JPH05208820A - マグネシア添加ジルコニア粉末およびその製造方法 - Google Patents
マグネシア添加ジルコニア粉末およびその製造方法Info
- Publication number
- JPH05208820A JPH05208820A JP4276707A JP27670792A JPH05208820A JP H05208820 A JPH05208820 A JP H05208820A JP 4276707 A JP4276707 A JP 4276707A JP 27670792 A JP27670792 A JP 27670792A JP H05208820 A JPH05208820 A JP H05208820A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- zirconia
- axis
- magnesia
- sintering
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】マグネシアを6〜12モル%添加したジルコニ
ア粉末であって、ジルコニアの格子定数a軸が5.14
8オングストロ−ム以上のセラミックス用原料粉末。 【効果】本発明の原料粉末より製造されるマグネシア部
分安定化ジルコニアセラミックスは、高温での機械的強
度・耐熱衝撃性に優れており、しかもそれらの焼結特性
が安定している為、熱間押出し加工用ダイスのための原
料粉末に適している他、工具、モ−ルド等の原料粉末と
して、広範囲に使用可能である。
ア粉末であって、ジルコニアの格子定数a軸が5.14
8オングストロ−ム以上のセラミックス用原料粉末。 【効果】本発明の原料粉末より製造されるマグネシア部
分安定化ジルコニアセラミックスは、高温での機械的強
度・耐熱衝撃性に優れており、しかもそれらの焼結特性
が安定している為、熱間押出し加工用ダイスのための原
料粉末に適している他、工具、モ−ルド等の原料粉末と
して、広範囲に使用可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネシアによって部
分的に安定化されたジルコニア(以後、MSZと略記す
る。)の高性能セラミックスを安定的に製造できるよう
に、結晶学的特性が十分に制御された原料粉末、および
その製造法に関するものである。
分的に安定化されたジルコニア(以後、MSZと略記す
る。)の高性能セラミックスを安定的に製造できるよう
に、結晶学的特性が十分に制御された原料粉末、および
その製造法に関するものである。
【0002】本発明の原料粉末から製造されるMSZセ
ラミックスは、高温条件下で高い機械的強度を有し、耐
熱衝撃性にも優れ、しかもそれらの特性が安定してい
る。そのため、熱間押出し加工用のダイスのための原料
粉末として特に適している。その他、上記の特性を活か
して、工具、モ−ルド等、様々な分野のセラミックス用
原料粉末として広く用いることができる。
ラミックスは、高温条件下で高い機械的強度を有し、耐
熱衝撃性にも優れ、しかもそれらの特性が安定してい
る。そのため、熱間押出し加工用のダイスのための原料
粉末として特に適している。その他、上記の特性を活か
して、工具、モ−ルド等、様々な分野のセラミックス用
原料粉末として広く用いることができる。
【0003】
【従来の技術】優れた高温特性を発揮するMSZセラミ
ックスを安定的に作製するためには、原料粉末製造条件
の最適化が重要な課題となる。
ックスを安定的に作製するためには、原料粉末製造条件
の最適化が重要な課題となる。
【0004】そのMSZ用原料粉末の製造法としては、
高純度のジルコニアおよびマグネシア粉末を、マグネシ
アが6〜12モル%となるように秤量して湿式混合粉砕
し、700〜1400℃で仮焼を行ない、得られた粉末
を再び粉砕して原料粉末とする方法が一般的である。ま
た、粉末中のジルコニアとマグネシアの固溶を促進する
ため、ジルコニウム塩水溶液とマグネシウム塩水溶液か
ら共沈法によって水酸化ジルコニウムと水酸化マグネシ
ウムもしくは炭酸マグネシウム(特開昭60−1030
36)の沈殿を同時かつ均一に生成させ、その後の脱水
