JPH05202241A - 高速成形延伸物に適したポリエチレン組成物、その製造方法及び該組成物を用いた高強度延伸物 - Google Patents

高速成形延伸物に適したポリエチレン組成物、その製造方法及び該組成物を用いた高強度延伸物

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JPH05202241A
JPH05202241A JP4037210A JP3721092A JPH05202241A JP H05202241 A JPH05202241 A JP H05202241A JP 4037210 A JP4037210 A JP 4037210A JP 3721092 A JP3721092 A JP 3721092A JP H05202241 A JPH05202241 A JP H05202241A
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JP
Japan
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ethylene
density
polymer
olefin
polymerization
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JP4037210A
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English (en)
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Yasuhiro Nishihara
康博 西原
Yasuhiro Kashiwagi
泰弘 柏木
Kohei Nitta
晃平 新田
Kazumi Shibagaki
一己 柴垣
Koji Yokoyama
孝司 横山
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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Priority to JP4037210A priority Critical patent/JPH05202241A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】(A)極限粘度[η]A0.5〜2.0、密度d
A0.950以上、貯蔵弾性率[E']A1×109〜3×1
9(90Hz、100℃)のエチレン重合体30〜70
重量%と(B)[η]B1.0〜5、dB0.945〜0.9
65、[E']B1×109〜3×109のエチレン重合体7
0〜30重量%とを含有して成る、MI0.1〜3、密
度0.95〜0.97、FR30〜60で、[η]B
[η]A、dA>dB、[E']A/[E']B=0.9〜1.1の関
係を満たすポリエチレン組成物、2段階重合において、
一方の反応帯域で該(A)成分を、他方の反応帯域で
(B)成分を生成させて該組成物を製造する方法及び該
組成物を溶融押出し後、延伸倍率10倍以上で延伸処理
して成る高強度延伸物。 【効果】押出成形性、延伸性に優れ、高強度の高速成形
延伸物に適したポリエチレン組成物であって、このもの
は2段階重合法により効率よく製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速成形延伸物に適した
新規なポリエチレン組成物、その製造方法及び該組成物
を用いた高強度延伸物に関するものである。さらに詳し
くいえば、本発明は、押出成形性及び延伸性に優れ、か
つ機械的強度の高い高速成形延伸物に適したポリエチレ
ン組成物、このものを2段階重合方式により効率よく製
造する方法及び該ポリエチレン組成物を溶融押出し後延
伸処理して成る高速成形性に優れる高強度延伸物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、魚網、ネット、あるいは延伸テー
プ、ヤーンなどの延伸成形品には高速紡糸性、高速延伸
性、高延伸倍率、成形物の機械的強度などの点から比較
的分子量分布の狭いポリエチレンが用いられてきた。し
かしながら、近年2種以上の原料を共押出しして、複合
繊維を製造する試みが増えてきており、そしてこのよう
な成形方法においては、分子量分布の狭いポリエチレン
では種々の問題が生じている。例えば2種以上の原料を
共押出しして、複合繊維を製造する場合、押出しダイ内
の樹脂流路が複雑かつ狭隘となるため、押出圧力が上昇
し、押出圧力の制限から押出量が制限され、生産量が低
下するのを免れないし、またこの圧力上昇は樹脂の発熱
を伴うため、樹脂の熱劣化による製品の着色、強度や耐
候性の低下などの物性の劣化をもたらすという好ましく
ない事態を招来する。このような問題を解決するために
は、押出しダイを大型化し、内部圧力の低下を図る必要
があるが、この場合、設備が大型化し、装置コストの上
昇、解体掃除時の作業性の低下など、経済的に大きな障
害がある。一方、押出し圧力を小さくするためには、分
子量分布の広いポリエチレンを用いればよいが、この場
合、前記のような高速かつ高延伸倍率の成形条件では、
十分な延伸倍率が得られないという問題が生じる。とこ
ろで、比較的分子量分布の広いポリエチレンを得る方法
としては、例えば(1)フィリップス型触媒を用いる方
法が知られており、また、チーグラー型触媒を用いる方
法では、(2)2種以上の遷移金属化合物を用いたいわ
ゆる多元活性点触媒を用いる方法、(3)同一重合条件
下で異なる分子量の重合体が得られるように、2種以上
の触媒を供給して重合によって製造する方法、(4)単
一の場合は狭い分子量分布の重合体しか得られない触媒
成分を用いて、分子量の異なる重合体を生成させる多段
重合法、(5)重合系に第3成分を添加して広い分子量
分布の重合体を得る方法などが知られている。しかしな
がら、これらの方法においては、いずれも広い分子量分
布の重合体は得られるものの、得られる重合体は分子量
分布が広すぎて押出成形に適さなかったり、延伸成形で
は必ずしも適した機械的強度を有さなかったり、あるい
は触媒製造工程が複雑で、触媒コストが高くついたり、
触媒が十分な活性を有さないため、得られる重合体が触
媒残渣による熱安定性の低下や着色などの品質低下をき
たすなどの問題があった。例えば前記(1)のフィリッ
プス型触媒を用いる方法においては、目的とする分子量
分布よりも広い分子量分布の重合体が得られ、このもの
