JPH0518354B2 - - Google Patents

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JPH0518354B2
JPH0518354B2 JP62070942A JP7094287A JPH0518354B2 JP H0518354 B2 JPH0518354 B2 JP H0518354B2 JP 62070942 A JP62070942 A JP 62070942A JP 7094287 A JP7094287 A JP 7094287A JP H0518354 B2 JPH0518354 B2 JP H0518354B2
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Kuniaki Asai
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野> 本発明は優れた機械的性質、熱的性質、寸法安
定性、表面平滑性を有し、加工時の熱安定性が良
好でメツキ特性に優れた芳香族ポリスルフオン樹
脂組成物に関する。特に、微細な配線パターン形
成性を有するプリント配線基板に適した芳香族ポ
リスルフオン樹脂組成物に関する。 <従来の技術> 芳香族ポリスルフオンは耐熱性、強度、剛性、
難燃性、耐クリープ性の優れたエンジニアリング
プラスチツクとして電気電子部品、自動車部品、
OA機器部品などに適用されている。さらに最
近、プリント配線基板材料としても精力的に検討
が進められている。 現在、主に使用されているプリント配線基板
は、ガラスクロスにエポキシ、ポリイミドなどの
熱硬化性樹脂を含浸させてなる積層体に銅箔を接
着したもので、この上にレジストパターン形成、
エツチング処理、レジストパターン除去などの処
理を行ない所望の電気回路を形成させる方法がと
られている。しかしながら、この方法には回路部
品を取りつけるための穴開け、面取り、打ち抜き
あるいは外形加工といつた煩雑な機械的加工が必
要である。これに対し、芳香族ポリスルホンは上
記プリント配線基板を代替するに充分な耐熱性、
強度、剛性、電気的特性を有し、射出成形により
予め所望の形状に成形しておくことができるた
め、穴開け、面取り、打ち抜き、外形加工などの
煩雑な機械的加工を省略することができるのみな
らず、突起や段付、傾斜などを有する立体基板の
製造も可能となる。 一方、芳香族ポリスルフオンからなる成形品の
表面に導電層を形成させるためには該表面にメツ
キを施す必要があるが、芳香族ポリスルフオン単
体ではメツキ層の密着強度が不十分であるため、
一般的に芳香族ポリスルフオンに無機フイラーを
配合することによつて密着強度を上げる方法がと
られている。無機フイラーとしてはガラス繊維お
よび炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸
塩が一般的に使われている。 <発明が解決しようとする問題点> しかしながら、芳香族ポリスルフオンにガラス
繊維および炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金
属炭酸塩を配合した組成物は、良好な密着強度は
得られるものの表面平滑性において劣り、プリン
ト配線基板として適用する場合に微細な配線パタ
ーンを形成させることができない。 本発明の目的は、優れた機械的性質・熱的性
質・寸法安定性・加工時の熱安定性等を有しなが
ら、且つ、表面平滑性の良好なメツキ特性に優れ
た芳香族ポリスルフオン樹脂組成物を提供するこ
とにあり、特に微細な配線パターン形成性を有す
るプリント配線基板に適した芳香族ポリスルフオ
ン樹脂組成物を提供することにある。 <問題点を解決するための手段> 本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検
討した結果、芳香族ポリスルフオンに特定のウオ
ラストナイトおよびアルカリ土類金属炭酸塩を所
定量配合してなる組成物により上記目的が達成で
きることを見出した。すなわち、本発明は芳香族
ポリスルフオン50〜90重量%、少なくとも全体の
90重量%以上が300メツシユ以下の大きさを有す
るウオラストナイト3〜40重量%、およびアルカ
リ土類金属炭酸塩3〜30重量%からなることを特
徴とするメツキ特性に優れた芳香族ポリスルフオ
ン樹脂組成物である。 本発明の組成物の成分として使用される芳香族