・乾燥・加熱処理により、均一性の高いMSZ原料粉末
とする方法も発明されている。
高純度のジルコニアおよびマグネシア粉末を、マグネシ
アが6〜12モル%となるように秤量して湿式混合粉砕
し、700〜1400℃で仮焼を行ない、得られた粉末
を再び粉砕して原料粉末とする方法が一般的である。ま
た、粉末中のジルコニアとマグネシアの固溶を促進する
ため、ジルコニウム塩水溶液とマグネシウム塩水溶液か
ら共沈法によって水酸化ジルコニウムと水酸化マグネシ
ウムもしくは炭酸マグネシウム(特開昭60−1030
36)の沈殿を同時かつ均一に生成させ、その後の脱水
・乾燥・加熱処理により、均一性の高いMSZ原料粉末
とする方法も発明されている。
【0005】しかし、これら公知の粉末調製では、最終
的な焼結特性からのフィ−ドバックにより粉末製造条件
が経験的に設定されている場合が多く、粉末特性からの
フィ−ドバックとしては、平均粒子寸法を制御する例が
知られているのみである(特開昭60−21557
2)。そして、仕上がった原料粉末そのものに対する結
晶学的測定の結果と焼結特性との関係を詳細に検討した
例は少ない。このように粉末固有の特性評価が不十分で
あるため、原料粉末の焼結特性に原因不明の不安定性が
現れることがあった。
的な焼結特性からのフィ−ドバックにより粉末製造条件
が経験的に設定されている場合が多く、粉末特性からの
フィ−ドバックとしては、平均粒子寸法を制御する例が
知られているのみである(特開昭60−21557
2)。そして、仕上がった原料粉末そのものに対する結
晶学的測定の結果と焼結特性との関係を詳細に検討した
例は少ない。このように粉末固有の特性評価が不十分で
あるため、原料粉末の焼結特性に原因不明の不安定性が
現れることがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、MS
Z用原料粉末の特性を結晶構造を中心に様々な角度から
評価し、そのデ−タと焼結特性との相関を調べることに
より粉末製造条件を最適化し、MSZセラミックスを安
定的に製造できるように十分に制御された原料粉末およ
びその製造法を確立することにある。
Z用原料粉末の特性を結晶構造を中心に様々な角度から
評価し、そのデ−タと焼結特性との相関を調べることに
より粉末製造条件を最適化し、MSZセラミックスを安
定的に製造できるように十分に制御された原料粉末およ
びその製造法を確立することにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決するため、原料粉末の特性を結晶デ−タ、粉末形
態、比表面積、粒度分布、細孔径分布、ゼ−タ電位、成
形体密度について検討した結果、焼結特性を支配する要
因が結晶格子定数であることを明らかにし、単斜晶ジル
コニアの格子定数の内、a軸が5.148オングストロ
−ム以上となるように粉末製造工程を制御すれば、MS
Zセラミックスを安定的に作製できる原料粉末が得られ
ることを見出だし、本発明を完成した。
を解決するため、原料粉末の特性を結晶デ−タ、粉末形
態、比表面積、粒度分布、細孔径分布、ゼ−タ電位、成
形体密度について検討した結果、焼結特性を支配する要
因が結晶格子定数であることを明らかにし、単斜晶ジル
コニアの格子定数の内、a軸が5.148オングストロ
−ム以上となるように粉末製造工程を制御すれば、MS
Zセラミックスを安定的に作製できる原料粉末が得られ
ることを見出だし、本発明を完成した。
【0008】以下、その詳細について説明する。
【0009】
【作用】MSZセラミックスの原料粉末はジルコニア粉
末とマグネシア粉末を混合粉砕するかもしくは共沈法に
よって得られたジルコニア−マグネシア二成分粉末を7
00〜1450℃で仮焼後粉砕して製造されるが、その
結晶相は主としてジルコニア単斜晶より成っている。そ
のため、焼結処理で加熱を行う際に、単斜晶−正方晶転
移に伴って急激な体積収縮を生じ、緻密な焼結体が得ら
れない場合がある。
末とマグネシア粉末を混合粉砕するかもしくは共沈法に
よって得られたジルコニア−マグネシア二成分粉末を7
00〜1450℃で仮焼後粉砕して製造されるが、その
