JPH05200684A - 移動テーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業ツールが移動体から離れた位置に取付け
られても、作業ツールはボールねじの振れの影響を受け
ずに作業ツール位置での精度を保証できる移動テーブル
を提供することを目的とする。 【構成】 移動体４と移動体４に動力を伝達するボール
ねじ３とボールねじ３を駆動する駆動源（図示していな
い）と移動体４を一方向のみに案内する直線摺動軸受５
を主体として構成され、移動体４にこの移動体４の摺動
方向に垂直な平面上の一方向に摺動可能なスライドブロ
ック２と、このスライドブロック２にスライドブロック
２の摺動方向と同一平面上でかつ直交する方向に摺動可
能なボールねじ３のボールねじナット１を備えた移動テ
ーブル。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、移動テーブルに関し、
特に位置決めに使用する移動テーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】移動テーブルに要求される精度は年々厳
しくなって来ている。

【０００３】従来例を図面を参照して説明する。図４，
図５において、１６は移動体、１７はボールねじ、１８
はボールねじナット、１９ａは直線摺動軸受１９のスラ
イド部、１９ｂは同レール部であり、ボールねじ１７は
ブラケット２０，２１の内部に組込まれた軸受２３，２
４によって支持されている。２２はボールねじ１８を駆
動する駆動源である。

【０００４】上記構成より成る従来の移動テーブルでは
ボールねじナット１８と、移動体１６とがボルト（図示
していない）によって締結されているため、ボールねじ
ナット１８がボールねじ１７より受ける力は全て移動体
１６に伝えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、ボールねじ１７が図６に示すように自然曲
りを起こした場合ボールねじナット１８は、ボールねじ
１７の自然曲りのない状態での軸心を中心として自然曲
り量を半径とする回転運動（振れ）を起こす。図７を用
いてこのことを説明する。ボールねじ１７に振れが発生
すると、移動体１６は直線摺動軸受１９の転動体１９ｃ
を中心として図中のローリング方向に傾く。その傾き角
はボールねじ１７のリードを周期として変動し、転動体
１９ｃの中心よりＬだけ離れた移動体１６に取付けられ
た作業ツール２５の先端ではローリング時の傾き角をθ
とするとθ×Ｌの精度誤差が発生する。ボールねじ１７
の自然曲りによって移動体１６がボールねじ１７の中心
で２μｍの変位を生じた場合、図中のＡ，ＬをＡ＝５０
mm、Ｌ＝２００mmとすると２μｍ×２００／５０＝８μ
ｍとなり、ミクロンオーダの位置決めにおいては大きな
誤差要因となる。

【０００６】本発明は上記問題点を解決するもので、作
業ツールが移動体から離れた位置に取付けられても、作
業ツールがボールねじの振れの影響を受けずに作業ツー
ル位置での精度を保証できる移動テーブルを提供するこ
とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の移動テーブルは、移動体と、この移動体に
動力を伝達するボールねじと、このボールねじを回転す
る駆動源と、前記移動体を載置して、前記移動体を一方
向のみに移動する直線摺動軸受を主体として構成され、
前記移動体に、この移動体の摺動方向に垂直な平面上の
一方向に摺動可能なスライドブロックと、このスライド
ブロックにこのスライドブロックの摺動方向と同一平面
上で、かつ直交する方向に摺動可能な前記ボールねじに
螺合して、前記ボールねじを貫通させたボールねじナッ
トを備えたもので、さらに、移動体と、ボールねじに螺
合して、このボールねじを貫通させ、前記移動体と軸受
を介して結合しているボールねじナットと、このボール
ねじナットを回転させて、直線摺動軸受上に載置された
前記移動体を一方向のみに移動させる駆動源を主体とし
て構成され、前記ボールねじを懸張するテンショナーを
備えたものである。

【０００８】

【作用】上記した構成により、前者はボールねじの曲り
によりボールねじナットが振れを起こす場合でも、ボー
ルねじナットは移動体に対し移動体の移動方向に垂直な
平面上を拘束されずに動くことが可能であるため、すな
わち、ボールねじに曲りがある場合、ボールねじナット
は移動体の摺動方向と垂直な平面上をボールねじの曲り
が０のときのボールねじの軸心を中心として回転運動を
行なう。しかし垂直な平面上の上下方向（Ｘ軸方向）に
はスライドブロックが移動体に対し摺動可能であり、水
平方向（Ｙ軸方向）にはボールねじナットがスライドブ
ロックに対して摺動可能であるためボールねじナットの
回転運動は吸収され、ボールねじナットが振れても、移
動体が力を受けず傾くことはない。したがって作業ツー
ルが移動体から離れた位置に取付けられていても、ボー
ルねじの曲りに影響を受けずに作業位置での精度を確保
できることとなる。

【０００９】後者はボールねじにテンションをかけ、ボ
ールねじの自重および曲りを矯正しているため、移動体
を結合したボールねじナットの振れを抑制することとな
る。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例の移動テーブルについ
て図面を参照しながら説明する。

【００１１】（実施例１）図１において、４は移動体、
５ａは移動体４を載置する直線摺動軸受５のスライド
部、５ｂは同レール部であり、移動体４はボールねじ３
を回転させる駆動源（図示していない）より動力を受け
て図中２方向に移動する。

