JPH05200821A - エチレン共重合体組成物の製造方法 - Google Patents

エチレン共重合体組成物の製造方法

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JPH05200821A
JPH05200821A JP3326396A JP32639691A JPH05200821A JP H05200821 A JPH05200821 A JP H05200821A JP 3326396 A JP3326396 A JP 3326396A JP 32639691 A JP32639691 A JP 32639691A JP H05200821 A JPH05200821 A JP H05200821A
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ethylene copolymer
ethylene
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久朗 原
Yoichi Araya
洋一 新家
Eisaku Hirasawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリオキシアルキレンポリオールが配合さ
れ、柔軟性、帯電防止性等に優れ、しかも配合剤のブリ
ードアウトがないエチレン共重合体組成物を、スクリュ
ー押出機を用いて、運転上のトラブルなく効率的に製造
する。 【構成】 スクリュー押出機を用いて、エチレン/不飽
和カルボン酸共重合体、アイオノマー等のカルボキシル
基又はその塩を有するエチレン共重合体を溶融押出しす
るに際して、該共重合体が溶融しかつ5kg/cm2
上の加圧状態となったゾーンに液状のポリオキシアルキ
レンポリオールを圧入し両者を混合した後押出し、エチ
レン共重合体組成物とポリオキシアルキレンポリオール
の組成物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カルボキシル基又はそ
の塩を有するエチレン共重合体と室温(25℃)で液状
のポリオキシアルキレンポリオールとからなる柔軟性に
優れたエチレン共重合体組成物を工業的に有利に製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボキシル基又はその塩を有するエチ
レン共重合体として、工業的にはエチレン・アクリル酸
共重合体,エチレン・メタクリル酸共重合体、あるいは
これらのアイオノマーなどが著名であり、フィルム分野
を中心として広く使用されている。カルボキシル基やそ
の塩の含量によっても異なるが、該エチレン共重合体は
金属への接着性,ヒートシール性,透明性その他種々の
特性が良好な樹脂状重合体である。これら優れた特性を
実質的に損なうことなく柔軟化され、あるいは他の機能
が付与されればさらに種々の用途への展開が期待され
る。樹脂の柔軟化方法としては可塑剤を配合する方法が
最も簡便であるが、一般に前記エチレン共重合体を含め
オレフィン系樹脂においては、相溶性に問題があった
り、柔軟化のためには多量の柔軟化剤を必要とし、大量
に配合した場合には樹脂表面への滲み出し(ブリードア
ウト)の現象が表われる等の問題があり、ポリ塩化ビニ
ルにおける可塑剤に該当するような適当な柔軟化剤が見
出されていないのが現状であり、軟質ポリ塩化ビニルに
類似した性状を示す柔軟化されたポリオレフィン樹脂は
未だ提供されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに本発明者らの
検討によれば、前記エチレン共重合体に関して言えば、
液状のポリオキシアルキレンポリオールであれば多量に
配合してもブリードアウトする傾向が少なくよく相溶
し、優れた柔軟化剤となり得ることを知見するに至り、
工業的に有利な配合方法を見出すべくさらに研究を推し
進めた。従来このようなエチレン共重合体と液状のポリ
エチレングリコールの組成物に関して言えば、エチレン
・メタクリル酸共重合体のカリウムアイオノマーの非帯
電性を改善するためにそのシートに液状のポリエチレン
グリコールを含浸させた研究例が知られている(日本化
学会第60回秋季大会)。しかしながらこの報告では含
浸物の機械的特性については全く触れられておらず、非
