JPH05178759A - 免疫賦活剤・感染症治療剤・免疫賦活性食品 - Google Patents

免疫賦活剤・感染症治療剤・免疫賦活性食品

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JPH05178759A
JPH05178759A JP2139681A JP13968190A JPH05178759A JP H05178759 A JPH05178759 A JP H05178759A JP 2139681 A JP2139681 A JP 2139681A JP 13968190 A JP13968190 A JP 13968190A JP H05178759 A JPH05178759 A JP H05178759A
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Abstract

(57)【要約】 電子出願以前の出願であるので 要約・選択図及び出願人の識別番号は存在しない。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、免疫賦活剤、病原微生物感染症の治 療剤、予防剤、ならびに免疫賦活性食品に関する。
(従来の技術) 病原微生物感染症は、かつては人類死亡原因の 大半を占めていたが、その後抗生物質を含む化学 療法剤の飛躍的な発展によってあたかも完全に克 服されたかのような印象を与えている。しかし、 現実には、病原微生物感染症は今日でもいぜんと して死亡原因の大きな割合を占める疾患である。
とりわけ、免疫能が低下した状況、すなわち、c ompromised hostsと称される状 態にあっては、病原菌感染症は重篤化しやすく、 ときには致命的でさえある。例えば典型的なco mpromised hostsである担癌状態 では直接的に癌で死亡する患者よりも、体内に常 在する弱毒性病原菌(日和見感染菌)による感染 症で死亡する患者の方がはるかに多いとされてい る。健常状態であるならば日和見感染菌は免疫系 機作によって容易に排除されるので、体内に侵入 し重篤な感染症をひき起こすことは極めてまれで あるが、免疫能が低下するとこれを排除できなく なるためである。感染症によって死亡する癌患者 がどの位の割合に達するかについては正確な統計 がないが、多い場合には7〜8割、通常でも5割 以上に達するとの報告が多い。担癌状態に限らず、 老人、とりわけ寝たきり状態の老人が肺炎などの 感染症を起すと、強力な抗生物質の大量投与が実 施されるが、しかし救命することはむずかしい。
さらに、手術後、とくに腹部や胸部等の外科手術 後には、消毒技術の発達や抗生物質の予防的大量 投与にもかかわらず、感染症に罹患し、ときには 致命的である。手術前には正常の免疫能を有する 患者であっても、手術の侵襲によって免疫能が大 巾に低下するのが避けられないためである。また、 白血病の場合には、強力な化学療法剤を使用して 白血病細胞を体内から除去しなければならないの で、化学療法剤を投与する前に患者を無菌室に隔 離し、病原微生物を体表面および消化管等から排 除したのちに治療を開始するが、このように注意 を払っても腸内細菌に起因する感染症は100% の患者に発症することが知られている。
以上述べたcompromised host sに発症する病原菌感染症は通常の健康人には 影響を与えない弱毒性病原菌(日和見菌)の感染 症が容易に発症すること、ひとたび感染すると 重症に陥いることが多く、治療に際しても抗生物 質が決定打にならないという特徴を有する。
これら病原微生物感染症が起りやすい状態を一 般的には免疫能が低下している状態と称している が、その科学的実態は必ずしも明らかではない。
一般的に言って、病原菌の侵害を阻止するうえで 最も大きな役割を果すのは、好中球およびマク ロファージ(単球)などの貧食細胞、および抗 体+補体であるとされている。白血病あるいは悪 性腫瘍患者に化学療法剤を投与して明らかな白血 病減少症を起させた場合を別として、癌患者や寝 たきり老人であっても、感染防御に最も関係があ るとされている血液中の「好中球+単球」数およ び「抗体+補体」数は、健常人に比して有意差が 認められない場合が多い。ほとんどのcompr omised hostsにあっても、非特異的 感染防御系の能力低下は、貧食細胞の数が減少し たためよりは、むしろその機能的な低下に原因が 求められる。
