JPH0517994B2 - - Google Patents

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JPH0517994B2
JPH0517994B2 JP59265187A JP26518784A JPH0517994B2 JP H0517994 B2 JPH0517994 B2 JP H0517994B2 JP 59265187 A JP59265187 A JP 59265187A JP 26518784 A JP26518784 A JP 26518784A JP H0517994 B2 JPH0517994 B2 JP H0517994B2
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powder
plateau
cast iron
weight
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Kazunori Mizutani
Mikio Uchama
Masateru Yagi
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TEIKOKU PISUTONRINGU KK
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IZUMI KOGYO KK
TEIKOKU PISUTONRINGU KK
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C24/00Coating starting from inorganic powder
    • C23C24/08Coating starting from inorganic powder by application of heat or pressure and heat
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C4/00Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge
    • C23C4/02Pretreatment of the material to be coated, e.g. for coating on selected surface areas
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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    • C23C4/04Coating by spraying the coating material in the molten state, e.g. by flame, plasma or electric discharge characterised by the coating material
    • C23C4/06Metallic material
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J10/00Engine or like cylinders; Features of hollow, e.g. cylindrical, bodies in general
    • F16J10/02Cylinders designed to receive moving pistons or plungers
    • F16J10/04Running faces; Liners

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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は耐摩耗性、耐スカツフイング性が要求
される相対的摺動部材の摺動面対構造、特に内燃
機関、コンプレツサー或いはポンプ等に用いられ
るシリンダ(シリンダスリーブ、シリンダライナ
及びシリンダブロツク等を含む、以下同じ)とピ
ストンリングの様な機能部品の摺動面が対向して
構成される摺動面対構造に関するものである。 (従来の技術) 内燃機関は近年とみに高性能化されるとともに
一方では公害対策や省エネルギー対策のために、
ピストンリングやシリンダなど機能部品に対する
負荷は益々増大し要求品質もより高度なものとな
つている。即ちこれらの機能部品に対しては、高
温高負荷の条件下における潤滑油消費量(LOC)
の低減に耐え得る耐摩耗性、耐スカツフイング性
と同時に軽量化や摩擦損失の低減等が強く希求さ
れ、この要請に対応する摺動面間の性状、換言す
れば相対的摺動部材のより望ましい組合せ或いは
相性のよい摺動面対構造が追究されている。 前記要請に対応する一方のシリンダライナ摺動
面の耐摩耗処理方法が特開昭52−138797号公報に
開示されている。この方法によると、SiCを含む
スリラー又はペーストを用いてラツピング工具に
よりシリンダ等の摺動面に螺旋溝を形成するとと
もにSiC粒子を埋め込む工程、前工程よりも細か
い粒度のSiC粒子によつて各溝の間のピークを削
