したものは、自動車
の内装やトランクの内装として好適である。またこれら
被着層として板体を適用したヤシ繊維利用資材は、この
他にも車両のバンパー内充填材としたり、座席シート
材、ドア、天井、床、フロントパネル等の内装材とした
り、また、防音壁の充填材や、靴の中敷材、枕等として
提供することができる。
【0053】次に被着層を薄膜体としたヤシ繊維利用資
材Aについて説明する。ここで薄膜体とは板体に対する
語であって、それ自体保形性を有しない薄い素材を総称
し、例えば紙、箔、フィルムを含むものである。具体的
には塩ビフィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンフ
ィルム、アルミ箔、金箔、和紙等を包含する。尚薄膜体
は、多孔質であっても差し支えなく、この場合にはソリ
ッドフィルムを用いて被着させる。
【0054】また尚マット層は自然物たるヤシ繊維であ
ることとの均衡から、被着層も環境との調和を考慮した
材質で構成することが好ましい。このような条件を満足
する被着層たるフィルムの一例として「マタービー」
(Mater−Bi)(登録商標)が挙げられる。「マ
タービー」は、イタリアのモンテジソングループに属す
るノバモント社によって開発された新しい熱可塑性プラ
スチックであって、植物からの精製物質と合成高分子と
が分子レベルで相互に相手分子中に潜り込み、水素結合
により結ばれている生分解性ポリマーである。その融点
は140℃前後とされており、水を吸収して膨潤するこ
とにより生分解促進され、微生物生存の環境下で紙と同
等の生分解性を示すとされている。
【0055】次に被着層を薄膜体とした場合の実施例を
説明する。図9は、その縦断面図を示すもので、本実施
例では、ヤシ繊維のマット層に対して薄膜体たるポリエ
ステルフィルムを該層の表面凹凸形状に沿わせ被着させ
ている。すなわち2がヤシ繊維を不織布用ないし三次元
網組織状に絡み合わせた5mm厚程度のマット層で、その
表面に100μm厚のポリエステルフィルム6を該層の
表面凹凸形状に沿わせて被着させている。
【0056】図10に示すものは、図9に示すものに加
え、ヤシ繊維のマット層に亜鉛の溶滴が溶射被膜7とし
て付着している。また図11に示すものは、図9に示す
ものに加えヤシ繊維のマット層2のごく表層にのみその
各繊維をシリコーンゲル8で被膜させ、かつ、そのシリ
コーンゲル8を接着剤として用いて、ポリエステルフィ
ルム6を薄膜体を該層の表面凹凸形状に沿わせ被着させ
ている。
【0057】勿論、これら各実施例において、ポリエス
テルフィルム6はヤシ繊維のマット層2に対して、片面
にのみ被膜する他、図12のごとく両面に被膜させても
良いし、図13のごとく、ポリエステルフィルム6をサ
ンドイッチするようにヤシ繊維のマット層2の中間層と
してこれを被膜してもよい。
【0058】次に、上記の各実施例の作り方について説
明する。まず、図9に示す実施例のように、比較的硬調
な繊維を不織布様ないし三次元網組織状に絡み合わせて
なるマット層2の片面に、薄膜体を該層の表面凹凸形状
に沿わせ被着する方法について説明する。これには、ヤ
シ繊維のマット層2に接着剤を塗布した後、ポリエステ
ルフィルム6を重ね合わせたものを図14に示すごとく
真空ポンプ9につながれた基盤10上に配置し、ポリエ
ステルフィルム6をヤシ繊維側へ真空吸引して該層の表
面凹凸形状に沿わせ被着する。このため、基盤10には
多数の吸引孔10aが明けられ、これが真空ポンプ9と
連通し、また上型20でヤシ繊維のマット層2及びポリ
エステルフィルム6の周辺を基盤10とで挟み、かつ、
内部を閉塞している。
【0059】このような状態において真空ポンプ9を稼
働すれば、ヤシ繊維のマット層2の間に保有されていた
空気が吸引されて、ポリエステルフィルム6がヤシ繊維
のマット層2を押しつつ、その表面凹凸に沿って皺がで
き変形して薄膜体を該層の表面凹凸形状に沿わせ被着す
る。この状態をしばらく保持することにより、ポリエス
テルフィルム6を該層の表面凹凸形状に沿わせ被着す
る。
【0060】またポリエステルフィルム6をヤシ繊維の
マット層2の両面に施す場合には、図15に示すように
前記上型20にコンプレッサー21を連通し、片面にポ
リエステルフィルム6を被着したものを被着面を下にし
てセットし、他の面に他のポリエステルフィルム6を乗
せて、そちら側からコンプレッサー21で空気圧を加え
て、ポリエステルフィルム6を該層の表面凹凸形状に沿
わせ被着させれば良い。
【0061】更に図13のようにヤシ繊維のマット層2
でポリエステルフィルム6をサンドイッチするときは、
図16(a)に示すようにヤシ繊維のマット層2の上に
ポリエステルフィルム6、その上に他のヤシ繊維のマッ
ト層2、更にその上に他の薄膜体6’を乗せ、この状態
で下側から真空ポンプ9で吸引するとともに、上側から
コンプレッサー21で加圧して押し付けた後、最上部の
他の薄膜体6’を取り除けばよい。
【0062】以上の方法において、ポリエステルフィル
ム6が多孔状等の通気性があるときは、別途の薄膜体を
一時的に用いて、ポリエステルフィルム6を該層の表面
