JPH05199373A - 光ビーム走査方法 - Google Patents

光ビーム走査方法

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JPH05199373A
JPH05199373A JP4031505A JP3150592A JPH05199373A JP H05199373 A JPH05199373 A JP H05199373A JP 4031505 A JP4031505 A JP 4031505A JP 3150592 A JP3150592 A JP 3150592A JP H05199373 A JPH05199373 A JP H05199373A
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直人 中島
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祐司 赤木
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典雄 森田
Sadahide Adachi
禎秀 足立
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光偏向器の回折効率の非線形性を補正し、各
描画点における光量の変動を防止する。 【構成】 所定の掃引信号VT,VMをAOD270に
印加して、レーザービームLB5を走査する。この掃引
信号VT,VMは描画制御装置100内のシステムクロ
ックに同期している。一方、アナログAOM220に印
加するアナログ変調制御信号VAは、レーザービームL
B5の光量が常に一定となる様に遂次補正される。しか
も、アナログ変調制御信号VAもまた、システムクロッ
クに同期した信号である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光偏向素子を用いた
光ビーム走査方法に関するものであり、特に、光ビーム
を感材上に走査することにより描画する装置等に利用さ
れるものである。
【0002】
【従来の技術】光偏向素子(以下、AODと言う。)
は、レーザービームを走査するためのキーデバイスとし
て広く用いられている。このAODは、周知の通り、音
響光学効果を利用した素子の一つであり、素子内に励振
された超音波により回折される光の回折方向が超音波の
周波数に依存して変化することに基づき、周波数変調に
より光の回折方向を制御するものである。この様なAO
Dを用いた走査光学系の従来例の概念図を、図31に示
す。
【0003】同図に示す通り、走査光学系200Bは、
AOD270BとアナログAOM(光変調素子)220
BとディジタルAOM240Bとを有している。尚、本
図では、説明の便宜上、レンズ等の他の光学系の記載を
省略している。
【0004】ここでアナログAOM220Bとは、一般
的には、回折光の強度が超音波の強度に依存することに
基づき、アナログ変調により光の強度を制御しようとす
る素子であるが、ここではアナログAOM220Bは、
レーザービームLB03の光量を乾板1Bの感度に応じ
た最適な値に設定するための素子として用いられてい
る。即ち、アナログAOM220Bは、カメラの絞りと
同じ様な役割を果たすことになる。従って、アナログA
OM220Bに印加される制御電圧は、一度設定された
ならば、レーザービームLB03の走査中は変更される
ことは無い。即ち、制御電圧は一定である。これによ
り、アナログAOM220Bに入射したレーザービーム
LB0は常に所定の光量に減衰され、レーザービームL
B01として出射される。
【0005】又、ディジタルAOM240Bとは、回折
光の強度が超音波の強度に依存することに基づき、ディ
ジタル変調により光の有無を制御しようとする素子であ
る。従って、ディジタルAOM240Bは、制御信号V
D0に応じてON/OFF動作を繰り返す。即ち、ディ
ジタルAOM240Bは、カメラのシャッターと同じ様
な役割を果たす。これにより、ディジタルAOM240
BがON動作時に入射したレーザービームLB01はレ
ーザービームLB02として出射し、AOD270Bに
入射する。
【0006】一方、AOD270Bの動作は、2つの制
御信号VTO、VMOにより制御される。その制御信号
の一つVTOはレーザービームLB03の偏向角を制御
する信号であり、この制御信号VTOにより、乾板1B
上の各描画点の位置が制御される。この制御信号VTO
としては、例えば、鋸波の様な周波数が連続的に且つ周
期的に変化する信号が用いられる。もう一つの制御信号
VMOは、レーザービームLB03の光量を制御する信
号であり、この制御信号VMOにより、各描画点に於け
る光量が制御される。
【0007】しかし、これらの制御信号VTO、VMO
によりレーザービームLB03の偏向角、光量を高精度
で制御するには、実際には、AOD270Bの非線形特
性を考慮しなければならないという問題がある。
【0008】即ち、AODの回折効率は、入力周波数に
応じて非線形に変化する。そのため、この様な回折効率
の非線形性を補正しないでレーザービームLB03を走
査させると、各描画点毎に光量が異なることとなり、露
光むらが発生することになる。以後、この現象を光量ム
ラと呼ぶことにする。従って、係る光量ムラを発生させ
ること無く画質の良い描画を行おうとするには、AOD
の非線形特性を補正するすることができる制御信号VM
Oを定めることが必要となる。
【0009】その様な制御信号VTO、VMOを最適化
する技術としては、例えば、特開昭59−160128
号公報や本願出願人の出願に係る特開平3−22192
6号公報に開示されたものがある。ここで、特開昭59
−160128号公報に開示された技術は、係る目的を
達成するために、AODとその駆動回路との間にフィル
タを設け、そのフィルタ特性を随時変更可能とすること
によって、図31でいう制御信号VMOを最適化しよう
としたものである。
【0010】一方、特開平3−221926号公報に開
示された技術では、先ず、各描画点毎に制御信号VMO
の値として適当な値を設定する。次に、これらの制御信
号VTO、VMOを実際にAOD270Bに印加してレ
ーザービームLB03を走査させつつ、乾板1Bの位置
と等価な位置に設置されたCCDカメラ(図示せず)に
より、各描画点に於けるレーザービームLB03の光量
を測定する。更に、これらの測定結果から、各描画点に
於けるレーザービームLB03の光量を一定値とする様
な補正データを作成し、この補正データを新たな制御信
号VMOとしてAOD270Bに印加することにより、
再度レーザービームLB03を走査し、同様にレーザー
ビームLB03の光量をCCDカメラにより測定する。
そして、上記一連の動作を、各描画点に於けるレーザー
ビームLB03の光量差が許容範囲内となるまで繰り返
すことにより、最適な制御信号VMOを決定するのであ
る。尚、制御信号VMOは、制御信号VTOと同期して
変化する。以上の通り、本技術では、上記一連のプロセ
スにより求められた補正データを制御信号VMOとして
用い、制御信号VTOと共にこの制御信号VMOにより
AOD270Bを制御するので、光量ムラの発生を防止
することが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術には、次の様な問題点があった。
【0012】 特開昭59−160128号公報の場
合 この場合には、AODの非線形特性に適合したフィルタ
特性を実現し、且つその特性を適宜変更可能とできる設
計を行う必要がある。勿論その際、環境条件を加味した
フィルタ特性の設計が必要となることは言うまでもな
い。
【0013】しかし、その様なフィルタ特性の実現は極
めて困難であり、実現性に乏しいばかりでなく、調整時
間等を考慮すれば現実的でないことも明白である。従っ
て、本技術は常に正確にAODの非線形特性を補正する
ことができないものであると言える。
【0014】 特開平3−221926号公報の場合 この場合にはの様な問題点はなく、その意味では実用
的な技術であると言える。しかしながら、この技術によ
っても、十分にAODの非線形特性を補正することがで
きない場合が生じていた。
【0015】即ち、超音波がAOD内を伝播する時間よ
りもAODの制御信号VMOが変化する時間のほうが長
い場合には、確かに当該技術によりAODの非線形特性
を効果的に補正することができ、光量ムラの発生を防止
することが可能であった。しかし、逆に、AODの制御
信号VMOの変化時間が超音波の伝播時間よりも短くな
る様な高速走査を行う場合には、当該技術を用いてもな
お光量ムラが発生し、効果的に光量ムラの発生を防止す
ることができないという問題点が、新たに生じていた。
この様に高速走査時に問題点が発生する理由としては、
定性的には次の様に理解することができる。
【0016】先ず、AODに入射するレーザービーム自
身は、数ミリ程度の幅を有している。これに対して、超
音波の伝播速度は数百メートル/秒であり、超音波がA
ODの一端からその他端までに伝播するのに要する伝播
時間は数十μ秒である。従って、制御信号VMOが超音
波の伝播時間よりも早く変化する様な場合には、AOD
