JPH05178904A - 糖質合成高分子およびその製造法 - Google Patents

糖質合成高分子およびその製造法

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JPH05178904A
JPH05178904A JP4127784A JP12778492A JPH05178904A JP H05178904 A JPH05178904 A JP H05178904A JP 4127784 A JP4127784 A JP 4127784A JP 12778492 A JP12778492 A JP 12778492A JP H05178904 A JPH05178904 A JP H05178904A
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JP
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polymer
sugar
group
glucosamine
derivative
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JP4127784A
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English (en)
Inventor
Shoji Fujii
昭治 藤井
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Masao Matsui
雅男 松井
Kunio Ichihashi
邦夫 市橋
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な糖質合成高分子およびその製造法を提
供する。 【構成】 D- グルコサミンまたはその誘導体を主鎖に
有する糖質合成高分子で、該D- グルコサミンまたはそ
の誘導体がその3位、4位および6位炭素原子に結合し
ている水酸基のうちのいずれか2個以上を結合手として
主鎖に組込まれてなる糖湿合成高分子であって、D- グ
ルコサミンの1位炭素原子に結合している水酸基を保護
したD- グルコサミン誘導体を、その3位、4位および
6位炭素原子に結合している水酸基のうちのいずれか2
個以上において、該水酸基と反応する官能基を有する化
合物と反応させることにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は糖を主鎖に有する新規な
糖質合成高分子およびその製造法に関し、さらに詳しく
はD- グルコサミンまたはその誘導体を主鎖に有する糖
質合成高分子およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】石油
化学工業の発展に伴い、従来から種々の目的に応じて多
種類の合成高分子化合物が生産されてきたが、これらは
いずれも、その原料が有限であり、また生分解性が欠除
しているため廃棄処理が困難であることが指摘されてい
る。そのため、資源が豊富で、しかも良好な生分解性を
有するバイオマスの研究がさかんになってきた。バイオ
マスとしては、天然高分子化合物であるセルロースなど
のほか、最近ではカニ、エビなど甲殻類の外骨格を構成
するキチンまたはその脱アセチル化物であるキトサンな
どの糖化合物が注目されている。
【0003】キチン、キトサンは、D- グルコサミン
(以下、グルコサミンと称する)がβ-1,4結合で直鎖状
に結合した多糖体であり、植物の生産するセルロースに
匹敵する年間生産量があるといわれている。これらは生
体親和性、重金属吸着性などにすぐれた特性を有するた
め、重金属回収膜、人工合成皮膚、消化性外科用縫合
糸、食品・飼料添加剤、廃液処理剤などとして利用され
ているが、一方、酸加水分解されやすく、成型性および
熱安定性に問題があるという欠点を有している。また溶
解度が低いということよりその利用も限られているが、
これを塩酸などで分解したグルコサミンが、種々のすぐ
れた特性を有するため、バイオマス由来の工業材料の糖
として有効に用いられるようになってきた。
【0004】高分子合成においても、これらの糖を高分
子構造に組み込むことにより、従来の高分子の特性に、
糖由来の生分解性その他の特性を付与することが試みら
れており、大別して、ペンダント型糖質合成高分子(糖
を側鎖に持つ高分子)および直鎖型糖質合成高分子(糖
を主鎖に持つ高分子)とに分けられる。
【0005】ペンダント型糖質合成高分子は、従来の合