り取り、微粒子の鋭い角部を除去するとともに突
出している微粒子を押し込む工程、更に必要があ
れば前工程よりも微粒子を含ませたホーニングシ
ユーで仕上げラツピングを施す工程よりなる耐摩
耗処理が行われる。この処理方法は、鋳鉄又は鋼
製のシリンダ或いはシリンダライナーに一部実用
化され、シリンダ自身の耐摩耗性において優れた
性能を発揮し、又コスト面においても特殊耐摩耗
鋳鉄或いはクロムめつきシリンダに較べ大幅な低
減を可能とするとともに鋼製薄肉シリンダに適用
した場合には軽量化及び既製エンジンブロツク使
用範囲でボアアツプを可能にすることから夫れな
りの評価を受けているものである。 (発明が解決しようとする問題点) 然しながら、この処理を施したシリンダの場合
にはシリンダ自身の耐摩耗性において抜群の性能
を示すものの一方では相手ピストンリングを甚だ
しく摩耗させてしまうと云う欠陥があり、近時の
高性能機関の苛酷な運転条件の下では自ら適用範
囲に制約を受けざるを得ないのが現状である。 従つて、前記処理を施したシリンダの適用範囲
を拡大するためには前述の要求特性を充足する摺
動面対構造、即ち、相性のよいピストンリングの
開発及びシリンダ自体の改良が要望される所以で
あるが、現在、これに対応する望ましい組合せは
見出されていない。 (問題点を解決するための手段および作用) 本発明は、前述の要求に対応し、かつ在来の問
題点を解消して前記SiC粒子を埋設した摺動面の
利点を十二分に活用する摺動面対構造、就中、微
細なSiC粒子を特定パターンの油溜り溝部の内部
及び該溝部によつて囲まれたプラトー部の表面に
分散埋設した鉄鋼又は鋳鉄からなる改良された摺
動面Aに特定組成の高クロム鋳鉄とFe−C−Cr
合金との混合粉末とMo粉末とを特定割合で混合
した混合粉末又は更に自溶合金粉末を混合した混
合粉末をプラズマ溶射した摺動面Bを組合わせて
構成される摺動面対構造を提供しようとするもの
である。 本発明の第1の特徴は(以下第1発明という)
鉄鋼又は鋳鉄からなる母材に配列された特定パタ
ーンの油溜り溝部と面積率で3〜12%該溝部の内
部及びプラトー部に均一に分散埋設された平均粒
径5〜20μmの硬質粒子とを有しかつ上面が平滑
化された摺動面Aと、粒度が74μmより粗粒でな
い高クロム鋳鉄粉末と粒度が74μmより粗粒でな
いFe−C−Cr合金粉末とを混合して組成を重量
比でC3.0〜7.0%、Cr25〜55%を含有し残部が実
質的にFeとした混合粉末65〜95重量%と更に粒
度が74μmより粗粒でないMo粉末5〜35重量%と
を混合した混合粉末をプラズマ溶射してなる溶射
層を有する摺動面Bとから構成される摺動面対構
造にある。 本発明の第2の特徴は(以下第2発明という)
鉄鋼又は鋳鉄からなる母材に配列された特定パタ
ーンの油溜り溝部と面積率で3〜12%該溝部の内
部及びプラトー部に均一に分散埋設された平均粒
径5〜20μmの硬質粒子とを有し、かつ上面が平
滑化された摺動面Aと、粒度が74μmより粗粒で
ない高クロム鋳鉄粉末と粒度が74μmより粗粒で
ないFe−C−Cr合金粉末とを混合して組成を重
量比でC3.0〜7.0%、Cr25〜55%を含有し残部が
実質的にFeとした混合粉末65〜85重量%、粒度
が74μmより粗粒でないMo粉末5〜25重量%及び
粒度が74μmより粗粒でない自溶合金粉末5〜25
重量%とを混合した混合粉末をプラズマ溶射して
なる溶射層を有する摺動面Bとから構成される摺
動面対構造にある。 作 用 而して、上記第1発明及び第2発明は、摺動面
A自身の耐摩耗性を損ずることなく充分その特性
を発揮させるように摺動面Aを構成するととも
に、相手材(例えばピストンリング)としての摺
動面Bの摩耗を大幅に低減させるように摺動面B
が構成され、これらの構成を組合わせることによ
つて双方の摺動面の摩耗特性をバランスさせるこ
とが可能となりかつ内燃機関等の潤滑油消費量の
低減、ブローバイやスカツフイングの防止ひいて
は機関性能の維持及び寿命延長を図ることが出来
るから摺動面Aを有する摺動部材(例えばシリン
ダ)の適用範囲を拡大し得るのである。 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について述べる。第
1図は摺動面Aを構成するシリンダライナの縦断
面図であつて1はシリンダライナ、2はシリンダ
ライナの内周面である摺動面、第2図は本発明を
適用したシリンダライナ1の摺動面Aを示す第1
図のA部の拡大断面図であつて3はその内周面の
略々全周に亘つて施された連続及び不連続の螺旋
状交叉溝からなる油溜り溝部、4は該油溜り溝部
3によつて囲まれた平滑な摺動面部(以下プラト
ー部と云う)、5は該油溜り溝部の内部及び前記
プラトー部に埋設された硬質粒子、第3図aは硬
質粒子5が該油溜り溝部の内部及びプラトー部に
埋設された直後のシリンダライナの摺動面Aの表
面状況を模型的に示す一部拡大断面図、第3図b
は仕上加工後の第3図aに対応する一部拡大断面
図、第4図は、触針をシリンダライナ内周面の軸
方向に移動させて得られる断面曲線又はカツトオ
フ値2.5m/m以上の粗らさ曲線6(JIS BO601
−1970)の一部を説明する図面であり、ここで断
面曲線6の平均線に平行な任意の直線即ち基線7
がある一定の基準となる長さL(例えば2.5m/
