JPH05208314A - 歯車研削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】研削中における砥石および砥石保持手段の振動
を抑制し、高精度な研削を行うことができる歯車研削装
置を提供することを目的とする。 【構成】歯車研削装置１０は、コラム２４に対して矢印
Ｃ方向に旋回可能に旋回テーブル２６を取着し、該旋回
テーブル２６に対して矢印Ｄ方向に変位可能なシフトテ
ーブル２８を取着している。前記旋回テーブル２６およ
びシフトテーブル２８を所定の位置に変位させることに
より、砥石３８をワーク２０に対して噛合させる。この
ようにして研削を行う場合、旋回テーブル２６およびシ
フトテーブル２８は、固定機構により、それぞれコラム
２４および旋回テーブル２６に対して確実に固定され、
砥石３８の研削による振動を抑制し、高精度な研削を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、歯車研削装置に関し、
一層詳細には、砥石を装置本体に対して確実に保持させ
ることのできる歯車研削装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ワーク、すなわち、歯車に対
し、周面に螺旋状の突条を設けた砥石を噛合させ、歯車
を研削する装置が用いられている。

【０００３】このような歯車研削装置は、保持された歯
車を任意の方向から研削可能であるように、本体に対し
て旋回可能な旋回テーブルに装着し、さらに、ワークの
サイズに応じて近接、離間できるように、該旋回テーブ
ル上に直線方向に変位可能なスライド手段を設け、該ス
ライド手段に砥石保持手段を係合させている。したがっ
て、砥石保持手段は直線方向および旋回方向に変位可能
であり、種々の形状のワークを確実に研削可能である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記歯
車研削装置では、砥石と歯車を噛合させ、同期させて研
削する場合に、砥石の回転および研削による振動により
砥石保持手段が振動してしまうことがある。特に、前記
スライド手段および前記旋回手段が確実に固定されてい
ないと、砥石の振動を抑制できない。砥石が振動する
と、歯車に対して所定の位置から変位してしまい、歯車
の研削に支障を来すおそれがある。

【０００５】本発明は、この種の問題を解決するために
なされたものであって、研削中における砥石および砥石
保持手段の振動を抑制し、高精度な研削を行うことので
きる歯車研削装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、コラムに対して旋回可能に装着される
旋回テーブルと、前記コラムに対して前記旋回テーブル
を固定する第１固定機構と、前記旋回テーブルに対して
直線的に変位可能に装着され、砥石を回転駆動するスピ
ンドルユニットと、前記旋回テーブルに対して前記スピ
ンドルユニットを固定する第２固定機構と、前記砥石に
指向して変位自在な第１テーブルと、前記第１テーブル
の上部に設けられ、前記第１テーブルに対して直交する
方向に変位自在な第２テーブルと、前記第２テーブルの
上部に設けられ、研削対象である歯車を回動可能に保持
する歯車保持機構と、を備えることを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明の歯車研削装置では、歯車を歯車保持機
構に保持させ、第１テーブルおよび第２テーブルを変位
させて前記歯車を所定の位置に位置決めする。一方、ス
ピンドルユニットに保持された砥石は、旋回テーブルの
旋回作用下に所定の方向に傾けられ、旋回テーブル上で
スピンドルユニットにより直線的に変位され、ワークに
対して的確に噛合される。このようにして、砥石の位置
決めが終了した後、第１固定機構および第２固定機構に
より、コラムと旋回テーブルとスピンドルユニットとを
固定する。次いで、砥石とワークを同期させて回動させ
る。この場合、スピンドルユニットが旋回テーブルを介
してコラムに確実に固定されているため、研削ホイール
を振動させることなく、ワークを高精度に研削する。

【０００８】

【実施例】本発明に係る歯車研削装置について、好適な
実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説
明する。