中のレーザービームは、対応する超音波のみならず、レ
ーザービームの周囲に存在する他の周波数の超音波から
も相互作用を受けることになる。この相互作用を及ぼし
得る超音波の周波数範囲は、制御信号VMOの変化時間
が短い程、広くなると言える。尚、現状のシステムで
は、約150もの異なる周波数/強度を持った超音波か
らの影響を考慮しなければならないことが確認されてい
る。
【0017】ここで、図30は、上記説明の理解をより
一層明らかにするために模式的に描かれた説明図であ
る。同図は、丁度、周波数fiの制御信号VTO、振幅
Viの制御信号VMOをAOD270Eに印加して、A
OD270E内に周波数fiの超音波を励振した場合を
示している。このとき、AOD270Eにより回折され
たレーザービームLB03は、描画点Piを照射する。
又、本図には、レーザービームLB03が描画点Pi−
2から描画点Pi−1、描画点Piへと順次走査される
様子が示されている。しかも、本図は、各描画点Pi−
1〜Piに対応する各周波数の超音波がAOD270E
内全体にまで拡がる前に、制御信号VTO、VMOが変
化する場合を示している。
【0018】同図に示す通り、周波数fiの制御信号V
TO、振幅Viの制御信号VMOをAOD270Eに印
加した際には、周波数fiの超音波の他に、それぞれ先
の描画点Pi−2、Pi−1に対応した周波数fi−
2、fi−1の超音波もAOD270E内に存在するこ
ととなる。このため、AOD270Eに入射したレーザ
ービームLB02のビーム径の範囲内には上記3つの超
音波が存在し、レーザービームはこれらの超音波それぞ
れから影響をうけることとなるわけである。
【0019】逆に、従来技術が効果を発揮した場合、
即ち、制御信号VMOの変化時間が超音波の伝播時間よ
りも遅い場合には、レーザービームLB02がAOD2
70Eに入射した際には対応する一種類の超音波(周波
数fi)しか存在しないこととなるため、回折効率はレ
ーザービームLB02と周波数fiの超音波との相互作
用より決定され、測定した光量データから制御信号VM
Oを正確に且つ容易に補正することが可能となるわけで
ある。
【0020】以上述べた通り、高速走査時には、AOD
の回折効率を補正するには、多数の超音波からの影響を
考慮しなければならないことになる。しかし、その様な
回折効率の補正(制御信号VMOの補正)を全ての描画
点について実際に行うのは、次の通り、極めて困難であ
ると考えられる。
【0021】即ち、全描画点の内の一点について制御信
号VMOの補正データを測定結果から変更すると、他の
描画点の制御信号VMOの補正データもその影響を受
け、変更する必要が必然的に生じる。図30の例で言え
ば、描画点Piの補正データを修正すると、続いて描画
点Pi−1の補正データを、更には描画点Pi−2の補
正データをも修正する必要が生じる。この様に各描画点
で励振される超音波の強度を変えていくと、光と各超音
波との相互作用も変わるため、再び描画点Piから順
次、補正データを修正してゆかねばならないという悪循
環に陥ることとなる。従って、従来技術の様な方法で
は、到底、正確な制御信号VMOの補正データを得るこ
とが出来ないこととなる。
【0022】又、全描画点の内の一点の光量を変化させ
るためには、制御信号VMOの補正データを格納するメ
モリに於いて、そのアドレスの内、どのアドレスに格納
されたデータを修正すればよいのかが不明確となる欠点
もある。
【0023】以上述べた観点から、従来技術は、高速
走査の場合には適用不可能であることが理解される。
又、高速走査の場合には、従来技術についても同様な
ことが成り立つ。
【0024】更に、光学系の調整状態によっては、レー
ザービームがAODに入射する位置や入射時のビーム径
が微妙に異なる。このことは、制御信号VMOの補正デ
ータが光学系の調整状態にも依存することを意味する。
又、描画点毎にレーザービームのビーム形状が微妙に相
違する場合にも、制御信号VMOの補正データがその影
響を受けることとなる。従って、上記従来技術では、こ
れらの影響までも考慮に入れて制御信号VMOを補正し
なければならないこととなる。このような補正は、到
底、現実的でないと言える。
【0025】以上より、従来技術、の様に、AOD
の制御信号を直接的に補正乃至は変更する方法では、高
速走査時の光量ムラを防止することができないものであ
った。
【0026】この発明は、係る問題点を解決すべくなさ
れたものであり、その目的とするところは、低速走査又
は高速走査の如何に係わらず、常に光量ムラの発生を防
止することができ、高品質、高精度な描画を実現できる
光ビームの走査方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】この発明は、光変調素子
を介して光偏向素子に光ビームを入射することにより光
ビームを走査するものであり、(a)光偏向素子及び光
変調素子にそれぞれ所定の偏向制御信号及び所定の偏向
制御信号に同期した第1の変調制御信号を印加し、光偏
向素子より出射される光ビームの光量を走査範囲内の各
走査位置について測定するとともに、(b)測定された
各光量と目標光量とを走査位置毎に比較し、比較結果が
許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0028】そして、(c)許容範囲内にないと判断さ
れた場合には、比較結果に基づき第1の変調制御信号を
補正し、所定の偏向制御信号に同期した新たな第1の変
調制御信号を作成する。そして、この新たな第1の変調
制御信号を用いて上記(a)及び(b)のステップを繰
り返す。
【0029】一方、(d)(b)のステップの最初の実
行の際に許容範囲内であると判断された場合には、第1
の変調制御信号を、(b)のステップの2回目もしくは
それ以後の実行において許容範囲内であると判断された
場合には、補正された新たな第1の変調制御信号を、そ
れぞれ第2の変調制御信号に決定する。
【0030】そして、(e)光偏向素子及び光変調素子
にそれぞれ所定の偏向制御信号及び当該第2の変調制御
信号を印加することにより、光ビームを走査するように
したものである。
【0031】
【作用】この発明に於ける光偏向素子は、所定の偏向制
御信号に応じて光ビームの偏向を制御し、光ビームを走
査する。
【0032】一方、光変調素子は、所定の偏向制御信号
に同期した第2の変調制御信号に応じて光ビームの光量
を制御し、光ビームを光偏向素子へ出射する。その第2
の変調制御信号自身は、次のステップにより決定され
る。
【0033】即ち、所定の偏向制御信号に同じく同期し
た第1の変調制御信号を光変調素子に印加して光ビーム
を走査し、その走査された光ビームの光量を走査範囲に
わたり測定するとともに、その測定結果が許容範囲とな
るまで第1の変調制御信号を逐次補正する。そして、測
定結果が許容範囲となった際の第1の変調制御信号を第
2の変調制御信号として決定する。
【0034】従って、光変調素子は、予め最適化された
第2の変調制御信号に応じて光ビームの光量を制御する
ので、光偏向素子により走査された光ビームの光量を一
定化させることができる機能を発揮する。
【0035】
【実施例】A.描画システムの全体構成とその概略動作 (A−1) 機械的構成 図2は、この発明の一実施例である描画システム10の
機械的構成を示した斜視図である。尚、本図においては
便宜上、後述される描画制御装置やデータ処理部等の記
載が省略されている。
【0036】同図に示す通り、描画システム10は、基
台15の上に、感材送り機構20と描画機構30とを備
えている。
【0037】ここに感材送り機構20は、吸引テーブル
21と水平Y方向に伸びる一対のガイド22とを有して
おり、この吸引テーブル21はガイド22上にスライド
自在に載置されている。更に、この吸引テーブル21上
には、ガラス乾板などの感材1が吸着されている。又、
吸引テーブル21は、モータ23によって回転するボー
ルスクリュー(図示せず)によって、(±Y)方向に往
復移動する。これにより、感材1もまた(±Y)方向に
往復移動することになる。
【0038】一方、描画機構30は、水平X方向に伸び
る一対のガイド31を有している。ただし、X方向はY
方向に垂直な方向である。そして、ガイド31上にはハ
ウジング32がスライド可能に載置されており、走査光
学系200がこのハウジング32内に収容されている。
尚、本図中の切欠き部に示された描画ヘッド33は、こ
の走査光学系200の一構成要素である。更にモータ3
4によってボールスクリュー35が回転すると、ハウジ
ング32、従って走査光学系200がX方向または(−
X)方向へ移動する。その結果、描画ヘッド33もま
た、X方向または(−X)方向へ移動する。
【0039】又、基台15の上面には、レーザ−発振器
40A(He−Neレーザ−等)が設けられている。こ
のレーザー発振器40Aからのレーザービーム41は、
ビームスプリッタ42〜45によって2本のレーザービ
ーム41X、41Yに分離される。ただし、ビームスプ
リッタ44、45は、描画ヘッド33に固定されてい
る。更に、吸引テーブル21のX方向端部および(−
Y)方向端部には、それぞれ平面ミラー46X、46Y
が立設されている。その結果、レーザービーム41X、
