JPH0519886Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、書込み自在のデイスク（Writable
Disc）と称される光デイスクや光磁気デイスク
の如き記録（書込み）及び再生（読取り）の両方
が可能なデイスク状光記録媒体を用いるのに最適
な光デイスクカートリツジに関するものである。

〔考案の概要〕

本考案は、合成樹脂から形成されたデイスク状
光記録媒体と、合成樹脂から形成された上下一対
のハーフにより構成され上記デイスク状光記録媒
体を収納させたカートリツジとから成り、上記デ
イスク状光記録媒体を上記上下一対のハーフ内の
上下方向におけるほヾ中間位置に保持して、この
デイスク状光記録媒体に対する記録、再生を行う
ように構成した光デイスクカートリツジにおい
て、上記上下一対のハーフの内面を、これら各ハ
ーフの中央部側から外周部側に行くに従つて次第
に肉厚が薄くなるようなほヾ円錐台形状の傾斜面
に構成することにより、カートリツジの成形性を
確保することができて、カートリツジの上下方向
の厚みを薄くしても、デイスク状光記録媒体の回
転中にその外周部が上下ハーフの内面に当接する
恐れがなく、さらに、上下ハーフの中央部の剛性
を向上させることができるようにしたものであ
る。

〔従来の技術〕

周知の如く、光デイスクや光磁気デイスクの如
き書込み自在のデイスク状光記録媒体は、指紋
（油）やゴミ等の付着があると、記録、再生にエ
ラーを発生し易いので、従来から専用カートリツ
ジ内に収納している。

第２図及び第３図は上記書込み自在のデイスク
状光記録媒体（以下、単に「デイスク」という）
を用いた従来の光デイスクカートリツジを示した
ものであつて、ポリカーボネート樹脂等にて成形
されたデイスク１がポリカーボネート樹脂等にて
成形された上下ハーフ２，３からなるカートリツ
ジ４内に収納されている。なお上下ハーフ２，３
はデイスク１の外周部１ａから外れた外周部２
ａ，３ａで複数のビス５によるビス止め等によつ
て上下から一体に結合されている。そして上下ハ
ーフ２，３の中央部２ｂ，３ｂには円形のターン
テーブル挿入孔６が設けられ、これらの一側部で
中央部２ｂ，３ｂから外周部２ａ，３ａにかけて
長方形の光学ヘツド挿入孔７が設けられている。
なおこれら光学ヘツド挿入孔７はステンレス板等
にてプレス加工等された断面ほぼコ形をなすシヤ
ツター８によつて開閉されるように構成されてい
る。そしてこのデイスクカートリツジがデイスク
プレーヤーに装着されると、ターンテーブル挿入
孔６内に挿入されたターンテーブル上にデイスク
１が装着されて、このデイスク１が上下ハーフ
２，３の上下ほぼ中間位置に浮かされて上下ハー
フ２，３に対して非接触状態となると共に、シヤ
ツター８が開蓋されて光学ヘツド挿入孔７内に挿
入された光学ヘツドがデイスク１に近接される。
そしてターンテーブルによつてデイスク１を高速
回転しながら光学ヘツドによつてデイスク１を半
径方向に走査して所望の記録、再生が行われる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この種従来の光デイスクカートリツジで、特
に、直径が30cmの大型のデイスク１を用いるもの
では、次のような問題点があつた。

即ち、上下ハーフ２，３は金型によつてポリカ
ーボネート樹脂等にて射出成形されるものである
が、従来はその射出成形された上下ハーフ２，３
に第３図に示す如き中央部２ｂ，３ｂ側が上下内
側に凹んでしまうような反りが生じ易かつた。こ
れは、上下ハーフ２，３を射出成形する際の金型
への溶融樹脂の射出ゲート９をデイスク１の外周
部１ａから外れた外周部２ａ，３ａの四隅に設け
る必要があるのに対して、上下ハーフ２，３の肉
厚t₁が外周部２ａ，３ａから中央部２ｂ，３ｂに
かけて一定であるために、金型内に射出された溶
融樹脂の外周部２ａ，３ａから中央部２ｂ，３ｂ
への回りが悪い（溶融樹脂の流れが円滑でないこ
と。）ことに起因する成形歪みによつて生じる反
りである。なお、複数の射出ゲート９を上下ハー
フ２，３の外周部２ａ，３ａと中央部２ｂ，３ｂ
とのほぼ中間位置であるデイスク１の投影面積内
に配置すれば、金型内に射出された溶融樹脂の回
りが良くなつて上記の成形歪みを或る程度改善す
ることが出来る。しかしながら周知の如く、各射
出ゲート９部分では上下ハーフ２，３の上下内面
２ｃ，３ｃに樹脂溜りによる凸部９ａが必ず形成
される関係で、複数の射出ゲート９をデイスク１
の投影面積内に配置すると、上記複数の凸部９ａ
がデイスク１に上下から当接してしまう。従つ
て、複数の射出ゲート９は必ずデイスク１の外周
から外れた外周部２ａ，３ａの四隅に設ける必要
があつた。

