JPH05196747A - 時計の二番車 - Google Patents

時計の二番車

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JPH05196747A
JPH05196747A JP21078792A JP21078792A JPH05196747A JP H05196747 A JPH05196747 A JP H05196747A JP 21078792 A JP21078792 A JP 21078792A JP 21078792 A JP21078792 A JP 21078792A JP H05196747 A JPH05196747 A JP H05196747A
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JP
Japan
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shaft
wheel
pinion
shaft portion
gear
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JP21078792A
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Inventor
Takashi Watanabe
貴志 渡辺
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Casio Computer Co Ltd
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合成樹脂製の軸部11aに合成樹脂製の歯車
部11cをスリップ可能に一体化する時計の二番車11
において、適度で安定したスリップトルクを得ることが
できるようにする。 【構成】 合成樹脂製で軸部11aを1次成形した後、
歯車部11cの成形時に金型内に軸部11aを挿入して
軸部11aに歯車部11cをスリップ可能に一体化する
と共に、軸部11aに軸方向に垂直に突出する突出部c
を形成し、この突出部cに軸方向の少なくとも一方側の
面が傾斜面に形成され先端に向うに従い細くなる形状の
先端部を形成し、歯車部11cは突出部cの先端部の軸
方向の一方側の傾斜面の途中まで覆うように形成する。
軸部11aに歯車部11cが一体化された後に軸部11
a及び歯車部11cの樹脂の熱変形温度以下の高温の鉱
物油に数時間漬けることにより軸部11aの突出部cの
先端部と歯車部11cとの接合面に油の皮膜を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、筒カナ部を有する合
成樹脂製の軸部及び合成樹脂製の歯車部とからなる時計
の二番車に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、指針式時計はステップモータの
回転を輪列機構を介して時針、分針等の指針に伝達し
て、指針を運針させることにより時刻を指示するように
なっており、時刻修正の時にはステップモータ及び秒針
が回転しないように二番車にスリップ機構を備えてい
る。即ち、二番車は筒カナを有する軸部と歯車部とを一
体的に備え、通常の運針時には歯車部と軸部とが一体的
に回転して分針を運針し、時刻修正時には一定以上のト
ルクが軸部の筒カナに加わると、歯車部と軸部とがスリ
ップし、軸部だけが回転し、歯車部は回転しないように
なっている。このスリップ機構は従来二番車の歯車部及
び軸部が金属製で、この金属製の歯車部に一対の板ばね
状の弾性片を設け、この一対の弾性片で軸部を弾性的に
挟持している。そのため、スリップ部に注油しなければ
スリップトルクが大きくなってしまい、安定したスリッ
プトルクが得られず、時刻修正時の操作感覚が低下する
という欠点があった。しかも、上記のようなスリップ機
構は、部品点数が多く組立て作業性が悪いばかりか、金
属製であるため加工が面倒で、コスト高になる欠点があ
った。そこで、軸部及び歯車部を合成樹脂で形成し、軸
部を1次成形した後歯車成形時に金型内に軸部を挿入す
ることにより、軸部に歯車部をスリップ可能に一体化す
ることが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにして作られた二番車はスリップトルクが大きくなっ
てしまうばかりか、スリップトルクが安定しない欠点が
あった。本発明は上述した事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、合成樹脂製の軸部に合成
樹脂製の歯車部がスリップ可能に一体化する時計の二番
車において、適度で安定したスリップトルクを得ること
ができる時計の二番車を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は合成樹脂で軸部を1次成形した後、歯車部
の成形時に金型内に軸部を挿入して軸部に歯車部をスリ
ップ可能に一体化すると共に、軸部に軸方向に垂直に突
出する突出部を形成し、この突出部に軸方向の少なくと
も一方側の面が傾斜面に形成され先端に向うに従い細く
なる形状の先端部を形成し、歯車部は突出部の先端部の
軸方向の一方側の傾斜面の途中まで覆うように形成する