41Yはこれらのミラー46X、46Yによってそれぞ
れ反射され、ビームスプリッタ44、45の位置へ戻
る。そして、図示しない光干渉検出器によって、レーザ
ービーム41X、41Yそれぞれのミラー反射光路長が
検出される。これにより、描画ヘッド33に対する感材
1の水平面内の相対位置が測定されることになる。以
後、レーザ−発振器40Aや図示しない光干渉検出器等
を含めて、これらの光学系をレーザ−測長器と総称する
ことにする。尚、図示はしないが、感材送り機構20の
全体は、開閉自在な遮光フードの中に収容されている。
【0040】更に、感材送り機構20の近傍には、CC
Dカメラ50が図2に示す通り設置されている。このC
CDカメラ50の役割については、後述される。
【0041】(A−2) 電気的構成 図3は描画システム10の電気的構成を模式的に示した
構成図である。同図に示す通り、その電気的構成は描画
制御装置100を中心として構成される。ここでレーザ
−測長器40は、既述した感材1の相対位置に関する測
定結果を、位置情報Sx(X方向)、Sy(Y方向)と
して描画制御装置100に出力する。そして描画制御装
置100は、位置情報信号Sx、Syに基づき走査信号
を作成するとともに、その走査信号に基づき制御信号V
T、VM、VA、VDを作成する。これらの制御信号V
T、VM、VA、VDは、走査光学系200の各構成要
素の動作を制御する信号である。
【0042】又、CCDカメラ50の測定データVPは
ワークステーション300内のCPU310へ伝送さ
れ、所定の処理がなされる他、メモリ(図示せず)に格
納されたデータDiもCPU310を介して描画制御装
置100へ送信される。
【0043】一方、描画制御装置100内のモータコン
トローラ180は、制御信号VC1、VC2をそれぞれ
モータ23及び34へ出力し、これらのモータ23、3
4の回転を制御している。更に、図形入力装置400よ
り画像データSVが、描画制御装置100に与えられ
る。
【0044】以上述べた描画制御装置100及びデータ
処理部300内に於ける一連の動作の詳細な説明につい
ては、後述される。
【0045】(A−3) 描画の基本的原理 図4は、描画システム10における描画の基本的原理を
示す説明図である。描画ヘッド33からは、(±X)方
向に周期的に偏向した2本のレーザービームLB5a、
LB5bが感材1上に照射される。これらのレーザービ
ームLB5a、LB5bは、共に画像信号SVに基づく
変調を受けている。そして、感材1を例えば(−Y)方
向に移動させつつ、レーザービームLB3a、LB3b
による露光を行なう。この場合には、(±X)方向に延
びた走査線LのY方向の配列に沿って描画が行なわれ
る。又、感材1の描画エリア2は平行ストライプ2a、
2b、・・・に概念的に分割されており、描画は各スト
ライプ2a、2b、・・・ごとに行なわれる。
【0046】B. 走査光学系の構成 (B−1) 走査光学系の構成の概要 図1は、走査光学系200の主要な構成部分を模式的に
示した図である。本図に示す通り、レーザー発振器21
0より発振したレーザービームLBは、先ずアナログA
OM220に入射する。
【0047】このアナログAOM220は、単にレーザ
ービームLBの光量を感材1の感度に適した光量へ減衰
するのみならず、描画制御装置100より発せられるア
ナログ変調制御信号VAに応じて、アナログAOM22
0より出射されるレーザービームLB1の光量を制御す
る。しかもそのアナログ変調制御信号VAは、後述する
掃引信号(偏向制御信号)VT、VMに同期した信号で
あって、且つ後述する補正方法により各描画点に於ける
光量が一定となるように最適化された信号である。この
様にアナログAOM220は、光量の制御と光量ムラの
補正とを同時に行う。
【0048】次にレーザービームLB1はビームスプリ
ッタ230に導入され、2本のレーザービームLB2
a、LB2bに分波される。そしてこれらのレーザービ
ームLB2a、LB2bは、それぞれディジタルAOM
240、250に入射される。ここでディジタルAOM
240及び250は、既述した通り、ディジタル変調に
より回折光の有無を制御しようとする素子である。従っ
てディジタルAOM240及び250は、それぞれ描画
制御装置100より発せられるディジタル変調制御信号
VDa及びVDbに応じて、レーザービームLB2a、
LB2bをオン・オフする。しかもディジタル変調制御
信号VDa及びVDbは共に、画像入力装置400から
描画制御装置100に与えられた画像信号SVに基づき
作成された信号である。これらの点の詳細な説明につい
ては、後述される。
【0049】その結果、レーザービームLB2aは、デ
ィジタル変調制御信号VDaがHレベルにあるときにの
みディジタルAOM240内に励振された超音波によっ
て一定方向へ回折され、レーザービームLB3aとして
ディジタルAOM240より出射する。同じくレーザー
ビームLB2bもまた、ディジタル変調制御信号VDb
がHレベルにあるときにのみレーザービームLB3bと
してディジタルAOM240より出射する。
【0050】その後、両ビームLB3a、LB3bはビ
ームスプリッタ260に導入され、レーザービームLB
4に合成される。即ち、合成後のレーザービームLB4
は、所定の間隔だけ離れて進行する2本のレーザービー
ムLB4a、LB4bからなるビーム束である。従っ
て、ビームスプリッタ260以後は、再び一つの光学系
で走査光学系200が構成される。その様な光学系の詳
細な説明については、後述される。
【0051】次にレーザービームLB4は、AOD27
0に入力される。このAOD270は、描画制御装置1
00より発せられる掃引信号VT、VMに応じて、AO
D270内で回折されたレーザービームLB5の偏向角
を制御する。尚、レーザービームLB5もまた、2つの
レーザービームLB5a、LB5bのビーム束であり、
両ビームLB5a、LB5bを総称する用語として用い
られている。ここで、AOD270に於ける動作をより
詳細に説明するならば、次の通りとなる。
【0052】先ず掃引信号VTは、例えば鋸波の様に、
その周波数が連続的に且つ周期的に変化する信号であっ
て、予め定められた信号である。その結果、AOD27
0は、掃引信号VTの周波数の変化に応じてレーザービ
ームLB5の偏向角を変える。これにより、レーザービ
ームLB5は、感材1上を±X方向へ走査される。
【0053】もう一方の掃引信号VMは、一定の電圧値
を有する信号である。従って、AOD270内に励振さ
れる各超音波の強度は、常に掃引信号VMの電圧値で定
まる一定の値となる。即ち、掃引信号VM自身は、AO
D270の回折効率の非線形性そのものを補正するもの
ではない。
【0054】尚、実際には、掃引信号VT及びVMは、
連続的にAOD270に印加されるのではなく、所定の
時間間隔でAOD270に印加される。従って、レーザ
ービームLB5は、少しずつ感材1上を走査されること
となる。そして、この掃引信号VT及びVMに同期し
て、アナログ変調制御信号VAもアナログAOM220
に印加される。これらの点も、後述する説明で明らかと
なる。
【0055】以上、本走査光学系200の主要構成要素
とそれらの概略動作について述べた。上記説明で明示さ
れた通り、本走査光学系200における特徴は、従来技
術の様にAOD270自身の非線形特性を直接的に補正
しようとするのではなく、アナログAOM220により
光量を制御することによりAOD270自身の非線形特
性による影響を打ち消そうとするものである。そのため
にはアナログAOM220に印加されるアナログ変調制
御信号VAを適切化することが必要であり、その様な適
切化方法も後程説明する通り、本発明の特徴とするとこ
ろである。このような構成を着眼させることとなった基
本的な技術的思想ないしは基本的着眼点は、次の通りで
ある。
【0056】即ち、本発明は、AOMに於ける超音波の
伝播速度が、AODに於ける超音波の伝播速度に較べて
5倍以上速いということに基礎を置くものである。その
様な相違が生じるのは、AODに於いては横波の超音波
が利用されているのに対して、AOMに於いて利用され
ている超音波は縦波であるということに起因している。
具体例として、AOM及びAOD両者に於ける超音波の
特性を、図29に例示する。但し、図29に例示された
データは、二酸化テルル単結晶を音響光学媒体として用
いた場合である。同図に示す通り、AOMに於ける超音
波の音速は4260m/秒であるのに対して、AODに
於ける超音波の音速は650m/秒である。
【0057】この様にAOMに於ける超音波の音速が高
速であるということは、AOMによるアナログ変調の際
にAOMに入射したレーザービームに影響を与える超音
波の数がAOM内では少なく、その結果、AOMに印加
されるアナログ変調制御信号とAOMより出射したレー
ザービームの光量との間の線形性が良いという利点をも
たらす。即ち、AOMに印加する変調制御信号を高速で
変化させる場合でも、当該変調制御信号を容易に補正す
ることができる。このことは、AOD270の掃引信号
VTの周波数が低速で変化する場合は勿論、高速で変化
する様な場合においても、アナログAOM220を適切
に変調制御することによって、容易にAOD270に於
ける回折効率を補正できることを暗示している。従っ
