JPH05202487A - 有機複合被覆鋼板 - Google Patents

有機複合被覆鋼板

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JPH05202487A
JPH05202487A JP31590392A JP31590392A JPH05202487A JP H05202487 A JPH05202487 A JP H05202487A JP 31590392 A JP31590392 A JP 31590392A JP 31590392 A JP31590392 A JP 31590392A JP H05202487 A JPH05202487 A JP H05202487A
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Toshiaki Shioda
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた耐食性,溶接性,カチオン電着塗装
性,耐低温チッピング性を備え、家電品用,自動車の外
装用として優れた表面処理鋼板を提供する。 【構成】 a) 亜鉛又は亜鉛合金めっき層, b) 付着量が金属クロム換算にて20〜200 mg/m2
のクロメ−ト皮膜, c) 固形皮膜厚で0.05〜 2.0μmの、 不揮発分の重量割
合で 0.1〜20%のメラミン・シアヌル酸付加物(構造
を図1に示す)を含む樹脂塗料組成物の塗布皮膜(クリ
ヤ−皮膜), を鋼板上にこの順序で有すると共に、 クロメ−ト皮膜と
樹脂塗料組成物塗布皮膜の何れか又は双方がSiO2 を、
クロメ−ト皮膜ではSiO2/Cr重量比で0.05〜4.0、樹脂塗
料組成物の塗布皮膜では不揮発分の重量割合で5〜40
%含有させて有機複合被覆鋼板を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カチオン電着塗装
性,溶接性,耐食性,耐低温チッピング性等に優れてい
て、例えば自動車用鋼板としても十分に満足できる有機
複合被覆鋼板に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、年を追って厳しさを増し
ている自動車車体の防錆性能向上要求に対処すべく様々
な種類の表面処理鋼板が開発されてきたが、最近、特に
自動車の外装外面に係わる防錆強化策の一環として亜鉛
又は亜鉛系合金めっき(Zn−Ni合金めっき,Zn−Fe合金
めっき等)鋼板を基材とし、これにクロ−メ−ト処理や
クリア−被覆処理(樹脂被覆処理)を施した有機複合被
覆鋼板の適用が急速に進められている。
【0003】ところが、従来の表面処理鋼板は必ずしも
カチオン電着塗装性の点で十分に満足できるものとは言
えず、将来益々高度化することが予想される“外観に対
する要求”に応える上で電着塗装性の更なる改善が急務
となっていた。
【0004】そのため、電着塗装性の改善を目指したと
ころの、“親水性ポリアミド樹脂を含むエポキシ系樹脂
ベ−スの塗料組成物”によってクリア−皮膜(樹脂皮
膜)を形成した有機複合被覆鋼板も提案された(特公平
3−32638号)。
【0005】確かに、上記提案になる有機複合被覆鋼板
は従来品に比べるとより改善されたカチオン電着塗装性
を示し、自動車の内板用として考えた場合には満足でき
るレベルの性能を備えたものではあったが、それでもな
お次のような問題が指摘された。
【0006】即ち、この有機複合被覆鋼板では、通常の
めっき鋼板(有機複合被覆鋼板からクリア−皮膜やクロ
メ−ト皮膜を除いたのと同様のめっき鋼板)と比較しな
がら同一条件で電着塗装を施すと、電着塗装膜厚が通常
のめっき鋼板に比べ1〜8μm程度厚くなってしまう。
このため、自動車の外板として用いようとしても、プレ
ス疵手入れ部等のようにクリア−皮膜やクロメ−ト皮膜
が削り取らている部位とその周囲とで電着塗装膜厚に差
が生じ、塗装外観品質が著しく低下する。従って、上述
の有機複合被覆鋼板は自動車用外装材としては不適と言
わねばならなかった。
【0007】また、これとは別に、従来の有機複合被覆
鋼板には耐低温チッピング性が十分でないという問題も
