JPH0518519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、特殊遊星歯車減速機に関し、特に、
ホイールの駆動に適した特殊遊星歯車減速機とし
てのサイクロイド減速機の改良に関する。

従来の技術 サイクロイド減速機は、雑誌「自動化技術」第
18巻第４号（1986年）に紹介されているように既
に公知である。サイクロイド減速機の例として、
円形内歯歯車と、この内歯歯車に噛合うようその
内側に遊星歯車として配置された少なくとも２つ
の外歯歯車と、この外歯歯車を内歯歯車に内周方
向の異なつた位置でそれぞれ噛合せて公転させる
該外歯歯車の内側に設けられた偏心カムシヤフト
と、内歯歯車と外歯歯車と偏心カムとの組立体を
支持するケーシングと、前記外歯歯車の自転運動
を取り出すため外歯歯車のリム部分を貫通して配
置された複数の片持ち支持されたピンとから成る
ものがある。

この特殊遊星歯車減速機では、偏心カムシヤフ
トにモータが連結されてそのシヤフトが高速で回
転させられる。この回転により、例えば、内歯歯
車の歯数より１枚だけ差を有する外歯歯車が内歯
歯車に対して遊星運動すると、外歯歯車が前記歯
数差に対応して自転し、この自転運動がピンに伝
達され、例えばピンを片持ち支持している円板を
出力部材として、この出力部材が大きく減速して
回転させられる。

例えば、上記の減速機の場合、内歯歯車の半径
方向外側に車輪等のホイールを連結あるいは形成
すれば、そのままホイール駆動装置として利用す
ることができる。

考案が解決しようとする問題点 上記した特殊遊星歯車減速機において、その減
速比率が大きく、また装置もコンパクトになるの
で好ましいのであるが、減速された外歯歯車の自
転を該外歯歯車のリムに設けられた穴の内周に接
して出力部材に伝達する部材すなわちピンには相
当に大きな荷重が加わることになる。従つて、従
来の特殊遊星歯車減速機において、ピンは、円板
等の出力部材に片持ち支持されていて剛性を高く
するために、相当に大きな直径の棒状体に形成さ
れ、また、ピンの剛性を維持するためにはピンを
円板等の支持部材に深く差し込まねばならないの
で、支持部材も厚くなる。そして、大径のピンと
厚い支持部材のため、スペースが大きくなり、結
局装置全体も大きくならざるを得なかつた。

従つて、本考案の目的は、従来の特殊遊星歯車
減速機の利点を維持しながら、装置全体をコンパ
クトにすることのできる減速機を提供することに
ある。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案によれば、
円形内歯歯車と、内歯歯車に噛合うようその内側
に遊星歯車として配置された少なくとも２つの外
歯歯車と、この外歯歯車を内歯歯車に内周方向の
異なつた位置でそれぞれ噛合せて公転させる該外
歯歯車の内側に設けられた偏心カムシヤフトと、
内歯歯車と外歯歯車とカムシヤフトとの組立体の
両側面に設けられて該組立体を支持する側板と、
前記外歯歯車の内歯歯車に対する内接転動によつ
て生じた自転を減速機の中心軸線上に変換するた
めに、外歯歯車のリム部分を貫通して配置された
複数のピンから成る特殊遊星歯車減速機であつ
て、前記ピンの各々は、その両端部がそれぞれ側
板に対しベアリングを介して取付けられているこ
とを特徴とする特殊遊星歯車減速機が提供され
る。

実施例 以下、本考案の実施例について、図面を参照し
ながら説明する。第１図において、本考案を理解
する上で参考となる特殊遊星歯車減速機１は、円
形内歯歯車２と、内歯歯車２に噛合うようその内
側に遊星歯車として配置された２つの外歯歯車
３，４と、外歯歯車３，４を内歯歯車２の直径方
向に対向する位置でそれぞれ噛合つた状態で公転
させる該外歯歯車３，４の内側に設けられた偏心
カム５，６を備えたシヤフト７とを備えている。
そして、これらの内歯歯車２と外歯歯車３及び４
とカム５及び６を有するシヤフト７とが減速機１
を構成する基本組立体となる。なお、本例では外
歯歯車が２つ設けられる形式の減速機が用いられ
ているが、３つある形式のものでもよいことは勿
論である。

上記の基本組立体に対して、その両側面にはそ
れぞれ側板８が設けられてその組立体を支持して
いる。また、２つの側板８は減速機１の大部分を
包囲するハウジング９によつて支持され、このハ
ウジング９によつて、減速機１が１つのユニツト
として構成されている。そして、この特殊遊星歯
車減速機として最も重要なのは、カムシヤフト７
の回転によつて偏心回転する外歯歯車３及び４の
自転運動をケーシングの一部を構成する２つの側
板８及び８に伝達することである。このため、外
歯歯車３及び４のリム部分の穴１０の内面に常時
内接するように、この穴１０を貫通して延びるピ
ン１２が配置されている。このピン１２は、複数
のリム部分の穴１０に対応して、例えば、籠形状
に配置され、その両端部が側板８，８にそれぞれ
ナツト１４によつて固着されている。すなわち、
ピン１２はナツト１４によつて側板８，８を一体
的に連結して、この側板８とピンとで成る組立体
が形成され、ピン１２を介して側板１８が外歯歯
車の自転運動を外部に伝達するように構成されて
いる。