は吹込成形には適しているものの、モノフィラメントや
ヤーンなどの押出成形には必ずしも適していないし、ま
た(2)の多元活性点の触媒を用いる方法においては、
所望の分子量を有する重合体を得るには、低分子量成分
を与える遷移金属元素と高分子量成分を与える遷移金属
元素の量比の他に、重合活性の比率も制御する必要があ
り、このため触媒成分の製造工程が複雑になるのを免れ
ない上、触媒成分当たりの重合活性が小さいために、得
られる重合体は触媒残渣による熱安定性の低下や着色な
どの品質低下をきたすなどの問題があった。さらに、前
記(4)の多段重合法は、各重合段における生成重合体
のメルトインデックスや密度を調節するとともに、各段
の重合割合を調節することによって、容易に任意の密度
及び分子量分布を有する重合体を得ることができる利点
があるものの、この方法によって得られた重合体でも高
速成形延伸物を製造する場合、延伸性が不十分で、満足
しうる延伸倍率のものが得られないという問題があっ
た。他方、分子量及び分子量分布の異なる重合体をブレ
ンドし、混練して広い分子量分布を有する重合体を得る
方法が知られている。しかしながら、この方法において
は、比較的容易に任意の組成割合を有し、所望の分子量
分布をもつ組成物が得られる利点があるものの、各重合
体成分の分子量、密度、分子量分布及び各成分の含有割
合が適正でない場合、得られる組成物は押出成形性、延
伸性、機械的強度が不十分で、高速成形延伸物製造に適
さないという問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生産性(押
出成形性)及び延伸性に優れ、かつ機械的強度の高い高
速成形延伸物に適したポリエチレン組成物、このものを
効率よく製造する方法及び該組成物を用いた高速成形性
に優れる高強度延伸物を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、異なる分子量、
密度及び分子量分布を有するエチレン重合体2種以上を
組み合わせた組成物においては、延伸温度におけるそれ
ぞれの重合体成分の動的粘弾性挙動が近いほど、高い延
伸性が得られ、かつ押出性及び成形物の機械的強度にも
優れることに着目し、特定の極限粘度、密度及び貯蔵弾
性率を有する2種のエチレン単独重合体又はエチレンと
α−オレフィンとの共重合体を所定の割合で含有し、か
つメルトインデックス、密度及びFRが特定の範囲にあ
るポリエチレン組成物が押出成形性及び延伸性に優れ、
かつ機械的強度の高い高速成形延伸物に適しているこ
と、そしてこの組成物は特定の触媒系を用い、2段階重
合形式によりエチレンを単独重合又はエチレンとα−オ
レフィンとを共重合させることにより容易に得られるこ
と、さらに該組成物を溶融押出ししたのち、特定の延伸
倍率で延伸処理することにより、高速成形性に優れる高
強度延伸体が得られることを見い出し、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(A)極限粘度[η]
Aが0.5〜2.0dl/g、密度dAが0.950g/cm3以上
及び周波数90Hzで測定した温度100℃における貯蔵
弾性率[E']Aが1×109〜3×109dyne/cm2の範囲
にあるエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィ
ンとの共重合体30〜70重量%と、(B)極限粘度
[η]Bが1.0〜5dl/g、密度dBが0.945〜0.96
5g/cm3及び周波数90Hzで測定した温度100℃にお
ける貯蔵弾性率[E']Bが1×109〜3×109dyne/cm
2の範囲にあるエチレン単独重合体又はエチレンとα−
オレフィンとの共重合体70〜30重量%とを含有して
成る、メルトインデックスが0.1〜3g/10分、密
度が0.95〜0.97g/cm3及びFRが30〜60の範
囲にあり、かつ 式 [η]B>[η]A、 dA>dB、 [E']A/[E']B=0.9〜1.1 の関係を満たすことを特徴とする高速形成延伸物に適し
たポリエチレン組成物、及びこのポリエチレン組成物を
溶融押出ししたのち、延伸倍率10倍以上に延伸処理し
て成る高強度延伸物を提供するものである。
【0006】本発明に従えば、前記ポリエチレン組成物
は、マグネシウム及びチタンを含有する炭化水素不溶性
固体触媒成分と有機アルミニウム化合物との組合せから
成る触媒系の存在下、炭化水素溶媒中において50〜1
00℃の温度でエチレンの単独重合又はエチレンとα−
オレフィンとの共重合を行うに際し、第1の反応帯域で
重合して得られた反応混合物の存在下に第2の反応帯域
においてさらに重合を行う2段階重合方式を採用し、か
つ一方の反応帯域において、極限粘度[η]Aが0.5〜
2.0dl/g、密度dAが0.950g/cm3以上及び周波数
90Hzで測定した温度100℃における貯蔵弾性率
[E']Aが1×109〜3×109dyne/cm2の範囲にある
エチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンとの
共重合体を全重合体生成量の30〜70重量%の割合で
生成させ、他方の反応帯域において、極限粘度[η]B
1.0〜5dl/g、密度dBが0.945〜0.965g/cm
3及び周波数90Hzで測定した温度100℃における貯
蔵弾性率[B']Bが1×109〜3×109dyne/cm2の範
囲にあるエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフ
ィンとの共重合体を全重合体生成量の70〜30重量%
の割合で生成させることにより、製造することができ
る。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明のポリエチレン組成物においては、
(A)成分及び(B)成分としてエチレン単独重合体又
はエチレンとα−オレフィンとの共重合体が用いられ
る。該共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、
炭素数3〜12のものが好ましく、中でもプロピレン、
1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン及び1−デセンが好適である。これら
のα−オレフィンは1種用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよく、またその使用量は、通常共重
合体中のα−オレフィン単位の含有量が5モル%以下と
なるように選ばれる。本発明組成物における(A)成分
のエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンと
の共重合体は、極限粘度[η]Aが0.5〜2.0dl/g、密
度dAが0.950g/cm3以上及び周波数90Hzで測定し
た温度100℃における貯蔵弾性率[E']Aが1×109
〜3×109dyne/cm2の範囲にあることが必要である。
【0008】一方(B)成分のエチレン単独重合体又は
エチレンとα−オレフィンとの共重合体は、極限粘度
[η]Bが1.0〜5dl/g、密度dBが0.945〜0.96
5g/cm3及び該貯蔵弾性率[E']Bが1×109〜3×1
9dyne/cm2の範囲にあることが必要である。なお、本
発明における極限粘度は温度130℃のテトラリン中で
求めた値である。また貯蔵弾性率は、次のようにして求
めることができる。すなわち重合体を190℃で熱プレ
スにより厚み0.2〜0.5mmのフイルム状に成形し、0
℃の氷中で急冷したものを、長さ3cm、巾5mmの試験片
に切断し、このものについて、岩本製作所製VISCO
−ELASTIC−SPECTRO METER VZ
SF−IV型動的粘弾性測定機を用い、周波数90Hz、動
的ひずみ量1×10-3cm、温度−50〜120℃の範囲
で貯蔵弾性率[E']、損失弾性率[E'']及び損失正接[t
anδ]を測定し、温度100℃における貯蔵弾性率の値
を求める。
【0009】本発明のポリエチレン組成物は、前記
(A)成分と(B)成分とを、それぞれ30〜70重量
%及び70〜30重量%の割合で含有するものであっ
て、メルトインデックスが0.1〜3g/10分、密度
が0.95〜0.97g/cm3及びFRが30〜60の範囲
にあり、かつ 式 [η]B>[η]AA>dB [E']A/[E']B=0.9〜1.1 の関係を満たすことが必要である。ここで、(B)成分
の極限粘度[η]Bと(A)成分の極限粘度[η]Aとの差が
大きすぎると十分に均質に混合した組成物が得られにく
く、高速成形時に糸切れが起こりやすくなるし、また小
さすぎると分子量分布が小さくなって、高速成形時に十
分な押出量が得られず、生産性が低下する。したがって
[η]B/[η]A比は1.5〜5の範囲が望ましい。
【0010】また、[E']A/[E']B比が前記範囲を逸脱
すると高速成形時に延伸倍率が小さくなり、好ましくな
い。組成物のメルトインデックスが0.1g/10分未
満では延伸する前段階の溶融流動性および延伸性が極め
て悪いし、3g/10分を超えると得られる高速延伸成
形物の強度が低下するので、実用上好ましくない。さら
に、密度が0.95g/cm3未満では得られる成形物の強
度が十分でないし、0.97g/cm3を超えると成形性が
低下する傾向がみられる。さらに、本発明組成物におい
て、前記(A)成分の含有量が30重量%未満ではFR
が小さく、高速成形が困難になるし、70重量%を超え
ると(B)成分の分子量が大きくなり、均質な組成物が
得られにくくなるか、(A)成分と(B)成分との分子
量の差が小さい場合には、均質な組成物は得られるもの
の、FRが小さくなり、高速成形時の押出性が不十分
で、高速成形が困難となる。
【0011】本発明のポリエチレン組成物の製造方法に
ついては特に制限はなく、例えば(A)成分と(B)成
分とを、それぞれ別々にフィリップス型触媒又はチーグ
ラー型触媒を用いて、溶液重合法、スラリー重合法、気
相重合法などにより製造したのち、両者を混練り機を用
いて混合する方法、あるいは2段階重合法により、1段
目で(A)成分又は(B)成分を生成させたのち、2段
目においてこの重合物の存在下、さらに重合を行って、
他方の成分、すなわち(B)成分又は(A)成分を生成
させる方法を用いてもよい。前者の方法においては、チ
ーグラー型触媒を用いて、比較的分子量分布の狭い
(A)成分及び(B)成分を製造して混合するのが好ま
しく、また後者の方法は次に示す本発明による方法が有
利である。次に、本発明方法による前記ポリエチレン組
成物の製造方法について説明する。
【0012】本発明方法においては、マグネシウム及び
チタンを含有する炭化水素不溶性固体触媒成分と有機ア
ルミニウム化合物との組合せから成る触媒系が用いられ
る。該固体触媒成分としては、例えば(a)マグネシウ
ムハロゲン化物、チタンハロゲン化物及び電子供与体か
ら成る固体錯体と有機アルミニウム化合物との反応生成
物、(b)マグネシウムの酸素含有有機化合物とチタン
の酸素含有有機化合物とアルミニウムハロゲン化合物と
の反応生成物及び(c)マグネシウムの酸素含有有機化
合物とチタンハロゲン化合物との反応生成物、などが挙
げられる。前記の(a)及び(b)固体触媒成分におけ
るマグネシウム化合物としては、一般式 Mg(OR1)m1 2-m …[1] (式中のR1はアルキル基、シクロアルキル基又はアリ
ール基、X1はハロゲン原子、mは1又は2である)で
表される化合物が用いられる。前記一般式[1]におけ
るR1は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロヘキシル、フェ
ニル、トリル、キシリル基などの炭素数15程度までの
アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、
1は塩素、臭素又はヨウ素原子である。このような化
合物の具体例としては、ジメトキシマグネシウム、ジエ
トキシマグネシウム、エトキシマグネシウムクロリド、
ジフェノキシマグネシウムなどが挙げられる。
【0013】前記(c)固体触媒成分におけるマグネシ
ウム化合物としては、例えばジアルコキシマグネシウ
ム、ジアリロキシマグネシウム、アルコキシマグネシウ
ムハライド、あるいはグリニャー試薬などが好ましく用
いられる。また、チタン化合物としては、三価又は四価
のハロゲン化チタン、アルコキシチタン、アルコキシハ
ロゲン化チタンなどが好ましく挙げられ、アルミニウム
ハロゲン化合物としては、例えばアルキルアルミニウム
ジクロリド、アルキルアルミニウムセスキクロリド、ジ
アルキルアルミニウムモノクロリドなどが好ましく挙げ
られる。これらの原料を用いて、前記の(a)〜(c)
固体触媒成分を調製するが、その調製方法としては公知
の方法(特公平1−32487号公報、特公昭58−4
6205号公報、特開昭56−22304号公報などに
記載の方法)を用いることができる。
【0014】好ましい固体触媒成分の具体例としては、
一般式 Mg(OR1)m1 2-m …[1] (式中のR1、X1及びmは前記と同じ意味をもつ)で表さ