ポリスルフオンは、アリーレン単位がエーテルお
よびスルフオン結合と共に無秩序に又は秩序正し
く位置するポリアリーレン化合物として定義され
る。例えば、次の(1)〜(16)のような構造式で表わさ
れるポリアリーレン化合物が挙げられるが、特に
(1),(2)および(6)の構造を有するものが物性と加工
性のバランスが優れており好ましい。更に、溶液
100ml中に重合体1gを含む ジメチルフオルムアミド溶液について25℃で測
定された還元粘度が0.3以上0.6以下の芳香族ポリ
スルフオンが、耐熱性・強度・剛性・靭性などの
物性と成形加工性のバランスが優れておりより好
ましい。 本発明に使用されるウオラストナイトは天然に
産出されるメタケイ酸カルシウムであり、
CaSiO3で表わされる化学組成をもつ白色針状鉱
物で比重が2.9、融点が1540℃のものである。さ
らに詳しくは、結晶構造によりα型とβ型とがあ
り、α型は粒状、粉状のものが多いのに対し、β
型は針状又は長柱状ものもが多いとされている。
また、一般的に粉砕により各種の大きさに調整さ
れて市販されているが、本発明の組成物としては
少なくとも全体の90%以上が300メツシユ以下の
大きさであることが必要である。すなわち、300
メツシユをこえる大きさを有するものが全体の10
%をこえる場合は、組成物から得られた成形品の
表面平滑性が不十分となり、メツキのエツチング
工程後の表面の凹凸が非常に大きくなるため密着
強度の面でも非常に不安定となり、メツキ表面の
外観が劣り、プリント配線基板に適用した場合の
微細な配線パターンの形成性に欠けるといつたよ
うな問題がある。また、通常ウオラストナイトは
無処理で使用されるが、芳香族ポリスルフオンと
親和性をもたせるためにアミノシラン、エポキシ
シランなどのシランカツプリング剤などでその表
面を処理したものも、熱安定性に悪影響を与えな
い範囲で使用することができる。市販されている
ものの例としては、NYAD 400、NYAD
325、NYCOR 300(以上、長瀬産業(株)販売)、
TW−HAR−10((株)龍森販売)、ケモリツト
ASB−3、ケモリツト ASB−4(以上、丸和バ
イオケミカル(株)販売)などがある。これらのうち
ケモリツト はβ型、他のものはα型の結晶構造
を有すると言われている。 本発明を構成する他の重要な要素であるアルカ
リ土類金属炭酸塩としてはマグネシウム、カルシ
ウム、ストロンチウム、バリウムの炭酸塩が挙げ
られる。好ましくは炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウムおよび炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム
との共晶体が用いられる。炭酸カルシウムと炭酸
マグネシウムとの共晶体とは、いわゆるドロマイ
トである。 各成分の配合割合は芳香族ポリスルフオン50〜
90重量%、少なくとも全体の90重量%以上が300
メツシユ以下の大きさを有するウオラストナイト
3〜40重量%、およびアルカリ土類金属炭酸塩3
〜30重量%であり、ウオラストナイトとアルカリ
土類金属炭酸塩との合計量が全樹脂組成物の10〜
50重量%の範囲内にあるのが有効である。すなわ
ち、ウオラストナイトとアルカリ土類金属炭酸塩
との合計量が樹脂組成物の50重量%をこえ、且
つ、芳香族ポリスルフオンが50重量%未満の時の
組成物は流動性が失なわれ、成形体が得られても
非常に脆いものとなる。また、ウオラストナイト
とアルカリ土類金属炭酸塩との合計量が樹脂組成
物の10重量%未満の時はメツキの密着性において
十分でない。また、ウオラストナイトとアルカリ
土類炭酸塩との合計量が10〜50重量%であつて
も、ウオラストナイトの量が3重量%未満の時の
組成物は芳香族ポリスルフオン単体とくらべて強
度・剛性などの面における補強効果および線膨張
係数・寸法安定性などの面における改良効果が不
十分であり、40重量%を越えた場合は成形品およ
びメツキ層の外観が不良となる。一方、アルカリ
土類金属炭酸塩の量が3重量%未満の時はメツキ
層の密着強度が不十分であり、30重量%を越えた
場合は強度および加工時の熱安定性の低下が著し
い。樹脂組成物に対するウオラストナイト、アル
カリ土類金属炭酸塩のより好ましい配合割合は、
各々10〜30重量%、5〜20重量%である。 本発明の組成物を得るための原料成分の配合手
段は特に限定されない。芳香族ポリスルフオン、
