JPH05180063A - 内燃エンジンの失火検出装置 - Google Patents

内燃エンジンの失火検出装置

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JPH05180063A
JPH05180063A JP36062691A JP36062691A JPH05180063A JP H05180063 A JPH05180063 A JP H05180063A JP 36062691 A JP36062691 A JP 36062691A JP 36062691 A JP36062691 A JP 36062691A JP H05180063 A JPH05180063 A JP H05180063A
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恵隆 黒田
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和同 澤村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はクランク軸の回転変動に基づいて失
火検知する内燃エンジンの失火検出装置において、変速
機の種類やクラッチの係合状態さらにはフィルタの使用
状態にかかわらず失火気筒を正確に判別することができ
る内燃エンジンの失火検出装置を提供することを目的と
する。 【構成】 速度切換機構(自動変速機構又は手動変速機
構)の種類及びクラッチの係合状態に応じて夫々異なる
判定値マップを選択することができるように構成した。
また、フィルタ手段の出力周波数帯域に応じて判定値を
減量補正するように構成した。さらに、ローパスフィル
タ及びハイパスフィルタのいずれを使用した場合におい
て同一の失火検知時期に同一の特定気筒が失火したと判
別することができるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃エンジンの失火検出
装置に関し、特に多気筒内燃エンジンの失火気筒を検出
する内燃エンジンの失火検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クランク軸の回転角度を所定角度毎に検
出すると共に、前記回転角度の検出周期の変動(回転変
動)を検出し、かかるクランク軸の回転変動に基づいて
失火気筒を検出する内燃エンジンの失火検出装置が従来
から公知技術として知られている(例えば、特開平2−
49955号公報)。
【0003】しかし、上記失火検出装置においては、エ
ンジン回転数が低いときは、エンジンの所謂「揺り返
し」が生じるためにクランク軸の回転変動量が大きく、
該回転変動量検出に際し低周波ノイズが混入して正確な
失火検出を行うことが困難であるという欠点があった。
また一方、エンジン回転数が高いときはクランク軸の捩
れ振動や、ジャーナルの所謂「がたつき」による振動の
ため、クランク軸の回転変動量検出に際し高周波ノイズ
が混入しやすく、正確な失火検出を行うことが困難であ
るという欠点があった。
【0004】そこで、本願出願人は、フィルタ手段を設
け、該フィルタ手段によりノイズ成分を除去することに
より失火検出の精度向上を図った失火検出装置を既に提
案している(平成3年12月4日提出の特許願)。
【0005】上記失火検出装置においては、フィルタ手
段としてハイパスフィルタとローパスフィルタとを設
け、エンジン回転数が低いときはハイパスフィルタによ
り、又エンジン回転数が高いときはローパスフィルタに
より夫々フィルタリングすることによって上記したノイ
ズ成分を除去し、失火検出の精度向上を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記失火検出
装置においては、変速機の種類やクラッチの係合状態等
を考慮することなく失火判定のための所定判定値を設定
していたため、次のような問題点があった。
【0007】すなわち、周知の如く自動変速機構(A
T)は、エンジントルクの変速等を行うためのトルクコ
ンバータが内蔵されているため、手動変速機構(MT)
に比べて回転変動が生じにくく、失火時における回転変
動量が手動変速機構に比べて小さい。したがって、AT
用とMT用とで同一の所定判定値を使用した場合、変速
機構がATときは所定判定値が所望値よりも大きく設定
され、エンジン気筒が失火していないにもかかわらず失
火したと誤判定される虞があり、一方変速機がMTのと
きは所定判定値が所望値よりも小さく設定され、エンジ
ン気筒が失火しているにもかかわらず失火していないと
誤判定される虞があるという問題点があった。
【0008】また、クラッチの係合状態についてもクラ
ッチが係合状態にあるときの方がクラッチ非係合状態に
あるときよりもクランク軸の回転変動が生じにくい。し
たがって、クラッチの係合状態とは無関係に同一の所定
判定値を使用した場合、例えばクラッチが係合状態にあ
るときは所定判定値が所望値よりも大きく設定され、エ
ンジン気筒が失火していないにもかからわず失火したと
誤判定する虞があり、一方クラッチが非係合状態にある
ときは所定判定値が所望値よりも小さく設定され、エン
ジン気筒が失火しているにもかかわらず失火していない
と誤判定する虞があり、正確な失火検知を行うことが困
難であるという問題点があった。
【0009】また、上記失火検出装置においては、フィ
ルタ使用時にはクランク軸の回転変動量(絶対値)が小
さくなるためにフィルタ使用時とフィルタ未使用時とで
別マップを検索することにより判定値を設定して失火検
知を行っており、制御系が複雑であるという問題点があ
った。
【0010】さらに、上記失火検出装置においては、上
述の如くハイパスフィルタとローパスフィルタとを使用
することによりノイズ成分を除去しているがハイパスフ
ィルとローパスフィルタとでは失火気筒の判別位置(T
DC位置)が異なるという問題点があった。すなわち、
ローパスフィルタ使用時はフィルタ未使用時に比べ18
0°の位相遅れを有して失火気筒が判別され、ハイパス
フィルタ使用時はフィルタ未使用時に比べ360°の位
相遅れを有して失火気筒が判別されるため、失火気筒の
判別が煩雑となり失火気筒の誤判別が生じる虞があると
いう問題点があった。
【0011】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであって、変速機の種類やクラッチの係合状態さら
にはフィルタの使用状態にかかわらず失火気筒を正確に
判別するこてができる内燃エンジンの失火検出装置を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、クランク軸の回転角度を所定角度毎に検出
するクランク角検出手段と、該クランク角検出手段によ
り得られる検出信号の周期変動を検出する周期変動検出
手段と、該周期変動検出手段の検出結果と所定判定値と
を比較して内燃エンジンが失火したか否かを判定する失
火判定手段とを備えた内燃エンジンの失火検出装置にお
いて、自動変速機構又は手動変速機構のうちのいずれか
一方の速度切換機構を有すると共に、前記速度切換機構
の種類に応じて前記所定判定値を切換える判定値切換手
段を備えていることを特徴としている。
【0013】さらに、本発明は複数段に速度切換が可能
な速度切換機構を有すると共に、該速度切換機構とエン
ジンとの間に設けられたクラッチの係合状態に応じて前
記所定判定値を切換える判定値切換手段を備えているこ