結晶相は主としてジルコニア単斜晶より成っている。そ
のため、焼結処理で加熱を行う際に、単斜晶−正方晶転
移に伴って急激な体積収縮を生じ、緻密な焼結体が得ら
れない場合がある。
【0010】従来のMSZ用原料粉末は、緻密な焼結体
が得られるように経験的に製造条件を決定していた。し
かし、このようにトライアンドエラ−によって製造条件
を決定した場合、条件をとった製造装置の範囲において
は問題なく粉末を製造することができるが、製造装置の
変更等、製造上何らかの因子が振れる事により、不安定
な品質の焼結体しか作れない粉末ができてしまうことが
ある。
が得られるように経験的に製造条件を決定していた。し
かし、このようにトライアンドエラ−によって製造条件
を決定した場合、条件をとった製造装置の範囲において
は問題なく粉末を製造することができるが、製造装置の
変更等、製造上何らかの因子が振れる事により、不安定
な品質の焼結体しか作れない粉末ができてしまうことが
ある。
【0011】種々に条件を設定したMSZ用原料粉末
は、焼結特性によって次の二種類に分類することができ
る。
は、焼結特性によって次の二種類に分類することができ
る。
【0012】1) 焼結不良:成形条件・焼結ロットによ
って、異なる密度の焼結体ができる。
って、異なる密度の焼結体ができる。
【0013】極端な場合には、焼結体が割れる。
【0014】2) 焼結良好:成形条件・焼結ロットによ
る焼結体の密度変化が少ない。
る焼結体の密度変化が少ない。
【0015】そこで種々の手段により粉末の特性を評価
したところ、ジルコニア単斜晶の格子定数および結晶子
径・結晶不均一歪と粉末の焼結密度との間に明白な相関
があり、また、大きな焼結密度を与える粉末は焼結特性
も安定している(即ち焼結良好)ことが判明した。特に
単斜晶格子定数のa軸と焼結密度との間に決定的な相関
があり、a軸が5.148オングストロ−ム以上を示す
粉末は焼結密度が高く、a軸が5.148オングストロ
−ム未満の値となった粉末は焼結密度が低い。また、a
軸が5.148オングストロ−ム以上の焼結良好な粉末
は、a軸が5.148オングストロ−ム未満の焼結不良
な粉末よりも、結晶子径と結晶不均一歪が比較的大き
い。仮焼温度と格子定数との相関としては、仮焼温度を
高くすると、格子定数a軸が大きくなる関係がある。格
子定数a軸が5.148オングストロ−ム未満の焼結不
良な粉末をジルコニアの正方晶が安定な1170〜14
50℃で再仮焼すると、結晶子径と結晶不均一歪が増大
すると共にa軸が5.148オングストロ−ム以上とな
って、焼結良好な粉末となる。仮焼温度を1450℃よ
りも高温にすると、ジルコニア粉末が互いに固着してし
まうので好ましくない。1450℃以下の仮焼温度で
は、生成したジルコニア−マグネシア混合粉末は主とし
てジルコニア単斜晶である。また、いずれの仮焼温度に
おいても、また未仮焼の混合粉末においても、マグネシ
アのX線回折ピ−クは検出されない。
したところ、ジルコニア単斜晶の格子定数および結晶子
径・結晶不均一歪と粉末の焼結密度との間に明白な相関
があり、また、大きな焼結密度を与える粉末は焼結特性
も安定している(即ち焼結良好)ことが判明した。特に
単斜晶格子定数のa軸と焼結密度との間に決定的な相関
があり、a軸が5.148オングストロ−ム以上を示す
粉末は焼結密度が高く、a軸が5.148オングストロ
−ム未満の値となった粉末は焼結密度が低い。また、a
軸が5.148オングストロ−ム以上の焼結良好な粉末
は、a軸が5.148オングストロ−ム未満の焼結不良
な粉末よりも、結晶子径と結晶不均一歪が比較的大き
い。仮焼温度と格子定数との相関としては、仮焼温度を
高くすると、格子定数a軸が大きくなる関係がある。格
子定数a軸が5.148オングストロ−ム未満の焼結不
良な粉末をジルコニアの正方晶が安定な1170〜14
50℃で再仮焼すると、結晶子径と結晶不均一歪が増大
すると共にa軸が5.148オングストロ−ム以上とな
って、焼結良好な粉末となる。仮焼温度を1450℃よ
りも高温にすると、ジルコニア粉末が互いに固着してし
まうので好ましくない。1450℃以下の仮焼温度で
は、生成したジルコニア−マグネシア混合粉末は主とし
