JPH0519552U - 自動車等におけるガソリン冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガソリンの過冷却を抑えてエンジンへの悪影
響を防止する。 【構成】 ガソリンタクンク２内のガソリンの温度また
はガソリンタンク２のまわりの外気の温度が所定温度よ
り低くなると、温度センサがＳ₁ ，Ｓ₂ がそれを検出
し、制御装置３３が作動して切換弁３０を切換え、ガソ
リン帰還管内３ｂのガソリンが熱交換器１５をバイパス
してガソリンタンク２へ戻るように構成している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車のガソリンタンク内のガソリンの温度上昇を防止する、自動 車等におけるガソリン冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車において、ガソリン供給管およびガソリン帰還管は、エンジンルーム内 の温度上昇あるいは路面からの輻射熱等で加熱されるので、管内のガソリン温度 が上昇し、最終的にガソリンタンク内のガソリン温度が上昇する。そこで、タン ク内で発生したガソリン蒸気は、内部に活性炭をもつキュニスターにて吸着し、 大気中への排出を防止している。ところが、近年のエンジンルーム内の高密度化 等に伴ないガソリンの温度が上昇する傾向にあり、外気温の高い場合多量の蒸気 が発生するため、発生蒸気量がキャニスターの吸着容量を越え、蒸気がそのまま 外部へ放出される危険が生じている。また、ガソリンの気化によるガソリン管内 のベーパーロック現象も生じる。これを防止するためにはガソリンの温度を低下 させる以外に方法がない。

【０００３】 ガソリンの温度を低下させるには、ガソリン管内のガソリンを、自動車用冷房 装置の冷凍サイクル回路の圧縮機への冷媒戻し管内を流れる低温冷媒で冷却する ことが行なわれている。この冷却のためには、ガソリン管と冷媒戻し管との間に 熱交換器が設けられる（特開昭５５−１２８６５３号公報参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このようなガソリン冷却装置は、外気温が高い環境下で使用することを意図し て設計されている。したがって、このガソリン冷却装置を冬期等に使用すると、 ガソリンが過冷却されて、燃費が低下し、エンジンのノッキングが発生する。

【０００５】 本考案は上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、ガソリン の過冷却を抑えてエンジンへの悪影響を防止することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記目的を達成するため、前記形式のガソリン冷却装置において、 ガソリン帰還管に、熱交換器へガソリンを流通させる位置と、熱交換器をバイパ スしてガソリンタンクへガソリンを流通させる位置との間で切換え可能な切換弁 を設置し、一方、ガソリンタンクまたはその近傍の温度を検出する温度センサを 設け、さらに、温度センサにより検出される温度に応じて、ガソリンタンクへ戻 るガソリンの冷却を調節するように前記切換弁を制御する制御装置を設けたこと を特徴とする。

【０００７】

【作用】

以上の構成において、ガソリンタンク内のガソリンの温度またはガソリンタン クのまわりの外気の温度が所定温度より低くなると、温度センサがそれを検出し 、制御装置が作動して切換弁を切換え、ガソリン帰還管内のガソリンが熱交換器 をバイパスしてガソリンタンクへ戻るようにする。したがって、ガソリンの冷却 は行なわれなくなる。一方、ガソリンまたは外気の温度が所定温度以上になると 切換弁はガソリンを熱交換器へ送る位置へ切換えられ、ガソリンが冷却される。

【０００８】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。

【０００９】 図１において、Ｅは自動車のエンジンで、このエンジンＥへは、ガソリンタン ク２からガソリン供給管３ａを経てポンプ４によりガソリンが供給される。５は 気化器である。気化器５で気化しなかったガソリンは、ガソリン帰還管３ｂを経 てガソリンタンク２に戻される。Ｃは公知のキャニスターで、タンク２内で発生 したガソリン蒸気を吸着するようになっている。６は吸気マニホルドを示す。な お、エンジンＥは気化器の代りにガソリン噴射器を有する形式でもよい。

【００１０】 エンジンＥからは、伝動装置７により動力が取り出され、これによって、車内 冷房用冷凍サイクルの冷媒圧縮機８が駆動される。冷凍サイクルの回路は、圧縮 機８、凝縮器９、リザーブタンク１０、膨張弁１１、蒸発器１２等からなり、蒸 発器１２から圧縮機８へは冷媒戻し管１３が接続されている。冷媒は破線矢印の ように流れる。

【００１１】 冷媒戻し管１３とガソリン帰還管３ｂとの間には、両管の間で熱交換を行なう ための熱交換器１５が設けられている。この種の熱交換器を設けることは前記特 開昭５５−１２８６５３号公報に示されるように公知である。ガソリン帰還管３ ｂには、熱交換器１５の上流側に切換弁３０が挿入されている。この切換弁３０ は三路切換弁で、ガソリンを熱交換器１５へ流す位置と、ガソリンをバイパス管 路３１へ流す位置との間で切換え可能である。バイパス管路３１は熱交換器１５ と並列をなし、ガソリンタンク２へ連通している。

【００１２】 切換弁３０はアクチュエータ３２により切換えられるようになっており、この アクチュエータ３２は制御装置３３からの信号により作動する。制御装置３３へ は、ガソリンタンク２のガソリンの温度を検出する温度センサＳ₁ からの温度信 号が入力するようになっている。なお、センサＳ₁ に代り、ガソリンタンクのま わりの外気温を検出する温度センサＳ₂ を用いることもできる。温度センサＳ₁ またはＳ₂ で検出する温度が所定温度、例えば４０℃、より低くなると、制御装 置３３がアクチュエータ３２へ制御信号を送り、切換弁３０を切換え、熱交換器 １５へガソリンが流入しないようにする。また、温度が４０℃以上になると切換 弁３０が逆方向に切換えられ、ガソリンは熱交換器１５へ流される。