m)の間で該曲線6の実体部を切断する長さを
l1,l2,l3,l4,l5とすると、該曲線6の基線7に
おけるプラトー率(プラトー部の占有比率)は次
式によつて求められる。 プラトー率=l1+l2+l3+l4+l5/L×100(%
) 而して本発明に係る一方の摺動面Aを有するシ
リンダライナを得るためには、SiC等の硬質粒子
を含むスラリー又はペースト状物を混入した研摩
液を用いラツピング工具或いはホーニングシユー
により該シリンダライナ1の内周面を回転及び往
復運動させることによつて得られる。即ち、この
加工により硬質粒子5は工具の運動により特定さ
れるパターン、例えば交叉する螺旋軌道に沿つて
菱形模様を形成するように油溜り溝部3を刻み込
むと同時に該油溜り溝部3の内部及びプラトー部
4に埋設され、又同時に該油溜り溝部によつて囲
まれた略菱形のプラトー部4が形成される(第2
図〜第3a,b参照)。前述の往復運動の時に、
先の溝加工の際にホーニングシユーなどの回転に
より連続的に形成された溝部より深く溝部を削り
とるように後の溝加工を行うと、先の連続状の溝
はこれと交叉したクロスハツチの部分で不連続に
なる(第2図参照)。このようにして形成される
特定パターンを「連続及び不連続螺旋状交叉溝
状」という。この場合、初期工程で比較的低い工
具圧力によつて油溜り溝部3のみを形成し、次工
程で圧力を増し、油溜り溝部3の深さ及び幅を増
大させると同時に硬質粒子を該油溜り溝部3の内
部及びプラトー部4に埋込むようにする公知の手
法を用いることも出来る。上記のように2工程の
操作を用いるとき、第2工程では各溝の間のシリ
ンダライナ内周面の凸起部が削り取られ硬質粒子
の鋭いエツヂが除去されると共に突出している硬
質粒子が更に溝の内部及びプラトー部に押し込ま
れる。前記何れの手法の場合においてもプラトー
部4及び硬質微粒子により構成される摺動面Aの
上面が平滑化されたシリンダライナ(第3図b)
を得るために前記工程の後シリンダライナ内周面
は更に細かい粒度の硬質粒子を含むスラリー等を
混入した研摩液を用いてラツピング又はホーニン
グ仕上げするか、或いは細かい粒度の砥石をもつ
たホーニングシユーによつて研摩仕上げされてそ
れ以前の工程の凹凸が取除かれる。その後滌及び
脱脂される。ここで該油溜り溝部3の深さ、幅、
硬質粒子5の埋込み面積率、プラトー部4の占有
面積率等は母材の材質、硬質粒子のサイズ、工具
圧力、回転数、加工速度及び時間等の因子によつ
て支配される。これらの因子の選定については後
述する。 本発明者等は公知の手法に従つて作成したシリ
ンダライナがそれ自身の耐摩耗性、耐スカツフイ
ング性に優れているにも拘わらず相手ピストンリ
ングの摩耗を促進する点に着目し鋭意その原因を
追究した結果、摺動面Aに分散埋設されるSiC等
の硬質粒子の平均粒径を更に微細化すること、硬
質粒子の埋込み面積率、プラトー部の占有面積率
(プラトー率)及びプラトー部の最大表面粗らさ
等を特定することが摺動面Bとの関係において特
に重要であることを発見し第1及び第2発明の共
通した特徴である一方の摺動面Aの構成を創出し
たものである。 本発明に係る一方の摺動面Aにおいて硬質粒子
としてはSiC,Al2O3,Cr2O3,Si3N4よりなる群
から選ばれた単一粒子を用いることが出来るが、
母材に対して強固に保持されるように硬質粒子が
埋込まれる性質、すなわち埋込み性、加工中に硬
質粒子が破砕されない性質すなわち耐破砕性等か
らSiC粒子を用いることが望ましい。SiC等の硬
質粒子はなるべく鋭い角部をもつたものが埋込効
率(すなわち加工圧力に対する埋込深さ比率)の
面で好ましく、その粒子サイズは埋込むべき母材
の材質、工具圧力等にも関係するがシリンダライ
ナ(摺動面A)の耐摩耗性、耐スカツフイング性
を損うことなく、しかも相手ピストンリング(摺
動面B)の摩耗を低減するためには埋め込まれた
後の平均粒径を5〜20μmに限定することが必要
である。即ち、平均粒径が5μm未満ではシリンダ
ライナ自身の耐摩耗性に不足を来たし20μmを越
える硬質粒子を埋込むとその埋込み面積率(3〜
12%)を維持しつつ分散性(密度)に欠け、相対
的に軟質である母材が漸次摩耗すると、硬質粒子
の局部的面圧が高くなつてスカツフイングを誘発
し相手ピストンリングの摩耗を促進するおそれが
ある。より好ましい範囲は7〜15μmである。従
つて硬質粒子は適正粒度で微細かつ均一にシリン
ダライナ摺動面に対して埋込まれていることが重
要である。 硬質微粒子のシリンダライナ摺動面に対する埋
込み面積率の限定理由は3%未満ではシリンダラ
イナ自身の耐摩耗性、耐スカツフイング性が不充
分であり、12%を越えると相手ピストンリングの
摩耗を増大させ摺動面対構造としてバランスされ
た摩耗が実現されないので3〜12%の範囲とす
る。より好ましい範囲は5〜10%である。螺旋状
交叉溝に囲まれたプラトー部の占有面積率(プラ
トー率)については、プラトー率1.0%の基線8
から2μm(h)の深さにおいて75〜95%とすることが
好ましい。その限定理由は、プラトー率75%未満
では必然的に油溜り溝部が増加してL.O.C上昇を
来たすので好ましくなく、一方、95%を越えると
逆に油溜り溝部が減少してスカツフイングの傾向
が増大するからである。より好ましい範囲は80〜
