JPH04132446U - 自動車のガソリン冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車のエンジン用ガソリンタンク内のガソ
リンが気化して外部に洩れたり、ガソリン管内でベーパ
ーロック現象を起したりしないように、ガソリン帰還管
内のガソリンを自動車用冷房装置の気化冷媒により効果
的に冷却する。 【構成】 自動車用冷房装置の冷凍サイクル回路の冷媒
戻し管１３に内筒１５を挿入してその内部に気化冷媒が
流れるようにし、内筒１５内には熱伝達向上のためにス
パイラル板２１を挿入固定する。内筒１５の外周には空
間２２を形成するように外筒１８を覆い、空間２２をガ
ソリン帰還管３ｂに接続し内部にガソリンが流れるよう
にする。空間２２内にはフィン２５を設け、空間２２内
を流れるガソリンがスパイラル板２１、内筒１７、フィ
ン２５を介して冷媒により冷却されるようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車のガソリンタンク内のガソリンの温度上昇を防止する、自動 車のガソリン冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車において、ガソリン供給管およびガソリン帰還管は、エンジンルーム内 の温度上昇あるいは路面からの輻射熱等で加熱されるので、管内のガソリン温度 が上昇し、最終的にガソリンタンク内のガソリン温度が上昇する。そこで、タン ク内で発生したガソリン蒸気は、内部に活性炭をもつキャニスターにて吸着し、 大気中への排出を防止している。ところが、近年のエンジンルーム内の高密度化 等に伴ないガソリンの温度が上昇する傾向にあり、外気温の高い場合多量の蒸気 が発生するため、発生蒸気量がキャニスターの吸着容量を越え、蒸気がそのまま 外部へ放出される危険が生じている。また、ガソリンの気化によるガソリン管内 のベーパーロック現象も生じる。これを防止するためにはガソリンの温度を低下 させる以外に方法がない。

【０００３】 ガソリンの温度を低下させるには、ガソリン管内のガソリンを、自動車用冷房 装置の冷凍サイクル回路の圧縮機への冷媒戻し管内を流れる低温冷媒で冷却する ことが行なわれている。この冷却のためには、ガソリン管と冷媒戻し管との間に 熱交換器が設けられる（特開昭５５−１２８６５３号公報参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術では、上記熱交換器は、ガソリン管と冷媒戻し管を単に並べて接触 させ、断熱材で覆う等のきわめて単純な構造となっている。このため、近年のエ ンジンルームの高密度化によるエンジンルーム内温度上昇や電子燃料噴射装置の 搭載等に伴う、ガソリンの温度上昇を効果的に抑えるに十分な冷却効果を得るこ とができない。

【０００５】 本考案は上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、ガソリン の冷却を十分に行なうことができる自動車のガソリン冷却装置を得ることにある 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本願第１の考案では、自動車のガソリン冷却装置 において、熱交換器が、前記冷媒戻し管の途中に挿入されて冷媒通路となる内筒 と、この内筒の内部に挿入固定されたスパイラル板と、前記内筒の外周に空間を 形成するように内筒を覆って装着された外筒と、外筒の内側の前記空間を前記ガ ソリン帰還管の途中に挿入するように外筒をガソリン帰還管に接続して前記空間 内にガソリンが流れるようにする接続手段と、前記空間内に位置するように前記 内筒の外周に固定された伝熱フィンとから構成される。

【０００７】 また、本願第２の考案では、熱交換器が、前記冷媒戻し管の途中に挿入されて 冷媒通路となる内筒と、この内筒の内部で長手方向に延在するように挿入固定さ れ、かつ内筒横断方向断面が内筒内面の周方向に沿う波形をなす第１の伝熱フィ ンと、前記内筒の外周に空間を形成するように内筒を覆って装着された外筒と、 外筒の内側の前記空間を前記ガソリン帰還管の途中に挿入するように外筒をガソ リン帰還管に接続して前記空間内にガソリンが流れるようにする接続手段と、前 記空間内で長手方向に延在するように挿入固定され、かつ内外筒横断方向断面が 内筒外面または外筒内面の周方向に沿う波形をなす第２の伝熱フィンとから構成 される。

【０００８】 また、本願第３の考案では、上記第２の考案における第２の伝熱フィンの代り に、内筒の外周から外筒内面へ向かって立上がるらせん状伝熱フィンが用いられ る。

【０００９】

【作用】 上記いずれの構成においても、エンジンからガソリンタンクへ向かってガソリ ン帰還管内を流れるガソリンは、熱交換器の内筒と外筒の間の空間内を通される 。一方、蒸発器を出た低温の気化冷媒は熱交換器の内筒の内部を通される。そし て、内筒を介してガソリンと冷媒は熱交換し、ガソリンは冷媒により冷却される 。