ウオラストナイトおよびアルカリ土類金属炭酸塩
を各々別々に溶融混合機に供給するか、または、
これらの原料成分を乳鉢、ヘンシエルミキサー、
ボールミル、リボンブレンダーなどを利用して予
備混合してから溶融混合機に供給することもでき
る。 本発明の組成物には本発明の目的をそこなわな
い範囲で酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、
滑剤、離型剤、染料・顔料などの着色剤、難燃
剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通常の添加剤の
1種以上を添加することができる。また、少量の
熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、変性ポリフエニレンオキサイドなど)、熱
硬化性樹脂(例えばフエノール樹脂、エポキシ樹
脂など)の1種以上を添加することもできる。 本発明の組成物からなる成形品のメツキは例え
ば以下の様にして行うことができる。 (無電解メツキの操作) 基材の調整 射出成形品を180〜200℃で3〜5時間熱風循環
オーブン中でアニールする。 脱 脂 OPC−260 クリーナーL(奥野製薬(株)製)100
ml/溶液に65℃で5分間浸漬する。 水 洗 エツチング 無水クロム酸400g/と濃硫酸220ml/との
混合溶液に78〜82℃で30分間浸漬する。 水 洗 中 和 濃塩酸50ml/とトツプキヤツチCR−200(奥
野製薬(株)製)20ml/との混合溶液に室温で5分
間浸漬する。 水 洗 コンデイシヨニング OPC−350 コンデイシヨナーM(奥野製薬(株)
製)30ml/溶液に30℃で3分間浸漬する。 水 洗 プリデイツプ 濃塩酸150ml/溶液に室温で2分間浸漬する。 キヤタライジング 濃塩酸150ml/とOPC−80キヤタリストM
(奥野製薬(株)製)50ml/との混合溶液に室温で
5分間浸漬する。 水 洗 アクセレーテイング OPC−555 アクセレーターM(奥野製薬(株)製)
100ml/溶液に28℃で7分間浸漬する。 水 洗 無電解メツキ TMP化学銅メツキニユー100(奥野製薬(株)製)
溶液に室温で7分間浸漬し、0.3〜0.5μmの銅膜
を形成する。 (電解メツキの操作) 硫酸銅200g/溶液中において、無電解メツ
キした試片を陰極、含燐銅を陽極とし、3A/d
m2の電流密度で110分間通電し50μm厚のメツキ
膜を形成する。 また、該組成物をプリント配線基板に適用する
場合、基板上に導電回路を形成させる方法として
は各種提案されているが、一例としてセミアデイ
テイブ法を例示できる。セミアデイテイブ法によ
る回路形成は以下の工程で達成される。本発明の
組成物を射出成形により所定の形状に成形し、電
気回路を形成させる面全体に無電解銅メツキ法に
より約0.3〜0.5μm厚の銅をメツキする。次いで、
所望の回路パターンの陰像をレジストインキで印
刷した後、電解メツキ法で全面(レジストインキ
印刷部を除く)に約50μm厚の銅をメツキする。
次いで、レジストインキ剥離液でレジストインキ
を除去し、最後にエツチング液の作用でレジスト
インキ印刷部の下面の無電解メツキされた銅膜を
除去し、所望の回路をプリント配線基板上に形成
する。この時に微細な線幅をもつた回路の形成性
が基板材料に要求されるが、本発明の組成物で得
られた基板は優れたメツキ層との密着強度・表面
平滑性を有しているため上記の要求が達成され
る。 <発明の効果> 本発明によれば、芳香族ポリスルホンに少なく
とも全体の90重量%以上が300メツシユ以下の大
きさを有するウオラストナイトおよびアルカリ土
類金属炭酸塩を配合することにより、優れた機械
的強度、熱的性質(熱変形温度、線膨張係数)、
寸法安定性、加工時の熱安定性等を有しながら、
且つ、表面平滑性の良好なメツキ特性に優れた芳
香族ポリスルフオン樹脂組成物を得ることができ
る。特に、所望の形状を有するプリント配線基板
を射出成形で容易に得ることができ、微細な線幅
をもつた回路を形成させることが可能となる。本
発明の樹脂組成物は、プリント配線基板以外のメ
ツキすべき種々の用途にも使えることは言うまで
もない。 <実施例> 実施例 1〜11 芳香族ポリスルフオンとして
【式】なる繰返し単 位を有するもの(ICI社製のポリエーテルスルフ
オンVICTREX PES3600P)、ウオラストナイ