90%である。又、プラトー率をプラトー率1.0%
の基線8から2μmとしたのはエンジンの馴らし運
転初期のシリンダ摺動面の保油量が適正化されL.
O.Cを必要最小限に抑制し得るとともにプラトー
率75〜95%(受圧面積75〜95%)に至るに要する
摩耗量は約2μm以下となるから初期馴染み運転に
要する時間も短縮し得るからである(第5図参
照)。シリンダのプラトー部の最大表面粗らさは
エンジンの馴らし運転初期における表面性状とし
て重要であり、それが3μm未満では表面の保油性
に欠け初期スカツフイング発生のおそれがあり、
7μmを越えると局部面圧が上昇してこれ又初期ス
カツフイング発生の原因となるので3〜7μmの範
囲に限定する。好ましい範囲は3〜5μmである。
又、母材の材質としてはSTKM,STK,STC,
SUS−TK,SCr−TK,SCM−TK等の鉄鋼或
いはあらゆる種類の鋳鉄を用いることが出来る。 そして前記要件を満足する一方の摺動面Aを得
るには、通常、第1工程(溝入れ及びSiC微粒子
の埋込み)において、120〜280メツシユの平均粒
径のSiC微粒子を含むスラリーを用いシリンダ摺
動面をホーニングシユー圧力0.5〜2.0Kg/cm2、回
転数×ストローク×時間:50〜250rpm/min×
20〜60回/min×1〜3分の条件で、又第2工程
(仕上)において(280〜800メツシユの平均粒径)
のSiC微粒子を含むスラリーを用いホーニングシ
ユー圧力0.5〜2.0Kg/cm2、回転数×ストローク×
時間:50〜250rpm/min×20〜60回/min×1〜
3分の条件でシリンダ摺動面を仕上ホーニングす
ればよい。 斯くして、第1工程の後では第3図a,第2工
程の後では第3図bに示したような表面状態が得
られるが第1工程の加工条件及びシリンダ母材の
材質殊にその均質性の如何によつては、第3図c
に示すようにSiC微粒子がシリンダ母材中に埋没
した表面状態を呈する場合がある。このような表
面状態の場合、シリンダの第1次摺動面は比較的
軟質かつ低融点の母材によつてその殆んどが占め
られてしまうので境界潤滑等の苛酷な条件下では
スカツフイングを誘発するおそれがあるが、第3
図b図示の表面状態でかつSiC微粒子の全埋込み
面積率3〜12%に対し、30%以下であれば第3図
cの表面状態が混在しても実害はない。 次いで、本発明に係る他方の摺動面Bについて
述べる。 摺動面Bの共通した特徴は高クロム鋳鉄粉末と
Fe−C−Cr合金粉末との混合粉末、とさらにMo
粉末とを混合した混合粉末をプラズマ溶射するこ
とにあり、その意義は高クロム鋳鉄粉末Fe−C
−Cr合金粉末及びMo粉末とが夫々相互補完的作
用によつて、該摺動面Bの摺動面Aに対する相性
を飛躍的に向上させ、双方の摩耗を適度にバラン
スさせると共に耐スカツフイング性を改善し、以
つて内燃機関の耐久性、信頼性をより高度化する
ところにある。 高クロム鋳鉄とは「鉄鋼材料便覧、昭和42年6
月30日発行」第865頁、表22,26及び表の下の説
明に示されている成分を基本とする。このCr含
有量に富み、クロム炭化物が鋳鉄基地中に均一に
分散されている性質が摺動部材Bの成分として利
用される。すなわち高クロム鋳鉄溶射層は安定し
た炭化物形態として微細に分散させ、耐熱、耐摩
耗性に優れると共に耐食性殊に稀硫酸腐食に対す
る抵抗性も良好であるので、高硬度のクロム炭化
物粉末や高炭素Fe−Cr合金粉末を単独で溶射す
る場合よりも高クロム鋳鉄溶射成分は相手材(シ
リンダ)の摩耗を促進することはない。尚、高ク
ロム鋳鉄は鋳造状態で白鋳鉄組織を呈し、搗砕性
に優れるので粉末の製造が容易である他、炭化
物、Fe−C−Cr合金粉末等と比較して安価に入
手できる点でも混合粉末としてプラズマ溶射する
利点が多い。又、摺動面Bに適用する高クロム鋳
鉄粉末としては搗砕粉末に限らずアトマイズ粉末
を使用してもよい。然し高クロム鋳鉄の場合には
鋳鉄溶解等の点からCr含有量に自ら限度があり、
その単独溶射ではピストンリングの摩耗を増大さ
せる傾向がある。 従つて、高クロム鋳鉄よりCr含有量の高いFe
−C−Cr合金粉末を混合した混合粉末を耐スカ
ツフイング性に優れたMo粉末と共にプラズマ溶
射することによつて夫々の欠点を補完し摺動面A
との相性に極めて優れた摺動面Bが得られるので
ある。 フエロクロム(以下、「Fe−C−Cr合金」とい
う)粉末としてはJISG2303が用いられ、中炭素
以上のFe−C−Cr合金粉末、就中高炭素フエロ
クロム合金粉末が望ましい。 次いで、高クロム鋳鉄粉末とFe−C−Cr合金
粉末との混合粉末及びMo粉末の組成限定理由に
ついて述べる。 高クロム鋳鉄とFe−C−Cr合金の主要成分で
あるCrは強い炭化物形成作用をもつ元素であつ
て夫々の中に含有されるCの大部分をCr7C3
Cr23C6等の炭化物として固定する。これらの炭化
物は夫々の鋳鉄及び合金の基地中に均一微細に分
散しており、混合溶射された摺動面B中にも介在
相として含まれ、摺動面Aの硬質粒子に対する耐
摩耗性及び耐スカツフイング性を付与する重要な
作用をもつ。この混合粉末中のCr含有量は25%
未満では摺動面B中の炭化物の量が不足してピス
トンリング自身の耐摩耗性及び耐スカツフイング
性が低下し、55%を越えるとピストンリングの耐