帯電性以外には如何なる性状のものが得られたのか明ら
かでない。しかもこのような含浸法では、含浸に時間が
かかる上に含浸量のコントロールが難かしく含浸後の洗
浄も必要である。さらに含浸法ではシート形状に僅かな
変化が認められるなど工業的には問題の多いプロセスで
ある。
【0004】又その他にも、溶剤にエチレン共重合体と
液状のポリエチレングリコールを溶解混合した後、溶剤
を蒸発除去し、両者の組成物を製造する方法が考えられ
る。しかしこの方法は、溶剤コストやエネルギーコスト
を考慮すると有利な方法とは言えない。
【0005】そこで両者の組成物を得る最も経済的な方
法と考えられる溶融混合法についての検討を試みた。し
かしスクリュー押出機を用いる単純な方法では、ポリエ
チレングリコールの潤滑作用により激しいスリップを起
こし、混合初期での混合が円滑に行われない。そのた
め、ポリエチレングリコールの使用量を一定限度に抑
え、時間をかけて混合する場合のみしか均一な組成物を
得ることができず、工業的に満足できる方法とは言えな
かった。
【0006】そこで本発明者らは、短時間で効率良く混
合する方法についてさらに検討を行った結果、下記する
方法を見出すに至った。従って本発明の目的とするとこ
ろは、改善された性質を有するエチレン共重合体組成物
を品質安定性良く、効率的に製造する方法を提供するに
ある。本発明の他の目的は、以下の記載により一層明ら
かにされる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、スクリ
ュー押出機を用いてカルボキシル基又はその塩を有する
エチレン共重合体を溶融押出しするに際し、該共重合体
が溶融し、かつ5kg/cm2 以上の加圧状態となった
ゾーンに液状のポリオキシアルキレンポリオールを圧入
し、両者を混合した後押出すことを特徴とするエチレン
共重合体組成物の製造方法が提供される。
【0008】本発明で用いられるエチレン共重合体は、
カルボキシル基又はその塩を有するものである。具体的
には、エチレンと不飽和カルボン酸のランダム共重合体
あるいはエチレン、不飽和カルボン酸及び他の不飽和化
合物のランダム共重合体がその代表例である。あるいは
これらランダム共重合体のカルボキシル基の一部又は全
部が塩になったものである。上記不飽和カルボン酸の具
体例としては、アクリル酸,メタクリル酸,フマル酸,
マレイン酸モノメチル,マレイン酸モノエチル,無水マ
レイン酸などを例示することができる。また第3成分と
して添加される上記他の不飽和化合物としては、アクリ
ル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸イソブチ
ル,アクリル酸n−ブチル,アクリル酸2−エチルヘキ
シル,メタクリル酸メチルのような不飽和カルボン酸エ
ステル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニルのようなビニ
ルエステルを代表例として挙げることができる。
【0009】前記ランダム共重合体としては、エチレン
が50〜96重量%、とくに60〜90重量%、不飽和
カルボン酸が4〜40重量%、とくに5〜30重量%、
他の不飽和化合物が0〜30重量%、とくに0〜20重
量%の割合で重合されているものが好ましい。このよう
なランダム共重合体は、高圧法ポリエチレンと同様のプ
ロセスにより、有利に製造できる。
【0010】本発明に使用できる前記ランダム共重合体
の塩としては、Li,Na,K,Rb,Csのようなア
ルカリ金属、Mg,Caのようなアルカリ土類金属、Z
a,Cu,Fe,Co,Ma,Crのような遷移金属、
あるいはアルミニウムの塩を例示できる。その中和度は
任意であるが、通常は10〜90%程度に中和されたも
のが用いられる。
【0011】スクリュー押出機に供されるエチレン共重
合体は、成形ブレードのものであれば如何なるものであ
ってもよいが、190℃,2160g荷重におけるメル
トフローレートが通常0.01〜500g/10分、と
くに0.1〜100g/10分のものを用いるのが好ま
しい。
【0012】本発明で用いられるポリオキシアルキレン
ポリオールは、エチレン共重合体の可塑化効果を有する
ものであって、分子量によりその性状は異なるが、25
℃において液状のものが好ましい。しかしながらあまり