一方、ポリカーボネート樹脂等にて成形された
デイスク１には、必ず第３図に示す如き外周部１
ａが中央部１ｂに対して緩やかに垂れ下がつてし
まう反りが生じる。

従つて従来は、上述のように、上下ハーフ２，
３の中央部２ｂ，３ｂが第３図に示すように上下
内側に凹んでしまうから、デイスク１の中央部１
ｂが上下ハーフ２，３の中央部２ｂ，３ｂの内面
２ｃ，３ｃに当接しようとする。このために、デ
イスク１及び上下ハーフ２，３の反りの許容値
（許容される最大の反り）の下において回転中の
デイスク１が上下ハーフ２，３の上下内面２ｃ，
３ｃに当接しないようにするためには、カートリ
ツジ４の上下厚みh₁を厚くして上下ハーフ２，３
の上下内面２ｃ，３ｃとデイスク１の上下面１ｃ
との間に十分な隙間g₁を形成する必要があつた。
なお、カートリツジ４の上下厚みが厚くなると、
カートリツジ４のオートチエンジヤー等において
50〜100枚もの多数のカートリツジ４をストツカ
ー内に収納する際の収納スペースが非常に大きく
なつてしまう問題がある。

また、この種デイスクカートリツジは、上下ハ
ーフ２，３の中央部２ｂ，３ｂにターンテーブル
挿入孔６が設けられている関係でその上下ハーフ
２，３の中央部２ｂ，３ｂの剛性が外周部２ａ，
３ａに比べて弱いという問題があつた。

なお、上下ハーフ２，３の肉厚t₁をその中央部
２ｂ，３ｂとほぼ同じ位に一様に厚くして、上下
ハーフ２，３の中央部２ｂ，３ｂが第３図に示す
ように上下内側に凹んでしまうような反りが生ず
るのを防止し、これによつて、カートリツジ４の
上下厚みh₁を薄くすることが考えられる。しか
し、この場合には、上下ハーフ２，３の上下内面
２Ｃ，３Ｃの間の上下方向における間隔がデイス
ク１の中央部１ｂと外周部１ａとでほヾ同じ位に
なるので、デイスク１に対して記録、再生を行う
ためにこのデイスク１を回転させているときに
も、デイスク１の外周部１ａが上下ハーフ２，３
の内面２Ｃ，３Ｃに接触する恐れが生じる。この
ために、デイスク１の円滑な回転が阻害され、さ
らには、デイスク１及びカートリツジ４に傷がつ
いたり、これらが破損したりする原因となる。

本考案は、カートリツジの成形性を確保するこ
とができて、カートリツジの上下の厚みを薄くし
ても、デイスク状光記録媒体の回転中にその外周
部が上下ハーフの内面に接触する恐れがなく、さ
らに、上下ハーフの中央部の剛性も向上させるこ
とができるようにするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、合成樹脂から形成されたデイスク状
光記録媒体と、合成樹脂から形成された上下一対
のハーフにより構成され上記デイスク状光記録媒
体を収納させたカートリツジとから成り、上記デ
イスク状光記録媒体を上記上下一対のハーフ内の
上下方向におけるほヾ中間位置に保持して、この
デイスク状光記録媒体に対する記録、再生を行う
ように構成した光デイスクカートリツジにおい
て、上記上下一対のハーフの内面が、これら各ハ
ーフの中央部側から外周部側に行くに従つて次第
に肉厚が薄くなるようなほヾ円錐台形状の傾斜面
に構成されていることを特徴とする光デイスクカ
ートリツジに係るものである。

〔作用〕

本考案は、第１図に示す如く、上下ハーフ２
２，２３の肉厚が外周部２２ａ，２３ａ側から中
央部２２ｂ，２３ｂ側に行くに従つて次第に厚く
なるように変化されており、その肉厚の変化はデ
イスク１の反りに丁度合うものである。そして上
下ハーフ２２，２３を金型によつてポリカーボネ
ート樹脂等にて射出成形する際に、金型内に射出
された溶融樹脂は上下ハーフ２２，２３の肉厚の
薄い外周部２２ａ，２３ａから肉厚の厚い内周部
２２ｂ，２３ｂへ円滑に流れるので、その際の成
形歪みが殆ど発生せず、上下ハーフ２２，２３の
中央部２２ｂ，２３ｂが第３図で示した従来例の
ように上下面側に凹んでしまうように反ることは
殆どない。

従つて本考案は、上下ハーフ２２，２３の成形
性を充分に確保することが出来るものであり、上
下ハーフ２２，２３に反りが殆ど発生しないの
で、デイスク１が上下ハーフ２２，２３の上下内
面２２ｃ，２３ｃに当接しないように、上下ハー
フ２２，２３の上下内面２２ｃ，２３ｃとデイス
ク１の上下面１ｃとの間に充分な〓間g₂を確保し
ながら、カートリツジ２４の上下厚みh₂を第３図
で示した従来例に比べて非常に薄くすることがで
きる。