成高分子の特定の基を糖と反応させて、共有結合で糖分
子を結合させた化合物であり、たとえばつぎに示したよ
うな結合状態のものである。
【0006】
【化3】
【0007】これらの製造法としては、合成高分子の官
能基を酸クロライド基などに修飾して糖分子と反応させ
る方法、あるいはモノマーに糖部分を結合させて糖誘導
体とし、これを従来の高分子原料となるモノマーと共重
合させるなどの方法があげられる。しかしながら、前者
の反応においては、高分子のすべてのユニットに糖残基
を導入することは困難であり、後者の反応においては、
共重合の際に糖部分が分解したりあるいは分解に起因し
て高分子が着色するおそれがあり、反応条件が限定され
る。また、この種の化合物は従来の合成高分子に、糖部
分に起因する保水性など特異な物性を付与するものの、
生分解においては、糖鎖は切断されるが主鎖は分解され
ないという問題を有する。
【0008】一方、直鎖型合成糖質高分子は、つぎに示
すような糖の結合様式により、糖部分と非糖部分を交互
に結合した合成高分子である。
【0009】
【化4】
【0010】この化合物は、生分解において主鎖が糖部
分で切断される可能性はあるものの、糖部分が不安定で
あるため、溶媒、反応条件などが限定され、直鎖部分の
糖部分と非糖部分のモル比を任意に調製することは困難
である。すなわち、モル比は常に1:1に限定される。
そのため、保水性その他糖部分に起因する特性を、任意
の程度で有する高分子はえられないのが現状である。
【0011】本発明はかかる実情に鑑み、糖部分および
非糖部分をその直鎖に任意の比率、任意の配列で含有
し、これまでにない種々の特性を有しうる糖質合成高分
子を製造するための新規な製造法およびそれによってえ
られる糖質合成高分子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、グルコサミン
またはその誘導体を主鎖に有する糖質合成高分子であっ
て、該グルコサミンまたはその誘導体がその3位、4位
および6位炭素原子に結合している水酸基のうちのいず
れか2個以上を結合手として主鎖に組込まれてなる糖質
合成高分子、およびグルコサミンの1位炭素原子に結合
している水酸基を -OX(式中、Xは
【0013】
【化5】
【0014】を表わす)、2位炭素原子に結合している
アミノ基を
【0015】
【化6】
【0016】(式中、YはHまたはCOCH3 を表わ
す)として保護したグルコサミン誘導体を、その3位、
4位および6位炭素原子に結合している水酸基のうちの
いずれか2個以上において、該水酸基と反応する官能基
を有する化合物と反応させることを特徴とする、グルコ
サミンまたはその誘導体を高分子主鎖に有する糖質合成
高分子の製造法に関する。
【0017】
【作用および実施例】本発明者らは、前記目的を達成す
べく鋭意検討を重ねた結果、グルコサミンの1位炭素原
子に結合する水酸基(以下、1位の水酸基と称する)お
よび2位炭素原子に結合するアミノ基(以下、2位のア
ミノ基と称する)を保護したのちに、3位、4位および
6位炭素原子に結合している水酸基(以下、3位、4位
および6位の水酸基と称する)のうち少なくとも2個以
上において結合反応を行なわせることにより、組み込む
糖部分を安定化させ、糖部分の水酸基どうしでエステル
またはウレタン結合させるというこれまでにない新しい
結合様式で糖部分を高分子主鎖に有する糖質合成高分子
の製造法を見出し、本発明を完成するにいたった。
【0018】本発明において高分子主鎖に含有せしめる
グルコサミンの誘導体としては、1位の水酸基および2
位のアミノ基が保護されているN- アシル -D- グルコ
サミンの配糖体などの既存のグルコサミン誘導体であっ
てもよいが、通常の方法にしたがってグルコサミンから
その誘導体を製造することができる。すなわち、酸また
はカチオン交換樹脂などを触媒としてグルコサミンの1
位の水酸基を反応させることにより、 -OX(式中、X
【0019】
【化7】
【0020】を表わす)とすることができる。また、グ
ルコサミンの2位のアミノ基を、無水酢酸などの酸無水
物と反応させるか、あるいはピリジンなどの塩基の存在
下、アセチルクロライドなどの酸塩化物と反応させるな
どして、
【0021】
【化8】
【0022】(式中、YはHまたはCOCH3 を表わ
す)とすることができる。なかでも、Xが
【0023】
【化9】
【0024】YがHであるグルコサミン誘導体が好まし
い。
【0025】このようなグルコサミンの1位の水酸基、