かくて、抗生物質の大量投与療法は、病原菌感 染症、特に日和見菌感染症に対する予防および治 療に関して部分的には有効であるが、問題の根本 的な解決にはほど遠いのが現状である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、病原菌感染症の予防および治療の根 本的解決に資するために、患者自身の免疫機能を 向上させる物質、とりわけ好中球の貧食機能を向 上させる物質を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは多年にわたり病原菌感染症の治療 を研究した結果、病原菌感染症の成立には好中 球の貧食機能が重要な関わりを持つこと、ヒト を含む動物乳汁から得たラクトフェリンの経口投 与が生体内における好中球の病原菌貧食能を昂進 させること。好中球の病原菌貧食能を昂進させ ることは、病原菌感染症の治療および予防にとっ て非常に有用であることを見出し、本発明を完成 するに至った。
本発明は、ラクトフェリンを有効成分とする免 疫賦活剤、ラクトフェリンを有効成分とする病原 微生物感染症の治療剤または予防剤、ラクトフェ リンを150mg/kg以上含有する免疫賦活性食品 の発明であり、本発明で使用されるラクトフェリ ンは鉄飽和のもの、不飽和のもの、鉄を含有しな いもののいずれをも含む。また、ラクトフェリン を治療剤または予防剤として使用する場合には、 これを単独で投与してもよく、また抗生物質やそ の他の化学療法剤と併用してもよい。
ラクトフェリンは、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの 反芻動物をはじめ、ヒトを含む各種動物の乳汁に 主として含まれ、これらから得ることができる。
ラクトフェリンは、2個の3価鉄イオンとキレ ートとして錯体を形成する性質を有する分子量7〜 9万の塩基性糖蛋白質であって、化学構造上の分 類からは血中に存在するトランスフェリンに近縁 の鉄蛋白質である。
ラクトフェリンは、前記のように哺乳動物の乳 汁に主として含まれるほか、成熟好中球の顆粒、 各種分泌液、唾液、涙、気管支粘液、胆汁、腸液、 などに含まれているが、その量は好中球100万 箇あたり5μg程度である。人体における一日当り の好中球産出量が1012個であることから計算す ると、ラクトフェリンは毎日5g合成されている こととなり、人体にとって主要な生理活性蛋白の 一つであると解される。このように生体内におけ るラクトフェリンの分布が非常に広いにも拘らず、 その役割は必ずしも明確ではない。
本発明者らは、当初ラクトフェリンの抗菌活性 を試験管内において種々の病原菌を使用して検討 した。ところが、ラクトフェリンは4000μg/ ml以下の濃度で病原菌の成育を全く阻止できなか った。このような結果は、鉄を全く含まないアポ ラクトフェリンから100%鉄飽和のホロラクト フェリンに至るまで全く同様であった(実験例1) 。この実験結果から、ラクトフェリンは正体内に おいても病原微生物に対する直接的な抗菌活性は 有していないと結論した。
ところが、マウスの腹腔内に種々の病原性細菌 を感染させ、経口用β−ラクタム系抗生物質を投 与して治療する実験系において、抗生物質ととも にラクトフェリンを同時に経口併用投与すると、 β−ラクタム系抗生物質の効果が2〜10倍も上 昇するという、おどろくべき結果を見い出した。
しかも、この効力増強作用は、1種類の病原菌に 特異なものではなく、大腸菌、プロテウス菌、肺 炎捍菌等のグラム陰性細菌、ならびに黄色ぶどう 球菌、肺炎菌等のグラム陽性細菌に対しても認め られる現象であった(実施例3.4)。
つぎに、マウスの実験的感染症を用い、ラクト フェリンと種々の注射用β−ラクタム系抗生物質 とを併用し、抗菌活性に及ぼす影響を検討した。
いずれの注射用抗生物質を使用した場合であって も、経口用セフェム剤の場合と同様に、実験的感 染症に対するβ−ラクタム系抗生物質の有効性は 2〜5倍に上昇することが確認された。
注目すべきことは、ラクトフェリンの効力増強 作用は、セファロスポリン系抗生物質に止らず、 アンピシリン等のペニシリン系抗生物質でも認め られることであって、この現象は広くβ−ラクタ ム系抗生物質一般を網羅すると考えられることで ある。
さらに、β−ラクタム系抗生物質以外の合成抗 菌剤を含む抗菌性物質とラクトフェリンとの併用 効果を検討したところ、次のことが明らかになっ た。