とを特徴としている。
【0014】また、本発明はエンジン回転数を検出する
回転数検出手段と、該回転数検出手段により得られた検
出信号のうち特定周波数帯域の検出信号のみを出力する
複数のフィルタ手段とを有し、かつ、前記判定値切換手
段により選択された所定判定値を前記フィルタ手段の出
力周波数帯域に応じて減量補正する補正手段を備えてい
る。
【0015】さらに、本発明は前記回転数検出手段によ
り検出されたエンジン回転数に応じて前記フィルタ手段
を使用すべきか否かを決定する決定手段を有すると共
に、該決定手段の決定結果に基づき前記フィルタ手段が
使用されているときに前記失火判定手段により失火が検
知されたときは、失火検知時期に対して時間遅れが同一
である気筒の失火を順次判別する失火気筒判別手段を備
えていることを特徴としている。
【0016】また、前記フィルタ手段は、少なくとも第
1の所定周波数帯域以上の周波数成分が通過するハイパ
スフィルタと第2の所定周波数帯域以下の周波数成分が
通過するローパスフィルタとが含まれている。
【0017】
【作用】上記構成によれば、判定値切換手段により速度
切換機構の種類に応じて所定判定値を所望値に設定する
ことが可能となる。また、判定値切換手段によりクラッ
チの係合状態に応じて所定判定値を所望値に設定するこ
とが可能となる。
【0018】さらに、判定値切換手段により選択された
所定判定値をフィルタの出力周波数帯域に応じて減量補
正することにより、前記所定判定値は失火誤判定が生じ
ないような値に設定される。
【0019】また、フィルタ使用時にエンジンの失火が
検知されたときは、同一の失火検知時期には同一の時間
遅れを有する気筒の失火を検出することができる。
【0020】具体的には、フィルタ手段としてハイパス
フィルタとローパスフィルタとを有する場合は、これら
ハイパスフィルタ又はローパスフィルタの出力周波数帯
域に応じて所定判定値を設定することができ、ハイパス
フィルタ又はローパスフィルタのいずれを使用しても同
一の失火検知時期に同一特定気筒の失火を判定すること
ができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説す
る。
【0022】図1は本発明に係る内燃エンジンの失火検
出装置の一実施例を示す全体構成図である。
【0023】図中、1は各シリンダに吸気弁と排気弁
(図示せず)とを各1対宛設けたDOHC直列4気筒の
内燃エンジン(以下、単に「エンジン」という)であっ
て、該エンジン1の吸気管2の途中にはスロットルボデ
ィ3が設けられ、その内部にはスロットル弁3′が配さ
れている。また、スロットル弁3′にはスロットル弁開
度(θTH)センサ4が連結されており、スロットル弁
3′の開度に応じた電気信号を出力して電子コントロー
ルユニット(以下「ECU」という)5に供給する。
【0024】燃料噴射弁6は吸気管2の途中であってエ
ンジン1とスロットル弁3′との間の吸気弁の少し上流
側に各気筒毎に設けられ、図示しない燃料ポンプに接続
されるとともにECU5に電気的に接続され、当該EC
U5からの信号により燃料噴射の開弁時間が制御され
る。
【0025】また、吸気管2のスロットル弁3′の下流
側には分岐管7が設けられ、該分岐管7の先端には絶対
圧(PBA)センサ8が取付けられている。該PBAセ
ンサ8はECU5に電気的に接続されており、吸気管2
内の絶対圧PBAは前記PBAセンサ8により電気信号
に変換されてECU5に供給される。
【0026】また、分岐管7の下流側の吸気管2の管壁
には吸気温(TA)センサ9が装着され、該TAセンサ
9により検出された吸気温TAは電気信号に変換され、
ECU5に供給される。
【0027】エンジン1のシリンダブロックの冷却水が
充満した気筒周壁にはサーミスタ等からなるエンジン水
温(TW)センサ10が装着され、該TWセンサ10に
より検出されたエンジン冷却水温TWは電気信号に変換
されてECU5に供給される。
【0028】また、エンジン1の図示しないカム軸周囲
又はクランク軸周囲の所定位置には気筒判別(CYL)
センサ11及びクランク角(CRK)センサ12が夫々
取付けられている。
【0029】CYLセンサ11は、クランク軸2回転毎
に特定の気筒の所定のクランク角度位置でパルス信号
(以下、「CYL信号パルス」という)を出力し、該C
YL信号パルスをECU5に供給する。
【0030】CRKセンサ12は、所定のクランク角周
期(例えば、30°周期)でパルス信号(以下、「CR
K信号パルス」という)を出力し、該CRK信号パルス
をECU5に供給する。
【0031】エンジン1の各気筒の点火プラグ13は、
ECU5に電気的に接続され、ECU5により点火時期
が制御される。
【0032】また、エンジン1の排気管15の途中には
広域酸素濃度センサ(以下、「LAFセンサ」と称す
る)16が設けられており、該LAFセンサ16により
検出された排気ガス中の酸素濃度は電気信号に変換され
てECU5に供給される。
【0033】変速機17は、周知の自動変速機構(A
T)又は手動変速機構(MT)で構成され、車輪(図示
せず)とエンジン1との間に介装されると共にECU5
に電気的に接続されている。
【0034】また、ECU5には駆動輪及び従動輪(図
示せず)の回転速度を検出する駆動輪速度(VW)セン
サ18と従動輪速度センサ19(車速(VSP)セン
サ)とが夫々接続され、前記VWセンサ18により検出
された駆動輪速度VW及び前記VSPセンサ19により
検出された車速VSPは夫々電気信号に変換されてEC
U5に供給される。
【0035】また、ECU5には、エアコンディショナ
・スイッチ20、ブレーキライト・スイッチ21、パワ
ーステアリング・スイッチ22等の各種スイッチが接続
され、これら各種スイッチのオン・オフ信号はECU5
に供給される。
【0036】さらに、ECU5には、ヘッドライトやル
ームファン等の他の電気装置23が接続され、これら電
気装置23からのオン・オフ信号がECU5に供給され
る。
【0037】しかして、ECU5は、上述の各種センサ
からの入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベル
に修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する
等の機能を有する入力回路5aと、中央演算処理回路
(以下、「CPU」という)5bと、該CPU5bで実
行される各種演算プログラムや後述する各種マップ及び
演算結果等を記憶するROM及びRAMからなる記憶手
段5cと、前記燃料噴射弁6及び点火プラグ13に駆動
信号を供給する出力回路5dとを備えている。
【0038】また、CPU5bは上述の各種エンジンパ
ラメータ信号に基づき、排気ガス中の酸素濃度に応じて
フィードバック制御運転領域やオープンループ制御運転
領域等エンジン運転状態を判別するとともに、エンジン
運転状態に応じ、数式(1)に基づき燃料噴射弁6の燃
料噴射時間TOUTを演算し、その結果を記憶手段5c
(RAM)に記憶する。
【0039】 TOUT=Ti×KLAF×KLS×K1+K2 …(1) ここで、Tiはエンジン回転数NEと吸気管内絶対圧P
BAとに応じて設定される基本燃料噴射時間であって、
このTi値を決定するためのTiマップとして、始動モ
ード用のTiCRマップ、基本モード用のTiMマップ
が記憶手段5c(RAM)に記憶されている。
【0040】KLAFは空燃比補正係数であり、空燃比