と共に、軸部に歯車部が一体化された後に軸部及び歯車
部の樹脂の熱変形温度以下の高温の鉱物油に数時間漬け
ることにより軸部の突出部の先端部と歯車部との接合面
に油の皮膜を形成した。
【0005】
【実施例】以下、図1から図5を参照して、この発明を
電子腕時計に適用した場合の一実施例につき説明する。
図1および図2は電子腕時計のアナログムーブメントを
示す。このアナログムーブメントはステップモータ1の
回転を輪列機構2に伝え、この輪列機構2で時針3a、
分針3b、秒針3c等の指針を運針させて時刻を指示表
示し、時刻修正機構4で指針の針合わせを行なうように
なっている。
【0006】ステップモータ1は指針を運針させるため
の駆動源であり、ロータ5、図示しないステータ、コイ
ル等からなり、コイルに一定周期の反転パルスが与えら
れる毎に、ロータ5が180度ずつステップ回転するよ
うになっている。この場合、ロータ5は図1に示すよう
に、ロータ部5a、ロータカナ5b、ロータ軸5c等よ
りなり、これらをチタン酸カリウムウィスカ入りポリア
セタール樹脂で一体に形成するとともに、ロータ部5a
にマグネットリング5dを装着した構成となっており、
ロータ軸5cが地板6と輪列受7との間に回転可能に取
り付けられている。なお、ロータ5の樹脂注入用ゲート
Gはロータ軸5cの上端面に設けられている。
【0007】輪列機構2はステップモータ1の回転を指
針に伝達して指針を運針させるものであり、中間車8、
四番車9、三番車10、二番車11、日ノ裏車12、筒
車13等よりなり、地板6と輪列受7との間に中間車
8、四番車9、三番車10が、また地板6の上に二番車
11、日ノ裏車12、筒車13がそれぞれ取り付けられ
ている。この場合、地板6および輪列受7はガラスファ
イバを入れたポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、
「PPS樹脂」と言う)からなり、地板6の上部には文
字板14が設けられている。
【0008】以下、各車について順に説明する。中間車
8はステップモータ1のロータカナ5bに噛み合って回
転するものであり、チタン酸カリウムウィスカ入りポリ
アセタール樹脂からなり、軸部8aおよび中間カナ8b
と一体に成形されており、その樹脂注入用ゲートGは軸
部8aの下端面に設けられている。
【0009】四番車9は中間車8の中間カナ8bに噛み
合って回転し、秒針3cを運針させるものであり、その
軸部9aが秒針軸をなし、地板6の軸受部6aおよび文
字板14を通して上方へ突出し、この突出した部分が針
取付部9cになっており、この針取付部9cに秒針3c
が取り付けられている。この四番車9はチタン酸カリウ
ムウィスカ入り液晶ポリマー樹脂からなり、軸部9aお
よび四番カナ9bと一体に形成されており、その樹脂注
入用ゲートGは軸部9aの下端面に設けられている。
【0010】三番車10は四番車9の四番カナ9bに噛
み合って回転するものであり、チタン酸カリウムウィス
カ入りポリアセタール樹脂からなり、軸部10aおよび
三番カナ10bと一体に形成されている。この場合、三
番カナ10bは地板6を貫通してその上方へ突出してお
り、また樹脂成形用ゲートGは軸部10aの下端面に設
けられている。
【0011】二番車11は三番車10の三番カナ10b
に噛み合って回転し、分針3bを運針させるものであ
り、軸部11aが分針軸をなし、地板6の軸受部6aの
外周に回転可能に取り付けられており、軸部11aの上
端が文字板14を通して上方へ突出し、この突出した部
分に分針3bが取り付けられている。この二番車11は
筒カナ部11bを有する軸部11aと歯車部11cとを
スリップ回転可能に一体的に二色成形したものであり、
軸部11aは耐摩耗性および強度が高く、歯車部11c
より溶融温度が高いチタン酸カリウムウィスカ入りPP
S樹脂からなり、歯車部11cは収縮率の小さく、軸部
11aより溶融温度が低いチタン酸カリウムウィスカ入
り12ナイロン樹脂からなっている。
【0012】この二番車11は図3に示すように構成さ
れている。即ち、軸部11aは筒状をなし、その下部に
筒カナ部11bが形成され、この筒カナ部11bの内部
が大径部aになっており、その外周にはカナb、突出部
c、延出部dが形成されている。また、軸部11aの上
部側は内部が小径部eになっており、その外周には逃げ
部f、針取付部gが形成されている。筒カナ部11bは
大径部aが地板6の軸受部6aの外周に回転可能に嵌合
するようになっており、その下端の延出部dが下側へ突
出し、地板6の軸受部6aの周辺に形成された環状の凹
溝6b内に回転可能な状態で挿入され、これにより軸部
11aが芯振れしないように十分長く保持されている。
【0013】また、外周に設けられたカナbは日ノ裏車
12の歯12cが噛み合うものであり、その歯の形状は
インボリュート歯形になっている。突出部cは歯車部1
1cが一体的に形成される部分であり、カナbの下側に
鍔状に形成され、その外周部が先端側へ向うに従って細
くなる形状に形成されている。この場合、突出部cの先
端の外径c1は約2.1mmで、鍔状部分の厚さc2は約0.3mm
で、先端の角度c3は約120°になっている。そし
て、突出部cに一体的に成形される歯車部11cは外径
が約3.4mmで、突出部cの下側に突出する厚さt1が約0.