て、アナログAOM220の変調制御信号VAを補正す
ることは、光量ムラの発生防止のために適した技術であ
ると考えられるのである。
【0058】更に、本発明は、AOMに於けるパルス応
答時間がAODと比較して数百倍も速いことをも、着眼
点の基礎としている。例えば、AOMに於けるパルス応
答時間は、9〜12nsec.である。このAOMの特
徴は、後述する回折効率補正メモリーのアドレスと描画
点の位置との関係を容易に定めることができるという利
点をもたらす。
【0059】(B−2) 走査光学系の具体的構成 図5〜図7は、走査光学系200の具体的構成を明示し
た光学的構成図である。先ず、Arイオンレーザー(波
長:488nm)等よりなるレーザー発振器210より
出射したレーザービームLBは、ミラーM1〜M3を介
してアナログAOM220に入射される。アナログAO
M220の動作は既述した通りである。そして出射レー
ザービームLB1は、ミラーM4で反射された後、ビー
ムスプリッタ230に導入され、レーザービームLB2
aとLB2bとに分波される。
【0060】次にレーザービームLB2aは、ミラーM
4、集光用レンズL1aを介してディジタルAOM24
0に入射され、ディジタル変調される。そしてディジタ
ルAOM240のON時に出射したレーザービームLB
3aは、集光用レンズL2a、ミラーM6を介して無偏
光ビームスプリッタ260Aに入射される。一方、レー
ザービームLB2bは、集光用レンズL1bを介してデ
ィジタルAOM250に入射される。そして、ディジタ
ルAOM250のON時に出射したレーザービームLB
3aは、集光用レンズL2bを介して無偏光ビームスプ
リッタ260Aに入射される。無偏光ビームスプリッタ
260Aに入射した両レーザービームLB3a、LB3
bは、当該無偏光ビームスプリッタ260A及びその後
ミラーM7を介して入射される偏光ビームスプリッタ2
60Bによって合成される。
【0061】その後、レーザービームLB4a、LB4
bは、第1エキスパンダEP1によりビーム間隔が狭め
られた上で、AOD270に入射される(図7参照)。
AOD270における動作は既述した通りである。尚、
第1エキスパンダEP1を構成するロッドレンズL3及
びシリンドリカルレンズL4のレンズ間距離は、いわゆ
る「AODのシリンドリカル効果」を打ち消すために適
切に調整されている。この「AODのシリンドリカル効
果」とは、AODに平行ビームを入射した場合に、AO
Dの掃引信号の周波数が一定の場合には回折光も平行ビ
ームとなるのに対して、AODの掃引信号の周波数が変
化する場合には回折光は平行ビームとはならず、ある拡
がりを持つことになるという現象である。そこで、この
様な現象によるフォーカス位置の位置ズレ発生を未然に
防止する目的で、上記レンズ間距離を変えることにより
絞られ気味のレーザービームLB4a、LB4bをAO
D270に入射し、回折されたレーザービームLB5
a、LB5bそれぞれが平行に出射される様にしたもの
である。
【0062】一方、AOD270より出射されたレーザ
ービームLB5a、LB5bは、第2エキスパンダEP
2によりビーム間隔が拡げられた上で、スキャンレンズ
L7に入射される。即ち、レーザービームLB5a、L
B5bは、第2エキスパンダEP2のロッドレンズL6
を中心に角度θの拡がりを有しており、スキャンレンズ
L7を出射したレーザービームLB5a、LB5bは、
44μm程度のビーム間隔hを有する相互に平行なビー
ムとなる(図7)。
【0063】最後に、スキャンレンズL7より出射した
レーザービームLB5a、LB5bは、ミラーM8を介
して既述した描画ヘッド33に導かれる。即ち、レーザ
ービームLB5a、LB5bは、ペチャンプリズムP
Z、リレーレンズL8を介して対物レンズL9へ入射さ
れる。このときのレーザービームLB5a、LB5bの
ビーム間隔は22μm程度であり、各ビームLB5a、
LB5bのビーム径(直径)は20μmである。このビ
ーム間隔は、2本のビームが互いに干渉しないために必
要なビーム間隔20μmを満足するものである。その
後、両ビームLB5a、LB5bは、対物レンズL9に
設定されている所定の倍率に応じてビーム径が縮小され
た上で、感材1へ照射される。尚、本実施例では、対物
レンズL9の倍率として3種類の倍率(2倍、5倍、1
0倍)が用意されている。ここで、対物レンズL9に入
射した際のレーザービームLB5a、LB5bのビーム
径は20μmであるので、倍率を2倍とした場合には各
ビームLB5a、LB5bのビーム径は10μmに縮小
される。同じく倍率をそれぞれ5倍、10倍とした場合
には、ビーム径はそれぞれ4μm、2μmとなる。尚、
以後の説明においては、走査光学系200に於ける倍率
は10倍(ビーム径2μm)であるものとして取り扱わ
れている。又、ビーム径とは、レーザービームのビーム
ウエストの直径を意味している。
【0064】又、描画ヘッド33内には、図6に例示す
る様に、対物レンズL9より出射したレーザービームL
B5a、LB5bを感材1上に常にフォーカスするため
のオートフォーカス検出系(レーザーダイオードLD、
位置検出装置PSD)が備えられている。
【0065】C.描画制御装置の電気的構成 (C−1) 描画制御装置の全体構成 図8は、描画制御装置100の全体構成を周辺装置と共
に示したブロック図である。尚、本図には、アナログA
OM220、ディジタルAOM240、250及びAO
D270のそれぞれのドライバとして、アナログAOM
ドライバ221、ディジタルAOMドライバ241、2
51及びAODドライバ271が記載されているが、図
1においては、これらのドライバの記載は便宜上省略さ
れていた。
【0066】同図に示す通り、描画制御装置100は、
クロック110、走査信号発生部120、アナログAO
M制御部130、ディジタルAOM制御部140、15
0、掃引信号発生部160、ラスター変換部170及び
モーターコントローラ180を有している。先ずクロッ
ク110より発したシステムクロックSCLK(20M
Hz)は、走査信号発生部120に入力される。走査信
号発生部120は、システムクロックSCLKに基づき
データスタート信号DST、DDR及び走査開始信号S
Tを作成し、データスタート信号DSTをアナログAO
M制御部130及び掃引信号発生部160へ出力すると
ともに、データスタート信号DST及び走査開始信号S
TをディジタルAOM制御部140、150へ出力す
る。又、システムクロックSCLKは、ディジタルAO
M制御部140及び150にも入力される。
【0067】一方、CPU310は、CCDカメラ50
により測定された光量データVPに基づきアナログ変調
制御信号VA用のデータを補正し、その補正後のデータ
をデータバス350を介してアナログAOM制御部13
0に送信する。又、CPU310は、掃引信号発生部1
60に対してもデータバス350を介して掃引信号V
T、VMに関するデータを送信する。
【0068】各部130、140、150、160の概
略動作は、次の通りである。先ず、アナログAOM制御
部130は、データスタート信号DSTのタイミングに
基づき記憶するアナログ変調制御信号VA用のデータを
読み出し、アナログ変調制御信号VAを作成する。そし
て、アナログ変調制御信号VAをアナログAOMドライ
バ221へ出力する。アナログAOMドライバ221
は、アナログ変調制御信号VAをドライブ信号として適
したアナログ変調制御信号VA1に変換する。
【0069】又、ディジタルAOM制御部140は、走
査開始信号STに応じてスタンバイ状態となり、その
後、ラスター変換部170より送られてきたラスター信
号SVRa(アナログ信号)をデータスタート信号DS
Tのタイミングでドット信号DOT1(ディジタル信
号)に変換する。その後、ドット信号DOT1は、ディ
ジタルAOMドライバ241によりドライブ信号として
適したディジタル変調制御信号VDaに変換される。
尚、ディジタルAOM制御部150もまた、同様の動作
をする。これらのラスター信号SVRa、SVRbは、
ラスター変換部170により画像信号SVからラスター
変換されて作成された信号である。
【0070】又、掃引信号発生部160は、記憶する掃
引信号VT、VMに関するデータをデータスタート信号
DSTのタイミングで読み出し、掃引信号VT、VMを
作成するとともに、掃引信号VT、VMをAODドライ
バ271に出力する。AODドライバ271は、掃引信
号VT、VMをドライブ信号として適した掃引信号VS
に変換する。
【0071】各部の概略動作は、以上の通りである。以
下においては、各部の詳細な構成について説明する。
【0072】(C−2) クロック 図9は、クロック110の構成を示したブロック図であ
る。同図に示す通り、クロック110は、ECL発振器
111と分周器112とから構成される。ここでECL
発振器111は、200MHzのECLクロックCLK
を発振する発振器である。そしてECLクロックCLK
は分周器112に入力され、20MHzのシステムクロ
ックSCLKに分周される。尚、原振であるECLクロ
ックCLKもまた、随時、クロック110より取り出せ
る様に設定されている。
【0073】(C−3) 走査信号発生部 図10は、走査信号発生部120の構成を示したブロッ