てジルコニア単斜晶である。また、いずれの仮焼温度に
おいても、また未仮焼の混合粉末においても、マグネシ
アのX線回折ピ−クは検出されない。
【0016】高温仮焼したa軸が5.148オングスト
ロ−ム以上の高密度の焼結体が得られる粉末は、正方晶
が安定な温度領域において結晶子径が増大し、それが室
温に冷却される際に、単斜晶への転移に伴って粉末粒子
に内部応力がかかって、結晶不均一歪が増大し、また結
晶学的不可逆性により、a軸が5.148オングストロ
−ム以上となると推察される。このようにして結晶歪が
かかっており、また一旦正方晶を経由した単斜晶の結晶
構造となっているため、焼結処理で加熱を行う際に、粉
末の体積収縮を伴う正方晶への転移の衝撃が緩和され、
焼結性が良好になり、高密度の焼結体が得られると考え
られる。
ロ−ム以上の高密度の焼結体が得られる粉末は、正方晶
が安定な温度領域において結晶子径が増大し、それが室
温に冷却される際に、単斜晶への転移に伴って粉末粒子
に内部応力がかかって、結晶不均一歪が増大し、また結
晶学的不可逆性により、a軸が5.148オングストロ
−ム以上となると推察される。このようにして結晶歪が
かかっており、また一旦正方晶を経由した単斜晶の結晶
構造となっているため、焼結処理で加熱を行う際に、粉
末の体積収縮を伴う正方晶への転移の衝撃が緩和され、
焼結性が良好になり、高密度の焼結体が得られると考え
られる。
【0017】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものでは
ない。
説明するが、本発明はこれにより制限を受けるものでは
ない。
【0018】実施例1 無添加ジルコニアとマグネシアを震動ミルで18時間湿
式混合粉砕した後、乾燥・造粒を経て、1200℃で2時間
仮焼し、再び震動ミルで6時間粉砕してから造粒した。
その粉末を2ton/cm2でプレス成形し、1700℃の焼結温
度で焼結体を作製して、密度・曲げ強度・結晶相等の評
価を行った。そして、それらの焼結体特性が実用的なM
SZセラミックスとしての用件を満たし、且つ成形・焼
結処理の各ロット間で焼結体密度の変化が小さい場合
に、その原料粉末を焼結良好と判定した。
式混合粉砕した後、乾燥・造粒を経て、1200℃で2時間
仮焼し、再び震動ミルで6時間粉砕してから造粒した。
その粉末を2ton/cm2でプレス成形し、1700℃の焼結温
度で焼結体を作製して、密度・曲げ強度・結晶相等の評
価を行った。そして、それらの焼結体特性が実用的なM
SZセラミックスとしての用件を満たし、且つ成形・焼
結処理の各ロット間で焼結体密度の変化が小さい場合
に、その原料粉末を焼結良好と判定した。
【0019】上記のようにして合成・評価された粉末
A,B,Cについて、X線回折測定をし、WPPD法
(例えば、Toraya,H.: J.Appl.Cryst.,19,440-447(198
6).に示されている。)により結晶デ−タを計算した。
それらの結晶デ−タを表1に示す。
A,B,Cについて、X線回折測定をし、WPPD法
(例えば、Toraya,H.: J.Appl.Cryst.,19,440-447(198
6).に示されている。)により結晶デ−タを計算した。
それらの結晶デ−タを表1に示す。
【0020】
【表1】 粉末A,B,Cはいずれも焼結良好であり、高い密度の
焼結体が得られた。その共通の特性はa軸が5.148
オングストロ−ム以上である。結晶子径と結晶不均一歪
はHall法(例えば、Hall,W.H.: J.Inst.Met.,75,1127(1
950);Proc.Phys.Soc.,A62,741(1949).に示されてい
る。)により、算出した。
焼結体が得られた。その共通の特性はa軸が5.148
オングストロ−ム以上である。結晶子径と結晶不均一歪
はHall法(例えば、Hall,W.H.: J.Inst.Met.,75,1127(1
950);Proc.Phys.Soc.,A62,741(1949).に示されてい
る。)により、算出した。
【0021】実施例2 実施例1と同様の工程で合成された粉末E,Fから、実
施例1と同様の工程で焼結体を作製し特性を評価したと