2位のアミノ基の保護は、グルコサミンをこれまでにな
い新しい結合様式で高分子主鎖に導入するために必要で
あるが、一方、グルコサミン自体が安定化されるという
利点をも生みだすものである。すなわち、たとえば1位
の水酸基をメチル、エチル、プロピルなどのアルキル
基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラル
キル基などにより保護することによって、さらにまた2
位のアミノ基をアセチル基などで保護したグルコサミン
を用いることによりこれらの糖質合成高分子の合成反応
において糖部分の分解劣化、変色などがおさえられ、良
好な特性を有する糖質合成高分子がえられる。これら保
護基の種類によるグルコサミン誘導体の性質の違いは、
具体的には、たとえば、1位の水酸基が、 -OCH3
あるよりも、
【0026】
【化10】
【0027】などアリール基で置換されたものの方がよ
り高い融点が付与される。
【0028】グルコサミン誘導体は、ポリエステル合成
系、あるいはポリウレタン合成系など従来の高分子合成
反応系において使用することができる。
【0029】共重合方法はとくに制限されず、たとえ
ば、グルコサミン誘導体の3位、4位または6位の水酸
基と反応しうる官能基を有する化合物、たとえばフタル
酸無水物、コハク酸無水物、酒石酸などの酸無水物や
酸、あるいはジイソシアネート、トリイソシアネートな
どと反応させる。
【0030】このような反応方法としては、たとえば糖
誘導体のDMSO溶液に、冷却下、酸無水物やイソシア
ネートなどを加えるなど、溶媒を用いた合成反応もあげ
られるが、好ましくは無溶媒で直接反応させることが好
適である。
【0031】本発明によれば、グルコサミンの3位およ
び6位水酸基、ならびに4位および6位水酸基を結合手
として主鎖に組み込まれた(6位以外の結合手が3位と
4位水酸基の混合物である)糖質合成高分子がえられ
る。3位または4位を結合手とする割合は反応原料、反
応温度、反応時間、撹拌条件などによって若干異なる。
【0032】本発明の糖質合成高分子は平均分子量が5
万〜180 万のものである。
【0033】グルコサミン誘導体を主鎖に含有するエス
テル系高分子としてはたとえば、フタル酸(P) 、グルコ
サミン誘導体(S) およびエチレングリコール(E) との反
応系において、糖(S) と非糖(P) 、(E) との配列が、 -[(P)-(E)]n -[(P)-(S)] n′- (1) -(P)-(S)-(P)-(E)-(P)-(S)-(P)-(E)- (2) などがあげられる。これらの配列は、たとえば(1) 型に
おいて、(S) と(E) との配合比率を変えることにより、
-[(P)-(S)] n′ -と-[(P)-(E)]n - の比を任意の割合
(1〜99モル%)に調製することが可能であり、糖の導
入比率を変えることができる。
【0034】グルコサミン誘導体を主鎖に含有するウレ
タン系高分子としてはたとえば、ジイソシアネート(D)
、グルコサミン誘導体(S) およびエチレングリコール
(E) との反応系において、糖(S) と非糖(D) 、(E) との
配列が、 -[(D)-(E)]n -[(D)-(S)] n′- (1) -(D)-(S)-(D)-(E)-(D)-(S)-(D)-(E)- (2) などがあげられる。これらの配列は、たとえば(1) 型に
おいて、(S) と(E) との配合比率を変えることにより、
-[(D)-(S)] n′ -と-[(D)-(E)]n - の比を任意の割合
(1〜99モル%)に調製することが可能であり、糖の導
入比率を変えることができる。
【0035】すなわち、糖(S) とイソシアネート(D) と
をまず反応させ (S-D)n よりなるプレポリマーを形成さ
せ、ついで該プレポリマーとエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブタンジオールなどのアルキレング
リコール、あるいはこれらの重合体のポリアルキレング
リコールなどのジアルコール類(E) とを反応させ、((S-
D)n -E)m の構造を有する含(S) ポリマーを形成でき
る。あるいは、インシアネート(D) と上述のジアルコー
ル類(E) とをまず反応させ (E-D)n よりなるプレポリマ
ーを形成させ、ついで該プレポリマーと糖(S) とを反応
させ、((E-D)n -S)m の構造を有する含(S) ポリマーを
形成できる。
【0036】これらの糖質合成高分子は、生分解性がす
ぐれるばかりでなく、糖の含有率、用いるグルコサミン
誘導体の1位の水酸基および2位のアミノ基の保護基の