15mmで、鍔状部分に食い込む量t2が約0.1mm程度になっ
ている。これにより、二番車11は適度なスリップトル
ク(3〜6g・cm)をもち、これ以上のトルク(負荷)
が加わった際に筒カナ部11b(軸部11a)と歯車部
11cとの間で相互にスリップ回転する。
【0014】さらに、軸部11aの上側の小径部eはそ
の内部に四番車9の軸部9aが接触しないように挿通す
るようになっている。軸部11aの外周に形成された逃
げ部fは後述する筒車13の針取付部13bと対応する
部分に位置し、その部分に所定のクリアランスLをも
ち、時針3aの取り付け時に針取付部13bが変形して
も二番車11の軸部11aに接触しないようになってい
る。なお、その上端の針取付部gは分針3bが嵌着する
部分である。
【0015】このような二番車11を成形する場合に
は、図4の(A)(B)に示すような金型15、16を
用いて行なうが、この金型15、16はターンテーブル
型の自動インサート成形装置に組込まれている。したが
って、図4の(A)に示すように、まず、上下一対の1
次成形用金型15、15で筒カナ部11bを有する軸部
11aを射出成形する。このとき用いる樹脂ペレットは
250℃以上の耐熱性のあるシリコン系のオイルを数%
混合した結晶性のチタン酸カリウムウィスカ入りPPS
樹脂であり、その樹脂注入用ゲートGは軸部11aの上
端面に位置するとともに、図5に示すようにその上端面
に形成された2つの凹部11a1、11a1内に設けられ
ている。
【0016】このようにして成形された軸部11aは、
1次成形用金型15、15内から取り出した後、図4の
(B)に示すような上下一対の2次成形用金型16、1
6内に配置し、2次成形用の樹脂を下側の金型16に設
けられた樹脂注入用ゲートGから注入し、1次成形品で
ある軸部11aに歯車部11cを一体的に成形する。こ
の場合に用いる樹脂ペレットは上述と同様に、250℃
以上の耐熱性のあるシリコン系のオイルを数%混合した
結晶性のチタン酸カリウムウィスカ入り12ナイロン樹脂
である。このようにして成形された成形品(二番車1
1)は、約100℃の高温の鉱物油中に約3時間漬けて
オイルアニール処理する。この場合、鉱物油の温度が熱
変形温度の約80%で、1時間以上であれば良い。する
と、図3に示すような二番車11が得られる。
【0017】日ノ裏車12は二番車11の筒カナ部11
bに形成されたカナbに噛み合って回転するものであ
り、チタン酸カリウムウイスカを入れたポリアセタール
樹脂からなり、日ノ裏カナ12bと一体に形成され、地
板6の上面に突出形成された軸部6cに回転可能に取り
付けられている。この場合、日ノ裏車12の歯12cは
二番車11のカナbと噛み合うため、その歯形はカナb
と同じインボリュート歯形になっている。
【0018】筒車13は日ノ裏車12のカナ12bに噛
み合って回転し、時針3aを運針するものであり、チタ
ン酸カリウムウィスカ入りポリアセタール樹脂からな
り、その軸部13aは筒状をなし、二番車11の軸部1
1aの外周に回転可能に装着され、その上端が文字板1
4の上方へ突出し、この突出した部分が針取付部13b
になっており、この針取付部13bに時針3aが圧入に
より取り付けられている。
【0019】なお、二番車11の歯12cおよび日ノ裏
車12のカナ12bを除く、輪列機構2の他の歯車は総
てサイクロイド歯形に形成されている。一方、針合わせ
を行なう時刻修正機構4は、図2に示すように、巻真1
7、ツヅミ車18、小鉄車19、オシドリ20、カンヌ
キ21等からなり、地板6に設けられている。
【0020】即ち、巻真17は地板6にスライドおよび
回転可能に設けられ、腕時計ケースの外部へ突出したリ
ューズ(図示せず)の操作に応じてスライドおよび回転
を行なうものであり、金属等からなり、内側の先端にガ
イド部17aが、その右隣にスプライン部17bが、さ
らにその右隣に段差凹部17cが順に設けられている。
ガイド部17aは地板6のガイド孔6d内にスライドお
よび回転可能に挿入されている。スプライン部17bは