ク図である。この走査信号発生部120は、レーザー測
長器40より送られて来る位置情報信号Sy(位置パル
ス)から走査開始信号ST及びデータスタート信号DS
T、DDRを作成するためのユニットである。
【0074】先ず、位置情報信号Syは測長パルス補正
回路121により所定の補正を受けた後、ALU(Arit
hmatic Logic Unit)122に入力される。このALU1
22は、レジスタ124に保持されている変換則RUL
に基づき、パルス単位系(時間)で表された補正済み位
置情報信号Sys から長さ(μm)の単位系で表される
信号に変換した上で、走査スタートパルスSPを走査信
号コントローラ123に出力する。
【0075】又、位置情報信号Syは、Y軸位置カウン
タ125にも送られる。このY軸位置カウンタ125
は、位置情報信号Syより描画ヘッド33のY方向に於
ける現在位置を検出しており、描画ヘッド33が予め定
められたY方向描画開始位置(走査原点)に達したこと
を検出したときに、1ストライプ走査のY方向スタート
パルスYSPを走査信号コントローラ123に出力す
る。
【0076】次に、走査信号コントローラ123は、Y
方向スタートパルスYSPがアサートされた時点で初め
て走査スタートパルスSPを出力できる状態となる。そ
して走査信号コントローラ123は、この時点より走査
信号用カウンタ126のカウントを開始し始め、システ
ムクロックSCLKのタイミングに同期してカウントア
ップしてゆく。ここで走査信号用カウンタ126のカウ
ント数は、アナログAOM制御部130が有するメモリ
(後述される。)のアドレス及び掃引信号発生部160
が有するメモリ(後述される。)のアドレスに対応して
いる。
【0077】そして走査信号用カウンタ126は、50
nsec.毎にそれらのメモリに格納されているデータ
を読み出すためのデータ読出信号DRを、システムクロ
ックSCLKのタイミングに同期してアナログAOM制
御部130及び掃引信号発生部160に出力する。又、
データ読出信号DRは、デコーダ127を介して走査信
号コントローラ123にフィードバックされる。
【0078】ここで、デコーダ127には、予め最初の
描画点P1に相当するカウント数S(後述するアナログ
AOM用メモリ131のアドレスSに対応している。)
が与えられている。そして、データ読出信号DRが示す
カウント数が当該カウント数Sに等しくなった時点で、
デコーダ127は、データスタート信号DSTをディジ
タルAOM制御部140及び150へ出力する。尚、走
査信号コントローラ123は、走査スタートパルスSP
を走査開始信号STとしてディジタルAOM制御部14
0、150へ出力する。
【0079】(C−4) アナログAOM制御部 図11は、アナログAOM制御部130の電気的構成を
データ処理部300と共に模式的に示したブロック図で
ある。ここでアナログAOM用メモリ131の各アドレ
スには、AOD270の回折効率の非線形性を補正する
ための1400個のアナログ変調信号補正データAME
Mが予め格納されている。これらのデータ格納処理は、
次の様にして行われる。
【0080】即ち、CCDカメラ50により測定された
1024個の描画点毎の光量データVPは、入力インタ
ーフェース330を介してCPU310へ伝送される。
CPU310は、これらの光量データVPに基づきアナ
ログ変調信号補正データAMEMを算出し、これらのデ
ータAMEMを出力インターフェース340を介してア
ナログAOM用メモリ131に出力する。これにより、
アナログ変調信号補正データAMEMが、アナログAO
M用メモリ131の対応するアドレスに記憶される。
尚、これらの補正データ算出方法の詳細に関しては、後
述される。次に、各構成要素の説明をする。
【0081】先ず、アナログAOM用メモリ131の各
アドレスに記憶されているアナログ変調信号補正データ
AMEMはデータスタート信号DSTのタイミングで
(50nsec.毎)順次読み出され、D/A変換器1
32によりアナログ信号に変換された上でPGA(Prog
ramable Gain Amp.)133に入力される。
【0082】ここで、PGA133のもう一方の入力端
に接続されているゲインレジスタ134には、アナログ
AOM220として利用される音響光学素子の様々な規
格の相違に対処できる様に、予め利得調整データがセッ
トされている。更に、同じくアナログAOM220の規
格の相違に対してPGA133のオフセットをコントロ
ールすることができる様に、予めオフセット補正データ
がオフセットレジスタ135に与えられており、アナロ
グ変調信号補正データAMEMは、D/A変換器136
を介してオフセット補正データにより補正される。
【0083】その後、アナログ変調信号補正データAM
EMは、ローパスフィルタ134に入力されて高調波成
分が濾波された上で、アナログ変調信号VAとしてアナ
ログAOMドライバ221ヘ出力される。この様にアナ
ログ変調信号VAは、システムクロックSCLKに同期
した信号である(20MHz)。
【0084】(C−5) ディジタルAOM制御部 図12は、ディジタルAOM制御部140の電気的構成
を模式的に示したブロック図である。尚、ディジタルA
OM制御部150の構成もディジタルAOM制御部14
0と同一であるため、それらの説明については割愛す
る。
【0085】ここでディジタルAOM制御部140は、
ラスター信号化された画像信号SVRaをシステムクロ
ックSCLKのタイミングでドット信号DOT1(ディ
ジタル信号)へ変換するユニットである。従って、画像
信号SVRaをシリアルに出力するために、画像信号S
VRaは先ずFIFOメモリに格納される。
【0086】次に、データ読出コントローラ141は、
走査開始信号STにより読出開始状態になる。
【0087】その後、データスタート信号DSTがデコ
ーダ127より発せられ、データ読出コントローラ14
1に入力されると、データ読出コントローラ141は、
データスタート信号DSTのタイミングに同期した画像
信号読出信号IRをFIFOメモリ142に出力する。
その結果、画像信号Raが、画像信号読出信号IRのタ
イミングでFIFOメモリ142より読出され、ドット
変換器143に送信される。
【0088】又、データ読出コントローラ141は、デ
ータスタート信号DSTに同期してドット数カウンタ1
44のカウントアップを行うとともに、画像信号読出信
号IRをドット変換器143に出力する。
【0089】その結果、ドット変換器143は、画像信
号読出信号IRのタイミングに同期してFIFOメモリ
142から順次出力される画像信号Ra(J)とRa
(J+1)との排他的論理和をとることにより、ON/
OFF信号であるドット信号DOT1を作成する。尚、
ドット変換器143自身は周知の技術を利用した装置で
あり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0090】(C−6) 掃引信号発生部 図13は、掃引信号発生部160の電気的構成をデータ
処理部300と共に模式的に示したブロック図である。
同図に示す通り、掃引信号発生部160は、掃引信号V
Tを作成する部分と掃引信号VMを作成する部分とに大
別される。
【0091】先ず、直線性補正用メモリ161には、予
め掃引信号VTに関する1400個の直線性補正データ
VTDが、出力インターフェース340を介してCPU
310により与えられている。これらの直線性補正デー
タVTDは、電圧制御発振器(VCO)166に於ける
制御電圧に対する周波数特性の非線形性を補正するため
の信号である。そして、直線性補正データVTDは、デ
ータスタート信号DSTのタイミングに応じて、即ち、
50nsec.毎に直線性補正用メモリ161より順次
読み出され、D/A変換器163aによりアナログ信号
に変換された上でPGA164aに入力される。ここで
PGA164aもまた、アナログAOM制御部130の
PGA133と同様に、AOD270の規格に応じてそ
のゲイン及びそのオフセットを補正するためのゲインレ
ジスト167a及びオフセットレジスト168aを有し
ている。
【0092】その後、PGA164aにより増幅された
直線性補正データVTDは、ローパスフィルタ165a
を介してVCO166に入力される。この直線性補正デ
ータVTDにより、VCO166の周波数特性はリニア
とされ、VCO166より掃引信号VTが発振される。
【0093】この様に掃引信号発生部160において
は、AOD270の一走査時間内に(70μse
c.)、1400個の直線性補正データVTDがシステ
ムクロックSCLKのタイミングで次々にD/A変換さ
れ、掃引信号VTが形成される。
【0094】一方、回折効率補正用メモリ162に関し
ても、掃引信号VMに関する1400個の回折効率補正
データVMDが、出力インターフェース340を介して
CPU310により予め与えられている。但し、これら
の回折効率補正データVMDは、AOD270の回折効
率の非線形性を完全に補正するためのデータではなく、
単にアナログ変調制御信号VAによるAOD270の回
折効率の非線形性補正を補助するための補正データにず
ぎない。従って、これらの回折効率補正データVMD