フィードバック制御中はLAFセンサ16によって検出
された空燃比が目標空燃比に一致するように設定され、
オープンループ制御中はエンジン運転状態に応じた所定
値に設定される。
【0041】KLSはリーン化補正係数であって、フュ
ーエルカット(燃料供給停止)直前のリーン化係数によ
る運転領域に応じた所定値に設定される。尚、始動モー
ド時にはKLS値は常に「1.0」に設定される。
【0042】K1及びK2は、各種エンジンパラメータ
信号に応じて演算される補正係数及び補正変数であっ
て、各気筒毎にエンジン運転状態に応じた燃費特性や加
速特性等の諸特性の最適化が図られるような所定値に設
定される。
【0043】また、CPU5bは、数式(2)に基づき
駆動輪速度VW18及び車速VSPに応じたスリップ率
λを算出する。
【0044】
【数1】 すなわち、CPU5bは駆動輪スリップ制御システム
(トラクションコントロールシステム、以下「TCS」
という)を具備し、スリップ率λに応じて駆動輪のトル
クを低下させることにより駆動輪の過剰スリップを抑制
するように構成されている。
【0045】図2は、CYLセンサ11から出力される
CYL信号パルス、CRKセンサ12から出力されるC
RK信号パルスの発生タイミングを示すタイムチャート
である。
【0046】CRK信号パルスは、エンジン1のクラン
ク軸が2回転する間に等間隔で例えば24個の信号パル
ス、すなわち、例えば30°のクランク角間隔でクロッ
クパルスを発生する。そして、ECU5はCRK信号パ
ルスの所定クロックパルス数を計数して6パルス毎(ク
ランク軸の180°回転毎)にTDC判別信号を発生
し、各気筒の基準クランク角度位置を検出する。さら
に、ECU5は、CRK信号パルスの発生時間間隔CR
MEを計測し、これらのCRME値をTDC判別信号の
発生時間間隔に亘って加算してME値を算出し、該ME
値の逆数であるエンジン回転数NEを検出する。
【0047】CYL信号パルスは、特定の気筒(例え
ば、#1CYL)の圧縮行程終了を示すTDC判別信号
発生位置よりも前の所定クランク角度位置(例えば90
°BTDC)で発生して、CYL判別信号発生直後のT
DC判別信号発生に特定の気筒番号(例えば、#1CY
L)をセットする。
【0048】さらに、ECU5は、TDC判別信号、C
RK信号パルスに基づき各気筒の基準クランク角度位置
からのクランク角度ステージ(以下、「ステージ」とい
う)を検出する。すなわち、TDC判別信号の発生と同
時に検出されるCRK信号パルスC1が#1CYLの圧
縮行程終了時におけるTDC位置で発生した場合、EC
U5は該CRK信号パルスC1により#1CYLの#0
ステージを検出し、さらにその後に出力されるCRK信
号パルスにより#1ステージ、#2ステージ、…、#2
3ステージを順次検出する。
【0049】しかして、CPU5bはエンジン気筒の失
火を検出する失火検出手段を有しており、以下その手法
について詳述する。
【0050】図3は、前記失火検出手段の全体構成を示
すフローチャートであって、本プログラムはTDC判別
信号の発生と同期して実行される。
【0051】まず、ステップS1では後述するモニタ許
可判断ルーチンによりフラグFMONが「1」にセット
されているか否かを判別する。そして、その答が否定
(NO)のときはステップS9に進んで再度モニタ許可
判断ルーチンをスタートさせて本プログラムを終了す
る。一方、ステップS1の答が肯定(YES)のとき
は、ステップS2に進んでクランク軸の回転変動(クラ
ンク角検出信号の周期変動)を計測し、次いで失火判定
ルーチンを実行する(ステップS3)。そして、エンジ
ン気筒の失火を検知したことを示すフラグFMFが
「1」にセットされているか否かを判別する(ステップ
S4)。すなわち、クランク軸の回転変動に基づきエン
ジン気筒が失火したか否かを検知する。そして、その答
が否定(NO)のときは、ステップS8に進む一方、ス
テップS4の答が肯定(YES)のときは、エンジンの
いずれかの気筒が失火していると判断された場合であ
り、ステップS5に進んで失火気筒判別ルーチンを実行
し、いずれの気筒が失火したかを判別する。
【0052】次いでステップS6に進み、所定回数N連
続して失火したか否かを判別する。すなわち、連続失火
した場合は、失火気筒判別ルーチンにより後述するよう
にTDC判別信号の発生毎に失火気筒が判別されるた
め、その連続失火回数を計数する。ここで、所定回数N
としてはフューエルカット中又はエンジン停止中にもか
かわらず、エンジン気筒が失火したと判別されるような
値、例えば4気筒エンジンの場合はN=4以上に設定さ
れる。そして、その答が肯定(YES)のときは、エン
ジン1がフューエルカット中等の可能性があるため、失
火検知数Mから所定回数Nを減算した値を失火回数NM
Fとして所定回数Nを失火とみなさないこととし、ステ
ップS8に進んでエンジンの異常判定を行った後、モニ
タ許可判断ルーチンをリスタートさせて(ステップS1
0)本プログラムを終了する。
【0053】次に、モニタ許可判断ルーチン及び各処理
ステップ(サブルーチン)について順次説明する。
【0054】(1) モニタ許可判断 図4は、モニタ許可判断ルーチンのフローチャートであ
って、本プログラムはバックグラウンド時に実行され
る。
【0055】まず、エンジン水温TW(TWセンサ10
によって検出される)が、第1の所定温度TWL1(例
えば、0℃)以上か否かを判別し(ステップS11)、
その答が肯定(YES)のときは吸気温TA(TAセン
サ9によって検出される)が所定温度TAL(例えば、
0℃)以上か否かを判別する。そして、上記したステッ
プS11又はステップS12のいずれか一方の答が否定
(NO)のときは、エンジンは停止中又は始動直後にあ
ると考えられ、ステップS24に進んでフラグFMON
を「0」にセットし、本プログラムを終了する。
【0056】一方、ステップS11及びステップS12
の答が肯定(YES)のときは、ステップS13に進
み、エンジン1がフューエルカット中か否かを判別す
る。フューエルカット中であるか否かは、エンジン回転
数NEやスロットル弁3′の弁開度θTHに基づいて判
断され、具体的にはフューエルカット判別ルーチン(図
示せず)の実行により判別される。
【0057】そして、その答が肯定(YES)、すなわ
ちフューエルカット中のときは失火検出をモニタする必
要がないためステップS24に進み、フラグFMONを
「0」にセットして本プログラムを終了する。一方、ス
テップS13の答が否定(NO)のときは、リーン化補
正係数KLSが「1.0」以下か否かを判別する(ステ
ップS14)。そして、その答が肯定(YES)、すな
わちKLS<1.0のときは所謂回転ラフネスが大きく
不整燃焼を起こし易い場合であり、失火誤検知を防止す
べくフラグFMONを「0」にセットして(ステップS
24)本プログラムを終了する。一方、ステップS14
の答が否定(NO)のときは、車輌がクルーズ走行状態
か否かを判別する(ステップS15)。ここで、車輌が
クルーズ走行状態にあるか否かは、例えば、±0.8km
/sec以内の車速変動が2秒間継続した走行状態にあるか
否かにより判別される。そして、その答が否定(NO)
のときは車速VSP(車速センサ19によって検出され
る)が「0」より大きいか否かを判別し、その答が肯定
(YES)のときは、車輌が加速中又は減速中の場合で
あり、フラグFMONを「0」にセットして(ステップ