れる化合物及び一般式 Ti(OR2)n2 4-n …[2] (式中のR2はアルキル基、シクロアルキル基又はアリ
ール基、X2はハロゲン原子、nは1、2又は3であ
る)で表される化合物を含有する均質な炭化水素溶液
を、一般式 AlR3 K3 3-K …[3] (式中のR3はアルキル基、シクロアルキル基又はアリ
ール基、X3はハロゲン原子、Kは1≦K≦2で示され
る数である)で表される有機ハロゲン化アルミニウム化
合物で処理して得られる炭化水素不溶性固体触媒成分を
挙げることができる。
【0015】前記一般式[1]で表される化合物の中で
好ましいものは、mが2である化合物、特にジエトキシ
マグネシウムが好適である。また、一般式[2]で表さ
れる化合物において、R2及びX2は、それぞれ前記一般
式[1]におけるR1及びX1の説明において例示したも
のを同様に挙げることができる。一般式[2]で表され
る化合物の具体例としては、nが2の化合物としてジエ
トキシジクロロチタン、ジ−n−プロポキシジクロロチ
タン、ジ−n−ブトキシジクロロチタンなどが、nが3
の化合物としてトリエトキシモノクロロチタン、トリ−
n−プロポキシモノクロロチタン、トリ−n−ブトキシ
モノクロロチタンなどが、nが1の化合物としてエトキ
シトリクロロチタン、n−プロポキシトリクロロチタ
ン、n−ブトキシトリクロロチタンなどが挙げられる。
これらの中でnが3又は2のもの、中でもnが3のもの
が好ましく、特にトリ−n−ブトキシモノクロロチタン
が好適である。
【0016】さらに、一般式[3]で表される有機ハロ
ゲン化アルミニウム化合物において、R3及びX3は、そ
れぞれ前記一般式[1]におけるR1及びX1の説明にお
いて例示したものを同様に挙げることができる。一般式
[3]で表される化合物の具体例としては、メチルアル
ミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリ
ド、ジメチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミ
ニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリ
ド、ジエチルアルミニウムモノクロリド、イソブチルア
ルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムセスキ
クロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリドなど
が挙げられる。これらの中でエチルアルミニウムジクロ
リド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルア
ルミニウムモノクロリドが好ましく、特にエチルアルミ
ニウムセスキクロリドが好適である。
【0017】好ましい固体触媒成分の好適な製造方法の
1例について説明すると、まず、前記一般式[1]で表
されるマグネシウム化合物及び一般式[2]で表される
チタン化合物を含有する均質な炭化水素溶液を調製す
る。この際溶媒として用いられる炭化水素化合物として
は、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素化合物、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化
水素化合物、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合
物などが挙げられるが、これらの中でベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物が好適であ
る。該炭化水素溶液を調製するには、予め該マグネシウ
ム化合物及びチタン化合物を混合し、均質な液状物を調
製しておくのが有利である。この均質な液状物は、用い
る化合物の種類によっては前記二成分を単に混合し、加
温することによって調製しうるが、均質な液状物が生成
しにくい場合には、アルコールを存在させるのが望まし
い。該アルコールとしては、例えばエチルアルコール、
n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−
ペンチルアルコール、n−オクチルアルコールなどが挙
げられる。該二成分の混合順序については特に制限はな
く、任意でよい。そして、混合後、100〜170℃程
度の温度に加温すれば均質な液状物又は均質なアルコー
ル溶液が得られるので、次いでこれに前記の炭化水素溶
媒を加えて、均質な炭化水素溶液を調製する。
【0018】次に、このようにして得られた炭化水素溶
液に、前記一般式[3]で表される有機ハロゲン化アル
ミニウム化合物を添加し、20〜100℃程度の温度に
加熱して反応させることにより、炭化水素不溶性固体触
媒成分が生成するので、これを分離回収し、炭化水素溶
媒で洗浄すればよい。この固体触媒成分の調製において
は、一般式[1]、[2]及び[3]で表される各成分
の使用量は、該成分中のX1、X2、X3、OR1、O
2、Mg及びTiが、モル基準でそれぞれ次の関係式 1≦Mg/Ti≦4 好ましくは 2≦Mg/Ti≦3 及び
【0019】
【数1】
【0020】好ましくは
【0021】
【数2】
【0022】を満たすように選ぶのが特に好ましく、こ
の範囲内であれば、高活性な固体触媒成分が得られる。
本発明方法における触媒系において、前記のようにして
得られた炭化水素不溶性固体触媒成分と組み合わせて用
いられる共触媒の有機アルミニウム化合物としては、例
えばトリアルキルアルミニウム、及びジアルキルアルミ
ニウムモノクロリド、アルキルアルミニウムセスキクロ
リド、アルキルアルミニウムジクロリドなどのアルキル
アルミニウムクロリドなどが好ましく挙げられる。該ト
リアルキルアルミニウムとしては、例えばトリメチルア
ルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロ
ピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ト
リ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オ
クチルアルミニウムなどが挙げられるが、これらの中で
トリエチルアルミニウムが好適である。
【0023】一方、アルキルアルミニウムクロリドとし
ては、例えばジメチルアルミニウムクロリド、ジエチル
アルミニウムクロリド、ジ−n−プロピルアルミニウム
クロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジ−