は、一定値とされている。
【0095】次に、回折効率補正データVMDもまた、
データスタート信号DSTのタイミングに応じて、50
nsec.毎に回折効率補正用メモリ162より順次読
み出され、D/A変換器163bによりアナログ信号に
変換された上でPGA164bに入力される。ここでP
GA164bもまた、同様の理由により、ゲインレジス
ト167b及びオフセットレジスト168bを有してい
る。そして、PGA164bにより増幅された回折効率
補正データVMDは、ローパスフィルタ165bを経
て、掃引信号VMとしてAODドライバ271に掃引信
号VTと共に出力される。
【0096】D. 走査方法 図14は、描画システム10における走査手順を示した
フローチャートである。以下、各ステップごとに、適宜
構成図面を参照しつつその走査手順を説明する。
【0097】(D−1) ステップS1 本ステップは、次のステップS2をも含めて、走査開始
のための準備ステップに相当する。先ず、走査に必要な
各種データが設定される。即ち、直線性補正データVT
D及び回折効率補正データVMDが、それぞれ直線性補
正用メモリ161及び回折効率補正用メモリ162にC
PU310より与えられる。
【0098】又、画像信号SVが、画像入力装置400
より、ラスター変換部170に入力される。更にラスタ
ー変換された画像信号SVRa、SVRbは、それぞれ
FIFOメモリ142、152に格納される。尚、これ
らのプロセスは、図示はしないが、CPU310によっ
てコントロールされている。
【0099】(D−2) ステップS2 本ステップでは、AOD270の回折効率の非線形性補
正に最適なアナログ変調制御信号VAが決定される。そ
の決定方法を、図15及び図16に示す。
【0100】 ステップS21〜S22 ステップS21〜S22では、アナログ変調制御信号V
AとアナログAOM220より出射されるレーザービー
ムLB1の光量との関係を測定を通じて求めた上で、測
定結果からアナログAOM設定値Mを決定する。具体的
には、次の通り行われる。
【0101】先ず、アナログAOM220に印加可能な
電圧範囲内にわたって適当なステップで取ったアナログ
AOM設定値VA0を、アナログAOM用メモリ131
の各アドレス(アドレス番号I:1〜1400)に設定
する。その様な設定はCPU310を通じて行われるこ
とは、既述した通りである。
【0102】次に、アナログAOM用メモリ131より
アナログAOM設定値VA0を順次読出して、アナログ
AOM設定値VA0によりアナログAOM220を駆動
する。そして、アナログAOM220より出射されるレ
ーザービームLB1の光量を、光検出器220Dにより
測定する。又、その様な測定を模式的に図示したのが、
図17である。ここで、光検出器220Dとしては、フ
ォトダイオードやCCDカメラ等が用いられる。
【0103】図18は、上記測定により得られるアナロ
グAOM設定値VAOとレーザービームLB1の光量と
の関係を示す図である。同図より明らかな通り、アナロ
グAOM設定値VAOとレーザービームLB1の光量と
の関係は、非線形となる。
【0104】そこで、ほぼ線形関係が成立するアナログ
AOM設定値VAOの範囲(図中、記号LRで示される
範囲)の中心値Mを、アナログ変換制御信号補正データ
VADの初期値に決定する。
【0105】以上述べたステップS21及びS22は、
次の様な技術的思想に基づいている。即ち、先ず、線形
範囲の中心値Mをアナログ変調制御信号補正データVA
Dの初期値として設定しておき、その後、その初期値M
を中心として線形範囲LR内でアナログ変調制御信号補
正データVADを遂次補正し、AOD270の回折効率
の非線形性を補正しようとするものである。従って、そ
のようなアナログ変調制御信号補正データVADより作
成されるアナログ変調制御信号VAに対しては、レーザ
ービームLB1の光量は常に線形に変化することにな
り、アナログAOM220自身の非線形性を考慮する必
要がなくなるのである。
【0106】 ステップS23 本ステップでは、アナログAOM用メモリ131のアド
レスIと描画点Piとの関係を決定する。
【0107】ここで、図20は、掃引信号VT、VMと
描画点Pi(走査点に該当)との関係を示した説明図で
ある。記述した通り、掃引信号VTは、直線性補正用メ
モリ161(アドレスI:1〜1400)に記憶されて
いる1400個の掃引信号データVTDにより、周波数
の値を1400回変化させる信号である。従って、AO
D270より出射されるレーザービームLB5は、本
来、1400個の偏向角を取り得ることができ、その結
果、1400個の描画点を形成することができることに
なる。
【0108】しかし、実際的には、X方向への一走査の
内、両端から数百点を除いた1024個の点が描画点P
i(i:1〜1024)として用いられる。従って、図
20に示す様に、描画点P1から描画点P1024まで
の間のみ、レーザービームLB5が走査される。そのた
め、アナログAOM用メモリ131のアドレスと描画点
Piとの関係付けをする必要があるわけである。これは
図19に示した手順で決定される。
【0109】i)ステップS231 先ず、アナログAOM用メモリ131の1400個のア
ドレスIの中から、任意に1つのアドレスを選ぶ。今、
その様なアドレスを、(S+N−1)とする。そして、
このアドレス(S+N−1)にのみ初期値Mを設定し、
それ以外のアドレスには全て0値を設定する。その様な
アナログAOM用メモリ131に記憶されたデータ内容
を、図21(a)に模式的に例示する。同図において、
数字1、2、3、…S、…1400は、各アドレスの番
号を示している。
【0110】ii)ステップS232 次に、この様な設定状態で実際にレーザービームLB5
を走査し、その光量をCCDカメラ50により測定す
る。即ち、図21(a)に示したアナログ変調制御信号
補正データVADよりアナログ変調制御信号VASをシ
ステムクロックSCLKのタイミングで作成し、当該信
号VASによりアナログAOM220を変調するととも
に、掃引信号VT、VMをシステムクロックSCLKの
タイミングでAOD270に印加して、レーザービーム
LB5をX方向に走査する。その際、1024個の描画
点Piについて一点ずつレーザービームLB4をオンさ
せながら、CCDカメラ50でレーザービームLB5の
描画点Piごとの光量を測定するのである。
【0111】その様な測定原理を示したのが、図22で
ある。但し、同図においては、CCDカメラ50を、測
定ごとに順次描画点Piへ移動させることにより、各描
画点Piにおける光量を求める方法が示されている。
【0112】しかし、実際にはCCDカメラ50は固定
されているため(CCDカメラ50の受光面は、感材1
と等価な位置にある。)、描画ヘッド33(ハウジング
32)を測定毎(一点毎)に移動して、レーザービーム
LB5がCCDカメラ50の受光面に入射する様に行っ
ている。その様な描画ヘッド33の移動は、既述した移
動機構により行われる。尚、CCDカメラ50の受光面
は、10個分の描画点Piのそれぞれに対応するレーザ
ービームLB5を受光できるだけのスペースを有してい
るので、10個分の描画点に関する光量を測定する毎
に、描画ヘッド33を移動してゆく様にしてもよい。
【0113】iii)ステップS233 図21(b)は、上記光量測定により得られる結果を示
した図である。尚、これらの結果は、アナログ変調制御
信号補正データVADが図21(a)に示した内容であ
ったことから、当然に導き出される結果である。即ち、
アナログAOM用メモリ131のアドレス(S+N−
1)に対応する描画点Pi(この描画点Piを描画点P
Nとする。)においてのみ、光量スペクトルが検出され
る。
【0114】以上の関係より、第1番目の描画点P1に
対応するアナログAOM用メモリ131のアドレスSが
決定されることになる。
【0115】 ステップS24〜S25 次に、アナログAOM用メモリ131の全てのアドレス
Iに、初期値Mを設定する(S24)。このときのアナ
ログAOM用メモリ131に記憶された状態を、図23
(a)に模式的に示す。
【0116】そして、再び、レーザービームLB3を描
画点Piごとにオンさせながら、CCDカメラ50によ
り描画点Pi毎のレーザービームLB5の光量を測定す
る(S25)。この場合、アナログAOM220は常に
その電圧値が一定値Mであるアナログ変調制御信号VA
(第1のアナログ変調制御信号に相当)により変調され
ているため、描画点Pi毎の光量測定結果には、AOD
270の回折効率の非線形性による影響が如実に現われ
ることになる。
【0117】尚、図23(b)は、このときの光量測定
結果(光量測定データVP)を例示した図である。
【0118】 ステップS26〜S28 ステップS26からS28までの各ステップは、CCD
カメラ50により測定された光量測定データVPに基づ
き、CPU310内で行われる一連の計算処理を表して
いる。
【0119】まず、光量測定データVPより、各描画点
Piごとにズレ量Z(i)を算出する(S26)。そし
て、算出された1024個のズレ量Z(i)は、メモリ
320に格納される。
【0120】ここで、i番目(i:1〜1024)の描
画点Piに於ける光量測定データVPをVP(i)と表