ころ、焼結不良と判定され,低い密度の焼結体が得られ
た。その粉末E,Fを1400℃および1200℃で再仮焼し、
その粉末から焼結体を作製して特性を評価したところ、
いずれも焼結良好と判定され、高い密度の焼結体が得ら
れた。そしてX線回折測定とWPPD法によって粉末E
・Fの再仮焼後の結晶デ−タを求めたところ、a軸が
5.148オングストロ−ム以上である値が得られた。
それらの結晶デ−タを表2に示す。
施例1と同様の工程で焼結体を作製し特性を評価したと
ころ、焼結不良と判定され,低い密度の焼結体が得られ
た。その粉末E,Fを1400℃および1200℃で再仮焼し、
その粉末から焼結体を作製して特性を評価したところ、
いずれも焼結良好と判定され、高い密度の焼結体が得ら
れた。そしてX線回折測定とWPPD法によって粉末E
・Fの再仮焼後の結晶デ−タを求めたところ、a軸が
5.148オングストロ−ム以上である値が得られた。
それらの結晶デ−タを表2に示す。
【0022】
【表2】 実施例3 粉末Aについて、ラバ−プレス成形圧力と焼結体密度と
の相関を表3に示す。
の相関を表3に示す。
【0023】
【表3】 このように、成形圧力の違いによる焼結体密度のバラツ
キが小さく、この粉末は、焼結特性が優れている。
キが小さく、この粉末は、焼結特性が優れている。
【0024】比較例1 実施例2で焼結不良と判定された粉末E,Fについて、
X線回折測定とWPPD法によって結晶デ−タを求めた
ところ、a軸が5.148オングストロ−ム未満である
値が得られた。それらの結晶デ−タを表4に示す。
X線回折測定とWPPD法によって結晶デ−タを求めた
ところ、a軸が5.148オングストロ−ム未満である
値が得られた。それらの結晶デ−タを表4に示す。
【0025】
【表4】 表2と表4に示された結晶子径・結晶不均一歪を比較す
ると、粉末E・Fの再仮焼の際に結晶子径と結晶不均一
歪が増大することがわかる。
ると、粉末E・Fの再仮焼の際に結晶子径と結晶不均一
歪が増大することがわかる。
【0026】比較例2 粉末A,Bと同じ合成条件で作製し仮焼温度のみを 900
℃に設定して製造した粉末G,Hから実施例1と同様の
工程で焼結体を作製し特性を評価したところ、焼結不良
と判定され、焼結体密度が低かった。そしてX線回折測
定とWPPD法によって求めた仮焼後の結晶デ−タを表
5に示す。
℃に設定して製造した粉末G,Hから実施例1と同様の
工程で焼結体を作製し特性を評価したところ、焼結不良
と判定され、焼結体密度が低かった。そしてX線回折測
定とWPPD法によって求めた仮焼後の結晶デ−タを表
5に示す。
【0027】
【表5】 焼結体の密度が低く焼結不良と判定される粉末の共通の
特性がa軸が5.148オングストロ−ム以下であるこ
と、および、粉末を焼結不良と判定するのが、仮焼後未
粉砕の段階でX線回折により格子定数を測定することに
よって可能であることがわかる。また、表1と比較する
と、 900℃で仮焼した粉末は1200℃で仮焼した粉末に較
べて、結晶子径・結晶不均一歪共に小さいことがわか
る。
特性がa軸が5.148オングストロ−ム以下であるこ
と、および、粉末を焼結不良と判定するのが、仮焼後未
粉砕の段階でX線回折により格子定数を測定することに
よって可能であることがわかる。また、表1と比較する
と、 900℃で仮焼した粉末は1200℃で仮焼した粉末に較
べて、結晶子径・結晶不均一歪共に小さいことがわか
る。
【0028】比較例3 粉末Gについて、ラバ−プレス成形圧力と焼結体密度と
の相関を表6に示す。
の相関を表6に示す。
【0029】
【表6】 このように、成形圧力の違いによる焼結体密度のバラツ
キが大きい。また、成形圧力を大きくするとかえって焼
結体密度が小さくなる傾向がある。これは、加熱時の単
斜晶−正方晶転移に伴う成形体の内部破壊の影響である
と推察される。焼結不良な粉末はこのような挙動を示
す。
キが大きい。また、成形圧力を大きくするとかえって焼
結体密度が小さくなる傾向がある。これは、加熱時の単
斜晶−正方晶転移に伴う成形体の内部破壊の影響である
と推察される。焼結不良な粉末はこのような挙動を示
す。
