JPH0517989Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、キルテイングを施した掛けふとんに
関する。

［従来の技術］ 従来から、ふとんに収納された羽毛等の内容物
の移動を防止するとともにふとんの嵩高さを維持
するため、いわゆる立体キルトという手段が用い
られている。この立体キルトは、上下の側地の間
に複数の仕切布を格子状に配設して複数の矩形状
の区画を形成し、これらの区画に羽毛を充填する
ようにしている。

この立体キルトによれば、仕切布によつて仕切
られた区画内に羽毛を充填するために、羽毛の移
動が規制され、掛けふとんの一部に羽毛が偏ると
いつた不都合を防止できるとともに、仕切布を配
設した部分においてもふとんの嵩高さを維持でき
るので掛けふとんの保温性を損なうことがないと
いつた利点がある。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記従来の立体キルトにおいて
は、格子状に仕切布を配設しているために縦方向
のみならず横方向にも仕切布を縫い付けなければ
ならない。一般に、側地に仕切布を縫い付ける手
段としては、側地を長手方向に移動させながらミ
シンにより縫い付けているために、横方向に配設
さけた仕切布を縫い付ける場合には、一旦ライン
を停止させた状態でミシンを動かして仕切布を縫
い付けなければならない。このため、ふとんの製
造効率が悪いという問題があつた。

本考案は、上記の事情に鑑みてなされたもの
で、製造効率の高い掛けふとんを提供することを
目的とする。

［課題を解決するための手段］ そこで本考案は、上下の側地と、上下の側地ど
うしの間に取り付けられて側地内部を仕切る複数
の仕切布とを有し、前記複数の仕切布は、その長
さ方向を同一方向としかつ山部と谷部とを一定周
期でその長さ方向に連続させて配設され、隣接す
る仕切布どうしの山部と谷部とは、互いに接する
状態で配設されている掛けふとんに構成したもの
である。

［実施例］ 第１図から第３図は、本考案の実施例を示す図
である。

これらの図において１０は、本実施例に係る掛
けふとんである。この掛けふとん１０は、長方形
状の上下２枚の側地２０，３０（第２図）と、上
下の側地２０，３０どうしの間に取り付けられた
４本の仕切布４０，５０，６０，７０と、上下の
側地２０，３０および仕切布４０，５０，…によ
つて形成された区画９０内に充填された羽毛（図
示せず）とから構成されている。

前記側地２０，３０は、互いに同大、同形状に
形成されたもので、それぞれの側縁どうしを、第
１図、第３図において１点鎖線で示す縫い糸８０
によつて縫い付けられて全体として袋状に形成さ
れている。

前記仕切布４０，５０，６０，７０は、第２図
に仕切布４０，５０を例として示したように、い
ずれも上下２枚の布製テープ４１，４２および布
製テープ５１，５２から構成されている。前記布
製テープ４１は、長尺帯状に形成されたもので、
一端４１ａが上側の側地２０に縫い付けられ、他
端４１ｂが後述する布製テープ４２の一端４２ａ
に縫い付けられたものとなつている。また、前記
布製テープ４２は、長尺帯状に形成されたもの
で、一端４２ａが、前述したよにうに布製テープ
４１の他端４１ｂに縫い付けられ、他端４２ｂが
下側の側地３０に縫い付けられたものとなつてい
る。このようにして、仕切布４０により側地２
０，３０の内部が仕切られるようになつている。
他の仕切布５０，６０，７０の構成は、前記仕切
布４０と同様なので説明を省略する。

前記した４枚の仕切布４０，５０，６０，７０
は、互いの長さ方向を同一方向として配設されて
いるとともに、いずれもサインカーブ状に蛇行さ
せられており、それぞれ山部４３，５３，６３，
７３と谷部４４，５４，６４，７４とが一定の周
期でかつ各仕切布の長さ方向に連続させて設けら
れているものとなつている。前記４枚の仕切布４
０，５０，６０，７０のうち、隣接する仕切布４
０，５０どうしの山部４３と谷部５４とは、互い
に接する状態で配設されている（第１図、第２
図）。前記山部４３と谷部５４との離間距離は、
羽毛充填用のホースを通し、かつ、上下の側地２
０，３０内に充填された羽毛の移動を許さない距
離に設定されており、図示例では間〓があるが、
実際に各区画９０に羽毛を充填すると、各仕切布
４０，５０，…は互いに接する状態になつてい
る。また、互いに隣接する仕切布５０，６０どう
しおよび仕切布６０，７０どうしに設けられた山
部５３，６３と谷部６４，７４とは、前記山部４
３、谷部５４と同様に、互いに接する状態で配設
されている。