すものとすれば、ズレ量Z(i)とは、Z(i)=T/
VP(i)で表される量である。即ち、目標光量Tを描
画点Piにおける実際の光量で割った値である。尚、こ
の目標光量Tに関するデータは、予めメモリ320内に
記憶されている。又、描画点Piの記号iとアナログA
OM用メモリ131等のアドレスIとの関係は、I=i
+S−1で表される。
【0121】次に、描画点Pi毎に、光量補正値H
(i)を算出する(S27)。この算出は、次の様にし
て行われる。
【0122】先ず、CPU310は、アナログAOM用
メモリ131のアドレス(i+S−1)に記憶されてい
るアナログ変調制御信号補正用データVAD(i+S−
1)、即ち、初期値Mを読み出すとともに、i番目のズ
レ量Z(i)をもメモリ320より読出す。そして、C
PU310は、H(i)=VAD(i+S−1)×Z
(i)=M×Z(i)で表される光量補正値H(i)を
算出する。尚、これらの一連の処理は、全ての描画点P
iについて行われる。
【0123】又、本ステップ27により求められた光量
補正値H(i)は、既にアナログAOM用メモリ131
に格納されているアナログ変調制御信号補正用データV
AD(i+S−1)に代わる信号である。
【0124】その後、各光量補正値H(i)は、それぞ
れ対応するアナログAOM用メモリ131のアドレス
(i+S−1)に、新たなアナログ変調制御信号補正用
データVAD(i+S−1)として記憶される(S2
8)。
【0125】ここで、図24(a)は、ステップS28
により更新されたアナログAOM用メモリ131の記憶
内容を模式的に示した図である。尚、同図においては、
アドレス(i+S−1)に格納された新たなアナログ変
調制御信号補正データVAD(i+S−1)は、記号M
(i+S−1)で表されている。即ち、各アドレスS
(S+1)、…、(S+1023)におけるデータVA
D(S)、VAD(S+1)、…、VAD(S+102
3)は、それぞれM1、M2、…、M1024で表され
る。但し、描画点Piに対応しないアドレス(1〜(S
−1)、(S+1024)〜1400)に関しては、デ
ータの更新は行われないので、依然、初期値Mが格納さ
れている。
【0126】 ステップS29〜S210 次に、新たなアナログ変調制御信号補正データVADを
用いて、再び描画点Pi毎にレーザービームLB3をオ
ンしながらレーザービームLB5を走査し、描画点Pi
毎の光量を測定する(S29)。尚、光量測定は、記述
した通りである。
【0127】更に、CCDカメラ50により得られた光
量測定データVP(i)(アドレスiに関するデータ)
に基づき、再度、ズレ量Z(i)を算出する(S21
0)。
【0128】 ステップS211 ステップS210で算出されたズレ量Z(i)が許容範
囲内にあるか否かが、CPU310内において判定され
る。
【0129】i) 全ての描画点Piにおいて、ズレ量
Z(i)が許容範囲内にないとき、即ち、各ズレ量Z
(i)が許容値δに対してZ(i)≦δを満足しないと
判定された場合には、ステップS27に再び戻り、一連
のステップS27からS211までを繰返す。
【0130】即ち、Z(i)>δの場合には、ステップ
S27及びS28で設定された新たなアナログ変調制御
信号補正データVADは最適なデータではないため、更
にアナログ変調制御信号補正データVADを補正するの
である。この様なステップS27〜S211を繰返すこ
とによって、AOD270の回折効率の非線形を完全に
補正することができるアナログ変調制御信号補正データ
VADを決定することができる。
【0131】ii) 一方、各ズレ量Z(i)が全てZ
(i)≦δを満足している場合には、そのときにおける
アナログ変調制御信号補正データVADは、各描画点P
iにおける光量を許容範囲(P0 −Δ/2)〜(P0 +
Δ/2)内に保つことができる最適な補正データとなっ
ており、ステップS2における一連の手順は終了する。
【0132】尚、この場合の各描画点Piに於ける光量
を、図24(b)に例示する。
【0133】(D−3) ステップS3 前ステップにより最適なアナログ変調制御信号VA(第
2のアナログ変調制御信号に相当)が決定されたので、
本ステップ3においては、走査が開始される。
【0134】ここで図27は、描画システム10を用い
て感材1に描画を行う場合の感材1と描画ヘッド33と
の相対的な動きを示した図である。但し、仮想線Y0
は、描画ヘッド33の(±X)方向の移動経路位置を示
している。
【0135】先ず、同図(a)に示す様に、描画ヘッド
33が感材1の左下隅付近の走査開始位置(走査原点)
に来る様に、感材1がY方向に移動される。そして、走
査が開始される。
【0136】(D−4) ステップS4〜S5 走査は、レーザービームLB5a、LB5bをX方向へ
走査しつつ感材1を±Y方向へ送ることにより行われ
る。尚、感材1を+Y方向又は−Y方向へ送りながらX
方向へ走査しても、各描画点Piは走査線L上から外れ
ることなく一列に形成される様に、本描画システム10
は設定されている。その様な技術は、本出願人の出願に
係る特願平1−140099の文献に開示されているの
で、ここでは説明を省略する。
【0137】ここでは、X方向への走査と(±Y)方向
への走査とに分けて説明する。
【0138】 X方向の走査 図25は、各制御信号VT,VAのタイミングを示すタ
イミングチャートである。同図において、(a)は掃引
信号VTを、(b)はレーザー測長器40より発せられ
るY方向の位置情報信号Syを、(c)はアナログ変調
制御信号VAを、(d)はドット信号DOT1を、
(e)は時間軸を示している。
【0139】又、時刻T1からT1Eまで、時刻T2か
らT2Eまで、時刻T3からT3Eまでの各時間が、X
方向への掃引時間T0である。従って、時刻T1Eから
T2、時刻T2EからT3、時刻T3EからT4までの
時間は、描画ヘッド33の±Y方向への移動時間に相当
している。又、時刻t1Sからt1E,時刻t2Sから
t2E,時刻t3Sからt3E,時刻t4Sからt4E
までの各時間が、X方向へのレーザービームLB5の走
査時間に相当している。尚、以下の説明では、便宜上、
時刻T1から時刻T1Eまでの一つの掃引時間内に限る
ことにする。
【0140】まず、Y方向の位置情報信号Syが、時刻
T1においてLレベルからHレベルに立上がる。即ち、
時刻T1が、X方向の走査開始時刻となる。そして、位
置情報信号Syの立上がりに同期して、掃引信号VTの
周波数変化が開始する。この掃引信号VTは、時刻T1
から時刻T1Eまでの間に、最大周波数fmax から最小
周波数fmin まで変化する。
【0141】更に、アナログ変調制御信号VAもまた、
掃引信号VTに同期して、時刻T1から時刻T1Eまで
出力される。しかし、ドット信号DOTは、時刻T1か
ら時刻t1Sまでの時間内はLレベルにあるため、レー
ザービームLB5は感材1上を走査されない。
【0142】一方、時刻t1Sから時刻t1Eまでの間
は、ドット信号DOT1は、画像信号SVを反映したパ
ルス信号として出力され、レーザービームLB5が感材
1上を走査される。即ち、時刻t1S及びt1Eにおけ
る感材1上のビーム位置が、それぞれ描画点P1及びP
1024である。
【0143】ここで、図26は、時刻T1から時刻t1
4までの時間内で、各制御信号VA等のタイミングをよ
り詳細に示したタイミングチャートである。本図によ
り、各制御信号VA,VDa及び掃引信号VTが走査時
間中システムクロックSCLKに同期して変化すること
が、一層明確に例示されることになる。
【0144】同図に示す通り、時刻T1から時刻t1S
までは、アナログ変調制御信号VAは一定値Mである。
【0145】今、ディジタル変調制御信号VDaが図2
6(d)の様に変化するものとすれば、時刻t1Sでは
周波数f1に対応した偏向角でレーザービームLB5が
AOD270より出射され、レーザービームLB5は描
画点P1にて感材1を露光する。その際、アナログ変調
制御信号VAは初期値Mから最適値V1に変化してお
り、アナログAOM220は、描画点P1におけるレー
ザービームLB5の光量が光量(P0 −Δ)から光量
(P0 +Δ)の範囲内となる様に、レーザービームLB
の光量を制御する。尚、許容値Δは、光量の中心値P0
に比べて十分に小さな値である。
【0146】次に、時刻t12では、レーザービームL
B5が周波数f2に対応した偏向角でAOD270より
出射され、描画点P2において感材1を露光する。その
際、アナログ変調制御信号VAは最適値V2に変化して
おり、同じくアナログAOM220は、描画点P2にお
けるレーザービームLB5の光量が光量(P0 −Δ)か
ら光量(P0 +Δ)の範囲内となる様に、レーザービー
ムLBの光量を制御する。以下、時刻t13,t14に
おいても同様に、アナログAOM220は、描画点P
3,P4におけるレーザービームLB5の光量を一定化
する様に機能する。
【0147】図25(f)は、同図(a)〜(d)に例
示した各信号の変化に応じて感材1上に形成されるレー
ザービームLB5aのビームスポットを例示したもので
ある。これらのビーム光量は、上記した通り、常に光量
(P0 −Δ)から光量(P0 +Δ)の範囲内となる。