凹凸形状に沿わせ被着させた後、該薄膜体を取り除けば
よい。
【0063】次に本発明の他の実施例として、制振作用
を有する他の素材との組み合わせについて説明する。こ
こで制振作用を有する素材の一例として、日本特殊塗料
株式会社製のニットク・イーディケル(登録商標)シリ
ーズを挙げることができる。即ち例えばイーディケル−
3500は感圧接着タイプのシート状のものであって制
振作用を有し、それ自体自動車、車両、機械装置、家電
製品、オーディオ製品などの金属構成の制振に使用する
ことができるものである。またイーディケル−M200
0,M2500は吹付型の塗料性状をした制振材であっ
て、防露や防錆などの作用を併せ持つ。更にイーディケ
ル−M5000はサンドイッチ型制振シートであって、
モーターカバーの制振等に使用できる。
【0064】このような制振作用を有する素材を本発明
に適用する実施例として、例えば図17に示すように上
記イーディケル−M3500のシート6aを薄膜体とし
てヤシ繊維のマット層2と被着層1との間に挟んで加熱
プレスしたり、図18に示すように粘弾性液に上記イー
ディケル−M2000またはM2500の塗料6bを加
え、この混合液を不織布に含浸させ硬化させたものをヤ
シ繊維のマット層2と被着層1との間に挟んだり、更に
図19に示すように上記イーディケル−M5000を板
体6cとして用い、ヤシ繊維のマット層2と加圧してヤ
シ繊維利用資材Aを作成してもよい。
【0065】次に本発明のヤシ繊維利用資材を使用する
に当たっての前処理について簡単に説明する。ヤシ繊維
利用資材Aを適用するにあたっては、これを適当な形状
にカットするが、その際カット面あるいは資材の端面を
処理する必要がある。その方法としてカットしたものを
後処理する方法の他、例えば薄膜体としてポリ塩化ビニ
ルシート30を適用したヤシ繊維利用資材Aの場合に
は、図20に示すように高周波または超音波を発するカ
ット刃32に段差33を設けたものを使用することで、
図21(a)のように端面がポリ塩化ビニルシート30
で覆われたものを得ることができる。尚、このようなも
のを二枚重ね合わせれば、図21(b)のように端部全
体がポリ塩化ビニルシート30で覆われたヤシ繊維利用
資材Aを得ることができる。
【0066】端部処理を行なったヤシ繊維利用資材Aの
具体的適用例としては、例えば図22に示すようにヘル
メット40の内側に設ける緩衝材として適用することが
できる。因みにこのようなヘルメットは、安全で軽く、
しかも頭が蒸れる心配がなく、また低コストで製造で
き、内面にも多様なデザインを施すことができるものと
なる。
【0067】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、ヤシ繊維
をマット層とした際の緩衝性、防振性、防音性、断熱
性、適湿性、焼却時低公害性等を大いに利用した、機能
付加した梱包用、建築用、室内装飾用等の各種資材とし
て提供できる他、プラスチック類の焼却時公害の問題も
同時に解決し、従来にないヤシ科植物繊維の高度、積極
的利用を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明たるヤシ繊維利用資材を梱包資材として
構成したものであって、両面段ボールにヤシ繊維のマッ
ト層を積層したものの縦断面図である。
【図2】梱包資材としての他の実施例を示すもので、片
面段ボールにヤシ繊維のマット層を積層したものの縦断
面図である。
【図3】梱包資材としての更に他の実施例を示すもの
で、ヤシ繊維のマット層の両面に段ボールシートを積層
したものの縦断面図である。
【図4】梱包資材としての更に他の実施例を示すもの
で、両面段ボールに対し、ヤシ繊維のマット層に粘弾性
物質を含浸させたものを積層したものの縦断面図であ
る。
【図5】本発明たるヤシ繊維利用資材を建築資材として
構成したものであって、合板にヤシ繊維のマット層を積
層したものである。
【図6】建築資材としての他の実施例を示すもので、合
板に対し、ヤシ繊維のマット層に粘弾性物質を含浸させ
たものを積層したものの縦断面図である。
【図7】建築資材としてのさらに他の実施例を示すもの
で、合板に粘弾性物質を積層し、これにさらにヤシ繊維
のマット層を積層したものの縦断面図である。
【図8】本発明たるヤシ繊維利用資材を自動車の内装資
材に適用した実施例を示すもので、ヤシ繊維のマット層
表面に三角錐状のエンボスを施したものの縦断面図であ
る。
【図9】被着層を薄膜体とした場合の実施例を示すもの
で、ポリエステルフィルムをヤシ繊維のマット層に被着
させたものの縦断面図である。
【図10】同上他の実施例を示すもので、ヤシ繊維のマ
ット層に亜鉛溶射したものにポリエステルフィルムを被
着させたものの縦断面図である。
【図11】同上他の実施例を示すもので、ヤシ繊維のマ
ット層にシリコーンゲルを皮膜させたものにポリエステ
ルフィルムを被着させたものの縦断面図である。
【図12】同上更に他の実施例を示すもので、ポリエス
テルフィルムをヤシ繊維のマット層の両面に皮膜させた
ものの縦断面図である。
【図13】同上更に他の実施例を示すもので、ポリエス