【０００９】先ず、図１を参照して、本実施例に係る歯
車研削装置の概略構成を説明し、次に、図２および図３
を参照して要部の構成について説明する。

【００１０】図１に示すように、歯車研削装置１０は、
ベッド１１の上面に切込テーブル１２が配設される。切
込テーブル１２は、切込モータ１４の回転作用下に矢印
Ａ方向に進退自在に構成される。前記切込テーブル１２
の上面には、さらにトラバーステーブル１６が配設さ
れ、このトラバーステーブル１６はトラバースモータ１
８により、矢印Ａ方向と直角な矢印Ｂ方向に進退自在に
構成される。また、トラバーステーブル１６上には、ワ
ーク保持機構１９が備えられ、歯車、すなわち、ワーク
２０およびこのワーク２０に近接してワークセンサ２１
が配設される。このワーク２０は、ワークスピンドルモ
ータ２２により回転する。ワークセンサ２１は、前記モ
ータ２２により回転するワーク２０の歯数を、例えば、
光学的に検出して、所定のパルスを発生させる。これに
より、ワーク２０が所定のものであるか否かを判定して
いる。一方、切込テーブル１２の進行方向で且つベッド
１１上にコラム２４が配設され、このコラム２４に旋回
テーブル２６が保持される。旋回テーブル２６は、旋回
モータ２５により矢印Ｃ方向に旋回する。なお、旋回テ
ーブル２６の旋回角度を検出するために、エンコーダ２
３が備えられている。さらに旋回テーブル２６の前面に
おいて、旋回テーブル２６に一体的に設けられた溝２７
にシフトテーブル２８が嵌合する。このシフトテーブル
２８は、シフト用モータ３０により、矢印Ｄ方向に移動
する。シフトテーブル２８には、砥石スピンドルユニッ
ト３２が係着される。砥石スピンドルユニット３２は、
砥石回転駆動用モータ３４と、このモータ３４により回
動し、砥石スピンドル軸受３５により支持される砥石ス
ピンドル３６と、前記砥石スピンドル３６の先端部に保
持される砥石３８とから構成される。砥石３８は、その
周縁にねじ溝が刻設されている。

【００１１】このように概略構成される歯車研削装置１
０におけるコラム２４と旋回テーブル２６とシフトテー
ブル２８の接続機構を、図２および図３を参照して説明
する。

【００１２】コラム２４の前面２４ａには、旋回モータ
２５によって駆動される旋回軸３９に連結された旋回テ
ーブル２６が設けられるとともに、段部４０を形成して
いる環状溝４２（図３参照）が、図２に破線で示すよう
に、旋回テーブル２６の旋回中心と同心状に形成されて
いる。旋回テーブル２６の前記環状溝４２に対向する位
置には、４個のクランプ機構４４ａ乃至４４ｄが設けら
れている。クランプ機構４４ａは、旋回テーブル２６の
一方の面から他方の面に貫通し、段部４６を形成する孔
部４８を形成している。前記段部４６に当接させるよう
に孔部４８にばね部材５０を配設する。孔部４８の壁面
には大気開放する通路５２が形成されている。環状溝４
２と孔部４８の双方に、頭部５４を環状溝４２に嵌合さ
せた状態で係止用のボルト５６が配設される。前記ボル
ト５６の孔部４８側には、ピストン部材５８が螺合して
いる。通常、前記ピストン部材５８が前記ばね部材５０
により図３上、上向きに押圧されているため、ボルト５
６の頭部５４が環状溝４２の段部に押圧される。また、
孔部４８のピストン部材５８側は、蓋体６０により閉塞
されている。前記蓋体６０は、孔部４８に油圧を供給す
る通路６２およびピストン室６３を画成している。な
お、クランプ機構４４ｂ乃至４４ｄは、クランプ機構４
４ａと同一の構成であるので、その説明を省略する。

【００１３】旋回テーブル２６は、その一部にガイドと
なる膨出部６４に案内溝６５を画成して形成し、膨出部
６４の溝２７および案内溝６５にシフトテーブル２８を
嵌合させている。前記シフトテーブル２８の溝２７に対
向する面には、図２に示すように、矢印Ｄ方向に沿って
固定機構６６が複数形成されている。前記固定機構６６
は、円形の凹部６７を有し、その底面には油圧を供給す
る通路６８が連通するとともに、該凹部６７にピストン
７０を挿入している。該ピストン７０は、通常、通路６
８から油圧を供給されることにより、旋回テーブル２６
の膨出部６４側に押圧され、これによって、シフトテー
ブル２８が旋回テーブル２６に固定される。なお、シフ
トテーブル２８の溝２７に対向する面には、前記凹部６
７の周囲を蛇行する溝７２が画成され、該溝７２に潤滑
油が供給されている。また、シフトテーブル２８はテー
パ凸部７４を案内溝６５に挿入することにより該シフト
テーブル２８のセンタの位置決めを行うとともに、固定
時に該テーパ凸部７４の傾斜面７４ａが該案内溝６５の
傾斜面６５ａに圧接される。