S24)本プログラムを終了する。一方、ステップS1
6の答が否定(NO)のときは無負荷時の場合であり、
エンジン回転数NEが所定範囲内(NENL<NE<N
ENH)、例えば、750rpm<NE<3000rp
mにあるか否かを判別し(ステップS17)、その答が
否定(NO)のときはフラグFMONを「0」にセット
して(ステップS24)本プログラムを終了する一方、
その答が肯定(YES)のときはステップS18に進
む。
【0058】一方、ステップS15の答が肯定(YE
S)、すなわち車輌がクルーズ走行状態のときは、エン
ジン水温TWが第2の所定温度TWL2より大きいか否
かを判別する(ステップS19)。ここで、第2の所定
温度TWL2としては始動直後におけるクランク軸の回
転ラフネスに起因する不整燃焼が生じ得る温度、例え
ば、20℃に設定される。そして、ステップS19の答
が肯定(YES)のときは、不整燃焼は起こらないと判
断してステップS18に進む。一方、ステップS19の
答が否定(NO)のときは、スロットル弁3′の弁開度
θTH(θTHセンサ4により検出される)が全閉状態
か否かを判別し(ステップS20)、その答が肯定(Y
ES)のときは、ステップS24に進んでフラグFMO
Nを「0」にセットし本プログラムを終了する。
【0059】一方、ステップS20の答が否定(NO)
のとき、すなわちスロットル弁3′の弁開度θTHが全
閉状態にないときは不整燃焼は生じないと判断してステ
ップS18に進む。すなわち、エンジン無負荷時及びク
ルーズ走行中であって回転ラフネスが生じ得ない場合に
ステップS18に進み、運転状態が変動したか否かを判
断する。
【0060】この運転状態が変動したか否かは、具体的
には、図5に示すフローチャートに基づき判断される。
尚、本プログラムも図4のプログラムと同様バックグラ
ウンド時に処理される。
【0061】まず、ステップS31では前回TDC時と
今回TDC時におけるスロットル弁3′の弁開度差Δθ
THの絶対値が所定値(例えば、2°)より小さいか否
かを判別し、ステップS32では前回TDC時と今回T
DC時における吸気管内絶対圧PBAの圧力差ΔPBA
の絶対値が所定値(例えば、10mmHg)より小さいか否
かを判別する。すなわち、ステップS31及びステップ
S32においては、車速センサ19では検出されない運
転状態の微小変動があったか否かを判断する。そして、
ステップS31又はステップS32の少なくとも一方の
答が否定(NO)のときは運転状態に変動が有ったと判
断して、フラグFDRVを「1」にセットし、図4のル
ーチンに戻る。
【0062】一方、ステップS31及びステップS32
のいずれの答も肯定(YES)のときはステップS33
に進み、吸気管内絶対圧PBAの変動がTDC判別信号
の発生間隔よりも長時間に亘ってあったか否かを判断す
る。すなわち、TDC判別信号毎に検出される吸気管内
絶対圧PBAの変動は小さいが、該TDC判別信号の発
生間隔よりも長い時間、例えば、100ms間では吸気管
内絶対圧PBAの変動量が大きくなる場合があり、かか
る変動量が所定値より大きいか否かを判断する。つま
り、例えば、変速機17が手動変速機構(MT)である
場合においてクラッチの係合状態が半クラッチ状態のと
きや、変速機17が自動変速機構(AT)である場合に
おいてシフトチェンジしたときは吸気管内絶対圧PBA
の変動量が徐々に大きくなる。そこで、本実施例では吸
気管内絶対圧PBAの変動をTDC判別信号の発生間隔
よりも長く設定された所定時間毎に検出し、吸気管内絶
対圧PBAの変動の有無を判断し、上記したMT車の半
クラッチ状態やAT車のシフトチェンジ時における失火
誤検知の防止を図ることとした。
【0063】吸気管内絶対圧PBAの変動有無は、具体
的には図6に示すPBA変動判断ルーチンを実行するこ
とにより判断される。尚、本プログラムはECU5に内
蔵されたタイマにより、例えば10ms毎に発生する擬似
信号パルスに同期して実行される。
【0064】まず、ステップS51では、エンジンが始
動モードにあるか否かを判別する。ここで、始動モード
にあるか否かは、例えば、図示しないエンジンのスター
タスイッチがオンで且つエンジン回転数が所定の始動時
回転数(クランキング回転数)以下か否かにより判別す
る。
【0065】そして、ステップS51の答が肯定(YE
S)のときは、タイマtmPBを所定時間T2(例え
ば、100ms)にセットし(ステップS52)、次いで
吸気管内絶対圧の変動量ΔPBA1を今回ループ時のP
BA値に設定し(ステップS53)、フラグFPBを
「0」にセットして(ステップS54)本プログラムを
終了する。
【0066】一方、その後のループでステップS51の
答が否定(NO)となったときはステップS55に進
み、上記ステップS52でセットされたタイマtmPB
のタイマ値がタイムアップして「0」になったか否かを
判別する。
【0067】そして、その答が否定(NO)のときはそ
のまま本プログラムを終了する一方、その答が肯定(Y
ES)のときは今回ループのPBA値からステップS5
3で設定されたΔPBA1値を減算してその絶対値を吸
気管内絶対圧の変動量ΔPBA2とし(ステップS5
6)、次いで次回ループにおける変動量を算出するため
に再びタイマtmPBのタイマ値をT2(例えば、10
0ms)に設定した後(ステップS57)、ステップS5
3と同様、ΔPBA1=PBAとし(ステップS5
8)、次いでステップS56で算出されたΔPBA2値
が所定下限値ΔPBAL(例えば、40mmHg)より大き
いか否かを判別する(ステップS59)。
【0068】そして、その答が否定(NO)のときは、
フラグFPBを「0」にセツトして本プログラムを終了
する一方、その答が肯定(YES)のときは、吸気管内
絶対圧PBAの変動量が大きいと判断してフラグFPB
を「1」にセットし(ステップS60)図5のルーチン
に戻る。
【0069】このように、PBA変動判断処理を行った
後(図5、ステップS3)ステップS34に進み、フラ
グFPBが上記したPBA変動判断ルーチンにより
「1」にセットされているか否かを判別し、その答が肯
定(YES)のときは運転状態の変動が有ったと判断し
てフラグFDRVを「1」にセットし、図4のルーチン
に戻る。
【0070】一方、ステップS34の答が否定(NO)
のときは、ステップS35に進み、電気装置23の負荷
変動ΔACが所定値ΔACL(例えば、0.8)以上か
否かを判別し、その答が否定(NO)のときはエアコン
ディショナ・スイッチ20のオン・オフ変動があったか
を判別する(ステップS36)。そして、その答が否定
(NO)のときはブレーキライト・スイッチ21のオン
・オフ変動があったか否かを判別し(ステップS3
7)、その答が否定(NO)のときはパワーステアリン
グ・スイッチのオン・オフ変動があったか否かを判別す
る(ステップS38)。そして、その答が否定(NO)
のときは、さらに駆動輪が過剰スリップしてTCSが作
動しているか否かを判別する(ステップS39)。
【0071】そして、その答が否定(NO)のときは、
フィルタの出入変動があったか否かを判別する(ステッ
プS40)。すなわち、本実施例においては、後述する
ようにエンジン回転数が低いときにはハイパスフィルタ
を使用し、エンジン回転数が高いときにはローパスフィ
ルタを使用することにより、低周波及高周波のノイズ成
分を除去しているが、フィルタの使用境界近傍のエンジ
ン回転数NE領域、例えばハイパスフィルタにあっては