また、前記仕切布４０の谷部４４は、掛けふと
ん１０の長手方向の一側縁に接して配設されてい
る。谷部４４と掛けふとん１０の側縁との離間距
離は、羽毛充填用のホースを通し、かつ、上下の
側地２０，３０内に充填された羽毛の移動を許さ
ない距離に設定されている。また、仕切布７０の
山部７３は、前記谷部４４と同様に、掛けふとん
１０の長手方向の他側縁に接して配設されてい
る。

上記のように配設された仕切布４０，５０の谷
部４４と山部５３との間には、羽毛を充填するた
めの区画９０が形成されている。同様にして、仕
切布５０，６０の間と、仕切布６０，７０の間
と、仕切布４０と掛けふとん１０の一側縁との間
と、仕切布７０と掛けふとん１０の他側縁との間
にも、区画９０が形成されている。前記区画９０
には、いずれも保温性のある羽毛（図示せず）が
充填されている。

つぎに、上記のように構成された本実施例の掛
けふとんの製造方法について説明する。

まず、長手方向に連続した状態の、上側の側地
２０となる生地の一面に、長尺状の布製テープ４
１，５１，６１，７１を生地の長手方向に沿つて
配設し、布製テープ４１，５１，…の一側縁４１
ａ，５１ａ，…と生地とを縫い合わせる。このと
き、それぞれの布製テープ４１，５１，…には、
山部４３，５３，…と谷部４４，５４，…とを形
成しておく。ついで、下側の側地３０となる生地
の一面に、布製テープ４２，５２，６２，７２の
他側縁４２ｂ，５２ｂ，…を生地の長手方向に沿
つて配設して縫い付ける。このとき、それぞれの
布製テープ４２，５２，…には、前記布製テープ
４１，５１，…に形成した山部および谷部と対応
する位置にそれぞれ山部と谷部とを形成してお
く。ついで、上下の生地を側地２０，３０の幅方
向に裁断し、連接された上下の側地２０，３０を
得る。ついで、上下の側地２０，３０となる生地
の一面どうしを重ね合わせ、それぞれの生地に縫
い付けた、布製テープ４１，５１，…の他端４１
ｂ，５１ｂ，…と、布製テープ４１，５２，…の
一端４２ａ，５２ａとを縫い合わせる。このよう
にして、上下の布製テープどうしをつなぎ合わせ
て、仕切布４０，５０，…を形成する。この仕切
布４０，５０，…が形成された状態では、これら
の仕切布４０，５０，…により、上下の側地２
０，３０の内部が仕切られた状態となり、上下の
側地２０，３０内に区画９０が形成されたものと
なる。本実施例の掛けふとんによれば、布製テー
プ４１，５１，…の他端４１ｂ，５１ｂ，…と、
布製テープ４２，５２，…の一端４２ａ，５２
ａ，…とを縫い合わせる際に、縦方向に一気に敷
きふとんの全長にわたつて縫い合わせることがで
き、縫い合わせ作業が簡単で作業時間を短縮する
ことができる。すなわち、従来のように、仕切布
を格子状に配設してなる立体キルト式の敷きふと
んにおいては、縦方向の上下の布製テープどうし
を一気に敷きふとんの全長にわたつて縫い合わせ
たとすると、横方向の上下の布製テープどうしを
縫い合わせる作業においてミシンヘツドの移動が
縦方向の仕切布によつて阻害されてしまい、横方
向の上下の布製テープどうしを縫い合わせること
が不可能となつてしまう。このため、従来の敷き
ふとんにおいては、まず、縦方向の上下の布製テ
ープどうしを、掛けふとんの一端側から縦横の仕
切布の交点位置まで縫い合わせ、ついで、横方向
の上下の布製テープどうしを縫い合わせ、さら
に、このようにして得た横方向の仕切布と、この
仕切布に隣接する横方向の仕切布との間に位置す
る縦方向の上下の布製テープどうしを縫い合わせ
るというように、縫い合わせ工程を工夫して、数
回から数十回にわたつて縫い合わせ作業を分割し
て行う必要があつた。しかし、本実施例によれ
ば、このような複雑な縫い合わせ作業が必要な
く、縦方向に一気に縫い合わせることができて製
造作業を簡略化することができるという利点があ
る。ついで、側地２０，３０の長手方向の両側縁
と第１図中上側の側縁とを互いに縫い合わせて袋
状とする。ついで、第１図中下側の側縁から羽毛
充填用ホースを挿入して、各区画９０に羽毛を充
填する。この作業は、前記ホースを、各仕切布４
０，５０，…どうしの間に形成された間〓と、掛
けふとん１０の一側縁と仕切布４０との間に形成
された間〓と、掛けふとん１０の他側縁と仕切布
７０との間に形成された間〓との間にそれぞれ順
次挿入して、各区画９０内部にホースの先端を入
れ、この状態で羽毛を充填するものである。本実
施例によれば、山部４３，５３，…と谷部５４，
６４，…との間、および、仕切布４０の谷部４４
と掛けふとん１０の一側縁との間、および仕切布
７０の山部７３と掛けふとん１０の他側縁との間
の離間距離は、羽毛充填用のホースを通し、か
つ、上下の側地２０，３０内に充填された羽毛の
移動を許さない距離に設定されているので、上記
したようにホースによつて羽毛を充填できるとと
もに、一旦充填した羽毛が他の区画９０に移動す
ることを防止できる。ここで、従来の格子状の立
体キルト掛けふとんにおいては、縦仕切布と横仕
切布との交点部分に位置する仕切布を切断して形
成したホース挿通孔から区画内にホースを通し
て、区画内に羽毛を充填する必要があつた。この
ため、従来の立体キルトにおいては、作業者が、
側地２０，３０の間に挿入したホースの先端を誘
導しながらホース挿通孔を探し出し、ホース先端
をホース挿通孔に挿通させる必要があり、区画へ
の羽毛充填作業が繁雑で製造効率が悪いという問
題があつた。しかし、本実施例の掛けふとんによ
れば、ホースの挿入に際して、ホースを前方に向
かつて押し込むだけで、仕切布４０，５０，…に
よつてホース先端が自然に区画９０内に導かれる
ことになり、作業者がホース挿通孔を探すという
作業が不必要となる。したがつて、区画９０への
羽毛充填作業が簡単かつ容易となり、掛けふとん
の製造効率を向上させることができる。