【００１３】 熱交換器１５は、例えば図２に示すように構成することができる。熱交換器１ ５は、冷媒戻し管１３の途中に挿入されて冷媒通路となる内筒１７と、この内筒 １７の外周を同心的に覆う外筒１８とを備えている。内筒１７の両端は継手１９ ，２０によって冷媒戻し管１３に接続されている。また、内筒１７の内部には、 細長い平板をねじって形成したスパイラル板２１が挿入され固定されている。

【００１４】 内筒１７と外筒１８との間には断面環状の空間２２が形成され、この空間２２ の長手方向両端は端板２３，２３で閉塞されている。そして、内筒１７の外周面 には環状の伝熱フィン２５が軸方向に間隔をおいて固定されている。外筒１８の 両端部には接続管２７，２８が連結され、これらの接続管はガソリン帰還管３ｂ に接続されている。

【００１５】 次に作用を説明する。

【００１６】 エンジンＥを運転すると、ガソリンタンク２内のガソリンはガソリン供給管３ ａを経てポンプ４によりエンジンＥに送られ、気化しなかったガソリンはガソリ ン帰還管３ｂを経てガソリンタンク２に戻される。一方、冷媒装置を運転すると 、圧縮機８により圧縮された冷媒は、凝縮器９、リザーブタンク１０、膨張弁１ １、蒸発器１２、熱交換器１５を経て流れ、冷凍サイクルが行なわれる。そして 、蒸発器１２で気化した低温の冷媒は、冷媒戻し管１３を経て圧縮機８へ戻る途 中で、熱交換器１５においてガソリン帰還管３ｂ内を流れるガソリンと熱交換し てガソリンを冷却する。

【００１７】 熱交換器１５内では、低温の気化冷媒が内筒１７の内部を満たしつつ流動する 。この時、冷媒はスパイラル板２１によりねじられつつ流動し、乱流となるので 熱伝達が良好になされる。また、内筒と外筒の間の空間２２内にはガソリン帰還 管３を流れるガソリンが流れ、伝熱フィン２５による伝熱面積の増加によってガ ソリンは冷媒により効果的に冷却される。そして、冷却されたガソリンはタンク ２内へ戻され、タンク内のガソリンの昇温が防止される。上述のような効果的熱 伝達のために、熱交換器１５はコンパクトに構成することが可能である。

【００１８】 以上のような作動中に、ガソリンタンク２内のガソリンが所定温度、例えば４ ０℃、より低くなるか、外気温が所定温度より低くなると温度センサＳ₁ または Ｓ₂ からの検出信号により制御装置３３からアクチュエータ３２へ制御信号が送 られ、切換弁３０は、それまで熱交換器１５へ送り込まれていた帰還ガソリンが 熱交換器１５内へ送られないように切換えられ、代ってバイパス管路３１が開く 。これによって、ガソリンは熱交換器１５で冷却されることなくガソリンタンク ２へ戻され、ガソリンの過冷却が防止される。一方、検出温度が所定温度、例え ば４０℃、以上になると、切換弁３０は以前の位置へ戻され、熱交換器１５によ るガソリンの冷却が開始される。

【００１９】 なお、以上の説明では、切換弁３０は２位置制御されるものとして説明したが 、検出温度に応じて比例制御されるようにしてもよい。

【００２０】 以上のようにして、ガソリンの過冷却を自動的に防ぐことができるので、エン ジンへ悪影響が及ぶことがない。

【００２１】

【考案の効果】

本考案によれば、特に寒い時期に帰還ガソリンの過冷却を自動的に防ぎ、これ により、エンジンのノッキング発生、燃費低下等を防止できる。また、不必要に ガソリンを冷却することがないので、冷凍サイクルの能力を向上させ、その負荷 を最少限におさえることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による自動車等におけるガソリン冷却装
置の配管図。

【図２】図１の自動車のガソリン冷却装置の熱交換器の
一部断面拡大図。

【符号の説明】

Ｅ エンジン ２ ガソリンタンク ３ａ ガソリン供給管 ３ｂ ガソリン帰還管 ４ ポンプ ５ 気化器 ６ キャニスター ８ 冷媒圧縮機 ９ 凝縮器 １１ 膨張弁 １２ 蒸発器 １３ 冷媒戻し管 １５ 熱交換器 １７ 内筒 １８ 外筒 ２１ スパイラル板 ２７，２８ 接続管 ２２ 空間 ２５ 伝熱フィン ３０ 切換弁 ３１ バイパス管路 ３２ アクチュエータ ３３ 制御装置 Ｓ₁ ，Ｓ₂ 温度センサ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンからガソリンタンクへガソリンを
   戻すガソリン帰還管と、自動車用冷房装置の冷凍サイク
   ル回路の圧縮機への冷媒戻し管との間に冷媒によりガソ
   リンを冷却する熱交換器を設けてなる自動車等における
   ガソリン冷却装置において、ガソリン帰還管に、熱交換
   器へガソリンを流通させる位置と、熱交換器をバイパス
   してガソリンタンクへガソリンを流通させる位置との間
   で切換え可能な切換弁を設置し、一方、ガソリンタンク
   またはその近傍の温度を検出する温度センサを設け、さ
   らに、温度センサにより検出される温度に応じて、ガソ
   リンタンクへ戻るガソリンの冷却を調節するように前記
   切換弁を制御する制御装置を設けたことを特徴とするガ
   ソリン冷却装置。