指摘されていた。つまり、有機複合被覆鋼板の防食性付
与層である亜鉛又は亜鉛系合金めっき皮膜、中でも亜鉛
系合金めっき皮膜はめっき処理時に生じた残留応力が大
きく、そのため亜鉛系合金めっきを自動車の外装用鋼板
外面に適用すると“低温チッピング(欧州や北米地域等
のような寒冷地で石はね等の衝撃によりめっき層が鋼板
との界面から剥離する現象)”を生じやすい傾向があっ
た。
【0008】そこで、上記問題に対処すべく、めっき表
面に緩衝材として柔らかい樹脂皮膜を形成する手段が提
案されたが(特開昭64−78832号)、この場合に
は樹脂皮膜(クリア−皮膜)を形成するための塗料組成
物として軟質(ガラス転移点55℃以下)の樹脂がベ−
スとなったものを選ぶ必要があり、そのため耐食性の良
好な高架橋型の樹脂を適用することができずに耐食性面
での不利を余儀無くされる結果となっていた。その上、
このような軟質樹脂皮膜を備えた有機複合被覆鋼板にあ
っても、電着塗装性に関して前記提案(特公平3−32
638号)と同様の問題を免れ得なかった。
【0009】一方、近年、後塗装の省略と耐指紋性の向
上を狙いとして、家電用素材鋼板にも有機複合被覆鋼板
が多用されるようになっている。しかし、自動車用であ
れ家電用であれ、有機複合被覆化(めっき皮膜+クロメ
−ク皮膜+クリア−皮膜化)に伴い溶接性(電気抵抗溶
接性)が劣化するとの問題も指摘された。
【0010】このようなことから、本発明が目的とした
のは、優れた耐食性や溶接性を有していることは勿論、
カチオン電着塗装性,耐低温チッピング性にも優れてい
て家電用,自動車の外装用としても十分に満足できる表
面処理鋼板を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は上
記目的を達成すべく、特に防錆性や塗装性の点で優れる
亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板のカチオン電着塗装性及
び耐低温チッピング性を大幅に改善し得る方策を求めて
鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得ることがで
きた。
【0012】(a) 特定Cr付着量でクロメ−ト下地処理を
施した亜鉛又は亜鉛合金めっき鋼板上に、メラミン・シ
アヌル酸付加物(以降“MCA”と略称する)を添加し
た樹脂塗料組成物によるクリア−皮膜を施して有機複合
被覆鋼板を構成すると、該鋼板は良好な耐食性,溶接性
を保持したままでカチオン電着塗装性が著しく改善さ
れ、例えプレス疵手入れ部等のようなクリア−皮膜やク
ロメ−ト皮膜が削り取らている部位が存在していたとし
ても該部位との差が認められない程度に均一な厚さの電
着膜形成が可能となって、自動車外装外面用材料として
十分満足できる塗装外観を得ることができる。
【0013】(b) 更に、上記クロメ−ト皮膜中又は有機
樹脂皮膜中に所定量のSiO2 を含有させると、塗料組成
物を構成する樹脂としてガラス転移度が特定範囲にある
軟質なものを選ばなくても大幅に改善された耐低温チッ
ピング性を発揮するようになり、寒冷地向け自動車の外
装外面用材料としても十分満足できる性能が確保され
る。しかも、SiO2 を有機樹脂皮膜中に含有させた場合
には、この有機複合被覆鋼板は大幅に改善された溶接性
を示すようになる上、耐食性も向上する。
【0014】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「鋼板上に、 a) 亜鉛又は亜鉛合金めっき層, b) 付着量が金属クロム換算にて20〜200 mg/m2
のクロメ−ト皮膜, c) 固形皮膜厚で0.05〜 2.0μmの、 不揮発分の重量割
合で 0.1〜20%のMCAを含む樹脂塗料組成物の塗布
皮膜(クリヤ−皮膜), をこの順序で有すると共に、 クロメ−ト皮膜と樹脂塗料
組成物塗布皮膜の何れか又は双方がSiO2 を、 クロメ−
ト皮膜ではSiO2/Cr重量比で0.05〜4.0 、 樹脂塗料組成
物の塗布皮膜では不揮発分の重量割合で5〜40%含有
させて有機複合被覆鋼板を構成することにより、 優れた
カチオン電着塗装性,溶接性(ダイレクトスポット溶
