JPH0518611A - 付加機能のある蓄熱型給湯設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 給湯機能とそれ以外の機能とを備えた蓄熱型
給湯設備を提供することを目的とする。 【構成】 蓄熱体１には、温水用熱交換器３に熱を輸送
するヒートパイプ２の他に、空気流路１０が設けられて
おり、その流入口１３には送風ファン１５が接続され、
また流出口１４には温風または熱風を適宜の箇所に送る
輸送管１６が接続されている。送風ファン１５によって
空気流路１０に供給された空気は、蓄熱体１によって加
熱され、温風もしくは熱風となって輸送管１６を介して
所定箇所に送られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は蓄熱体に蓄えた熱をヒ
ートパイプによって温水用熱交換器に運んで温水を得る
形式の給湯設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】蓄熱体を熱源としかつヒートパイプを熱
輸送手段とした形式の給湯設備の一例が特開平１−２５
２８９８号公報に記載されている。これは、金属ブロッ
クやセラミックブロックなどの高融点材料を顕熱蓄熱体
として用い、この蓄熱体と温水用の熱交換器とをループ
型のヒートパイプで連結し、その温水用熱交換器から蓄
熱体側に作動液が戻るヒートパイプ管路の途中に、作動
液の流通を止める開閉弁を設けたものである。このよう
な構成の給湯設備によれば、蓄熱を行う時間帯を自由に
選ぶことができるので、深夜電力を利用して運転コスト
を下げることができ、またヒートパイプは優れた熱輸送
能力を備えているから出湯のタイムラグが短く、さらに
蓄熱温度を高くすることにより蓄熱体の容積を小さく
し、コンパクトな設備とすることができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述した給湯設備の用
途としてオフィスビル、病院等の中小規模施設や一般家
庭などが考えられるが、これらの施設においては、暖房
や加湿あるいは乾燥などのために水蒸気や温風を必要と
する場合がある。しかるに前述した給湯設備は、熱源で
ある蓄熱体と、温水を直接発生させる温水用熱交換器と
が分離独立した構造であるにも拘らず、その全体を温水
発生のために特化した構造としているため、暖房や乾燥
等のためには新たに熱源を用意してそれらのニーズを満
すこととしており、その結果、熱関連設備が複雑かつ大
型化するなどの不都合があった。

【０００４】この発明は上記の事情を背景にしてなされ
たもので、給湯以外の機能をも備えた蓄熱型給湯設備を
提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、蓄熱型給湯
設備が独立した熱源である蓄熱体を備えていることに着
目し、これを有効に利用するよう構成したものである。
すなわちこの発明は、蓄熱体と温水用熱交換器とをヒー
トパイプによって連結した蓄熱型給湯設備において、流
入口と流出口とを備えた流体用の流路が前記蓄熱体に形
成されるとともに、その流入口に、前記流体を供給およ
び遮断する供給手段が接続され、かつ流出口に、加熱さ
れた流体を需要箇所に送る輸送管が接続されていること
を特徴とするものである。

【０００６】

【作用】この発明の給湯設備は給湯とそれ以外の機能と
の少なくとも二つの機能を備えており、先ず給湯につい
ては、蓄熱体の有する熱をヒートパイプによって温水用
熱交換器に送り、ここで供給された水を加熱して温水を
得る。また一方、供給手段によって流体用の流路に水や
空気などの流体を供給すれば、これらが加熱されて輸送
管により需要箇所へ送られる。すなわち水を供給した場
合には、蓄熱体の温度を高くしておくことにより水蒸気
を得ることができ、これによって加湿や暖房を行うこと
ができる。また空気を供給した場合には、温風もしくは
高温乾燥空気を得ることができるので、これによって暖
房や乾燥を行うことができる。

【０００７】

【実施例】つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説
明すると、図１は空気加熱機能を付加した例を示す模式
図である。ここに示す設備の基本的な機能は給湯機能で
あって、これは蓄熱体１に蓄えた熱をヒートパイプ２に
よって温水用熱交換器３に運ぶことによって行われる。
すなわち蓄熱体１は金属ブロックやセラミックブロック
あるいはこれらを組合せた顕熱蓄熱体であって、図示し
ない電気ヒータを備えるとともに、その内部にはヒート
パイプ２の一部分である蒸発管４が埋設されている。ま
たヒートパイプ２はこの蒸発管４と温水用熱交換器３側
に設けた凝縮部５とを、蒸気流管６と液戻り管７とによ
って全体として循環路となるよう連結したループ型のも
のであって、その循環路の内部に、真空脱気した状態で
フロンや水などの適宜の凝縮性流体が作動流体として封
入されている。なお、液戻り管７の途中には、液相の作
動流体（作動液）を溜めるリザーバ８が設けられ、さら
にこのリザーバ８と蒸発管４との間に制御弁９が設けら
れている。そして温水用熱交換器３は、前記凝縮部５か
ら放出される熱によって、供給水を加熱して温水とし、
これを適宜の箇所へ送るようになっている。

【０００８】上記の蓄熱体１は空気を加熱する熱源とな
るようにも構成されており、具体的には蓄熱体１に空気
流路１０が形成されている。この空気流路１０は蓄熱体
１に形成した貫通孔あるいは蓄熱体１に埋設したパイプ
によって形成することができるが、これら以外に、例え
ば図２に示すように蓄熱体１の表面に縦溝１１を形成
し、この蓄熱体１を断熱カバー１２で覆うことによりそ
の縦溝１１が空気流路１０となるよう構成することもで
きる。なお、空気流路１０は蓄熱体１の下部と上部とに
開口していて、下部開口部が流入口１３となり、かつ上
部開口部が流出口１４となっており、その流入口１３に
は供給手段として送風ファン１５が接続され、また流出
口１４には温風または熱風を乾燥室等の需要箇所（図示
せず）に送る輸送管１６が接続されている。