摩耗性が向上する反面、相手シリンダの摩耗を促
進する。従つてCr含有量は25〜55重量%の範囲
とするが、より好ましくは30〜55重量%更に最も
望ましい範囲は35〜50重量%である。 Cはそのほとんどが前記鋳鉄又は合金中でCr
と結合して、前記クロム炭化物を生成する範囲に
留めるべきであり、そのためには混合粉中のC含
有量は3〜7重量%、好ましくは4〜6重量%の
範囲とする。即ち、C含有量が3%未満では生成
される炭化物の絶対量が不足して耐摩耗性が不充
分であり、又7%を越えると被溶射基材との密着
性を阻害する遊離炭素(黒鉛)が高Cr鋳鉄中に
発生するおそれがあるので、7%以下に留めるこ
とが望ましい。尚、上記C及びCr以外に鋳鉄材
としての他の成分例えばSi,Mn,P,S或いは
Co,V,Ni等は前記特性を害しない範囲で少量
含有してもよい。 次に高クロム鋳鉄粉末とFe−C−Cr合金粉末
との混合粉末を74μm以下の粒度に限定した理由
について述べる。 一般に溶射層は気孔を有し、これが油溜りとな
つて耐スカツフイング性に貢献するが一方気孔が
粗大になると溶射粒子間の自己結合力が不足して
摺動中に溶射粒子が脱落して摺動面間に介在し、
ピストンリング及び相手シリンダが摩耗する結果
を招く。そこで潤滑油保持及び双方の摺動面の耐
摩耗性の面から気孔率、気孔の大きさ及びその分
布状態を適正に制御すべきであり、これは溶射法
をプラズマ溶射と特定した場合主として溶射材料
特に溶射粉末の粒度に大きく影響されるから前記
諸点を勘案して74μm以下の粒度に限定した。更
に、溶射の作業性ひいては溶射層の性質も溶射粉
末粒度によつて影響を受け余りに微粉になると流
動性が低下し、溶射ノズルへの粉末の安定供給が
困難になるのでこの面から20μm以上の粒度が好
ましい。 本発明の第1発明における他方の摺動面Bにお
いては更にMoが混合溶射される。Mo単独溶射
は耐スカツフイング性に優れているものの、耐ア
ブレーシブ摩耗に劣る他、耐酸化性に劣るため溶
射層内のMo粒子相互の結合力が弱く、応々にし
て層間剥離を起し易い欠陥がある。 本発明においては、Mo粉末は高クロム鋳鉄と
Fe−C−Cr合金粉末との混合粉末とプラズマ溶
射法によつて混合溶射されるから、各溶射粒子は
溶融状態において共存しMo粒子自身の低い耐酸
化性も緩和される。 Mo粉末は単独粉末でもよいが、Mo微粒子を
有機その他のバインダーで結合したMo造粒粉末
を使用すれば、Mo粒子が微細に分散した溶射層
が得られ各溶射粒子間の結合強度の向上が期待さ
れる。しかも単独粉末ではMoの昇華性故に使用
できない超微粉も造粒することによつて均一分布
性が良好となるので使用可能となる。第1発明及
び第2発明における他方の摺動面BにおいてMo
粉末を74μ以下の粒度としたのは、74μmよりも粗
粒であると溶射層の表面気孔率が高くなり耐アブ
レーシブ摩耗性が劣化する他均一分布性が損われ
るからである。 そしてMo粉末の粒度は好ましくは5μm以上で
ある。次に第1発明における他方の摺動面Bの
Mo粉末混合量の限定理由については、その混合
量が5%未満ではMo独自の耐スカツフイング
性、各溶射粒子間の結合強度の向上による摺動面
相互間のアブレーシブな摩耗に対する抵抗性等の
効果が発揮されず、35%を越えると溶射層の耐酸
化性が劣化して、内燃機関運転中に粒子間結合力
が急速に低下する結果を招きアブレーシブ摩耗を
促す。従つて、Mo粉末の混合量は5〜35重量%
の範囲、好ましくは10〜30重量%の範囲とする。
一方、高クロム鋳鉄粉末とFe−C−Cr合金粉末
との混合粉末の混合量は前述の混合粉末中のCr
及びC含有量ひいては溶射層中のCr及びC含有
量によつて限定されるが、Mo粉末混合量に見合
つて65〜95重量%、好ましくは70〜90重量%であ
る。 そして前記混合粉末中の高クロム鋳鉄粉末の混
合量は好ましくは25〜45重量%である。第2発明
における他方の摺動面Bは高クロム鋳鉄粉末と
Fe−C−Cr合金粉末との混合粉末、Mo粉末及び
自溶合金粉末の組合わせを特色とするものであ
る。 自溶合金は自溶成分として一般的にB及び/又
はSiを含有し、主成分としてNi,Co,Fe,及び
Ni−Crの少なくとも1種を残部として含有する。
その組成の例は「金属表面処理便覧、改訂新版」
第970頁に示されている。一般に耐熱性及び耐酸
化性が良好である上記Ni,Co,Cr等を含有する
自溶合金粉末を前記粉末と混合溶射すると溶射層
内で高クロム鋳鉄とFe−C−Cr合金との各混合
粒子及びMo粒子は自溶合金により強固に分散保
持され、この結果溶射層の強度も格段と高められ
る。又自溶合金を用いると母材との密着強度が向
上し、又気孔率も低目に調節され、さらに溶射後
の摺動面を加工仕上した際に極めて平滑な上面が
得られ摺動初期の相手材との馴染み上好結果を得
る。 上述のように自溶合金は耐酸化性が高くかつ溶
射層の強度及び母材との密着強度も高められるの
で、熱負荷が高く酸化も厳しい内燃機関の運転条
件下でのピストンリング等の性能が改善される。
自溶合金粉末の量は上記特性の他に他の混合粉末
との相対的割合を考慮して定められ、殊に高クロ
ム鋳鉄粉末とFe−C−Cr合金粉末との混合粉末
がもたらす耐摩耗性を阻害しないように5〜25重
量%の範囲とする。自溶合金粉末の混合量が5%