エンジン回転数3000rpm、ローパスフィルタにあ
ってはエンジン回転数5000rpmの近傍領域ではフ
ィルタの出入変動が起こるためクランク軸からの出力値
に変動が生じる虞がある。そこで、本実施例ではかかる
フィルタの出入変動があったか否かを判別することとし
た。そして、ステップS40の答が否定(NO)のとき
はフラグFDRVを「0」にセットして(ステップS4
1)、図4のルーチンに戻る。すなわち、ステップS3
5〜S40の各ステップが否定(NO)のときは、運転
状態の変動は無かったと判断してフラグFDRVを
「0」にセットし、図4のルーチンに戻る。
【0072】一方、ステップS35〜S40のうちの少
なくとも1つの答が肯定(YES)のときは、運転状態
の変動が生じたと判断して、フラグFDRVを「1」に
セットし(ステップS42)、図4のルーチンに戻る。
【0073】しかして、上述の如く運転状態変動判断処
理を行った後(図4、ステップS18)ステップS21
に進み、フラグFDRVが「1」にセットされているか
否かを判別する。そして、その答が肯定(YES)のと
きはフラグFMONを「0」にセットして(ステップS
24)本プログラムを終了する一方、その答が否定(N
O)のときは、タイマtmMONが所定時間T1を経過
したか否かを判別する(ステップS22)。そして、そ
の答が否定(NO)のときは、ステップS24に進んで
フラグFMONを「1」にセットする一方、その答が肯
定(YES)のときはフラグFMONを「1」にセット
し失火検出のモニタを許可して(ステップS23)本プ
ログラムを終了する。
【0074】(2) クランク軸の回転変動計測(図3、ス
テップS2) 図7は、クランク軸の回転変動計測ルーチンを示すフロ
ーチャートであって、本プログラムはTDC判別信号の
発生と同期して実行される。
【0075】まず、ステップS71では数式(3)に基
づき#0ステージから#6ステージまでのCRME値を
加算し、所定回転時間TREV(n)を算出する。
【0076】 TREV(n)= CRME(0)+CRME(1)+……+CRME(6) …(3) 尚、エンジン回転数NEを算出するためのME値は前述
の如く#0ステージから#5ステージまでの180°分
のCREM値を加算することにより算出されるが、クラ
ンク軸の回転変動量を求めるための前記所定回転時間T
REV(n)は本実施例では失火した場合の影響等を考
慮して、#0ステージから#6ステージまでの210°
分のCRME値を加算して算出される。
【0077】次に、ステップS72では、エンジン回転
数NEがハイパスフィルタの使用領域内、すなわちエン
ジン回転数NEがハイパスフィルタを使用する下限回転
数NEHPFLと上限回転数NEHPFHの範囲内にあ
るか否かを判別する。ここで、下限回転数NEHPFL
としてはアイドル回転数に近い回転数、例えば750r
pmに設定され、上限回転数NEHPFHとしてはエン
ジンの「揺り返し」により生じ得る低周波成分を確実に
フィルタリングし得る回転数、例えば3000rpmに
設定される。
【0078】そして、ステップS72の答が肯定(YE
S)のときは、数式(4)に基づきそのフィルタ出力値
FTREV(n)を算出する(ステップS73)。
【0079】 FTREV(n)=b1TREV(n)+b2TREV(n−1) +b3TREV(n−2)−a1FTREV(n−1) −a2FTREV(n−2) …(4) ここで、b1,b2,b3,a1,a2は夫々フィルタ伝達
係数であって、ハイパスフィルタ用の所定伝達係数、例
えばb1=0.2096,b2=0.4192,b3
0.2096,a1=0.3557,a2=0.194に
設定される。
【0080】また、初期値として、前々回ループ時のF
TREV値であるFTREV(0)は、数式(5)に示
すように、前々回ループ時のクランク軸回転時間TRE
V(0)が使用され、前回ループ時のFTREV値であ
るFTREV(1)は、数式(6)に示すように、前回
ループ時のクランク軸回転時間TREV(1)が使用さ
れる。
【0081】 FTREV(0)=TREV(0) …(5) FTREV(1)=TREV(1) …(6) 一方、ステップS72の答が否定(NO)のときはステ
ップS74に進み、エンジン回転数NEがローパスフィ
ルタの使用領域内、すなわち、エンジン回転数NEがロ
ーパスフィルタを使用する下限回転数NELPFLと上
限回転数NELPFHの範囲内にあるか否かを判別す
る。ここで、下限回転数NELPFLとしては、クラン
ク軸の捩れ振動やジャーナルの「がたつき」等の振動に
起因する高周波ノイズを確実にフィルタリングし得る回
転数、例えば、5000rpmに設定され、上限回転数
NELPFHとしてはエンジン1の有する最高回転数、
例えば6500rpmに設定される。そして、ステップ
S74の答が肯定(YES)のときはステップS75に
進み、そのフィルタ出力値FTREV(n)を数式
(7)に基づき算出する。
【0082】 FTREV(n)=b1′TREV(n)+b2′TREV(n−1)+b3′ TREV(n−2)−a1′FTREV(n−1)−a2′FTREV(n−2) …(7) ここで、b1′,b2′,b3′,a1′,a2′は夫々フ
ィルタ伝達係数であって、ローパスフィルタ用の所定伝
達係数、例えば、b1′=0.0159,b2′=0.0
318,b3′=0.0159,a1′=1.613,a
2′=0.6766に設定される。
【0083】また、初期値としての前々回ループ時のF
TREV(0)値及び前回ループ時のFTREV(1)
値は、数式(5),(6)と同様、夫々前々回ループ時
のTREV(0)値及び前回ループ時のTREV(1)
値に設定される。
【0084】次に、ステップS76では数式(8)に基
づき今回ループ時のFTREV(n)値と前回ループ時
FTREV(n−1)値との偏差ΔFTREV(n)を
算出する。
【0085】 ΔFTREV(n)=FTREV(n)−FTREV(n−1) …(8) 次に、ステップS77では、数式(9)に基づき、フィ
ルタ使用時の回転変動量ΔΔFTREV(n)を算出
し、本プログラムを終了する。
【0086】
【数2】 すなわち、エンジンが失火した場合においては前記偏差
ΔFTREV(n)が大きくなるため、誤偏差ΔFTR
EV(n)値のみでは失火を検知するための回転変動を
正確に検出するのが困難である。そこで、本実施例では
1サイクルに相当する3TDC前時のΔFTREV値を
も考慮して回転変動量ΔΔFTREV(n)を算出する
こととした。
【0087】一方、ステップS74の答が否定(NO)
のときは、エンジン回転数NEが中域回転数(例えば、
3000〜5000rpm)の場合であってフィルタを
使用しない場合であり、数式(10)に基づき今回ルー
プ時のクランク軸回転時間TREV(n)と前回ループ
時のクランク軸回転時間TREV(n−1)の偏差ΔT
REV(n)を算出する。
【0088】 ΔTREV(n)=TREV(n)−TREV(n−1) …(10) 次に、ステップS79では数式(9)と同様、数式(1
1)に基づき3TDC前のΔFTREV値を考慮した回
転変動量ΔΔTREV(n)を算出し、本プログラムを
終了する。
【0089】
【数3】 (3) 失火判定(図3、ステップS3) 図8は、失火判定ルーチンを示すフローチャートであっ
て、本プログラムはTDC判別信号の発生に同期して実
行される。
【0090】まず、ステップS81では、変速機17の
