JPH0519513U - 汎用内燃機関の消音器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 断熱性が高くてコンパクトな排気ガス浄化装
置を供する点にある。 【構成】 消音器ケーシング10内に小孔13を多数設けた
内壁板14でもって押えられた断熱材12を内張し、消音器
ケーシング10内を最中状体20で２重構造とし、最中状体
20の薄板17間に断熱材18を介装し、最中状体20内で第１
チャンバー22を構成し、上方の消音器ケーシング10ａと
膨出壁材19ａとで第２チャンバー23を構成し、下方の消
音器ケーシング10ｂと膨出壁材19ｂとで第３チャンバー
24を構成し、排気ガスを第１チャンバー22、第２チャン
バー23、第３チャンバー24内に順次通過させる間に所要
の浄化処理と吸音とを行なわせるようにしたものであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関から排出される排気ガス中の有害物質を除去して、排気ガ スを浄化する機能を有する汎用内燃機関の消音器に関するものである。

【０００２】

【従来技術および解決しようとする課題】

環境保全の面から自動車に搭載されている内燃機関から排出される排気ガスの みならず、小型の汎用内燃機関から排出される排気ガス中のHC、CO、NO_X 等の有 害ガスを除去する要請が高まってきている。 また汎用内燃機関では、利用分野が多岐に亘り色々な設置個所に運搬する必要 上、燃料タンク、消音器等の補機をコンパクトにまとめなければならないが、排 気ガス中の有害ガスを除去する排気ガス浄化装置をこれらの補機の外に付設する となると、その分だけ余分のスペースを必要とし、機関の小型軽量化が困難であ った。

【０００３】

【課題を解決するための手段および作用効果】

本考案は、このような難点を克服した内燃機関の消音器の改良に係り、多数の 小孔を設けた薄板で触媒、断熱材等の充填材を挟込んで壁材を形成し、該壁材の 中央部分を側方へ膨出させ、該２枚の膨出壁材を背中合わせに重合せて最中状に 形成し、該最中状体を消音器ケーシング内の空間中央に配置させるとともに該最 中状体の外周部を前記消音器ケーシングに支持させ、内燃機関の排気ポートに連 通する排気管で前記消音器ケーシングおよび最中状体を貫通させ、該消音器ケー シングに大気と連通する開口部を設けたことを特徴とするものである。

【０００４】 本考案は前記したように構成されているために、前記消音器ケーシング内を、 前記最中状体内の第１チャンバーと、２枚の膨出壁材の外面および前記消音器ケ ーシング内面で囲まれた第２、第３チャンバーとに仕切ることができるので、内 燃機関から前記消音器内に排気ガスが最初に流入する第１チャンバーを前記第２ 、第３チャンバーで包囲して二重構造とし、大気からの冷却を阻止して、該第１ チャンバーを高温に保持することができ、該第１チャンバーの排気ガス浄化性能 を高水準に維持することができる。

【０００５】 また本考案では、前記薄板で挟込まれた壁材中の充填材を三元触媒にすると、 該触媒は、前記薄板の小孔を介して第１、第２、第３チャンバー内の排気ガスと 接触することができ、ＨＣ、ＣＯの酸化反応のみならずＮＯｘの還元反応も起す ことができ、充分な排気ガス浄化遂行することができる。

【０００６】 さらに本考案においては、前記壁材中の充填材は前記薄板の小孔を介して前記 第１、第２、第３チャンバーに露出して、排気ガスの脈動圧が該充填材に吸収さ れ、しかも前記第２、第３チャンバーを仕切っている前記壁材の外周部に設けら れている小孔が排気ガスの絞り通路の役を果して、該第２、第３チャンバーで順 次膨張し、その結果、排気ガスの騒音を減少させる消音効果を奏することができ る。

【０００７】

【実 施 例】

以下図１ないし図４に図示された本考案の一実施例について説明する。 汎用内燃機関１では、シリンダ２が斜上方に傾斜し、クランクシャフト３を枢 支しているクランクケース４の上方に燃料タンク５が配置されている。 またシリンダ２の上方に排気ガス浄化機能を有する消音器６が配設され、シリ ンダ２の手前側側方から上方へ起立する排気管７でもって消音器６は汎用内燃機 関１の排気ポート（図示されず）に接続されている。

【０００８】 さらにシリンダ２を挟んで排気管７と反対側のシリンダ２の奥側側方に気化器 ８が配設され、その上方に空気清浄器９が配置されている。 本実施例における消音器６は、排気ガス中に残留しているＨＣ、ＣＯ等の未燃 ガス分を酸化させるサーマルリアクターで、その消音器ケーシング10は薄鋼板製 で、上下に上部消音器ケーシング10ａ、下部消音器ケーシング10ｂと２分割され 、各上、下消音器ケーシング10ａ、10ｂの内壁面にグラスウール、セラミックス ウール等の断熱材12が添接されて、該断熱材12はその内方の小孔13を多数形成し た内壁板14と消音器ケーシング10とで挟持されるようになっている。