ツヅミ車18がスライド可能に取り付けられる部分であ
り、外周面に複数のスプライン溝が形成されている。段
差凹部17cはオシドリ20が配置され、このオシドリ
20により巻真17の引き出し位置を規制するようにな
っている。
【0021】ツヅミ車18は巻真17の引き出し操作に
応じて小鉄車19に噛み合うとともに、巻真17の回転
操作に応じて回転するものであり、カーボンファイバ入
りPPS樹脂からなり、ほぼ筒状をなし、その左端面に
はクラウン歯18aが設けられ、外周面には凹部状の溝
部18bが設けられている。この場合、クラウン歯18
aはインボリュート歯に形成されている。溝部18bに
はカンヌキ21が配置され、このカンヌキ21により巻
真17の引き出し操作に応じてツヅミ車18をスライド
させるようになっている。
【0022】小鉄車19はツヅミ車18の回転を上述し
た輪列機構2の日ノ裏車12に伝達するものであり、ツ
ヅミ車18および日ノ裏車12よりも硬度が柔らかいポ
リアセタール樹脂からなり、地板6の上面に突出して形
成された軸部6eに回転可能に取り付けられ、地板6の
上部に取り付けられた金属製の押え板22で押え付けら
れている。この場合、小鉄車19はツヅミ車18と日ノ
裏車12の歯12cとに噛み合うため、その歯形はイン
ボリュート歯になっている。
【0023】次に、上記のように構成されたアナログム
ーブメントの動作について説明する。通常はステップモ
ータ1により指針が運針して時刻を指示表示する。即
ち、図1に示すように、ステップモータ1のロータ5が
回転すると、その回転が中間車8を介して四番車9に伝
達され、四番車9が回転して、四番車9の軸部9aの上
端に取り付けられた秒針3cを運針する。また、このよ
うに四番車9が回転すると、その回転が三番車10を介
して二番車11に伝達され、二番車11が回転する。こ
の場合、二番車11は軸部11aと歯車部11cとがス
リップ回転可能に一体的に形成されているが、この状態
では二番車11に一定以上の負荷が加わらないため、軸
部11aと歯車部11cとが一体的に回転する。そのた
め、二番車11の軸部11aに取り付けられた分針3b
が運針する。このように二番車11が回転すると、その
回転が日ノ裏車12を介して筒車13に伝達され、筒車
13が回転して時針3aを運針する。このように時針3
a、分針3b、秒針3cが文字板14の上方を運針する
ので、時刻が指示表示される。
【0024】また、時刻修正を行なう場合には、図2に
示す時刻修正機構4の巻真17を引き出して所定量回わ
せば良い。即ち、巻真17を矢印X方向へ引き出すと、
巻真17の段差凹部17c内に配置されたオシドリ20
が巻真17と共に移動して巻真17を所定位置にセット
する。すると、オシドリ20の移動に伴ってカンヌキ2
1が矢印Y方向へ移動し、ツヅミ車18を巻真17のス
プライン部17bに沿って同じ方向へ移動させ、ツヅミ
車18のクラウン歯18aを小鉄車19に噛み合わせ
る。この状態で、巻真17を回すと、その回転がツヅミ
車18を介して小鉄車19に伝達され、この小鉄車19
の回転が日ノ裏車12を介して二番車11と筒車13と
に伝達される。これにより、二番車11と筒車13とが
回転し、時針3aと分針3bとを回転して針合わせが行
なわれる。
【0025】このとき、二番車11には巻真17からト
ルク(回転力)が与えられるが、巻真17からのトルク
(回転力)が二番車11のスリップトルク(3〜6g・
cm)以上になると、二番車11の軸部11aと歯車部1
1cとの間でスリップし、軸部11aがスリップ回転す
る。しかも、このように軸部11aがスリップ回転する
際に、軸部11aと歯車部11cとの接触面にシリコン
系のオイルの薄い皮膜ができ、この皮膜が潤滑剤として
作用し、軸部11aと歯車部11cとを安定したスリッ
プトルクで円滑に回転する。そのため、秒針を回転させ
ることなく指針の針合わせを行なうことができる。
【0026】しかるに、上記のようなアナログムーブメ
ントの二番車11によれば、軸部11aと歯車部11c