種類及びクラッチの係合状態に応じて失火判定値マップ
を選択する。
【0091】すなわち、周知の如く自動変速機(AT)
には、エンジントルクの変速等を行うためのトルクコン
バータが内蔵されているため、手動変速機構(MT)に
比べて回転変動が生じにくく、失火時における回転変動
量が手動変速機構に比べて小さい。したがって、AT用
とMT用とで同一の失火判定値マップを使用した場合、
例えばMTを基準にした失火判定値マップをATに使用
した場合は、失火判定値が所望値よりも大きく設定さ
れ、エンジン気筒が失火していないにもかかわらず失火
したと誤判定される虞があり、一方ATを基準にした判
定値マップをMTに使用した場合は失火判定値が所望値
よりも小さく設定され、エンジン気筒が失火しているに
もかかわらず失火していないと誤判定される虞がある。
つまり、ATの場合は、MTの場合に比べて相対的に失
火判定値を小さくする必要がある。
【0092】また、クラッチの係合状態についてもクラ
ッチが係合状態にあるときの方がクラッチが非係合状態
にあるときよりもクランク軸の回転変動が生じにくい。
したがって、クラッチの係合状態とは無関係に同一の失
火判定値マップを使用した場合、例えばクラッチが係合
状態にあるときは、失火判定値が所望値よりも大きく設
定され、エンジン気筒が失火していないにもかかわらず
失火したと誤判定される虞があり、一方クラッチが非係
合状態にあるときは失火判定値が所望値よりも小さく設
定され、エンジン気筒が失火しているにもかかわらず失
火していないと誤判定される虞があり、正確な失火検知
を行うことが困難である。そこで、本実施例では変速機
17の種類及びクラッチの係合状態に応じて異なる失火
判定値マップを選択することとした。
【0093】具体的には、変速機17が自動変速機構
(AT)である場合は、図9に示すAT車用のマップ選
択ルーチンを実行してAT車用のノー・ロード(N/
L)マップ又はロード・ロード(R/L)マップが選択
される。
【0094】すなわち、ステップS101では変速機1
7がニュートラルレンジ又はパーキングレンジにあるか
を判別し、その答が否定(NO)のときはR/Lマップ
を選択する一方(ステップS102)、その答が肯定
(YES)のときは、N/Rマップを選択して(ステッ
プS103)図8のルーチンに戻る。
【0095】また、変速機17が手動変速機構(MT)
である場合は、図10に示すMT車用マップ選択ルーチ
ンを実行してMT車用のN/Lマップ又はR/Lマップ
が選択される。
【0096】すなわち、ステップS111ではクラッチ
・スイッチがオンしているか否かを判別し、その答が肯
定(YES)のときはN/Lマップを選択して図8のル
ーチンに戻る。
【0097】一方、ステップS111の答が否定(N
O)のときは車速VSPが所定値VRL(例えば、5km
/h)より大きいか否かを判別する(ステップS11
3)。そして、その答が否定(NO)のときは車輌はニ
ュートラル状態にあると判断してN/Lマップを選択し
(ステップS112)図8のルーチンに戻る。
【0098】一方、ステップS113の答が肯定(YE
S)のときはR/Lマップを選択して(ステップS11
4)図8のルーチンに戻る。
【0099】しかして、このように失火判定値マップの
選択がなされた後(図8、ステップS81)、ステップ
S82に進み、上記失火判定値マップを検索して失火判
定値MFDELを算出する。
【0100】失火判定値マップは、具体的にはエンジン
回転数NE1〜NE7及び吸気管内絶対圧PBA1,P
BA2に応じてマップ値MFDEL1〜MFDEL7が
与えられており、失火判定値MFDELはこの失火判定
値マップを検索することにより読み出され、あるいは補
間法により算出される。すなわち、失火判定値マップと
してAT車用N/Lマップ、AT車用R/Lマップ、M
T車用N/Lマップ及びMT車用R/Lマップの4種類
のマップが予め記憶手段5cに記憶されており、図9及
び図10に従って選択されたこれら所定のマップを検索
して失火判定値MFDELが算出される。尚、エンジン
回転数NE及び吸気管内絶対圧PBAが同一の場合は、
上述した理由からMT車用マップのMFDEL値はAT
車用マップのMFDEL値よりも大きな値に設定され、
R/LマップのMFDEL値はN/LマップのMFDE
L値よりも大きな値に設定されるようにマップが作成さ
れている。
【0101】次に、ステップS83に進み、クランク軸
の回転変動計測時にハイパスフィルタを使用したか否か
を判別する。そして、その答が肯定(YES)のとき
は、ステップS77(図7)で算出されたハイパスフィ
ルタ使用時の回転変動量ΔΔFTREV(n)に「−
1」を乗算して正負を逆転させた値を新たな回転変動量
ΔΔFTREV(n)とする。これにより、ハイパスフ
ィルタ使用時とローパスフィルタ使用時とで位相のずれ
を解消することができ、後述する失火気筒の判別におい
て好都合となる。
【0102】すなわち、ハイパスフィルタとローパスフ
ィルタとでは失火気筒の判別に際し、180°の位相の
「ずれ」が生じる。そこで、ハイパスフィルタ使用時の
回転変動量ΔΔTREV(n)の正負を逆転させること
により前記位相の「ずれ」を解消することとした。
【0103】次に、失火判定値MFDELに第1の補正
係数C1(例えば、0.5)を乗算して補正判定値MF
PFを算出し(ステップS85)、ステップS88に進
む。
【0104】一方、ステップS83の答が否定(NO)
のときはクランク軸の回転変動計測時にローパスフィル
タを使用したか否かを判別し(ステップS86)、その
答が肯定(YES)のときは第2の補正係数C2(例え
ば、0.6)を失火判定値MFDELに乗算して補正判
定値MFPFを算出し(ステップS87)、ステップS
88に進む。すなわち、フィルタ使用時に算出される回
転変動量ΔΔFTREV(n)はフィルタ未使用時に算
出される回転変動量ΔΔTREV(n)に比べ小さいた
め、マップ検索のみから設定された失火判定値MFDE
Lとの差が小さく、失火誤検知の虞がある。そこで、第
1及び第2の補正係数C1,C2を失火判定値MFDE
Lに乗算して夫々補正判定値MFPFを算出し、確実に
失火検知することができるようにした。
【0105】次に、ステップS88では、フィルタ使用
時の回転変動量ΔΔFTREV(n)が前記補正判定値
MFPFより大きいか否かを判別し、その答が否定(N
O)のときはエンジン気筒の失火はなかったと判断して
フラグFMFを「0」にセットし(ステップS89)本
プログラムを終了する。
【0106】一方、ステップS88の答が肯定(YE
S)のときは気筒の失火を検知し、フラグFMFを
「1」にセットして(ステップS90)本プログラムを
終了する。
【0107】また、ステップS86の答が否定(NO)
のとき、すなわち、クランク軸の回転変動計測時にフィ
ルタを使用しなかったときは、ステップS91に進み、
回転変動量ΔΔTREV(n)が失火判定値MFDEL
より大きいか否かを判別する。そして、その答が否定
(NO)のときはフラグFMFを「0」にセットする一
方(ステップS92)、その答が肯定(YES)のとき
はエンジン気筒の失火を検知してフラグFMFを「1」
にセットし(ステップS93)本プログラムを終了す
る。
【0108】(4) 失火気筒判別(図3、ステップS5) 図12は失火気筒判別ルーチンのフローチャートであっ
て、本プログラムはTDC判別信号の発生に同期して実
行される。
【0109】まず、ステップS121でクランク軸の回