【０００９】 また小孔16を多数設けた鋼製の薄板17で前記断熱材12と同様な断熱材18を挟込 み、薄板17の中央部分を上下へ膨出させて、２枚の膨出壁材19を形成し、この膨 出壁材19を背中合せに重合せて最中状体20を形成し、該最中状体20が消音器ケー シング10内空間の略中央部に位置するように、最中状体20の外周部21を消音器ケ ーシング10の端縁部11と内壁板14の端縁部15とで挟み、カシメ付けており、最中 状体20で第１チャンバー22を構成するとともに、上方の消音器ケーシング10ａお よび内壁板14ａと膨出壁材19ａとで第２チャンバー23を構成し、下方の消音器ケ ーシング10ｂおよび内壁板14ｂと膨出壁材19ｂとで第３チャンバー24を構成して いる。 さらに下方の消音器ケーシング10ｂ、内壁板14ｂと膨出壁材19ｂとに排気管７ を貫通させ、排気管７の略延長線上に位置して上方の膨出壁材19ａに開口25を形 成し、下方の消音器ケーシング10ｂ、内壁板14ｂの手前側に排気口26を形成し、 この排気口26にテールパイプ27の上端を嵌着する。 しかも内燃機関１内には冷却ファン28が設けられ、この冷却ファン28によって 気化器８およびシリンダ２が冷却されるようになっている。

【００１０】 図１ないし図４に図示された実施例は前記したように構成されているので、汎 用内燃機関１が運転を始めると、シリンダ２から図示されない排気ポートを介し て排気管７に排出された排気ガスは、消音器６の第１チャンバー22内に流入し、 第１チャンバー22内から開口25を介して第２チャンバー23に流入し、第２チャン バー23内から膨出壁材19における薄板17の小孔16を介してさらに第３チャンバー 24へ流入し、第３チャンバー24内から排気口26およびテールパイプ27を介して大 気中に排出される。

【００１１】 このようにシリンダ２から排気管７を介して第１チャンバー22に流入した排気 ガスは、断熱材18を備えた最中状体20と、断熱材12を備えた消音器ケーシング10 とで構成された２重の断熱構造により外気に対し断熱され、しかも第１チャンバ ー22を囲む最中状体20の外側の第２チャンバー23および第３チャンバー24には第 １チャンバー22より排出された高温の排気ガスが存在するため、第１チャンバー 22内の排気ガスは始動直後においても高温度に保持され、ＨＣ、ＣＯの酸化反応 が遂行される。

【００１２】 また第１チャンバー22に流入した排気ガスの排気脈動は、第１チャンバー22内 に面した薄板17の小孔16から断熱材18に達して、断熱材18にて吸収されるととも に、第２チャンバー23内に面した内壁板14ａの小孔13および薄板17ａの小孔16か ら断熱材12、断熱材18にて吸収され、かつ第３チャンバー24内に面した内壁板14 ｂの小孔13および薄板17ｂの小孔16から断熱材12、断熱材18に達して、断熱材12 、断熱材18に吸収され、しかも第１チャンバー22、第２チャンバー23間の開口25 および第２チャンバー23、第３チャンバー24内の薄板17ａ、17ｂの小孔16の絞り 効果で段階的に減圧されるので、排気の騒音が大幅に低減する。 さらに第３チャンバー24からテールパイプ27内に流入した排気ガスは、冷却フ ァン28により奥側から手前側に流れて気化器８、シリンダ２を冷却した冷却風で もって冷却され、騒音レベルが一段と低下する。

【００１３】 図１ないし図４に図示の実施例では、排気管７の略延長線側の膨出壁材19ａに 開口25を設けた下方の消音器ケーシング10ｂ、内壁板14ｂに排気口26を形成した が、図５に図示するように、その反対側の膨出壁材19ｂに開口25を設け、上方の 消音器ケーシング10ａ、内壁板14ａに排気口26を形成してもよく、この実施例で は、第２チャンバー23、第３チャンバー24は上下逆となる。

【００１４】 また前記実施例では、消音器ケーシング10、内壁板14間および２枚の薄板17間 に断熱材12、断熱材18をそれぞれ介装したが、この代りに、クロス、発泡メタル 、金属ウールを担体としてその表面に三元触媒を付着させたものを用いてもよく 、該実施例では、ＨＣ、ＣＯの酸化反応のみならず、ＮＯｘの還元反応を遂行す ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の消音器を備えた内燃機関の正面図であ
る。

【図２】その側面図である。

【図３】前記消音器の一実施例を示した縦断面図であ
る。

【図４】図３の要部拡大断面図である。

【図５】他の実施例の縦断面図である。

【符号の説明】

１…汎用内燃機関、２…シリンダ、３…クランク軸、４
…クランクケース、５…燃料タンク、６…消音器、７…
排気管、８…気化器、９…空気清浄器、10…消音器ケー
シング、11…端縁部、12…断熱材、13…小孔、14…内壁
板、15…端縁部、16…小孔、17…薄板、18…断熱材、19
…膨出壁材、20…最中状体、21…外周部、22…第１チャ
ンバー、23…第２チャンバー、24…第３チャンバー、25
…開口、26…排気口、27…テールパイプ、28…冷却ファ
ン。

フロントページの続き (72)考案者 浦田 秀夫 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の小孔を設けた薄板で触媒、断熱材
   等の充填材を挟込んで壁材を形成し、該壁材の中央部分
   を側方へ膨出させ、該２枚の膨出壁材を背中合わせに重
   合せて最中状に形成し、該最中状体を消音器ケーシング
   内の空間中央に配置させるとともに該最中状体の外周部
   を前記消音器ケーシングに支持させ、内燃機関の排気ポ
   ートに連通する排気管で前記消音器ケーシングおよび最
   中状体を貫通させ、該消音器ケーシングに大気と連通す
   る開口部を設けたことを特徴とする汎用内燃機関の消音
   器。