とをスリップ回転可能に一体成形した後、約100℃の
高温の鉱物油中に約3時間漬けてアニール処理したの
で、一定以上のトルクが加わって軸部11aと歯車部1
1cとが相互に回転する際に、その接触面にシリコン系
のオイルの薄い皮膜ができ、この皮膜が潤滑剤として作
用し、常に安定したスリップトルクを得ることができ、
軸部11aと歯車部11cとを円滑に回転させることが
できるとともに、樹脂内部の応力を均一に分散すること
ができるとともに、樹脂の吸水性を小さくでき、吸水性
による成形品の寸法変化を防ぎ、精度の良いものを得る
ことができる。
【0027】特に、軸部11aと歯車部11cとを25
0℃以上の耐熱性をもったシリコン系のオイルを数%混
合した樹脂ペレットで成形したので、より一層、安定し
たスリップトルクを得ることができ、軸部11aと歯車
部11cとを円滑に回転させることができる。この場
合、二番車11の軸部11aにチタン酸カリウムウィス
カ入りPPS樹脂を用い、歯車部11cにチタン酸カリ
ウムウィスカ入り12ナイロン樹脂を用いて、軸部11a
に歯車11cをスリップ回転可能に一体的に成形したの
で、3〜6g・cm程度の適度で安定したスリップトルク
を得ることができる。そのため、通常はステップモータ
1の回転が分針3bおよび時針3a等の指針に伝達さ
れ、正確に時刻を指示表示でき、時刻修正等の針合わせ
の際には軸部11aと歯車部11cとの間でスリップ
し、針合わせを行なうことができる。
【0028】特に、軸部11aに用いたチタン酸カリウ
ムウィスカ入りPPS樹脂は耐摩耗性および強度が高
く、また歯車部11cよりも溶融温度が高く、歯車部1
1cに用いたチタン酸カリウムウィスカ入り12ナイロ
ン樹脂は収縮率が小さく、軸部11aよりも溶融温度が
低いので、軸部11aを1次成形した後、この軸部11
aに歯車部11cを一体的に2次成形するとき、軸部1
1aが変形することがなく、歯車部11cを良好に成形
することができ、精度の高い二番車11を成形すること
ができる。このような二番車11を成形する場合にはタ
ーンテーブル型の成形装置を用いて自動的に二色成形で
きるので、生産性に優れ、極めて容易に製作することが
できる。しかも、軸部11aの成形に際しては、軸部1
1aの上端面に2つの凹部11a1、11a1を形成し、
この凹部11a1、11a1内に樹脂注入用ゲートGを設
けたので、樹脂を均一に注入することができ、軸部11
aを精度良く成形することができる。
【0029】また、二番車11の軸部11aに先端側へ
向うに従って細くなる突出部cを形成し、この突出部c
に歯車部11cを一体的に成形したので、簡単な構造
で、安定したスリップトルクをもった状態で、軸部11
aに歯車部11cを確実かつ強固に取り付けることがで
きる。また、二番車11は下端に延出部dを形成し、こ
の延出部dを地板6の軸受部6aの外周近傍に形成され
た環状の凹溝6b内に回転可能な状態で挿入したので、
地板6を合成樹脂で形成する際、十分な強度を得るため
にその厚さを厚くしても、アナログムーブメント全体が
厚くならず、二番車11を軸受部6bで良好に保持で
き、芯振れ等を起すことがない。さらに、二番車11は
軸部11aの外周に逃げ部fを筒車13の針取付部13
bと対応して設けたので、筒車13の針取付部13bに
時針3aを取り付ける際に、筒車13の軸部13aが変
形しても、二番車11の軸部11aに接触することがな
く、二番車11と筒車13とを円滑に回転させることが
できる。
【0030】なお、上述した実施例では二番車11の軸
部11aおよび歯車部11cに用いられた樹脂の強化材
としてチタン酸カリウムウィスカを用いたが、この発明
はこれに限らず、例えば、ガラスファイバ、カーボンフ
ァイバ、還元チタン酸カリウムウィスカ等を用いても良
い。
【0031】また、上述した実施例では軸部11aにチ
タン酸カリウムウィスカ入りPPS樹脂を用い、歯車部
11cにチタン酸カリウムウィスカ入り12ナイロン樹
脂を用いて、スリップトルクを約3〜6g・cmに設定し
たが、これらの材質を変えれば2〜10g・cmのスリッ