接,インダイレクトスポット溶接,シ−ム溶接等の電気
抵抗溶接性),耐食性,耐低温チッピング性を兼備せしめ
た点」に大きな特徴を有している。
【0015】なお、下地の亜鉛又は亜鉛合金めっきの目
付け量は耐食性の要求レベルに応じて選択されるが、耐
外面錆性を向上させる目的からは10g/m2 以上とする
ことが好ましい。勿論、「亜鉛合金めっき」の種類には
格別な制限はなく、Zn−Ni合金めっき又はZn−Fe合金め
っき、或いは更にCo,Ti等を添加した公知の亜鉛系合金
めっきの何れを適用しても構わない。
【0016】また、クリア−皮膜のベ−スとなる樹脂系
も種類が格別に制限されるものではなく、要求性能に応
じて従来品の中から任意に選択することができるが、特
に顕著な効果が得られるものとして推奨されるのはエポ
キシ系樹脂である。そして、前述したように、本発明に
おいては樹脂塗料組成物の塗布皮膜(クリア−皮膜)に
関してガラス転移温度を特に規定する必要はない。とこ
ろで、この樹脂塗料組成物に添加する前記「MCA」と
は例えば図1のような構造を有する組成物であり、通常
は平面構造をなしていると考えられる。
【0017】更に、クロメ−ト皮膜及びクリア−皮膜に
含有せしめられるSiO2 は、その製造方法により気相シ
リカ,液相コロイダルシリカ,水性凝集シリカに大別で
きるが、何れのものを使用しても優れた耐低温チッピン
グ性の改善効果を得られることは確認済である。
【0018】
【作用】上述のように、亜鉛又は亜鉛合金めっき層を設
けて優れた耐食性を確保した本発明に係わる有機複合被
覆鋼板は、MCAを添加した樹脂塗料組成物によるクリ
ア−皮膜を施したことにより、鋼板の脱脂・化成処理時
におけるCr溶出量の低減効果に加えてカチオン電着塗装
性の著しい改善効果を発揮させ、更にクロメ−ト皮膜と
クリア−皮膜の何れか又は双方にSiO2 を含有させるこ
とによって優れた耐低温チッピング性,溶接性をも付与
したものである。
【0019】ここで、クリア−皮膜中に存在せしめたM
CAは、親水性が非常に強いために電着液のクリア−皮
膜中への浸透を容易に許し、電着塗装時にクリア−皮膜
の電気抵抗を低下させる効果を有している。しかも、こ
のMCAはクリア−皮膜中に微粒子状に分散して存在す
るため、親水性ポリアミド樹脂の如き“塗料に可溶な親
水性樹脂”に比べて“電着塗装時に電着塗料をクリア−
皮膜中へ浸透させる特性”が著しく優れており、通電パ
スを確保する効果は格段に大きい。そのため、MCAを
含有させたクリア−皮膜は従来のものを凌駕する電着塗
装性を示すようになる。
【0020】一方、クロメ−ト皮膜中又はクリア−皮膜
中にSiO2 を含有させると有機複合被覆鋼板の耐低温チ
ッピング性が大幅に改善されるメカニズムについては必
ずしも明確ではないが、SiO2 粒子が存在することによ
って何らかの衝撃エネルギ−の分散・吸収効果が発揮さ
れるものと考えられる。
【0021】また、有機複合被覆化した場合に鋼板の電
気抵抗溶接性が低下するのは、“溶接チップと鋼板間の
クリア−皮膜”の燃焼残留物(スス等)がチップ先端に
付着するためであるが、クリア−皮膜中にMCAとSiO
2 を含有させると溶接過程での発熱に伴い皮膜の一部が
昇華してススとならないようなクリア−皮膜組成とな
り、溶接性も大幅に改善される。
【0022】以下、本発明において 「クロメ−ト付着
量」, 「クリア−皮膜の膜厚」, 「クリア−皮膜中のMCA
含有割合」, 「クロメ−ト皮膜中のSiO2 含有割合」 及び
「クリア−皮膜中のSiO2 含有割合」 を前記の如くに限
定した理由を説明する。
【0023】A) クロメ−ト付着量 クロメ−ト皮膜は亜鉛又は亜鉛合金めっき鋼板を基材と
する表面処理鋼板の耐食性を更に改善するために必要な
層であり、またSiO2 を含有させることによって耐低温
チッピング性を向上させる作用も発揮するが、その付着
量が20mg/m2 未満では所望する耐食性,耐チッピング
性の改善効果を確保することができず、一方、付着量が
200 mg/m2 を超えると脱脂・化成処理時のCr溶出量
が大きくなるため好ましくない。従って、クロメ−ト付
着量は20〜200 mg/m2 と定めた。