n−ブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミ
ニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムモノクロ
リド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド、n−ブチルアルミニウムセス
キクロリド、イソブチルアルミニウムセスキクロリドな
どのアルキルアルミニウムセスキクロリド、メチルアル
ミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、
n−プロピルアルミニウムジクロリド、イソプロピルア
ルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジク
ロリドなどが挙げられる。
【0024】本発明方法においては、共触媒の該有機ア
ルミニウム化合物として、前記アルキルアルミニウムク
ロリドを単独で用いてもよいし、トリアルキルアルミニ
ウムとアルキルアルミニウムクロリドとを組み合わせて
用いてもよい。組み合わせて用いる場合には、トリアル
キルアルミニウムは、通常アルキルアルミニウムクロリ
ド1モルに対し1モル以下、好ましくは0.25モル以
下の割合で使用するのが望ましい。該共触媒の有機アル
ミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタンに
対する全アルミニウムの原子比Al/Tiが好ましくは
0.1〜100、より好ましくは1〜20の範囲にある
ように選ぶのが望ましい。
【0025】本発明方法においては、前記触媒を用い
て、炭化水素溶媒中50〜100℃のの範囲の温度でエ
チレンの単独重合又はエチレンとα−オレフィンとの共
重合を行う。この際用いられる炭化水素溶媒としては、
例えばヘキサン、ブタンなどの脂肪族炭化水素化合物、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化
合物、シクロへキサン、メチルシクロへキサンなどの脂
環式炭化水素化合物などの不活性炭化水素溶媒が挙げら
れる。また、共重合成分のα−オレフィンとしては、前
記のポリエチレン組成物の説明において例示したものを
同様に挙げることができる。本発明方法においては、重
合方法として2段階重合方式が用いられる。すなわち、
まず第1の反応帯域において重合を行い、次いでこの第
1の反応帯域で得られた反応混合物の存在下に第2の反
応帯域においてさらに重合を行う。この2段階重合は連
続式で行ってもよいし、回分式で行ってもよく、また連
続式で重合を行う場合は、反応器を2基シリーズに連結
し、第1の反応器で重合して得られた反応混合物を第2
の反応器に導入して重合を続ける。また、必要に応じて
2基の反応器の間に水素を大部分パージしうるフラッシ
ュ槽を設置してもよい。
【0026】一方、回分式で重合を行う場合には、反応
基1基にて逐次反応させればよいが、この回分重合方式
よりも前記の連続重合方法の方が工業的に有利である。
本発明方法においては、重合反応帯域に水素を存在させ
た場合、水素による分子量調節効果が大きく、容易に所
望の分子量を有する重合体を得ることができる。なお、
本発明方法で用いる触媒成分は、エチレンの単独重合又
はエチレンとα−オレフィンとの共重合に先立ち、該エ
チレン又はエチレンとα−オレフィンとで予備処理ある
いは前重合処理したのち、重合に用いることができる。
この前重合処理は公知の方法(特開昭57−14140
7号公報などに記載されている方法)により行うことが
できる。次に、本発明方法の実施態様について説明する
と、まず第1の反応帯域において、50〜100℃の範
囲の温度及び1〜100kg/cm2程度の全圧力で、水素
の存在下エチレンの単独重合又はエチレンとα−オレフ
ィンとの共重合を行い、最終的に生成する全重合体量の
30〜70重量%の重合体(A)を生成させる。この
際、極限粘度[η]Aが0.5〜2.0dl/g、密度dA
0.950g/cm2以上及び周波数90Hzで測定した温度
100℃における貯蔵弾性率[E']Aが1×109〜3×
109dyne/cm2の範囲にある重合体(A)が得られるよ
うに、水素、エチレン、α−オレフィンの量を調節す
る。
【0027】次いで、前記重合体(A)の存在下、第2
の反応帯域において、50〜100℃の範囲の温度及び
1〜100kg/cm2程度の全圧力で、水素を供給しなが
らエチレンの単独重合又はエチレンとα−オレフィンと
の共重合反応を連続で行う。この際、第1の重合反応の
圧力よりも低い圧力で重合反応を行えば、第1の反応帯
域から第2の反応帯域への移送が容易であるので、好ま
しい。この第2の重合反応においては、最終的に生成す
る全重合体量の70〜30重量%の重合体(B)を生成
させる。この際極限粘度[η]Bが1.0〜5dl/g、密度
Bが0.945〜0.965g/cm3及び周波数90Hz
で測定した温度100℃における貯蔵弾性率[E']Bが1
×109〜3×109dyne/cm2の範囲にある共重合体
(B)が得られるように、供給する水素、エチレン、α
−オレフィンの量を調節する。なお、貯蔵弾性率は重合
体の分子量及び密度に左右されるので、2段階重合によ
って所望の組成物を得ようとする場合には、各重合反応
器で生成させようとする重合体のメルトインデックス、
密度に相当するエチレン単独重合体の貯蔵弾性率をあら
かじめ測定しておくことが望ましい。
【0028】このようにして得られたポリエチレン組成
物は、(A)極限粘度[η]Aが0.5〜2.0dl/g、密
度dAが0.950g/cm3以上及び周波数90Hzで測定
した温度100℃における貯蔵弾性率[E']Aが1×10
9〜3×109dyne/cm2の範囲にあるエチレン単独重合
体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体30〜7
0重量%と、(B)極限粘度[η]Bが1.0〜5dl/g、
密度dBが0.945〜0.965g/cm3及び周波数90
Hzで測定した温度100℃における貯蔵弾性率[E']B
が1×109〜3×109dyne/cm2の範囲にあるエチレ
ン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合
体70〜30重量%とを含有しており、そしてメルトイ
ンデックスが0.1〜3g/10分、密度が0.95〜
0.97g/cm3及びFRが30〜60の範囲にあり、か