すなわち、ラクトフェリンは、静菌的に作用 するテトラサイクリン系抗生物質の効力を増強す る。しかし、強く殺菌的に作用するアミノ配糖 体抗生物質ならびにキノロン系合成抗菌剤の効力 は増強しない(実施例5)。この事実は、殺菌的 なアミノ配糖体抗生物質ならびにキノロン系合成 抗菌剤のように、病原微生物の細胞内における濃 度が一定の水準を越えると、菌が必然的に死滅す る場合にはラクトフェリンは併用効果を示さない が、β−ラクタム系抗生物質およびテトラサイク リン抗生物質のようにin vivoでは病原菌 を弱らせ、免疫系によって処理されやすくする作 用を有するが、それ単独では病原菌を死滅させる 効果を有しない抗菌物質の作用を選択的に増強す ることを示唆する。すなわち、ラクトフェリンは 病原菌の最終的な処理と体外への除去を非特異的 免疫系に依存する抗菌物質に対して相乗的作用を 有し、その効力を増強することを示唆しているの である。かかる事実は、ラクトフェリンの作用機 作が、病原菌に対する非特異的な処理機構に働き かけ、その処理能力を高める点にあることを意味 している。
ラクトフェリンの最小有効量は0.1〜2.5 mg/kgの範囲にあり、通常は1〜50mg/kg程度 の投与が適当である。投与方法は経口でも直腸内 投与その他でもよい。
ラクトフェリンの投与がこのように少量でも有 効であることは、ラクトフェリンが消化管内で 蛋白分解酵素の作用を受け難いこと、および腸 管粘膜にはラクトフェリンが特異的に結合する部 位(受容体)があり、ラクトフェリンがこれに結 合することでβ−ラクタム系抗生物質の効力を増 強すること、特異的な結合部位である受容体が 飽和すると、ラクトフェリンの活性増強作用はピ ークとなり、それ以上投与しても増強効果がない ことを示唆している。
ラクトフェリン投与の最適スケジュールを求め るために、病原菌攻撃の5〜0日前にわたりラク トフェリンを1日1回だけ経口投与し、感染1時 間後にセファレキシンを経口投与し、前もって投 与したラクトフェリンが抗菌活性にどのような影 響を与えるかを検討した。その結果、ラクトフェ リンを攻撃1日前までに投与した場合には、セフ ァレキシンの効力を有意に増強するが、2日前ま たはそれ以前に投与した場合には補強効果が完全 に失われることが判明した。このことは、ラクト フェリンがいったん腸管粘膜の受容体に結合する と、非特異的免疫系に対するその刺激効果は24 時間程度は持続するが、これより相当以上の時間 が経過すれば失われることを意味する。病原菌処 理の主役である好中球は半減期が6時間の著しく 短命な細胞であって、同じ貧食系の細胞であるマ クロファージ(単球)とは著しく性質が異なる。
予め投与されたラクトフェリンの効果が1日程度 しか持続しない事実は、ラクトフェリンの作用が 好中球を活性化することにあることを示唆してい る(実施例7)。
他方、ラクトフェリンのβ−ラクタム系抗生物 質に対する作用機作は、抗菌物質の腸管吸収速度 を増大させることにはないことも確認された。す なわち、4種類の経口セフェム剤を用い、ラクト フェリンを同時に経口投与した。その結果、セフ ァレキシン、セファクロール、セフロキサジンお よびセフィキシムについて血中濃度および持続時 間に何等の影響も及ばなかった。(実施例2)。
ラクトフェリンを注射用β−ラクタム系抗生物 質と併用しても、有意にその効力を増強させるが、 このこともラクトフェリンの作用機作に関する前 記結論を支持するものである。
また、マウス好中球(多形核白血球PMN)を 体外にとり出し、in vitroでラクトフェ リンを作用させて大腸菌の存在下に貧食能およ び活性酵素の発生を対照と比較したが、予期し た活性の昂進は生じなかった。さらに、ラクトフ ェリンを経口投与したマウスの腹腔内にペプトン を注射して浸出した好中球を使い、貧食能およ び活性酵素発生能を調べたが、対照に比して有 意な貧食能の昂進は認められなかった。
他方、末梢血から集めた好中球は、ラクトフェ リン投与により貧食能および活性酵素発生能 に関して2倍ほどの昂進が認められた。
これらの結果から、ラクトフェリン経口投与に よる抗菌剤の効力増強は、好中球の貧食能昂進に 由来すること、免疫賦活性食品としても有力であ ることが確認された。
本発明の医薬品を製剤化するには、変性を避け ながら、ぶどう糖、麦芽糖、ソルビトール、デキ ストリン、澱粉などと混合して常法に従って顆粒 剤とすればよく、また適宜に防腐処理を施してシ ロップ剤とすることもできる。さらに微結晶セル ロース、ハイドロキシ・プロピルセルロース、ス テアリン酸マグネシウム等と混合して錠剤化する こともできる。