テルフィルムを中間層として、その両面にヤシ繊維のマ
ット層を皮膜したものの縦断面図である。
【図14】前記図9に示す実施例の製作手法を模式的に
示す説明図である。
【図15】前記図12に示す実施例の製作手法を模式的
に示す説明図である。
【図16】前記図13に示す実施例の製作手法を模式的
に示す説明図である。
【図17】本発明たるヤシ繊維利用資材に制振作用を有
する他の素材を組み合わせた実施例を示すもので、イー
ディーケル−M3500のシートを薄膜体として適用し
たものの縦断面図である。
【図18】同上他の実施例を示すもので、粘弾性液とイ
ーディケル−M2000またはM2500の塗料との混
合液を不織布に含浸させ硬化させるまでの段階と、これ
を用いてヤシ繊維利用資材を完成するまでの段階を示す
縦断面図である。
【図19】同上更に他の実施例を示すもので、イーディ
ケル−M5000の板体をヤシ繊維のマット層に積層
し、加圧して作られるヤシ繊維利用資材を示す縦断面図
である。
【図20】本発明たるヤシ繊維利用資材の端面処理加工
方法の一例を示す縦断面図である。
【図21】上記手法により端面処理されたヤシ繊維利用
資材を示す縦断面図並びにこのヤシ繊維利用資材を二枚
重ね合わせた実施例を示す縦断面図である。
【図22】上記手法により端面処理を行なったヤシ繊維
利用資材の具体的適用例として、ヘルメット内部の緩衝
材として適用したものの縦断面図である。
【符号の説明】
A ヤシ繊維利用資材 A1 梱包資材 A2 建築資材 1 被着層 1a 両面段ボール 1b 片面段ボール 11 表ライナー 12 中芯 13 裏ライナー 2 ヤシ繊維のマット層 3 ヤシ繊維のマット層にポリブタジエンゲルを含浸
させた層 4 合板 4a 化粧面 5 ポリブタジエンゲルの層 6 ポリエステルフィルム 6’ 他の薄膜体 6a イーディケル−M3500 6b イーディケル−M2000またはM2500の塗
料 6c イーディケル−M5000の板体 7 溶射被膜 8 シリコーンゲル 9 真空ポンプ 10 基盤 10a 吸引孔 20 上型 21 コンプレッサー 30 ポリ塩化ビニルシート 32 カット刃 33 段差 40 ヘルメット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B32B 25/20 9155−4F 27/00 101 7344−4F

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤシ繊維のマット層と他の素材から成る
    被着層とを積層して成ることを特徴とするヤシ繊維利用
    資材。
  2. 【請求項2】 前記被着層は板体であることを特徴とす
    る請求項1記載のヤシ繊維利用資材。
  3. 【請求項3】 前記板体は、段ボールであることを特徴
    とする請求項2記載のヤシ繊維利用資材。
  4. 【請求項4】 前記板体は、木板であることを特徴とす
    る請求項2記載のヤシ繊維利用資材。
  5. 【請求項5】 前記被着層は薄膜体であることを特徴と
    する請求項1記載のヤシ繊維利用資材。
  6. 【請求項6】 前記マット層は、これに別途の細かい合
    成樹脂繊維が絡み合わされていることを特徴とする請求
    項1記載のヤシ繊維利用資材。
  7. 【請求項7】 前記合成樹脂には、脱臭剤、芳香剤、抗
    菌剤、防虫剤、嫌虫剤、殺虫剤の内から選ばれた1また
    は複数の薬剤が混入されていることを特徴とする請求項
    6記載のヤシ繊維利用資材。
  8. 【請求項8】 前記マット層におけるヤシ繊維には、粘
    弾性物質が皮膜していることを特徴とする請求項1、6
    または7記載のヤシ繊維利用資材。
  9. 【請求項9】 前記マット層と被着層とに対し、さらに
    粘弾性物質の層を積層して成ることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7または8記載のヤシ繊維利
    用資材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07237507A (ja) * 1993-09-16 1995-09-12 Schuller Internatl Inc 自動車ヘッドライナーパネル及びその製法
WO1996032251A1 (fr) * 1995-04-12 1996-10-17 Onnetsu Kankyo Kaihatsu Inc. Article stratifie ou moule et procede pour le fabriquer
US20180086874A1 (en) * 2015-03-31 2018-03-29 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Silicone-modified polyurethane-based fiber and method for manufacturing same

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