に低分子量のものは、押出機内での配合が難かしく、ま
た生成するエチレン共重合体組成物からのブリードアウ
トが無視できないので使用すべきではない。通常、数平
均分子量が200〜800、とくに300〜700のも
のの使用が望ましい。ポリオキシアルキレングリコール
としては、ポリオキシエチレングリコール,ポリオキシ
エチレンオキシプロピレングリコールなどを例示するこ
とができるが、ポリオキシエチレングリコールの使用が
最も好ましい。
【0013】本発明においてはスクリュー押出機が用い
られる。スクリュー押出機としては、種々のタイプのも
のを使用することができ、例えば一軸のものでも二軸の
ものでも使用可能であるが、経済的には一軸押出機の使
用が好ましい。スクリュー押出機は、上流側から原料供
給部,溶融圧縮部,計量混合部を含んでおり、他にベン
ト部,トーピード部の如き付属部を付帯したものであっ
てもよい。
【0014】エチレン共重合体は、ペレット状,粉末状
等であるいは重合工程から直接溶融状態でスクリュー押
出機の原料供給部に供給される。次いで溶融圧縮部で溶
融加圧される。樹脂温度は例えば150〜250℃の温
度に設定される。そして溶融樹脂がスクリュー押出機中
の5kg/cm2 以上、好ましくは30〜150kg/
cm2 に加圧された任意のゾーンにポリオキシアルキレ
ンポリオールを注入ポンプを用いて注入する。従ってこ
の注入個所は溶融圧縮部の後半部あるいは計量混合部の
前半部であってもよい。また注入個所は通常1個所でよ
いが所望に応じ複数個所であってよい。ポリオキシアル
キレンポリオールの注入温度は任意であるが、注入に際
し、とくに加温あるいは冷却する必要はない。
【0015】ポリオキシアルキレンポリオールの注入量
は、通常エチレン共重合体100重量部当り0.1〜2
0重量部とくに1〜10重量部の割合とするのが好まし
い。ポリオキシアルキレンポリオールの配合目的によっ
ても異なるが、その注入量が少なすぎると改質効果が小
さく、またあまり注入量を増やしすぎると、得られる組
成物の表面がべとつき、商品価値を損なうことがある。
ポリオキシアルキレンポリオールの注入に際し、その粘
度を低減させるため、あるいは冬期に固化したものを溶
液状とするために水で希釈して注入することができる。
【0016】いずれにせよポリオキシアルキレンポリオ
ールは、注入の後溶融エチレン共重合体と混合され、組
成物として押出される。水を同時混入する場合はベント
押出機を用い、水のみをベント部から溶融押出された組
成物はペレット化して種々の成形材料とすることができ
るし、そのまま管状,棒状,シート状,フィルム状等各
種成形物に成形することもできる。
【0017】このようにして得られたエチレン共重合体
組成物は他の熱可塑性重合体をブレンドすることによっ
て改質することができる。また他の熱可塑性重合体に、
帯電防止付与の目的で配合することができる。上記熱可
塑性重合体としては、例えば高圧法ポリエチレン,線
状、中,低密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,ポ
リプロピレン,ポリ−1−ブテン,ポリ−4−メチル−
1−ペンテン,エチレン・酢酸ビニル共重合体,エチレ
ン・不飽和カルボン酸エステル共重合体のようなポリオ
レフィン系樹脂,ポリスチレン,AS樹脂,ABS樹
脂,スチレン・ブタジエンブロックコポリマー及びその
水素添加物の如きスチレン系重合体,ナイロン6,ナイ
ロン66,ナイロン12,非晶質ナイロンのようなポリ
アミド,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテ
レフタレートのようなポリエステル,ポリカーボネー
ト,ポリアセタール,ポリフェニレンエーテル,アクリ
ル樹脂,オレフィン系エラストマー,ポリエステルエラ
ストマー,ポリ塩化ビニルなどを例示することができ
る。使用目的によっても異なるが、前記エチレン共重合
体組成物と熱可塑性重合体は、例えば前者20〜100
重量部に対して、後者80〜0重量部の如き割合で配合
することができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、実施例およびその原料として用いた熱可塑
性樹脂、ポリオキシアルキレン化合物の組成、物性、お
よび得られた樹脂組成物の物性の測定方法は次のとおり