プトルクを得ることが可能である。
【0032】また、二番車11の軸部11aと歯車部1
1cとが接合する部分の寸法は上述した実施例に限ら
ず、軸部11aの突出部cの先端の外径c1を約1.5mm〜
2.5mmに、鍔状部分の厚さc2を約0.15mm〜0.4mmに、先
端の角度c3を約90°〜150°の範囲内に設定して
も良い。また、二番車11における軸部11aの突出部
cの形状は上述した実施例に限らず、例えば、図6の
(A)〜(J)に示すような形状に形成しても良く、要
は先端側へ向うに従って細くなる形状であれば、どのよ
うな形状であっても良い。
【0033】また、上述した実施例の二番車11は軸部
11aと歯車部11cとの両方にシリコン系のオイルを
数パーセント混合した樹脂ペレットを用いて成形した
が、いずれか一方のみをシリコン系のオイルを数パーセ
ント混合した樹脂ペレットで成形しただけでも良く、し
かも、高温の鉱物油の中でアニール処理すれば必ずしも
シリコン系のオイルを数パーセント混合した樹脂ペレッ
トで成形する必要はない。さらに、この発明は上述した
ような電子腕時計に限られることなく、他の指針式時計
にも広く適用することができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の時計の二
番車によれば、軸部の突出部の先端部に歯車部が確実に
係合できるばかりか、歯車部は突出部の先端部の傾斜面
の途中までしか覆っていないので、突出部の先端部と歯
車部との間に油が入り易く、スリップ回転時に突出部の
先端部と歯車部との間にできた油の皮膜が潤滑剤として
作用して、その間のスリップトルクが減ると共に安定で
きるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で製造した二番車を用いたア
ナログムーブメントの断面図。
【図2】図1のムーブメントの異なる位置の断面図。
【図3】二番車の断面図。
【図4】(A)(B)は二番車の製造方法を示す図。
【図5】二番車の軸部を成形するときの樹脂注入用ゲー
トを示す軸部の斜視図。
【図6】二番車の軸部と歯車部とが接合する部分の各種
変形例を示す図。
【符号の説明】
11 二番車 11a 軸部 11b 筒カナ部 11c 歯車部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒カナ部を有する合成樹脂製の軸部及び
    合成樹脂製の歯車部からなり、前記軸部を1次成形した
    後、前記歯車部の成形時に歯車部成形用金型内に前記軸
    部を挿入することにより、前記歯車部を前記軸部にスリ
    ップ可能に一体化してなる時計の二番車であって、 前記軸部には軸方向に垂直に突出する突出部が形成さ
    れ、かつこの突出部の先端部は前記軸方向の少なくとも
    一方側の面が傾斜面に形成されて先端に向うに従い細く
    なるように形成され、 前記歯車部は前記突出部の先端部の前記軸方向の他方側
    を覆うと共に前記一方側を前記傾斜面の途中まで覆うよ
    うに形成され、 前記軸部に前記歯車部が一体化された後に前記軸部及び
    前記歯車部の樹脂の熱変形温度以下の高温の鉱物油に数
    時間漬けられることにより前記軸部の突出部の先端部と
    前記歯車部との接合面に油の皮膜が形成されてなる時計
    の二番車。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6794341B2 (en) 2001-05-09 2004-09-21 Citizen Watch Co., Ltd. Peak torque lowering composition, part with sliding part using the composition, and press-fitting method using the composition
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