【０００９】つぎに上述した給湯設備の作用について説
明すると、先ず給湯を行うには、温水用熱交換器３に給
水するとともに前記液戻り管７に介装した制御弁９を開
く。リザーバ８に溜められていた作動液は制御弁９を通
って蒸発管４に流入し、ここで蓄熱体１によって加熱さ
れて蒸発し、その蒸気は蒸気流管６を経て凝縮部５に流
れる。凝縮部５は温水用熱交換器３の内部に設けられて
いて水と接触しているから、作動流体蒸気は凝縮部５に
おいて放熱し、すなわち水を加熱し、その結果凝縮した
作動流体はリザーバ８に戻る。すなわち作動流体が主に
その蒸発潜熱として蓄熱体１から温水用熱交換器３に熱
を輸送し、水を加熱して温水とする。

【００１０】他方、送風ファン１５を起動して空気流路
１０に外気を送り込めば、その空気は空気流路１０の内
部を流れる間に蓄熱体１の有する熱によって加熱され、
温風あるいは熱風となって流出口１４から輸送管１６に
送り出される。なお、蓄熱体１は数百度の温度に加熱昇
温しておくことが好ましいので、空気と共に可燃性の塵
埃が空気流路１０内に入り込んで燃焼することを防止す
るために、流入口１３よりも上流側にフィルター（図示
せず）を設けておく。そしてこのようにして得られた温
風あるいは熱風は、暖房や乾燥等の用途に供される。

【００１１】図３はこの発明の第２の実施例を示す模式
図であって、ここに示す例は、水蒸気発生機能を付加し
た例である。すなわち蓄熱体１の内部には、管路構成が
前記蒸発管４とほぼ同様な蒸気発生管２０が設けられて
おり、その下部流入口２１には、逆止弁２２および開閉
弁２３を介装した給水管２４が接続されており、また上
部流出口２５には気水分離器２６が接続されるとともに
気水分離した水蒸気を所定の需要箇所（図示せず）に送
る輸送管２７が気水分離器２６に接続されている。さら
に気水分離器２６で分離した水を流入口２１側に戻すた
めのリターンパイプ２８が、気水分離器２６と流入口２
１を連通させるように設けられている。なお、符号２９
は逆止弁である。

【００１２】したがって図３に示す給湯設備では、開閉
弁２３を開くことにより蒸気発生管２０に水が供給さ
れ、その水は蒸気発生管２０の内部で蓄熱体１の有する
熱により加熱されて沸騰する。そしてその水蒸気は気水
分離器２６において液体分が分離除去され、しかる後、
輸送管２７を介して所定の需要箇所に送られ、加湿など
の用途に供される。

【００１３】なお、開閉弁２３を閉じれば、蒸気発生管
２０への給水が止まるので、蒸気発生器２０が所謂空炊
き状態になって加熱され、次回の蒸気発生に備える。そ
の場合、蒸気発生管２０の流入側を閉じ、流出側を開い
てあるので、蒸気発生管２０の内部が異常に高圧になる
ことはない。

【００１４】また、図３に示す例においても給湯は前述
の実施例と同様にして行われる。

【００１５】ところで上述した各実施例では、温風もし
くは熱風の発生機能および水蒸気発生機能のいずれか一
方のみを付加した構成としたが、この発明ではこれら二
つの機能を給湯機能に付加した構成としてもよい。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明の給湯設備
においては、ヒートパイプとは別に設けた流体流路に水
や空気などの必要とする流体を流すことにより、蓄熱体
を給湯用熱源以外の熱源として使用することができ、し
たがってこの発明の給湯設備の有用性が高くなるうえ
に、この給湯設備を用いる施設に備えるべき熱源の数や
そのための装置を削減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の一実施例を示す模式図。

【図２】 その空気流路を形成する縦溝の部分斜視図。

【図３】 この発明の他の実施例を示す模式図。

【符号の説明】

１…蓄熱体、 ２…ヒートパイプ、 ３…温水用熱交換
器、１０…空気流路、 １３…流入口、 １４…流出
口、 １５…送風ファン、１６…輸送管、 ２０…蒸気
発生管、 ２１…下部流入口、 ２３…開閉弁、２５…
上部流出口、 ２７…輸送管。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 吉秀 東京都千代田区内幸町一丁目１番３号 東 京電力株式会社内 (72)発明者 岡田 純 東京都千代田区内幸町一丁目１番３号 東 京電力株式会社内 (72)発明者 吉田 昭太郎 東京都江東区木場一丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 望月 正孝 東京都江東区木場一丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 益子 耕一 東京都江東区木場一丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 蓄熱体と温水用熱交換器とをヒートパイ
   プによって連結した蓄熱型給湯設備において、 流入口と流出口とを備えた流体用の流路が前記蓄熱体に
   形成されるとともに、その流入口に、前記流体を供給お
   よび遮断する供給手段が接続され、かつ流出口に、加熱
   された流体を需要箇所に送る輸送管が接続されているこ
   とを特徴とする付加機能のある蓄熱型給湯設備。