【００１０】 第１の考案においては、内筒内のスパイラル板は内筒内で冷媒をスパイラル状 にねじりながら流動させ、これによりタービュレンスを増大させ熱伝達を向上さ せる。また、内筒外面の伝熱フィンがガソリンの流れを乱し、同様に熱伝達を良 好にする。

【００１１】 第２、第３の考案においては、内筒内の波形伝熱フィンは長手方向に延在する ので、内筒内の冷媒に過大な流動抵抗を与えることなく熱伝達を向上させる。第 ２の考案における内筒の外側の波形伝熱フィンも長手方向に延在するので、内外 筒間のガソリンに過大な流動抵抗を与えることなく熱伝達を向上させる。また、 第３の考案における内筒の外側のらせん状伝熱フィンは、内外筒間を流れるガソ リンにらせん状の流動を与え、熱伝達を促進する。

【００１２】 以上のようにして、内外筒の間の空間を流れるガソリンは内筒内を流れる低温 冷媒により十分に冷却される。

【００１３】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。

【００１４】 図１において、Ｅは自動車のエンジンで、このエンジンＥへは、ガソリンタン ク２からガソリン供給管３ａを経てポンプ４によりガソリンが供給される。５は 気化器である。気化器５で気化しなかったガソリンは、ガソリン帰還管３ｂを経 てガソリンタンク２に戻される。Ｃは公知のキャニスターで、タンク２内で発生 したガソリン蒸気を吸着するようになっている。６は吸気マニホルドを示す。

【００１５】 エンジンＥからは、伝動装置７により動力が取り出され、これによって、車内 冷房用冷凍サイクルの冷媒圧縮機８が駆動される。冷凍サイクルの回路は、圧縮 機８、凝縮器９、リザーブタンク１０、膨張弁１１、蒸発器１２等からなり、蒸 発器１２から圧縮機８へは冷媒戻し管１３が接続されている。冷媒は破線矢印の ように流れる。

【００１６】 冷媒戻し管１３とガソリン帰還管３ｂとの間には、両管の間で熱交換を行なう ための熱交換器１５が設けられている。この種の熱交換器を設けることは前記特 開昭５５−１２８６５３号公報に示されるように公知であるが、本考案によれば 、熱交換器１５は図２ないし図８に示すように構成されている。

【００１７】 図２ないし図４は第１の考案の実施例を示す。図２に示すように、熱交換器１ ５は、冷媒戻し管１３の途中に挿入されて冷媒通路となる内筒１７と、この内筒 １７の外周を同心的に覆う外筒１８とを備えている。内筒１７の両端は継手１９ ，２０によって冷媒戻し管１３に接続されている。また、内筒１７の内部には、 細長い平板をねじって形成したスパイラル板２１が挿入され固定されている。

【００１８】 内筒１７と外筒１８との間には断面環状の空間２２が形成され、この空間２２ の長手方向両端は端板２３，２３で閉塞されている。そして、内筒１７の外周面 には環状の伝熱フィン２５が軸方向に間隔をおいて固定されている。各伝熱フィ ン２５は、図３に示すように内筒１７の外周への装着フランジ２５ａを有すると ともに、図４にも示すように多数の小孔２６を備えている。外筒１８の両端部に は接続管２７，２８が連結され、これらの接続管はガソリン帰還管３ａに接続さ れている。

【００１９】 次に作用を説明する。

【００２０】 エンジンＥを運転すると、ガソリンタンク２内のガソリンはガソリン供給管３ ａを経てポンプ４によりエンジンＥに送られ、気化しなかったガソリンはガソリ ン帰還管３ｂを経てガソリンタンク２に戻される。一方、冷媒装置を運転すると 、圧縮機８により圧縮された冷媒は、凝縮器９、リザーブタンク１０、膨張弁１ １、蒸発器１２、熱交換器１５を経て流れ、冷凍サイクルが行なわれる。そして 、蒸発器１２で気化した低温の冷媒は、冷媒戻し管１３を経て圧縮機８へ戻る途 中で、熱交換器１５においてガソリン帰還管３ｂ内を流れるガソリンと熱交換し てガソリンを冷却する。