【0024】B) クリア−皮膜の膜厚 クリア−皮膜(樹脂塗料組成物を塗布して生じた固形皮
膜)は表面処理鋼板の脱脂・化成処理時におけるCr溶出
量の低減や電着塗膜との密着性を確保するために必要で
あるほか、SiO2 を含有させた場合には耐低温チッピン
グ性の更なる改善作用を発揮する。しかし、その膜厚が
0.05μm未満では上記作用による所望の効果が得られ
ず、一方、 2.0μmを超える膜厚になると溶接性の低下
を招くことから(皮膜の絶縁性が大きくなって溶接時の
チップの損傷や通電不能を引き起こす)有機樹脂皮膜の
膜厚を0.05〜 2.0μと定めたが、好ましくは 0.2〜 2.0
μに調整するのが良い。
【0025】C) クリア−皮膜中のMCA含有割合 前述したように、クリア−皮膜中のMCA(樹脂塗料組
成物の不揮発分中のMCA)はカチオン電着塗装性の改
善に必要な成分であるが、クリア−皮膜中のMCA含有
割合が 0.1重量%未満であると所望の電着塗装性改善効
果,溶接性改善効果が得られず、一方、20重量%を超
えて含有させた場合には電着塗装性改善効果等には悪影
響はないものの経済的な不利を招く。従って、クリア−
皮膜中のMCA含有割合は 0.1〜20重量%と定めた。
【0026】D) クロメ−ト皮膜中のSiO2 含有割合 耐低温チッピング性を改善するにはクロメ−ト皮膜中に
SiO2 を含有させるのが好ましいが、この場合、SiO2
含有割合が「SiO2/Cr重量比」で0.05未満の場合には耐
低温チッピング性の改善効果が十分でなく、一方、前記
重量比が 4.0を超えると溶接性が低下する(皮膜の絶縁
性が大となって溶接時のチップの損傷が大きくなったり
通電不能になったりする)。従って、クロメ−ト皮膜中
にSiO2 を含有させる場合には、その含有量をSiO2/Cr
重量比で0.05〜 4.0の範囲と定めた。
【0027】E) クリア−皮膜中のSiO2 含有割合 耐低温チッピング性,溶接性,耐食性を改善するのにク
リア−皮膜中へSiO2 を含有させるのも極めて有効な手
段であるが、クリア−皮膜中にSiO2 を含有させる場合
には、その含有割合(エポキシ系樹脂塗料組成物の不揮
発分に対する割合)が5重量%未満では所望する耐チッ
ピング性,溶接性,耐食性の改善効果が得られず、一
方、40重量%を超えて含有させると逆に溶接性の劣化
を招く。従って、クリア−皮膜中のSiO2 含有割合は5
〜40重量%と定めたが、好ましくは5〜20に調整す
るのが良い。
【0028】なお、先にも述べたように、クリア−皮膜
を形成する目的の1つは電着塗膜との密着性を確保する
と共に、有機複合被覆鋼板の脱脂・化成処理時のCr溶出
量を低減させることである。従って、この観点からは使
用する樹脂塗料組成物の樹脂系そのものに対する規定は
ないものの、当然クロメ−ト皮膜及び電着塗膜との密着
性を十分考慮して樹脂系を選択するのが良い。そして、
この観点からは、クロメ−ト皮膜又はクリア−皮膜の一
方又は双方にシランカップリング剤を添加することが好
ましい。これによってクリア−皮膜とクロメ−ト皮膜,
電着塗膜との密着性は更に向上し、耐低温チッピング性
の改善に一層の好結果が得られる。
【0029】この場合、シランカップリング剤の添加量
は、クロメ−ト皮膜もしくはクリア−皮膜中に(即ち樹
脂塗料組成物の不揮発分として)含有されているSiO2
の重量に対して1×10-5倍以上とするのが良い。
【0030】シランカップリング剤としては、例えばビ
ニルトリクロルシラン,ビニルトリス(βメトキシエト
キシ)シラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリ
メトキシシラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン,β−(3, 4 エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン,γ−クリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン,N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン,N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン,γ−クロロプロピルトリメトキシ