種類により、様々な特性の違いを有する。さらに、この
ような合成高分子をえたのちに、主鎖に含まれるグルコ
サミン誘導体の1位の水酸基および(または)2位のア
ミノ基の保護基をはずすことにより、高分子の特性を種
々に変化させることもできる。
【0037】すなわち、脱アセチル化反応によってNH
2 基を再生させることにより、染色性、親水性、吸湿性
が良好になり、また、イオン交換能、キレート形成能が
上昇する。
【0038】一方、一位のOH基を再生させることによ
り、これらの化合物はポリレダクトンの一種となり、吸
湿性が良好になるほか、抗ウィルス性、抗菌性、DNA
切断活性などの生理活性をも示すこととなる。
【0039】このように、グルコサミンの1位の水酸
基、2位のアミノ基を保護したのちに重合反応を行なわ
せる方法は、言いかえれば、高分子に種々の特性を与え
うる糖の官能基を残したまま、糖を高分子に導入できる
方法である。
【0040】これらの高分子は、粉体、粒子、フィル
ム、繊維、成型体などの形態の生分解性高分子、保護基
の種類やアミノ基、水酸基の残存数により吸湿性、感
触、染色性、風合いの種々異なる生分解性の添加物ある
いは金属吸着性、吸湿性、吸水性の種々異なる処理剤と
して用いることができる。
【0041】つぎに本発明の合成高分子を、具体的な実
施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる例示のみに限定されるものではない。
【0042】実施例1 D- グルコサミン塩酸塩(2-アミノ-2- デオキシ- D-
グルコピラノース ヒドロクロリド)より調製したメチ
ル- N- アセチル- α,D- グルコサミニド(メチル-2
- アセタミド-2- デオキシ- α,D- グルコピラノシ
ド)(融点:182〜183 ℃)3g(0.012 モル)を、溶
融させた無水フタル酸1.8 g(0.012 モル)(溶融温度
140 〜150 ℃)に一挙に加え、約14分間撹拌溶解させ
た。反応混合物は急激に粘性をおびるが冷却後は固化し
た。収量は4.5 g、融点は93〜97℃であった。
【0043】元素分析値 C17198 N 計算値 C:55.89 H:5.21 N:3.83 分析値 C:55.59 H:4.99 N:3.80 トヨパール(Toyopearl)HW-50(商品名、東洋曹達(株)
製)(1cm(d) ×41.5cm(h) )のカラムでポリスチレン
分子量マーカを用いDMSO・H2 O 195:5の溶媒に
よりゲルクロマトグラフィーで分子量を測定した結果、
150 万から5万の広い分子量分布を示した。この糖質合
成高分子化合物2gを無水ピリジン100ml、無水酢酸100
ml を用いて40℃で3時間アセチル化したのち、反応物
を氷水に注ぎ、クロロホルム抽出後、1N- HCl、水
で洗浄し、ついで脱水濃縮してシラップ2gをえた。こ
の高分子化合物のアセチル化物の 1H- NMRスペクト
ルにおいて、7.50ppm のフタル酸にもとづくプロトン、
5.4 〜3.0ppmの糖構造にもとづくリングプロトン、およ
び1.7 〜2.2ppmのN- アセチル基、O- アセチル基にも
とづくメチルプロトン比は4:7:6であった。
【0044】えられた糖質合成高分子は、構造単位(I)
【0045】
【化11】
【0046】および構造単位(II):
【0047】
【化12】
【0048】からなる高分子であった。
【0049】実施例2 メチル-N- アセチル- α,D- グルコサミニド1.5 g
(0.006 モル)を140 〜150 ℃に融解した無水フタル酸
1.8 g(0.012 モル)中に加え約10分反応後、さらにエ
チレングリコール0.39g(0.006 モル)を加えて再び14
0 〜150 ℃に保ち10分間撹拌反応させた。反応物は粘性
をおびていた。収量は3.6 g、融点は95〜104 ℃であっ
た。
【0050】元素分析値 C272712N 計算値 C:58.17 H:4.85 N:2.51 分析値 C:57.92 H:4.66 N:2.48 この糖質合成高分子化合物は実施例1と同じくトヨパー
ルHW-50 のカラムによる分子量測定の結果、150 万から
5万程度の広い分子量分布を示すが平均分子量は約60万
程度であった。この高分子化合物のアセチル化物の 1
- NMRスペクトルにおいて、7.50ppm のフタル酸にも
とづくプロトン、5.4 〜2.8ppmの糖構造およびエチレン
基にもとづくリングプロトンおよび1.7 〜2.2ppmのN-
アセチル基、O- アセチル基にもとづくメチルプロトン