【００１４】このように構成される歯車研削装置１０
は、次のように操作される。

【００１５】先ず、ワーク保持機構１９にワーク２０を
取着する。続いて、切込モータ１４およびトラバースモ
ータ１８を駆動し、切込テーブル１２およびトラバース
テーブル１６を介してワーク保持機構１９を矢印Ａおよ
びＢ方向の所定の位置に変位させる。

【００１６】一方、砥石３８側は、先ず、旋回テーブル
２６を旋回させ、砥石３８をワーク２０に対して所定の
角度（Ｃ方向）に傾斜させる。すなわち、旋回テーブル
２６のクランプ機構４４ａ乃至４４ｄにおいて、蓋体６
０のピストン室６３に油圧を供給する。前記油圧により
ボルト５６に螺合しているピストン部材５８が押圧さ
れ、該ボルト５６は、ばね部材５０の弾性力に打ち勝っ
てコラム２４側に変位する。したがって、前記ボルト５
６の頭部５４は、コラム２４の環状溝４２の段部４０か
ら離間し、旋回テーブル２６のコラム２４に対するロッ
ク状態を解除する（図３参照）。この状態で旋回モータ
２５を駆動することにより、旋回テーブル２６を矢印Ｃ
方向の所定の角度に旋回させる。この場合、旋回テーブ
ル２６とともに旋回するボルト５６の頭部５４は、環状
溝４２の段部４０から離間しているため、円滑に変位す
る。このようにして旋回テーブル２６の旋回が終了した
後、クランプ機構４４ａ乃至４４ｄの蓋体６０のピスト
ン室６３への油圧の供給を停止する。このため、ばね部
材５０の弾性力により、ボルト５６は蓋体６０側に再び
変位し、該ボルト５６の頭部５４がコラム２４の環状溝
４２の段部４０に押圧され、旋回テーブル２６はコラム
２４の前面２４ａに対して圧接され、ロックされる。

【００１７】次に、旋回テーブル２６上に設けられたシ
フトテーブル２８を変位させる。すなわち、シフトテー
ブル２８に設けられた固定機構６６の通路６８に対する
油圧の供給を停止させ、ピストン７０を凹部６７の通路
６８側に変位させる。したがって、旋回テーブル２６に
対するシフトテーブル２８のロック状態が解除され、シ
フト用モータ３０を駆動することにより、旋回テーブル
２６の案内溝６５および溝２７に案内されて矢印Ｄ方向
に変位する。また、案内溝６５の傾斜面６５ａにシフト
テーブル２８のテーパ凸部７４の傾斜面７４ａを摺接し
て該シフトテーブル２８を精度よく案内する。この際、
シフトテーブル２８の旋回テーブル２６に対する接触面
には、溝７２が設けられ、潤滑油が備えられているた
め、シフトテーブル２８が円滑に変位する。このように
して、シフトテーブル２８を所定の位置に変位させた
後、該シフトテーブル２８の通路６８に油圧を供給す
る。したがって、凹部６７のピストン７０は、旋回テー
ブル２６の膨出部６４に押圧され、シフトテーブル２８
のテーパ凸部７４の傾斜面７４ａが旋回テーブル２６の
傾斜面６５ａに圧接され、該シフトテーブル２８がロッ
クされる。

【００１８】上記のように、旋回テーブル２６およびシ
フトテーブル２８が所定の位置に変位されることによ
り、該シフトテーブル２８に取着される砥石スピンドル
ユニット３２の先端に取着される砥石３８が所定の位置
に位置決めされる。

【００１９】さらに、ワーク２０および砥石３８の位置
決めが行われた後、砥石３８とワーク２０の初期位相合
わせを行う。続いて、砥石スピンドルユニット３２の砥
石回転駆動用モータ３４とワーク保持機構１９のワーク
スピンドルモータ２２を同期運転させることにより、ワ
ーク２０の研削を行う。

【００２０】歯車研削装置１０は、研削状態において、
砥石スピンドルユニット３２を支持するシフトテーブル
２８が旋回テーブル２６に対して固定機構６６を介して
ロックされており、また、該旋回テーブル２６がコラム
２４に対してクランプ機構４４ａ乃至４４ｄを介してロ
ックされているため、砥石回転駆動用モータ３４を駆動
して砥石３８を回転させ、ワーク２０を研削する場合
に、衝撃により該砥石３８が振動することはない。