シラン等の既存のものが使用できるが、これは、クリア
−皮膜形成のために使用する有機樹脂との組み合わせに
より適切なものを選択すれば良い。
【0031】また、上記有機複合被覆鋼板の加工性を向
上させる目的で、クリア−皮膜中に(即ち樹脂塗料組成
物の不揮発分として)ポリエチレンワックスを1〜20
重量%の範囲で添加しても良い。なぜなら、クリア−皮
膜中にポリエチレンワックスが含有されているとプレス
加工時の摺動抵抗が小さくなり、鋼板の加工性が改善さ
れるからである。ただ、ポリエチレンワックスの含有量
(樹脂塗料組成物の不揮発分に対する割合)が1重量%
未満であると加工性改善効果が十分でなく、また20重
量%を超えると電着塗膜の密着性に悪影響が出てくるよ
うになることから注意を要する。
【0032】次に、本発明を実施例によって説明する。
【実施例】
〈実施例1〉Zn−13wt%Niめっき鋼板を基材とし、これ
にクロメ−ト処理とクリア−皮膜塗装を施して有機複合
被覆鋼板を得た。なお、上記クロメ−ト処理にて形成し
たクロメ−ト皮膜は「SiO2/Cr=1」の重量比でSiO2
を含有し、付着量が金属クロム換算で60 mg/m2 のも
のであった。
【0033】また、クリア−皮膜は、ウレタン変成エポ
キシ樹脂をベ−スとし、イソシアネ−トで塗料乾燥時に
架橋させるタイプの樹脂塗料組成物を使用して形成した
が、その際、該樹脂塗料組成物に不揮発分重量割合で
“4%のMCA”又は“20%の親水性ポリアミド樹脂
(比較添加材)”の何れかを含有させると共に、各々に
ついて形成クリア−皮膜厚を種々変化させた。
【0034】そして、このようにして得られた各有機複
合被覆鋼板につきカチオン電着塗装性を調査した。な
お、この電着塗装性の調査は次のように実施した。即
ち、得られた有機複合被覆鋼板から図2に示す寸法の試
験片を切出し、電着塗装に際しては、図示したように試
験片の下半分を600番の研磨紙で研磨した後、塗装下
地たるリン酸亜鉛処理を施した。そして、電着時には研
磨部の電着膜厚が18μmとなるように膜厚調整を行
い、研磨部に18μm厚の電着膜が形成された時の“非
研磨部の電着膜厚”を測定した。つまり、“研磨部の電
着膜厚”と“非研磨部の電着膜厚”との間に差が少ない
ほど電着塗装性が良好であると判定されるからである。
【0035】これらの調査結果を図3に整理して示し
た。図3に示される結果からも明らかなように、先に特
公平3−32638号として提案された“親水性ポリア
ミド樹脂含有のクリア−皮膜”を有する表面処理鋼板で
は“研磨部の電着膜厚”と“非研磨部の電着膜厚”との
差が大きく、例えばプレス疵の手入れ部等があると電着
塗装後に外観ムラが生じるのに対して、本発明に従った
“MCA含有のクリア−皮膜”を有する表面処理鋼板は
電着塗装性が非常に優れており、“研磨部の電着膜厚”
と“非研磨部の電着膜厚”とに殆ど差がなくてプレス疵
の手入れ部等があったとしても電着塗装後に外観ムラと
ならないことが分かる。
【0036】一方、これとは別に、クリア−皮膜中のM
CA含有量(樹脂塗料組成物の不揮発分に対する重量割
合)と電着塗装性との関係をも調査した。この調査で
は、先の試験材と同様にクロメ−ト処理を施したZn−13
wt%Niめっき鋼板基材に、種々の割合でMCAを含有さ
せたクリア−皮膜(ウレタン変成エポキシ樹脂をベ−ス
としてイソシアネ−トで塗料乾燥時に架橋させるタイプ
の樹脂塗料組成物を使用し形成した)を1μm厚に形成
し、前記場合と同様に電着塗装性を評価した。
【0037】上記クリア−皮膜中のMCA含有量と電着
塗装性に係わる調査結果を、図4に整理して示す。図4
に示される結果からも、“エポキシ樹脂系クリア−皮膜
を有する有機複合被覆鋼板”のクリア−皮膜中にMCA
が 0.1重量%以上含有されると優れた電着塗装性を示す
ようになることが分かる。
【0038】〈実施例2〉表1に示すめっき目付量の
“Zn−13wt%Niめっき鋼板”と“Zn−9wt%Feめっき鋼
板”を準備した。次いで、これらのめっき鋼板にクロメ
−ト処理とクリア−皮膜塗装を施し、鋼板上に前記表1