比は8:11:6であった。
【0051】えられた糖質合成高分子は、構造単位(II
I) :
【0052】
【化13】
【0053】および構造単位(IV):
【0054】
【化14】
【0055】からなる高分子であった。
【0056】実施例3 酒石酸1.9 g(0.012 モル)を145 〜150 ℃で融解し、
ついでD- グルコサミン塩酸塩より調製したメチル- N
- アセチル- α,D- グルコサミニド3g(0.012 モ
ル)を加え約18分間撹拌加熱を続け脱水反応を完了させ
た。反応後は急激に粘性を帯びた。収量は4.5 g、融点
は98〜102 ℃であった。
【0057】元素分析値 C131910N 計算値 C:44.70 H:5.44 N:4.01 分析値 C:44.92 H:5.68 N:3.98 この糖質合成高分子化合物は、実施例1と同じくトヨパ
ールHW-50 のカラムによる分子量測定の結果、150 万か
ら5万程度の広い分子量分布を示したが100 万程度の分
子量のものが主であった。この高分子化合物のアセチル
化物の 1H- NMRスペクトルにおいて、5.3 〜3.0ppm
の糖構造にもとづくリングプロトン、および1.5 〜2.2p
pmのN- アセチル基、O- アセチル基にもとづくメチル
プロトン比は7:12であった。
【0058】えられた糖質合成高分子は、構造単位(V)
【0059】
【化15】
【0060】および構造単位(VI):
【0061】
【化16】
【0062】からなる高分子であった。
【0063】実施例4 138 〜140 ℃に融解した1.27g(0.012 モル)の無水コ
ハク酸中にD- グルコサミンから調製したメチル- N-
アセチル- α,D- グルコサミニド3.0 g(0.012 モ
ル)を加え15分間反応させた。粘性をおびた反応生成物
は冷却後粘重なシラップ状物質となった。収量は4.1
g、融点は65〜66℃であった。
【0064】元素分析値 C13198 N 計算値 C:49.21 H:5.99 N:4.42 分析値 C:48.86 H:6.01 N:4.69 この糖質合成高分子化合物はトヨパールカラムによる分
子量測定の結果、80万から5万程度の広い分子量分布を
示した。この高分子化合物のアセチル化物の 1H- NM
Rスペクトルにおいて、5.3 〜2.3ppmの糖構造にもとづ
くリングプロトンおよびコハク酸のメチレンプロトン、
1.7 〜2.2ppmのN- アセチル基、O- アセチル基にもと
づくメチルプロトン比は11:6であった。
【0065】えられた糖質合成高分子は、構造単位(VI
I) :
【0066】
【化17】
【0067】および構造単位(VIII):
【0068】
【化18】
【0069】からなる高分子であった。
【0070】実施例5 D- グルコサミン塩酸塩より調製したベンジル- N- ア
セチル- α,D- グルコサミニド(融点183 〜184 ℃)
3.5 g(0.012 モル)を140 〜150 ℃に融解した無水フ
タル酸1.8 g(0.012 モル)に加え18分間加温撹拌し重
合させた。反応混合物は粘性を示した。収量は5.2 g、
融点は130 〜132 ℃であった。
【0071】元素分析値 C23238 N 計算値 C:62.57 H:5.26 N:3.17 分析値 C:61.01 H:5.40 N:3.33 また、実施例1に示された方法による分子量測定の結果
は180 万から5万の広い分子量分布を示したが約80万程
度が主成分であった。この高分子化合物のアセチル化物
1H- NMRスペクトルにおいて、7.5 〜7.3ppmにお
けるフタル酸およびベンジル基にもとづく芳香環プロト
ン、5.4 〜3.0ppmの糖構造にもとづくリングプロトンお
よびベンジル基のメチレンプロトン、および1.7 〜2.2p
pmのN-アセチル基、O- アセチル基にもとづくメチル
プロトン比は9:9:6であった。
【0072】えられた糖質合成高分子は、構造単位(I
X):
【0073】
【化19】
【0074】および構造単位(X) :
【0075】
【化20】
【0076】からなる高分子であった。
【0077】実施例6 メチル- N- アセチル- α,D- グルコサミニド2g
(0.008 モル)をDMF(ジメチルホルムアミド)15ml
中でトリエチルアミン0.1ml を触媒として2,4-トリルジ
イソシアネート1.43g(0.01モル)と反応させた。28℃
で2時間、45℃で2時間撹拌加温した。反応後メタノー
ルを加えて減圧濃縮し次にアセトンを加えて反応物の沈