【００２１】 熱交換器１５内では、低温の気化冷媒が内筒１７の内部を満たしつつ流動する 。この時、冷媒はスパイラル板２１によりねじられつつ流動し、乱流となるので 熱伝達が良好になされる。また、内筒と外筒の間の空間２２内にはガソリン帰還 管３を流れるガソリンが流れ、伝熱フィン２５による伝熱面積の増加によってガ ソリンは冷媒により効果的に冷却される。伝熱フィン２５の多数の小孔２６は、 ガソリンの冷却を一層効果的にし、しかも圧力損失を低下させる。以上のように して、効果的に冷却されたガソリンはタンク２内へ戻され、タンク内のガソリン の昇温が防止される。上述のような効果的熱伝達のために、熱交換器１５はコン パクトに構成することが可能である。

【００２２】 図５および図６は、第２の考案の実施例を示す。図５に示す熱交換器１５Ａは 冷媒戻し管１３の途中に挿入されて冷媒通路となる内筒１７Ａと、この内筒１７ Ａの外周を同心的に覆う外筒１８Ａとを備えている。内筒１７Ａの両端は継手１ ９Ａ，２０Ａによって冷媒戻し管１３に接続されている。また、内筒１７Ａの内 部には、第１の伝熱フィン３０が挿入固定されている。伝熱フィン３０は、内筒 １７Ａの長手方向全長にわたって設けられており、図６に示すように内筒内面の 周方向に沿う波形をなす断面形状をなしている。すなわち、伝熱フィン３０は、 薄い金属板を波形にし、その波形板を円筒状に巻いたものであり、円筒状波形板 を内筒１７Ａ内に圧入することにより伝熱フィン３０が固定される。伝熱フィン ３０には多数の小孔３１が形成されている。

【００２３】 内筒１７Ａと外筒１８Ａとの間には断面環状の空間２２Ａが形成され、この空 間２２Ａの長手方向両端は端板２３Ａ，２３Ａで閉塞されている。そして、内筒 １７Ａの外周面には第２の伝熱フィン３２が空間２２Ａの全長にわたって装着さ れている。この伝熱フィン３２は前記第１の伝熱フィン３０と同様に波形をなし ている。すなわち、波形平板を円筒状に巻いたものにより構成されている。そし て、伝熱フィン３２の全体にわたり小孔３３が多数形成されている。

【００２４】 この実施例の作用も第１の考案の実施例の作用とほぼ同様である。ただし、こ の第２の考案の実施例では、第１および第２の伝熱フィン３０，３２は波と波の 間の空間が熱交換器１５Ａの長手方向に設けられているので、冷媒およびガソリ ンのいずれもが、大きな抵抗を受けることなく流動し、したがって圧力損失が少 ない。それにもかかわらず、波形伝熱フィン３０，３２は大きな伝熱面積をもっ ているので、熱伝達率が向上し、ガソリンは効果的に冷却される。また小孔３１ ，３３を設けることによって熱伝達は一層良好になる。

【００２５】 図７および図８は第３の考案の実施例を示す。この実施例の熱交換器１５Ｂが 図５および図６の実施例とことなる点は、内筒１７Ｂお呼び外筒１８Ｂの間に設 けられる伝熱フィン３６の構成のみである。伝熱フィン３６は、この実施例では らせん状のフィンであり、内筒１７Ｂの外周面に固定されている。その他の部材 で第２の考案の実施例の部材と均等なものは、符号の末尾のＡ（図５、図６）を Ｂに変えて示してある。

【００２６】 この実施例では、空間２２Ｂ内を流れるガソリンは伝熱フィン３６に沿ってら せん状に回転しながら流れるため、熱伝達性能は非常に高くなる。なお、内筒１ ７Ｂ内を流れる冷媒についての作用は図５および図６に示した場合と同じである 。

【００２７】 一般的に、冷凍サイクルの冷媒配管では圧力損失が問題となるので、圧力損失 が低い軸方向フィン３０が望ましい。一方、ガソリンを供給する配管では、圧力 損失はあまり問題にならない。したがって、図７に示すように空間２２Ｂにらせ ん状伝熱フィン３６を設けても問題は少なく、むしろ熱伝達率が向上するので好 ましい。

【００２８】 なお、第２、第３の考案の実施例のいずれにおいても、向流形式に変えること が可能である。

【００２９】

【考案の効果】

本考案によれば、熱交換器が熱交換面積の大きな伝熱フィンやタービュレンス を起す形状のフィンを内部に有する形式であるため、内外筒の間を通るガソリン は内筒内を通る気化冷媒により効果的に冷却され、したがって、ガソリンタンク 内のガソリンの昇温が防止されてガソリンの気化は少なくなり、これによりキャ ニスターの小形化および大気中へのガソリンの蒸発の抑止が可能となり、さらに ベーパーロック現象が防止される。また、本考案のガソリン冷却装置の熱交換器 は熱伝達性能が良好であるため、全体的にコンパクトに構成できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による自動車のガソリン冷却装置の配管
図。