に示す亜鉛合金めっき層,クロメ−ト皮膜及びクリア−
皮膜を備えた有機複合被覆鋼板を得た。
【0039】
【表1】
【0040】なお、上記クロメ−ト処理では、クロメ−
ト液に適宜SiO2 ,シランカップリング剤を添加した処
理液を使用した。
【0041】また、クリア−皮膜は、適宜SiO2 ,シラ
ンカップリング剤を添加した“ビスフェノ−ルA型エポ
キシ樹脂をベ−スとしてイソシアネ−トで塗料乾燥時に
架橋させるタイプの5重量%MCA含有樹脂塗料組成
物”を使用し形成した
【0042】次いで、このように製造された各有機複合
被覆鋼板につき、「耐低温チッピング性」, 「Cr溶出
量」, 「耐外面錆性」及び「溶接性」を調査し、その結
果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】なお、有機複合被覆鋼板の前記性能評価に
は次に示す方法を採用した。耐低温チッピング性 電着塗装30μ,自動車用上塗り塗料40μの2コ−ト
2ベ−ク処理を施した後、−20℃に冷却してグラベロ
テスタ−で小石の衝撃を与え、この箇所のセロハンテ−
プ剥離を試みて“めっき−鋼板界面の剥離径”を測定。
【0045】Cr溶出量 アルカリ脱脂液〔日本パ−カライジング社のFC441
0(商品名)を使用〕で40℃×2分の浸漬脱脂を行
い、その前後における鋼板のCr付着量を蛍光X線により
測定し、溶出量を算出。
【0046】耐外面錆性 電着塗膜30μ,自動車用上塗り塗料40μの2コ−ト
2ベ−ク処理を施した後、カッタ−ナイフでクロスカッ
ト疵を入れ、週2回の塩水散布を含む屋外暴露を3ケ月
実施した後、前記カット部からの赤錆発生の有無を目視
確認。
【0047】溶接性 チップ先端径6mmφのCu−Cr合金チップを用いると共
に、 スクイズ時間:20サイクル, 通電:12サイクル, 保持:5サイクル(50Hz), 溶接電流:10kA, 加圧力:200kg でスポット溶接連続打点テストを行い、剪断引張りで溶
接ハガレが生じた打点数をもって溶接性とする。
【0048】第2表に示される結果からも、本発明で規
定する条件を満足している有機複合被覆鋼板は前記何れ
の性能にも優れているのに対して、有機複合被覆鋼板の
構成条件が本発明の規定から外れた場合には、耐低温チ
ッピング性,耐Cr溶出性, 耐外面錆性及びスポット溶接
性が揃って十分に満足できる表面処理鋼板の実現が不安
定となることが明らかである。なお、この例で作成した
有機複合被覆鋼板は、何れも優れた電着塗装性を示すこ
とは確認済である。
【0049】〈実施例3〉Zn−13wt%Ni合金電気めっき
鋼板(目付量:20g/m2)を基材とし、このめっき皮膜上
に 「Cr/PO4 3- =1/1」, 「Cr/SiO2 =1/1」 な
る組成のクロメ−ト皮膜をCr付着量が60 mg/m2(金属
Cr量換算)となるように塗布・焼付けし、更にその上に
エポキシ系クリア−樹脂塗料を乾燥膜厚が1μの厚さに
なるように塗布・焼付して有機複合被覆鋼板を得た。な
お、エポキシ系クリア−樹脂中のMCA及びSiO2 の添
加量は種々変化させた。
【0050】そして、得られた有機複合被覆鋼板につ
き、上塗り塗装をした場合の 「二次密着性」, 「耐食性」
並びに 「スポット溶接性」 を調査した。ここで、二次密
着性,耐食性,スポット溶接性の評価は次のように行っ
た。
【0051】二次密着性 得られた有機複合被覆鋼板に「アルカリ脱脂→水洗→化
成処理→水洗→カチオン電着塗装→40℃の温水に50
0時間浸漬」の処理を施した後、被覆膜に一辺が1mmの
ゴバン目を100マス切込み、これをセロハンテ−プで
剥離し、その際の塗膜残存率で評価した。なお、アルカ
リ脱脂,化成処理並びに電着塗装は下記条件で処理し
た。イ ) アルカリ脱脂:40℃のSD270TO(日本ペイ
ント社製)なるアルカリ脱脂液を2分間スプレ−する。ロ ) 化成処理:50℃のSD2500(日本ペイント社
製)なるクロメ−ト処理液に2分間浸漬する。ハ ) カチオン電着塗装:u−600(日本ペイント社
製)なる塗料を用い、20μ厚に電着塗装する。
【0052】耐食性 「塩水噴霧(5%NaCl水溶液, 35℃×4hr)→乾燥