また、ラクトフェリンを所定濃度以上含有する 本発明の免疫賦活性食品を製造するためには、ラ クトフェリンの変性を避けながら、飲料、ヨーグ ルト、プリン、その他の食品に加工してもよい。
ラクトフェリンは含有量は、食品中150mg/kg 以上、飲料として摂取するときは30mg/200 ml以上であることを要し、好ましくは各々250 mg/kg以上、50mg/200ml以上である。
なお、ウシの常乳中の含量は60〜90mg/kg (12〜18mg/200ml)である。
(作用効果) 本発明においては、有効成分であるラクトフェ リンが好中球の貧食機能を活性化し、これにより 病原微生物に対する免疫性、抗菌作用を増強させ るので、本発明の物質は免疫賦活剤、病原微生物 感染症治療剤、予防剤ならびに免疫賦活性食品と して使用することができる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を述べるが、もとより本 発明がこれら実施例に限定されるのではない。
実施例1(カプセル剤の製造) 冷凍乾燥したラクトフェリン200gをメッシ ュ幅0.8mmのふるいを通した後、リン酸水素カ ルシウム60g、ステアリン酸マグネシウム4g、 高分散性二酸化珪素(アエロジル200、デグッ サ社)1g、および変性デンプン(Starch 1500、コロルコン社)40gと混合した。該 混合物をそれぞれ150mgずつ、大きさ3の硬質 ゼラチンカプセル中に無菌的に充填した。本カプ セル剤はラクトフェリン100mgを含有する。
実施例2(錠菓の製造) 冷凍乾燥したラクトフェリン45gを、ショ糖 80g、乳糖100gと混合し水50mlを加えて、 常法により造粒した後45℃で通気乾燥した。シ ョ糖310g、アスコルビン酸75gおよびレモ ン香料0.1mlを水80mlとともに混合し、法に より造粒した後60℃で通気乾燥した。乾燥した 顆粒はそれぞれメッシュ幅0.8mmのふるいを通 した。得られた2種の顆粒を変性デンプン65g とともに均一に混合した後、重さ1.8gの円形 錠剤に打錠した。本錠菓は1錠中に120mgのラ クトフェリンを含有し、これは67g/kgに相当 する。
実施例3 4週令の雄性DDY系マウス(n=6)を使用 し、その腹腔内に、大腸菌(Esherichi a coli ch−7)を5%ムチンに懸濁し たものを感染させた。接種菌量は1×10ce 11s/mouseとした。感染1時間後にセフ ァロスポリン系抗生物質とラクトフェリン(1. 0mg/mouse)を併用してマウスに経口投与 した。対照としてラクトフェリンを併用せず、セ ファロスポリンのみを経口投与したものを用いた。
マウスは感染1週間後まで観察し、1週間後で も生存している個体を完全治癒と判定し、ED50 は常法に従って算出した。その結果は表1に示す とおりであり、ラクトフェリンを併用することに よって、ED50はセファレキシンでは約6分の1 に、セフィキシムでは約4分の1に、セフロキサ ジンでは約3分の1に、セファクロールでは約2 分の1に各々減少した。このように、ラクトフェ リンを経口併用投与することにより、大腸菌に対 するセファロスポリン系抗生物質の抗菌活性を増 強できることが確認された。
実施例4 ラクトフェリンによるβ−ラクタム系抗生物質 の効力増強効果を大腸菌を用いて調べた。
4週令の雄性DDY系マウス(n=6)を使用 し、これに変形菌Proteus vulgar is OX8を5%ムチンに懸濁したものを、接 種菌量2×10cells/mouseとして 腹腔内感染させた。感染1時間後にセファロスポ リン系抗生物質とラクトフェリン(0.5mg/m ouse)とをマウスに併用経口投与した。
マウスは感染1週間後まで観察し、1週間後で も生存している個体を完全治癒と判定した。実験 結果は表2に示す通りである。
この実験系においても、ラクトフェリンの経口 併用投与は、セファレキシンのED50を約2分の 1、セフィキシムを約3分の1、セフロキサジン を約2分の1、セファクロールを約3分の1、ア ミノベンジルペニシリンを約2分の1に減少させ る効果が認められた。
このように、ラクトフェリンによるβ−ラクタ ム系抗生物質に対する効力増強効果は、大腸菌に 止まらず、変形菌でも認められる一般的な現象で あることが確認された。
実施例5 本発明のラクトフェリンをキノロン系合成抗菌 剤、アミノ配糖体抗生物質およびミノサイクリン と併用して経口投与した場合の効果を試験した。
4週令の雄性DDY系マウス(n=6)を使用 し、病原菌としては5%ムチンに懸濁したEsc herichia coli ch−7を用い、 腹腔内に1×10cells/mouseを感 染させた。