つ式 [η]B >[η]AA>dB [E']A/[E']B=0.9〜1.1 の関係を満たすことが必要である。
【0029】なお、2段階重合反応において、前記とは
逆に第1の反応帯域において重合体(B)を生成させ、
次いで第2の反応帯域において重合体(A)を生成させ
てもなんら差し支えない。また、本発明方法は、使用す
る触媒が高活性であるので、脱灰工程が不要である。1
段目及び2段目でそれぞれ生成する重合体の分子量と重
合体の組成割合との関係は、温度130℃のテトラリン
中で測定した極限粘度[η]と、[η]と分子量Mとの
関係式 [η]=4.60×10-4×M0.725 より求めた値と、粘度加成式 [η]AA+[η]BB=[η]W (WA、WBはそれぞれ重合体(A)及び重合体(B)の
重合分率、[η]Wは組成物(全重合体)の極限粘度を示
す)とから求めることができる。
【0030】すなわち、1段目で重合した重合体の極限
粘度と組成物(全重合体)の極限粘度を測定し、1段
目、2段目の重合体の組成割合を用いて、2段目重合体
の極限粘度を求め、粘度平均分子量を計算すればよい。
また、重合体の密度はJIS K-6760によって測定
し、各反応器で重合した重合体の密度と組成物(全重合
体)の密度との関係式 1/ρW=WA/ρA+WA/ρB (ρA、ρB及びρWはそれぞれ1段目、2段目及び組成
物(全重合体)の密度を示す)により、1段目重合体と
組成物(全重合体)の密度及び各成分割合から2段目重
合体の密度を求めればよい。
【0031】このようにして得られた本発明のポリエチ
レン組成物は、フィラメシトやヤーンなどの高速成形延
伸物の製造において、押出圧力が小さく、押出成形性に
優れ高速成形が可能であり、延伸倍率も高く、得られる
延伸成形物の強度にも優れている。本発明のポリエチレ
ン組成物には、所望に応じ、従来ポリエチレン組成物に
慣用されている各種添加剤、例えば抗酸化剤、紫外線吸
収剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、フィラーな
どを添加することができる。本発明は、また前記ポリエ
チレン組成物を溶融押出ししたのち、延伸倍率10倍以
上で延伸処理して成る高速成形性に優れた高強度延伸物
を提供するものである。
【0032】本発明の高強度延伸物とは、該ポリエチレ
ン組成物をノズルより溶融押出しした線状物(溶融紡糸
物)を延伸して成るモノフィラメント、該組成物をダイ
より溶融押出ししたフイルムをリボン状に割繊して一軸
延伸して成るスプリットヤーンや、スリットヤーン、フ
ラットヤーン、延伸テープなどを包含するものである。
該ポリエチレン組成物をノズル又はダイより溶融押出し
する際の樹脂温度については特に制限はないが、通常2
40〜290℃の範囲で選ばれる。このようにして溶融
押出しして得られた線状物又はフイルムは、次いで80
〜120℃程度の温度条件下で10倍以上、好ましくは
10〜14倍程度の延伸倍率で延伸処理を行う。この延
伸倍率が10倍未満では高強度の延伸物が得られない。
該延伸物の繊度は、通常30〜10,000デニールの
範囲で選ばれるが、特に汎用されるロープ、漁網、ネッ
ト、クロスなどに用いる場合は、一般的に300〜3,
000デニールの範囲で選ばれる。
【0033】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、各物性値はつぎのようにして求め
た。 (1)MI(メルトインデックス) ASTM D−1238−65Tに準じて求めた。 (2)FR(メルトフロー比) MI測定装置及びMI測定用ノズルを用いて、106dyn
e/cm2と105dyne/cm2の2応力時の流出量比(FR)
を求めた。このFRは溶融ポリエチレン流動時の非ニュ
ートン性の尺度である。 (3)密度 JIS K-6760密度勾配法により測定した。 (4)極限粘度[η] 130℃のテトラリン中で測定した。 (5)λmax(最高延伸倍率)、ΔP(押出圧力) 40mmφ、L/D=26、フルフライトスクリューの押
出機に1mmφ、15ホール、L/D=10のノズルを取
付け、押出機温度260℃、冷却温度43℃、延伸温度
100℃、延伸速度100m/分の条件で400デニー
ルのモノフィラメントを成形した際の5分間以上糸切れ
のしない最高延伸倍率をλmaxとして評価した。別に、
押出量150g/分で押出した際の押出圧力をΔPとし
て測定した。 (6)糸物性 強さと伸び率はJIS L-1070に準じて測定した。
【0034】参考例1 2リットルの撹拌機付ステンレス製オートクレーブに、
η−ヘキサン1リットルとジエチルアルミニウムクロリ
ド0.32ミリモルと実施例1に示した固体触媒成分2
0mgを仕込み、80℃に昇温後、水素、1−ブテン、エ
チレンを供給し、全圧力10kg/cm2、気相の水素とエ
チレンとの分圧比1.8及び1−ブテンとエチレンとの
分圧比0.01でエチレンの供給により全圧力を10kg
/cm2に保ちながら1.5時間重合した。得られた重合体
の[η]は2.73dl/g、密度は0.960g/cm3
100℃における貯蔵弾性率[E']は1.9×109dyn
e/cm2、損失弾性率は3.6×108dyne/cm3であっ
た。前記重合条件において、水素とエチレンとの分圧比
及び1−ブテンとエチレンとの分圧比を変えて、前記と
同様に実施し異なるMI、密度を有する単独重合体を製
造し、重合体の動的弾性係数を測定した。第1図に、極
限粘度[η]が1.95〜2.1dl/g及び1.0〜1.1
5dl/gの範囲における重合体の密度と100℃におけ
る貯蔵弾性率との関係を代表例としてグラフで示した。
【0035】実施例1 (1)固体触媒成分の調製 マグネシウムエトキシド57.2gとトリ−η−ブトキ
シモノクロロチタン75.7gとη−ブタノール18.5
gとを150℃で6時間混合して均質溶液としたのち、
70℃まで冷却し、これにη−ヘキサン1リットルを加
え、均質溶液とした。次に、この均質溶液を10リット
ルのステンレス製撹拌機付容器に供給し、さらにη−ヘ
キサン1.5リットルを加えたのち、40℃でエチルア
ルミニウムセスキクロリド250gを含有するη−ヘキ
サン溶液を3時間かけて供給した。次いで生成した固体
触媒成分をη−ヘキサンで洗浄し、固体触媒成分108
gを得た。
【0036】(2)重合 20リットルの撹拌機付ステンレス製オートクレーブ
に、η−ヘキサン10リットルと(1)で得られた固体
触媒成分200mgとジエチルアルミニウムクロリド3.
2ミリモルとを仕込み、90℃に昇温後、水素分圧6.