(60℃×2hr)→湿潤(R.H.>95%,50℃,2h
r) 」なる塩水噴霧試験で200サイクル後の赤錆発生
面積率を測定し、その値で評価した。溶接性 チップ先端径6mmφのCF型Cu−Cr合金チップを用いる
と共に、 スクイズ時間:30サイクル, 通電:10サイクル, 保持:10サイクル(50Hz), 溶接電流:8kA, 加圧力:200kg の条件で50点毎に冷延鋼板とサンプルと試験材とを交
互に打つスポット溶接連続打点テストを行い、捩じり試
験でのナゲット剥離を生じた打点数で溶接性を評価し
た。
【0053】これらの調査結果を、クリア−樹脂中への
MCA及びSiO2 の添加量別に表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】表3に示される結果からも、本発明に係る
有機複合被覆鋼板は優れた二次密着性,耐食性,スポッ
ト溶接性を示すことが分かる。
【0056】〈実施例4〉純Zn電気めっき鋼板(目付
量:20g/m2)を基材とし、このめっき皮膜上にCr付着
量が80 mg/m2(金属Cr量換算)となるように反応型の
クロメ−トを付着させ、更にその上にSiO2(気相シリ
カ):20wt%,MCA:5%を含有するアクリル系クリ
ア−皮膜を形成させ、性能を評価した。なお、アクリル
系クリア−皮膜の膜厚は種々変化させた。
【0057】そして、得られた有機複合被覆鋼板につき
「耐食性」, 「耐指紋性」 並びに 「スポット溶接性」 を調
査した。ここで、スポット溶接性の評価は実施例3と同
様とし、また耐食性,耐指紋性の評価は次のように行っ
た。
【0058】耐食性 実施例3に示した塩水噴霧試験を実施し、120時間後
の白錆発生面積率を測定してその値で評価した。耐指紋性 指で有機複合被覆鋼板表面を触った時の指触跡が目立つ
かどうかを目視にて評価した。これらの調査結果を、ク
リア−膜厚別に表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】表4に示される結果からも、本発明に係る
有機複合被覆鋼板は優れた耐食性,耐指紋性,スポット
溶接性を示すことが分かる。
【0061】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、非常に優れた耐食性,電着塗装性,耐低温チッピン
グ性,溶接性等を備えた有機複合被覆鋼板を実現するこ
とが可能となり、自動車車体の外装外面用材料や家電品
材料に適用して外観並びに耐久性の著しい向上が期待で
きるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MCA(メラミン・シアヌル酸付加物)の構造
に関する説明図である。
【図2】電着塗装性の試験片に関する説明図である。
【図3】実施例での、“親水性ポリアミド樹脂含有のク
リア−皮膜”及び“MCA含有のクリア−皮膜”を有す
る表面処理鋼板の電着塗装性に関する調査結果を示すグ
ラフである。
【図4】実施例での、クリア−皮膜中のMCA含有量と
電着塗装性に係わる調査結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細田 靖 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板上に、 a) 亜鉛又は亜鉛合金めっき層, b) 付着量が金属クロム換算にて20〜200 mg/m2
    のクロメ−ト皮膜, c) 固形皮膜厚で0.05〜 2.0μmの、不揮発分の重量割
    合で 0.1〜20%のメラミン・シアヌル酸付加物を含む
    樹脂塗料組成物の塗布皮膜, をこの順序で有すると共に、クロメ−ト皮膜と樹脂塗料
    組成物塗布皮膜の何れか又は双方がSiO2 を、クロメ−
    ト皮膜ではSiO2/Cr重量比で0.05〜 4.0、樹脂塗料組成
    物塗布皮膜では不揮発分の重量割合で5〜40%含有し
    て成ることを特徴とする、有機複合被覆鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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