【0030】比較例4 無添加ジルコニア粉末にマグネシア粉末を10モル%混合
してX線測定しWPPD法で解析した結晶デ−タ、およ
び、その無添加ジルコニア粉末のみを1250℃で加熱処理
してから同様にして測定・解析した結晶デ−タを表7に
示す。
してX線測定しWPPD法で解析した結晶デ−タ、およ
び、その無添加ジルコニア粉末のみを1250℃で加熱処理
してから同様にして測定・解析した結晶デ−タを表7に
示す。
【0031】
【表7】 ジルコニア粉末にマグネシア粉末を10モル%程度混合し
てX線回折測定をしてもマグネシアの回折ピ−クは検出
されない。そこで表7の結果から、原料粉末中のジルコ
ニアのa軸が5.148オングストロ−ム以上の格子定
数は、ジルコニアとマグネシアが固溶した結果ではな
く、加熱・冷却処理によるジルコニアの正方晶−単斜晶
転移に伴って生じたジルコニア自体の結晶学的不可逆性
の現れであることがわかる。
てX線回折測定をしてもマグネシアの回折ピ−クは検出
されない。そこで表7の結果から、原料粉末中のジルコ
ニアのa軸が5.148オングストロ−ム以上の格子定
数は、ジルコニアとマグネシアが固溶した結果ではな
く、加熱・冷却処理によるジルコニアの正方晶−単斜晶
転移に伴って生じたジルコニア自体の結晶学的不可逆性
の現れであることがわかる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の評価手法によれば、 (1) 粉末仮焼後の段階で格子定数の精密測定により、良
好な焼結特性を与えるMSZ粉末か否かを知ることがで
きる。 (2) 格子定数から粉末が焼結不良と判定された場合に
は、ジルコニアの正方晶が安定である1170〜1450℃の温
度領域で再仮焼することにより良好な焼結特性、例えば
焼結体密度のバラツキが小さいMSZ粉末を安定的に製
造できること 等の効果がある。
の評価手法によれば、 (1) 粉末仮焼後の段階で格子定数の精密測定により、良
好な焼結特性を与えるMSZ粉末か否かを知ることがで
きる。 (2) 格子定数から粉末が焼結不良と判定された場合に
は、ジルコニアの正方晶が安定である1170〜1450℃の温
度領域で再仮焼することにより良好な焼結特性、例えば
焼結体密度のバラツキが小さいMSZ粉末を安定的に製
造できること 等の効果がある。
Claims (2)
- 【請求項1】マグネシアを6〜12モル%添加したジル
コニア粉末であって、その結晶相は主として単斜晶から
なり、その格子定数の内、a軸が5.148オングスト
ロ−ム以上であることを特徴とするセラミックス用原料
粉末。 - 【請求項2】マグネシア添加ジルコニア粉末をX線回折
法により精密測定し、単斜晶の格子定数の内、a軸が
5.148オングストロ−ム未満である場合には、格子
定数a軸が5.148オングストロ−ム以上となるまで
当該ジルコニア粉末を繰り返し加熱処理して、請求項1
記載のセラミックス用原料粉末を安定的に製造する方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4276707A JPH05208820A (ja) | 1991-09-26 | 1992-09-22 | マグネシア添加ジルコニア粉末およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27349491 | 1991-09-26 | ||
JP3-273494 | 1991-09-26 | ||
JP4276707A JPH05208820A (ja) | 1991-09-26 | 1992-09-22 | マグネシア添加ジルコニア粉末およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05208820A true JPH05208820A (ja) | 1993-08-20 |
Family