未満では前記効果が十分でなく、25%を越えると
必然的に高クロム鋳鉄粉末とFe−C−Cr合金粉
末との混合粉末の量、即ちクロム炭化物の生成量
及びMo粉末の混合割合が相対的に低下して摺動
面Aとの相性が劣化するより好ましい範囲は10〜
25重量%である。第2発明における他方の摺動面
Bは各混合粉末の特色を兼備し総合したものであ
ると同時に単独粉末における欠点を相互に補完す
るものであつて、摺動面Aとの相性が各粒子の共
存によつて改善されるものである。各粉末の混合
量は第1発明における他の摺動面Bと同様の理由
によつて限定されるが粉末相互の関連から高クロ
ム鋳鉄粉末とFe−C−Cr合金粉末との混合粉末
65〜85重量%、Mo粉末5〜25重量%、自溶合金
粉末5〜25重量%である。そこでより好ましい範
囲は夫々65〜80重量%、10〜25重量%、10〜25重
量%である。自溶合金粉末の粒度は74μmより粗
粒になると、溶射時の粒子溶融が不足して気孔の
増大又は粗大化、粒子間結合力、母材との密着性
の劣化及び溶射層中の各成分の分散不均一等望ま
しくない結果を招来する。好ましい粒度は10μm
以上であり、これよりも微粒では溶射中に自溶合
金が過度に溶解し溶射層の物性が劣化する。斯様
に自溶合金粉末を混合溶射すると耐熱酸化性、そ
の被覆密度、粒子間結合力、母材との密着性及び
加工性が向上し摺動特性上より安定した仕上面が
得られる。自溶合金粉末を混合して溶射した場合
の気孔率は5〜15%気孔の大きさは5μm以下に調
整され、しかも気孔は均一に分布している。 第1発明及び第2発明における他の摺動面B
は、母材としての鋳鉄又は鋼材に直接溶射した場
合でも可成りな密着強度を得られるが、より苛酷
な条件下で使用する場合には下地溶射としてMo
−Ni系合金(Mo75%)等を用いてもよい。 実施例 1 規定寸法に加工しかつ脱脂洗滌した88φ(外径)
m/m×86φ(内径)m/m×178m/m(長さ)
の鋼製シリンダライナ(材質:STKM相当材)
の内周面を平均粒径220メツシユのSiC粒子を含
むスラリーを用いて、ホーニングシユー圧力1.0
Kg/cm2、回転数×ストローク×時間:80rpm/
min×30回/min×2分の条件で、その内周摺動
面に螺旋状交叉溝を加工すると同時に該溝内及び
プラトー部にSiC粒子を埋め込み、次いで、平均
粒径400メツシユのSiC粒子を含むスラリーを用
い、ホーニングシユー圧力1.0Kg/cm2、回転数×
ストローク×時間:80rpm/min×30回/min×
2分の条件で内周摺動面を研摩仕上し、最後に灯
油で洗滌し常法により脱脂した。 この加工によつて得られたシリンダライナの摺
動面AはSiC粒子が埋め込み面積率で約7%螺旋
状交叉溝及びプラトー部に均一に埋め込まれ、該
交叉溝によつて囲まれた略菱形のプラトー部の占
有面積率(プラトー率)は約82%、該プラトー部
の最大表面粗らさは約4μm、であつた。一方、
86φm/m(外径)×2.5m/m(幅)×4.0m/m(厚)
の球状黒鉛鋳鉄製ピストンリング(TOP リン
グ)の外周面に削設した溝内にMo−Ni系合金を
約20μmの厚さに下地溶射した後下記に示す組成
及び粒度を有する高クロム鋳鉄粉とFe−C−Cr
合金粉末との混合粉末及びMo粉末とを混合した
混合粉末(第1発明の組成)と、第1発明に更に
Ni−Cr自溶合金粉末を混合した混合粉末(第2
発明)とを夫々METCO 3Mガンを用いてプラズ
マ溶射し、混合溶射層の厚さが180μmで該溝が完
全に充填され、かつ表面粗らさが0.5〜1.5μmにな
るように研摩加工を施し供試ピストンリングとし
た。又、2nd,oilリングにはCrめつきリングを用
いた。尚、比較例としてシリンダライナには実施
例と同一材質、同一処理を施したものを用いピス
トンリングには硬質クロムめつき及び各種プラズ
マ溶射を施したものを用いた。 各実施例及び比較例に用いた溶射粉末の組成及
び粒度は下記のとおりである。 ・ 高クロム鋳鉄搗砕粉末 35.4%Cr、5.87%C、1.33%Si、0.24%Mn残部
Fe及び不純物からなる鋳鉄を63μm以下でかつ
20μm以上にボールミルで搗砕 ・ Fe−C−Cr合金粉末 JIS G2303 FCrH3 63μm以下 68.4%Cr、6.65%C、0.14%Si残部Fe ・ Ni−Cr自溶合金粉末 JIS H8303 MSFNi 63μm以下 16.9%Cr、3.2%B、3.5%Si、0.66%C、2.8%
Fe,残部 Ni ・ Mo粉末 99%以上Mo 53μm以下 ・ 比較例の混合粉末:Cr2C3粉末 44μm以下 :TiO2粉末 53μm以下 ・ 比較例の硬質クロムめつき:めつき厚さ
0.3m/m 硬さHv980 尚、第1表に本発明に係るピストンリング(摺
動面B)と比較例としてのピストンリングの各溶
射粉末の混合割合、高クロム鋳鉄粉末とFe−C
−Cr合金粉末との混合粉末のC及びCr含有量、
各溶射層の表面気孔率、仕上面の表面粗らさ及び
表面硬さを示す。供試エンジン及びテスト条件は
以下のとおりであつた。 内径(86φm/m)×行程(102m/m)×4気筒 總排気量 2369c.c. 74PS デイーゼルエンジ
ン 使用燃料:JIS 2号軽油 潤滑油:CC級#30 運転条件:3800rpm×全負荷×100Hr 水温 110℃ 油温 100℃ 前記処理を施した鋼製シリンダライナ(摺動面