殿をえた。収量は2.7 g、融点は210 〜225 ℃であっ
た。
【0078】元素分析値 C18238 3 計算値 C:52.77 H:5.62 N:10.26 分析値 C:52.41 H:5.49 N:10.18 この反応物は実施例1と同様、トヨパールのカラムでポ
リスチレンの分子量マーカーを用いDMSO:H2
195 :5の溶媒によりゲルクロマトグラフィーで分子量
を測定した。分子量は180 万から5万程度の広い分布を
示しとくに約20万程度の分子量のものが中心であった。
【0079】また実施例1と同じく常法によりアセチル
化し、このアセチル化物の 1H- NMRスペクトルは以
下のとおりであった。
【0080】 ベンゼン環に起因するプロトン 7.2 〜7.7ppm ベンゼン環上のメチルプロトン 2.22ppm 配糖体のメチルプロトン 3.46ppm アセチル基のメチルプロトン 2.0 〜2.2ppm 糖環状構造のプロトン 3.3 〜5.3ppm えられた糖質合成高分子は構造単位(XI)
【0081】
【化21】
【0082】および構造単位(XII)
【0083】
【化22】
【0084】からなる高分子化合物であった。
【0085】実施例7 ヘキサメチレンジイソシアネート1.6 g(0.01モ
ル)とメチル- N- アセチル- α,D- グルコサミニド
2.35g(0.01モル)を10mlのDMF(ジメチルホルムア
ミド)に溶解し触媒として0.1ml のトリエチルアミンを
加え80℃で1時間反応させた。反応終了後メタノールを
加えて減圧濃縮しアセトンを加えると反応物の沈殿をえ
た。収量は3.8 g、融点は130 〜150 ℃であった。
【0086】元素分析値 C17298 3 計算値 C:50.58 H:7.19 N:10.41 分析値 C:50.39 H:6.92 N:10.28 この反応物は実施例1と同様、トヨパールのカラムによ
る分子量測定の結果、約20万の分子量を示した。
【0087】また実施例1と同じく常法によりアセチル
化して測定したアセチル化物の 1H- NMRスペクトル
は、構造単位(XIII):
【0088】
【化23】
【0089】および(XIV):
【0090】
【化24】
【0091】をよく支持するものであった。
【0092】
【発明の効果】本発明の方法によれば、まったく新しい
結合様式でグルコサミン誘導体を合成高分子の主鎖に安
定的に導入せしめることができる。このようにしてえら
れる糖質合成高分子は、生分解性にすぐれるばかりでな
く、その糖部分のアミノ基や水酸基の保護基の種類およ
び保護基の有無により、吸湿性、染色性、風合い、金属
吸着性などの特性を種々に変化させることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 D- グルコサミンまたはその誘導体を主
    鎖に有する糖質合成高分子であって、該D- グルコサミ
    ンまたはその誘導体がその3位、4位および6位炭素原
    子に結合している水酸基のうちのいずれか2個以上を結
    合手として主鎖に組込まれてなる糖質合成高分子。
  2. 【請求項2】 D- グルコサミンの1位炭素原子に結合
    している水酸基を -OX(式中、Xは 【化1】 を表わす)、2位炭素原子に結合しているアミノ基を 【化2】 (式中、YはHまたはCOCH3 を表わす)として保護
    したD- グルコサミン誘導体を、その3位、4位および
    6位炭素原子に結合している水酸基のうちのいずれか2
    個以上において、該水酸基と反応する官能基を有する化
    合物と反応させることを特徴とする、D- グルコサミン
    またはその誘導体を高分子主鎖に有する糖質合成高分子
    の製造法。
JP4127784A 1991-06-24 1992-05-20 糖質合成高分子およびその製造法 Pending JPH05178904A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114409865A (zh) * 2022-02-23 2022-04-29 福建师范大学 一种结构抗菌型水性聚氨酯扩链剂及其制备方法与应用

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114409865A (zh) * 2022-02-23 2022-04-29 福建师范大学 一种结构抗菌型水性聚氨酯扩链剂及其制备方法与应用

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