抗菌剤等は感染1時間後に経口投与し、ゲンタ ミンのみは経口投与で吸収されないので、感染1 時間後に皮下に注射した。ラクトフェリンは感染 1時間後に0.5mg/mouseを経口投与した。
その結果は、表3に示すとおりであって、細菌 に対し、殺菌的に働くキノロン系抗菌剤およびア ミノ配糖体抗生物質に対しては、ラクトフェリン は効力増強作用を有しない。これに対し、細菌に 対し静菌的に働くテトラサイクリン系抗生物質で あるミノサイクリンのED50を約3分の1に減少 させた。
本実験の結果はラクトフェリンの作用機作に関 して重大な示唆を与える。すなわち、ラクトフェ リンはβ−ラクタム系抗生物質やテトラサイクリ ン系抗生物質のように静菌的に作用する抗菌物質 に対してはその抗菌作用を増強するが、殺菌的に 働くキノロン系抗菌剤およびアミノ配糖体抗生物 質の効力をまったく増強しない。このことは病原 菌が静菌性抗菌剤の働きで増殖が抑制され非特異 的免疫系により処理されやすくなった場合に、ラ クトフェリンが非特異的免疫系による病原菌の除 去過程を昂進させる作用機作を有することを示唆 している。
実施例6 雄性DDY系マウス(4週令)(n=6)を使 用し、ラクトフェリンの投与量について検討した。
セファロスポリン系抗生物質としてセファクロー ルを選び、5%ムチンに懸濁した病原菌Eshe richia coli ch−7を2×10 cells/mouseづつマウス腹腔内に感染 させ、その1時間後にラクトフェリンとセファク ロールを同時に経口投与した。
感染1週間後にも生存している個体を完全治癒 と判定した。
その結果を表4に示すが、これから明らかなよ うに、ラクトフェリンは0.05〜50mg/mo useの全範囲にわたって同程度の効力増強効果 を示した。この事実は、ラクトフェリンが腸管粘 膜表面の受容体に結合することによって抗菌活性 増強作用を発揮すること、受容体がラクトフェリ ンで飽和されることにより活性がピークに達する ことを示している。
実施例7 ラクトフェリン投与時期による影響の差異を検 討した。
実験動物として雄性DDY系マウス4週令を使 用(n=6)し、病原菌としてEsherich ia coli ch−7を用いた。セファロス ポリン系抗生物質としてセファクロールを使用し、 病原菌感染1時間後に経口投与した。
ラクトフェリン(0.5mg/mouse)は、 感染5日前ないし1日前に投与し、セファクロー ルと同時に投与したものと比較した。この結果は、 表5に示すとおりであって、ラクトフェリンは感 染1日前に投与すれば同時投与の場合と同様に効 力増強効果があるが、2日以上前に投与された場 合には増強効果が認められなかった。
この結果は、ラクトフェリンの効果が比較的短 期間に消滅することを意味し、ラクトフェリンが 好中球の免疫機能を活性化していることを示唆し ている。
実験例1 液体希釈法によって、in vitroにおけ るラクトフェリンの抗菌活性を測定した。
培地はnutrient brothを使用し、 細菌の接種量は10cells/mlとした。
ラクトフェリンはアポラクトフェリンおよびホ ロラクトフェリンとも4000μg/mlの濃度で細 菌の生育を全く阻害しなかった。
実験した病原性細菌は、Staphyloco ccus aureus ch−1、Staph ylococcus aureus ch−2、 Staphylococcus epiderm idis、Enterococcus faec alis、Escherichia coli NIHJ C−3、Escherichia c oli C−11、Klebsiella pn eumoniae、Klebsiella ox ytoca、Shigella sonnei、 Shigella typhi、Vibrio cholerae、Proteus vulga ris、Proteus morganii、P roteus rettgeri、Proteu s inconstans、Enterobac ter clocae、Serratia ma rcescens、Pseudomonas a eruginosaである。
実験例2 実験動物としてDDY系5週令雄性マウス(n =5)を使用し、β−ラクタム系抗生物質の経口 吸収量に及ぼすラクトフェリンの影響を調べた。