転変動計測時(図7参照)にフィルタを使用したか否か
を判別する。
【0110】そして、その答が肯定(YES)のときは
フィルタ使用により判別気筒は180°の位相遅れを有
するため、CYL信号パルスの発生直後のTDC判別信
号発生前の気筒番号を失火気筒と検知し(ステップS1
22)本プログラムを終了する。
【0111】すなわち、CYL信号パルス発生後におい
て第1回目のTDC判別信号発生時に失火を検知した場
合は、#1CYLが失火したと判別し、第2回目のTD
C判別信号発生時に失火を検知した場合は、#3CYL
が失火したと判別し、さらに第3回目のTDC判別信号
発生時に失火を検知した場合は、#4CYLが失火しと
判別し、第4回目のTDC判別信号発生時に失火を検知
した場合は、#2CYLが失火したと判別する。
【0112】一方、ステップS121の答が否定(N
O)のときは、CYL信号パルスの発生直後のTDC判
別信号の発生に対応する気筒番号を失火気筒と検知し
(ステップS123)本プログラムを終了する。
【0113】すなわち、CYL信号パルス発生後におい
て第1回目のTDC判別信号発生時に失火を検知した場
合は、#3CYLが失火したと判別し、第2回目のTD
C判別信号発生時に失火を検知した場合は、#4CYL
が失火したと判別し、さらに第3回目のTDC判別信号
発生時に失火を検知した場合は、#2CYLが失火した
と判別し、第4回目のTDC判別信号発生時に失火を検
知した場合は、#1CYLが失火したと判別する。
【0114】(5) 異常判定(図3、ステップS8) 図13は、異常判定ルーチンのフローチャートであっ
て、本プログラムはTDC判別信号と同期して実行され
る。
【0115】まず、ステップS131ではモニタリスタ
ート後、連続して所定回転数(例えば、1000rp
m)分のクランク軸回転変動を計測したか否かを判別す
る。すわち、モニタスタート後、所定回転数内に加速運
転やフィルタの出入変動など運転状態の変動等が生じる
ことなくクランク軸の回転変動が計測されたか否かを判
別する。そして、その答が否定(NO)、すなわち所定
回転数内で運転状態の変動等が生じたときは失火検知処
理を終了する一方、その答が肯定(YES)のときはス
テップS132に進み、失火率φが所定値φ0(例え
ば、0.01)より大きいか否かを判別する。ここで、
失火率φは上記所定回転数毎における失火回数、すなわ
ち失火TDC数を計数することにより算出される。例え
ば、所定回転数が1000rpmの場合、4気筒エンジ
ンで発生するTDC判別信号は2000であり、φ0
0.01とした場合は、失火TDCが20回以上か否か
により、失火率φが所定値φ0より大きいか否かを判断
する。
【0116】そして、その答が否定(NO)のときはエ
ンジンは正常と判断して本プログラムを終了する一方
(ステップS133)、その答が肯定(YES)のとき
は、エンジンは異常と判断し、本プログラムを終了す
る。
【0117】さらに、本発明は上記実施例に限定される
ものではなく、例えば、上記実施例ではフィルタ使用時
の失火判定値を補正して算出される補正判定値に基づい
てエンジン気筒が失火したか否かを判定しているが(図
8、ステップS85、ステップS86参照)フィルタ使
用時の回転変動量を補正してもよい。すなわち、図14
のフローチャートに示すように、そのステップS18
5,S187でフィルタ使用時の回転変動量に補正係
数、すなわちハイパスフィルタ使用時には第3の補正係
数C3(例えば、2.0)、ローパスフィルタ使用時に
は第4の補正係数C4(例えば、1.6)を夫々乗算し
て補正回転変動量ΔΔFTREVM(n)を算出し、ス
テップS188で補正回転変動量ΔFTREVM(n)
が失火判定値MFDELより大きいか否かを判断するよ
うに構成しても同様の効果を得ることができる。
【0118】また、上記実施例ではフィルタ手段をハイ
パスフィルタとローパスフィルタとで構成しているが、
前記フィルタ手段をバンドパスフィルタで構成し、エン
ジン回転数NEの検出結果に応じて夫々に適応するバン
ドパスフィルタに切換えてクランク軸の回転変動量を算
出するように構成してもよい。
【0119】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明はクランク
軸の回転角度を所定角度毎に検出するクランク角検出手
段と、該クランク角検出手段により得られる検出信号の
周期変動を検出する周期変動検出手段と、該周期変動検
出手段の検出結果と所定判定値とを比較して内燃エンジ
ンが失火したか否かを判定する失火判定手段とを備えた
内燃エンジンの失火検出装置において、自動変速機構又
は手動変速機構のうちのいずれか一方の速度切換機構を
有すると共に、前記速度切換機構の種類に応じて前記所
定判定値を切換える判定値切換手段を備えているので、
速度切換機構の種類に応じて前記所定判定値を最適値に
設定することができ、失火誤判定を防止することがで
き、失火検出の精度向上を図ることができる。
【0120】また、複数段に速度切換が可能な速度切換
機構を有すると共に、該速度切換機構とエンジンとの間
に設けられたクラッチの係合状態に応じて前記所定判定
値を切換える判定値切換手段を備えているので、上述と
同様、クラッチの係合状態に応じて前記所定判定値を最
適値に設定することができ、失火誤判定を防止すること
ができ、失火検出の精度向上を図ることができる。
【0121】さらに、本発明はエンジン回転数を検出す
る回転数検出手段と、該回転数検出手段により得られた
検出信号のうち特定周波数帯域の検出信号のみを出力す
る複数のフィルタ手段とを有し、かつ、前記判定値切換
手段により選択された所定判定値を前記フィルタ手段の
出力周波数帯域に応じて減量補正する補正手段を備えて
いるので、フィルタ使用時とフィルタ未使用時とで別マ
ップを用意することなく、所定判定値を設定することが
でき、制御系の負担軽減を図ることができる。
【0122】また、本発明は前記回転数検出手段により
検出されたエンジン回転数に応じて前記フィルタ手段を
使用すべきか否かを決定する決定手段を有すると共に、
該決定手段の決定結果に基づき前記フィルタ手段が使用
されているときに前記失火判定手段により失火が検知さ
れたときは、失火検知時期に対して時間遅れが同一であ
る気筒の失火を順次判別する失火気筒判別手段を備えて
いるので、失火気筒の判別が簡素化され、失火気筒の判
別を容易に行うことができる。
【0123】具体的には、前記フィルタ手段として、ハ
イパスフィルタとローパスフィルタとを有する場合は、
ハイパスフィルタ使用時においてもローパスフィルタ使
用時と同一のソフトウェアで失火気筒を正確に判別する
ことができ、失火検知の精度向上及び制御系の負担軽減
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃エンジンの失火検出装置の一
実施例を示す全体構成図である。
【図2】CYL信号パルス、TDC判別信号及びCRK
信号パルスの発生タイミングを示すフローチャートであ
る。
【図3】本発明のメインルーチンを示すフローチャート
である。
【図4】モニタ許可判断ルーチンのフローチャートであ
る。
【図5】運転状態判断ルーチンのフローチャートであ
る。
【図6】吸気管内絶対圧変動判断ルーチンのフローチャ
ートである。
【図7】クランク軸の回転変動計測ルーチンのフローチ
ャートである。
【図8】失火判定ルーチンのフローチャートである。
【図9】AT車用失火判定値マップ選択ルーチンのフロ