【図２】図１の自動車のガソリン冷却装置の熱交換器の
一部断面拡大図。

【図３】図２に示される伝熱フィンの斜視図。

【図４】一部を断面で示す図２の端面図。

【図５】第２の考案による熱交換器の一部断面正面図。

【図６】一部を断面で示す図５の端面図。

【図７】第３の考案による熱交換器の一部断面正面図。

【図８】一部を断面で示す図７の端面図。

【符号の説明】

Ｅ エンジン ２ ガソリンタンク ３ａ ガソリン供給管 ３ｂ ガソリン帰還管 ４ ポンプ ５ 気化器 ６ キャニスター ８ 冷媒圧縮機 ９ 凝縮器 １１ 膨張弁 １２ 蒸発器 １３ 冷媒戻し管 １５ 熱交換器 １５Ａ 熱交換器 １５Ｂ 熱交換器 １７ 内筒 １７Ａ 内筒 １７Ｂ 内筒 １８ 外筒 １８Ａ 外筒 １８Ｂ 外筒 ２１ スパイラル板 ２７ 接続管 ２８ 接続管 ２２ 空間 ２２Ａ 空間 ２２Ｂ 空間 ２５ 伝熱フィン ３０ 波形伝熱フィン ３２ 波形伝熱フィン ３６ らせん状伝熱フィン

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンからガソリンタンクへガソリンを
   戻すガソリン帰還管と、自動車用冷房装置の冷凍サイク
   ル回路の圧縮機への冷媒戻し管との間に冷媒によりガソ
   リンを冷却する熱交換器を設けてなる自動車のガソリン
   冷却装置において、前記熱交換器が、前記冷媒戻し管の
   途中に挿入されて冷媒通路となる内筒と、この内筒の内
   部に挿入固定されたスパイラル板と、前記内筒の外周に
   空間を形成するように内筒を覆って装着された外筒と、
   外筒の内側の前記空間を前記ガソリン帰還管の途中に挿
   入するように外筒をガソリン帰還管に接続して前記空間
   内にガソリンが流れるようにする接続手段と、前記空間
   内に位置するように前記内筒の外周に固定された伝熱フ
   ィンとから構成されていることを特徴とするガソリン冷
   却装置。
2. 【請求項２】エンジンからガソリンタンクへガソリンを
   戻すガソリン帰還管と、自動車用冷房装置の冷凍サイク
   ル回路の圧縮機への冷媒戻し管との間に、冷媒によりガ
   ソリンを冷却する熱交換器を設けてなる自動車のガソリ
   ン冷却装置において、前記熱交換器が、前記冷媒戻し管
   の途中に挿入されて冷媒通路となる内筒と、この内筒の
   内部で長手方向に延在するように挿入固定され、かつ内
   筒横断方向断面が内筒内面の周方向に沿う波形をなす伝
   熱フィンと、前記内筒の外周に空間を形成するように内
   筒を覆って装着された外筒と、外筒の内側の前記空間を
   前記ガソリン帰還管の途中に挿入するように外筒をガソ
   リン帰還管に接続して前記空間内にガソリンが流れるよ
   うにする接続手段と、前記空間内で長手方向に延在する
   ように挿入固定され、かつ内外筒横断方向断面が内筒外
   面または外筒内面の周方向に沿う波形をなす伝熱フィン
   とから構成されていることを特徴とするガソリン冷却装
   置。
3. 【請求項３】エンジンからガソリンタンクへガソリンを
   戻すガソリン帰還管と、自動車用冷房装置の冷凍サイク
   ル回路の圧縮機への冷媒戻し管との間に、冷媒によりガ
   ソリンを冷却する熱交換器を設けてなる自動車のガソリ
   ン冷却装置において、前記熱交換器が、前記冷媒戻し管
   の途中に挿入されて冷媒通路となる内筒と、この内筒の
   内部で長手方向に延在するように挿入固定され、かつ内
   筒横断方向断面が内筒内面の周方向に沿う波形をなす伝
   熱フィンと、前記内筒の外周に空間を形成するように内
   筒を覆って装着された外筒と、外筒の内側の前記空間を
   前記ガソリン帰還管の途中に挿入するように外筒をガソ
   リン帰還管に接続して前記空間内にガソリンが流れるよ
   うにする接続手段と前記空間内にあるように前記内筒の
   外周から立上らせたらせん状伝熱フィンとから構成され
   ていることを特徴とするガソリン冷却装置。