A)と第1表の本発明及び比較例のピストンリン
グを組付け、台上耐久摩耗比較テストを行つた結
果を第6図に示す。
【表】 第6図において、シリンダライナの摩耗量は
TOPリング上死点位置における100Hr当りの各
45°方向計測値の平均摩耗量(μm)を示し、ピス
トンリングの摩耗量はTOPリングの平均外周摩
耗量(μm)を示す。 第6図の結果を見ると、現用の組合わせである
比較例(A)はシリンダ摩耗において極めて優れた性
能を示すものの相手リングを異常に摩耗させ摺動
面対構造としての相性において好ましくないこと
が明瞭に把握される。比較例(B)〜(D)は相手リング
の摩耗において大幅に改善されたが、シリンダ摩
耗の増加が見られ、充分ではない。これに対して
本発明の実施例である(E)及び(F)の場合は、比較例
(A)に較べシリンダ摩耗はやや悪化するものの略々
満足すべき水準にあり、リング摩耗においては比
較例Aの夫々約1/4,1/6に激減している。従つ
て、本発明は各摺動面A及びBの相乗的作用によ
り相互の相性が飛躍的に改善された理想的な摺動
面対構造と云うことが出来る。 実施例 2 規定寸法に加工しかつ脱脂洗滌した94(外径)
φm/m×90(内径)φm/m×167m/m(長さ)
の鋳鉄製シリンダライナ(材質:FC30相当材)
の内周面を平均粒径(220メツシユ)のSiC粒子
を含むスラリーを用いてホーニングシユー圧力
1.0Kg/cm2、回転数×ストローク×時間:
80rpm/min×30回/min×2分の条件でその内
周摺動面に螺旋状交叉溝を加工すると同時に、該
溝内及びプラトー部にSiC粒子を埋め込み、次い
で平均粒径(400メツシユ)のSiC微粒子を含む
スラリーを用い、ホーニングシユー圧力1.0Kg/
cm2回転数×ストローク×時間:80rpm/min×30
回/min×2分の条件で内周摺動面を研摩仕上し
最後に灯油で洗滌し常法により脱脂した。この加
工処理によつて得られたシリンダライナの摺動面
AはSiC粒子が埋め込み面積率で約8%螺旋状交
叉溝及びプラトー部に均一に埋め込まれ、該交叉
溝によつて囲まれた略菱形のプラトー部の占有面
積率(プラトー率)は約89%、該プラトー部の表
面粗らさは約5μmであつた。 一方、90φm/m(外径)×2.5m/m(幅)×
3.8m/m(厚)の球状黒鉛鋳鉄製ピストンリング
(TOP リング)の外周面に削設した溝内には実
施例1と同一の下地溶射を施した後同一組成、同
一粒度の各粉末の混合粉末(第1発明)を同一条
件で同一厚さになるようプラズマ溶射し、かつ同
一の表面粗らさになるように研摩加工したものを
供試ピストンリングとした、又2nd,oilリングに
はCrめつきリングを用いた。 第8図は本発明に係るピストンリングの断面図
であつて、8はピストンリング、9は摺動面の溝
10は溶射層を示す。 尚、比較例として、シリンダライナには実施例
と同様の処理を施した鋳鉄製シリンダライナ及び
無処理の鋳鉄製シリンダライナを用い、ピストン
リングには外周面に削設した溝内にMo線材を
METCO3Kガンを用いて火炎溶射したMo溶射ピ
ストンリングを用いた。(表面気孔率約20%、硬
さHmV700)第2表に本発明及び比較例の組合
わせを示す。
【表】 供試エンジン及びテスト条件は以下のとおりで
あつた。 内径(90φm/m)×行程(86m/m)×4気筒 總排気量 2188c.c. 72PS/4200rpm デイー
ゼルエンジン 使用燃料:JIS 2号軽油 潤滑油:級#30 運転条件:路上走行 計測までの走行距離
47.606km 第2表に示した本発明と比較例の組合わせにお
けるシリンダライナとピストンリングとの実車走
行後における摩耗比較テスト結果を第7図に示
す。 第7図においてシリンダライナの摩耗量は
TOPリング上死点位置における10000Km当りの各
45°方向計測値の平均摩耗量(μm)を示し、ピス
トンリングの摩耗量はTOPリングの平均外周摩
耗量(μm)を示す。 第7図のテスト結果によれば、比較例(H)は比較
例(G)に較べシリンダライナ摩耗は約70%に減少す
るがリング摩耗においては約3.9倍に激増してい
る。これに対し、本発明(F)では比較例(G)に較べシ
リンダ摩耗で約50%に減少し、リング摩耗で約90
%に減少している。又、本発明(F)は比較例(H)に較
べ、シリンダ摩耗で約75%、リング摩耗で約1/4
に大幅に改善されている。 従つて、上記結果からも本発明の摺動面対構造
の優位性が明白に把握される。 (発明の効果) 本発明は一方の摺動面Aに分散埋設されるSiC
等の硬質粒子の平均粒径の微細化、該硬質粒子の
埋込み面積率、プラトー部の占有面積率(プラト
ー率)及びプラトー部の最大表面粗らさ等を特定
することによつて摺動面Aの表面性状を改善し、
又他の摺動面Bに高クロム鋳鉄粉末とFe−C−
Cr合金粉末との混合粉末とMo粉末とを特定割合
で混合した混合粉末をプラズマ溶射してなる溶射
層(第1発明)或いは前記第1発明の混合粉末に
更に自溶合金粉末を特定割合で混合した混合粉末
をプラズマ溶射してなる溶射層(第2発明)を適
用することによつて各粉末の欠点を補完して、摺
動面Aとの相性を飛躍的に向上させ従来の欠陥で
あつた摺動面Bの摩耗を大幅に低減し双方の摩耗