【００１２】１はボールねじ３に螺合し、ボールねじ３
を貫通させているボールねじナットであり、スライドブ
ロック２を介して移動体４に組付けられている。

【００１３】ボールねじナット１はスライドブロック２
に対しＹ方向のみに摺動可能であり、スライドブロック
２は移動体４に対しＸ方向のみに摺動可能である。

【００１４】図２において、１ａはボールねじナットの
フランジ部、１ｂはボールねじナット本体部である。
以上のように構成された、実施例１の移動テーブルにつ
いて以下図１，図２を用いてその動作を説明する。

【００１５】ボールねじ３に曲りがある場合、ボールね
じナット１はＸ−Ｙ平面上をボールねじ３の曲りが０の
時のボールねじ３の軸心を中心として回転運動を行な
う。しかしＸ軸方向にはスライドブロック２が移動体４
に対して摺動可能であり、Ｙ軸方向にはボールねじナッ
ト１がスライドブロック２に対して摺動可能であるた
め、ボールねじナット１の回転運動は吸収され、移動体
４に伝わることはなく、移動体４が傾くことはない。

【００１６】（実施例２）図３において、６はボールね
じ、７はボールねじ６に螺合して、ボールねじを貫通す
るボールねじナット、８は移動体、８ａはボールねじナ
ット７と移動体８を結合している軸受、９はベルト１１
を介しボールねじナット７を回転させて、直線摺動軸受
１０のスライド部１０ａに載置された移動体８を水平方
向に移動させる駆動源、１０ｂは同レール部であり、ボ
ールねじ６はブラケット１２，１３によって支持され、
ブロック１４、ボルト（テンショナー）１５によって懸
張されている。ボルト１５のねじを進めるとボールねじ
６はさらに懸張されボールねじ６の自重によるたわみお
よびボールねじ６の自然曲りは矯正され、ボールねじ６
は真直性の高いねじとなる。よってボールねじナット７
は移動体８の摺動方向に垂直な平面上でボールねじ６の
曲り量を半径とした回転運動を起こさない。また実施例
２ではボールねじ６自体に引張応力をかけているので、
ボールねじナット７の摺動による摩擦熱によってボール
ねじ６の温度が上がっても、ボールねじ６の膨張量は引
張によるボールねじ６の内部応力を打ち消す作用のみで
ボールねじ６の熱膨張による精度の低下は防がれる。さ
らにボールねじ６を駆動させずにボールねじナット７を
駆動させているのは、ボールねじナット６の駆動の場合
には両端を軸受にて支持する必要があり、ねじに高い引
張応力をかけると軸受はその応力と同じ負荷を受けて寿
命が極端に低下するためボールねじ６に高いテンション
がかけられないが、ボールねじナット７の駆動の場合に
はボールねじ６は固定されているため、高いテンション
をかけることが可能である。

【００１７】

【発明の効果】以上の実施例の説明により明らかなよう
に、本発明の実施例の移動テーブルによれば、実施例１
はボールねじナットが移動体に対し、移動体の摺動方向
に垂直な平面上を拘束されずに運動可能なため、ボール
ねじの曲りによるボールねじナットの回転運動は移動体
に伝達されない。

【００１８】さらに、実施例２ではボールねじにかけた
テンションによりボールねじの曲りが矯正され、真直性
の高いねじとなるため、ボールねじナットも真直性の高
い直線運動を行い、移動体にローリング方向の力は生じ
ない。しかもボールねじに引張応力をかけていないた
め、ボールねじナットの摺動によりボールねじ温度が上
昇してもボールねじの膨張量は引張応力を打ち消すこと
に止まり、ボールねじの熱膨張による精度変化は防がれ
る。また、ボールねじナット駆動にしているため、ボー
ルねじ駆動の時のようにボールねじを支持する軸受のボ
ールねじの引張応力に伴い発生する負荷による寿命低下
を考える必要がなく、ボールねじに高いテンションをか
けることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１のテーブル移動体の要部の構
成を示す斜視図

【図２】同、縦断面図

【図３】同、実施例２の移動テールの構成を示す縦断面
図

【図４】従来の移動テーブルの全体構成を示す斜視図

【図５】同、正面図

【図６】同、ボールねじに曲りがある場合の正面図

【図７】同、移動体に作業ツールを取付けた場合の図５
のＸ矢視図

【符号の説明】

１，７ ボールねじナット ２ スライドブロック ３，６ ボールねじ ４，８ 移動体 ５，１０ 直線摺動軸受 ９ ボールねじナットの駆動源

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】移動体と、この移動体に動力を伝達するボ
   ールねじと、このボールねじを回転する駆動源と、前記
   移動体を載置して、前記移動体を一方向のみに移動する
   直線摺動軸受を主体として構成され、前記移動体にこの
   移動体の摺動方向に垂直な平面上の一方向に摺動可能な
   スライドブロックと、このスライドブロックにこのスラ
   イドブロックの摺動方向と同一平面上で、かつ直交する
   方向に摺動可能な前記ボールねじに螺合して、前記ボー
   ルねじを貫通させたボールねじナットを備えた移動テー
   ブル。
2. 【請求項２】移動体と、ボールねじに螺合して、このボ
   ールねじを貫通させ、前記移動体と軸受を介して結合し
   ているボールねじナットと、このボールねじナットを回
   転させて、直線摺動軸受上に載置された、前記移動体を
   一方向のみに移動させる駆動源を主体として構成され、
   前記ボールねじを懸張するテンショナーを備えた移動テ
   ーブル。