である。
【0019】1.原料 (1)酸共重合体 エチレン−メタクリル酸ランダム共重合体を使用した。
その組成、物性は表1の通りである。
【0020】
【表1】
【0021】(2)アイオノマー エチレン−メタクリル酸共重合体の金属イオン部分中和
アイオノマーを使用した。その組成、物性は表2の通り
である。
【0022】
【表2】
【0023】(3)ポリオキシアルキレンポリオール 三洋化成(株)製 ポリエチレングリコール PEG600 平均分子量600
【0024】2.測定法 (1)MFR JIS K6760
【0025】(2)摩擦帯電性…サンプルを綿布で強く
こすり、0.5cm角のティッシュペーパーが吸い付く
か否かで判定した。
【0026】実施例1〜5 スクリュー径65mmφの注入装置付きスクリュー押出
機に酸共重合体又はアイオノマーのペレットを供給し、
樹脂温度240〜250℃、押出量15kg/Hrにて
押し出した。その際、押出機のスクリュー計量部にてポ
リエチレングリコール(PEG)を表3に示すような量
で注入し、混練押し出した。得られた樹脂は柔軟性で透
明性が良好であり、樹脂からのポリエチレングリコール
のブリードアウトはほとんど認められなかった。又、ス
クリューのスリップによる樹脂圧の急激な低下は認めら
れず、安定に生産できた。得られた樹脂は180℃、5
0kg/cm2 の圧力下で熱プレスを行い、その後50
kg/cm2 の冷却プレスで冷却することにより、サン
プル厚2mmのプレスシートを作成し、摩擦帯電性を測
定した。結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】比較例1〜4 東洋精機(株)製ラボプラストミル(100ml容量)
に酸共重合体又はアイオノマーを入れ、200℃、毎分
25回転にて溶融した。溶融後、PEGを表4の割合で
添加混合した。PEGの添加は一度に全量入れると、ロ
ーター/樹脂間でスリップが生じ、混合できなくなるの
で少量ずつ添加した。又、ローターの回転速度が速いと
スリップが生じ易いので25回転/分以下に抑えざるを
得なかった。回転速度を落した結果、十分に混合するた
めには混練に長時間を要した。又、これにより 高温で
の混合時間が長くなり、樹脂が脱水架橋等の熱劣化を起
こす傾向が見られ、PEGを添加した割には配合樹脂の
MFRが低いという傾向を示した。
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、スリップ等の運転トラ
ブルもなく、短時間かつ連続的にエチレン共重合体組成
物を得ることができる。またポリオキシアルキレンポリ
オールの配合比を広い範囲で変えることができ、所望配
合比に調節することも容易であるから品質安定性よく組
成物を製造することができる。またカルボキシル基又は
その塩を有するエチレン共重合体は、従来溶融押出しや
成形時に装置への樹脂付着が起こり易く、クリーニング
に手間がかかるという問題点があるが、本発明によれば
このような傾向が低減されるというメリットもある。さ
らにポリオキシアルキレンポリオールの添加により溶融
粘度が低下し、押出時の負荷が低下し成形が容易にな
り、表面の美麗な成形品が得られるという利点もある。
【0031】かくして得られるエチレン共重合体組成物
はポリオキシアルキレンポリオールの配合量に応じ柔軟
性が優れている外、原料エチレン共重合体の各種特性を
も備えており、各種成形品として有用である。特にエチ
レン共重合体がアルカリ金属アイオノマーの場合に柔軟
化効果が大きい。さらにこの場合には非帯電性の改善も
認められる。かくして本発明により得られる組成物は、
フィルム,シート,中空容器,トレイ、チューブ,パイ
プ射出成形品などに利用される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクリュー押出機を用いてカルボキシル
    基又はその塩を有するエチレン共重合体を溶融押出しす
    るに際し、該共重合体が溶融し、かつ5kg/cm2
    上の加圧状態となったゾーンに液状のポリオキシアルキ
    レンポリオールを圧入し両者を混合した後、押出すこと
    を特徴とするエチレン共重合体組成物の製造方法。
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