ついで、第１図中下側の側縁における側地２０
と側地３０とを縫い合わせて、本実施例の掛けふ
とん１０を得る。

上記した本実施例の掛けふとん１０によれば、
横方向に仕切布を縫い付ける作業を行わずに側地
２０と側地３０との間に区画を形成し、羽毛を充
填することができるので、仕切布の縫い合わせ作
業において、ラインを停止させる必要がなく、掛
けふとんの製造作業を迅速になしうるという利点
がある。

また、本実施例の掛けふとん１０によれば、各
仕切布４０，５０，６０，７０を、いずれもサイ
ンカーブ状に蛇行させたものとしたので、従来の
ように格子状に仕切布を配設する場合に比べて、
使用する仕切布の長さが短くてすみ、製造コスト
を低く押さえることができる。

なお、上記実施例においては、各仕切布４０，
５０，６０，７０を、いずれもサインカーブ状に
蛇行させるものとしたが、山部と谷部とを三角形
状として、各仕切布をジグザグ状に配設してもよ
い。

［考案の効果］ 本考案は、上下の側地と、上下の側地どうしの
間に取り付けられた複数の仕切布とを有し、前記
複数の仕切布は、その長さ方向を同一方向としか
つ山部と谷部とを一定周期でその長さ方向に連続
させて配設され、隣接する仕切布どうしの山部と
谷部とは、互いに接する状態で配設されている掛
けふとんに構成されているので、横方向に仕切布
を縫い付ける作業を行わずに側地どうしの間に区
画を形成し、羽毛を充填することができ、掛けふ
とんの製造作業を迅速になしうるという効果があ
る。

また、この掛けふとんによれば、ホースの挿入
に際して、ホースを前方に向かつて押し込むだけ
で、仕切布によつてホース先端が自然に区画内に
導かれることになり、作業者がホース挿通孔を探
すという作業が不必要となる。したがつて、区画
への羽毛充填作業が簡単でかつ容易となり、製造
効率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図は、本考案の実施例を示す図
で、第１図は、本実施例に係る掛けふとんの平面
図、第２図は、第１図の−線一部省略拡大断
面図、第３図は、第１図の−線一部省略拡大
断面図である。 ２０……上側の側地、３０……下側の側地、４
０，５０，６０，７０……仕切布、４３，５３，
６３，７３……仕切布の山部、４４，５４，６
４，７４……仕切布の谷部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下の側地と、上下の側地どうしの間に取り付
   けられて側地内部を仕切る複数の仕切布とを有
   し、前記複数の仕切布は、その長さ方向を同一方
   向としかつ山部と谷部とを一定周期でその長さ方
   向に連続させて配設され、隣接する仕切布どうし
   の山部と谷部とは、互いに接する状態で配設され
   ていることを特徴とする掛けふとん。