ID=26550678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4276707A Pending JPH05208820A (ja) | 1991-09-26 | 1992-09-22 | マグネシア添加ジルコニア粉末およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05208820A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000185919A (ja) * | 1998-10-01 | 2000-07-04 | Tosoh Corp | ジルコニア微粉末及びその製造方法 |
JP2020153002A (ja) * | 2019-03-22 | 2020-09-24 | 株式会社タムラ製作所 | 軟磁性粉末、この軟磁性粉末によって構成された圧粉磁心、軟磁性粉末の製造方法及び圧粉磁心の製造方法 |
-
1992
- 1992-09-22 JP JP4276707A patent/JPH05208820A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000185919A (ja) * | 1998-10-01 | 2000-07-04 | Tosoh Corp | ジルコニア微粉末及びその製造方法 |
JP2020153002A (ja) * | 2019-03-22 | 2020-09-24 | 株式会社タムラ製作所 | 軟磁性粉末、この軟磁性粉末によって構成された圧粉磁心、軟磁性粉末の製造方法及び圧粉磁心の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5753160A (en) | Method for controlling firing shrinkage of ceramic green body | |
JP2007031219A (ja) | チタン酸ビスマスナトリウム−ジルコニウムチタン酸バリウム系無鉛圧電セラミック及びその製造方法 | |
CN108530057B (zh) | 溶胶-凝胶法制备应用于储能的形貌可控CaTiO3陶瓷的方法 | |
CN109704762A (zh) | 一种铌酸锶基类反铁电陶瓷及其制备方法和应用 | |
JP2003192452A (ja) | ジルコニア粉末およびその焼結体 | |
JP4210533B2 (ja) | 易焼結性正方晶ジルコニア粉末およびその製造方法 | |
US6403053B1 (en) | Preparation of translucent strontium barium niobate ceramics using reaction sintering | |
JPH05208820A (ja) | マグネシア添加ジルコニア粉末およびその製造方法 | |
JPH02199052A (ja) | 高周波用誘電体磁器組成物 | |
JP2533336B2 (ja) | 部分安定化された酸化ジルコニウムからなる焼結成形体およびその製造法 | |
JP2016108176A (ja) | ジルコニア原料粉末およびジルコニア焼結体 | |
JPS6121185B2 (ja) | ||
JP2000086336A (ja) | 正特性サーミスタの製造方法 | |
CN115433008B (zh) | 一种自组分调控具有高压电性能及高温电阻率的铌酸铋钙压电陶瓷及其制备方法 | |
JPS647030B2 (ja) | ||
JP3545438B2 (ja) | Ni−Zn系フェライト粉の製造方法 | |
JP2768068B2 (ja) | Pzt圧電板の製造方法 | |
JPH05844A (ja) | 耐熱導電性焼結体 | |
JPH08325057A (ja) | ジルコニア焼結体 | |
JPH08198664A (ja) | アルミナ基焼結体およびその製造方法 | |
JPS6291463A (ja) | Al↓2O↓3及びZrO↓2から成形体を製造する方法 | |
JP2687287B2 (ja) | マイクロ波用誘電体磁器組成物とその製造方法 | |
JPH0235701B2 (ja) | ||
WO2024117194A1 (ja) | 粉末 | |
CN117776717A (zh) | 一种致密单相钨酸钡及其钨酸锶-钨酸钡固溶体陶瓷材料以及制备方法 |