トとしてTW−HAR−10((株)龍森販売、325メツ
シユふるい通過量99%)、NYAD 400(長瀬産業
(株)販売、325メツシユふるい通過量99.9%)およ
びケモリツトASB−3(丸和バイオケミカル(株)販
売、300メツシユふるい通過量99%)のうちのど
れか一つ、ならびにアルカリ土類金属炭酸塩とし
て炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびドロ
マイトのうちのどれか一つを用いて第1表に示し
た組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製
PCM−30)により330〜340℃の温度で溶融混練
した後、ストランドを水冷後切断してペレツトを
得た。 得られたペレツトを射出成形し(住友重機械工
業(株)ネスタール 47/28射出成形機を使用し、シ
リンダー温度340〜360℃、金型温度150℃に設
定)、引張試験片、曲げ試験片、アイゾツト試験
片、熱変形温度測定用試験片およびメツキ性検討
用試験片(直径100mm、厚み1.6mmの円板)を得
た。引張強度、曲げ弾性率、アイゾツト衝撃強度
(ノツチなし)および熱変形温度(18.6Kg/cm2
重下)はそれぞれASTM D−638、D−790、D
−256、D−648に準拠して測定した。また、線膨
張係数は曲げ試験片の中心部から流れ方向(MD
方向)に沿つて直径5mm、高さ7mmの円柱を切出
し、30〜180℃の温度範囲でMD方向の値を測定
した。また、メツキ試験片を前述の工程に基いて
処理し、エツチング後の表面の平均粗さRaを測
定しメツキ処理後の外観を目視で観察するととも
に、その密着強度をJIS C6481(90゜剥離、剥離速
度50mm/min)に準拠して測定した。結果を第1
表に示す。 一方、溶融時の熱安定性の評価法としては、高
化式フローテスター((株)島津製作所製)において
400℃、荷重50Kg/cm2、ノズル径1mmφ、ランド
長10mmで、滞留5分と30分の溶融粘度を比較し
た。結果を第1表に示す。 いずれの組成も高い引張強度・曲げ弾性率・衝
撃強度・熱変形温度および低い線膨長係数を有
し、優れた溶融時の熱安定性を示し、メツキ後の
外観は美麗で平滑性に富み高い密着強度を示して
いる。 また、実施例1,5および10の組成のものにつ
いてメツキ処理した試験片を用いて上述した方法
により0.2mmの線幅の回路を形成させたところ良
好なものが得られた。 比較例 1〜4 ポリエーテルスルフオンVICTREX
PES3600P、ウオラストナイトTW−HAR−10お
よびドロマイトを用いて第1表に示した組成で混
合し、実施例1〜11と全く同じ方法で試験片を
得、各項目を測定した。結果を第1表に示す。 ウオラストナイトが3重量%より少ない組成の
もの(比較例1)は、芳香族ポリスルフオン単体
と比べて曲げ弾性率の面における補強効果および
線膨張係数における改良効果はあまりみられず、
40重量%より多い組成のもの(比較例2)は成形
品およびメツキ層の外観が不良となる。 一方、アルカリ土類金属炭酸塩(ここではドロ
マイト)の量が3重量%より少ない組成のもの
(比較例3)はメツキ層の密着強度が不十分であ
り、30重量%より多い組成のもの(比較例4)は
引張強度、アイゾツト衝撃強度が著しく低く、ま
た、滞留による溶融粘度の変化が著しく大きく加
工時の熱安定が劣る。この組成から得た成形品は
表面に銀条痕(シルバストリーク)が見られ、メ
ツキ後の表面外観においても著しく劣る。 比較例 5〜6 ウオラストナイトとして300メツシユふるい残
留量が約35%であるもの(NYAD G、長瀬産
業(株)販売)を用いる以外は実施例1および6と同
じ組成で同様の操作を行なつた。結果を第1表に
示す。いずれも機械的性質、熱的性質、加工時の
熱安定性については実施例1および6の結果と比
べてそれぞれ変わらないが、メツキのエツチング
工程後の表面粗さRaが非常に大きく、メツキ表
面の外観は劣り、密着強度においてもバラツキを
生じた。また、メツキ処理した試験片を用いて回
路を形成させたが1.0mmの線幅以下の回路は良好
に形成させることができなかつた。 実施例12〜17および比較例7〜10 なる繰返し単位を有する芳香族ポリスルフオン
(AMOCO社製Udel P−1700)、ウオラストナ
イトおよびアルカリ土類金属炭酸塩を第2表で示
した組成で混合し、ペレツト化の温度を290〜310