を適度にバランスさせることに成功したものであ
る。従つて、本発明は従来のSiC粒子を埋込んだ
摺動部材の欠陥を是正しその特性を十二分に発揮
させることができるからその適用範囲を拡大し得
るとともに内燃機関等の耐久性、信頼性をより向
上し得る摺動面対構造を提供する点において実用
上顕著な効果を奏するものである。 尚、上述の説明においては内燃機関のシリンダ
ライナとピストンリングの組合わせを例示して説
明したが、本発明はこの例示に留まることなく、
耐摩耗性、耐スカツフイング性が要求される如何
なる摺動面対構造にも適用し得ることは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はシリンダライナの縦断面図、第2図は
本発明に係るシリンダライナの摺動面を示す第1
図のA部拡大断面図、第3図aは本発明に係るシ
リンダライナ摺動面の仕上加工前の表面状況を模
型的に示す一部拡大断面図、第3図bは仕上加工
後の第3図aに対応する一部拡大断面図、第3図
cは硬質粒子がシリンダライナ母材中に埋没した
表面状態を示す第3図bに準じた一部拡大断面
図、第4図はプラトー率計算法の説明図、第5図
はシリンダライナ摺動面の表面粗らさを示す説明
図、第6図は本発明に係る鋼製シリンダライナ
と、本発明及び比較例のピストンリングを組付け
台上耐久摩耗比較テストを行つた結果を示すグラ
フ、第7図はシリンダライナとして本発明に係る
鋳鉄製シリンダライナ及び無処理の鋳鉄製シリン
ダライナを用い、本発明と比較例のピストンリン
グとの組合わせにおける実車走行後の摩耗比較テ
スト結果を示すグラフ、第8図は本発明に係るピ
ストンリングの断面図。 1……シリンダライナ、2……摺動面、3……
油溜り溝部、4……プラトー部、5……硬質粒
子、6……断面曲線、7……基線、8……ピスト
ンリング、9……外周摺動面の溝、10……溶射
層、H……油溜り溝部の深さ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 鉄鋼または鋳鉄からなる母材に配列された連
    続及び不連続螺旋状交叉溝状である油溜り溝部
    と、摺動面に対する面積率で3〜12%の割合で該
    溝部の内部及びプラトー部に均一に分散埋設され
    た平均粒径5〜20μmの硬質粒子とを有し、かつ
    上面が平滑化された摺動面Aと、粒度が74μmよ
    り粗粒でない高クロム鋳鉄粉末と、粒度が74μm
    より粗粒でないFe−C−Cr合金粉末とを混合し
    て組成を重量比でC3.0〜7.0%、Cr25〜55%を含
    有し残部が実質的にFeとした混合粉末65〜96重
    量%と更に粒度が74μmより粗粒でないMo粉末5
    〜35重量%とを混合した混合粉末をプラズマ溶射
    してなる溶射層を有する摺動面Bとから構成され
    る摺動面対構造。 2 プラトー部によつて囲まれた摺動面Aにおけ
    るプラトー部の占有面積率(プラトー率)がプラ
    トー率1.0%の基線から2μmの深さにおいて75〜
    95%である特許請求の範囲第1項記載の摺動面対
    構造。 3 硬質粒子がSiC,Al2O3,Cr2O3,Si3N4より
    なる群から選ばれた単一粒子である特許請求の範
    囲第1項記載の摺動面対構造。 4 摺動面Aのプラトー部の最大表面粗さが3〜
    7μm、摺動面Bの表面粗らさが3.0μm以下である
    特許請求の範囲第1項記載の摺動面対構造。 5 鉄鋼又は鋳鉄からなる母材に配列された連続
    及び不連続螺旋状交叉溝状である油溜り溝部と、
    摺動面に対する面積率で3〜12%の割合で該溝部
    の内部及びプラトー部に均一に分散埋設された平
    均粒径5〜20μmの硬質粒子とを有し、かつ上面
    が平滑化された摺動面Aと、粒度が74μmより粗
    粒でない高クロム鋳鉄粉末と、粒度が74μmより
    粗粒でないFe−C−Cr合金粉末とを混合して組
    成を重量比でC3.0〜7.0%、Cr25〜55%を含有し
    残部が実質的にFeとした混合粉末65〜85重量%、
    粒度が74μmより粗粒でないMo粉末5〜25重量%
    及び粒度が74μmより粗粒でない自溶合金粉末5
    〜25重量%とを混合した混合粉末をプラズマ溶射
    してなる溶射層を有する摺動面Bとから構成され
    る摺動面対構造。 6 油溜り溝部によつて囲まれた摺動面Aにおけ
    るプラトー部の占有面積率(プラトー率)がプラ
    トー率1.0%の基線から2μmの深さにおいて75〜
    95%である特許請求の範囲第5項記載の摺動面対
    構造。 7 硬質粒子がSiC,Al2O3,Cr2O3,Si3N4より
    なる群から選ばれた単一粒子である特許請求の範
    囲第5項記載の摺動面対構造。 8 摺動面Aのプラトー部の最大表面粗さが3〜
    7μm、摺動面Bの表面粗さが3.0μm以下である特
    許請求の範囲第5項記載の摺動面対構造。 9 自溶合金粉末がNi−Cr系合金からなる特許
    請求の範囲第5項記載の摺動面対構造。
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