3kg/cm2まで水素を導入後、1−ブテン11gをエチ
レンと同時に供給し、全圧力10kg/cm2として、共重
合体(A)が2kg生成するまで重合を続けた。共重合体
(A)が2kg生成した時点で、一部重合体スラリーを採
取し、粘度平均分子量、密度、動的粘弾性率を測定し
た。試料を採取後、重合温度を80℃に下げると同時に
気相ガスをパージし、新たに1−ブテン5gをエチレン
と同時に供給し、全圧力6kg/cm2、水素とエチレンと
の分圧比1.2で、1段目と2段目の重合体割合が重量
比で50/50になるまで、全圧力を維持するようにエ
チレンを供給しながら、重合を行った。重合終了はアル
コールを添加して失活させ、冷却後ポリエチレン組成物
を取出し、乾燥してから極限粘度、密度MI及びFRを
測定した。
【0037】また、組成物に添加剤を添加後、40mmφ
レオメーターを用いて250℃でペレット化したのち、
成形テストを行った。得られた結果を第1表に示す。1
段目の重合で得られた重合体の極限粘度[η]Aは1.07
dl/g、密度dAは0.961g/cm3、100℃におけ
る貯蔵弾性率[E']Aは1.9×109dyne1cm2であり、
ポリエチレン組成物(全重合体)の極限粘度[η]は
1.60dl/g、密度は0.960g/cm3であった。1
段目と2段目の重合体生成割合は重量比50/50であ
るので、2段目で生成した重合体は[η]Bが2.13dl/
g、密度dBが0.959g/cm3である。また、この値
から図1における[η]1.94〜2.2dl/gの線と密
度0.959g/cm3より、2段目の重合で生成した重合
体の100℃における貯蔵弾性率[E']Bは1.9×109
dyne/cm2と推定できる。すなわち、1段目重合体の貯
蔵弾性率と2段目重合体の貯蔵弾性率の比は1.0であ
り、この組成物を用いた延伸モノフィラメント成形時の
押出圧力ΔPは130kg/cm2、最高延伸倍率λmaxは1
3.5倍であった。また、延伸倍率が10倍のモノフィ
ラメントを用いて測定した直線強度は、強さが6.6g
/d、伸び率が27%であった。
【0038】実施例2、3 実施例1と同様にして2段重合を行い、1段目重合体の
極限粘度及び密度は実施例1と同じになるようにし、2
段目で生成する重合体の極限粘度、密度及び1段目と2
段目の重合体の生成割合を第1表に示すように変えてポ
リエチレン組成物を製造した。得られた組成物は実施例
1と同様にして物性測定、成形テスト、成形品の強度試
験を行った。その結果を第1表に示す。
【0039】実施例4 実施例1において、コモノマーをプロピレンに変えた以
外は、実施例1と同様にして2段重合を行った。その結
果を第1表に示す。
【0040】実施例5〜8 コモノマーとしてプロピレンを用い、実施例1と同様に
して2段重合を行い、1段目重合体の極限粘度、密度と
2段目重合体の極限粘度、密度及び1段目と2段目との
重合体の生成割合を第1表に示すように変えてポリエチ
レン組成物を製造した。得られた組成物は、実施例1と
同様にして物性測定、成形テスト、成形品の強度試験を
行った。その結果を第1表に示す。
【0041】比較例1 実施例1の固体触媒成分を用いて1段重合を行った。2
0リットルのオートクレーブにη−ヘキサン12リット
ル、実施例1の固体触媒成分100mg及びトリエチルア
ルミニウム1.0ミリモルを仕込み、85℃に昇温後、
水素分圧1.5kg/cm2にしたのち、1−ブテン15gを
エチレンと同時に供給し、全圧力5kg/cm2で重合体4k
gが得られるまで、全圧力を保持するようにエチレンを
供給し続け、重合体を製造した。得られた重合体のMI
は1.15g/10分、密度は0.960g/cm3、FR
は26であった。ペレット化後、モノフィラメントの延
伸成形を行った結果、延伸倍率15倍まで糸切れしなか
ったものの、押出成形時の圧力は220kg/cm2まで上
昇し、実施例のものに比べて高速成形性に劣っていた。
【0042】比較例2、3 実施例1と同様に2段重合を行った。1段目で生成する
重合体の極限粘度、密度と2段目で生成する重合体の極
限粘度、密度及び1段目と2段目との重合体の生成割合
を第1表に示すように変えて、ポリエチレン組成物を製
造した。得られた組成物の物性測定、成形テスト、成形
品の強度試験の結果を第1表に示す。[E]A/[E]Bが本
発明の範囲を超える比較例2では、FRが大きく、かつ
押出圧力が小さくて高速成形が可能であったが、最高延
伸倍率が11.5倍であり、糸切れした。また、成形品
の強度試験結果は実施例に比べて劣っていた。
【0043】比較例4 コモノマーとしてプロピレンを用い、1段目と2段目と
の重合体の生成割合を重量比80/20とし、かつ
[E']A/[E']Bが実施例1と一致するように、実施例1
と同様に2段重合を行った。得られた組成物は、成形テ
ストでの押出圧力は小さかったものの、最高延伸倍率は
10.5倍で、糸切れした。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】注1) DEAC:ジエチルアルミニウムクロリド TEA:トリエチルアルミニウム
【0048】参考例2 (イ)マグネシウムジエトキシドを四塩化チタン溶液中
において、130℃で処理して得られた固形触媒成分と
トリエチルアルミニウムとの組合せから成る触媒系、又
は(ロ)マグネシウムジエトキシドとトリ−η−ブチル
モノクロロチタンとη−ブタノールとを、150℃にて
処理して得られた均質溶液を、η−ヘキサンで希釈した
のち、これに40℃でエチルアルミニウムセスキクロリ
ドを加えて得られた固形触媒成分とトリエチルアルミニ
ウム若しくはジエチルアルミニウムクロリドとの組合せ
から成る触媒系を用い、飽和炭化水素溶媒中で、エチレ
ンとα−オレフィンとの共重合を行い、第2表に示す重
合体を製造し、その極限粘度、密度及び貯蔵弾性率を測
定した。その結果を第2表に示す。
【0049】
【表4】
【0050】実施例9〜11 参考例2で得られた重合体A−1及びB−1〜B−3
を、第3表に示す配合割合で粉体混合したのち、これに
添加剤を加え、40mmφレオメータを用い250℃で混
練ペレット化し、高速押出延伸成形テストを行った。得
られた組成物の物性及び延伸成形テスト結果を第3表に
示す。
【0051】実施例12〜15 参考例2で得られた重合体A−2〜A−7及びB−4〜
B−9を第3表に示す配合割合で実施例1〜3と同様に
粉末混合したのち、これに添加剤を加えて混練ペレット
化し、物性測定及び高速押出延伸成形テストを行った。
結果を第3表に示す。
【0052】比較例5 参考例2で得られた重合体A−5に、添加剤を加えてペ
レット化し、物性測定及び高速押出延伸成形テストを行
った。その結果を第3表に示す。この重合体は延伸性は
良好であったものの、FRが小さく、高速成形時の押出
圧力が高くなり、押出成形性に劣っていた。