β−ラクタム系抗生物質としてはセファレキシン、 セフィキシム、セファクロールおよびセフロキサ ジンを用い、経口吸収量は抗生物質の血中濃度に より測定した。β−ラクタム系抗生物質およびラ クトフェリンは各0.5mg/mouse経口投与 した。結果は第1図〜第4図に示すとおりで、ラ クトフェリン同時投与は、β−ラクタム系抗生物 質の血中濃度を何ら増加させるものではなかった。
実験例3 実験動物として5週令のDDY系マウスを使用 した。マウスの腹腔内に澱粉を注入して浸出する 腹腔内細胞を集め、常法に従ってマクロファージ を除去した。数回洗浄した浮遊細胞液に大腸菌c h−7株を加え、37℃、2時間インキュベート して貧食されて減少する細胞数を測定した。結果 は第5図に示すとおりであって、大腸菌を同数の 好中球と2時間インキュベートすると、対照群 (好中球無添加)の生存菌数に比して50分の1 以下に減少した。
他方、上記で採取した好中球にラクトフェリン をin vitroで添加(10μg/ml、100 μg/ml、1000μg/ml)しても生存菌数の有意 な減少は見られなかった(第5図)。
実施例8 5週令のDDY系マウスにラクトフェリン(0. 5mg/omuse)を連続5日間経口投与し、5 日後に屠殺して末梢血を採取し、全血を使って大 腸菌ch−7株に対する貧食能を貧食法によって 測定した。結果は第6図に示すように、ラクトフ ェリン投与群マウスの末梢血に含まれる好中球の 貧食能は、対照群(ラクトフェリン非投与)に比 べ2倍以上の有意な昂進が認められた。
実施例9 健康な成人男子からなる8名のボランティアー (年令47.5±5.3才、平均値±標準偏差) を2群に分け(n=4)、一方に鉄飽和度26% の天然型ウシ・ラクトフェリン(500mg/da y)を1日1回3日間連続経口投与し、他方の群 には偽薬として脱脂粉乳を与えた。4日後に採血 して末梢血中の好中球を分離し、大腸菌C−11 株に対する貧食能を測定し、偽薬群と比較した。
さらに3日後、今度は前回の偽薬群にラクトフェ リン(500mg/day)を1日1回3日間連続 経口投与し、もう一方の群には偽薬として脱脂粉 乳を与えた。4日後に採血して前回と同様に好中 球の貧食能を測定した。
貧食能は、末梢血中の好中球と大腸菌C−11 株をそれぞれ10cells/mlになるように 調整し、37℃でインキュベートし、減少した大 腸菌の割合を%で表示した。
結果は、表6に示すとおりであって、ラクトフ ェリン投与は、ボランティアーの好中球貧食能を 有意に昂進させた。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は、ラクトフェリン同時投与に よる抗生物質の血中濃度。○はラクトフェリン投 与群、●は対照群。第1図はセファレキシン、第 2図はセフィキシム、第3図はセファクロール、 第4図はセフロキサジン(実験例2)。 第5図は大腸菌ch−7株に好中球を添加し、 これにin vitroでラクトフェリンを添加 した場合の生存菌数。●は好中球無添加(対照)。 ○は好中球添加(ラクトフェリン不添加−対照)、 ■はin vitroでラクトフェリン10μg/ 100μg/ml添加、□はin vitroでラク トフェリン1000μg/ml添加(実験例3)。 第6図はラクトフェリンの経口投与によるマウ スの末梢血好中球の貧食能に対する影響。●は好 中球無添加(対照)、○はラクトフェリンを添加 しない好中球の貧食能(対照)、□はin vi voでラクトフェリンを添加した好中球の貧食能 (実施例8)。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平2.9.27 (1)別紙添付のとおり適正な図面(第1図、第4図、
第6図)を提出する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトフェリンを有効成分とする免疫賦
    活 剤。
  2. 【請求項2】 ラクトフェリンを有効成分とする病原微
    生 物感染症の治療薬または予防薬。
  3. 【請求項3】 抗生物質または化学療法剤と併用する特
    許 請求の範囲第2項記載の治療薬または予防薬。
  4. 【請求項4】 ラクトフェリンが鉄飽和ラクトフェリ
    ン、 鉄不飽和ラクトフェリンまたは鉄非含有ラクトフ ェリンである特許請求の範囲第1項ないし第3項 記載の免疫賦活剤、治療薬または予防薬。
  5. 【請求項5】 ラクトフェリンを150mg/kg以上含有
    す る免疫賦活性食品。
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