【0148】 (±Y)方向の走査 感材1は、描画の開始と共に(−Y)方向へ送られる。
その様な状態を示したのが、図27(b)である。従っ
て、最初のストライプに関する描画はY方向へ進行し、
感材1上の(−Y)方向への送りが完了した時点では、
図27(c)に示した状態となっている。
【0149】次に、描画ヘッド33が、X方向に所定距
離ΔXだけ移動する(同図(d))。この距離ΔXは、
ストライプ間の相互配列間隔に等しい距離に設定されて
いる。
【0150】その後、感材1が逆にY方向に送られ、こ
れにより第2番目のストライプについての描画が完了す
る(同図(e))。
【0151】以後、同様の往復走査が他のストライプに
ついても繰返され(同図(f))、最終的には描画エリ
ア内に所望の画像が記録された状態となって、走査が終
了する(ステップS5)。
【0152】E. 変形例 (E−1) 本描画システム10では、アナログ変調制
御信号補正データVADの初期値設定に当り(図15の
ステップS24)、アナログAOM用メモリ131の各
アドレスIに一律に一定値Mを設定した。
【0153】しかし、本方法を繰返し行えば、アナログ
変調制御信号VAを適正化するための最適なアナログ変
調制御信号補正データVADに関するデータが蓄積され
ることとなるので、これらのデータを基にすれば、設定
すべき最適な初期値をある程度予測できる様になる。
【0154】即ち、ステップS24においては、その様
な予測に基づき、アナログAOM用メモリ131のアド
レス毎に異なる初期値を設定した上で、その後のステッ
プを続行する様にしても良い。この場合には、ステップ
S26で算出した最初のズレ量Z(i)が、既に許容値
δに対して、Z(i)≦δを満足している場合も生じ
る。この場合には、初期値(第1のアナログ変調制御信
号)そのものが、最適なアナログ変調制御信号(第2の
アナログ変調制御信号)であると決定される。
【0155】(E−2) 本走査光学系200では、2
台のディジタルAOM240、250にそれぞれディジ
タル変調信号VDa、VDbを印加することにより、レ
ーザービームLB2a、LB2bのオン・オフを制御し
ていたが、これに限られるものではない。
【0156】即ち、図28に示す様に、レーザー発振器
210として半導体レーザーを用いる場合には、ドット
信号作成部190において作成されたドット信号により
半導体レーザーを直接オン・オフすることができる様に
なるので、ディジタルAOM240、250が不要とな
る。このドット信号作成部190は、図8のディジタル
AOM制御部140、150に相当するものである。但
し、この場合には、2台の半導体レーザーLDa、LD
bが必要となる。
【0157】(E−3) 以上の実施例では、主とし
て、レーザービームLB5を高速走査する場合(本実施
例では、走査時間70μsec.)に関していた。しか
し、本発明は、高速走査のみならず、従来技術の適用範
囲である低速走査の場合にも適用できることは明らかで
ある。この場合も、各描画点における光量は一定値とな
る。
【0158】(E−4) 本実施例では、2本のレーザ
ービームLB5a、LB5bを走査する場合について関
していたが、これに限定されるものでもない。即ち、1
本のレーザービームLB5aの走査のみによって描画す
るようにしてもよい。この場合には、ビームスプリッタ
等が不要となる。又、3本以上の複数のレーザービーム
を走査する様にしてもよい。この場合には、レーザービ
ームの本数に対応した数のディジタルAOMを用意する
必要がある。
【0159】
【発明の効果】この発明によれば、回折効率が非線形性
となる光偏向器の偏向制御信号を直接補正するのではな
く、光変調器の変調制御信号を補正することによって、
光偏向器に入射する光ビームの光量を補正するようにし
たので、容易に光偏向器の回折効率の非線形性を補正す
ることができる。その結果、本発明は、光偏向器によっ
て走査される光ビームの光量を走査範囲にわたって常に
一定化することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査光学系の主要構成部分を示したブロック図
である。
【図2】この発明の一実施例である描画システムの機械
的構成を示した斜視図である。
【図3】描画システムの電気的構成を模式的に示した構
成図である。
【図4】描画システムにおける描画の基本的原理を示し
た説明図である。
【図5】走査光学系の光学的構成を具体的に示した構成
図である。
【図6】走査光学系の光学的構成を具体的に示した構成
図である。
【図7】走査光学系の光学的構成を具体的に示した構成
図である。
【図8】描画制御装置の全体構成を示したブロック図で
ある。
【図9】クロックの構成図である。
【図10】走査信号発生部の電気的構成図である。
【図11】アナログAOM制御部の電気的構成図であ
る。
【図12】ディジタルAOM制御部の電気的構成図であ
る。
【図13】掃引信号発生部の電気的構成図である。
【図14】描画システムにおける走査手順を示したフロ
ーチャートである。
【図15】最適なアナログ変調制御信号の決定方法を示
したフローチャートである。
【図16】最適なアナログ変調制御信号の決定方法を示
したフローチャートである。
【図17】アナログAOMより出射されるレーザービー
ムの光量測定を模式的に示した説明図である。
【図18】アナログAOM設定値とレーザービームの光
量との関係を示す説明図である。
【図19】アナログAOM用メモリのアドレスと描画点
との関係を決定するための手順を示したフローチャート
である。
【図20】掃引信号と描画点との関係を示した説明図で
ある。
【図21】アナログAOM用メモリのデータと光量測定
結果との関係を示した説明図である。
【図22】CCDカメラによる光量測定原理を示した説
明図である。
【図23】アナログAOM用メモリのデータと光量測定
結果との関係を示した説明図である。
【図24】更新されたアナログAOM用メモリのデータ
と光量測定結果との関係を示した説明図である。
【図25】各制御信号のタイミングを示したタイミング
チャートである。
【図26】各制御信号のタイミングを示したタイミング
チャートである。
【図27】感材と描画ヘッドとの相対的動きを示した説
明図である。
【図28】走査光学系の実施例を示したブロック図であ
る。
【図29】AOMとAODとにおける超音波の特性を比
較説明した説明図である。
【図30】AODにおける超音波と入射レーザービーム
との関係を示した説明図である。
【図31】従来の走査光学系の構成を示したブロック図
である。
【符号の説明】
1 感材 100 描画制御装置 200 走査光学系 210 レーザー発振器 220 アナログAOM 270 AOD LB5 レーザービーム VA アナログ変調制御信号 VT 掃引信号 VM 掃引信号 SCLK システムクロック 131 アナログAOM用メモリ 50 CCDカメラ 161 直線性補正用メモリ 162 回折効率補正用メモリ VAD アナログ変調制御信号補正データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 典雄 京都市南区久世築山町465番地の1 大日 本スクリーン製造株式会社久世工場内 (72)発明者 足立 禎秀 京都市南区久世築山町465番地の1 大日 本スクリーン製造株式会社久世工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光変調素子を介して光偏向素子に光ビー
    ムを入射することにより光ビームを走査する光ビーム走
    査方法であって、 (a) 前記光偏向素子及び前記光変調素子にそれぞれ
    所定の偏向制御信号及び前記所定の偏向制御信号に同期
    した第1の変調制御信号を印加し、前記光偏向素子より
    出射される光ビームの光量を走査範囲内の各走査位置に
    ついて測定するステップと、 (b) 前記ステップ(a)により測定された各光量と
    目標光量とを走査位置毎に比較し、当該比較結果が許容
    範囲内にあるか否かを判定するステップと、 (c) 前記ステップ(b)に於いて前記許容範囲内に
    ないと判断された場合には、前記比較結果に基づき前記
    第1の変調制御信号を補正することにより前記所定の偏
    向制御信号に同期した新たな第1の変調制御信号を作成
    し、当該新たな第1の変調制御信号を用いて前記ステッ
    プ(a)及び前記ステップ(b)を繰り返すステップ
    と、 (d) 前記ステップ(b)の最初の実行に於いて前記
    許容範囲内であると判断された場合には前記第1の変調
    制御信号を、また前記ステップ(b)の2回目もしくは
    それ以後の実行において前記許容範囲内であると判断さ
    れた場合には前記新たな第1の変調制御信号を、それぞ
    れ第2の変調制御信号に決定するステップと、 (e) 前記光偏向素子及び前記光変調素子にそれぞれ
    前記所定の偏向制御信号及び前記第2の変調制御信号を
    印加することにより、光ビームを走査するステップと
    を、 備えたことを特徴とする光ビーム走査方法。
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