【0053】比較例6〜8 参考例2で得られた重合体A−2、A−7及びB−5、
B−8を、第3表に示す配合割合で、実施例1〜3と同
様に粉体混合したのち、これに添加剤を加えて混練ペレ
ット化し、物性測定及び高速押出延伸成形テストを行っ
た。その結果を第3表に示す。FRの高い比較例6では
押出圧力が小さく、押出成形性は良好であったものの、
貯蔵弾性率比[E']A/[E']Bが大きく、延伸性が悪かっ
た。比較例7は貯蔵弾性率比[E']A/[E']Bが本発明の
範囲から外れており、また比較例8は重合体の組成割合
が本発明の範囲を外れているため、いずれも延伸性が不
良であった。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】実施例16〜18、比較例9〜11 2段重合により得られた第4表に示す物性及び組成割合
を有するエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフ
ィンとの共重合体から成るポリエチレン組成物を用い、
以下の条件でモノフィラメントを成形し、押出性(押出
圧力ΔP)、延伸性(最高延伸倍率λmax)及び成形品
の引張強度(最高延伸倍率で成形した成形品の引張強度
をJIS L-1070に準拠に測定)を求めた。その結
果を第4表に示す。 成形条件 押出機:40mmφ、L/D=26、フルフライトタイプ
スクリュー ノズル:1.0mmφ、L/D=10、孔数15個 エアギャップ:20mm、押出温度260℃ 冷却温度:43℃ 湿式延伸方式:延伸温度100℃、延伸速度100m/
min 設定デニール:400デニール
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】実施例19〜22、比較例12〜14 エチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンとの
共重合体から成る重合体(A)及び(B)を、第5表に
示す割合で混合してポリエチレン組成物を調製し、実施
例16〜18と同様にしてモノフィラメントを成形し
た。その結果を第5表に示す。
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【発明の効果】本発明のポリエチレン組成物は、押出成
形性及び延伸性に優れ、かつ機械的強度の高い高速成形
延伸物に適している。また、本発明によるとこのポリエ
チレン組成物は、2段階重合方式により効率よく製造す
ることができる。さらに、該ポリエチレン組成物を溶融
押出し後延伸処理することにより、高速成形性に優れた
高強度延伸物が得られ、このものはモノフィラメント、
スプリットヤーン、スリットヤーン、フラットヤーン、
延伸テープなどとして各種用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はエチレン重合体における密度及び極限粘
度と貯蔵弾性率との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 B29L 7:00 4F (72)発明者 柴垣 一己 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内 (72)発明者 横山 孝司 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)極限粘度[η]Aが0.5〜2.0dl/
    g、密度dAが0.950g/cm3以上及び周波数90Hzで測
    定した温度100℃における貯蔵弾性率[E']Aが1×1
    9〜3×109dyne/cm2の範囲にあるエチレン単独重
    合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体30〜
    70重量%と、(B)極限粘度[η]Bが1.0〜5dl/
    g、密度dBが0.945〜0.965g/cm3及び周波数9
    0Hzで測定した温度100℃における貯蔵弾性率[E']B
    が1×109〜3×109dyne/cm2の範囲にあるエチレ
    ン単独重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合
    体70〜30重量%とを含有して成る、メルトインデッ
    クスが0.1〜3g/10分、密度が0.95〜0.97g
    /cm3及びFRが30〜60の範囲にあり、かつ 式 [η]B>[η]A、 dA>dB、 [E']A/[E']B=0.9〜1.1 の関係を満たすことを特徴とする高速形成延伸物に適し
    たポリエチレン組成物。
  2. 【請求項2】マグネシウム及びチタンを含有する炭化水
    素不溶性固体触媒成分と有機アルミニウム化合物との組
    合せから成る触媒系の存在下、炭化水素溶媒中において
    50〜100℃の温度でエチレンの単独重合又はエチレ
    ンとα−オレフィンとの共重合を行うに際し、第1の反
    応帯域で重合して得られた反応混合物の存在下に第2の
    反応帯域においてさらに重合を行う2段階重合方式を採
    用し、かつ一方の反応帯域において、極限粘度[η]A
    0.5〜2.0dl/g、密度dAが0.950g/cm3以上及
    び周波数90Hzで測定した温度100℃における貯蔵弾
    性率[E']Aが1×109〜3×109dyne/cm2の範囲に
    あるエチレン単独重合体又はエチレンとα−オレフィン
    との共重合体を全重合体生成量の30〜70重量%の割
    合で生成させ、他方の反応帯域において、極限粘度[η]
    Bが1.0〜5dl/g、密度dBが0.945〜0.965g
    /cm3及び周波数90Hzで測定した温度100℃におけ
    る貯蔵弾性率[E']Bが1×109〜3×109dyne/cm2
    の範囲にあるエチレン単独重合体又はエチレンとα−オ
    レフィンとの共重合体を全重合体生成量の70〜30重
    量%の割合で生成させることを特徴とする請求項1記載
    の高速成形延伸物に適したポリエチレン組成物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリエチレン組成物を溶融
    押出ししたのち、延伸倍率10倍以上に延伸処理して成
    る高強度延伸物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011522060A (ja) * 2008-04-17 2011-07-28 サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション 超高分子量ポリエチレンの製造プロセス

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