℃、射出成形のシリンダー温度を330〜350℃とし
た以外は実施例1〜11と同様の操作をした。結果
を第2表に示す。いずれもポリエーテルスルフオ
ンを用いた時と同様の結果が得られた。 実施例 18〜20 実施例3,6,10と同じ組成物を用いて、実施
例1〜11と同様にしてメツキ検討用試験片を得、
メツキを行つた。この時エツチング条件として温
度60℃、85℃、浸漬時間10分、30分で行つた。実
施例1〜12と同様にして、エツチング後の表面粗
さRaを測定し、メツキ処理後の外観を目視で観
察するとともに、その密着強度を測定した。結果
を第3表に示す。 いずれの条件においても外観は美麗で平滑性に
富み、高い密着強度を示している。 比較例 11〜14 実施例1〜11で用いたのと同じ芳香族ポリスル
フオン、アルカリ土類金属炭酸塩として炭酸カル
シウム、ドロマイトのうちどれか1つ、およびチ
タン酸カリウム繊維として遊離カリウム含有率が
0.28重量%のもの(大塚化学薬品(株)製テイスモ
D)、遊離カリウム含有率が0.03重量%のもの
(チタン工業(株)製HT−200)のうちどれか1つを
用いて、実施例1〜11と同様の操作で試験片を得
て、引張強度、曲げ弾性率、アイゾツト衝撃強
度、熱変形温度、加工時の熱安定性(滞留による
溶融粘度の変化)、メツキ性(密着強度、メツキ
層の外観)について測定した。なお、エツチング
条件として温度80℃、浸漬時間30分で行つた。結
果を第4表に示す。 遊離カリウム含有率が0.28重量%のチタン酸カ
リウム繊維を用いた組成物(比較例11,12)は、
遊離カリウム含有率が0.03重量%のチタン酸カリ
ウム繊維を用いた組成物(比較例13,14)にくら
べて、射出成形時の滞留時間が長くなるとゲル化
を起こし、溶融粘度が著しく上昇するか押出不能
となつた。また、滞留時間の比較的短い条件にお
ける射出成形においては、成形が可能で物性著し
い低下を示さなかつたが、表面にゲル化物が見ら
れ平滑性において劣り、メツキ後の外観も劣り、
密着強度において低下がみられた。 また比較例13,14の組成物については、メツキ
特性をエツチング温度65℃、70℃、75℃、85℃、
浸漬時間10分、30分で行い、メツキ処理後の外観
を目視で観察するとともに、その密着強度を測定
した。結果を第5表に示す。 エツチング温度65℃の場合は、浸漬時間30分で
も十分な密着強度が得られず、70℃にあげても10
分では十分な密着強度が得られなかつた。また、
エツチング温度75℃、85℃では浸漬時間10分では
密着強度が幾分低く、85℃、30分ではメツキ後外
観において多少表面粗れがみられた。 以上から明らかな通り、芳香族ポリスルフオ
ン、チタン酸カリウム繊維およびアルカリ土類金
属炭酸塩からなる組成物のエツチング温度は、該
チタン酸カリウム繊維中の遊離カリウム含有率を
低減させることによつて溶融時の熱安定性を改良
したにもかかわらず、良好な密着強度を得るため
には本発明の組成物のエツチング温度より高くさ
れなければならず、且つ、その温度範囲も非常に
狭いものである。 なお、上記遊離カリウム含有率は、該チタン酸
カリウム繊維の所定量を水中で20時間煮沸した
後、溶出水を炎光兼用原子吸光分析装置(ダブル
ビームタイプ、(株)島津製作所製 650型、測定波
長7665Å)により測定した値である。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 芳香族ポリスルフオン50〜90重量%、少なく
    とも全体の90重量%以上が300メツシユ以下の大
    きさを有するウオラストナイト3〜40重量%、お
    よびアルカリ土類金属炭酸塩3〜30重量%からな
    ることを特徴とするメツキ特性に優れた芳香族ポ
    リスルフオン樹脂組成物。 2 アルカリ土類金属炭酸塩が炭酸カルシウム、
    炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムと炭酸マ
    グネシウムとの共晶体からなる群から選ばれた一
    種または二種である特許請求の範囲第1項記載の
    芳香族ポリスルフオン樹脂組成物。
JP62070942A 1987-03-24 1987-03-24 メツキ特性に優れた芳香族ポリスルフオン樹脂組成物 Granted JPH01301756A (ja)

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