【００２１】このように本実施例に係る歯車研削装置１
０では、砥石３８を保持する手段である旋回テーブル２
６およびシフトテーブル２８がそれぞれコラム２４およ
び旋回テーブル２６に対して油圧によるロック機構を設
けたため、研削中であっても砥石３８の振動を確実に抑
制し、安定した研削状態が得られる。この結果、高精度
な研削作業を遂行することができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明に係る歯車研削装置によれば、以
下の効果が得られる。

【００２３】すなわち、本発明の歯車研削装置では、研
削状態にある場合、スピンドルユニットが第１固定機構
により旋回テーブルに対して固定され、旋回テーブルが
第２固定機構によりコラムに対して固定される。したが
って、スピンドルユニットに保持される砥石が回動動作
と研削により衝撃を受けても、前記スピンドルユニット
および旋回テーブルが確実に固定されているため、砥石
を振動させることなく、ワークを高精度に研削すること
ができる。

【００２４】また、第１固定機構および第２固定機構が
ともに変位手段によりクランプ部材、あるいは、変位部
材を変位させることにより、簡単に固定状態と可動状態
を切り換えることができる。

【００２５】さらに、シフトテーブルに凸部を設け、旋
回テーブルの案内溝に挿入してそれぞれの傾斜面を摺接
しているため、精度よく変位されるとともに、第２固定
機構の変位部材の変位により、凸部の傾斜面が案内溝の
傾斜面に圧接されて確実に固定される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る歯車研削装置の一実施例の全体構
成斜視図である。

【図２】本発明に係る歯車研削装置の一実施例の一部断
面説明図である。

【図３】図１における III−III 線断面説明図である。

【符号の説明】

１０…歯車研削装置 １２…切込テーブル １６…トラバーステーブル １９…ワーク保持機構 ２０…ワーク ２４…コラム ２６…旋回テーブル ２８…シフトテーブル ３２…砥石スピンドルユニット ３８…砥石 ４４ａ〜４４ｄ…クランプ機構 ６６…固定機構

フロントページの続き (72)発明者 宮内 正明 埼玉県狭山市新狭山１−10−１ ホンダエ ンジニアリング株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コラムに対して旋回可能に装着される旋回
   テーブルと、 前記コラムに対して前記旋回テーブルを固定する第１固
   定機構と、 前記旋回テーブルに対して直線的に変位可能に装着さ
   れ、砥石を回転駆動するスピンドルユニットと、 前記旋回テーブルに対して前記スピンドルユニットを固
   定する第２固定機構と、 前記砥石に指向して変位自在な第１テーブルと、 前記第１テーブルの上部に設けられ、前記第１テーブル
   に対して直交する方向に変位自在な第２テーブルと、 前記第２テーブルの上部に設けられ、研削対象である歯
   車を回動可能に保持する歯車保持機構と、 を備えることを特徴とする歯車研削装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の歯車研削装置において、 第１固定機構は、コラム、あるいは、旋回テーブルの一
   方に形成される係合部を有した環状溝と、 コラム、あるいは、旋回テーブルの他方に形成される係
   合部を有した孔部と、 一端部が前記環状溝に遊嵌する係止部となり、他端部が
   前記孔部に係合するピストン部となるクランプ部材と、 前記クランプ部材を変位させる変位手段と、 を備え、前記変位手段の作用下に、ピストン部を介して
   前記クランプ部材を変位させることで、前記係止部を環
   状溝の係合部に係止させることを特徴とする歯車研削装
   置。
3. 【請求項３】請求項１記載の歯車研削装置において、 第２固定機構は、旋回テーブル、あるいは、スピンドル
   ユニットの一方に形成される凹部と、 前記凹部に嵌合される変位部材と、 前記変位部材を旋回テーブル側、あるいは、スピンドル
   ユニット側に変位させる変位手段と、 を備え、前記変位手段の作用下に前記変位部材を変位さ
   せることで、スピンドルユニットを旋回テーブルに圧接
   させることを特徴とする歯車研削装置。
4. 【請求項４】請求項３記載の歯車研削装置において、 スピンドルユニットは、一体となるシフトテーブルの変
   位方向に延在する傾斜面を有する凸部を備え、一方、旋
   回テーブルは、前記凸部が係合し、前記傾斜面に摺接す
   る傾斜面を有する案内溝を備え、第２固定機構の変位部
   材を変位させることで、前記凸部の傾斜面を前記案内溝
   の傾斜面に圧接させるように構成することを特徴とする
   歯車研削装置。