本実施例の減速機１では、内歯歯車２の歯数が
外歯歯車の歯数よりも例えば１枚多くされている
ものとする。これによつて、、カムシヤフト７を
回転させると、外歯歯車３及び４は内歯歯車２に
内接した状態で公転するが、内歯歯車２と外歯歯
車３及び４との間には歯数差があるので、内歯歯
車２と外歯歯車３及び４との間には１回の公転で
１枚の歯の分だけ相対的な回転が生じる。今、外
歯歯車３及び４は、前述したように、ピン１２を
介してその自転を両側板８に伝達するように配設
されているので、その相対的な回転は内歯歯車２
に対してカムシヤフト９の１回転毎に１枚の歯数
分だけ回転させる。従つて、内歯歯車２の部分を
固定させれば側板８が大きく減速された状態で回
転するので減速機の出力部材となるが、本実施例
のように、内歯歯車２にホイールを設けた場合に
は、側板８を固定すれば内歯歯車２は大きく減速
された状態で回転することになり、ホイール１５
も減速して回転させられる。

本実施例において、内歯歯車２の半径方向外側
にはリム１４が形成され、このリム１４の外側に
ホイール１５が形成されている。ホイール１５
は、例えば、レールを移動する車輪として作用す
るもので、上記のように減速した内歯歯車２の回
転を利用して、無人搬送車等に使用される。ま
た、本実施例の減速機１の入力軸となるシヤフト
７にはその一方の端部にモータ１６が連結されて
おり、このモータ１６を駆動することによつてホ
イール１５が回転する。更に、ホイール１５の回
転を停止するブレーキ１７がシヤフト７の、モー
タとは反対側の端部に取付けられている。そし
て、ホイール１５の回転角等を検知するため、シ
ヤフト７にはブレーキ１７に隣接してエンコーダ
板１８が設けられるのが好ましい。このように構
成することによつて、減速機１は、無人搬送機の
車輪付の駆動装置として使用することができる。

本考案においては、図示した特殊遊星歯車減速
機１のピン１２は、従来のピンと比較して細いも
のでも十分である。これは、図示のように、各ピ
ン１２の両端部が、側板８に対して固定されてい
るからである。従来の特殊遊星歯車減速機では、
ピン１２が片持ち支持されており、このためピン
１２の剛性及び強度は高くなければならず、ピン
１２は大径の棒状体であつた。これに対し、本考
案では、ピン１２はその両端部が側板８に支持さ
れているため、ピン１２は、細くてもその機能す
なわち外歯歯車３及び４の自転運動を側板８に伝
えるので、側板８を固定すれば内歯歯車２（ひい
てはホイール１５）を回転させることができる。

第２図は本考案の実施例を示している。すなわ
ち、第２図の例ではピン１２の両端部にボールベ
アリング２１が設けられており、これにより、ピ
ン１２は回転が滑らかになり、外歯歯車３及び４
の穴１０での摩擦抵抗が無くなつて外歯歯車の運
動が運動が滑らかになり、ピンの回転が両端部の
ベアリングによつて側板にしつかりと固定されつ
つピン自身の回転も極めて滑らかであるので、外
歯歯車の回転運動の伝達効率が極めて高くなる。

考案の効果 本考案によれば、特殊遊星歯車減速機の外歯歯
車の回転運動を伝達するためのピンがその両端部
でそれぞれ側板に対しベアリングを介して取付け
られているので、小径のピンを使用でき、必要な
スペースが小さくなつて減速機全体がコンパクト
になり、しかも、ピン自身も両端部のベアリング
によつて側板にしつかりと固定されつつピン自身
の回転も極めて滑らかであるので、外歯歯車の回
転運動の伝達効率が極めて高く、例えば、側板を
固定した場合の内歯歯車の回転に対する損失も極
めて少なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案を理解する上の参考となる車
輪付駆動装置としての特殊遊星歯車減速機の縦断
面図であり、第２図は、本考案の車輪付駆動装置
としての特殊遊星歯車減速機の縦断面図である。 符号の説明、１……特殊遊星歯車減速機、２…
…内歯歯車、３，４……外歯歯車、５，６……偏
心カム、７……カムシヤフト、８……側板、１０
……外歯歯車の穴、１２……ピン、１４……内歯
歯車のリム、１５……ホイール、１６……モー
タ、１７……ブレーキ、１８……エンコーダ板、
２１……ベアリング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 円形内歯歯車と、この内歯歯車に噛合うよう
   その内側に遊星歯車として配置された少なくと
   も２つの外歯歯車と、該外歯歯車を内歯歯車に
   内周方向の異なつた位置でそれぞれ噛合せて公
   転させる該外歯歯車の内側に設けられた偏心カ
   ムシヤフトと、内歯歯車と外歯歯車とカムシヤ
   フトとの組立体の両側面に設けられて該組立体
   を支持する側板と、前記外歯歯車の内歯歯車に
   対する内接転動によつて生じた自転を減速機の
   中心軸線上に変換するために、外歯歯車のリム
   部分を貫通して配置された複数のピンから成る
   特殊遊星歯車減速機において、前記ピンの各々
   は、その両端部がそれぞれ側板に対しベアリン
   グを介して取付けられていることを特徴とする
   特殊遊星歯車減速機。 (2) 内歯歯車の半径方向外側にはホイールが一体
   成形されて該ホイールが車輪として作用するこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の減速機。