ーチャートである。
【図10】MT車用失火判定値マップ選択ルーチンのフ
ローチャートである。
【図11】MFDELマップ図である。
【図12】失火気筒判別ルーチンのフローチャートであ
る。
【図13】異常判定ルーチンのフローチャートである。
【図14】失火判定ルーチンの他の実施例を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1 内燃エンジン 5 ECU(周期変動検出手段、失火判定手段、判定
値切換手段、回転数検出手段、フィルタ手段、補正手
段、失火気筒判別手段) 12 CRKセンサ(クランク角検出手段)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】すなわち、周知の如く自動変速機構(A
T)は、エンジントルクの変速等を行うためのトルクコ
ンバータが内蔵されているため、手動変速機構(MT)
に比べて回転変動が生じにくく、失火時における回転変
動量が手動変速機構に比べて小さい。したがって、AT
用とMT用とで同一の所定判定値を使用した場合、変速
機構がATときは所定判定値が所望値よりも大きく設定
され、エンジン気筒が失火しているにもかかわらず失火
していないと誤判定される虞があり、一方変速機がMT
のときは所定判定値が所望値よりも小さく設定され、エ
ンジン気筒が失火していないにもかかわらず失火して
と誤判定される虞があるという問題点があった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】また、クラッチの係合状態についてもクラ
ッチが係合状態にあるときの方がクラッチ非係合状態に
あるときよりもクランク軸の回転変動が生じにくい。し
たがって、クラッチの係合状態とは無関係に同一の所定
判定値を使用した場合、例えばクラッチが係合状態にあ
るときは所定判定値が所望値よりも小さく設定され、エ
ンジン気筒が失火していないにもかからわず失火したと
誤判定する虞があり、一方クラッチが非係合状態にある
ときは所定判定値が所望値よりも大きく設定され、エン
ジン気筒が失火しているにもかかわらず失火していない
と誤判定する虞があり、正確な失火検知を行うことが困
難であるという問題点があった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正内容】
【0091】すなわち、周知の如く自動変速機(AT)
には、エンジントルクの変速等を行うためのトルクコン
バータが内蔵されているため、手動変速機構(MT)に
比べて回転変動が生じにくく、失火時における回転変動
量が手動変速機構に比べて小さい。したがって、AT用
とMT用とで同一の失火判定値マップを使用した場合、
例えばMTを基準にした失火判定値マップをATに使用
した場合は、失火判定値が所望値よりも大きく設定さ
れ、エンジン気筒が失火しているにもかかわらず失火
ていないと誤判定される虞があり、一方ATを基準にし
た判定値マップをMTに使用した場合は失火判定値が所
望値よりも小さく設定され、エンジン気筒が失火して
ないにもかかわらず失火していると誤判定される虞があ
る。つまり、ATの場合は、MTの場合に比べて相対的
に失火判定値を小さくする必要がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正内容】
【0092】また、クラッチの係合状態についてもクラ
ッチが係合状態にあるときの方がクラッチが非係合状態
にあるときよりもクランク軸の回転変動が生じにくい。
したがって、クラッチの係合状態とは無関係に同一の失
火判定値マップを使用した場合、例えばクラッチが係合
状態にあるときは、失火判定値が所望値よりも小さく設
定され、エンジン気筒が失火していないにもかかわらず
失火したと誤判定される虞があり、一方クラッチが非係
合状態にあるときは失火判定値が所望値よりも大きく設
定され、エンジン気筒が失火しているにもかかわらず失
火していないと誤判定される虞があり、正確な失火検知
を行うことが困難である。そこで、本実施例では変速機
17の種類及びクラッチの係合状態に応じて異なる失火
判定値マップを選択することとした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02P 17/00 U 8923−3G

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランク軸の回転角度を所定角度毎に検
    出するクランク角検出手段と、該クランク角検出手段に
    より得られる検出信号の周期変動を検出する周期変動検
    出手段と、該周期変動検出手段の検出結果と所定判定値
    とを比較して内燃エンジンが失火したか否かを判定する
    失火判定手段とを備えた内燃エンジンの失火検出装置に
    おいて、 自動変速機構又は手動変速機構のうちのいずれか一方の
    速度切換機構を有すると共に、前記速度切換機構の種類
    に応じて前記所定判定値を切換える判定値切換手段を備
    えていることを特徴とする内燃エンジンの失火検出装
    置。
  2. 【請求項2】 クランク軸の回転角度を所定角度毎に検
    出するクランク角検出手段と、該クランク角検出手段に
    より得られる検出信号の周期変動を検出する周期変動検
    出手段と、該周期変動検出手段の検出結果と所定判定値
    とを比較して内燃エンジンが失火したか否かを判定する
    失火判定手段とを備えた内燃エンジンの失火検出装置に
    おいて、 複数段に速度切換が可能な速度切換機構を有すると共
    に、該速度切換機構とエンジンとの間に設けられたクラ
    ッチの係合状態に応じて前記所定判定値を切換える判定
    値切換手段を備えていることを特徴とする内燃エンジン
    の失火検出装置。
  3. 【請求項3】 エンジン回転数を検出する回転数検出手
    段と、該回転数検出手段により得られた検出信号のうち
    特定周波数帯域の検出信号のみを出力する複数のフィル
    タ手段とを有し、かつ、前記判定値切換手段により選択
    された所定判定値を前記フィルタ手段の出力周波数帯域
    に応じて減量補正する補正手段を備えていることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の内燃エンジンの失火
    検出装置。
  4. 【請求項4】 前記回転数検出手段により検出されたエ
    ンジン回転数に応じて前記フィルタ手段を使用すべきか
    否かを決定する決定手段を有すると共に、該決定手段の
    決定結果に基づき前記フィルタ手段が使用されていると
    きに前記失火判定手段により失火が検知されたときは、
    失火検知時期に対して時間遅れが同一である気筒の失火
    を順次判別する失火気筒判別手段を備えていることを特
    徴とする請求項3記載の内燃エンジンの失火検出装置。
  5. 【請求項5】 前記フィルタ手段は、少なくとも第1の
    所定周波数帯域以上の周波数成分が通過するハイパスフ
    ィルタと第2の所定周波数帯域以下の周波数成分が通過
    するローパスフィルタとが含まれることを特徴とする請
    求項3又は請求項4記載の内燃エンジンの失火検出装
    置。
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