また本考案は、上下ハーフ２２，２３のターン
テーブル挿入孔６が設けられている中央部２２
ｂ，２３ｂ側の肉厚が充分に厚いので、その上下
ハーフ２２，２３の中央部２２ｂ，２３ｂ側の剛
性を著しく向上させることができる。

〔実施例〕

以下、本考案を光デイスクや光磁気デイスク等
の書込み自在のデイスク状光記録媒体を用いたデ
イスクカートリツジに適用した一実施例を第１図
によつて説明する。なお第２図及び第３図に示し
た従来例と同一構造部には同一の符号を付してそ
の説明を省略した。

デイスク１を収納しているカートリツジ２４の
上下ハーフ２２，２３は従来例と同様に金型によ
つてポリカーボネート樹脂等にて射出成形された
ものである。なお従来例と同様に上下ハーフ２
２，２３はデイスク１の外周部１ａから外れた外
周部２２ａ，２３ａの四隅に設けられた射出ゲー
ト９から射出される溶融樹脂によつて射出成形さ
れている。そして上下ハーフ２２，２３の上下内
面２２ｃ，２３ｃ間の〓間が外周部２２ａ，２３
ａ側で大きな〓間g₃であり中央部２２ｂ，２３ｂ
側に行くに従つて次第に小さな〓間g₄になるよう
に、これら上下ハーフ２２，２３の肉厚が外周部
２２ａ側で薄い肉厚t₂であり中央部２２ｂ，２３
ｂ側に行くに従つて次第に厚い肉厚t₃になるよう
に変化させた形状に成形されている。

従つて、本考案のカートリツジ２４は、上下ハ
ーフ２２，２３の上下外面２２ｄ，２３ｄが水平
な平行面に成形されており、上下ハーフ２２，２
３の上下内面２２ｃ，２３ｃの中央部２２ｂ，２
３ｂが外周部２２ａ，２３ａに対して上下内側に
向かつて緩やかに膨出された上下対称形状の円錐
台形状に傾斜されており、その上下内面２２ｃ，
２３ｃの傾斜はデイスク１の外周部１ａが中央部
１ｂに対称して緩やかに垂れ下がつている反りに
丁度合うものである。なお図中の〓間g₂は上下ハ
ーフ２２，２３の上下内面２２ｃ，２３ｃとデイ
スク１の上下面１ｃとの間の〓間であり、厚みh₂
はカートリツジ２４の上下厚みである。

以上述べた本考案の実施例における作用は、前
記〔作用〕の項で述べたので省略する。

以上、本考案の一実施例に付き述べたが、本考
案は実施例に限定されることなく、本考案の技術
的思想に基づいて各種の有効な変更が可能であ
る。

例えば、本考案に用いるデイスクは両面記録の
デイスクなくても、片面記録のデイスクであつて
も良い。

また本考案は、書込み自在のデイスクを用いる
ものに限定されることなく、読み出しのみ行える
デイスクを用いた光デイスクカートリツジにも適
用可能である。

〔考案の効果〕

本考案は、カートリツジの成形性を確保でき
て、カートリツジを成形歪みが殆ど発生しないよ
うに極めて正確かつ容易に成形することができ
る。またカートリツジの上下方向の厚みを非常に
薄くすることができるので、光デイスクカートリ
ツジを多数収納する際の収納スペースを非常に小
さくすることができる。またカートリツジの上下
方向の厚みを非常に薄くし得るにもかかわらず、
デイスク状記録媒体の回転中にその外周部が上下
ハーフの内面に当接して、デイスク状光記録媒体
の円滑な回転を阻害したり、デイスク状光記録媒
体及びカートリツジに傷がついたり、これらが破
損したりする恐れがない。また上下ハーフの中央
部の剛性を著しく向上させることができるので、
耐久性及び信頼性の非常に高い光デイスクカート
リツジを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のデイスクカートリツジの一実
施例を示した要部の断面図である。第２図はデイ
スクカートリツジの従来例を示した全体の斜視
図、第３図は第２図−線断面図である。 なお図面に用いられた符号において、１……デ
イスク、２２……上ハーフ、２３……下ハーフ、
２２ａ，２３ａ……外周部、２２ｂ，２３ｂ……
内周部、２２ｃ，２３ｃ……内面、２４……カー
トリツジ、である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 合成樹脂から形成されたデイスク状光記録媒体
   と、 合成樹脂から形成された上下一対のハーフによ
   り構成され上記デイスク状光記録媒体を収納させ
   たカートリツジとから成り、 上記デイスク状光記録媒体を上記上下一対のハ
   ーフ内の上下方向におけるほヾ中間位置に保持し
   て、このデイスク状光記録媒体に対する記録、再
   生を行うように構成した光デイスクカートリツジ
   において、 上記上下一対のハーフの内面が、これら各ハー
   フの中央部側から外周部側に行くに従つて次第に
   肉厚が薄くなるようなほヾ円錐台形状の傾斜面に
   構成されていることを特徴とする光デイスクカー
   トリツジ。